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「高校生の就職問題に関する検討会議報告」(平成13年2月1日)

はじめに

  進路指導は、生徒一人一人の夢と希望を育むとともに、生徒が自らの生き方を考え、将来に対する目的意識を持ち、生涯にわたって豊かな自己実現を図ることのできる能力・態度の育成を目指して指導・援助する営みである。しかしながら、近年の不況及びこれに伴う経済・産業の構造改革が進む中、高校生を取り巻く雇用情勢はかつてなく厳しい。また、こうした先行き不透明で夢が育ちにくい時代を背景に、若者の世界に漠然とした閉塞感や無力感、モラトリアム傾向やフリーター志向の広がりが見られるなど、高等学校の進路指導とりわけ就職指導は、大変難しい状況を迎えている。
  このような中で、生徒の職業的成熟の遅れや就職に対する意識や構えに弱さが見られること、希望する職業がなくイメージ・知名度・勤務条件による会社選びに終始しがちであることなど、職業選択における現実との乖離や自己理解・職業理解等の不十分さが見られるといった指摘も少なくない。
  さらに、高卒就職者の早期の離職率が高い水準で推移していることをはじめ、少子化等に伴って高校生の進路状況が大きく変化し、大学等への進学率の上昇、就職率の低下といった傾向が、わずか10年足らずの間に著しく進んでいることなど、進路指導をめぐる課題は実に多様である。

  「高校生の就職問題に関する検討会議」は、こうしたさまざまな課題を踏まえ、
(1) 高校生の就職に関するアンケート調査の実施及び調査結果の分析
(2) 高卒就職希望者に対する就職指導及び就職斡旋の在り方
(3) 高卒就職者の早期の離転職及びフリーター志向の要因とその対応策
(4) 高校と企業等との連携・協力の推進方策
(5) 普通科高校を含む高校における職業教育の在り方  等
について調査・研究するために平成11年5月に設置されたものである。

  アンケート調査は、高校3年生及びその保護者、卒業生、学校の進路指導主事及び担任、企業人事担当者の合計約7,000人を対象に、平成12年2月から3月にかけて実施し、調査の実施や結果の分析は、本検討会議にワーキング・グループを設けて検討を行った。
  本検討会議においては、9回の会議及び5回のワーキング・グループを開催し、調査結果等を踏まえながら、高等学校の就職に関する指導、生徒・卒業生の就職意識・活動、現行の就職に関する慣行(選考開始期日、一人一社制、指定校制、校内選考等)等の実態や課題について幅広く分析・研究するとともに各方面からの意見を聴取し、今後の改善の方向について精力的に検討した。

 

(初等中等教育局児童生徒課)

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