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教職員配置の在り方等に関する調査研究協力者会議

1999/05/11 議事録

教職員配置の在り方等に関する調査研究協力者会議 (第9回)議事要旨


       教職員配置の在り方等に関する調査研究協力者会議(第9回)議事要旨



1  日  時    平成11年5月11日(火)10:00〜12:30

2  場  所    国立教育会館  203特別会議室(2階)

3  出席者
  (協力者)蓮見,安彦,石原,伊藤,小川,小澤,染谷,高浦,永井,山極の各氏
  (文部省)加茂川財務課長,大槻教育助成局企画官,勝山財務課課長補佐,岩本初等中等教育局主任視学官,徳久初等中等教育局企画官,ほか関係官

4議  事
(1)第7回議事要旨(案)について修正意見等がある場合は,5月17日までに事務局に連絡することとし,その後所要の修正を加えた上で公開の手続きをとることが了承された。

(2)事務局から配付資料の説明が行われ,その後,次の質問があった。

○  教頭の配置実態について

○ 中教審答申を踏まえた主任制度の検討状況について

(3)「学校経営スタッフ等確保の方策」及び「教員以外の専門的職員の配置の在り方」を論点に議論が行われ,概ね以下のような発言があった。(○は協力者,△は事務局の発言。)

○  学校経営スタッフ等確保の方策について,新しい学習指導要領への対応も含め,議論を深めたい。

○  教務主任については,総合的な学習の時間や中学校における選択履修の幅の拡大などについて,全教員の協力を得ながら各学校の実態に応じた創意工夫を生かすことが必要になってくることから,その役割がより一層重要になってくる。そのために,カリキュラムコーディネーター的な役割を持たせ,時間割編成だけでなくカリキュラム構築という面で専任化すべきではないか。その際,給与体系なども考慮すべきである。
  また,教頭についても対外的な役割が増えることから複数配置の拡大を図るべき。

○  学校の組織の現状は,一般の行政や民間の企業と違って,水平な教職員組織の上に校長と教頭が鍋蓋の取っ手のような形でその上に乗り学校を運営している。昨年の中教審の答申で校長の権限の強化を強く出されたが,管理機能が十全に機能している学校で校長の権限を強化するならばいいが,そうではない学校に権限だけを持っていくのは心配な面がある。その観点から教頭の配置については少子化も考慮に入れながら,現在の30学級以上の複数配置の基準を下げる方向で具体的な検討が必要。特に高等学校においては地域との連携,中学校との連携,募集業務,進路指導に関わる出口の問題等の外部との接触が多くなっている実情から複数配置が必要である。

○  主任については,中教審答申を踏まえた検討がなされていると思うが,規定上,主任の職務に「教頭を助け」という文言を明確に入れるとともに,主任手当など処遇についても実態に見合ったものに改善すべきではないか。教務主任,進路指導主事,生徒指導主事,学年主任等が従来の指導職という機能を維持したまま同時に教頭を助けながら所属職員を指導できる権限を与えられると,校長を支える教頭,あるいは教頭を助ける主任まで含めた組織として,中教審答申で提言された特色ある学校作りを目指した校長の権限強化ということが機能するのではないか。今のままでは中教審の期待に現場が応えられるか不安。

○  校長や教頭を支える観点からすると,教務主任の立場はこれからますます重要になってくる。教務主任は学級担任外いわゆる専科教員のうちの一人という位置付けになっている。したがって,人数からすると相当数の授業を持ったうえで教務を中心とする様々な学校運営に不可欠な仕事をしているのが現状であるが,管理職の職務が円滑に遂行できるようなスタッフの充実,あるいは今後求められる教育活動の充実・展開ということからも,専科教員とは別枠で教務主任を位置付けられないか。

○  教務主任及び教頭にいかに優秀な人材を得るかということは学校の管理あるいは校長を補佐する上でも重要。しかし,実際には授業を持っている実態を考えると,管理職が機能する以前の問題として,授業担当についてもできるだけ平等に扱うという教職員の意識の改革が必要である。
  教務主任については,時間的,物理的に非常に激務の中で職務を遂行しているという実態があり,制度として位置付けられることが,管理職の学校経営能力を高めるという点からも長期的には非常に重要なことではないか。

○  現行の標準法では30学級以上の学校に教頭を複数配置できるよう規定されているが,30学級というのはかなりの大規模校で,教頭複数配置以前の問題として学校規模の適正化をすることにより,よりよい学校経営が成り立つのではないかと考えている。しかしながら,現実には通学区域の問題があり簡単に統廃合できないことから,現実対応としては少なくとも30学級より基準を下げた複数配置は考えられないか。その際には,例えば,教務と財務といった分担をすることにより将来の校長を育てるひとつのシステムを学校の中に作ることもできると考える。管理職は,教諭のリーダーであるという部分も必要だが,学校の自主性や自立性あるいは地域に開かれた学校等を考えるときに,財務や事務及び施設管理等についてもきちんと管理できなくてはならない。
  また,学校事務を本庁の財務と結んで,学校で入力すれば一括して処理できる等コンピュータ化による全体的な管理の仕組み,あるいは人材配置等も考えていく時代ではないか。

○  教頭,主任については,授業から解放し専任化すべきとの意見もあるが,逆にもう少し子どもたちに直接接して指導してもらいたいと考えている。校長や教頭も授業で子どもの前に立ってもいいのではないか。教務主任のカリキュラムコーディネーターとしての役目は重要であるが,一方で授業の中で子どもと接することは是非続けてもらいたい。

○  教頭はどの程度,授業を持っているのか。

△  最新の教員統計調査によると小学校2.4時間,中学校3.4時間,高等学校2.3時間である。

○  主任についてはほとんど一般教諭と同じ時間を持っていると考えてよいか。

△  主任については特段の調査を実施していないが,教務主任については相当の持ち時間の軽減措置がなされている県が多いようだ。また,生徒指導主事についても相当数持ち時間の軽減措置がなされていると思われるが,都道府県によりかなりの開きがあるようである。

○  主任の持ち時間数については,例えば,生徒指導困難校の生徒指導主事は他の教員の半分ないし6割くらいまで減らしているところもあるが,一般の高等学校においては一般教員との差をつけない学校もある。平等主義が強く,もう少し軽減してもいいのではないかと考えている。
  校長も子どもたちとの接点を多くすることには賛成である。しかし,それには教頭を増やしたり,主任も授業を少し減らして,管理的なことに関われるようにすれば,校長,教頭も含めて子どもをみる余裕が出てくるのではないか。
  児童生徒の教育活動は教諭がやるから,校長は管理だけやれというような奇妙な分業は不適切であり,健全な学校経営スタッフを作れば,校長,教頭ももっと子どもに関われるのではないか。

○  続いて教員以外の専門的職員の配置の在り方について意見を伺いたい。これについては,養護教諭,学校栄養職員,学校事務職員,新しく配置されたスクールカウンセラー,心の教室相談員等が挙げられるが,これらを含めて意見を伺いたい。

○  養護教諭については,免許法改正の時に大分手を入れている。以前はティームティーチングは構わないが,単独で授業をできないということであった。保健の授業とか心の健康に関して専門的な指導をしていただくのは非常に大事だが,養護教諭としての本来の仕事に支障のないようにしなければならない。

○  養護教諭の各学校での役割が大変大きくなっている。今回の学習指導要領で小学校においても保健の学習の学年が下がっており,今後ますます養護教諭の役割は大きくなると考えられる。是非複数配置の基準を下げて,どこの学校でも養護教諭を活用した学習展開が可能な状況を作る必要性を感じる。
  学校栄養職員については,今後,食に関する指導がどのような場面でどの程度の頻度で学習展開されていくのか。いずれにしても,これから総合的な学習の時間の中で健康を考えていくときに,食に関する指導は大変重要な位置を占めるものと思われる。学校栄養職員は単独実施校の場合は599人以下は4校に1人の定数算定なので,小規模校の単独実施校では実際2校ないし3校を兼務している状態である。その中で例えば,兼務のうえにさらに食に関する指導が求められるということであれば算定基準の改善が必要ではないか。

○  中教審の答申において,学校の事務の効率化として,共同実施とかセンター的な組織づくりが提起されており,この点を踏まえて具体の事務職員の配置について検討すべき。
  学校事務職員は学校においては少数職員であり,その閉鎖性の打破のために教育委員会事務局あるいは一般部局との人事交流によって,活性化,キャリア形成,資質向上を図りたいという要望が強い。その際,身分の切り替えによる義務教育費国庫負担制度上の問題はないのか。

△  教育委員会事務局との人事交流によって事務局の職員になれば,国庫負担の対象外職員となり,その身分の切り替えによる国庫負担金への影響はない。

○  事務職員の場合,1人でいいのかという問題はある。高等学校程度の人数がいればある程度の仕事ができるだろうが。センター的組織とか共同実施については中教審の時も大分議論もあった。

○  専門的職員については,それぞれが原則一人配置になっている。しかし,養護教諭の場合,その専門性としては従来型の応急処置を行うといったものから,心のケアあるいはヘルスカウンセリング的な資質が求められてきている。また,日頃からの子供の把握や授業における保健指導等も必要となってきているが,現実には問題のある学校ほど養護教諭は保健室を離れられないのが実態である。養護教諭の職務が拡大され質的に違ってきたことを踏まえて,複数配置と併せて遊軍的配置を考えられないか。

○  学校栄養職員についてもかけ持ちが多く授業を担当しにくい。また,共同調理場方式をとっているところも多く,現場を離れて学校には行きにくい。専門的職員については大規模校等,特に中学校における複数配置と遊軍的な配置を考える必要がある。

○  市立高等学校では首長部局と事務職員の交流が行われるが,義務教育の場合,事務職員の業務はどの学校においても同じパターンであること,他との比較の機会が極めて少ないこと,チェック体制の問題等を考えると,もっと幅広い経験,実務研修ができるような人事交流が是非必要と思われる。そのことによって,財務や会計など幅広い力を身につけ,校長の学校経営スタッフとしての一翼を担えるようになることが考えられる。

○  高等学校における養護教諭の複数配置については,学級数だけではその必要性は判断できない。従来型の養護教諭の職務であれば,学級数や生徒数で判断できるが,新たな需要については,生徒の質,実情によって学校の状況は異なっており,中には養護教諭がいないと機能しない学校もあると聞いている。このようなことから高等学校においては,学校の実情に応じた柔軟な養護教諭の配置が必要と考えている。

○ 教職員免許法の改正に先立って,養護教諭が授業を担当するのはいいが,その間,保健室が空になるのは困るという議論があった。養護教諭が教壇に立つことが本当に有益である学校と他の教員でも対応が可能な学校があると思われ,複数配置を考える際には学校の実態に応じた配置を考えるべきである。

○  保体審の答申において,養護教諭にカウンセリング的な職務が求められているが,アメリカのカウンセラーとスクールナースの関係と比較して,養護教諭に負担がかかりすぎていないか。スクールナース的な面だけなら,標準法どおりの数でよいと思われるが,カウンセリング的な部分の必要性に伴い,養護教諭の配置の問題が際立ってきている。養護教諭の配置を拡充していくのは結構なことだが,スクールカウンセラーの配置と合わせて全体で考えなければならない。心の教室相談員との関係も含め,職務分担,授業への関わり等中味についても検討すべきではないか。

○  養護教諭とスクールカウンセラーは,その供給源や専門的な背景がかなり違う。現在,スクールカウンセラーと心の教室相談員は調査研究委託ということだが,将来的なことについてはどのように考えているのか。

△ スクールカウンセラーの将来的な位置付けについては,まだ調査研究中で結論は出ていない。その在り方については,学校外から入ってくる専門家ということに意味があるのではないかと考えているが,それとは違って,常勤化,学校職員としての位置付け,定数措置などといった様々な意見もある。
スクールカウンセラー,養護教諭,心の教室相談員はそれぞれの専門性があり,若干オーバーラッピングもしているが,枠組みとしてはその役割分担は整理されている。

○  スクールカウンセラーと生徒指導主事や一般教員との役割分担及びスクールカウンセラーという言葉の定義を明確にする必要があるのではないか。
  また,学校事務職員を増やすことや主任の専任化等の問題,教頭の複数配置等については,いずれもいかに事務処理を効率よく片づけるかということに関わっているが,そうすることにより学校全体として何を目指すかということの方がより重要ではないか。

○スクールカンセラーについては,教員や保護者つまり大人に対しての相談が主流になっている学校のほうが,子どもと直接接している学校よりもどちらかというと効果を上げている。子どもと直接接している学校では,生徒指導の教員がスクールカンセラーに任せっきりになっていたり,学校との連携がうまくいかないという問題が生じている。
  臨床心理士という専門職であるスクールカウンセラーは,教諭が悩んでいる生徒指導のことや保護者が悩んでいることについて専門的な第三者として関わっていける。そのことが充分に尊重されれば,生徒指導に役立てることができる。また,教員の資質向上すなわち,カウンセリングマインドを育てることにもつながっている。
  基本的な学校の在り方として,教員は学力の確保ができ児童生徒がより良い学校生活が送れることになればよいということだが,その中におけるスクールカウンセラーの関わり方としては,校医と同様に専門職としての指導力を持つことが必要と考えている。また,スクールカウンセラーの有資格者は少なく,養成システムも同時に考えなくては全校配置は極めて難しい。

○  思春期における義務教育の在り方については,今まで配慮が非常に足りなかったのではないか。これまで,学校では生徒を一方的に中性的な者として捉えてきたが,小学校高学年以上の指導に当たっては,例えば,男性教員が女子の教育相談を行う際には女性の養護教諭が同室するなどの配慮が必要である。
  子供の心の問題に対応する場合には,学校現場の中で補える教員や専門職,特に女子に接する時は養護教諭や栄養職員を活用できないか。小学校高学年や中学校の児童生徒の意識と学校現場の子どもを中性的に捉える意識とのギャップが出てくる時代になっていると考えられ,配置の配慮が必要である。

○  養護教諭,栄養職員,事務職員を含めたスタッフの校内における位置付けを明確にしておく必要がある。それぞれの役割を明確にすると同時に,意思の疎通やパートナーシップがないとうまくいかない。これからは,学校内外のチームの教育の時代で,学校の外とのタイアップが必要になってくる。外に開くためには内側がきちんと開かれていなくてはならない。学校内におけるサポーティングスタッフと教員との関係をしっかりとさせておく必要がある。加配の問題も学校の課題に対応するための加配を申請し,その必要性を認めて加配する方法も考えていいのではないか。
  ヨーロッパでは,学校のことは教員だけで処理するのではないという発想がとても強く,事務スタッフ,カウンセラー,地域のボランティアも含めて学校の教育活動,とりわけいじめの問題などには一致して当たるような体制が組まれている。学校教育における役割分担並びにパートナーシップという体制づくりも考えておく必要がある。

○  養護教諭,学校栄養職員,事務職員,スクールカウンセラーといった専門的スタッフの配置の必要性が言われているが,全国一律に置くものと学校の実情に応じて置くものとを分けて考える必要があるのではないか。特に養護教諭については,学級数や児童生徒数を基準とした一律の配置ではない方法を考えるべきではないか。

  (4)教育関係団体ヒアリング対象団体の日程等が了承された。

5  次回以降の日程 
    次回第10回は,5月21日(金)の午前10時から文部省5階の5B会議室において開催すること及び第11回は5月24日(月)の午前10時から通産省9階の902会議室において開催すること並びに第12回以降の会議日程の確認がなされた。
    第12回  6月  8日(火)午後
    第13回  6月21日(月)午後
    第14回  7月  9日(金)午後
    第15回  7月23日(金)午後

(教育助成局財務課)

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