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情報化の進展に対応した初等中等教育における情報教育の推進等に関する調査研究協力者会議

1998/01/12 議事録
情報化の進展に対応した初等中等教育における情報教育の推進等に関する調査研究協力者会議 (第17回)議事要旨

     情報化の進展に対応した初等中等教育における情報教育の推進等に関する調査研究協力者会議(第17回)議事要旨

1  日  時    平成10年1月12日(月)10:00〜13:00

2  場  所    文部省5B会議室

3  出席者
 (協    力    者) 赤堀,安彦,加藤,清水,鈴木,中村,長澤,永野,波多野,松野,美馬,棟方,渡邉の各協力者
 (文    部    省) 河村中学校課長,太田中学校課課長補佐,松田教科調査官,田中マルチメディア調整官,原教育財務企画室長  ほか関係官
 (オブザーバー) 吉川 通商産業省 機械情報産業局情報処理振興課課長補佐,伊東 郵政省 通信政策局政策課課長補佐,三田 自治省 大臣官房情報管理室課長補佐(代理 熊谷事務官)

4  議  事
  (1) 第15回の議事要旨は特段の意見はなく,原案どおりとする旨の確認があった。
  (2) 事務局から配布資料の確認及び報告が行われた。
    〈報告事項〉・平成10年度 情報教育関連予算案について(太田中学校課課長補佐)
                    ・課整発v画について
                    ・教育分野における課整発・p促進に関する懇談会の設置について(原教育財務企画室長)
(3) 情報教育を推進するための条件整備に関する,これまでの意見を整理した配布資料を基に意見交換が行われた。

主な発言は以下のとおりである。

1.インターネット,情報通信ネットワーク

○  財源は地方交付税で措置されているが,計画的に整備される保証があるのか。インターネット接続計画の接続形態はどのようなものを想定しているのか。LANなのか。回線数の増設は考慮されているのか。
(事務局)  地方交付税は利用項目が決められていないので,その活用には学校や教育委員会の自主性が必須である。回線は,アナログ回線をデジタル回線に切り替えると2回線になるので,そのうち1回線をインターネット用とする。LANは地方交付税措置に含まれていない。今後の状況をみながら,事業を広げていく予定である。

(主査)  JPNICの,学校用ドメイン名に関する公開アンケートがあり,是非必要であるという内容の回答を入れてある。

○  JPNICの学校用ドメイン名関係は,文部省としてこのままの取組でよいのか。社会一般的に必要性は認識されているようなので,文部省内に受け入れ体制を整えるなどの,準備をしなければ,対策は先に進まない。JPNICの対応が現実に行われれば,今後,ドメイン名の付け方についてのガイドラインが必要だ。文部省などで指針を作る必要があろう。    また,インターネットの接続の仕方についても,プロバイダに対して一定の機能的なガイドラインが必要であろう。2003年までにすべての学校をインターネットに接続するという方針が示されたことにより,インターネットの学習活用について,学習指導要領上に具体的な活動を掲載すべきだ。そのための研究や,事例の収集や提案が必要である。また,学習成果を発表する公的なイベントも行われるとよいだろう。

○  まず,授業で遠隔教育を日常的に導入することが重要である。

○  教員の資質の向上が重要である。教員が日常的に使い込むツールにならなければ教育には普及はしない。また,地方交付税措置では,実際に予算が確保されていない現状も問題である。活用場面についても,具体的な事例を教員に明確に,数多く示す必要がある。
  また,学区に一人(本当は,各学校に一人)は,ハード面のサポートができる人材の配置が必要である。
    インターネットの学校での活用は,プライバシーの問題なども含めて教員が勉強している時間が不足している現状を考えると,はじめは閉じた形のネットワーク活用からやっていきたい。

○  教員同士のコミュニティー形成が必要であろう。単なる事例集だけでなく,そのための環境整備は,教員同士が議論・交流できるような電子会議室的な機能を考えるべきだ。

○  情報を共有する,具体的なメリットを示すなど,先生方にネットワークを使ってもらうための工夫が必要である。単に授業に限定せず,学校経営,管理運営など,学校教育活動全体での活用を具体的に示すべきだ。

○  インターネットをカリキュラム上で生かすことも大事だが,ある特定の子供たち(例えば,特殊教育諸学校の子供たち)にとって,非常に役立つ側面があるので,その点についても強調しておく必要がある。

○  予算上の教育総合情報センターの整備は,何を整備するのか。

(事務局)  国立教育会館のデータベース,ハード面の整備である。

○  単に,地区に一人のハード的なメンテナンスができる人材がいても不十分である。情報環境を整備する人材を,教員養成も含め,職業としても生き甲斐を感じられるような,教育現場での明確な位置づけの必要がある。加えて,同職者間のネットワーク整備も必要だ。
  ネットワークの運用には,作業的なこと,創造的なことなど,研究的,開発的なことが必要になる。単に,ハードや教材を配布するだけでは円滑に運用されないので,ナショナルセンターを設置し,専門家が本職と兼任で参画する研究プロジェクトを活用するなど,従来とは違う対応が求められる。

○  単なるインターネットの接続だけでは不十分だ。教育課程上で情報教育と関係づけることが必要である。
  海外子女のネットワークなどでも,接続はしているが,活用は特定の学校に負担が集中している。対応として重要なのは,ITコーディネータの配置である。せめて教育センターにだけでも配置する必要ある。
  また,オンラインだけではうまく運営できないので,対面で議論できる,運営協議会を設置し,諸問題点へ対応する必要がある。

○  閉じたネットワーク(イントラネット)の方が,学習効果は出てくるのではないか。また,各教員が開発した教材を相互利用するための情報収集・提供の組織づくりや,学校間の調整を行う組織づくり,学校内の共同利用体制の整備が必要である。

(主査)  次の論点に移りたいので,その他のご意見については,今月中に電子メールなどで事務局に意見を寄せてほしい。
  また,インターネット活用のための,学校・地域・家  庭での環境づくり対策や,日本におけるインターネット利用の切り分けが,この資料のような3つの分類でよいかについても是非ご意見いただきたい。
2.教育用コンピュータの整備
3.学校の情報関連施設・設備
4.ソフトウェアの開発・整備

(主査)  これらの点に関する本協力者会議第1次報告への,一般からの反響は大きかった。
ソフト開発については,情報教育に特化した教科だけでなく,他の教科の学習を支援するという立場も必要である。情報教育全般を推進していくためのソフト開発が望まれる。

○  教育ソフトの評価体制はあるのか。また,教育用ソフトのみではなく,文部省としての副教材のガイドラインはあるのか。

(事務局)  評価については,以前検討を行った経緯があるが,国が関与してソフト自体の良し悪しを評価することに対して,関係団体から反対の意見があった。現在は,ソフトに関する情報提供体制の整備,具体的にはソフトウェアライブラリーの設置などに重点を置いている。

○  図書や映画の「文部省推薦,選定」はどのように行われているのか。教育用ソフトウェアの評価体制も,それと同様の扱いにできないのか。

(事務局)  文部省内の評価委員会という組織で審査,協議しており,審査結果はすぐに公表される。

○  コンピュータは,子どもたちが気軽に触れることのできるフリースタイルの分散配置が必要だ。
  プロジェクターとは大型提示装置のことか。ツールとしては,紙や鉛筆などの非電子物も並列して表記しておいた方がよい。
  また,教材作成は,先生だけが行うのではなく,生徒も作成できる環境を考えてはどうか。

○  図書館も今後,情報センターとして整備されていく。これに伴い,司書のような,ITコーディネータの配置も必要である。

○  コンピュータの整備計画の想定は,集中型か分散型か。現状では,分散型が進んでいるのではないだろうか。周辺機器の整備も重要である。
  学校では,子どもたちが使いだすと,教員も使わざるを得ない。教員が必要性を感じれば,導入や活用は飛躍的に伸びるはずだ。
    また,メディアについての専門家であるコーディネータの配置が必要であり,その観点で今後学校図書館は,情報の窓口として,メディアコーディネート資質のある図書館司書を配置するような考え方への変換が必要である。
○  学校内ネットワークの整備について記述しておく必要がある。その具体的な方法として,無線LANという方式についても触れておいたらよい。
  文部省の「教育用ソフトウェア開発事業」について。産学協同のよい仕組みであるが,委託決定から開発までの期間が短期すぎ,よく練り上げた製品ができない。また,すべてのソフトに全く同じ金額の補助というのも,必ずしも適切ではない。予算も縛りがあり,使いづらい。この事業をより良く機能させるためには,以上のような点を検討・改善し,文部省の予算で開発し,助言もしているのだから,開発された製品に,文部省推薦のような形も検討してほしい。

(主査)  他にもご意見あると思うが,今月末までに,事務局に寄せてほしい。
  整備関係については,平成11年までの整備計画で実施されているが,平成11年度以降はどのような整備計画をすればよいのか。集中型,分散型という配置方法や,情報教育,既存教科のための整備とも関係づけて提案してもらいたい。
  教育用ソフトについても,情報教育のためと既存教科のためという別々の観点から整備のあり方や検討のあり方を提言してほしい。


5.情報教育の指導体制について

○  テクノロジーコーディネーターは是非配置してほしい。
  教員の研修後,個人的な成果収得にとどまっており,成果が学校現場に生かされない。
  そこで,特別な環境だけでなく,やればできるんだという教員の意識改革のためにも,学校への出前研修は重要な役割がある。

○  文部省主催の「新任校長の研修」の中に,情報教育に関する研修内容も組み入れた方がよい。

○  大学の教員養成カリキュラムに情報教育への対応が進んでいない。どんな教員の資質が求められているのか,教員免許基準を明確にしなければ,早急な取組はなされない。

○  教員の研修成果が評価されていない。
  機器の操作のみでなく,教科指導での活用中心の研修に,研修体制の立て直しが必要だ。

○  研修効果が広がらないのは,学校教育でまだコンピュータが必要とされていないからだ。教員に,便利だと実感させるべきだ。小学校レベルでは,直接的な情報がより重要である。情報活用能力の育成は重要であるが,小学校段階ではそれを中核におく程の位置づけではない。
  一方,子どもの方が機器への順応は速い。子どもが使っているのを見ると教師も必要性を認識できる。
    現在小学校では,個々の学校での設備だけではなく,動物園や博物館など既存施設での直接体験的な授業に取り入れている。これは教育に非常に有効なので,情報教育についても,子供と教師が一緒に勉強できる場が教育センターなどの中にできるとよい。

○  知識を与えるという形式の研修が多いのではないか。教師が主体的に学べるような研修が必要である。
  外部人材の活用については,単に,技術だけを提供するのではなく,教育に関する専門的知識も必要である。したがって,教師と技術者が同時に研修できるような場が必要ではないか。教育的視点と工学的技術の融合ができる研修を実施すべきだ。
  本当の意味で,教育にメディアを生かしていこうと思えば,メディアの特性を理解してもらう必要がある。

○  平成15年から新教科「情報」が設置されるのであれば,教員免許の与え方,養成の方法を検討し,具体的に明示する必要がある。

○  企業では,プレゼンテーションの仕方を研修される。そのような内容も教員研修に入れる必要がある。また,研修は内容も重要だが,教員間の意見交換の場という役割も重要である。教員に「教育」というものが変わっていくという実感を。

(主査)  ありがとうございました。本日の議事はこの辺で終了したい。追加のご意見があれば,今月中に事務局あてに電子メール等でお願いする。
  また,次々回会議以降からはまとめの作業に入っていく。次回会議では,関係分野からのヒアリングを行ってはどうかと考えるので,具体的な希望があれば主査か事務局にお申し出願いたい。


(事務局)  次回会議:第18回  2月9日(月)  14:00〜16:00
                            文部省5B会議室  
                            出欠の連絡は今月中に。 

(初等中等教育局中学校課)

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