令和7年9月25日(木曜日)15時30分~17時30分
オンライン会議(Zoomを用いて開催)
西尾主査、大村委員(代理:江尻企画課長)、木部委員、酒向委員、塩﨑委員、下條委員、高橋委員、恒川委員、鶴見委員、出口委員、土井委員、両角委員、山内委員、和田委員
【西尾主査】 皆さん、こんにちは。
それでは、定刻となりましたので、ただいまから今後の国立大学法人等施設の整備充実に関する調査研究協力者会議(第7回)を開催いたします。
本日は、皆さん本当にお忙しいところを御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。初めに、事務局からオンライン会議の注意事項の説明、新たに就任された部長の御紹介などをお願いいたします。
【木村文教施設調査分析官】 事務局を務めさせていただきます、文教施設企画・防災部計画課整備計画室で分析官をしております木村と申します。
初めにウェブ会議の注意点を御説明いたします。
音声が聞き取りづらい場合がございますので、御発言の際は、ゆっくりはっきり御発言ください。発言時以外はマイクをミュートにしてください。
御質問などありましたら、その場で御発言の希望があることが分かるよう挙手機能を御使用ください。挙手機能をオンにされた方に主査から指名していただきますので、御発言はその後でお願いいたします。
また、本日は、伊香賀委員、上野委員、金子委員が御欠席でいらっしゃいます。加えて、酒向委員、高橋委員が遅れての御参加となる予定です。なお、大村委員の代理といたしまして、愛知県政策企画局企画調整部企画課長の江尻和聰様に御出席いただいております。
資料は事前にPDFでお送りしているものを画面共有しながら御説明いたします。配付資料の確認につきましては、各自、議事次第を御確認ください。
議事に入らせていただく前に、事務局に異動がありましたので、御連絡させていただきます。本年7月より文教施設企画・防災部長に蝦名喜之が新たに着任しております。
【蝦名文教施設企画・防災部長】 7月15日に着任をいたしました蝦名と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【木村文教施設調査分析官】 事務局からは以上になります。
それでは、西尾主査、議事の進行をよろしくお願いいたします。
【西尾主査】 蝦名部長、何とぞよろしくお願いをいたします。
それでは、議題に入ります。本日の議題は、次第に書いてございますように、1つ目が次期5か年計画の整備目標などについて、2つ目が共創拠点の実装化・多様な財源の確保に向けた取組について、3つ目が国立大学法人等の施設に関する施策についてです。また、その他も予定しております。
それでは、議題の1に入ります。次期5か年計画の整備目標などについて、事務局より御説明をお願いいたします。
【真保計画課整備計画室長】 事務局より御説明をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の議題の1つ目でございますが、次期5か年計画の整備目標について御議論いただきたいと思っております。投影の資料を御覧いただければと思いますけれども、こちらは前回の資料の抜粋になりますが、こちら、事前に配付はしておりませんので、画面のほう御覧いただければと思います。
中間まとめを受けた検討事項として、中間まとめに4点、申し送りの事項がございました。そのうちの3点目において、次期5か年計画における整備目標について、現行の5か年計画の進捗状況や市場経済の状況等を確認しつつ、より具体的な整備目標を検討することとされておりましたので、本日はこの点について御議論いただきたいと思っております。
3枚目をお願いします。こちらが以前もお示しをいたしました中間まとめの概要でございますが、こちらの一番下の部分におきまして、中間まとめにおいて整備目標を記載させていただいております。こちら、面積などを記載するとともに、それに基づいて一定の仮定に基づいての試算ということで、1兆300億から1兆4,000億という金額についても併せて中間まとめにおいて記載をいただいているところでございます。
最終報告に向けて、これをどのような形で一定の数に収れんをさせていくのかということで方向を御議論いただきたいと思っているところでございます。
1枚戻してください。この点をどのように最終報告に反映させていくかということでございますけれども、中間まとめの目次をこちら投影させていただいております。第5章において、「地域と共に発展する共創拠点の実装化に向けた整備目標」ということで、面積や金額を記載いただいていたところでございます。
ですので、本日御議論いただいた内容は、次回以降、最終報告の案をお出しする際に、第5章の内容に主に反映をして御提示をさせていただきたいというところで思っているところでございます。
その前段階といたしまして、第3章に現行5か年計画の取組状況についての記載をさせていただいたところでございますので、そのうち現行計画の進捗状況などについて、最新のデータに基づいたこちらの更新の状況を最初に紹介をさせていただきたいと思っております。
では、資料の説明に入らせていただきます。資料の通し番号中央下にあります4ページを御覧いただければと思っております。こちら中間まとめの第3章に記載をさせていただいていた内容でございますが、現行5か年計画の整備目標の進捗状況を今年度取れました最新のデータを踏まえてリバイスをさせていただいております。
今次計画の進捗状況でございますが、下の表の左側にあるところの総面積の進捗率の推計でございますけれども、中間まとめの段階では68%の進捗率であったものが61%の進捗率という形になっております。
一つ右に行きまして、老朽改善整備の状況でございますが、こちらが59%の進捗であったものが51%になっており、うち大規模改修が101%であったものが90%、性能維持改修が42%だったものが36%となっているところでございます。
こちらについて、トレンドとしては中間まとめとは変わらない状況ではありますけれども、全体として進捗率が少し下がっているという状況が見てとれます。
その右側にあります新増築の整備でありますけれども、こちらについては、今次計画の目標が30万平米であったところ、進捗率として204%の進捗率、61万平米の実績が出ているというところでございます。
附属病院の整備につきましては、45万平米の整備目標を出していたところ、実績としては58万平米の推計値が出ているというところでございます。
ライフラインの更新の状況ですけれども、こちらについても、配管・配線は1,900キロメートル、設備機器は1,800台ということで、第5次、今次の5か年計画の整備目標を立てておりましたところ、それぞれ51%、61%の進捗状況となっているということでございます。
次のページお願いします。次が、こちら、中間まとめにありました状況を更新しておりますが、経年別保有面積の推計でございます。次期5か年計画開始時の保有面積の推計値でございますが、これを更新したところ、2,567万平方メートルになっておりまして、中間まとめの推計値よりも新増築が増えたこともあってか、26万平米増加しているということになっております。
続きまして、通し番号の6ページでございますけれども、こちらが国立大学法人施設の老朽化率の推移を更新したものでございます。こちらグラフの赤い線ですけれども、こちらについては、築25年以上で大規模改修などを実施していない施設をカウントした従前の評価手法による老朽化率の推移になります。
これによりますと、一番右側、令和8年見込みでございますが、次期計画改修時点での老朽化率が37.8%となりまして、今次計画開始時点よりも4.2%増加するということが見込まれております。
下の青い線でございますけれども、こちらは赤い線の老朽化率から性能維持改修済みの施設を除いた場合の老朽化率を示したものです。
性能維持改修でございますけれども、これは施設の長寿命化をしていく観点から、主に屋上防水や外壁などの改修を築年の割と浅い段階で行っていくという改修手法でございますが、こちらを行ったものを除いた場合の老朽化率を青い線で示してございます。
こちらは次期計画開始時点では32.2%という推計が出ておりまして、今次計画開始時点と同じ数値となることが見込まれております。
次のページでございますが、ライフラインの更新の進捗状況を示したものでございます。今次5か年計画では、法定耐用年数の2倍を超えるライフラインについて10年間で更新を行うことといたしまして、その2分の1に当たる量を積算して整備目標としていたところです。
最新のデータを踏まえました整備実績の推計としては、配管・配線で51%、設備機器で61%の進捗がありまして、一定の進捗が見られるところでございます。
次のページでございますが、しかしながら、今次計画期間中に新たに法定耐用年数の2倍に到達する設備が多く発生するということもありまして、次期計画開始時点での法定耐用年数の2倍を超えるライフラインの割合については、配管・配線で全体の33%、設備機器で同17%となりまして、今次計画時点の数値よりもその割合が悪化していく見込みとなっています。
こうしたことを踏まえまして、次のページが、中間まとめでも記載されている進捗状況の評価でございます。進捗率が少し下がっているというところはありますが、おおむねトレンドとしては変わっておりませんので、基本的には中間まとめと同じような記載をさせていただいております。
老朽改善整備でございますが、特に性能維持改修で目標との乖離が多くなるという見込みであって、全体として見れば十分とは言えない整備状況になることが見込まれるということ。
3つ目でございますが、共創拠点を実現するためには、その基盤となる施設の耐災害性と機能の強化が必要であり、対策の加速化が望まれるということを記載しております。
また、ライフラインを飛びまして、3つ目の新増築でございますが、こちらについては、将来的な維持管理コストの増加につながるため、総量の最適化に留意することが重要であることを記載しております。
次が附属病院の整備でございますが、こちらについては、中間まとめでは進捗は順調に推移しているということだけ記載をしておりましたが、昨今の病院の経営状況なども踏まえながら、緊急かつ重要な施設整備が先送りされていないか、こういったことにも留意していく必要があるということについて記載を加えさせていただいております。
最後、その他でございますが、こちらについても新たに加えた言葉でございますが、今次計画の開始時点である令和3年度当初には想定できなかった物価高騰などが進捗に影響を及ぼしたことは想像に難くないと思われますので、この点についても新たに記載をさせていただいたところです。
これを踏まえまして、次期5か年計画の整備目標について説明をさせていただきます。通し番号中央下の11ページを御覧ください。こちらにつきまして、中間まとめの段階で整備面積の目標及び金額の目標をお出ししていたところでございますが、事務局において単価などの精査がもう少し必要であるという状況がございますので、今日の段階においては面積のみを記載をさせていただいた資料をお出ししてございます。
ですので、面積をもちまして収れんの方向性について御議論いただきたいと考えているところです。
中間まとめにおいては、下の表にございますけれども、面積の目標について、その下限値と上限値をお出しして、幅のある目標値としていたところです。中間まとめの内容としましては、考え方1の下限値のほうについては、これ以上老朽化率を悪化させないという考え方を記載しているということでございました。
考え方2については、今後10年で施設の更新がピークを迎えるということも踏まえて対策を加速化していく必要があるという記載をもって上限値が示されていたということでございます。
まずもって何で施設の整備を行っていくのかというところでございますけれども、一番上の丸にあるように、施設が我が国最大の知のインフラであるということ、これを踏まえて、今後も長期にわたって教育研究の基盤として機能させる必要があるということを踏まえまして、次期5か年計画においては、共創拠点や防災拠点として十分な機能を持ち、質が高く、魅力的な安全な教育研究環境の確保とその一層の高度化、これを目的として整備を推進していくということで中間まとめにも記載をされておりますので、ただ単に老朽化したものを更新していくということではなく、こういった共創拠点や防災拠点の実現ということに向けた整備の推進であるということをまずもって確認をしておきたいと思います。
それを受けまして、整備手法でございますが、基本的には赤で書いたように戦略的リノベーションや性能維持改修を用いて行っていくということを記載させていただいてございます。
次のページからは、それぞれ、下限値、上限値の考え方を示させていただいておりまして、それを説明した上で、最終報告に向けてどういう形で収れんをしていくかということを後ほど御議論いただきたいと思っております。
次の12ページでございますけれども、まずは考え方1、老朽改善整備に関する整備面積目標の下限値についての考え方でございます。先ほど申し上げましたとおり、長期的に次期5か年計画改修時の老朽状況に維持させるということを狙いとしてシミュレーションを行ったものでございます。
一番左のグラフでございますが、来年度の頭、次期5か年計画の開始時点での老朽化率については、左のグラフの赤で書きましたとおり、32.4%となることが想定をされまして、これを25年後のシミュレーション、一番右のグラフですけれども、令和33年の推計においても、老朽化率を32.4%に維持をさせる。そのために、各年度の整備量を平準化するという仮定でシミュレーションを行った結果でございます。
その結果として、真ん中のグラフでございますが、次期計画終了時点での老朽化率を推計いたしますと、これが35.9%になるというシミュレーションが出てきます。次期5か年計画期間の終了時点で老朽化率が若干悪化するというシミュレーションでございまして、現時点においても一部には大学の施設設備の不具合などが起きているということも踏まえれば、こうした目標では必ずしも十分ではないのではないかと考えられるということを枠囲みの部分で記載をさせていただいております。
次のページですけれども、次は、整備面積目標の上限値の考え方でございます。こちらは施設の長寿命化のライフサイクルへの転換を進めるということを前提としつつも、対策の加速化を行うことを狙いとしたものです。
具体的には、長寿命化を目的とした性能維持改修という手法を用いながら、次期5か年計画開始時点に存在する老朽施設については、その期間中におおむね改修を行っていく。加えまして、長寿命化のライフサイクルへの転換を目指し、次期5か年計画期間中に老朽施設となるもの、これは築25年を迎えるということですけれども、そういった施設については全て予防保全の観点から性能維持改修を行っていく。これを念頭に必要面積を試算しているところでございます。
そうした結果として、下限値の考え方1に比しまして、老朽改善の整備面積が2.2倍になる、かなり多くなってくるという状況がございます。特に性能維持改修の目標面積が539万平米ということで、今次の5か年計画の進捗状況の推計値である202万平米よりもかなり大きな数字となってきますので、これを大学において目標どおり実施できるかということについても議論になるものと思っております。
この考え方でシミュレーションどおり施工を行った場合でございますが、左のグラフで次期計画開始時点の老朽化率が32.4%になっているところ、次期5か年計画の終了時点においては老朽化率が14.2%まで改善されるというシミュレーションが出ているところでございます。
次のページは、ライフラインの更新についての考え方を示したところでございます。こちらについては、今次計画と考え方、まず設定の仕方は同じでして、法定耐用年数の2倍を超えるライフラインについてどのぐらいあるかということをまず出している。これが配管・配線約30%、設備費は全体の15%という形になっております。
この更新に当たっての考え方ですけれども、考え方については2つありまして、1つは、これ以上、現状の老朽状況を悪化させないということ。もう一つは、法定耐用年数の2倍を超えるものを10年間で2分の1ずつ整備していこうという試算の考え方になります。
まず、整備面積目標の下限値、考え方1ですけれども、配管・配線については、現状の老朽状況をこれ以上悪化させないということを狙いとしたものです。それによりますと、更新の長さが1,647キロメートルとなり、次期計画期間によって老朽化率は若干改善するという試算が出ております。
設備機器については、既に老朽化率が15.1%まで低下しているので、老朽状況を悪化させないという整備手法を取るよりも、法定耐用年数の2倍を超える設備を10年間で2分の1ずつ更新したほうが、更新台数が少なくなるという試算が出ております。
加えて、受水槽などの設備は日常点検により劣化が発覚しやすく、日常の整備を行いやすいという特徴もあるので、こうした設備については、更新対象台数をさらに5割減じて、その数を10年間で更新するということで台数を設定しております。
これによりますと、更新台数が1,715台となりまして、次期計画期間により老朽化率が悪化してしまうというシミュレーションが出てきます。
考え方の2、上限値につきましては、配管・配線、設備機器それぞれにつきまして、考え方1の試算方法を逆転させて試算をしたものでございます。これによると、配管・配線の更新の長さは2,177キロメートルになり、老朽化率は改善をする。設備機器については、更新台数は3,196台まで増えてきますけれども、これによって老朽化率は維持できる形になってきます。
これが中間まとめにも記載をされておりました上限値と下限値の考え方でございまして、改めて説明をさせていただきました。
論点の議論に入る前に、こういったことを実効的に行っていくための施設マネジメントの推進という観点も必要でございますので、それについて簡単に触れさせていただきます。
通し番号、中央下の16ページを御覧いただければと思います。戦略的な施設マネジメントについては、中間まとめでも既に十分な記載をいただいておりますので、ここではその内容を再度紹介させていただきます。
1つ目でございますけれども、共創拠点や地域の防災拠点の実現、効果的な施設の活用などのために、外部の視点も含めた全学的な施設マネジメントが必要になるということ。
2つ目については、施設総量の最適化として、総量の抑制、保有面積の縮減目標、その期限の設定などについても触れられているところです。
3つ目として、整備手法として、戦略的リノベーションなどを活用していくこと。地球規模課題の観点から、カーボンニュートラルの実現に向けた取組を行うこと。その他、財源の多様化などについても触れられているところです。
こうしたことを踏まえまして、最後の4点目でございますが、通し番号、中央下の18ページを御覧いただければと思います。
整備目標の論点といたしまして、まず、整備面積の目標については、先ほど御説明をいたしましたうちの上限値である考え方2をベースといたしまして、物価高騰なども加味しながら、整備に係る所要額の試算を行うこととしてはどうかという形で記載をさせていただいております。
関連いたしまして2つ目ですが、性能維持改修の目標面積がかなり多くなっており、今次計画の進捗状況を大きく上回ることを踏まえて、この目標が現実的であるか、場合によっては一部の改修を次々期の5か年計画に繰り越すことも考えられるか。
また、3つ目でございますが、いずれにせよ、しっかりと性能維持改修を進めていくという観点からは、その観点から国や大学が取り組んでいくこととしてどのようなことが考えられるか。こういったことについて論点を提示してございます。
続いて、新増築でございますが、中間まとめと同様に、既存施設の有効活用では対応が困難であって、真にやむを得ない場合に限ることとしてはどうかということにしております。加えまして、キャンパスマスタープラン、個別施設計画など、大学が策定をする中長期的な施設に係る計画に基づきまして、総量の最適化に留意いただくことも必要だと思いますので、この点、新増築の部分の丸の1行目の一番最後からフレーズを入れておりますけれども、ここについては中間まとめにはなかった記載でございますが、新しく記載をさせていただいております。
附属病院については、各大学の整備計画などを踏まえて、目標面積を20万平方メートルという形で面積を算出しているところでございますが、現下の経営状況、また、政策動向なども踏まえながら、20万平米を超えたら絶対に認めないということではなく、目標値をある意味柔軟に考えてよいのではないかという点を提示させていただいているところです。
施設マネジメントの論点ですけれども、先ほど御紹介したような事項について、その実効性を確保していくために、国や大学それぞれにおいてどのような方策が考えられるか。
また、各大学のキャンパスマスタープランなどに、今後おまとめいただく最終報告書の内容を盛り込むなどして再構築をしていただいて、全学的な体制の下で施設マネジメントに取り組んでいただくことも必要ではないかという点を記載させていただいております。
説明が長くなりましたが、1つ目の議題についての説明は以上になります。御議論のほどよろしくお願いいたします。
以上でございます。
【西尾主査】 どうも御説明ありがとうございました。次期の5か年計画のまさに根幹となすところをどう記載していくかについて、重要なことを御説明いただきました。考え方の1というのが下限であり、考え方の2というのは上限であり、先ほども御説明ありましたように、我々としても、文部科学省としても、この上限値を何とか実現していきたいところではありますが、逆に財政当局からは、それだけの大規模なものを本当に大学等で実行できていくのかということを相当強く求められてくると思います。その上で、施設マネジメントという考え方が非常に重要であり、それを実効性があり、強力なものとしてきっちりと対応していくことを次期5か年計画の中で、エビデンス等も踏まえて記載していくことが重要になると思っております。
今日は、今、御説明いただいたことに対しまして、皆様方から御質問、御意見等をいただければと思っております。挙手機能をお使いいただいて、ご発言いただければと思います。いかがでしょうか。
それでは、塩﨑先生、お願いいたしいたします。
【塩﨑委員】 ありがとうございます。今、今日まさに画面に出ております論点のところでございますけども、病院のところは確かに20万平米でございますけど、今このような書き方をしていただいて、今後、柔軟に対応というところはとても重要かなと思っております。
というのは、皆様御存じのとおり、今、多くの急性期医療の病院が集約化されようとしております。その中にあって、やっぱり大学病院がしっかりと地域医療の要とならなきゃいけないということもございますので、いろんな様々な社会的な動きがあるかなと思いますので、柔軟に対応するというところは大変ありがたいかなと思っております。
以上、意見でございました。
【西尾主査】 どうもありがとうございました。重要な観点を御指摘いただきましたことに心よりお礼申し上げます。
恒川先生、どうぞ。
【恒川委員】 ありがとうございます。大変重要な論点をいろいろ挙げていただいてありがとうございます。「考え方2」の場合には、もともと想定している予算要求の額よりも相当厳しい額になるのではないかということを、先ほど西尾先生もおっしゃいましたけど、そうすると、ここにもあるように性能維持改修を相当量進めていかなければいけません。なおかつ、その実績値がこれまでのところ少ないです。
これを現実的に増やしていくのは、どう考えれば増やしていけるのかを今、文科省のほうではどのように考えておられるのかを教えていただきたいと思います。
というのも、各大学ではこれまで大規模改修をメインに概算要求をしてきているのが実情ではないかと思いますが、これを例えば部分的な空調設備だとか、屋上防水だとか、部分的にやっていく性能維持改修を中心に、そちらのほうが面積が大きいので、概算要求をしていくようには、各大学ともなっていないのではないかという気がします。それをどう進めていくのかということをお尋ねしたいのと、それを促すための方策をぜひ示すべきではないかと思っています。それが1点目です。
もう1点は、新増築について、これ毎回言っているので恐縮ですけども、15万平米は少ない、なかなか財政当局の理解も得られないということや、面積を全体として増やしてはいけないということはよく分かります。
一方で、やはり「真にやむを得ないもの」という記述も含めて、大学がいろいろ発展していく中で、新増築を妨げないルールも必要ではないかという気がします。どうしても、特に外部資金など多様な財源を使ってというときには、新築であるということが前提になっていることが大半だと思いますので、それについてはうまく工夫せよというようなことも含めたメッセージを投げていただきたいと思います。
もう1点は、それに関連しますけども、適正規模にすることを積極的に促す、要するに建物を減らすことを積極的に促そうと思うのであれば、やはり解体の費用を国が補助するということももう少し積極的にやっていただくと良いと思います。
例えば、今、自治体等の公共施設の総合管理計画などでは、解体の費用を持ちますとか、あるいは再編をして複合化をするようなときには国が補助金を出しますとか、そういう自治体側にモチベーションが湧くようなことをして面積を縮小することを促しています。
こういう施策というのが、今のところ文科省にあまり見られない気がしていて、もし面積を削減することを積極的に促すのであれば、やはりそれに向けて、うまく大学側のモチベーションにつながるような施策をメッセージとしてあげられるといいのではないかと思いました。
以上です。
【西尾主査】 3つの観点からの御意見、御質問をいただきました。それぞれについて文部科学省からお答えいただきたいのですが、私は恒川先生の3つ目の御質問が非常に斬新に感じました。建物を解体する場合、億単位の金額がかかる場合があります。その財政負担をどうやって捻出するかということも非常に大きな課題です。
【廣田計画課長】 失礼いたします。文部科学省でございます。恒川先生のほうから3点御指摘をいただきました。ありがとうございます。現段階で答えられる範囲でお答え差し上げたいと思います。
まず1点目ですけれども、性能維持改修をより進めていかなければならない中で、それに対して現実的にどのように進めていくのかということについてのお尋ねでございました。中間まとめの段階で記載していただいている報告の中身といたしましては、これから5か年計画における整備目標の達成に向けて、国として資産形成となる大規模改修を重点的に推進していくということと併せて、性能維持改修による長寿命化への積極的な投資ということについては、国に加え、国立大法人等においても多様な財源の確保によって積極的な投資をしていく必要性を御指摘いただいているところでございます。
現状において、恒川先生御指摘のように、大規模改修というところがメインとして予算要求をされていて、それを中心とした予算配分になっているという点は、そのとおりでございまして、今後、次の5か年計画に向けてどのように性能維持改修というところに対してより積極的な投資をしていくのかということは、文科省としても課題でありますし、また、各国立大学法人等において性能維持改修ということに対してどのように意識を改革していくのかということもまた重要でございます。
この点、今後、5か年計画の検討に当たっては、それぞれの施策をどのように具体的な方策として盛り込んでいくのかということも御検討いただく内容となっております。国、そして大学において、どのようにして性能維持改修に対しての意識を持って積極的に取り組んでいくのかということを考えていく必要がありまして、この協力者会議においてもぜひ御議論いただきたいと思っております。
2点目でございますけれども、新増築について15万平米と非常に少ないということの御指摘でございました。この面積というのは、現行の5か年計画からより減じた形での提示となっておりますけれども、先ほど説明の中にもありましたように、今後の法人としての維持管理等も含めて、トータルとしてのコストをマネジメントしていくという観点からも、総量をどんどん増やしていくということに対しては一定程度抑制的になっていく必要があると理解をしております。
一方で、各大学がその機能を果たしていくために必要な新増築、この報告書あるいは論点の中では、「真にやむを得ないもの」という表現をしておりますけれども、これは大学が発展していく上で、また研究力を強化していく上で重要なものである場合においては、新増築ということについても検討していくのに値するものだと思いますけれども、その際にも、現在既に保有している施設を改修等していく、あるいはスペースを生み出していくことによって大学の研究力の強化ということに資することができないかということをまずもって御検討いただいた上で、さらにそれでもなお真にやむを得ないものとして新増築が必要であるという、そのプロセスが重要であると理解をしております。
したがって、新しいプロジェクトを実施するに当たって、早々に新増築が必要だということではなくて、まずは全体の施設の面積の中で生み出せるものはないか、その上で、新増築の議論をしていくという、このプロセスをぜひ大学のほうにも促していきたいと考えておりまして、この観点から5か年計画における目標というものを今のように設定しているという状況でございますので、既存施設の活用ということと新増築ということのバランスをしっかりと取っていただくということが大変重要であると思っております。
3点目でございますけれども、適正規模にしていくという観点において解体費用を国が補助するということについてでございます。現行の補助制度の仕組みの中では、資産を形成していくということに対して補助金を活用していただいておりますので、御指摘のとおり、解体費用のみを補助金で措置するということは現在していないという状況でございます。
改築するに当たって、既にある施設というものを一旦取り壊して、その上で建築をするということにおいての解体費用は出るわけですけれども、解体費用のみを国で措置するということは現在しておりません。この点におきましては、非常に財政的に厳しい状況の中で、資産を形成していく、大規模改修等によって安全・安心を確保していくということと比して、解体費用というものに果たして国としての財源を活用することができるのか、非常に大きな課題を抱えていると認識しており、さらなる議論が必要だと認識しております。
いずれにしましても、この有識者会議におきまして、先生方の自由闊達な御議論の中で出てくる御意見でございますので、しっかりと文科省としても受け止めたいと考えております。
以上でございます。
【西尾主査】 ありがとうございました。恒川先生、いかがですか。
【恒川委員】 ありがとうございました。最後の点については、やはりトータルに施設マネジメントを進めるということを積極的に勧めているわけなので、それは解体も含めて全体をマネジメントするということが施設マネジメントだと思います。そういった意味で、何らかそれらも含めたトータルなライフサイクルコストを含めて考えていただけるといいなと思っております。
以上です。
【西尾主査】 それと2番目のことに関しましては、文部科学省からのお答えで、新増築にせざるを得なかったということをどれだけ強く打ち出せるかというプロセスが重要だということでした。その記述をどこまで明確にできるかの配慮をしていく必要があるのではないかと思います。
ありがとうございました。
出口先生、よろしくお願いいたします。
【出口委員】 東京大学の出口です。本日は大変御丁寧に資料をご説明いただき、ありがとうございます。私の発言も、恒川先生のご指摘と重なるところがありますが、意見として申し上げておきたいと思います。まさに今画面共有していただいている論点の3点目に当たる部分です。私も性能維持改修を着実に進めていくことに対して、かなり強い危機感を抱いております。ここでは国や国立大学法人が取り組むべきこととしてどのようなことが考えられるかということですが、取り組むべきことは全般的には既に実施していると思います。ただ、性能維持改修そのものを幾つかに因数分解していただき、実施状況を確認する必要があると思います。実際に設備を更新していく場合、建築基準法の12条に基づく1年点検、3年点検、10年点検というのがありますが、それぞれに対しての対応をしっかりと確認しながら進めていくことを打ち出すべきと思います。
それからまた40年に1回の大規模改修に入らないような改修について、もう少し具体的に類型化し、それぞれの類型に目標値を国として定め、それをきちんと大学が責任を持って行うことを最優先事項としてうたっていただく必要があると思います。
ただ、そのためには、現在の個々の旧国立大学が持っている施設の維持管理のマンパワーと財政的なキャパシティーがかなり限界に来ているように思います。言ってみれば、キャパシティーを超えて延べ床面積を持ち過ぎていることが、多分にあるように思いますので、その実情を明確にして、その上で適切な規模の維持へともっていくことを今後進めていただく必要があると思います。
それから、2点目ですが、どうしても性能維持改修という言葉の後に必ず整備という言葉がつきます。改修整備とか、今の丸の2番目のところで、性能維持改修の整備面積目標というように、必ず整備という言葉が付きます。整備目標、整備計画となっていますので、そこはやはり分けて考えなければいけません。整備という言葉は一般的に新しく施設を造ることを意味するように捉えられるのではないかと思いますが、性能維持改修の後に整備がついているので、対象がどうも曖昧になってしまっている。印象の問題かもしれませんが、その辺りはやはり厳密にきちんと分けて考えていただき、面積だけを評価尺度としないような言葉遣いに配慮していただく必要があると思います。
以上です。ぜひご検討いただければと思います。
【西尾主査】 どうもありがとうございました。この段階で文部科学省から、何かお答えになることはございますか。よろしいですか。
【真保計画課整備計画室長】 御議論を進めていただきたいと思います。
【西尾主査】 出口先生、貴重な御意見ありがとうございました。重要な観点かと思っております。
それでは、山内委員、どうぞ。
【山内委員】 御説明ありがとうございます。日本商工会議所の山内です。地域の経済団体として期待も込めて、まず整備目標についてですが、イノベーション・コモンズの実装は、地域再生の柱として期待しています。
今までの話を聞いておりましても、予算拡充というのは難しいと感じておりますが、私ども商工会議所としたら拡充が必要な分野だと考えております。
特に、ライフラインなど急を要する老朽化対策や、前回必要とされていて遅れているものはしっかり整備していただきたいと思います。そして所要額につきましては、足下の物価上昇を加味して試算するのはしかるべきでありまして、しっかりと予算措置をされていくべきだと思っています。
ポイントとしては、前回を超えて整備すべきものは何かという問題だと考えており、新増設や性能改善改修は非常に重要だと思っております。こうしたところを充実させて額も増やしていければよいですが、全ての大学施設を同じ基準で一様に整備していくことは現実的には難しいだろうと思います。マネジメントの問題も指摘されておりましたが、予算にも限りがあります。例えば老朽化対策を個々の大学で進めていくことは大事ですが、そこだけではなく地域全体から見て、例えば必要な大学の機能とは何かという議論を行った上で、役割分担なども明確にして進めていくとよいかと思います。研究特化や地域貢献特化など、大学の特性や地理に合わせた形で役割分担を行い、施設の共有を考慮した上で整備していくというところがうまく説明できると、予算の拡充でプラスアルファが得られるのかなと考えています。
地方のプラットフォームが令和8年から動き出すということでもありますので、その中で議論しながら、大学の整備の重要性というものを示しつつ、予算の確保をしていくことが大事だと思います。
今までのところで、最低限の安心・安全は大事ですので、ここの整備は至急やっていくという前提の下で、地域にとって重要な役割を担う大学、努力している大学の施設というところをプラスアルファとして手厚く支援する視点があると、社会や地域の理解は得やすくなると思います。
私ども商工会議所は、大学の皆様にも会員になっていただいており、新増設は大事だという声は聞いております。ただ、新増設に限らず、既存設備を共用する、用途を転用するなど、様々な利活用があり得るのかなと思っております。私ども民間や、自治体などが大学施設を有効活用していくところと新増設と併せて考えていけるといいと思っております。
この中で、今、私どもがしっかりと国へ要望しなければいけないと考えているものは解体費用です。解体費用が負担となりなかなか進まないというのは根強くありますので、ぜひ国の支援をお願いしたいと思っております。
商工会議所として、地域として、教育はとても大事だと捉えておりますので、施設整備に関して、うまく説明をして拡充できればと思っております。専門家の皆様の知恵をお借りできればと思っております。
以上でございます。
【西尾主査】 山内委員、本当に力強いお言葉ありがとうございました。我々としましても、今、おっしゃっていただいたような形で御支援いただけると非常にありがたく思っております。どうかよろしくお願いいたします。
この時点で文部科学省としてお答えしていただくことはございますか。
【廣田計画課長】 失礼いたします。山内委員、御指摘いただきまして、ありがとうございます。今御議論させていただいている整備目標というものは、どちらかというと整備の手法、老朽化施設の改善、あるいは新増築といった施設の手法というところにフォーカスを当てて御議論いただいているという側面がございます。これらの施設整備というものを何のために行うのかという具体的な目的につきましては、中間まとめの概要のほうにも記載させていただいているように、地域と共に発展をする共創拠点の実装化、そしてまた地域の防災拠点の実現という、この目的を達成していくために、老朽化施設の安全対策、あるいは新増築等をどのように進めていくのかということを御議論いただいている状況でございますので、これら老朽化対策を実施するに当たっても、安全・安心の確保ということだけをずっと進めていくというよりは、安全・安心を確保しながらどのように各大学における施設を共創拠点にしていくのか、このような意識を持ってしっかりと進めていく必要があると認識しております。
また、先ほど御指摘の中で、こうした地域にとって貢献していく、そこに対して努力をする大学に対して手厚く支援をしていけるとよいということの御指摘がございました。この5か年計画における議論と並行して、実際に大学の要求が上がってきたものに対してどのように採択をしていくのかという事業評価の視点がございます。この事業評価の検討会というものを別途持っておりまして、そこの中では、先ほど委員が申し上げられた地域とともにどのように発展をしていくものなのか、地域にどのように貢献し、どのようにして地域あるいは社会の課題を解決していくための拠点となり得るのか、そうした視点もしっかりと評価をしながら採択をしている状況がございますので、御指摘いただいた点をしっかりと加味しながら文科省としてもしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
ありがとうございます。
【西尾主査】 どうもありがとうございました。
それでは、こちらからお願いしますが、酒向委員、経団連の立場からいかがでございましょうか。
【酒向委員】 ありがとうございます。論点につきまして、論点の一番上に書かれているところ、物価高騰などを反映するという、この点、きちんと反映していくことは大事だと思っております。
考え方2のところでは、2の考え方自体は違和感がないところでございまして、その考え方に基づいて整備が進められるべきと思っております。
少し気になったところは、4つ目の丸の新増築のところでございます。企業が大学に例えばラボを設置するケースなどが徐々に出てきておりまして、そのラボを拠点にして研究開発ですとか人材交流を通じた育成といったところの有効性について皆さんから、有効であるといった御意見を伺っております。これは大学側からも、企業側からも、拠点を設けての研究や人材育成を行うことへの今後の期待感を聞いておるところでございます。
4つ目の丸ですと、そういったことも含めて、否定しているように聞こえてしまいまして、
その辺りが気になったところでございました。私の理解不足であれば、御指摘いただければと思います。
今の原資としては、受託研究の受託費用で建てており、やり方としては、定期借地権とかいろいろあるのかもしれませんけれど、いずれにしても、いろいろ産学で一緒に何かやっていきましょうということを施設整備計画から否定されるようなことはないように御配慮いただけますと大変ありがたいと思いました。
以上になります。
【西尾主査】 やはり、山内様からも御指摘いただきましたように、最近の物価上昇、建築費の上昇ということを予算の算出のところではきっちり配慮すべきだということで、非常にありがたい御指摘をいただきました。
酒向様、どうもありがとうございました。
下條先生、どうぞ。
【下條委員】 ちょうど新増築の話が話題になったので、もう一つだけ付け加えると、先ほど酒向さんの話にもありましたが、今や多様な財源で、ある種新増築する場合も結構増えていて、その場合に、実はそれの維持管理というのが後年で多分出てくる。その辺も実は考えないと、面積だけ増えて後で困るということもありますので、ぜひその辺の配慮も入れておいたらいいと思います。
以上です。
【西尾主査】 おっしゃるとおりですね。私も日本の公的な建物は、それを維持管理していく後年度負担に関する経費がなかなか手当てされていないことの問題をいつも感じております。海外の大学等における新築の建物は、日本の場合と比べて優れているとは一概に言えず、むしろ日本の建物の方が優れている場合が多いと思います。ただし、新築後の維持管理に関して格段の差があって、海外の大学の建物は維持管理が行き届いており、長く綺麗に使われていることを本当に実感しております。
ですから、下條先生からまさに御指摘いただいたように、新営建物をどのように維持管理していくかという視点も重要な観点の一つになると思っております。
下條先生、どうも貴重な御指摘ありがとうございました。
土井先生、どうぞ。
【土井委員】 どうもありがとうございます。今お話の焦点になっております新増築ということに関しましても、ひとつ共創拠点として、今までは地方で物理的に産学官連携においてコラボするというイメージがありましたけれども、実験とかデータを扱うという意味でデータセンターなどを遠隔地から使っていくということで、新増築といっても増築された共創拠点を日本全国から使えるようにしていくという視点も重要かなと思います。
特に、国立大学だけではなくて、国立研究開発法人であるJAXA、農研機構など、それぞれの部隊で非常に貴重なデータベース、それぞれの分野のデータベースを持っていたりしますので、そういうものもテストベッド的に使っていけるようにするといった、そういう視点で新増築を考えていくというところで、1つの大学だけの新増築ではなく、日本全体として研究の環境をよくする、それをオペレーションも含めて維持していけるような体制づくりをしていくという観点も非常に重要であるかなと考えます。引き続き検討よろしくお願いいたします。
【西尾主査】 土井先生、どうもありがとうございました。今後、新増築されていく建物は、通常の講義等で使うものよりも、卓越した研究プロジェクト、あるいは高性能の設備・装置を設置するような特別な目的をもった建物が多いと思います。それを単に一つの大学、キャンパス内だけで利用するのではなく、最近、ネットワーク環境が高度に進んでいる中で、我が国全体、あるいは海外からもその建物、設備・装置を共有していく考えで新増築を図っていくことが有効であると考えます。非常に貴重な御意見だと思います。
和田先生、国立大学の立場から何か御意見ございませんか。
【和田委員】 ありがとうございます。今お話があった内容は非常に重要だと思っております。やはりこれからは、例えば機器であればコアファシリティーという概念もあります。遠隔でのコアファシリティーという概念もあります。それは遠く離れたところもありますが、例えばその地域である程度まとまった形で共有をしていく、こういう形の整備ということも非常に重要だと思います。そのときにはやはり目の前のことだけではなく、5年、10年先、20年先のあるべき姿からバックキャストとして今何を整備するかということを、十分に大学、あるいは連携する方々と長期の視点も含めて話をしたほうがいいと思っております。ありがとうございます。
【西尾主査】 どうもありがとうございました。
鶴見先生、高等専門学校のお立場から御意見ございませんか。
【鶴見委員】 ありがとうございます。長寿命化ライフサイクルへの転換というところが今回のひとつ考え方のポイントかと思っています。一方で、例えば本校もつい先日落雷がありまして、施設がかなり修復にお金かかるということで、機構のほうにも援助してもらうように要請していますが、そういう突発的な災害ということが起きますよね。今、どこにいても災害というのが起きますので、性能維持改修に計画を立てるのですが、そういったところに突然の災害が入ってきたときに、やはり計画どおりにいかないと。やはりそこら辺の対応というのも想定しながら長寿命化ライフサイクルのほうに展開していくという視点が必要かなということと、あと、維持管理の問題ですね。例えば一定整備ができたとしても、その後どうやって電気代等の維持をするかなど、こういったところも非常に大きい問題かなと今我々考えているところです。
あと、マスタープランですね。ここら辺のつくるところが非常に大事なので、考え方の転換をしっかりと方向性が出せれば、そこでしっかり議論していくということが大事だということを考えております。
以上です。
【西尾主査】 施設マネジメントの重要性も含めて、どうもありがとうございました。
木部先生、大学共同利用機関としていかがですか。
【木部委員】 どうもありがとうございます。施設の整備にしても、改修にしても、新増築にしても、1つの大学だけでなくて、全体的に日本あるいは外国も含むと思いますが、そこを想定して考えるという、土井先生の御指摘はそのとおりだと思いました。
大学共同利用機関はもともとミッションが共同利用ですので、自分のところだけでもちろん充足するわけではなく、いろんな大学に施設や資料を提供して一緒に共創していくわけです。ですから、そういう観点というのがこの中に盛り込まれるというのはとても重要だと思いました。
【西尾主査】 どうもありがとうございました。高橋先生、いらっしゃいますか。ぜひ御意見いただければと思います。
高橋先生は、ネットワーク接続環境の状況から音声が通らない状況であることが判明しましたので、今、高橋先生に御意見を求めることは控えさせていただきます。
もう少し時間がございますが、何かこういうことだけはどうしても重要なのでお伝えしておきたいとか、そういうことはございませんか。
【大村委員代理(江尻)】 愛知県でございます。
【西尾主査】 愛知県の江尻様、どうぞ。こちらからお願いしようと思っていたところです。
【大村委員代理(江尻)】 ありがとうございます。今回の会議では施設整備の水準ということで議論されてみえますので、地域におけるアセットマネジメントの観点から発言させていただきます。
国立大学は地域におけるシンクタンクとして役割を果たしてくださっていますが、一方で、災害時には避難所としての役割も果たし得るものでございます。大学施設の防災機能の強化というものにつきましては、自治体にとっても重要なテーマと考えております。このたび内閣府から都道府県に対しまして、大学施設の防災拠点としての活用に関する通知が発出されました。また、それとともに、文部科学省からも大学に対して避難所指定に積極的に取り組むようという通知がされたと伺っております。自治体としては、避難所としても活用可能な国立大学の施設につきましては、優先度を高めて改修・整備をぜひお願いしたいと考えております。
特に能登半島地震をはじめとした過去の大規模災害で、実際に避難者を受け入れたことのある施設、それと類似する施設につきましては、より積極的に改修・整備を進めていただきたいと考えております。
さらに過去の災害における避難所運営の実績ですとかノウハウを国立大学間でぜひ横展開していただくとともに、関係機関での情報整理・共有を進めていただきまして、都道府県や市町村が協力しやすい体制も併せて構築していただけましたらと考えております。
こうした取組を通じまして、自治体と大学がこれまで以上に連携しまして、地域に根差した防災体制を構築するということが大学のさらなる機能強化につながると考えております。引き続き前向きな取組をしていただきたいと期待しております。
以上です。どうもありがとうございます。
【西尾主査】 江尻様、どうもありがとうございました。今おっしゃっていただきました防災の観点は、次の5か年計画で強く打ち出して、その観点からも財政的支援をきっちりと要求していくということにしたく考えております。引き続き、江尻様、また大村知事には大変お世話になりますが、何とぞよろしくお願いいたします。貴重な御意見どうもありがとうございました。
両角先生いらっしゃいますか。
【両角委員】 おります。
【西尾主査】 よろしく何かございましたら。
【両角委員】 そうですね。本当にどの先生の御意見もそうだなと思って拝聴していました。国立の施設というのが大学とかだけのものではなくて、知の社会のインフラであるということからも、こういった計画を立ててぜひ目標に近づくようにやっていくということが必要だと思いますし、あと、施設マネジメントの観点でも、今、大学同士、あるいは自治体や産業界などと連携して施設を造るといったところでは、増えているし、そのこと自体はすごくいいことだなと思いますが、施設マネジメントという長い意味での連携というところになりにくく、それゆえに、造るところはよいのですが、その後の様々なことにお金がかかるので、そこの問題がすごく難しいというか、1つの大学の中でも施設マネジメントを充実させていくという、より難易度が高いことが今求められるようになっているということを感じておりました。
以上です。
【西尾主査】 どうも貴重な御意見ありがとうございました。その点も含めて今後考えたいと思います。
高橋先生からのコメントが文部科学省のほうに寄せられているようですので、お願いします。
【真保計画課整備計画室長】 事務局より、高橋先生から文章が今届いておりますので、読み上げさせていただきます。
【木村文教施設調査分析官】 高橋委員からのコメントでございます。現状認識といたしまして、各大学で取り組むべきこと、取り組めることについては、かなり行われているという理解です。ただ、現場で対応する職員数、また、それにひもづくマンパワーですけれども、そこはかなり厳しい状況であり、新築を建てるより複雑な工程であり、負担が大きい業務と理解しているということです。
また、考え方の方向性として2点いただいております。1つ目の新築についてはということですけれども、今後、研究インフラとして通常になっていく遠隔やバーチャルへの対応は必須であり、これは先行投資であり、従来からの考え方の変曲点ではないかという感触を持っていると。そのため、維持管理、経年劣化への対応こそ長期的な目線で考えるべきことで、その観点で性能維持改修というものは必須の方向性ということが考えられるというのが1点目。
2点目といたしまして、恒川委員、出口委員への発言への賛同のコメントですけれども、解体費用と同様の観点で、現場の観点から一つ補足ということでございます。改修に伴い必要となる借手の賃料ですとか、そのための引っ越しなどの費用というものが必要となると。施設を使いながら工事をするよりも、一度、全体を退去し、オフキャンパスに移動することで、期間、総コスト、関連の人の動きやすさなども、教育機関になるのであれば、そういったプラスのコストも見るべきではないかと考えると。そのためのコストが大学へ出せないのであれば、そういった費目をつくるぐらいの考えがあってもよいのではないかという御提案をいただいたところでございます。
以上です。
【西尾主査】 どうもありがとうございました。
最初におっしゃっていただいた件で、大学の施設関係のマンパワーが負担業務との関係で限界に来ているのではないかという御指摘は深刻で重要です。それをどう解決していくかということですが、今の財政状況ですと、施設部の人員を増員していくことはなかなか難しいと考えます。また、施設部には技術系の職員がおられますが、そういう特別の技術を持った方々には、企業等からも非常に良い待遇での声がかかったりしていて、質の高いマンパワーを維持していくことが難しい状況にもなっております。
そのように人員を増やせない中で、どうやって施設部などの業務を賄っていくかということになると、DX化によって事務の効率化を図るとか、あるいは近隣の大学等との連携を取りながら、マンパワーをお互いに共用し合うとか、今後より一層の事務改革が求められるのではないかということを最近思っております。したがいまして、施設のマネジメントの高度化を推進する事務体制自身を今後どのように運営していくのかを、真剣に考えていかなければならない時点に来ていると考えております。
予算要求に関して、考え方2を文部科学省としては強く要求していくうえで、足元の大学等において、必ずしも事務員の増員を前提とすることなく、施設関係の事務体制、施設マネジメント体制をどれだけ強化するかということを鋭意考えていかなければならないと思っています。どうもありがとうございました。
それでは時間も一応来ておりますが、どうしてもこれだけは言っておきたいというような御意見、あるいは御質問等ございませんでしょうか。
それでは、今日いただきました御意見をもとに次期の5か年計画の整備目標等について、事務局にはさらに深めていただくことを何とぞよろしくお願いをいたします。
どうもありがとうございました。
続きまして、議題の2ですが、先ほどからも言葉としては出ております共創拠点のことです。その実装化、多様な財源の確保に向けた取組について、事務局よりまず御説明をいただきます。よろしくお願いいたします。
【真保計画課整備計画室長】 事務局より説明させていただきます。共創拠点への実装化・多様な財源の確保については、前回の会議で事例と論点を整理して御議論いただいたところでございます。今回は、その事例について調査を継続するとともに、また幾つかの事例について追加を加えておりますので、それについて紹介をさせていただければと思います。
事例につきましては、各大学が共創拠点の実装化に向けた取組を行う際の参考となりますように、ソフト、ハードが一体となった取組の概要、施設整備の財源、用途、ステークホルダーとの連携の経緯、また、施設整備による効果などについてできる限り周知するように努力をさせていただいております。
これらの事例につきましては、本日の委員の皆様の御意見も踏まえまして、最終報告書の参考資料とするために、今後またブラッシュアップをさらに行っていきたいと考えております。
通し番号の20ページが目次になりますが、この中を見ていただくと分かりますように、今回の事例の中には新たに大学共同利用機関法人の事例を2点加えてございます。中間まとめにおきましては、大学共同利用機関法人についての記載はほぼなかったように思いますので、必要であれば、本日、大学共同利用機関における施設面からの機能強化といった点についても御意見等賜れれば幸いでございます。
それでは、以下、簡単に事例を紹介させていただきます。1点目は、東北大学の事例でございます。こちらにつきましては、仙台市にある青葉山キャンパスにナノテラスをはじめとするサイエンスパークを形成いたしまして、産学連携により、社会課題の解決や新産業の創出を目指す共創の場を形成しようとするものでございます。
三井不動産さんのパートナー企業として取組をしている点、仙台市の都市構想とも連携した共創拠点化を推進していること、そして、先端のコアファシリティーを研究セキュリティーなどに留意しながら整備していること、こういった点が特徴として挙げられると思います。
続きまして、次のページですが、一橋大学の事例になります。前回の会議で有識者からご説明いただきましたとおり、三菱地所と連携をしながら、ソーシャル・データサイエンス学部の取組を決めるに当たって、空間の価値創造に関する実証研究に活用できるように、三菱地所様のほうで既存施設の改修を行い、現物として一橋大学に寄附をしたという事例になってございます。
次が金沢大学の事例でございます。こちらは角間キャンパスでございますが、左側、株式会社ダイセル様からの資金提供により、バイオマス研究の社会実装を推進する拠点を整備し、同社と協働してセンターの運営を行っている施設の事例でございます。
右側は未来知実証研究センターでございますが、こちらは大学発スタートアップや企業などのニーズに基づいて産学官連携を推進する施設を設置している、こうした事例でございます。
もう1ページ先でございますが、金沢大学におきましては、能登地方におきまして、自治体と連携をした創造的復興に向けセンターを設置しているという事例がございます。こちらは震災後に組織したものでございますが、人材育成などの拠点としての活動が進んでいます。こちらは、震災以前から幾つかの自治体と連携をして教育研究活動を展開していたことが、震災後のスムーズな拠点形成につながっていると理解しております。
次のページが京都工芸繊維大学の事例になります。こちらについては、大学として、国際競争が激化するという点も踏まえて、全体としてのグローバル化を推進していく、その中で、国際活動を行う幾つかの施設をキャンパス内に整備をいたしまして、キャンパス全体として国際的な共創拠点化を目指していこうといった形での取組の事例になります。
続きまして、広島大学でございますが、こちらは地方公共団体との協働ということでございますけれども、立地している東広島市と協働いたしまして、地域課題の解決などを目指す「Town&Gown構想」を推進しておりまして、キャンパスの全体を実証実験の場として社会実装に向けた研究開発を行っているという事例で、その拠点施設をキャンパス内に整備をしてございます。事務局には東広島市からの出向職員などもいると伺っております。
次が香川大学の事例でございます。こちらにつきましては、香川大学の強みであります希少糖研究の過程で蓄積した知財戦略、また、様々なネットワークを他分野にも展開をしていくため、イノベーションデザイン研究所という組織を設置いたしまして、そこで推進する部局横断的な研究のマネジメントについて、ネットワークのハブ組織としての施設を整備したという事例でございます。その施設内では、主にプロジェクトマネジメント、企業とのマッチング空間としての利用がされておりまして、産学連携がさらに進む契機になっていると聞いてございます。
その次のページが鹿児島大学の事例でございます。こちらは前回も紹介をしておりますが、産業動物の参加型臨床実習施設の不足を解消したいという大学側の意向と畜産業の担い手不足が課題であった鹿児島県の曽於市の考え方がうまく一致をした事例だと思っております。閉校した県立高校を改修して拠点化をしているということ、その財源に地方創生交付金ですとか、企業版ふるさと納税を充てているという点、そして、施設については、市側が委託をした社団法人が運営をいたしまして、そこに大学がレンタルをする形で入居している、こういった点が特徴的であると思っております。
続いて高専の事例になりますけれども、函館高専でございますが、こちらは高専と卒業生、地元企業などが連携をして、醸造ラボを企業の敷地内に整備をし、連携して醸造分野の教育・研究などを行っているということに加えまして、高専内にもKOSENコモンズという形で産学連携のスペースを設けて、学生の起業家精神の醸成にも寄与していこうという形で整備をしているという事例でございます。
続きまして、もう一つの高専、こちらは長岡高専の事例でございますが、長岡高専は、従来より国際交流活動に注力をしてきているというところでございますが、そういった中で、新たに日本人学生と留学生の混住型の国際寮を新営いたしまして、学校全体に多様性に対する理解、国際的視野の広がりが進んでいるという事例でございます。
もう1点は、市内の中心部に立地する市の施設で行われている「まちなかキャンパス長岡」という市の生涯学習的な事業でございますけれども、こちらに長岡高専が市内の4大学と共に参画をして、先生方が実質的に講座の企画運営を行っているという事例でございます。従来の社会教育を超えた学びを創造したい市側と、若者との接点をつくりたい高等教育機関側が連携して始まったものだということで聞いてございます。
以下、2つが大学共同利用機関の事例でございます。次のページをお願いします。こちらは人間文化研究機構でございますが、6機関が機構の下にございますが、その1つの千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館の事例を紹介させていただきます。こちらはかなり多くの文化財が資源として収蔵されておりまして、そういった豊富な文化財を用いた研究、またはそれを用いた展示、それらが有機的に連携をして研究をしていく取組を推進しており、その中で、歴史・文化系分野の産学官のネットワークがしっかりと出来上がってきており、その影響力が高まっているということでございます。さらに、このことが国内外の研究機関との共同研究や、文化財のレスキュー活動、例えば震災などが起こった際に文化財が被災をしてしまった際に、その地域に出向いて活動を行う、このようなことにつながっていると聞いております。
次のページが高エネ研、いわゆるKEKでございますが、こちら事例として紹介するのは、KEKの中にあります物質構造科学研究所の中にある構造生物学研究センターの事例でございます。こちらは細胞レベルでの解析を行うということで、クライオ電子顕微鏡の実験棟を新たに施設として整備をし、そこでは従来離れていたたんぱく質の生産・精製を行う実験室や観察、解析を行う空間をうまく集約して、研究者同士の交流を促す環境を整えたり、研究機関や民間企業との共創活動を活性化したりしているという事例になります。
人文研も高エネ研も、こちらは総研大のそれぞれの専攻の一部を構成しているということで、大学院生の利用にも供しているということでございます。
大学共同利用機関においては、学術コミュニティーの中心地という機能がありますので、今まで御紹介をしてきた大学とは多少毛色が違うかもしれませんが、コモンズ的な要素は十分に入っていると思いますので、こういった部分を紹介させていただきました。
続きまして、多様な財源の事例でございますけれども、1つは帯広畜産大学でございまして、こちらは保有する土地の一部を定期借地権の形で民間事業者に贈与いたしまして、事業者の資金でキャンパス内に酒蔵を造ったという事例でございます。帯広畜産大学は農業系の単科大学でございますので、こうした酒蔵を造ることで、現場レベルの実践的な教育、共同研究を行うということ、また、産業振興にも貢献をしているという事例でございまして、資料の一番下でございますけれども、醸造されたお酒の販売収益の一部が帯広畜産大学に寄附されているというようなことも聞いております。
次のページでございますが、福井大学の事例ですけれども、こちらは福井県のふるさと納税制度を通じた補助によって学生交流スペースを整備したという事例でございます。福井県においては、福井大学だけではございませんが、県内の大学を指定して寄附できるふるさと納税の制度を用意してございまして、寄附額の5分の4が福井大学へ交付されるというシステムになっております。この取組は、財源の多角化を目指し、学長のトップマネジメントによって実現したということ、また、福井県側にも学生の県内定着を促進したいという考えがあったということを聞いております。
次が信州大学の事例でございまして、こちらは都市計画制度の活用ということで、都市計画をうまく変更する形で立体駐車場を整備できるようになったという事例でございます。こちら、立地する松本市においても、信州大学周辺の都市機能を整備する観点から、都市計画を変更する誘因があったということで、それぞれの考え方が一致をしてうまく都市計画制度の変更につながったという事例でございます。
次のページが兵庫教育大学でございますけれども、こちらは、兵庫県が神戸市の長田区に整備をした建物に兵庫教育大学が借用の形で入居したという事例でございます。神戸市の長田区が阪神大震災からの復興過程において人の戻りが十分ではなかったということを発端といたしまして、県が看護学校を長田区に移転するに当たって、複合型の教育施設として他大学にも声をかけたところ、兵庫教育大学がそれに手を挙げて、施設の開所当初からそこに入居したという事例になってございます。
次のページが神戸大学でございまして、ネーミングライツの活用でございますけれども、神戸大学では、対象となる学内の施設などを定めたネーミングライツの基本方針を策定いたしまして、民間事業者との協定を締結して財源を確保するという取組を行ってございまして、得られた収入の一部を施設の維持管理などにも充当する好循環の仕組みを構築しているところでございます。具体的には、収入のうちの5割を施設管理部局に配分をして、さらに2割を施設の維持管理費に充当しているということで聞いております。民間事業者といたしましても、学生に広く認知をされるので、採用活動の強化などでも意味があると聞いているところでございます。
最後の事例は鹿児島大学ではありますが、こちらは共創拠点のほうでも先ほど紹介をいたしましたので、紹介は割愛をさせていただきます。
続きまして、資料の3でございますが、こちらは全国知事会の御協力をいただきまして、地方創生・産官学連携に関する国立大学等施設の役割に関して、都道府県に対してアンケートを行いましたので、その結果について簡単に御説明をさせていただきます。
地方創生や産官学の連携の取組に関して、地域社会や国が国立大学などに対してどのような取組、役割や支援を期待しているか、こういったことを目的としてアンケートを行ったものでございます。
結果の概要というところでありますが、これは完全なフリーアンサーで聞いたものではなく、幾つかの選択肢を用意して、複数回答可ということで回答をいただいております。そのうち回答率が高かったものをこちらに記載をさせていただいております。
47都道府県のうち30団体から回答がありました。期待している役割としては、地域産業振興等への貢献ですとか、人材育成の推進、社会課題の解決というところがかなり大きな割合を占めているところでございます。
どういったコンテンツに期待するかということについても、研究者・教員の知見、学生や若者の視点、大学のネットワーク力、こういったものを期待しているところでございました。
次の41ページでございますけれども、その役割を果たすために、施設面も含めて、国立大学等にどういうことを期待するかということで、オレンジのダイヤの部分が施設に関することではございますけれども、地域が活用可能な施設を明示してほしいといったことですとか、自治体や企業等の施設に来て研究等を行ってほしいということ、遠隔の観点も大事ですので、サテライトキャンパスを充実してほしいといったこと、あとは施設を使っていくという観点からは、老朽化の改善もしっかり行ってほしい、こういった意見がございました。
続きまして、では、国立大学施設の活用を自治体で検討するに当たって、どの部局が担当しているのかということについても聞かせていただいた結果でございますが、こちらについて、円グラフの左下でございますけれども、一番多かった回答が、施設活用の内容により異なるということになります。次いで右上のほうにあります産学官連携を担当する部局が主体となって検討するということが2番目に多い回答でございました。
課題として感じていることをさらに質問で聞かせていただいておりますが、2つ目以降ですけれども、連携の窓口が分かりにくいですとか、連携事例が少ない、連携のきっかけがつかみにくいということで、地方に立地する国立大学側が思っている課題と似たような課題を自治体においても感じているということが何となく分かってきたと思っております。
次のページでございますけれども、地方創生や産学官の連携に関して取組を推進するに当たって、国に期待する取組や支援策ということで聞いたところでございますが、積極的な情報の発信ですとか、活用できる補助制度の紹介、連携のための仕組みづくり、相談窓口、こういったところが主な回答として上がってきているということでございました。
次のページ以降は、フリーアンサーですとか、各選択肢の回答をグラフ化したもので、細かく回答いただいたものを概要としてまとめ、以下に添付をしてございますので、説明は割愛をさせていただきます。
長くなりましたが、説明は以上になります。御議論のほどどうぞよろしくお願いいたします。
【西尾主査】 どうも説明ありがとうございました。共創拠点につきましては、今まで高等専門学校、大学についてさまざまな議論をしてきたところですが、今回新たに大学共同利用機関に対しても言及する形でまとめていただいております。それと最後に御説明いただきましたアンケートのことですが、大村知事には、説明のありましたような形で知事会から御協力いただいていることを心より感謝申し上げます。この点に関しましては、江尻様から大村知事になにとぞよろしくお伝えいただきたく存じます。
それでは、皆様方から今までのことで御質問、御意見をいただければと思いますが、今日、大学共同利用機関のことが新たに出てきましたので、木部先生、どうか最初に御発言いただけますとありがたく思います。よろしくお願いいたします。
【木部委員】 取り上げてくださってどうもありがとうございます。私は高エネ研のことは少ししか知らないですけれども、国立歴史民俗博物館のことを資料に上げてくださっているので少し御説明しますと、先ほども申しましたように、大学共同利用機関のミッションは、設置当初から全国の大学の支援を行うことです。博物館の場合は、全国に博物館があり、東日本大震災をきっかけに、歴博等が中心になって全国歴史系博物館協議会をつくりました。現在、800ぐらいの博物館が入っているようです。実際に災害が起こったときには、それぞれの町の博物館ですとか、市の博物館が対応しますが、東日本大震災のときには個々の博物館では対応し切れなかったということがあって、文化財レスキューなど、博物館同士が連携して各地域の博物館の支援をするようにしたわけです。各地には被災した文化財の保存の設備や施設がない、被災資料は取りあえず冷凍して保管するのですが、その大型冷凍施設がないとか、いろいろな不足があるので、そういうものを歴博などが引き受けて、一時保存してレスキューするというようなことをしています。それから、レスキューのノウハウを支援するようなこともやっています。
地域の文化の保存の意味で非常に重要な仕事だと思っておりますので、今回こういう形で取り上げてくださったのは非常にありがたいことだと思っています。
高エネ研のほうは、世界的な共同利用機関として機能しているところです。今回はクライオ電子顕微鏡の例が挙がっていますけども、これは日本だけではなく世界的な規模の研究につながっていく施設だと考えておりますので、こういう支援が国としては非常に重要だと思っております。
【西尾主査】 ありがとうございました。大学共同利用機関の役目には、機関の壁を越えて共に創造活動を展開していく拠点であることが求められており、共創拠点的な要素を多分に含んでいます。
ただし、我々が今まで議論してきた地域における共創拠点という観点から考察してみるとき、歴博の場合は、歴博がある周りの地域ということよりも、日本のさまざまな地域に存在する博物館に対して、歴博が多様な支援しておられるということ。また、高エネ研の場合は、周り、国内の地域というよりも、世界を相手にしての共創拠点と言えます。
二つの大学共同利用機関の例示から、共創する対象となる機関の位置する地域についていろいろな場合があることも考慮した議論が非常に重要になって来ると思っております。
先生、本当にありがとうございました。
【木部委員】 ありがとうございました。
【西尾主査】 皆さん方から今までの御発表に関しまして、御意見とか、御質問、さらに次期5か年計画のまとめ方について、こういう視点が大切ではないかについてコメントはございませんか、山内委員、どうぞ。その次に恒川先生、お願いいたします。
【山内委員】 ありがとうございます。今回の実装化の取組事例、共創拠点の多様な活動、民間企業の関係性も含め、非常に参考になりました。私ども商工会議所も各地で大学と連携協定を数多く結んでおりますが、実効性や実質化が十分でないケースも多分にあると思っております。こうした状況を改善するためには、紹介いただいたような事例、成果、その波及効果もできれば定量的に評価し、外部へ公表するとよいかと思います。企業にとって大学が投資価値の高い場であるということを可視化できると、大学に対する民間企業の見る目も変わってくると思っています。
私はずっと経営支援について担当していましたが、ビジネスベースでの産学連携は着実に進展していると思います。多様な財源確保を前に進めていくためにも、こうした好事例を私ども商工会議所も積極的にキャッチアップして、地域の企業が地域の大学などに協力しようと思えるよう少しでもPRしていければと思っております。ぜひともこうした事例を見やすい形で示していただけるとありがたいと思います。
また、大学と産業界の橋渡し役となるコーディネーターの役割を担う人材の配置を進めていくと、先ほど紹介のあった事例が効果的に進んでいくのではないでしょうか。
ですので、ハード面だけでなく、運営体制・情報共有・相談体制の整備などの、地域を巻き込めるソフト面も含めた総合的な整備・支援を地域全体で進めていただきたいと思っております。
【西尾主査】 非常に大切な御意見をいただきまして、ありがとうございました。知事会のほうからもできるだけそういう事例を紹介してほしいという要望がありましたので、それにも合致する御意見かと思います。ありがとうございました。
恒川先生、どうぞ。
【恒川委員】 ありがとうございます。今日紹介いただいた事例はそれぞれすばらしい事例だと思います。一方で、先ほどの論点の話であった整備の目標とか5か年計画と一緒に参照してこの事例が見られるといいなと思います。そうすると、性能維持改修の事例が残念ながらこの中にはなく、なおかつ多様な財源で性能維持改修をしたものは、先ほどの実績では100万平米以上ありますが、なかなか共創拠点としても多様な財源の活用としても事例として載りにくいだろうと感じるところです。
もしそうしたいい事例があれば、ぜひ掲載していただけるといいなというのが一点です。
逆に先ほど出口先生がおっしゃっていたように、性能維持改修というのは整備とか面積で測るものではないというメッセージを、先ほどの前半のところでもう少し出していただいて、整備ができたということだけが性能維持改修の結果ではなくて、例えば空調の改修ができたことによって様々な研究ができるようになったとか、そういう事例でもいいのではないかと思いました。多様な財源を使ったり共創拠点に資するような性能維持改修というようなことをメッセージとして伝えられたり、性能維持改修そのものが整備や面積にカウントしなくてもいいということが伝えられる資料の作り方になるといいなと思います。
以上です。
【西尾主査】 ありがとうございました。最初の点に関しましては、そういう事例がないかについて、事務局の方でご検討いただければと思います。後半部分では貴重な御意見をいただき、どうもありがとうございました。
ほかに何か御意見等ございませんでしょうか。
鶴見先生、どうぞ。
【鶴見委員】 高専の事例として2つ取り上げていただきまして、ありがとうございます。最初から私のほうも、共創拠点ということで、特に長岡の場合ですと、まちなかにキャンパスのようなものつくるという、そういうような取組を紹介いたしました。ちょっとさきの話ともつながりますが、新増築についてはやむを得ないものに限ると。いろいろ制限がこれからつくとすれば、キャンパス内で新しく予算取りして建物を建てるということはほぼ不可能なのではないかと、改修するしかないということになってくるかと思います。
その点では、例えば、キャンパス内の施設を新たに建てるというのが中で無理であれば、まちなかに分散させる、まちなかの建物を活用するという考え方もあるのではないか。長岡の例がひとつそれの参考になるのではないかと思います。つまり、市街地の建物の中にキャンパスの一部を移動する。そこを地域活性化の拠点とする。そういう地域創生のようなイメージをひとつできないかと。つまり、オフキャンパスみたいな整備ですね。これが1点です。
それからもう1点、防災拠点の関係とちょっと触れたいと思いますが、仮に防災拠点、各キャンパスが防災拠点として多分指定されたりしておりますけれど、例えば本校もそうなっていますが、体育館なんか空調設備がございませんけれど、そういうものが何らかの例えば予算措置がされて整備されたとしても、その後の維持管理、電気代どうするのというところが全然なければ、実質的に稼働できない。とすると、ちょっとそれは問題ではないかと思います。
その点、例えばですけれど、仮にゼロカーボンの施設として防災拠点を一緒にセットで整備する。例えば太陽光発電等を一緒にセットにする。こういった形で整備をした後に、例えばネーミングライツ、ふるさと納税といったものを使って電気代等の維持に使うというような考え方、これもあるのかなと思っています。
ふるさと納税に関していいますと、もう一つちょっと御紹介したいのは、米子高専の事例ですね。米子高専がやっているふるさと納税の、これは寄附金の使途としては、学生の地元定着に関することとか、地域の人材育成とか、産業振興といったことを米子市と協定を結んでやって、補助金という形で寄附金のうちの半分を頂くという形で使わせてもらっているようです。
実際に地域創生という意味ではふるさと納税をうまく活用して、例えば先ほどの建物の施設整備ができた後の維持費等に回すことができれば、多様な財源として非常に有効ではないかと思っております。
以上でございます。
【西尾主査】 ありがとうございます。御意見、御質問いただくのは時間の加減でここまでにしたいと思いますが、鶴見先生の御発言の中にいろいろなアイデアが盛り込まれておりまして、非常に大切な知恵を授けていただいたように思います。御意見を踏まえて、事務局の方で次期5か年計画にどのように反映していくかを、ぜひとも御検討いただければと思います。
どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、議題3、国立大法人等の施設に関連する施策についてということで、事務局より簡潔に説明をお願いいたします。
【真保計画課整備計画室長】 事務局から説明をさせていただきます。こちらについては、簡単に紹介をさせていただくという形にさせていただきたいと思います。最終報告書に向けた検討事項として中間まとめの中で触れられていた最後の事項として、国や関係機関で議論されている国立大学法人等の施設に関連する施策などについて、その議論の状況を整理し、最終報告書の反映について検討するという事項がございました。次回以降、最終報告書の案を提示させていただく際に、そういった政策文書も一部踏まえていかなければなりませんので、その前段階として、本日は最近の政策文書などについて紹介をさせていただきたいと思っております。
以下、簡単に説明をいたしますが、左側、経済財政運営と改革の基本方針2025、6月に閣議決定されたものについては、運営費交付金や私学助成などの基盤的経費の確保ということに加えまして、産学官共創の場の形成というところの注書きで、寄附などの多様な財源の活用も含めたキャンパスの共創拠点のさらなる整備を含むということで記載がございます。
右側ですけれども、こちら新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025改訂版、これも6月の閣議決定でございますが、こちらについても運営費交付金等の基盤的経費の確保ということに加えて、地方におけるイノベーション拠点の強化ということで、キャンパス全体の共創拠点のさらなる整備充実について触れられているところでございます。
次のページでございますが、こちら、左側の2つについては、地方創生2.0の基本構想及びその施策集についての記載でございますけれども、こちらについては、地方創生型共創拠点というワードで明確に共創拠点についての記載が盛り込まれておるところでございます。
右側でございますが、こちらは国土強靱化の実施中期計画、これも6月に閣議決定をされたものでございますが、防災力の一層の強化ということで、避難所環境の改善・充実というところの中に、「学校施設の安全確保、教育活動の早期再開、避難所等としての役割を果たすための耐災害性強化(国立学校)」と書いてありまして、大学、附属学校なども含めて、国立学校に対しての推進施策として書かれているところでございます。
次のページでございますけれども、左側でございますが、科学技術・イノベーション基本計画第7期の策定に向けて議論が内閣府で進められていると理解をしておりますが、こちら9月18日に資料として提出をされた論点案においても、研究力の抜本的強化の文脈において、老朽化が進む研究機器・設備・施設の計画的な整備についての記載がございます。
また、文部科学省でまとめておりますスタートアップのアクションプランにおいても、産学官連携におけるイノベーション・コモンズの実装化ということが記載をされるとともに、右側は、7月に有識者会議でお取りまとめをいただいている医学教育の在り方に関する検討会においても、地域医療の貢献などについて大学病院の果たす役割について言及をされているところでございます。
次のページは、これは中間まとめの前に中教審でおまとめいただいた、いわゆる「知の総和答申」でございますけれども、こちらも高等教育政策の目的として、質の向上、規模の適正化、アクセスの確保の3点が大きく記載をされておりますので、施設の在り方についてもこれらを踏まえる必要があるだろうと思っております。
また、次でございますけれども、こちら、「改革の方針(概要)」ということでありますけれども、令和10年から始まる予定の国立大学法人の第5期中期目標期間に向けまして、有識者会議において、その改革の方針について御議論いただいた報告書の概要でございます。
こちらについて、ガバナンスの抜本的強化というところが左下の(2)でございますが、この2つ目の丸の財務戦略について、施設マネジメントについての言及があるところでございます。加えまして、裏面でございますけれども、左上の研究力の強化に向けた取組というところでは、3つ目の丸でございますけれども、大学共同利用機関において既存の枠組みを超えて機能強化を図っていくことなどについて触れられているところでございます。また、3の赤いところでございますけれども、国立大学法人等への支援の考え方という項目で、運営費交付金との並びで施設整備補助金が基盤的な資金として機能していることに触れていただいており、当座の第4期中期目標期間中においては、物価や人件費の上昇なども踏まえつつ、運営費交付金・施設整備補助金等の基盤的経費を着実に確保することが強く求められることに言及をいただいているところでございます。
加えまして、簡単にまた紹介をさせていただきますが、参考資料1の概算要求資料でございます。こちらについては、私どもの施設運営において、「国立大学・高専等施設の整備」の予算要求をさせていただいておりますが、概算要求額については、771億円プラス事項要求という形で要求をさせていただいているところでございます。
この事項要求については、国土強靱化実施中期計画の実施に当たって、特に必要な事項を含めているところでございます。こちらのパワーポイントの内容につきましては、委員の皆様にお取りまとめいただいた中間まとめの内容を踏まえる形で作らせていただいております。
次のページ以降は、関連する高等教育局の施策、または科学技術関係の施策について資料を構成させていただいておりますけれども、国立大学の運営費交付金、高等専門学校の運営費交付金についても、前年度の予算よりも増額して高等教育局のほうで要求をしているということがございますし、また、専門人材の育成のところの1つ目にありますけれども、地域構想推進プラットフォームの構築に当たっての推進事業についても、新規予算として要求をされております。また、次のページでございますけれども、1つ目のダイヤ、高度医療人材の部分の2つ目の四角でございますけれども、大学病院の経営基盤強化に当たっての事業についても新規に要求されているところでございます。
最後のページでございますけれども、すいません、通し番号下の88ページでございますが、こちらは科学技術の分野の文脈でありますけれども、「研究力の抜本的強化による科学の再興」という資料で、パッケージのような形で予算要求資料を作っておりますけれども、研究力の抜本的強化という文脈においても、一番下の5でございますけれども、基盤的経費の確保と大学改革の一体的推進という形で、運営費交付金と並んで施設整備費補助金について触れられてございます。研究力強化の基盤としても、施設整備費補助金が重要だということを記載いただいたものと思っております。
すいません、時間の関係もありますので、以上で説明を終わりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【西尾主査】 現状のいろいろな施策につきまして説明をいただきまして、どうもありがとうございました。今、説明いただいたことをもとに、文部科学省の方々と一緒になって予算要求していくということが肝要であると思います。
国立大学に関しましては、運営費交付金が今までほぼ横ばいで推移して来ておりましたが、最近の諸般の事情を鑑みて、来年度は大幅の増額を要求していくということです。
また、文教施設整備につきましても、文部科学省の方でその重要性をさまざまな形で訴えていただき、国からの予算に関して多様な財源を通じて手当を考えていただいている状況と判断しております。
何か御質問、御質問ございませんでしょうか。
和田先生、どうぞ。
【和田委員】 ありがとうございます。大変力強いコメントと内容になっていると改めて思いました。本当にありがとうございます。
先ほど来出ていますように、高等教育機関はもちろん、地域との連携、また、それがまとまって日本全体あるいは世界に展開をしていくということが求められているのだと思います。
この3月に将来像ワーキングから国立大学の新たな将来像というまとめが出ました。その中で、1つの考え方、国立大学システムという考え方も出てまいりました。総体としていろんな形で連携していくという考えも出ています。恐らくこういった考えをすることによって地域のつながりが今度は日本全体につながり世界に展開していけるかもしれないと思って伺っておりました。
以上でございます。ありがとうございます。
【西尾主査】 どうもありがとうございました。
ほかにございませんでしょうか。よろしいですか。
それでは、最後に、議題4、その他について事務局より今後のスケジュールの御説明をお願いいたします。
【真保計画課整備計画室長】 説明をさせていただきます。資料5、投影されている通し番号下の77ページでございますけれども、本日までの会議の御議論を踏まえまして、次回、10月27日の第8回協力者会議でございますけれども、次回の会議においては、整備量に合わせて所要額の試算についても御提示をさせていただくとともに、あとは、最終報告書の素案についても御提示させていただき、御議論をいただきたいと思っております。
その後が12月9日になりますが、ここでは最終報告書をお出しして、可能であれば、ここで座長一任という形でおまとめをいただければ大変ありがたく思っております。その後、12月中には、可能であれば、最終報告書をお取りまとめいただいて、省内での検討を経て、年度末までに次期計画を大臣決定としてまとめていきたいと考えているところでございます。
スケジュールに関しては以上でございます。
【西尾主査】 どうもありがとうございました。
以上の件につきまして、皆さん方から御質問等ございませんか。
【廣田計画課長】 事務局でございます。
【西尾主査】 はい、どうぞ。
【廣田計画課長】 会の終わりに当たりまして一言申し上げたいと思います。委員の皆様、多数の御意見いただきまして、ありがとうございます。特に1つ目の議題、整備目標に関して、それぞれの委員の皆様から非常に重要な御指摘をいただきまして、本当にありがとうございます。
先ほど最後の3点目のところで予算要求などの動きについて御説明を申し上げましたけれども、既に中間まとめとして御提示いただいている内容を踏まえて、文科省として令和8年度の要求をさせていただいております。8年度からの5か年計画、つまり、最初の初年度ということで、どのようにして8年度の予算をしっかりと確保していくのかということは極めて重要なわけですけれども、それに当たって当然国費としてしっかりと予算確保していくということはもとより、どのようにして大学と関係機関と連携を図りながら、総体として予算をしっかりと確保していくのかということが重要だと思っております。
その意味において、先ほど高等教育局、あるいは研究3局の予算についても御説明を申し上げましたけれども、こうした高等教育政策あるいは科学技術政策としっかりと連携を図りながら、施設部単独で動いていくということではなくて、文科省全体としてしっかりと予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
また、先ほど御議論の中で、大学の機関同士のネットワークということについても御指摘をいただきました。先ほど御紹介をした大学の機能強化の検討会の報告書の中でも、これから研究領域においてもしっかりと大学間の連携を図り、施設・設備の共用化を図っていくということですとか、あるいは教育面でもプラットフォーム化を促進することによって、単独の大学ではなくて、そこから地域に開いて、地域のリソースと、あるいは関係機関等と連携を図りながら、面として大学がその存在意義を発揮していくということの重要性が指摘されているところでございます。
こうした大きな動きの中で、その環境をしっかりと整えていくという観点から、我々としても役割を果たしていきたいですし、また、そことの連携を図りながらこの5か年計画をおまとめいただきたいと考えておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
【西尾主査】 どうもありがとうございます。何とぞよろしくお願いをいたします。
それでは、閉会の前に事務局より連絡事項等ありましたらお願いいたします。
【木村文教施設調査分析官】 本日の議事録につきましては、改めて委員の皆様へ紹介させていただきますので、御確認いただければと思います。御確認いただいた後、文部科学省のホームページにて公開させていただきます。
以上です。
【西尾主査】 どうもありがとうございました。
それでは、これにて終了いたします。
皆様方、本日も、非常に貴重な御意見等をいただきましたこと、心よりお礼申し上げます。
また、事務局のほうでも御準備等を含めまして、この会議に対しての御尽力に心よりお礼申し上げます。どうもありがとうございました。
それでは、本日はこれで終了いたします。
企画調査係
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