情報化の進展に対応した初等中等教育における情報教育の推進等に関する調査研究協力者会議
1997/11/10 議事録情報化の進展に対応した初等中等教育における情報教育の推進等に関する調査研究協力者会議 (第15回)議事要旨 |
情報化の進展に対応した初等中等教育における情報教育の推進等に関する調査研究協力者会議(第15回)議事要旨 1 日 時 平成9年11月10日 (月)10:00〜13:00 2 場 所 文部省5B会議室 3 出席者 (協 力 者) 安彦,天笠,加藤,清水,鈴木,中田,中村,長澤,永野,松野,美馬,渡邉の各協力者 (文 部 省) 太田中学校課課長補佐,田中マルチメディア調整官,原教育財務企画室長 ほか関係官 (オブザーバー) 吉川 通商産業省 機械情報産業局情報処理振興課課長補佐,村松 郵政省 通信政策局情報通信利用振興室課長補佐,三田 自治省 大臣官房情報管理室課長補佐(代理 熊谷事務官) (意見発表者) (社)日本教育工学振興会 関口一郎 常務理事 (財)コンピュータ教育開発センター 岡本 昭 常務理事 (財)学習ソフトウェア情報研究センター 安立 喜四造 常務理事 日本教育ソフト協議会 深山 照 理事長 4 議 事 (1) 第13回の議事要旨は特段の意見はなく,原案どおりとする旨の確認があった。 (2) 事務局から配布資料の確認及び説明が行われた。 (3) 前回会議までの主要な意見を確認し,各協力者に訂正・追加等の意見の提出が要請された。 (4) 事務局から教育用ソフトウェア関連4団体の紹介及び参考資料の説明,引き続いて各団体からの意見発表,協力者との意見交換が行われた。 主な発言は以下のとおりである。 資料3(「コンピュータ・ネットワークの教育利用の在り方,学校における情報関連機器・設備の整備」について,主な意見を論点ごとに事務局で整理−第14回議事要旨を参照)をもとに事務局から説明があった。 (主査) 本日は議事の都合上,資料3に対する訂正・追加の意見は21日(金)までに,事務局あてにメールで送信してほしい。 本日はソフトウェアに関する検討を進める。事務局と相談して教育用ソフトウェアに関し活動している4つの団体からヒアリングを行うため,各団体代表の方にお越しいただいている。まず,ヒアリングの前に事務局より資料について説明願いたい。 (事務局) −ソフトウェアに関する資料の説明− (主査) それでは,(社)日本教育工学振興会 関口一郎 常務理事からお願いします。 (社)日本教育工学振興会(JAPET) 関口一郎 常務理事 昭和57年設立,教育工学の立場から教育方法の開発に貢献している。組織は理事会の下に各種委員会,そのひとつとして教育ソフトウェア研究開発委員会があり,昭和60年から文部省の委託事業を受けて活動している。 教育ソフトウェア研究開発委員会は,良質の教育用ソフトウェアの開発,学校へのスムーズな供給を目指し,4つの研究部会に分けて,調査研究活動を行っている。 第1部会:マルチメディア教育ソフト研究部会では,新しいマルチメディア型のソフトウェアを研究対象に,教育上の課題や開発・技術上の問題,著作権の問題などを検討している。 第2部会:教育ソフト情報提供研究部会では,学校,教育センターへの市販ソフトウェア情報の提供の仕方を検討している。以前はパソコン通信の情報提供だったが,現在はインターネットでの情報提供の在り方について検討を進めている。 第3部会:教育ソフトウェア品質研究部会では,教育現場に良質のソフトウェアを提供するために品質基準を設定し,ガイドラインにまとめ,提供する側での自主的表示が推進されるよう活動している。 第4部会:情報教育整備調査研究部会では,コンピュータを中心とした情報教育に関する整備状況や運営などの現状について調査・分析し,課題点の整理,提言を進めている。 今後の課題としては,i)学校や教育委員会への情報提供の体制化。ii)教員や教育委員会が良質のソフトウェアを選択するためのソフトウェア評価事業の体制化。iii)学習活動への活用のアイデアを紹介する実践事例集の学校現場への提供。iv)教員トレーニングの体制化があり,i)〜iv)の課題への円滑な取組には,情報収集・提供のための組織づくりが必要だと思われる。行政と団体を取り込んだ組織というのはなかなか難しいが,国からの支援体制を考えてほしい。アメリカではこのような組織が現実に機能しており,日本でも是非必要だと思われる。 (財)コンピュータ教育開発センター(CEC) 岡本 昭 常務理事 昭和61年7月に設立された。我が国におけるコンピュータ利用促進のための基盤的技術を研究開発し,コンピュータ教育に関して普及啓発することを設立目的としている。 昭和62年にソフトウェアライブラリができ,平成4年からエネルギー環境教育用ソフトウェアの開発,平成5年から文部省の中央研修の中の「中学校の情報基礎講座」にJAPETと共に実施協力,平成6年から,文部省の情報技術者等委嘱事業に協力している。また,3年前に100校プロジェクト,今年からは新100校プロジェクトを展開させている。 研究開発事業について,「エネルギー環境教育用ソフトウェア」第1作目がシミュレーション型だったのに対して,第2作目は,写真や動画などを取り入れたマルチメディア型ソフトウェアで,小学校高学年から中学生を対象にしたものであり,希望する学校等に配布している。教科横断型のソフトとして開発した。強調したいのは,子どもの主体的な活動を支援したということである。 平成9年度の事業として,ネットウェア上の教育用ソフトウェアの共同作成と利用に関する調査であり,JAVAなどのウェブ上で作成できるか,その方法や課題などを調査するものである。学習用プレゼンテーションシステムの開発は,将来の高速回線を利用した共同学習の実践のためのものであり,これらは新100校プロジェクトでの高度化技術への実験である。障害のある児童生徒のネットワークへのアクセス技術ソフトの開発・調査も行っている。 「学習用ソフトウェアの改善開発等研究委託事業」として,平成7年度には「教育用ソフトウェアの情報提供事業に関する調査研究」,平成8年度には「情報処理技術者等学校外の人材の有効活用に関する調査研究」,平成9年度には「コンピュータ活用実践授業のための研修カリキュラムの在り方について」を行っている。 情報処理技術者等委託事業は文部省が平成6年度から取り組んでいるものであるが,この事業を支援するために,情報処理技術者等に関する情報を企業から収集してデータベースを構築し,教育委員会等に提供している。 研修カリキュラムでは,コンピュータの活用と教員研修というのが2つのキーワードとなっている。文部省の調査でも,操作できる教員というのは約50%,指導できる教員というのは,約20%である。その原因を現在議論している。コンピュータを活用した授業の仕方が分からない教員が多く,授業の実践について解説することが必要なのではないだろうか。どのような教材やソフトウェアを取り上げると,有効な研修ができるのか検討している。校内研修の在り方が大切なのではないか。また,文部省主催,情報処理教育に関する高度な専門的知識をもつ指導者を養成する「情報処理教育担当教員等養成講座(専門コース)」においては,「各種ソフトウェアの紹介」を行っている。 ソフトウェアライブラリー運営については,賛助会員の協力により,国内外の教育用ソフトウェアと最新のパーソナルコンピュータ等の整備を進めている。市販教育用ソフトウェアを2500本そろえており,今後の国際化・情報化に対応しようとしている。以上が事業の概要である。 今後の課題は2つととらえており,1つはネットワーク,もう一つは教員研修である。インターネットの世界では光と影の部分があり,フィルタリングシステムのソフト開発が課題である。もう一つの校内研修については,小学校では教科担任がないが,中学校では教科担任制であり,壁がある。SEの活用については,教育センターや学校内へ派遣する企業SEと教員等の権限の線引きが難しく,派遣SE事業の体系化を図る必要がある。 (財)学習ソフトウェア情報研究センター (学情研) 安立 喜四造 常務理事 昭和63年に発足した財団である。主に自作ソフトの全国への流通及び活用方法の研究開発を行っている。事業の大きな柱としては,学習用ソフトウェアの収集・提供,奨励・普及,調査研究の3本であり,審査員会,流通委員会,情報提供委員会の3委員会を設置している。本日は,「教育用ソフトウェアに関する事業の現状と課題」に絞ってお話ししたい。 I 自作ソフトウェアの収集等 1.収集の方法としては,「ソフトウェアコンクール」を開催。今年度は114点の応募があった。内容では数学,理科がほとんどで,以下国語,社会と続く。OSはMS−DOSが約半数,Windowsが30%である。応募者は教員が半数であり,このうち単独での開発が46件,グループでの開発が8件となっている。 研究開発組織についての傾向は,i)応募する学校・教育委員会が固定化してきている。応募層の広がりを望んでいるが,なかなか難しい。ii)教育センターを中心とした地域ネットワークを活用したソフトウェアの研究開発。指導主事や,地域内長期研修員,各学校の研究協力開発員が中心となり,開発者と使用者が情報資料をやりとりし,学校と密接に関わる開発ができる。iii)インターネット使用による個人的な研究開発交流。教師が単独開発,ウェブ上で公開し,一般からの意見収集を行う。今後はiii)型がますます増えるであろう。 2.マルチメディア教材素材データベースの制作 全国の教員で22のグループを編成している。これまでは任意テーマで素材を収集していた。現在1万2千件が登録され,地区版,全国版がある。今年度からは伝統文化・工芸などの共通テーマも加えていく予定である。 3.流通登録数 登録本数は平成9年3月末現在,1,035本である。自治体内の流通に限定されている,著作権関係がクリアーではない,などの点から登録本数が増えないのが現状であり,問題点でもある。 II 普及奨励 教材開発を支援するものとして,「マルチメディア教育利用講習会」や「教え合い講習会」を開催している。 III 教育用ソフトウェアの情報提供に関する課題 必要な情報が必要な人のところに届いているか。様々な情報伝達手段はあるが,印刷物に頼っているのが現状であるが,最近はインターネット活用を前提とした報告がなされてきている。情報提供手段としてはインターネットが最適である。しかし,情報の内容,形態及び情報収集,更新頻度の方法についてはまだ未成熟であり,情報提供の体制づくりやそれに伴う費用の問題,予算の確保が今後の課題である。 日本教育ソフト協議会 (ソフト協) 深山 照 理事長 教育用ソフトをビジネスとして扱っている会員からなる任意団体である。会員が良質の教育ソフトを開発し,情報教育の中で役にたつ普及啓発活動をしていくことを設立目的とし,今年で13年目を迎えた。研修や事例集をインターネット上で検索可能にした。 I 学校向け教育ソフトウェアについて 10年前は教師自作ソフトが80%だったが現在は比率が逆転し,市販ソフトが80%を占めている。 活用の仕方に問題がある。中学校では技術・家庭科の「情報基礎」でかなり活発に活用されている。熱心な教員がいる場合は,理科・数学でも利用されている。だが,ソフトの購入者のうち他教科の教員は,実際には使用していない場合が多い。小学校では教科の壁がないので,多種多様な使い方がなされている。高等学校では,職業課程の生徒の,汎用ソフト使用が大半を占めており,普通課程の生徒は,受験対策に追われて使う余裕がない。 こういった状況が5年以上続いている。日本の教員は,指導要領に記載してあれば熱心だが,記載されていないと取り組みが鈍いのではないか。 日本教育新聞の調査によると,コンピュータ整備の予算取りは,指導主事が中心になっている場合が多い。現場の先生はソフトウェア用の地方交付税措置を知らないことが多い。つまり,望ましい予算取りが行われていない。 アメリカの現状は,CD−ROMの数はあふれているが,内容のレベルはそれほど高くはない。「内容のレベルをあげるにはどうすべきか」,「カリキュラムの中にレベルの高い組み込みをするにはどうすればよいか」という討論がなされている。日本でもこの2つは問題になっている。 米国はGRANTという奨励金制度を行っている。1テーマについて1億円程度の予算がつき,100件を募集する。この数字は教育ソフトをいかに大切にしているかの現れといえる。 導入率は一般家庭へのパソコンの普及率も45%と高い。子供が学校で使っており,PTAも熱心で,ボランティア活動の導入も進めている。購入費の援助もあり,家庭でも学校でもパソコンが必要不可欠という認識は高い。 日本と米国との大きな違いは,日本では受験にコンピュータは邪魔であるとみられるところ,米国では景気回復に情報産業の貢献があり,これを一つの国家事業と考えているところにある。 II 家庭向け教育ソフトウェアについて 受験問題集のような非常に目的を絞ったもの,学校向けのものを家庭向けに再編したもの,エデュテイメントは外国版の翻訳物が大半を占めている。マルチメディアになってから,百科事典の電子版コンテンツものも多いが,売れない傾向にある。毎月12億の赤字になっている流通メーカーもある。パソコンも売れずに市場が冷え切っている。教育ソフトのメーカーでも,家庭向け,学校向けと得意分野が分かれるが,いずれにしても家庭用のユーザーが増えることを期待している。 III 教育用ソフト開発の課題 アイデアはあるが,作っても売れるかが不安である。是非,次期指導要領の中にはパソコンを使う文言を具体的に表記してほしい。そうしなければ5年たっても,10年たっても現状は変わらない。海外の教科書を見せてもらったことがあるが,教科書のページの下の方に,パソコンを使うポイントやアドバイスが書いてある。このように教育内容とパソコンの使用の連動を教科書の中に書いてもらうとよいと思う。 予算措置やSEの活用が大変厳しい。事務方あるいはコンピュータコーディネーターに,コンピュータに関して指導主事と同レベルの権限を与えるなどしないと進展しない。予算がつかないところにソフトを供給することは難しく,企業ビジネスとしては成り立たない。 我々は,世界に伍しても負けない良質の教育用ソフトを作っていきたいと考えている。 (主査) ありがとうございました。まず私から質問させていただきたい。 i)学校では実際にどれくらいのソフトを使っているか。 ii)文部省の委託事業で開発されたソフトがどのくらい使用されているか。 iii)これまではパッケージソフトが主体であったが,今後はインターネット上に載せる教育学習用のソフトウェアが重要になるだろう。ビジネスとして成り立ち,企業がインターネット用学習教材として開発を取り組んでくれるものなのか。学習用教材という視点でもっと別の形で開発していかねばならないのか。パッケージならば購入した人から料金で徴収できるが,インターネットで公開するとどうするのか。ビジネスとしての開発も情報教育の推進のためには必要であると思われる。 各団体それぞれの立場から説明していただきたい。 (JAPET) 学校の環境が50〜60%位しかWindows対応になっていない。文部省の実態調査で調査してほしい。今年度の文部省の学習ソフトウェア研究開発委託事業はマルチメディア対応の新しいソフトを想定している。これらが市場にどのような影響を与えているかはまだ未知数で,もう少し時間が必要だ。ソフトの流通は二極分化している。宣伝力のある大企業のソフトは売れている。だが,中小企業では良質のソフトを作成しても,販売力がない。我々が評価して流通するようにしなければならない。インターネットはビジネスになりにくい。学校は予算がないし,教員は著作権に対する意識が薄い。 (CEC) 環境用ソフトは資源エネルギー庁からの委託事業で,非常に特異な例であり,製品を無料で配布している。ソフトの種類によっても違うが,あるメーカーの話だと,教育用ソフトは2,000本売れないと赤字である。インターネット上の問題は,当センターでもJAVAを皆で勉強し,検討中である。 (学情研) 市販ソフトか,自作ソフトかは,限られた予算の中での選択であり,需要はいずれも激減している。教育用コンピュータの新整備計画開始直後はかなりの需要があったけれども,現在は当時の3分の1程度である。インターネットに公開することについては,開発者に研究開発の段階から参加してもらうことも大切で,費用の点はやはり難しく大きな課題である。 (ソフト協) 当協議会が文部省委託研究事業で開発した製品は1万本以上売れている。十分に吟味して開発しており,約1500の学校で使用されている。成功している事例といえるだろう。 インターネットでのビジネスについては,本協議会でも研究部会を作って討議しているが,ソフトをダウンロードするのは,今の環境では難しい。現在の技術では動画・シュミレーション・3Dというのは載らない。テキストファイルにできるものであれば,少し仕様を変えて提供している。CD−ROMの内容をインターネットで流す要望はあるが,現在はCD−ROMの発注を受けることだけはできる。数年すれば,流通を経由しなくても普及させられるのではないか。ただ,日本の産業構造上,流通を通さないことは難しいのではないか。 ○ 学校の先生方は,4団体が提供している有効な情報の存在を知らず,現在はマニアの先生方しか活用していないのではないか。情報教育を普及させていくには「テクノロジーコーディネーター」が重要である。「テクノロジーコーディネーター」制度がないのは,先進国の中では日本だけではないか。 ○ 教育用ソフトウェアの内容・目的・活用の構造化はどの程度検討されているのか。授業における活用法が明確になっていない限りは,普及されにくい側面があるろう。 (ソフト協) 我々メーカーはそれぞれコンセプトを持って開発している。教科用ソフト・ツールソフト・コンテンツ的なものを制作しており,その活用は教員次第となっている。教員作成の指導案や事例集を必ず添付している。しかし正直いって,非常に参考になる指導案というのはない。やはり開発段階で先生方からメーカーへ提案があって,産学協同で開発すべきと思う。いろいろな側面から生徒の興味関心を引き出し,創造力,主体的に関わる態度を養う観点でソフト開発をし,新しい教育改革を支援できるものを作っていきたい。 (JAPET) 文部省委託事業を通じ,「学習用ソフトウェア改善開発事業」によって,平成2・3年では,市販学習用ソフトウェアの開発・流通のあり方について,平成4・5年では,学校にどれだけのソフトウェアがあればよいか,量的なガイドラインについて検討,平成6・7年で,学習活動の中での活用の仕方に取り組んだ。また,自主的に「実践事例アイデア集」を作っており,学習指導案も載せて,それぞれの単元での位置づけを表示している。事例集や実践を積み重ね,構造的なものを作っていくしか方法がないのではないか。 (CEC) 学校の中に,教科や教員による壁ができている。まずは,学校の中の壁をいかになくすかが問題である。 ○ 産業として位置付くまでは行政的なバックアップが必要だ。制作後のフォローも考えてほしい。 ○ 先生が必要なソフトをすぐ買えるかどうか検討していただきたい。また,研修会やワークショップなどで,先生方に実践案を書いてもらい,そのソフトの有効性をアピールできるようなビデオを作ってはどうか。購入した後のフォローとして,インターネットを利用した教師同士のコミュニティーづくりをして,そこで一緒に考え合い,高めあっていければ,利用も広がって定着していくのではないか。また,教科書自体をソフトウェアを使うことを前提としたものにかえていく。なお,ソフトだけではなく,野外活動なども取り入れ,活用の仕方・課題の与え方,子供用のシートや絵本,資料集,ビデオなどすべてをパッケージにしたものを作っていくと実践の保証はされるし,そこから発展させた利用もされるようになるのではないか。 (CEC) 子供や先生が「コンピュータを活用する」ためには,校内研修が鍵となると思う。学校の中の壁をなくすには,あるソフトを取り上げ,授業設計するし,実践・演習の形でいろいろな人がみて,議論することが必要だ。 (ソフト協) 教員のほしいソフトがすぐに手に入る制度作りが望まれる。 先ほど出たパッケージの話は,よほどの力がないと,一企業では難しい。官学協同もしくは研究システムを作って活動する必要がある。 ○ 国の研修,情報教育の研修以外でも,4団体の存在の紹介,プレゼンテーションをする機会があれば,もっと活用されるのではないか。 ○ ソフトウェアは教員が必要としてもなかなか購入できない。小学校は種類が多いので,すぐに予算が不足してしまう。現状は,ハードにしてもソフトにしても,大規模校から機械的に導入する。校長会でも話題となっており,そこに4団体の存在を知らせることは非常に有効なことである。小学校にはリテラシー的なことが強く,活用方法には明確・具体的なプログラムが必要である。現状は,ドリル的で,単なるノート代わりに止まっているので,計画的・構造的に,コーディネーターなどとタイアップして,地に足をつけた体制づくりをしなければ,導入は進まない。 (ソフト協) コンピュータの台数や予算などの問題だけではなく,コンピュータで何をするかを,メーカーを含めて共通概念を持つことが必要だと思う。 (学情研) まずは,いろんな事例を先生方にみていただける事例集づくりが大切ではないか。 (CEC) 授業で活用されるための検討が必要である。研修の場などで活用法を考え合い,思考力を育成するソフトとはどういうものか発想を出し合うような取り組みが必要ではないか。 また,平成8年度文部省委託研究開発事業で開発されたソフトは,マルチメディアやインターネットを配慮したものが中心だが,今後は,子供たちが生き生きと取り組める自由度をもったソフトが中心となるのではないか。やはりツールとデータベースであろう。 (JAPET) 教員研修,コーディネータの問題も重要だ。教科の中でどのように活用するか。課程審の中間まとめも出て,ようやく情報教育の今後の方向性がわかってきた。教科ごとに具体的な方針を出してもらうことが大切だ。 なお,ネットワークのコンテンツは予算措置をもって支援していかないと,うまく普及していかないと思う。 (主査) ありがとうございました。非常に貴重な情報,意見をいただきました。 この協力者会議では,第1次報告にもあるように,情報教育としての学習目標として,「情報活用能力」を再定義し,情報教育を推進するという立場である。各教科におけるより効果的な指導をコンピュータやネットワークを使って行うこととは別枠にし,分けて考えている。 情報活用能力を育成するにはソフトウェアは不可欠であり,今後どのように育成していくのか,ハード,ソフト,教員研修を総合的に考えていく必要がある。 特にインターネットによる学習情報の提供というのは今後整備していかかねばならない。組織的に構築していく必要があるが,どうやって組織的なものを作っていくのかというのが我々の課題であると考える。 ソフトウェアの話では,中味もさることながら,授業での教員の使い方が鍵であり,先生用のガイドの充実が必要である。活用の仕方,カリキュラムのことも含めた伝達が必要だ。 本日はどうもありがとうございました。 (事務局) 次回 第16回 平成9年12月1日(月) 14:00〜16:00 文部省5B会議室 出欠の連絡は11月17日(月)までにおねがいします。 |