令和7年5月15日
国立市立国立第二小学校
髙橋部会長、市川裕二委員、岩井委員、大関委員、尾上委員、小林聖代委員、小林健委員、根本委員、毛利委員
(大臣官房文教施設企画・防災部施設企画課)田中課長補佐、桜井係長
(大臣官房文教施設企画・防災部施設助成課)小林指導係長
議題1:視察・ヒアリング
議題2:今後の学校施設のバリアフリー化の推進に関する取組について(素案)
・事務局より資料2に基づき説明。
・議題2について質疑応答
(○:委員の発言)
○文言について気になるものがある。車椅子と「椅子」と漢字を使っているが、法律だから漢字にしているのか。「椅子」ではないので配慮いただきたい。
○第1章(6)で、学校設置者と防災担当部の間で連携を図るとあるが、特別支援学校もふくまれるのであれば、特別支援学校の学校設置者には国も都道府県もある。災害における災害計画を立てるのは居住地の市区市町村の教育委員会のため、担当部局という書き方だと十分ではないのではないか。国や私立、県立の場合も含むのであれば対応関係が正確になるよう、文言を修正すべきないか。
○障害のある児童生徒の教育指導に係る内容は、教育指導の観点から適切な表現とする必要がある。4ポツ(1)4の感覚刺激を調整できるセンサリールーム、スヌーズレンルームとあるが、刺激を調整する場所ではない。どちらかというと指導に入る内容。学習指導要領には記載されていないため、書きにくい内容と思われる。指導に関する内容を、障害がある方に対する配慮の視点でもう一度全体を見て調整したほうが良い。
〇第2章3ポツ(5)誰でもわかりやすい案内の表示で、弱視の障害のある者にとっての目線とあるが、視線のほうが良いのではないか。
○施設のバリアフリーに関する方向性については異論ない。
○「はじめに」で行動計画を触れていただいているのは良い。行動計画で、「結婚、出産、子育てを含め、…希望する生活の実現に向けた支援」が柱の1つに掲げられている。今後、障害のある保護者の利用ということも増えてくると思う。「はじめに」なのか、その次の第一章1ポツのバリアフリー化の視点に書くべきなのか、障害のある保護者が授業参観に安心していく、学校行事に参加するそういった視点も重要になると言うことを付け加えていただきたい。
○第1章1ポツ(3)のところ。2行目から、「バリアフリー化された学校施設はその利用を通じ、児童生徒に対して多様な他者への理解を深める学習効果が期待できる」とあるが、読み方によっては、単にその場面場面でエレベーターを一緒に使えばいいという風な読み方にも見える。「バリアフリー化された学校施設はその利用を通じ、障害の有無に関わらず分け隔てのない学校生活を可能とし、児童生徒に対して多様な他者への理解を深める学習効果を期待できる」と、バリアフリー化の設備を一緒に使ってるだけではなく、それも含めた学校生活ができるということが大事だと思うので、そのように修正していただきたい。
○3点目、第2章2ポツ(3)5のところ、「スロープの上下端部、踊り場は車いす利用者などによる滞留が生じないよう、十分な面積を確保することが望ましい。」とあるが記載ぶりが、車いす使用者が邪魔をしているような、健常者目線のような表現であると感じる。むしろこれは「車いすの利用者も含めたスムーズな移動ができるよう十分な面積を確保する」という方が適切。
○第2章4ポツ(1)5について、階段教室が望ましい規定にとどまっている。車いす使用者が階段教室を使う時は、車いすスペースが無いと通路にいることになる。そうすると、机が無い状態で資料や教科書を開くこともできない。横に椅子において何とか対応している。学びの保障として、階段教室での車いす使用者のスペースというのは、重要である規定とするべき。
○第2章4ポツ(5)トイレ2について、車いす使用者用便房各階設置が重要であるということを書いていただいたが、「車いす使用者用便房は男女共用とすることが望ましい」という規定が、どうかと思う。視察したが学校で男女別に車いすトイレ設置した学校もある。男女共用が望ましいとバイアスがかからないように記載を削除すべき。各階設置という車いすトイレを増やしていく前提で、この規定は良くないのではないか。
○8で大型ベッドの設置あるが、車いす便房の大きさを規定しておく必要があるのではないか。今までは2m×2mぐらいの大きさであったが、有効範囲が2mいるので、外側まで入れると2.2m×2.2m必要である。従来の2m×2mにフルスペックを入れてしまうとすごく狭くなってしまうので、スペースの大きさも入れといたほうがいいと思う。
○手洗い場へのアプローチやクリアランスについて、今日は本当に校長先生がしっかり理解されていた。学校生活をしてると手洗いは結構大事になる。クリアランスがないと車いす使用者は横向きになって手を洗う必要がある。手洗い場のクリアランスがなぜ今までの観点からもれているのか。他の建物にはあまり手洗い場は無い。学校施設だからこそ、手洗い場のアプローチ、クリアランスについて記載いただきたい。
○今回のこととは違うかもしれないが、将来的なことで、児童生徒だけじゃなく学校職員についての視点というのはどこかで加える必要があるのではないかと思う。車いすの教員もいるし、今の職員室で車いすの方が動けない職員室もある。そのあたりも今回では無いと思うが、学校施設の職員も含めたバリアフリー化ということも少し考えてもいいのではないか。
○バリアフリーに当てはまるかどうかだが、今回、トイレの数を見たら男子のトイレは、小便器が4+大便器が2の6つ。女子トイレの個室が3つしかない。男子の方が時間は短いのに小便器が多いのはなぜなのか。法律か何かで定められているのか。なぜ男女で同じ面積にしないといけないのか。女子の面積が大きくてもいいのではないかと思う。
職員のバリアフリーと話があったが、茨城県の小学校の先生は8割ぐらいが女性。更衣室が男女で同じ大きさだと、女性の先生がぎゅうぎゅうで着替える必要がある。更衣室もパーテーションで変わるようにするなどの対応が必要なのではないか。ある学校では、大きな更衣室として、ロッカーを動かせるようにする等、女性が多いときは男性のスペースを少なくするというようなことをしていた。性差別につながることになるのではないか。映画館行ってもパーキング行っても普通の学校でも女性は並んだりしている。避難所になった時に余計そうなるのではないか。体育館はもっと女性の個室を増やさないといけないのではないか。
○第2章4ポツ(8)操作がわかりやすい建築設備3について、デジタルサイネージ等を設置することが望ましいとあるが、例えば体育館等は百インチを超えるような電子黒板を、授業でも使えるが、避難所の時に、耳が聞こえにくい方、小さい文字が見えにくい方のために設置してもいいのではないかと思う。
○トイレの男女比は建築学会でもやられていないし、今年6月からの国交省の政令改正でも、車いす使用者用トイレの問題については触れると言っているが、一般便房の男女比は、劇場等でも同じような状況が起きているが、手を付ける人がいない。
○公衆衛生の基準で、数の基準はあるが古い。更新は、トイレの利用者が多様化しているというところで少し遅れている。対応する学校ごとに先生方のご意見を出す。そういう点では当事者参画の中でも障害を持ってる方だけじゃなく職員の方或いは保護者の方が参画していく仕組みができれば、その経験を持っている先生方がいればすぐ改善されるはずだが、中々人が入る余地が無い。
○この自治体は恐らくそういった経験なく投資しているような感じがしたが、そういうことも少し付け加えていく、どこかにそれを入れてあったような気がしたが、保護者や職員と一緒というのが。結局、ワークショップや議論のときに、もう一つ便所の個室を増やそうと言う話になることが多いと思う。
○衛生工学会のグラフがあって、生徒の人数に対して便器数を算出できるようになっている。数の基準が待ち時間に応じてレベル1・2・3と3段階あり、一番厳しい基準で出しても、やはりもう1基増やしたいという、先生たちの意見を聞いて増やしたいということがあった。
○学校作る時に建蔽率の問題がいつも出てくる。スロープ作るとなるとトイレを減らすしかない等、どこを足し算引き算するかっていう時に業者とやりとりする時にもう少し建物を広げたという話をしても、容積率的に入らないと言われることは結構ある。学校の建蔽率をあげる等の対応が必要なのではないか。特別小学校でも教室が足りていないときに引っかかるのは容積率。
○バリアフリー化で、容積率の緩和はある。トイレの数までは法律では言及はしていない。書きぶりは分からないが、先生の男女比が大きく変わってくるような所への対応等、ある程度標準仕様になるのか分からないが、何らかの形でアナウンスできるようにする必要がある。
○学校施設が児童生徒だけでなく避難所になることも想定して対応していく必要があるというメッセージが非常に強く伝わってくると思った。年々、住民の防災への意識が高まっているのを感じており、バリアフリー化を目指して行くことが大変重要と思ったところ。
○今回の改訂案の中で、建物の仕様に期待して行くものが基本的に上がる方向になっていると思う。他方で、仕様を上げていくと、施工業者に対する要求水準もどうしても上げていく方向にならざるを得ない部分がある。昨今、人手不足や資材調達に時間を要するような状況が続いており、その中で業者への要求水準を上げると入札不調にならないか、といったことに悩ましさを感じながら日々整備を進めているようなところもある。指針の文章のどこかに、「困難な社会情勢だが、やはり一歩ずつ着実に進めていくことが大切である」というようなメッセージを伝えていくというのも一つあると思う。将来的に目指す姿や理想を見据えつつ、自治体が足元の歩みを一歩ずつ進めていく背中を押すような指針になると大変心強いと思う。
○その視点は大変大切だと思う。自治体の中でも計画どおり動かない。業者の入札で不調になり、計画がどんどん遅れている。
○指針外のことだが、教育委員のヒアリングについて。作った学校を当事者にチェックをしてもらい、足りない部分があったので、標準仕様に反映させたという部分がある。バリアフリー化の進め方について、長寿命化改修費用が多くて整備の進みが遅いため先行してバリアフリー整備を進める方針としているとある。一方、よく寄せられる保護者からの相談は、自分の子供に障害があるからと相談しても、長寿命化計画で行うことになっていると、あなたのお子さんがいる間に計画は無いと返されてしまうことが多い。ここでは、逆に、先行してバリアフリー化を進めるとされているのが素晴らしい。むしろこういう対応をしてもらうことこそが2020年に文科省が出した整備目標のメッセージだったと思う。メッセージをしっかり受け止めてもらっている自治体もある。長寿命化は、それはそれでやったらいいが、それまでに、まずバリアフリー化をまずやろうというメッセージを整備目標の中では打ち出して行くべき。
○長寿強化計画、改修計画の中での課題と、やってきた部分改修の内容はどこまで入るのかみたいなものを分類しながらやってるのか、そう言うところが見えると良い。
○あと、当事者参画についてのところで、当事者の障害者団体に調査を依頼したという書き方だが、どのような調査か、どういう費用の作り方をしたのか、調査の依頼の仕方等聞きたい。ボランティア的な調査の依頼をしたのか、それとも団体に業務を委託するような形でやったのかも聞きたい。
【文科省】
・恐らくボランタリーにやっていると思う。実際に学校でバリアフリー化が進んでないというご意見があったため、まずは学校を見てもらおうというところから始まっているとのことだった。
○指針の内容について。第1章1ポツ(3)児童生徒等を含む当事者参画とあるが、これも教職員が含まれていると良い。
○第1章1ポツ(6)の「学校全体」というのは外部空間も含めて、正門から校舎に入っての内容も含まれていたほうが良い。校舎のみならず、屋内運動場ではなく、正門からの経路も含めたほうが良い。
○第2章2ポツ(4)人工芝の「長さ」というのは難しい。仕様は長さだけでなく、砂やゴムチップを入れることがある。人工芝の「種類」としたほうが良い。
○第2章4ポツ(5)2「車いす使用者用便房は男女共用とすることが望ましい」という表現が、違和感。男女別と合わせてバリアフリートイレや、男女の共有個室の分散配置という選択肢を用意することが望ましいのではないか。
【文科省】
・介助者も想定した中での書きぶりだったと思う。適切となるように修正を検討する。
○トイレの問題は様々な議論がある。男女共用化というのは大人の車使用者から出てきている。基本的には今回トイレを各階に増やしているため、それ以外にも男女別の場合は作るというようなことが求められているが、実際には数がどこまで入るのか、スペースが非常に広くなるため、どれだけ作れるのかとなると、各フロア1箇所ということになるとその時に共有なのかどうするかという問題がある。誘導基準で言えば今回は二か所あるため、各便房ごとに車いす使用者用便房を設けなさいということが誘導基準の中で今回示されていくが、その時の広さはもちろん、共用化するかどうか、特に災害時の問題も含めて異性の対応だけじゃなく、場合によってはトランスジェンダー等、様々な条件があり、正解が無い。それぞれの学校ごとに設計をしていただかないといけない感じがする。そのために、当事者参画のようなフィルターをどうやってかけるかということになるのかなと思っている。
○今までは数が少なかったから、共用が望ましい規定があるんだろうなと思った。時代的にやはり基本分散ということで、男性、女性の中にも車いすで使える便房を作るという。
○今回の視察の1階にあったようなフルスペックの便房は、あれだけのスペースのものを全部の階に男女別にいうのは確かに非現実的かなと思う。全体として男女共用が望ましいという風にバイアスをかけてしまうと、そういう多様な展開が出来なくなってしまうのが問題と思う。
○全体とすると、今の意見とは逆で、共用化していろいろな人たちが使いやすい在り方を、障害当事者や保護者が学校に入ってた時の利用も含めた共用化の方が推奨される。
○本人の性差の問題もあるが、学習形態によって様々な人が介助に入る可能性がある。全て分離してしまうと、介助ができなくなってしまう。大人の公共施設の場合は、異性介助の観点が大きいと思う。ここでは、共用化が基本にあって、その中で母数をどうするかというとき、それぞれの一般便房の中に入れられるかという話になるかと思う。
―― 了 ――