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時代の変化に対応した今後の幼稚園教育の在り方に関する調査研究協力者会議

1997/09/16 議事録
時代の変化に対応した今後の幼稚園教育の在り方に関する調査研究協力者会議 (第15回)議事要旨

  時代の変化に対応した今後の幼稚園教育の在り方に関する調査研究協力者会議(第15回)議事要旨



1.日  時  平成9年9月16日(火)10:00〜12:30

2.場  所  文部省5A会議室

3.出席者
  (協力者)新山、小川勝音、小川博久、近藤、齋藤、塩、柴崎、立原、田中、真山、無藤、森、森上、飯長、山岸の各委員
  (文部省)土居課長、茂垣幼児教育企画官、小田視学官、神長教科調査官、ほか関係官

4.議  事

(1)事務局より配布資料の確認及び説明があった。

(2)「道徳性が芽生える教育の在り方」について次のような意見発表があった。

○  道徳性には、正しいか否かは大人が決めるというように、大人から怒られるかどうかにより道徳性を捉える他律的道徳性と、これをより発展させ、正しいか否かを自分で考え、他人との関係において相互に同意されるかどうかにより道徳性を捉える自律的道徳性がある。
  子どもは大人が常に正しいと思っているので、大人から怒られることが悪いことであると考えるというように他律的道徳性をもつが、自律的道徳性を培い、自分で考えるようにさせることが必要。
  自律を促すためには、大人と子どもの関係が服従関係でなく、子どもが自ら考えるような相互的関係になることが必要。つまり、子供に選択、決定する機会を与えること、可能な限り罰を避け、望ましくない行動を子どもがした場合でも子どもが自発的に変えられるようにすることが重要であり、罰を与えなければならないときでも何が悪かったのか理解させることが必要。
  さらに、子どもの自律的な判断を促進するためには、大人による働きかけが子供にとって何がよくて何が悪いのか、なぜそうなるのか考える助けになることが必要。その際、子どもの感じたことを確かなものにし、子どもがそれまでにとらなかった視点を提供して、自分が何をやったのか子どもが気づかないことに気づかせることが重要。  
  子どもの道徳的行動への動機付け、つまり、よいことをしようと思わせるためには、i)子どもが周りの人から尊重され、自己尊重感を持っていること、ii)周りの人たちも正しい行動をしているというように、集団全体が公正に働いているといった状況であることが必要。    
  思いやりの気持ちを培うには、i)子どもが周りの人から暖かく接してもらうこと、ii)  周りの大人の行動が子どもの思いやりの気持ちに影響を与えるということから、周りの大人がモデルになり、思いやりの価値を伝えること、iii)子どもに思いやりの行動をする機会を与えて、喜び、誇りを経験させること、iv)暖かくお互いが配慮する集団を作っていくことが必要。

(3)意見発表を踏まえ次のような議論があった。  

○  子どもを抑えつけ一方的に教えこむのではなく、自ら考えさせていく教育を理想として、実践と結びつけていくことを考えていくことが必要。

○  よい悪いの判断は条件により変わり、判断がうまくできないその境目をどうするかということが道徳的な行動や思いやりの問題ではないか。

○  例えば、蟻を殺したときにはどう対処するかというように、実践においては道徳的によいことか悪いことかを判断することが困難な場合があり、このような問題についても考える必要があるのではないか。

○  教師と子どもの関係が平等、相互的な関係であるべきという考えも理解できるが、友達のような関係になることには弊害があるのではないか。

○  心の教育の在り方については、幼稚園のみならず家庭における教育も深く関与するのではないか。

(4)論点整理メモについて次のような意見があった。

○  新規採用教員研修の指導者の資質を高める観点から、指導者の研修を行う必要があるのではないか。

○  障害児に対する研修が少ない。障害は多様であり、障害に応じた研修を配慮する必要があるのではないか。また、幼稚園教育の基本を理解していない園長が多いことから園長研修を充実させる必要があるのではないか。

○  特に私立幼稚園での新規採用研修に関しては、それぞれの都道府県において公私立の協議会を設け、お互いの意見を尊重し合い、研修体系・内容を充実させることが必要。

○  各都道府県に幼稚園専任の指導主事を置き、指導主事と各幼稚園との連携が密接に図られることにより、幼稚園教育が充実するのではないか。

○  ティームティーチングを行うためには、教師同士が話し合いを基に幼児理解を共通にして協力関係をつくっていくことが必要である。また、ティームティーチングについて実践的な研究を通して検討することが必要ではないか。

○  集団の中で一人一人を大切にしていくためには、学級全体の動きを視野に入れながら、子どもを理解し援助する指導を考えることが必要。また、遊びを中心とする保育では教師がよく見えない子どもに対して目配りをできるような動き方や援助の方法を考えていくことが必要。

○  現在、現職教員が大学院で研修を受けられる制度があり、この研修参加者が地域の幼稚園教育の核となり、教育内容の向上にもつながっていることから、現職教員の大学院での研修の充実を図る必要があるのではないか。

○  幼児理解を深めるには教師自身が自己評価するとともに、教師同士が評価し合える関係となるよう相互啓発、相互研修が必要。

○  公立幼稚園教員の人事異動の際は、それぞれの園のもつよさが引き継がれ、地域の信頼が得られるよう配慮する必要があるのではないか。

○  地域の人や社会人などを園外から招き、指導者として活用することも必要でははないか。

(5)事務局より今後の予定について説明があった。

  次回  10月3日(金)10:00〜12:30 


(初等中等教育局幼稚園課)

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