時代の変化に対応した今後の幼稚園教育の在り方に関する調査研究協力者会議
1996/10/15 議事録| 時代の変化に対応した今後の幼稚園教育の在り方に関する調査研究協力者会議 （第２回）議事要旨 |
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時代の変化に対応した今後の幼稚園教育の在り方に関する調査研究協力者会議（第２回）議事要旨 １．日 時 平成８年１０月１５日（火）１０：００〜１２：００ ２．場 所 文部省５Ａ会議室 ３．出席者 （協力者）明石、新山、小川勝音、小川博久、近藤、齋藤、塩、柴崎、立原、田中、羽豆、真山、森、森上の各協力者 （文部省）遠藤大臣官房審議官、土居幼稚園課長、若生幼児教育企画官、小田視学官、神長教科調査官ほか関係官 ４．議 事 （１）事務局より配布資料の確認の後、幼稚園教育の現状について説明があった。 （２）幼稚園教育の現状について、次のような議論があった。 ○ 現行の幼稚園教育要領は幼児期の発達をかなり明確に捉えているが、幼児期を中心に焦点を当てていることから、小学校以降の子供の発達との連続性が必ずしも明確ではないため、保護者を含めた社会全体に対して一層の理解を促していくことが必要。 ○ 心身の発達、知的教育、人間関係、自然体験など様々な側面から、幼児期の発達が小学校以降の教科、学校生活等とどのように結びついているのか明確にしていくことが必要。 ○ 幼稚園における遊びの中で子どもは自分の世界を作り、豊かな遊びをしているが、集団で遊ぶことにはあまり慣れていないように感じる。これは、これまで教師の役割が不明確だったことや指導方法の開発が不足していたため、学級全体の活動が必ずしも十分には行われてこなかったことに原因があるのではないか。 ○ 幼稚園と小学校の連続性を考える場合、３〜５歳児を一つの単位として捉えるのではなく、５歳児はむしろ小学校低学年に近いものと考えるなど幼児の発達の状況に応じた考え方が必要。 ○ 預かり保育を行うに当たっては、教育時間や教員の勤務時間、安全管理の問題など今後十分に検討していくことが必要。また「預かり保育」という用語はあまりいい言葉とは思えないので検討が必要ではないか。 ○ 保護者の意識の中では幼稚園か保育所かということよりも、実際に何時まで保育が可能かということに大きな関心がある。このような保護者のニーズに的確に応えていくように弾力的な対応が必要ではないか。 ○ 保育の経験から子供が集中できる時間をみると教育時間は４時間程度が適当であり、預かり保育を行うにしても単純に時間を延長するのではなく、様々な工夫を凝らした保育の内容を考えていくことが必要。 ○ 幼稚園教育界は伝統的に「教師が幼児を一斉指導する」という側面からのみ集団活動を捉えているが、本来、集団活動とは単に集まって活動するということではなく、共同作業やものと関わることを通して生まれてくる「子ども同士の内的なつながり」を基礎として形成されるものという観点から理解されるべきではないか。 ○ 「集団活動」を行う場合には、いわゆる一斉保育ではなく、子ども自身の主体的な活動から生まれてくる集団の在り方を大切にしていくことが必要。 ○ 子どもの経験として集団活動は極めて重要な要素であり、そのような体験が必ずしも充分ではないということは幼稚園教育における重要な問題のひとつである。 ○ 集団活動というのは本来必ずしも画一的な活動ではないが、幼稚園教員の意識の中にはその考え方が定着している。実際に保育を行うにあたって反省すべきところは反省していかなければならない。 ○ 一般的に「集団」とは「クラス」を意味し、集団行動がとれるということは、じっと座り、周囲に合わせることができるような子どもを育てるという意味に捉える傾向が強い。ところが、幼稚園における「集団」とは通常「グループ」のことを意味し、子どもはそのグループの出入りを繰り返しながら、他者との関係を築いていくものである。このように「集団」という言葉の捉え方が異なっているにも関わらず、混同しているところに問題があるのではないか。 ○ 幼稚園では全員で行う活動よりも一人一人で行う活動を重視しているが、少子化やそれに伴う幼稚園の小規模化などの進展の中で、多くの友人と触れ合う機会を幼稚園が意図的に提供していくことが必要なのではないか。 ○ 学級全体の活動を意図的に行うことは一人一人を大切にした保育を行うことと矛盾するものではないが、教師の経験不足などの影響により、それが実現されていないところに問題がある。 ○ 集団活動を重視するということは、以前行われていたような一斉保育に戻るということではなく、子ども一人一人を大切にし、子どもたちの間にお互いが必要な存在であるということを十分に認識させることのできる教育を行っていくことを意味しているのではないか。 ○ ５歳になれば共通の目的意識を持った活動ができるようになるものであり、集団での活動は年齢の違いに応じて考えていくことが必要ではないか。 ○ 子どもにとって大切なことは人と人とのつながりを自発的に作りあげることではないか。 ○ 幼稚園における集団形成とは、まず、子どもが自分の興味や関心のあることを発見することにあると思う。子どもが幼稚園で興味のあるものを発見し、それに集中することによって友人とのコミュニケーションを築いていく。その中で生じる様々な葛藤を乗り越えることによって、小学校入学以降の円滑な友人関係を築いていくのではないか。 （３）座長より今後数回にわたって協力者からの意見発表及びそれを踏まえた自由討議を行う旨諮られ、了承された。次回は「小学校以降の学習の基盤となるものの育成の在り方について」をテーマとすることとなった。 （４）座長より「幼稚園教育に関する実態調査」を行うことについて諮られ、了承された。 （５）事務局より、次回の開催予定が報告された。次回は、１１月１９日（水)１０：００〜１２：００文部省５Ｂ会議室を予定している。 |