幼児教育の振興に関する調査研究協力者会合 (第3回)議事要旨 |
幼児教育の振興に関する調査研究協力者会合(第3回)議事要旨 1.日 時 平成12年4月6日(木)14:00〜16:30 2.場 所 文部省3A会議室 3.出席者 (協 力 者)近藤座長、秋田、幸田、小宮、佐藤、柴田、杉田、野崎、羽田、松村、宮本、無藤、谷地の各氏 (文 部 省)御手洗初等中等教育局長、玉井大臣官房審議官(初等中等教育局担当)、有松男女共同参画学習課長、月岡小学校課長、小松幼稚園課長、角田幼児教育企画官、神長教科調査官ほか関係官 (意見発表者 )田中向南幼稚園長 (オブザーバー)清水厚生省児童家庭局保育課長 4.議事内容 (1)事務局から配付資料の説明が行われた後、羽田協力者から、幼稚園と小学校の連携・交流について意見発表があった。 【羽田協力者意見発表要旨】 ・小学校と幼稚園の連携・交流の意義として、現在は兄弟が少ないうえ兄弟間の年齢差も少ないので、児童・幼児にとっては人間関係を拡げる場になり、活動を充実させることができる。 また、教師・保護者にとっては、子どもの成長を知ることができ、時期にあった接し方、指導の仕方を学ぶことができる。 ・児童と幼児の交流の実例としては、運動会や学芸会等の行事を通しての交流、生活科の学習への幼稚園児の参加を通しての交流、幼小併設校での日常の遊び場を通しての交流などがある。 ・教職員の連携・交流としては、小学校・幼稚園間の情報交換、行事等の共同作業、幼稚園教員の小学校の授業への参加、専科教員の幼稚園への参加を通しての交流などがある。 ・保護者の連携・交流としては、小学校・幼稚園共同の行事での協力、PTA活動への協力、兄弟関係のつながりによる交流などがある。 ・反省点としては、児童・幼児の交流が行事中心で「点」の交流になりがちであり、線や面の交流にならなかったこと、小学校側、幼稚園側のそれぞれへの不満の解消が難しかったこと、併設の小学校以外の小学校との情報交換が不十分だったことなどが挙げられる。 (2)羽田協力者の意見発表を踏まえ、意見交換が行われた。主な意見は以下のとおり。 ○小学校から見る幼稚園と、幼稚園から見る小学校の差の大きさを感じる。特にしつけについての意識の差が大きい。 ○幼稚園と小学校の交流の場が、単に小学校について学ぶ場になっているのではないか。自分が行く小学校との交流に限定せず、幅広く異年齢の交流の場と考えるべき。 ○小学校低学年の教員が幼稚園免許を持っていると有効だという話を聞くが、両方の免許を持っている人はまだ少数である。 ○幼稚園と小学校で連携したカリキュラムを作るのは難しいが、計画を立てやすいのは生活科である。 ○一方で、幼稚園と小学校の教員は、それぞれ独自に教育計画を立てたいと考えている。 ○本格的な幼小連携のためには、小学校低学年の教育課程の根本的な検討が必要。 ○幼稚園の園児と小学校の児童のそれぞれに適した環境は違うはず。 ○幼稚園から小学校に進むときの緊張感も大切。あまり接続をなだらかにし過ぎるのも良くない。 ○現在の教員養成の在り方、教育実習の在り方について検討が必要。 (3)秋田協力者、田中向南幼稚園長から、幼稚園の教育活動・教育環境の充実について意見発表があった。 【秋田協力者意見発表要旨】 ・教師の専門性をめぐる理念の転換について 保育技術・知識重視から実践重視への転換、保護者への対応など幼児教育センターとして求められる専門性、3歳児保育や障害を持つ子どもなど多様なニーズに応じられる専門性、生涯の発達や学校教育への見通しを持った保育などが求められており、それに応じた教員養成・研修システムの変革が必要である。 ・園内研修の充実について 「ティーム保育=複数担任」という狭い捉え方ではなく、共に「振り返り」を行うなど様々な関与過程を含めてティーム保育を広く捉えることが必要。 園内研修は、各園独自に発達しており、固定的になりがちである。個人の保育を反省する研修から園全体の環境システムを考える研修への転換、新規採用研修を軸にした園内研修の充実、研修支援教材、記録・評価方法の充実などが必要。 ・行政の役割について 公立・私立の合同研修、保育所や小学校との合同研修、地域の幼稚園間のネットワークの構築、小学校の専科教員等の専門家との連携促進などが求められる。 内容面においては、技能伝達型の研修から演習による探求型の研修への転換、単発型研修から長期継続型研修への転換、現代の多様なニーズに応じるための研修の実施等が必要。 また、園長・教頭・主任などリーダー層の意識革新を促す研修、職能研修とは異なる自由選択型研修等が求められている。 ・保育者養成教育の充実について 養成機関の教育課程・内容の充実、養成機関教員の意識改革、養成機関と実習機関の連携等が必要である。 【田中向南幼稚園長意見発表要旨】 ・複数担任制の取組の紹介 幼児一人一人にきめ細かな対応をするため、全てのクラスで複数担任制を実施している。一人の担任で少人数学級とするより、複数担任で30人程度の学級とする方が良い。 保育者を多くすることにより、園内に目の届かない範囲がなくなり、全ての園児を把握できる。また、園外に出かける時に安心である。 保護者は複数担任の方が安心する。保護者が安心することは、保育がうまくいくための大切な要素の一つである。 複数担任制のデメリットとしては、経験豊富な教員が副担任となると若い担任が伸びないことがある。ただし、保護者は経験豊富な副担任がいる方が安心する。保護者が安心することは、保育がうまくいくための大切な要素の一つである。 教員数が多いと欠勤が増えたというデメリットもある。また、担任・副担任の相性が合わないこともある。 (4)これらの意見発表を踏まえ、意見交換が行われた。主な意見は以下のとおり。 ○幼稚園を変えていくためには、指導者の意識改革、指導者に対する研修が必要。 ○学級の幼児数を国が基準として定めることはもはや不要。学級経営は各学校で創意工夫し、国は、教員1人あたりの幼児数を定めれば良い。 ○ティーム保育をする場合、担当する教員間の意志疎通・共通理解が重要。子どもを観察し、他の教員にそれを伝えることは大変難しいが、それだけの力量を持つ人材が不足している。そのためにも教員養成の充実が必要。 ○教員の資質向上のためには、中学生・高校生の時代から資質のある者を養成するようなシステムが必要。 ○少なくとも3歳児には、担任の他に副担任を付けるなど、設置基準の改善が必要。 ○あまり1学級が少人数であると、人間関係が固定化してしまうおそれがある。 (5)第4回の会合は、4月24日(月)に開催することとした。 |