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21世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究協力者会議

2000/09/04 議事録
21世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究協力者会議 (第4回)議事要旨

21世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究協力者会議 
(第4回)議事要旨 

   
1.日時  平成12年9月4日(月)14:00〜16:00 
   
2.場所  虎ノ門パストラル  菊の間 
   
3.出席者 
(協力者)安彦(忠)、安彦(ひ)、飯田、池田、岩上、上野、江草、大南、河合、小森、瀬尾、高、高木、中野、西嶋、野崎、細村、三浦、三上、宮崎、村田、森の各氏  
(文部省)御手洗初等中等教育局長、玉井審議官、徳重高等学校課長、池原特殊教育課長、今井特殊教育企画官、鈴木視学官、吉富特殊教育課課長補佐ほか関係官  
   
4.議事内容 
(1)事務局より配付資料の確認があった。                     
(2)座長より、今後の審議の進め方、報告素案を非公開とすることについて説明があり、了承された。 
(3)事務局から、報告素案の第2章及び第3章の朗読が行われた後、フリートーキングが行われた。主な意見は以下のとおり。 
   
(素案の「第2章  就学指導の在り方の改善について」の審議) 
○  第2章(3)の早期からの教育相談についての記述は、特殊教育への導入を促すために早くから保護者の理解を図るという雰囲気がある。2〜3歳の場合は、教育相談というより障害に関する発達相談であることを踏まえて書き方を工夫してほしい。  
○  教育相談は、就学先の決定だけを目的とするものではなく、障害のある子どもを正しく理解し、どう受け止め、どう育てるかを目指していることがわかる表現にしてほしい。  
○  就学に関することについては、市町村教育委員会が一番重要な役割を担うことになるが、昭和53年10月6日付け文部省初等中等教育局長通達(文初特第309号)が失効したことにより、学校教育法施行令第22条の3に示されている基準だけでは、市町村によって、盲者等の判断等に差が生ずるのではないか。国として、地域格差が生じないよう各市町村教育委員会が具体の就学相談、就学指導を進めるための標準となるものを示す必要があると考える。  
○  個々の事例について、市町村教育委員会の判断、学校側の受入れ体制、保護者の意見が一致すればいいが、くい違う場合、「例外的に」「慎重に判断」の具体的内容をもっと明確にすべき。  
○  例外的に小・中学校に措置することができるということは、法令で定められている以外に市町村の判断により例外を設けることができるものなのか、法令そのものに例外的なことを示すのか明確でない。法令原則主義であれば、法令自体に具体の例外規定を示さなければ、例外的な行為を行うことは困難ではないか。  
○  実態としては、例外的に小・中学校への受入れを行っているところがある。例外的に小・中学校に受け入れる場合の問題はどのような内容の教育を行うかである。身体障害は、施設のバリアフリー化で対応できるが、重度の心身障害や情緒障害については、授業そのものが成り立たない場合もある。  
○  国として例外的な取扱いを認めることはこれまでと大きな違いである。アカウンタビリティの観点から、子どもにとって果たして教育上の効果があるのかを確認する必要がある。例外的に受入れた後、子どもに対し指導した結果の教育的効果を確認するシステムが重要である。  
○  就学指導に当たって保護者だけでなく、本人の意向をできるだけ尊重してほしい。このため、本人に対し十分な情報を提供することが必要である。  
○  就学指導の結果に対する第三者の調整、調停機関を整備しておく必要があるのではないか。また、子どもの意見表明を尊重することも重要である。  
○  本人や保護者の意見を尊重することは重要だが、通常学級に障害のある子どもを単に受け入れることを目的とする見直しは本末転倒である。むしろ就学後の教育効果の評価とフォローアップも含めた検討が必要である。  
○  障害のある子どもの教育の考え方には、障害を改善・克服するために訓練をすればいいという考え方ではなく、子どもの持っている特性・能力を最大限に生かすという理念があることから、障害を治すという観点ではなく、環境、支援体制を整え、子どもの持っている能力を社会参加・自立に結びつけていくという考え方が必要である。  
○  就学指導において保護者の理解を得るためには、特に、人的、物的支援が重要であり、都道府県教育委員会の市町村教育委員会への支援が極めて重要である。  
○  特殊教育の情報を広く普及するために、教育相談情報の流通を促進するネットワークの構築、事例集、ビデオ等の作成とともに、今後は、インターネットを利用した普及も考えるべきだと思う。  
    
(素案の「第3章  障害のある児童生徒等への教育的支援の在り方について」の審議)  
○  昭和53年の「軽度心身障害児に対する学校教育の在り方研究調査会」の報告の中においても、「通級による指導」や「専門の教師の巡回による指導」を提言しているように、巡回による指導も一つの支援ではないか。  
○  ボランティアについては、障害児・者がボランティア活動によってサポートを受け、生活を充実させることも重要であるが、障害児・者もボランティア活動を積極的に行うという視点も必要である。  
○  障害のある子どもの中には、IT技術を活用することによって、通常の子ども以上に不可能を可能にできると考える。  
    99%の盲・聾・養護学校に教育用コンピュータが設置されているという調査結果があるが、現場を見るとコンピュータが老朽化している。むしろ、最新の情報技術を活用して企業と協力した仕組みづくりを提言すべき。  
○  「生きる力」というのは、知識、技能が先行して、態度の形成がおろそかにされる感がある。態度を含めて「生きる力」なので、そのような表現にしてほしい。  
○  近年、高等教育機関における障害者の教育を受ける機会の拡充が図られつつあり、入試においても受験特別措置等様々なことが行われている。高等教育への受け入れについても触れていただきたい。  
    
(素案の第2章・第3章、全体にかかわることの審議)  
○  学校だけでは、これからの教育をカバーすることは難しいという基本的な認識がある。障害のある子どもについても、ノーマライゼーションの考え等を含めて地域や学校、保護者など社会全体で子どもたちをより手厚く育てるという方向を明らかにし、学校そのものが社会の教育力を使い、子どもたちを育てるという考え方が重要である。  
○  日本では、中度・重度の知的障害を中心としてスタートしたため、障害の種別というものが、あまりにも強すぎたのではないか。欧米では、どういう支援を行うことができるかという視点から対応している。  
○  様々な提言をしているが、それに伴う支援ができなければならない。特に主要なものについては国としての見通しをもって都道府県・市町村教育委員会を支援してほしい。  
○  21世紀の特殊教育の在り方についてどのような新しい面がでてきたのか、21世紀の特殊教育をどうしたいのかを明確に示し、理解しやすい報告にすべき。  
○  盲・聾・養護学校には、特殊教育に関する専門的な知識、技能をもった教員がかなりいることは確かであるが、盲・聾・養護学校の教員が、小・中学校の教員に上から指導するというのではなく、相談に応じるという姿勢を示す必要があるのではないか。  

(初等中等教育局特殊教育課)

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