学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議(令和6年度~)(第3回)議事要旨

1.日時

令和7年8月5日(火曜日)15時00分~17時00分

2.場所

対面・オンラインハイブリッド開催

3.出席者

委員

<委員>
奈須主査、伊香賀委員、市川委員、伊藤委員、垣野委員、倉斗委員、後藤委員、小山委員、田邊委員、長澤委員、中埜委員、樋口委員
<バリアフリー検討部会>
髙橋部会長

文部科学省

(大臣官房文教施設企画・防災部)蝦名部長、金光技術参事官
(大臣官房文教施設企画・防災部施設企画課)瀬戸課長、梅崎企画調整官、田中課長補佐、桜井係長、市原係員

4.議事録

・事務局より開会の挨拶。
・蝦名部長より挨拶。
・事務局より委員の出欠について説明。
・髙橋部会長より概要説明。
・事務局より資料1・資料2・資料3に基づき説明。
 
議題1:今後の学校施設のバリアフリー化の推進に関する取り組みについて
 
【中埜委員】 耐震関係のことをやっているため、バリアフリーというと、どうしても物理的なバリアフリーのイメージが強いが、お話を伺っていると、大変きめ細かい配慮が重要であるということが指摘されていて、それについていろいろ書き込まれているということで、大変興味深い。
実際聞いてみると、統廃合があるような場合はなかなか難しいケースが出てくると思うが、この辺りの難しさはどう解決すればいいかといったようなことはどこかに書いてあるか。アドバイザー制度のようなものが提案されているが、人材バンクのようなものはどこかで整備される計画はあるのか。

【伊香賀委員】整備目標について、バリアフリートイレ、エレベーター等、100%の整備を達成することが難しそうなものが多いかと思う。これがまとまった後、文科省としての予算が十分確保されないと、教育委員会で、この目標を達成するのは難しいと思う。予算措置のほうも準備は進んでいるのか。
 
【市川委員】大変まとまった内容だと思った。バリアフリー化については学校もできているところはあり、やはりお金もかかることなので、完全な状態にならなくても少しずつ進めていくという意味がよく分かったので、よいのではないかと思う。
各障害種の対応に関する記載の発達障害等の「等」は何を含めているのか。今後になると思うが、避難所と言われたときに、特別支援学校の場合には福祉避難所として指定されているところもあるので、避難所と福祉避難所になるとまたハードルが変わってくるのではないか。すぐにはできないと思うが、将来的にもこれが完成形ではなくて、少しずつ改善していくという意味だと理解している。
 
【伊藤委員】バリアフリーの説明図のところで、昔、国土交通省がハートビル法のときに作成した、こういうふうにつくるべしという図と、恐らくベースが一緒のような気がする。一般的な公共施設の場合と、学校施設の場合で何か変えている箇所というのはあるか。
要配慮児童生徒がいる学校も全部はエレベーターがついてないように、まだやることは多くあると思うがいい先行事例が増えてきていることは弾みになってよいと思った。
ある程度事例ができてきて、実際に運用された場面が出てくると思うが、事後評価の当事者参画のところで、当事者として実際にそれを使っていた児童生徒本人、つまり当事者といったときに、基礎的な環境を整備する上で話を聞く、専門家、PTA、保護者だけでなく、今度個別にそれを使う当事者の話もそれぞれの場所でどんどん聞いていって、知見が蓄積されていくとよいと思った。
 この次に、目標が達成されてきたら、今度は既存施設だとエレベーターやスロープはとにかくつけられるところにつけるしかないわけだが、新しくつくるときには今度、上下に移動できるとかトイレがあるというだけではなくて、いかにそれを必要とする児童生徒の学校生活がシームレスになるかというデザインの手法、計画の手法等もきっと数年後には、こういうガイドブックみたいなものが必要になってくるのではないかと思った。
 
【垣野委員】3点あり、1つは、カームダウンスペースについて、写真は事例の中に載せていただいているが、意外とカームダウンスペースは、どの場所に設けたらいいのかというところが結構重要になってくるので、平面図等、どこにそれを設ければいいのかということも含めた事例紹介だといいと思う。
 カームダウンは、例えば教室の中のカームダウンスペースから、それこそ校舎の外の屋外のところまで行くと、全部で7段階ぐらいグラデーションがある。そういったことも含めて、カームダウンスペースを含めたいろいろな事例がそろっているといいのではないか。
 今後どういうことが問題になってきそうかということも含めて、踏まえておいたほうがいいと思うことが2点ある。1つは着替える場所、体操着をどうするのかということ、女性であるが、制服としては男性のものを着たいという子がいる等、意外と今、現場で着替える場所や着るものというのが徐々に顕在化して浮き彫りになってきていると思うので、近いうち、恐らく着替える場所の問題というのは課題化され、もっと大きな動きになってくるだろうと思っている。それも含めてカームダウンスペースのこととセットで、そういった場所をどのように各学校で活用されているのかというのは、事例などがあると今後、よい例になるのではないか。
 3点目は、これも今後、音響それから吸音材の問題が必ず出てきて、発達障害等の項のところに連動するが、恐らくここもバリアフリーと相当絡んでくるだろうと考えているので、今のうちに事例を少しずつ収集する形がいいと思った。
 
【倉斗委員】バリアフリー化の推進の状況について、あまり進んでいないというお話で、いろいろな自治体での状況を見ていると、バリアフリー化とはまた別に、老朽化の改修であったり、改築であったりが、それぞれの自治体で一応計画が何十年ぐらい前から立ててあるが、それが進んでないという状況がある中で、来年とか再来年には建て替えることを始めるはずの学校だが、それが先延ばしになってしまっているような事例は多くあるように思う。バリアフリー化に関しても、建て替えのときに一緒にできると思っていたが、うまく進んでいないような状況は結構多いのではないかと思うので、先ほど予算的な措置を何か考える必要が出てくるのではないかというお話もあったが、校舎を使い続けるのであれば、その間どうバリアフリーをかなえてあげられるのかが別途必要になるのではないか。何か場当たり的であったり、仮設的だったりするかもしれないが、何かそういったものも必要になるのかもしれないと思う。
 学校という施設の趣旨を考えると、ハード面でのバリアフリーがなかなか進められなかったときに、共助や、お互いに助け合うこと、一緒に共存していくということを学ぶ中で、ハード面でのバリアを少しソフト面の運用や助けのようなことでカバーしていくことができるようなことがどこかで言っていけるといいと感じた。
 当事者参画の話で、ワークショップの話と、学校整備に関する委員会への参画、ワークショップ、アンケート・ヒアリングについて書いてあり、学校整備に、紹介のある人ない人関わらず、利用者たちが参画していくということは今、一般化されており、基本計画の中でそういった取組というのは各設計事務所のほうですごくやっていただいているというふうに理解している。このワークショップやアンケート・ヒアリングのようなことをうまく計画に取り入れていくことのノウハウは、設計事務所や行政の方は持っておらず、そのときそのときで試行錯誤してやられているという印象がある。そろそろこれが一般的にこういうものを取り入れていくということが社会で広がっているのであれば、何かワークショップとかアンケートとかヒアリングについても、具体的にはどのようなものなのかを、何か事例のようなものが少し出てこないと、設計事務所が全て負うのはなかなか大変だろうと感じる。
 
【髙橋部会長】学校と公共施設の違いがあるのかということだが、基本的にはほとんど違わないと言ってもいいのかもしれない。ただ、その理由は、昨今の災害時の避難所関係も含めて、学校が特定化してきていないという、使う層が不特定化し始めているため。
 学校開放についても、事後評価とも関連するが、非常に多くの人が様々な部分を利用することによって、学校がまたいろんな意味で生き生きとしてくるという視点を地域が持つことはとても重要だと思う。そうしたことも学校のバリアフリー化が自然に評価されていくことに繋がっていけばよいのではないかと思う。
 生活のシームレス感については全く私も同感する。
 垣野委員がお話しされたカームダウンスペースの7段階は個人的には少し多いのではないかと感じるが、どの程度転用できるか、あるいは多機能化できるかいうこともあるかと思う。児童生徒が一人一人みんな違うというとそれまでだが、大きく分ければ緊急時に対する避難所的な空間の扱い方と、学習の場としての小空間という、2通りの設え方があると思うので、その辺りについてもう少し詰めていく、あるいは事例を収集していく必要があるのではないか。
 着替えについて、私も全くそのとおりだと思う。児童生徒だけではなく、教職員も全く同じような場面に直面しているのではないかと思う。
 倉斗委員のお話の中で、ハードが駄目でソフトでカバーする方法、これも原則論としてはそうであるが、実はかなり微妙なところで、ハードでどこまで詰めてソフト対応になっていくのかというところが、まだまだ経験が少ないかなと感じている。この辺りについても今後の検討課題だと思う。
 当事者参画の話があったが、設計事務所に負担がいっている、しわ寄せがいっているというのはそのとおりだと思う。また、設計事務所が折角良い経験をしていても十分に共有されていない部分があり、この辺りは今後、文科省の支援も何らかの形で必要になってくるのではないかと思う。
 
【後藤委員】当事者参画の推進について、ワークショップ等で様々な意見を吸い上げてというところについて、吸い上げられた意見等が、設備にどう反映され、最終的に運用につながっていくのかというところが非常に気になっている。実際ゼロから建てられた建物では、当事者参画等の意見は設備の意味、設備としては100%賄われていると思うが、運用であまり活用されていないような状況も見受けられるのではないか。そうしたところが設備と運用というところをワークショップ等の中からしっかりつながっていくのかというところについてどう考えているか。
 ガイドブックについて、現場の教育行政の担当者の方にお話を伺っても、やっぱり期待されているところではあると思うが、自治体の数、あるいは学校の数だけ課題があると思うと、ガイドブックというのは事例に即した形での解決策というものが主になると思う。それだけの数、大きなくくりでまとまるような課題というのはガイドブックで足りると思うが、非常にきめ細かいというより課題が細かくなると、それにどう対応するのか、また、ガイドブックがリファレンスとして活用できるかどうかというところは非常に気になっている。そうした意味で、アドバイザー、ファシリテーターという話もあるかと思うが、そこにもし仮に膨大な量のそういった情報が集まるのであれば、その情報を、例えばAIを使って担当者レベルの方々も活用できるような形というのか、要するにガイドブックとしては、紙面であったとしてもPDFであったとしてもボリューム上の制約はあると思うが、データ化されたものを分析して使えるというような状況があれば非常にありがたいのではないかと感じた。
 
【小山委員】まず、現状の本市の状況ということでお話をすると、バリアフリーに関しては長寿命化の計画の中に位置づけ、また、市の総合計画の中にも数値目標を掲げて進めてきたという状況。バリアフリートイレ、エレベーターの設置についても、令和7年度までに全校というところは、少し1年2年飛び出てしまうところはあるが、あと数年で全校に整備は完了するといった状況。
 そういう意味では、やはり何らか計画を策定して、計画的に取組を進めることが非常に重要なのではないかと思う一方で、実際に工事を担当した職員等に話を聞くと、例えばそういった整備をするに当たって、川崎市はまだ子供の数がピークからあまり減ってないというところもあり、そもそも普通教室の確保等にも苦慮している中で、バリアフリー化のためのスペースをどう生み出すかというところが現実的な問題としてなかなか苦慮しているという状況もある。
 恐らくバリアフリーの取組を進めるに当たっては、それぞれの自治体の状況の中でいろいろな悩みがあると思うが、共通の悩みが幾つかあるのではないかと思うので、ぜひそういった共通の悩み、それに対するどういった取組が先進的に行われてきたかを、ぜひ事例の共有といったところ、今回の資料の中でも実践例や、今後ガイドブックを作成いただくというところでお示しいただいているが、様々な自治体の好事例を、ぜひ一度つくったというところで止まらずに、事例を更新していっていただいて、各自治体も対応の取っかかりになるようなものをつくっていただけると大変ありがたい。
 
【田邊委員】バリアフリー推進の重要性を改めて認識できる内容になっていると思う。整備指針に沿った取組が必要不可欠という認識を共有したい。
 学校の建物は、教室のみならず、特別教室や体育館等、多様な機能を内包している。オープンスペースを設けたり、近年は校内教育支援センターの設置が拡充したりする等、これまで以上に多機能化が進行する中で、一層のバリアフリー化を推進していくことに力を注いでいく必要があることを理解したい。
 現状としてほぼ全ての公立学校の学校設置者が計画を策定しているにもかかわらず、自治体の整備計画策定は約3割という実態について、この現状は改めて問われるところでないかと思う。バリアフリー推進の取組に関わらず、学校整備をどう進めていくのかに関して、根拠となる法制度があったり、指針があったりする中で、最新の情報や最優先されるべきことが何なのかということについて、周知の手だてをぜひ尽くしていただいて、分かりやすくそれらが当事者に伝わるように示されていく必要があると思う。
 また、バリアフリー化を進めていく上で要点となることや取組の観点など、ぜひ学校当事者に届くように提示されていくとよい。その中で、自治体や教育委員会が何をすべきなのか、学校は何をすべきなのか、こうした点についても焦点を定めて、趣旨はよく分かるが、では誰が主体となって何を行っていくのかということについて一定の目安や展望が描けるようになると、円滑な取組につながりやすいのではないかと思う。
 好事例をたくさん集積してあり、それは自治体にとって大変参考になる、ぜひ多くの事例収集を進めていくと同時に、好事例の参照ポイントについて、例えば財源確保をどうしたのか、今後問われていく当事者参画をどのようにしたのか、計画策定をどのように進めたのか、課題解決の手立てや経緯がどうだったのか等、ポイントに沿った解説を含めて要点が提示されると一層役立つ資料になると思っている。アプリを使ったり、ガイドブックや動画を使ったりということで、情報にアクセスする手立てを工夫して、ぜひ周知に努めていただきたい。
 
【髙橋部会長】先ほど後藤委員から御指摘があったワークショップを行ってもハード面の整備が運用にどうつながっているのかという点が分かりにくいという御指摘について、まさにそこが公共空間と学校施設の空間利用に差があるという部分ではないかと思う。従来、バリアフリー化の整備が進まない理由の1つに、利用効率の問題も挙げられていたが、むしろ利用効率が少なくても、学校が何のために誰のためにあるのかを確認をしていく、それから、利用が違って、ワークショップの成果が出ていないということをどう理解するかということについても、ワークショップを進めていくときに重要なポイントになってくるだろうと思う。
 ワークショップに参加する人は一握りであり、圧倒的多くの地域の人たちとの差があるのは当然なので、その辺りが参画している人たち、それから、学校関係者に見えてくるということが大事ではないかと思っている。
 ガイドブックの利用面の問題については、国交省の建築設計標準でも絶えず指摘されているが、少しずつデジタル化して、入手しやすい、アクセスしやすいように進み始めているということだけは申し上げておきたい。今回のガイドブックの運用がどうなるかはまだ分からないが、できる限りアクセスしやすいようになっていくことが必要であると私も思う。
 
【長澤委員】今回の調査研究はバリアフリー法、それからバリアフリー基準の改定に伴って、学校も適合対象に入った。バリアフリー法以降、学校施設のバリアフリー化が進められてきたが、それに対して整備が十分ではないところについて、ここで現状を把握した上で在り方を示すもので、そういう点で意義があり、全体的に基本的なところがよく書かれている。
 スロープの設置や段差をなくすという水平移動、エレベーターという垂直移動、トイレという3つがメインターゲットになっているが、会議の中で、誰も取り残さない学びということに対してバリアフリーを捉え、教育の場として学校施設ならではの観点をきちんと示せるとよい、示してほしいという意見があったと思う。その観点について、例えば「はじめに」の文章の中に表しておくことが非常に大事なのではないか。バリアフリー法の趣旨と併せて、例えば、学校全体が学びの場であるとか、共に育つ場としての学校の在り方という教育的な捉え方と、移動を含め学校生活が分け隔てなくできるということが密接に結びついているということを、学校ならではの観点として強調していただけるとよいというのが率直な印象である。
 例えば、「はじめに」の4行目には「誰もが支障なく学校生活を送ることができる」という文言があり、学校生活の中に学びも含まれていると考えればそれでよいと思うが、誰もが支障なくあるいは違いなく学べる場、ほかの人と共に育つ場とすることを、バリアフリー対応と結びつけ、学校ならではの目標や学校の在り方として表現されると、より伝わるのではないかと感じた。
 同時に、地域との連携が深まるとともに利用者が不特定化し、バリアフリーという観点は、学校が不特定の地域みんなの学びや活動の場、居場所であり、それは0歳から100歳まで年齢を超えるということ、災害時の避難拠点として非常に大きな役割を果たすこと、そういう観点からも学校施設のバリアフリー化には重要な意味があることが明記されているとよいのではないか。
 豊かな環境、育ちの環境を実現しようとするときに、誤解を恐れずに言えば、障害のない子供たちが一般的に享受できる変化のある学校空間が、バリアフリー対応のために実現できなくなることのないよう留意し、工夫が求められることを、本報告書とは別の形で世の中に発信がされていくことが期待される。
トイレについては、バリアフリー化として洋式化や多様な子供への対応が明記されている。バリアフリー化というだけでなく、トイレは子供のための学校環境を整える課題の1つとなっているので、そこにつながっているということを合わせて伝えていけるとよいのではないか。
 最後に、緊急的な課題として、対応が必要な子供が入学する可能性について事前に把握することが書いてあるが、例えば年度途中に転入してきた子供や身体の状態が変わった子供に対する必要な対応について、それにはお金や面積が必要になってくるかもしれないが、対策の仕方を検討しておく必要がある。課題として捉えておいていただければと思う。
 本報告書では、本文と共に絵と解説がついており、立体的な構成になっている。基本的な考え方とそれを具体的に実現するための設計的なアイデアが一緒になって環境が改善されていくと考えられ、本報告書のとてもよいところだと思った。
 
【樋口委員】全体に丁寧に書かれていて、とてもよくできた改訂案だと思う。その一方、御報告があったように、やはり達成度がなかなか上がっていないということで、それを何とかして実現できるように考えていただくということが必要だと思う。
 1つは、スライドに、先ほども出た当事者参画、心のバリアフリーといった文言が本文中にあったと思う。当事者というのが、やはり障害者が当事者だとすることが、結果的には何かバリアをつくっていくような感じもする。施設ということで言えば、けがをしたり、病気になったり、年を取っていったりということで、利用する機会というのはやはり当然誰もが起こり得るということなので、そういう意味合いでの当事者ということのニュアンスを出していくことが必要ではないかと思う。
 それから、参画についても、この指針では、ある意味設計するということに加わるということが大事だということは当然分かるが、実際には出来上がったものをどう使いこなすかとか、あるいはもっと基本的なことで言えば、車いすを一緒に動かす、基本的な介助の仕方を知るといったことを、例えばAEDが入ったときにどう使いこなせるのかということと一緒に、保健の時間とか、あるいは総合の福祉の分野のところで、先生も子供たちも一緒に学習するということが大事で、結果的に心のバリアフリーということにもつながるのではないかと感じた。
障害者、普通の人という分け方をしてしまうと、それによって子供たち自身も友人関係とかで孤立するということは結構あるので、その点は文面の中で気をつけておく必要があるのではないかと思う。
 2つ目が、まちづくりについて。これもとても新しい観点で、必要なのではないかと思う。その一方で、子供のほうから見たときのまちづくりというときは、もっと身近な問題として、例えば、放課後の学童保育であったり、放課後子供教室などの部分で、学校にあったり、あるいは学校のすぐそばにあったり、あるいは児童館とか民間のものも含めて、そういうものが子供の生活から見ると結構身近な問題になってきている。そこがバリアフリーできているのかいないのかということで、子供たちやその御家族の生活にとっても、結構そういう部分も必要になってくるのではないかと思う。
 それから、この指針自身は高等学校も入っているとは思うが、整備目標になってくると、今度は小中学校等という形で、今回の事例も含めて、小中学校に限定されてきている。バリアフリー法に小中学校等と書いてあることが根拠だということだと思うが、あまりそこが強く出過ぎてしまうと、高校へ行ったときに困ってしまうということもある。公立の高等学校はなかなか施設的に追いついていないところが多くあるので、そこの部分を何とかしてほしいということも、意識していただけるといいと思う。
 3点目は、昇降口という表現があるが、昇降口・玄関という言い方になっており、そのとおりではあるが、意外と昇降口と玄関というのは学校行くと離れているところがあったり、極端な話、表と裏みたいな形で全然違うところにあったりする場合に、子供たちはどっちから入るのか、あるいは前のところにも駐車場の位置とか書いてあるが、動線を考えるときに、どこから入るのかという問題によって、設計の仕方や実際の利用の仕方が違ってくることは何となくあるのではないかと思う。もちろん昇降口は多分たくさんの子供たちが一遍に出入りができるという機能でつくられているので、そこは玄関と違う形につくらざるを得ないということがある。そのときに、特に身体障害を持たれている子等の場合、視覚等も含めて、どこに入るのかを考えながら、実際にはつくっていくことが大事になるのではないかと思った。
 
【斎尾委員 ※事務局より事前意見を共有】1つ目が、学校は、学校開放等で地域住民も利用する施設であること、避難所としての利用もあるとすれば、様々な状況の住民が利用できる施設であることの認識は重要である。
 2点目は、国土交通省のバリアフリー法との共通事項は何か。学校ならではの特殊性は何かを明らかにするべきである。共通項は、長年検討されてきた国土交通省の検討課題を利用すればよいのではないか。この機会に敷地全体を含めた学校という施設の特殊性も明示しておくとよいと考える。
 3点目は、老朽校舎の対応が、新築や改築に対して非常に大変と思う。事例紹介では、特に老朽校舎の工夫が重要と考える。事例紹介では、校舎が何年築か、老朽度合いが分かるように、改修前後の様子を記載すると取組が分かりやすいと考えるということと、教育委員会だけではなくて、市町村全体の公共施設全体として取り込まれることの重要性を明記するとよい。

【髙橋部会長】長澤委員、斎尾委員から最初にいただいたが、学校ならではの観点について、個人的な見解だが、本当は学校ならではではなく、地域の施設としてという立場を取るが、もし学校と一般の公共施設との違いがあるとすると、教室空間というのが決定的な違いで、通常の会議室とは全く違う。そこで1日の大半を生活する場だということになるので、そこがいかにクリア(バリアフリー)になっているかということはあるかと思う。
 部会の中でも実は、教室内での様々な移動の問題についても出てきた。これについては十分議論し切れていないが、その大切さというのは、例えばグループ活動、そこの中で同じ教室空間の中でグループを移動しようとすると、車いす使用者は動ききれないことが起こり得る。こうした場合どうするかというのはさらに事例を集めたい。多分全国的にはたくさんの事例があると認識しているが、そういうことを、地域や児童生徒の人たちと共有していくことが必要ではないかと。同時に、やはり今のバリアフリー化は、車いす使用者中心になったバリアフリー化になっている。例えば先ほど発達障害の話もあったが、心理的に様々な児童生徒がいる中で、トータルなバリアフリーをどう考えるかということも、長澤委員がおっしゃっている教育的な効果につながっていくのではないか感じる。これについては、また事務局とも少し御相談をさせていただければと思う。
 学校のハードで豊かな環境をつくるということとバリアフリーが対峙するのかどうか、バリアフリー化することによって全ての児童生徒の豊かさを増進することにつながるのかどうかということについては、いろいろ議論をしていかなければいけないと感じている。
 トイレの環境も御指摘のように、全てのトイレ環境が充足されなければ、車いす使用者用トイレ、あるいはおむつ交換があるトイレをつくったとしても本当に意味がないので、そのことについては共通ではないかと思う。
 また事例では、重い障害のある児童が入学したが、補助具を先生方が自前でつくって整備をしている事例、あるいはバリアフリー化された学校が新設されたことによって障害のある児童が転校してきた事例もあるので、これから少しずつ学校のバリアフリー化の運用が見えてくるのではないか思う。特に学校の転校がどこまであるのかは学校運営の側面もあり微妙なところではあるが、こうした事例は意外に全国では多いのではないかと感じる。こうした点についても実態を把握していく必要があるのではないかと思う。
 樋口先生からのお話があった、当事者ということで障害を特別視することによる影響については、むしろ学校環境がバリアフリー化することによって、児童生徒は恐らく私たち大人とは違って、障害等関係なく名前で呼び合って一緒に遊ぶ、遊べないときには手伝うといったことが自然に行われてくると思う。まずは、いつでも選んでもらえるような学校空間にしていくということが重要と感じている。
 まちづくりの観点で、高校、大学までのシームレスな学びの環境をつくるというのはまさにおっしゃるとおりだと思う。そのためにこの指針の改正があるので、また事務局の方で工夫して発信していただければと思う。
 
【奈須主査】私も多岐にわたって目配せのいい取りまとめをいただいたなと思っている。教育学の観点からすると、障害の社会モデルという立場に立脚して、バリアフリー化された学校施設が全ての子供の障害理解教育であり、それの教材になる。よく学校施設は三次元の教科書だということを言ってきたが、バリアフリー化された建物とそれを使う人々との出会いが、全ての子供たちにとっての多様性の公正な包摂に向かうようなよい学びの機会になると、本当に建物自体が教材になると、そういう意味でも整備をいい形で進めていかなければいけないということを、教育課程をお預かりしている立場としても思った。
 
議題2:その他
 
・事務局より参考資料2に基づき地域の実情・災害リスクに応じた学校施設の防災機能の強化・実装に向けてについて説明。
・事務局より今後の予定等について連絡。
・奈須主査より閉会の挨拶。

 
── 了 ──