木造校舎の構造設計標準の在り方に関する検討会ワーキンググループ(令和6年度~)(第1回)議事要旨

1.日時

令和6年10月28日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 旧庁舎4階 文教施設企画・防災部会議室

3.議題

  1. 木材校舎の構造設計標準の在り方に関する検討会ワーキンググループについて
  2. 木材校舎の構造設計標準(JIS A 3301)に係る検討課題について
  3. 自由討議
  4. その他

4.出席者

委員

(委員)
   荒木康弘(主査)、垣野義典、川原重明、草野崇文、篠田文彦、田尾玄秀、野島直樹(敬称略)
(特別協力者)
   益井綾(敬称略)

文部科学省

(大臣官房文教施設企画・防災部施設企画課)
   瀬戸課長、松下企画調整官、扇谷課長補佐
(大臣官房文教施設企画・防災部施設助成課)
   野口課長補佐

5.議事要旨

議題1:木材校舎の構造設計標準の在り方に関する検討会ワーキンググループについて

・ 事務局より、本検討会ワーキンググループの趣旨、公開の扱い及びスケジュールについて説明が行われた。

議題2:木材校舎の構造設計標準(JIS A 3301)に係る検討課題について

・事務局より、「JIS A 3301の改正に係る検討課題(案)」及び「JIS A 3301及び技術資料の適用範囲(イメージ)」の説明が行われた。

議題3:自由討議

・川原委員より、「中大規模木造建築物に用いる接合具及び接合金物」及び「燃えしろ設計」について説明が行われた後、委員等による自由討論が行われた。主な意見は以下の通り。
・検討会委員が言われるとおり、ユニットプランを廃止してはどうかという意見に賛成する。
・現JIS規格では、様々な寸法体系でユニットプランが掲載されており、それに対応するためトラス等も複数掲載されているが、ユニットプランは、ほとんど使われていないのではないか。
・敷地やプランも多様化していることから、意匠設計の方は、ユニットプランからプランを考えることにはならないのではないか。
・遮音床等の要素技術を集めた技術資料と、補足的に例示プランや設計例があれば使いやすいものになるのではないか。
・ユニットプランは、当時の関係者が苦労して作成した経緯もあることから、ユニットプランを残しつつ、現在的な技術に対応した技術資料の整備が必要ではないか。
・木造にすると、コストが高くなるというような話が非常に言わることから、低コストでどう実現するかということについても、技術資料等に記載すべきではないか。
・公立小学校において、子どもたちの柱の使い方などについて行動観察調査を行っているが、技術資料の中に、柱があることが邪魔なものではないということを記載したらどうか。
・木造のいいところは、掲示板としての使用や、柱と柱の間に何かをつるすことができることから、先生方が授業を行う際の価値についても、技術資料に記載したらどうか。
・高耐力、準耐力壁、トラス等の要素技術が挙げられていますが、これは基本、実験をしないで、既存の技術で使えそうなものを持ってくることをイメージしているのか。それとも、計算して作りこんでいくことをイメージしているのか。1年のスケジュールで、時間もお金もないなかでは、難しいのではないか。
・構造要素の性能が必要かを検討する際、建物想定を「ロ準耐」とするのか「燃えしろ設計」とするのかで、構成要素も変わってくる。実際に検討する際は、ロ準耐も対象として検討することができればと考えている。
・耐力壁等の実験の予算については、林野庁の補助金制度を活用することができるのではないか。
・ユニットプランを廃止し要素技術に舵を切ることについて賛成だが、全体像を記載した上で、要素技術の使い方についても併せて記載していただきたい。
・燃えしろ設計については、様々な書籍や中大規模の手引き等が発行されているが、初めて木造を設計する設計者は何から参照していいか分からないのではないか。構造や防耐火の法規上の収まりをクリアできる標準的なディテールを、本検討会でまとめることができれば、木造の設計に取り組みやすくなるのではないか。
・メーターモジュールの廃止については、在来軸組工法では、コストや歩留りを考えると、尺モジュールのほう効率が良いことから賛成するが、CLTやLVLといった新しい要素を追加する場合は、メーターモジュールについても議論したほうがいいのではないか。
・個々の構成部材の規格については、尺とメーターの両方のモジュールに対応できるもので検討を行い、ユニットプランや技術資料を作成する際は、尺モジュールでつくることを想定している。
・ほぼ全ての公立学校の普通教室に空調設備が設置され、今後、ZEB化や省エネを考慮すると全熱交換機が標準的に導入されることが予想されることから、ダクト等の設備スペースとの取り合いについて技術資料に記載する必要があるのではないか。
・太陽光発電設備の荷重を考慮する必要があるのではないか。
・オープンスペースにおける冷暖房の負荷や換気量を標準化することは難しいが、技術資料に考え方を示してはどうか。
・木造では、意匠上、空調機器を天井面に設置することが難しい場合があることから、意匠も実現しながら設備も満足する床置きや床吹き方式などの設置事例について、技術資料に記載してはどうか。
・ある小学校では、木造とRC造の建物間のエキスパンション・ジョイント部の設備貫通部の防火上の収まりに苦慮されたと伺っているので、防火区画の貫通部の処理方法について技術資料で示せたら参考になるのではないか。
・本JIS規格は、一般的なJIS規格ではなく、学校というような縛りがあるJIS規格である。一般的なJIS規格であるとすれば、文部科学省で議論する話ではなく、国土交通省や林野庁が策定すればいいのではないか。
・学校特有の課題なのか、木造一般的な課題なのかを整理していく必要があるのではないか。
・木造校舎のJIS規格として、前回、時間をかけて議論をしたというのがあるので、その成果をどう捉えるかという話を検討会で確認していただき、その上で、もっとブラッシュアップしていくのか、もう少し違うパターンを追加するのか議論すべきではないか。
・ユニットを追加するとすれば、凸型の校舎の形状の追加や、屋根のデザインをもう少し建築家が好むような形のものをもう少し考えてみるなど、ユニットの魅力度を上げていくというのが一つあるのではないか。
・ユニットプランのバリエーションを増やそうという考えで、ユニットプランという建築計画の標準仕様を充実させる方向に向かいたいようだが、あくまで JIS A 3301は木造校舎の構造設計標準であるので、建築計画ではなく構造設計に関する標準的な技術資料を充実させるのが本来の進むべき方向だと思う。
・前回の改訂では、建築計画の手法として多数のユニットプランが例示されたが、改訂作業中から、その設計実務上の有効性について疑問を持っていた。改訂後の成果として、実際にユニットプランを用いて設計したという木造校舎の事例を聞いたことがない。
・プロトタイプを類型化し、標準的なモデルプランに対して、必要な構造要素を検討すればよいのではないか。

議題4:その他

・事務局より、今後のスケジュール等について説明が行われた。

以上

(文教施設企画・防災部 施設企画課)