学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議(令和8年度~)(第1回)議事要旨

1.日時

令和8年7月8日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

対面・オンラインハイブリッド開催

3.出席者

委員

<委員>
奈須主査、伊香賀副主査、垣野委員、倉斗委員、小山委員、斎尾委員、高橋委員、田邊委員、長澤委員、中埜委員、樋口委員、吉田委員

文部科学省

(大臣官房文教施設企画・防災部) 蝦名部長、金光技術参事官
(大臣官房文教施設企画・防災部施設企画課) 瀬戸課長、梅崎企画調整官、宮城課長補佐、桜井専門官、村瀬係員

4.議事録

・事務局より開会の挨拶
・蝦名部長より挨拶
・事務局より委員の出欠について説明
 
議題:学校施設を取り巻く現状等及び今後の検討事項について
・事務局より資料3-1、資料3-2、資料3-3に基づき説明
・議題について意見交換
 
【中埜委員】私自身は建築の耐震構造を中心に研究しており、この観点から貢献できればと考えている。
 
【伊香賀副主査】先ほどの事務局説明の中で少し記載が弱いかと思った点が、カーボンニュートラルへの対応である。既に文部科学省で、学校施設を使用している間の省エネや脱炭素については、様々なガイドライン等が出されているが、直近の状況としては、今国会で建築物省エネ法の改正案が審議中であり、法律の名前も「脱炭素化の促進」が加わった。さらに、建ててから壊すまでどういう建材を使い、どのぐらい長持ちさせて、あるいは新築・解体・新築ではなく、リノベーションで使い続けるということの重要性を含んだ改正が審議中である。この法案審議の前提は内閣官房の会議で、文部科学省の文教施設企画・防災部長も参画されているが、この法案が通ると、2年後から学校施設も説明制度の対象になるということが位置づけられているため、それからあとは、2050年に向けて段階的に強化していくということも盛り込まれており、この辺りも少し意識していただくといいと思った。既に学校施設を評価できるツールも公開しているため、テーマとして扱っていただければと思う。
 
【垣野委員】私は建築計画という、学校計画が研究対象ということで、この会議に参画させていただいている。もうここに参加されている方々が日々感じていらっしゃるとおり、教室の中の話、それに付随した多目的スペースの話、それから小部屋の必要性、そしてそれをICTによってどのようにこれから展開していけるかみたいなことも含め、校舎の中の使い方、必要とされるものがどんどん変わってきている。建築の在り方を含めて、それから家具の重要性も含めて、皆様と御議論していきたいと思っている。
 
【倉斗委員】私も垣野先生と同じ立場での参画になる。本日いろいろたくさん資料がある中でも、資料1の冒頭にあるように、この委員会が教育施設の動向を踏まえた今後の学校施設の在り方を考えるということで、事務局からの御説明でも非常に多岐にわたる論点があった。現状、皆さんも御承知のとおり、建設費のことであったり人材不足ということで、学校施設の整備ということが、いろいろな側面で困難な状況というのを目の当たりにしている。この多岐にわたるテーマのどれ一つを取っても、簡単にいくことではないと思って拝見している。限られた予算、限られた人材、限られた時間というものの中で、我々が何を示していくべきかということ、それが一つの大きな論点になるかと思う。何か新しいもの、建物を造っていくという時代から、うまく利用者のほうが活用して、何とかやりくりしていくという時代も考えていかなくてはいけないとなると、そのようなやりくりや、工夫の仕方みたいな、今まであまり国の方針として出してこなかったようなものを含めて議論する時代になってくるのかなと個人的には考えている。
 
【小山委員】教育委員会で実際の現場での声ということで参画させていただいている。川崎市の状況を説明すると、学校施設の長期保全計画を昨年度改定している。そういった中、例えば庁内の議論の中で令和4年に国で出されている報告等を踏まえて、今回の改定の中でどういったところまで反映をしていけるのか、今後の川崎市の学校の在り方に反映できるのかというところを議論した。建て替え・改築であれば、いろいろ取組ができるが、その間の予防保全であるとか、そういった取組の中ではなかなか全てには対応が難しいというのが実情であった。川崎市自体は、全部で176校学校があり、まだまだ市内人口が減っていない、子供の数もそんなに減っておらず、学校内の余白がなかなかないといった状況の中で、何を優先していくのかというのが非常に難しいのかなと思っている。なので、様々な自治体で建て替え・改築までの間、どのような対応をされていくのかといったところを踏まえ、自治体レベルの工夫や、好事例みたいなものが共有できると、自治体の現場からすると非常にありがたいのかなとは思っている。もう1点、教育委員会の中で教員の採用の部門といろいろ話をしていると、今、非常に人材の確保が厳しい。そのような状況の中で、もちろん子供が教育を受ける環境、過ごす環境というのは非常に大事かなと思う一方で、教員のためにいかに良い環境を用意するか、働き方改革というところの観点も含めて、そういった観点での施設の在り方といったところも大切にしながら御議論いただけると良いのかなと思っている。
 
【斎尾委員】私は垣野先生、倉斗先生と同じ建築計画出身で、どちらかというと都市よりも農山漁村地域などを対象とした研究をしている。一つ、今考えているのは、公立小・中学校は学校だけでは成立しないこと。高校は少し圏域が違うので異なるが、公立小・中学校は特に学校だけでは成立しない存在なので、地域社会との関係がなければ、ある意味がない。そのような前提で立てば、全国の多くの学校区は少子化により小規模化していく状態で、都市ばかりを見ていると、大規模校をどうしようという感じになるが、ほとんどの全国の地域は少子化している。これ以上統廃合したところで、地域から学校が遠のいて、子育て世代に選ばれない地域を増やすだけで、結局、小規模化してしまう。なので、小規模の学校を魅力的に運営するというモードシフトみたいなものが、日本の少子社会の中では必要じゃないかなと思っているところ。それからもう一つ、私が気になって一番問題だなと思っているのは、大量の老朽化校舎である。今、調査させていただいている小学校では、酷暑で去年9月に平日で1日しか外に出られなかった。普通教室だけに冷房が入っていても、そこに閉じ込められるという状況になってしまうので、やはり老朽化校舎の状況は相当ひどいという感じがする。敷地内にすてきな学校園であるとか、たくさんの地域社会との関係とかをつくっていても、普通教室に閉じ込められるみたいなことになってしまうため、酷暑対策は相当大変なことになってきたなと考えている。
 
【高橋委員】教育学部におり、普段は教員の養成に関わっているが、私の研究の興味としては、デジタル学習基盤などを生かした授業づくりになる。また、東京都の教育委員会の委員もやっているため、たまに学校施設の話題であるとか、学校の教育行政全般の話を伺うこともあるという立場である。私からは、特に学習指導に関わる点で、少しコメントさせていただきたいと思う。先ほどの説明にあったとおり、次期学習指導要領に向けた基本的な考え方の最初の2つ、学びの高度化、多様性の包摂、これが同時に進んでいくというのが今後の学校の姿なんだろうと思っている。そのように考えていくと、子供一人一人を中心として、例えば学習内容とか、学習時間とか、学習場所が個別化していくしかないと考えている。このようなことの実現の可能性の確保を支える意味で、GIGAの端末があると思うし、学校施設としてどうするかということで、本会議の重要な役割があると認識している。さらに、近年ではAIの存在も重要で、先ほどのところにはAIという言葉がなかったが、私も様々実施をしており、子供一人一人の学習の個別化・個性化を非常にパワフルに支えて、今までにはないような学習環境をつくってくれていると思う。様々な個性や様々な理解段階の子供たちを、本当に強力に支援してくれていると思っている。もう一つ、AI時代で検討すべきことは、AIによって資質・能力観の変化を求められるのではないかということである。考えが明確な問題は全てAIが得意であるから、明確な学習目標を書けば書くほど、AIが全部回答してしまう。そのようなときに、基礎・基本は大事だとして、それ以上のことは、電卓に任せるようにAIに任せるようになるかもしれない。いずれ素手で東大の入試問題を正解できるような人は、今で言うフラッシュ暗算をあっという間にやってのける人みたいな特異な人とみなされるようなことになるのではないかと考えていくと、例えば概念的理解とか、本質的な理解を追うようになる。そうすると、議論したり体験したり、様々な活動をしたりして自分なりの概念を形成していくような、そういった学習活動を保障する空間が必要になるのではないかと考えているところ。また、調整授業時数制度とか、高校の体制の柔軟化などがあり、さらに校務支援システムが諸外国のレベルに高度化することがもし可能になれば、必要な学習に応じて、必要な教員と必要な場所を柔軟にマッチングできるようになるという世界が待ち受けているように思う。同じ大きさの教室を均質に並べるような施設ではないかもしれないと。こういったことは、中長期的になるかもしれないが、学級・時間割・教室という3点セットの大前提の検討から、次期学習指導要領の理念を実現していこうと考えれば、個別化・個性化は避けられず、それに応じた建物というのも徐々に検討していく必要があるのではないかと考えているところである。
 
【田邊委員】私は全国市町村教育委員会連合会という教育委員会の立場で参加しており、その観点でお話をしたいと思う。まず、これから望ましい学校、次世代の学校というのはこうあるべきだ、そのためにどのような学校施設の環境であるべきだという望ましい姿はイメージしつつも、なかなかそのような望ましい姿に追いついていかないという実態があるのが、今の学校の現状だと思っている。学校にも様々な違いがあるため、一様ではないという実態もある。なので、令和4年の取りまとめでは望まれている姿について示されているが、どの学校もぜひそのような学校施設環境であってほしいというのは強く望むところである。どうすれば望ましい姿に現状の姿から変えていくことができるのか、財源もさることながら、どのようなステップを踏んで望ましい姿を実現できるのかということを、個々の学校に降り立ちながら考えていく必要があると思っている。ということからすれば、学校施設サポーターという制度があるということなので、ぜひ個々の学校に応じて、こういうステップを踏んでいけば望ましい姿を実現できるという何か具体的なイメージが各学校に寄り添いながらつかめるような、そのような手だてが具体化していくことが望まれる。学校の改修だとか、統廃合の議論だとかということが各地で行われているので、ぜひそのようなタイミングをうまく捉まえて、望ましい学校施設が個々の学校で立ち上がるように速やかにステップが踏めるようになれば良いなと思う。視察等も活かして、ぜひ望ましい姿を具体的な場面、具体的な学校に降り立ちながらアドバイスできるような制度が広がっていくことを期待する。また、この会議での議論を聞かせていただきながら、現場にも伝えていきたいなと思っている。
 
【長澤委員】私は建築計画の立場から、教育と施設、地域と学校を総合して、地域ごとに学校の在り方を考えてきた。施設整備の観点として5点申し上げたい。1つ目は、学校施設整備の基本的な考え方として、これまでの改築中心の考え方から、既存再生あるいはリノベというか、今ある施設を地域資源として生かし、今日的課題に応えたものとして再創造するという、発想の転換が必要ではないかということである。すでに長寿命改修として進められているところではあるが、カーボンニュートラルや建設費の問題等と併せて、それを主軸として進めるような仕組みを整えていくことがますます重要になっていると思う。2つ目は斎尾委員も言われたが、全国で少子化が進み、過疎地域では統合、小中一貫校化づくりが急速に進んでいる。適正規模・適正配置論はそのとおりのところがあるが、結果として統合が進むことになっている状況が見受けられる。小規模に対処する手段について、創造的な考え方が必要とされると思う。例えば、小規模校の様子を見ると、教師が一人一人の子供と向き合える、あるいは地域や保護者と一緒になって子供を育てていると実感できる環境の中で、教職を選んだ意味を確かめ、また学校本来の在り方というのをみんなで考え直す機会になっている様子を感じることがよくある。例えばデジタル技術の活用や、地域づくりの中で学校の役割を捉え直すなど、統合以外の手段を可能にする施設の在り方を考えることも必要と思う。3つ目は、学校を構成する諸室・スペースの構成というのを基本的に捉え直すこと。室名の捉え直しと言っても良いかもしれない。学習の場と言えば真っ先に教室となるが、探究学習について、ものづくりや体験と合わせて取り組んでいる学校などでは、教室だけではなく、学校空間全体、相互の関わりの中でそのような活動をどのように実現するか、取り組みを進める様子が見られる。学校を構成する諸室・スペースの従来の名称、概念を超えてその在り方を示すことも有効と考えられる。4つ目は、それを実現する上では、施設だけではなくて、運営と併せて考えること。教師がそこで目指す教育を展開していくための環境を自らつくり出せる自由度と選択性のある施設を、施設運営の仕組みと同時に考えていくことが重要である。例えば、教科担任制の中学校であれば、教科センター方式のような学校運営方式や、高校では、多様な選択制に対して集団・空間・時間を捉え直して、学習空間や生活空間を構成するなど、従来の学校の運営や施設にとらわれない学校空間の在り方について議論していけたらと思う。5つ目は、学校というのは地域の持続性を支える存在だと思う。(芸能文化やあるいは地域材活用など)地域資源というのをどのように生かし、また生かせるようにしながらそれを持続できる施設環境にしていくか、そのような観点からも学校施設の在り方を考えることができたらと思う。最後にもう一点付け加えたい。私は建築の計画で「べき」という言葉は使わないようにしている。すなわち答あるいは学校の姿はその地域ごとにある。規模であったり、文化であったり、個々の条件の特色に応じて個別の姿を求める仕組み、そのような体制を支えるような学校づくりのプロセスや、仕組みづくりができると良いと思う。最後の資料で提案されているような、関係者の参画がどのように進められていくか。それを専門家の持っている知見や総合力と合わせて実現していく仕組みというのをさらに整えていけるとよい。
 
【樋口委員】私は、教育内容、教育方法、カリキュラム等を専門にしている。2つ申し上げたいと思う。まず、この協力者会議に関わらせていただいたそもそものきっかけというのは、小中一貫教育が始まって義務教育学校ができるというときに、学校施設をどうするかという、そちらから関わらせていただいて、今日に至っているという状況である。それについては、小中一貫教育、義務教育学校が10年経ったが、まだなかなかうまくいっていないところも多いということや、小中一貫教育に限らず、保幼小の連携であったり、中高はまた違う文脈で中等教育学校が増えているという実態があろうかと思う。施設面から考えると、今までのいろいろな校種、幼稚園の幼児と小学生、あるいは小学生と中学生が一つの建物の中に入ったときに、どのようによりよい教育ができるかということを改めて考えていく必要があるのではないかなと思っている。ともすると、せっかくそのような良い学校ができているのに、わざわざ小学校の部門と中学校の部門を切り離してとか、そのような形でうまく融合していないというのが、なかなかまだ今、課題としてあるのではないかと思う。特に義務教育の場合、小学校・中学校を一緒にすると、学区の問題が出てくるため、コミュニティースクールの話とつながってくる。コミュニティースクールと言ったときには2つキャッチフレーズがあり、地域とともにある学校づくりというのと、学校を核とした地域づくりということが言われている。私も関わっている中で、どうしても地域のほうが学校をどのように手伝っていくかみたいなところは議論になるが、学校を核として、どう地域づくりをしていくかという部分は、なかなか出てこないというところ。小さい集落になってくると、それをどう考えるかということをこれから真剣に考えなければいけないし、都市部は都市部で、今度は土地がないという問題が出てきて、そこにどういう地域と融合した学校をつくっていくかということが課題になるのかなと思う。例えば、例を一つ挙げると、武蔵浦和というところがさいたま市にあり、先日、入札が不調になった。今も問題になっているということはあるが、それと同時に、あそこは場所がないので、仕方なくかどうか分からないが、義務教育学校にして、さらにそこを、地域の公園の敷地を一部、市民プールがあったところを解体して更地にして、学校用地に充てている。そのようなこともあるので、地域とどういう形で学校施設を位置づけるかというのは、都市部、地方、それぞれ課題があるのではないかと考えている。2点目は、子供たち、あるいは先生、あるいは学生が、どういう形で施設造りに関心を持ってもらえるかということを考えていく必要があるのではないかと思う。特に今日、最後の参考資料で出ていたように、先日のような火災が起きたときに、通常の避難経路とは結果的に違う道を使わざるを得なかったと。それが、今回は犠牲者がいなくてよかった面もあったとは思うが、防災教育とか、そのようなことを考えたときに、子供たち自身が自分たちの学校の中を知って、そこをどのように使っていくのかということを細かく知っていくということが大事かなと思っている。そのときに、文部科学省の中で言うと、防災教育というのは恐らくこことは違う、総合教育政策局の安全課のようなところでやっていらっしゃると思う。なので、そことの関係というか、こちらも私も含めて、あまり知らないところがあるので、どういう形でその施設のことを防災なり安全教育の中に入れていくのかということも、もし機会があれば考えられれば良いかなと思っている。
 
【吉田委員】文部科学省の学校施設に関するこういった協議会の参加は、今から7年前に全国市長会で社会文教委員会の委員長を仰せつかい、また、埼玉県の学校施設整備の期成同盟会の会長という立場があり、長らく出させていただいている。私は自治体の長という立場から参加しており、基礎自治体が一番、教育に関わってやっているというのは、明治以来の我が国の制度である。基礎自治体は本当に様々な課題があり、教育については、自治体の独自の財源ではとてもできるものではない。国、そして都道府県の支援があって初めて、地元における義務教育、特に施設整備については出来ているわけであり、様々な課題があるという立場からお話をさせていただいている。私の元に埼玉県の公立学校施設整備期成同盟会の資料があるが、この中に、これから国に対して要望を行っていこうということで、各市町村からいろいろな要望をいただいている。こんな形で、本当にたくさんの自治体から様々な要望が出ているという状況がある。幾つかかいつまんで申し上げると、まず、財源の確保。これは特に今、補助は補正の予算が多いので、ぜひ当初予算で年度当初から整備計画をしっかりと進めることができるように、十分な財源を確保して、引き続き早期の内示、また交付決定を行っていただきたいと。学校に手を入れるというのは、設備や教育環境を整えるという意味からは、どうしても夏休み等に工事を行うということが多いわけである。こんなお話をすると、ある先生から、工事をしているところを子供たちに見せるのも教育ではないかと。確かにそのとおりだとは思うが、私から言わせれば、理想論かなという感じもするわけであり、どうしても子供たちの学びを確保するためには、夏休みに工事を集中させたいとなると、ちゃんと年度当初から予算がついて、事前にちゃんと内示がいただけないかなと思っているところ。ほかにもかいつまんで申し上げますと、例えば地方財政措置の充実。これはぜひお願いしたいところである。それから、補助要件の緩和。例えば、長寿命化の改良工事等を自治体はしっかり行っているところであるが、屋上防水や外壁改修といったことを併せて実施する要件等をぜひ緩和していただきたいなと。いろいろな規制があって、自治体にとって使い勝手がもっとよくなってもらいたいなと思う案件はたくさんある。地方の実情に応じた柔軟・迅速な整備が可能となるよう、例えばリースだとか、あるいは分割払いを活用した施設整備も対象となるような補助要件の緩和等も、ぜひお願いしたいなと考えているところである。また、新たな教育課題に対応するための国庫補助の充実ということで言えば、少人数学級の実施、特別支援教育の推進等と、外国人のお子さん方も増えているため、多様化する教育内容に対応した施設整備をお願いしたい。これは特別教室や体育館等への空調設備の設置もそうだが、バリアフリー化や脱炭素化の推進等々。そしてまた、それこそ全国市長会でも大変力を入れましたけれども、GIGAスクール。これが始まっており、更新というのが非常に大きな課題である。端末・ネットワーク環境の整備・更新について、継続的かつ十分な財政支援をぜひよろしくお願いしたいなと思っているところである。そして、先ほどからお話が出ている学校の統廃合。埼玉県は、昔は人口が増えている県だということで、あまりこれが大きな話題になっていなかったが、いよいよ学校の統廃合に真剣に取り組まなければならない事態に来ている。我が本庄市においても、令和11年に市内の3つの学校を1つの学校に集約する。その5年後には、5つの小学校を1つの小学校に集約する。そしてまた、その5年後に2つの学校を1つに集約する。なおかつ、人口が維持、少し微増しているところについては、3つの小学校があって1つの中学校区だが、それはそのまま継続すると。ちょっと日本の縮図的なところがあるが、そのような中において、学校施設の統合というのは非常に大きな課題が伴う。例えば、バス通学が必要になってくるわけだが、バスの発着場を整備するだけでも大変なお金がかかる。こういった外構整備もぜひ補助対象にしていただけないかという要望がある。それから、学校の統廃合のみならず、今、暑さ対策ということで、屋外のプールというのは大変暑い時期に使えないという状況があって、どうしようかと。プールの維持というのはものすごくお金がかかるわけであり、我が市では、12の小学校の全員が使える屋内プールを造ろうということで、今、計画を進めている。こういったところも手厚い国からの支援をいただきたい。それから、使用が終わった後のプールの解体も実は大変なお金がかかる。こういったところにも目を配っていただければということを感じているところである。それから、補助単価。これはぜひ引上げをお願いしたい。もちろん引き上げられてはきていると思うが、なかなか実情に合っていないという状況がある。長寿命化改良事業等について、さらなる補助単価の引上げをお願いしたい。とにかく実行時期との乖離が非常に大きいという声も届いており、こういったことにもぜひ力を注いでいただきたいと思う。最後になるが、いろいろと施設の話をさせていただいたが、現場の首長として見ていると、小中一貫、これは理念として私はすばらしいと思っている。これはぜひ進めるべきだなと思っている。まだ幼稚園・保育園を出たばかりの小学校1年生から、大人への入り口にある中学校3年生まで、これが実は同じ学校にいるという環境づくりが将来にわたってつくられるとしたら、私は非常に教育的な効果があるのではないかなと思っている。少子化で、とにかくお子さんの数が少なくなっている。ただ、少人数学級あるいは小規模学校等も良いという話があるが、やはり学校は学級でクラス替えが行われるほうが理想であり、多くの人たちに出会える、多くの人たちの中で人間関係をつくっていく、またある意味、もまれるということも大事である。学校があまり理想的な空間になってしまうと、実社会に出てからポキッと折れてしまうような、そんなことになってはよくない。学校というのは修練の場でもあると思うので、子供たちに適度な修練があって、強くたくましく社会を生き抜いていけるような大人になってほしい。もちろん、いろいろな課題があるお子さんにはきちんとしたケアが必要であり、また、多様化の中で、最終的には一人一人のお子さんが将来自立して生活ができるように仕向けていくのが教育だと思う。ぜひそのような意味では施設整備においても、ただバリアフリーが良いかというと、バリアフリーは必要だが、時にはバリアがあるということも、子供たちの教育にとって私は大事なのではないかなと。耐久性、持久性が身につくような施設造りというのも大事なのではないかなと、こんなことも実は現場で見ていて感じるところである。いずれにしても、学校の施設整備等の在り方ということを不断に考えて、それを文部科学省の皆さん方と一緒に考えながら、特に財政当局に予算の要求をしっかりとしていただくというのは、私は非常にこれをまずたゆまずやっていくことが必要だと思うので、今後ともどうぞよろしくお願いして、御挨拶も兼ねての私からの問題提起とさせていただく。
 
【奈須主査】今、教育のいろいろな変化がある中で、教師が教え導くという従来型の在り方はもちろん維持するが、幼児教育でやってきた環境を通して行う教育という考え方を、小学校以降、いろいろな場面に広げていかないかという動きが中教審の議論でも出ている。個別最適とか、自立的なとか、高度化とか、多様化とか、あるいはデジタル学習基盤ということを考えると、もうそれを先生が全てやるということではなくて、豊かな環境、意図性のある環境として整備して、それに一人一人の子供がその時々の状況に応じて主体的に関わって、学びを自立的に進めていくと。そんなアイデアがあるし、そうすることで、幼児教育との連続性といったことも本質的に確保されるのではないかなと思う。そうなったときに、建築の在り方とか施設の在り方というのはとても大きいと思う。いわゆるアフォーダンスという考え方。物理環境がその中にいる人たちに、ある行為を促すというものだが、それは子供もそうだが、先生たちにとってもある種のインスパイアを与えるというのがあるんだろうと思う。そのような意味で、適度に仕組まれた、そこにいろいろなアイデアを誘発するような環境ということ、それは子供にも教師にも新たなクリエイティビティーをもたらすかなと思うが、またそんなことも考えたいなと思う。一方で、デジタルとかAIとかいうことが進んできて、これが進むのは良いことだと思っているが、どうしてもデジタルというのは視覚・聴覚優位になりがちで、それ以外の感覚モダリティーを通した学びとか活動というのがちょっと弱くなりがちだというところがあるような気もする。学びにおける、身体性とか、空間の中で人間が学ぶということの意義が、むしろ明らかになってくるというか、そんなことも考えている。そうなってくると、本当に施設設備のありようというのは、その中での学びの身体性、あるいは空間性、そのようなことを大きく左右するだろうと思う。そんなこともまた想定しながら、今後の学校の在り方、そして施設設備の在り方が学校での学びを、教師、子供を介して変えていく潜在性を強力に持っているという自覚を持ちながら、この議論をまた進めていけるとありがたいかなと思う。そう考えると、古くは多目的スペースであるとか、インテリジェントスクールとかという形で、いろいろな施策が行われてきた。それと共通する部分も実はあるように思うが、またかなり違う部分もあるんだろうなと。そのような過去の資産はいろいろなものもあるかと思うが、それも確認しながら、学ぶべきところは学ぶ、継承すべきところは継承する。でも、刷新すべきところも多々あると思うので、一度この辺で再整理というか、全面的な見直しをする良い時期かなとは思っている。議論は多岐にわたると思うが、期待したいなと思う。
 
【中埜委員】防災の観点から見たときに、この間の岩手の地震も、ちょこちょこ学校はまだ被害が出ているようであるが、ああいう被害がないようにしなければいけないなということが1点。それから、これから心配されているのは、非常に広域の災害、あるいはその後の連鎖災害といったことや、長期的に災害が長引く、大きい地震の場合であると、継続的に復興までに何回か繰り返し災害が起こる、経験するといったこともあるので、その辺りをどのように考えて、対応できるようにしておくか。広域な災害が起こったときに、今はまだ、例えば避難所に使えるか、使えないかということは人海戦術的にやっているが、もう少し飛び道具と言いましょうか、デジタルを使ったような方法や、省力化と言いましょうか、人力ではないような手法を考えて、少なくとも大丈夫な学校、あるいは、避難所にすぐ使えそうなものはこれというような、スクリーニングできるような手法も併せて考えていく必要がこれからあるのではないかなと。迅速さを求められるようなときには、かつ大規模なエリアをできるだけ早くといったことを考えると、ちょっと人海では難しいことが考えられるので、その辺りの手法を考えて、デジタル化が進むのであれば、常時のデジタル化と非常時のデジタル化をうまく組み合わせるとか、そのようなことも併せて考えていく必要があるかなと思っている。
 
・事務局より「学校施設のバリアフリー化の推進に関する検討部会」の設置について(資料4-1、資料4-2)説明
・奈須主査より閉会の挨拶

── 了 ──