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時代の変化に対応した今後の幼稚園教育の在り方に関する調査研究協力者会議

1997/06/05 議事録
時代の変化に対応した今後の幼稚園教育の在り方に関する調査研究協力者会議 (第11回)議事要旨

   時代の変化に対応した今後の幼稚園教育の在り方に関する調査研究協力者会議(第11回)議事要旨


1.日  時  平成9年6月5日(木)10:00〜12:00

2.場  所  国立教育会館203特別会議室

3.出席者
  (協力者)新山、小川勝音、小川博久、近藤、齋藤、塩、柴崎、立原、田中、羽豆、真山、無藤、森上の各委員
  (文部省)遠藤審議官、土居課長、若生幼児教育企画官、小田視学官、神長教科調査官、ほか関係官

4.議  事

(1)事務局より配布資料の確認があった。

(2)中間報告案について以下のような議論があった。
○  心身の健康の中には、命の尊重の意味を込めた方がいいのではないか。また、ボランティア精神は、必要だが「喜びを味わえるような体験を積み重ねながら、ボランティア精神の芽となるような温かい心を涵養していく」など幼児期の発達を捉えた方がいいではないか。

○  しなやかな体の動きを身につけるために何かをするのではなく、体を十分に動かすことによってしなやかな体になっていくと捉えることが必要。

○  今日、子どもたちの間で問題となっているいじめなどの事件を考えると、「命の大切さ」というものを理解することの重要性を、もう少し入れた方がいいのではないか。

○  家庭全体が夜型になり、食生活のリズムが変化し、生活のリズムが大きく崩れることによって、子どもの生活が変化してきていることを踏まえると、「食生活を中心とする生活リズムの変化」と言った方がいいのではないか。

○  「地域の文化・行事に触れる体験の機会を日常の保育の中に取り入れる」とあるが、行事だけでなくもっと日常的なものの中にも取り入れられるものがたくさんあるということがわかる表現にできないか。

○  「高齢者とかかわるなど」のところは、高齢者だけでなく、世代間交流という意味でもう少し広く書いた方がいいのではないか。

○  少年自然の家などを利用する際に宿泊をともなう場合、多くの幼稚園に養護教諭がいない状況で、幼児の健康、安全面での問題はないのか。

○  かなりの少年自然の家には健康や安全を管理する職員がおり、幼児が安全に遊べる施設もあるので、すべてを幼稚園だけでやらなくてはならないということではない。幼児の自然体験を深めるためには、むしろ、連携していくことが大切。

○  「知的教育」を「学ぶ力の源泉となり生涯学習の基礎」と位置付けているが、それに関して、具体的に遊びの内容が変わったりするのか。

○  知的な教育というのは以前から行われており、子どもが感動し、疑問を持ち、驚くという本当に内発的なものをしっかり位置付けながら遊ぶことが知的活動である。新しくつけ加えていくというよりは、今やっていることを位置付け、整理することが知的教育である。

○  「学力の基礎を形成していく」とあるが、学力を狭い意味にとられる可能性があるので、「生きる力の基礎」とした方がいいのではないか。

○  幼児期の発達の特性に応じたきめ細やかな対応について、今後、現行の幼稚園教育要領の配慮事項として示すことが必要と考えられるが、どのような方法で示すのか。

○  現行の幼稚園教育要領では留意事項が非常に簡単に書かれている。特に近年3年保育の実施が増加の傾向にあるが、3歳児に対する指導がその発達の特性を十分に踏まえていないという問題点が指摘されている。この意味でも配慮事項については、幼児期の発達の特性がイメージできるようにていねいに記述することが必要ではないか。

○  「幼児期の発達の課題を達成することにより」とあるが、一人一人の発達の課題という趣旨で「発達の課題」を使っている現行の幼稚園教育要領と矛盾が起こるのではないか。

○  「幼児期の発達の課題を達成することにより」という文章を「幼児期の発達にとって重要なことがらを経験することにより」とすれば、趣旨は変わらないと思う。

○  「幼児をとりまく世界の諸々の事柄に対して感性を開いていくことが大切」のところで、「感性を開く」という部分は知性を開いていく部分もあるのではないか。

○  知性の基盤が感性なので、感性を開くことで知性が開かれると考えている。知性と感性を並列するとまた別の誤解を生むと思う。

○  「親しい人との会話だけでなく、それ以外の人と話をして」という表現は、幼児はまず最初に親しい関係の人とコミュニケーションをとるという前提が抜けてしまう恐れがあるので、「親しい人との会話だけでなく、やがてそれ以外の人とも」というように発達的な表現をした方がいいのではないか。

○  「かっとしたり諦めたりせず」という表現は、かっとする幼児はだめかのような誤解を受けるので、ある時期はこういうことがあるということがわかるような表現にすることが必要。

○  小学校との連携で、具体的な幼稚園への要望を出しているが、すべての小学校にあてはまるわけではないのではないか。

○  「地域に開かれた幼稚園づくり」の記述部分は、語尾が「期待される」ばかりで、教員の負担が増えるかのような印象が強いので、地域社会の後押しがなければ難しいというような文言を記述する必要があるのではないか。

(3)事務局より今後の予定の説明があった。 

(初等中等教育局幼稚園課)

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