今後の国立大学法人等施設の整備充実に関する調査研究協力者会議(令和6年度~)(第6回)議事録

1.日時

令和7年7月7日(月曜日)13時30分~15時30分

2.場所

オンライン会議(Zoomを用いて開催)

3.出席者

委員

西尾主査、伊香賀委員、上野委員、大村委員(代理:浅田部長)、塩﨑委員、下條委員、高橋委員、恒川委員、鶴見委員、出口委員、土井委員、両角委員、山内委員、和田委員
ゲストスピーカー:堺一橋大学特任准教授、笠井内閣府企業版ふるさと納税マッチングアドバイザー

4.議事要旨

【西尾主査】  皆さん、こんにちは。それでは、定刻となりましたので、ただいまから、今後の国立大学法人等施設の整備充実に関する調査研究協力者会議(第6回)を開催いたします。
 本日は皆さん、御多用のところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 初めに、事務局からオンライン会議の注意事項の説明、新たに委員に就任いただいた方の御紹介などをお願いいたします。
【佐藤計画課整備計画室室長補佐】  事務局を務めさせていただきます文教施設企画・防災部計画課整備計画室で室長補佐をしております佐藤と申します。よろしくお願いいたします。
 初めに、ウェブ会議の注意点を御説明させていただきます。音声が聞き取りづらい場合がございますので、御発言の際は、ゆっくりはっきりと御発言をお願いいたします。
 また、発言時以外はマイクをミュートにお願いいたします。
 また、御質問、御発言、御希望のある場合には、挙手機能を御使用ください。挙手オンにされた方に主査から御指名いただきますので、御発言はその後でお願いいたします。
 また、資料は事前にPDFでお送りしているものを画面共有しながら御説明させていただきます。
 配付資料の確認については、各自、議事次第を御確認いただきたいと思います。
 それでは、本年度新たに御就任いただきました委員を御紹介させていただきます。金沢大学学長 和田隆志委員、日本商工会議所企画調査部長 山内清行委員。以上の2名に新たに御参画をいただいております。
 また、本日は、金子委員、木部委員、酒向委員が御欠席でいらっしゃいます。加えて、山内委員が遅れての御参加となる予定です。なお、大村委員の代理としまして、愛知県政策企画局企画調整部長の浅田甚作様に御出席をいただいております。
 続きまして、本検討会の協力者として本日の会議に御参画いただく方を御紹介させていただきます。三菱地所株式会社 ユニットリーダー 一橋大学特任准教授の堺美夫様、内閣府企業版ふるさと納税マッチングアドバイザー 笠井泰士様。以上の2名に御参画をいただいております。
 最後に事務局の紹介をさせていただきますが、本日、文教施設企画・防災部長の笠原隆が用務のため遅れての参加予定となっております。
 続きまして、同じく文教施設企画・防災部技術参事官 金光謙一郎、計画課長 廣田貢、計画課整備計画室長 真保洋、計画課企画官 小野真沙美、文教施設調査分析官 木村哲治。以上になります。
 それでは、西尾主査、議事の進行をよろしくお願いいたします。
【西尾主査】  ありがとうございます。和田先生、それから山内様、新たに委員にお加わりいただきまして、ありがとうございます。どうかよろしくお願いいたします。また、今日、話題提供いただきますお二人の方にも、本当にお忙しいところ、どうもありがとうございます。
 それでは、議題に入ります。本日の議題は、「最終報告に向けた検討事項と今後のスケジュール」、これが1番目です。2つ目が「共創拠点の実装化について」でございます。3つ目が「多様な財源確保のための方策について」。それと、その他を予定しております。
 まず初めに、議題1番目、「最終報告に向けた検討事項と今後のスケジュール」について、事務局より御説明をお願いいたします。
【真保計画課整備計画室長】  ありがとうございます。事務局より御説明させていただきます。まず初めに、委員の皆様方におかれましては、今次、中間まとめの策定に御尽力をいただきまして、誠にありがとうございました。今後、最終報告の策定に向け、具体的な検討をまたお願いしたいと思っておりますが、より具体的な検討が必要となる事項におきましては、中間まとめの最終章において言及されておりますので、まず、その内容について紹介をいたします。
 お手元の資料に通しで番号が中央の下に振ってあると思いますので、説明をする際は、適宜、その通し番号を申し上げながら説明をしたいと思っております。画面にも投影いたしますが、適宜、お手元にある場合は、そちらを参照しながらお聞きいただければと思います。
 通し番号の1ページでございます。こちら中間まとめの記載を抜粋させていただいているものでございまして、今後の検討が必要となる事項が4点ございます。1点目は、共創拠点の実装化についてです。特に全国の国立大学法人等に横展開できるような効果的な取組事例について、追加調査の実施を検討することとされております。
 2点目は、多様な財源の獲得についてです。共創拠点の実装化に向け、多様な財源を獲得する仕組みについて、具体的な取組事例を調査し、具体化の方法を検討することとされております。以上の2点につきましては、本日の会議で主に御議論をいただきたいと考えております。
 3点目は、次期計画における整備目標についてです。現行計画の進捗や現下の経済情勢などを踏まえつつ、より具体的な整備目標を検討することとされております。この点につきましては、施設マネジメントの観点と併せて9月25日の会議において御議論いただきたいと考えております。
 4点目は、国や関係機関で議論されている関連の施策等について、議論の状況を踏まえつつ、最終報告への反映を検討することとされております。中間まとめの第1章においても、政府の関連答申などについての言及がありますが、今申し上げました1から3の論点の議論に当たりましても、必要に応じ、政府関連文書等の動向を踏まえていく必要があろうかと考えております。
 次に、通し番号の2ページでございます。現時点で想定している今後のスケジュールでございますが、本日と9月25日の会議で今申し上げた論点を御議論いただきまして、10月以降、2回ほど最終報告に向けた御議論をいただき、できれば年内に最終報告をお取りまとめいただきたいと考えているところです。その後、文部科学省で検討を行いまして、年度末までに次期計画を策定したいと考えているところでございます。
なお、今後また議題を説明させていただく際に、事例に加えまして事務局から議論に当たっての論点を提示させていただきたいと考えておりますが、その論点を最終報告にどのように反映いただきたいかという点でございます。こちらに投影いたしました資料は資料配付しておりませんが、補足説明資料として今、投影させていただいております。左半分でございますが、5年前に今次計画を策定した際の報告書では、左下のほうに第6章提言という章がございまして、国や国立大学法人等が取り組むべき事項がございましたが、先般お取りまとめいただいた中間まとめには、これに相当する章がございませんので、本日以降の会議においては、主に当該内容を中間まとめから最終報告にバージョンアップするに当たって肉づけすることを念頭に置きながら御議論いただければ幸いでございます。もちろん、議論の中では様々な観点の御意見が出てくると思いますので、必要に応じまして、その他の部分をリバイスすることもあろうかと思っております。
 説明は以上になります。どうぞよろしくお願いいたします。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。特に最後のところで示していただいたスライドをもう一度出していただけますか。中間まとめと違って最終報告書においては、5年前のときに記しておりますこの提言の部分、ここが今後、重要なところになっていくかと思います。そこでは国が取り組むべき事項、そして国立大学等が取り組むべき事項をこの委員会から提言を発していき、最終的には文部科学省等においてそれを御承認いただく。そういうステップを踏んでまいりますので、これからの議論が、特にこの第6章をどう書いていくかということにおいても非常に重要になってくるかと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、今御説明いただきました内容について、御質問等ございませんでしょうか。もしおありでしたら、挙手機能をお使いいただければと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、今、真保室長から御説明いただいたことを念頭に、これから我々の議論を進めてまいりたいと思います。
 それでは、続きまして、議題の2でございます。「共創拠点の実装化について」ということで、これも重要な課題でございますが、事務局よりまず御説明をお願いいたします。
【真保計画課整備計画室長】  それでは、引き続きまして、事務局より説明をさせていただきます。通し番号の3ページ以降、共創拠点の実装化の資料を用意させていただいてございます。
 共創拠点の実装化に向けた御議論をいただくに当たりまして、まず初めに、文部科学省のこれまでの取組を御紹介するとともに、次いで中間まとめで言及されている事例の紹介、国立大学法人等へのアンケート結果などについて説明をさせていただいた上で、最後に検討の論点について説明をさせていただければと思います。
 次のページ、通し番号4ページをお願いします。今次5か年計画策定以降、本調査研究協力者会議から2回の報告を今までに取りまとめていただいております。今投影されている資料は令和4年10月にお出しいただきました報告書の概要でございますが、こちらにおいては、共創拠点実現のためのポイントと具体的な整備イメージなどを提言いただいているところです。特に建物を単に建設するのではなく、その企画段階から運営活用に至るまで全体計画が重要であるという考え方を提示してございます。
 通し番号5ページをお願いします。
 次に、令和5年10月の報告書では、社会の変化等に伴い、直面している諸課題について、ソフト・ハード一体となった対応が重要であることを前提に、特にキャンパス・施設の整備の視点にフォーカスいたしまして、重点的な対応が必要となるテーマを整理し、事例をベースに施設整備の考え方や取組のポイントを提示しているところでございます。
 通し番号6ページをお願いします。次に、中間まとめで検討事項の一つとされております事例の追加調査について、現段階で事務方においてピックアップしているものを紹介させていただきます。
 1つ目は、広島大学の事例です。広島大学では、立地する東広島市と共同で「Town&Gown構想」を推進しており、地域と大学双方のリソースを活用し、企業を巻き込みながら地域課題の解決や持続可能なまちづくりなどを目指している事例になります。自治体などと、どのように連携を進めていったのかといった点が参考になろうかと思います。
 2つ目は、鹿児島大学の事例です。こちらは畜産業が基幹産業である鹿児島県の曽於市と連携をいたしまして、廃校となった県立高校の跡地に拠点を整備した事例になります。また、財源に内閣府の地方創生交付金や企業版ふるさと納税を活用している点も参考になろうかと思います。
 3点目は、金沢大学の事例になります。こちらは企業の資金提供によりバイオマスグリーンイノベーションの拠点を設置し、複数の大学や企業がオープンに参加できる環境を用意し、異分野融合による価値共創を推進している事例になります。また、能登地方において、創造的復興に向けた拠点を整備しており、この点は地域防災の観点からも参考になる点があろうかと思います。
 4点目は、一橋大学の事例です。こちらは2023年にソーシャル・データサイエンス学部を設置するに当たりまして、三菱地所の協力により、キャンパス内の登録有形文化財を改修して校舎として使用している事例になります。また、当該企業との連携において、データサイエンスを活用した空間の価値創造などにも取り組んでおられます。こちらの事例については、後ほど有識者からも御説明をいただけることになっております。
 また、最先端の研究開発拠点の整備の観点として東北大学の事例を、グローバル化に対応した教育研究環境の強化の観点から京都工芸繊維大学の事例を挙げております。
 通し番号7ページから9ページまででございますが、こちらは今申し上げた大学の事例について、現時点での調査状況をまとめたものですが、時間の関係もありますので、今日は説明は割愛いたします。事務局においては、大学と自治体や企業の連携の背景など、横展開に参考となる部分について、さらに調査を続けていきたいと考えております。
 続きまして、通し番号の10ページでございます。国立大学法人等へのアンケート結果についてでございます。事務局において、本年2月に共創拠点の実装化に向けた国からの支援策等についてアンケートを行ったところでございまして、得られた回答について、その概要を紹介させていただきます。
 1つは、うまくいかなかった事例、バッドプラクティスなども含めて事例集が欲しいということ。そして、さらに踏み込んで、各大学での事例についてより具体的な資料が欲しいといった意見がございました。
 加えて、共創拠点の整備に関する説明会、現場見学会、勉強会などを開催してほしいという声、計画見直しに関して支援をしてほしいという声もございました。
 また、ステークホルダーとの連携体制構築のための窓口の設置、専門的支援をいただきたいということ。そして、条例等による規制の緩和に向け、文部科学省から関係省庁などに働きかけてほしいといった要望が挙げられているところです。
 次いで、通し番号11ページをお願いします。以上を踏まえまして、御議論いただきたい論点を説明いたします。中間まとめを踏まえた御議論になりますので、当該まとめに沿った形で基本認識を4点記載させていただいております。
 1点目は、共創拠点の実装化に関する意義・必要性を述べたものです。
 2点目は、財源が限られていることなどを念頭に、戦略的リノベーションによる老朽改善やライフラインの更新などを基本として、共創拠点の実装化等を進めていく必要があることについて記載をしております。
 3点目は、主にステークホルダーとの関係において、国立大学法人等の施設を活用する意義を理解されるようにすることが望ましいこと。そのために実装化の意義を社会全体に示していくことが望ましいことについて記載をしております。
 4点目は、地域の防災拠点の場の形成について、平時から地方公共団体とのネットワークを形成するなど、ソフト・ハードが一体となった取組が有効であることについて言及をしております。その上で論点を説明させていただきます。
 1点目は、全学的な体制整備についてです。国立大学法人等の施設整備を担当するセクションでは、共創拠点に関する考え方が普及してきている中、これをさらに進め、実装化に向けた全学的な意識共有を図っていくために、国立大学法人等が取るべき方策、また国ができる支援はどのようなものかという点になります。
 2点目は、多様なステークホルダーと大学等との連携体制を構築していくため、国や国立大学法人等がそれぞれ行うべき取組はどのようなものかという点になります。
 通し番号12ページをお願いします。3点目は、改修事業による共創拠点化を推進、普及させていくために、国や国立大学法人等が取り組むべき方策とはどのようなものかという点になります。
 4点目は、近年の社会経済情勢を踏まえた共創拠点の在り方についてです。
 1つ目は、都市部の大学や総合大学とは立地や性質が異なる点を踏まえつつ、地方大学や単科大学では共創拠点の実装化に向けどのような課題が生じているのか。また、地方創生や大学の連携・再編に向けた政府内外の議論も踏まえつつ、キャンパス内にとどまらない共創拠点の形成について、どのようなものが考えられるかという点になります。
 2つ目は、国際競争力強化の観点から、博士人材の育成、スタートアップ、リスキリング、グローバルに通用する人材育成を進めていくに当たり、これに適した研究教育環境を創造するためにどのような施設の在り方が考えられるかという点になります。
 3つ目は、次期科学技術・イノベーション基本計画に向けた検討においても、研究力の強化は一つのテーマになっていると思いますが、これに関連しDX化、グローバル化、設備の共用化等を見据えた共創拠点の整備について、どのような点が考えられるかという点になります。
 5点目ですが、共創拠点の実装化に向けた取組を進めるに当たり、必要な知見やノウハウを効果的にシェアするための手法としてどのようなことが考えられるかという点になります。
 通し番号13ページをお願いします。最後の論点の参考として、初等中等教育分野の公立学校施設の事例を紹介いたします。文部科学省では、令和4年度よりCO-SHA Platformというプロジェクトを始めており、ウェブを通じて新たな学校施設づくりのアイデアを共有する、アドバイザーへの相談窓口を設ける、イベント開催やプロジェクトの支援を行う、そして、SNSを通じて情報交換などができる仕組みを構築するといったことに取り組んでおりまして、こうしたスキームは国立大学法人等にも参考になるのではないかと思い、参考として紹介いたします。
 通し番号14ページをお願いします。次に、文科省内で金城大臣政務官を主査として実施している学校施設の防災機能の強化・実装に向けた検討会についても御紹介させていただきます。こちらも主な焦点は、小中高の公立学校とはなりますが、主査である政務官御自身が名古屋大学に出向きまして、松尾機構長や杉山総長との間で全学的方針の下での施設整備の重要性、イノベーション・コモンズの考え方が重要であることなどについて意見交換を行っておりますので、こちらについても紹介をさせていただきます。
 事務局からの説明は以上になりますが、続きまして、一橋大学と三菱地所の連携事例について、三菱地所からクロスアポイントメントの形で一橋大学の特任准教授として活動しておられます堺様より、最大15分程度で御発表いただきます。
 それでは堺様、どうぞよろしくお願いいたします。
【堺一橋大学特任准教授】  御紹介にあずかりました三菱地所株式会社及び一橋大学の特任准教授をやらせていただいています堺美夫と申します。よろしくお願いします。
 まず、このタイトルのところ、一橋大学と三菱地所の連携事例というのは非常に面白いものだなと思っていまして、産学連携というのは昔から言われておりますけれども、意外と大企業、民間企業と大学が完全にタッグを組んで事業をやったというのはかなり少ないのではないかと思っております。
 まず、三菱地所とは、御存じの方も多くいらっしゃると思いますが、東京駅前及び上側が皇居ですね、その間に挟まれたところが丸の内・大手町・有楽町と。この色を塗っているところが、我々がこういう運営管理をしているアセットとなっております。おおむね、今、空室率も空前の低さになっているのですが、120ヘクタールほどある日本の中でも有数のセントラルビジネスディストリクトかなというふうに思われています。ここの中には、例えば、3大メガバンクだとか、商社、5大弁護士事務所、昔で言うBIG4会計事務所、そういったプロフェッショナルファームが集結しているところになります。そういった方々が、これまで130年ぐらいこの地域に集まって大丸有という街が育まれてきた歴史があります。一方、この10年ぐらい、今日の話につながるのですが、イノベーション共創の拠点づくりというところをやり始めています。ここはもう国内外成長企業及びアカデミア発スタートアップ企業などのビジネス開発支援施設の運営というところを開始しておりまして、今、左上のEGGですとか、後ほど次のスライドで説明しますが、FINOLAB、FinTechのスタートアップが集結するところを大手町ビルに作ったり、スタートアップを大企業のみならず、スタートアップもちゃんと育成・集積支援をしていくというところを始めています。
 このスタートアップという観点は非常にアカデミアと切り離せないところでして、やはりアカデミアには非常にいいシーズがあるというふうに我々は捉えていますので、右側、実は一橋大学と一緒になる前に、東京大学と2019年にFoundXという本郷3丁目にスタートアップ育成室を共同で立ち上げたりですとか、2021年に御茶ノ水の東京医科歯科大学の中に、ライフサイエンスの分野でウェットラボを共同で立ち上げたりというようなことをやっておりまして、まさにこの国立での事例というのは第3弾というか、その次の事例となっております。
 1つ、スタートアップ拠点の説明をさせていただきますと、FINOLABという名前で大手町ビルの4階にありますが、2016年ですので今から9年前ぐらいですね、当社とISIDさんが立ち上げました。ここは我々、スタートアップの育成をやるときには、どういう産業が伸びていくのかというところを考えておりまして、2016年時においては、いわゆるFinTech、テクノロジー掛ける金融といったところを捉まえていまして、大手町も大企業が多いですが、スタートアップの拠点というのを1,000坪ほどの施設を立ち上げております。
 これは入居企業ですけれども、これだけスタートアップが多く集まっていますし、大企業も多く集まっています。ここで、右下でいきますと、AssociationsのところにはFSA、金融庁さんですね、ファイナンシャルサービスエージェンシーとか、福岡県さんとか、スタートアップ、アカデミア、行政、ここら辺が一緒になって産業を盛り立てていくというような施設をつくって、今でも元気にやっております。
 その中で、一橋大学との取組ですけれども、まず2022年3月、第4期中期目標にて一橋大学の中野学長がこのように発信をしています。3つのポイントですが、ひらく=開放性を高める、つどう=多様性を高める、つなぐ=社会連携を強化すると、こう発信をされております。その中で、2023年4月に、一橋大学としては72年ぶりの新学部となるソーシャル・データサイエンス学部を開設といった流れになりました。
 なぜ一橋大学と三菱地所が連携をしたかというところを軽く触れておきますと、まさに今日ここに一緒にいます渡部学部長と七丈先生がこのような取組をやると。ソーシャル・データサイエンスの立ち上げの前から我々の大手町の施設を見に来ていただいて、やっぱり産学連携というところ、民間の力も入れて一緒に共同事業をやっていくのがいいのではないかというようなところをおっしゃっていただいて、我々も非常に一橋大学のソーシャル・データサイエンス学部が社会にスタートアップなりを生み出す原動力になるのではないかというところの期待から御一緒させていただいたというきっかけがございました。ですので、まさにこの中野学長が発信した「ひらく」「つどう」「つなぐ」、これに本当に合致したプロジェクトになっているのではないかと思っております。
 共同研究の概要ですけれども、データ駆動型社会における価値創造空間のデザインと実装というところです。一橋大学に関しては、社会科学のリサーチを背景とした理論・法的諸課題への理解、あとトップレベルのデータサイエンスの技術を用いたデータ分析の能力がある。そこに三菱地所というのが、端的に言うと、こういうイノベーション施設の運営のノウハウをたくさん持っているといったところが掛け合わさって、1足す1が2ではなくて、3、4になるといったことができないかというようなところです。
 今後の目指す姿においては、社会科学をターゲットにデータサイエンスを用いて価値創造空間を共創する。その知見の展開により国内外による社会的課題解決に取り組む。単純なデータサイエンス学部ではなくて、ソーシャル・データサイエンス学部。ソーシャルがついていますので、社会課題解決にどうやってデータサイエンスを用いていくかといったところがポイントかなと思います。
 下の時間軸に行きますと、短期、中期、長期となっていますが、短期はもう終わりましたね、2023年度まで。東本館、国立にぜひ皆さん来ていただきたいのですが、ソーシャル・データサイエンス学部の本拠地である東本館を改修して官民交流の拠点、学部の本拠地を整備しました。
 中期、これが2024年度になりますが、2025年度、今年の秋から、こちらは面白い取組なのですが、企業と連携したプロジェクトベースドラーニング、PBL演習というのを開始予定です。ここも学生さんが普通にゼミを学内でやるのではなくて、例えば我々三菱地所も一つのゼミを一緒にゼミ生とやるということになっています。日銀さんですとか、その他日本郵船さんだとか、いろんな企業さんが連携をしていただいて、様々なプロジェクトベースドラーニングを行うといったところが特色かなと思っています。
 もちろん、長期的には、まずはソーシャル・データサイエンス学部によって魅力ある空間というのをどうやって作っていくのかというところを三菱地所としてもやっていきたいし、一橋大学としてもやっていきたいというふうに考えております。
 ちなみに、イノベーション拠点の創出というところですが、これは国立の学内のマップになります。真ん中が大学通りで、北側に国立駅がございますが、このサークルで囲ってあります東本館、こちらを改装しました。私も大学院、国立に来てすごいなと思ったのですが、真ん中の東本館、こちらが国の登録有形文化財に指定されております。左側が兼松講堂、入学式だとか卒業式をやったりするところです。このような、素晴らしい建物が保存されています。そのため、我々は今、一橋大学としてもそうですし、三菱地所としても、この登録有形文化財の外見は非常に素敵なので、中をいかにして快適に、イノベーションが起こるように、皆さんが活発にできるように、単純なスクール、クラスをやるようなところだけじゃないようにやるというところを考えました。
 施設概要ですけれども、2023年に1階、2階部分の、1階に関してはこのオレンジ部分のAGORAという名前のところ、2階部分、FORUM、LOUNGEといったところの学生さんたちがみんな集まるところ、こちらを改修しています。1階のAGORAにつきましては、まさにカフェみたいな感じです。開放的で集まりやすく、会話や交流を活発にできるエリアと。あと、イベントも多くございますので、ここで様々な人、外部の人も、例えば一橋大学のアルムナイの会なども、やっております。
 真ん中のFORUM、こちらは2階です。これは完全に学習寄りのところにやっていますが、かなりここもおっしゃれにつくっております。学生の研究に特化した空間・レイアウトの自由度の高い什器を採用して、使用する人数やワークショップの種類によって自在に変形します。前に見えるドアが、それぞれの教授の部屋になっていまして、教授の部屋の前に学生たちが普通に陣取るというような活発な空間になっています。なので、いわゆる教授と学生の隔たりというのを極めて減らそうと、そういった発想でFORUMはつくりました。
 最後にLOUNGEです。こちら、外部からの来客や大学関係者が集まるところです。まさにビジネスマンとかも集まるので、FORUMでやるよりは、来客者対応のところがあったほうがいいだろうといったところで、ビジネスラウンジっぽいようなところのしつらえもつくっております。このような形で、一橋大学と三菱地所、産学連携の事例として動き始めております。
 私の説明は以上とさせていただきます。ありがとうございました。
【西尾主査】  堺様、本当に興味深いお話、どうもありがとうございました。
【堺一橋大学特任准教授】  ありがとうございます。
【西尾主査】  それでは議題の2について、先ほど真保室長が説明されたことと、今、堺様が説明されたことについての質疑応答、意見交換に入りたいと思いますが、本日御欠席の委員から事前に御意見をいただいているようですので、事務局のほうから簡潔に紹介してください。
【真保計画課整備計画室長】  分かりました。事務局から説明いたします。まず、木部委員でございますが、通し番号の70ページに資料4という形で御意見をペーパーで頂いてございます。
 1つは、大学共同利用機関の特有のシステムに鑑みれば、その機能強化を研究力の強化につなげ、共創拠点の実装化というところに結びつけていくことが重要であるということ。
 2点目は、大学共同利用機関においても、産業界や地域などとの連携をしっかり行っているので、そのための施設整備も重要であるということ。しかしながら、大学共同利用機関法人の施設についてもやはり老朽化が進んでいるので、こういったステークホルダーや研究力の強化に当たって施設整備をしっかり行っていくことが重要だというような御意見がございました。
 次いで、本日欠席の広島大学の金子委員でございますけれども、1つは、最終報告に向けて前向きな内容になってきていることを歓迎するということ。こちらは多様な財源の論点にも関わってきますが、後ほど紹介する多様な財源のグラフについては、傾向が大きく違うということであれば、病院とそれ以外に分けたほうがよいかもしれないということ。取組事例の紹介については、どのような事項についてステークホルダーがどういった関与をしているか、全体像についてマッピングできないかということ。ステークホルダーとの連携では、専門人材が必要になるかといったことも検討する必要があるといったこと。あとは、各事例について事業の金額的規模感を示したほうがよいのではないか。また、今後の自治体や産業界との連携可能性を示していく場合には、効果が大きくレバレッジすることを示して、ややもすると財務省から文科省に対して施設整備補助金が減額されることにならないように注意する必要があるといった御意見がございました。
 最後に、酒向委員でございますが、1つ目は、共創拠点の実装化に向けて、拠点に地理的にアクセスできない人もいらっしゃいますので、リモートなども用いてアクセスを確保していくといったことがまず1点、必要ではないかという御意見がございました。
 もう一点は、開かれたオープンな共創拠点というコンセプトは重要である一方で、セキュリティーの観点から、企業の中にはクローズドな環境を求める意見もあるので、そういったニーズも踏まえながら、共創活動の相手方となる企業等に合わせたメリットを提示することが重要なのではないといった意見がございました。
 以上になります。よろしくお願いいたします。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。共創拠点につきましてはいろいろ議論してきたところですが、実装化というところについて、今後、最終報告書に向けてより議論を深める必要があるかと思います。御意見、あるいは質問等おありの委員の方、挙手機能を使ってお知らせいただければと思います。いかがでしょうか。
 出口委員、どうぞ。
【出口委員】  どうもありがとうございます。東京大学の出口です。後半のほうで発表していただきました三菱地所の堺先生に御質問させていただきたいと思います。理解を深めるために少し補足を求める質問をさせて頂きたいと思いますが、よろしいでしょうか。
【西尾主査】  どうぞ。
【出口委員】  大変興味深く拝聴しましたが、一橋大学のキャンパスのことをきちんと把握していないものですから、後半にご説明されていた東本館の建物に大規模改修についてお尋ねします。2022年に全面改修して23年に内装を改装して、3つのスペースを創出されたということですが、この事業と大学の中計・中目との関係について教えて頂きたいと思います。新学部を72年ぶりに創設したとのことですが、この建物が新学部の拠点になっていて、新学部が主として活用する施設なのかどうか。また、既存の学部が利用していた施設なのかどうかということ、また、この3つのスペースの従前の利用、従前はどういうスペースだったのかということ、大学でこういったスペースを改修して、利用の仕方や管理の仕方を変えることは結構大変でして、既得権みたいなものがあったりすることも少なくありません。このスペースに関してはその辺どうだったのでしょうか。
 それから、この3つAGORA、それからFORUM、LOUNGEという素晴らしいスペースを創出された後に、その運営形態について、どういった組織で運営されているのでしょうか。新しい組織をつくられたのか、あるいはこの建物を管理している学部の中にそういった部署を設けたのか。その辺も補足していただけると理解が深まるのでありがたいと思います。よろしくお願いします。
【堺一橋大学特任准教授】  まず、東本館については、従前いろんな学部が多分使っていたものの、今回、72年ぶりに東本館を使うということで、計画的に2023年から新学部がここを利用するというところで計画をしておりました。一橋大学、国立及び小平にもキャンパスを持っていまして、東本館の前の用途を小平に持っていくことによって、東本館の場所を空けてソーシャル・データサイエンス学部のところに再配置というか、集中したといったところがあります。
 出口先生の2点目の質問に関しては、多分、1点目とかぶると思うのですが、大学の中でどういった、東大もいろんな学部の中でどういうふうな計画でキャンパス計画をやるかというところはありますけれども、一橋大学に私も入って思ったこととしては、この学校はすごくアルムナイを含めて仲がいいなというか、こんな率直に言ってはあれですけど、さらに最初の学長のスライドを私申し上げましたけれども、中野学長のイニシアチブがかなり強いです。これを「ひらく」「つどう」「つなぐ」ということでやっていらっしゃったので、そのことで、そもそも東本館をソーシャル・データサイエンス学部のために使うぞというような強烈なイニシアチブがあった下、動かせているかなといったところです。
 3点目、運営形態ですけれども、大学を学部新設するに当たって、施設課の職員が一緒になってやっていただいていて、もちろん学部ができる前からどういうふうなプロパティマネジメントをするのか、あと学生管理をするのかといったところもやっておりまして、施設課のほうでしっかりと管理運営をしているといったところになります。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
【出口委員】  どうもありがとうございます。理解を深めることができました。
【西尾主査】  それでは、下條先生、どうぞ。
【下條委員】  私の質問で申し訳ないんですけれども、三菱地所さんとは大阪でもうめきたで大学との連携を進めておられて、こういうやり方って非常にありがたいと思うんですけれども、一方で、いわゆる都心にあるキャンパスと、それから、これの東本館みたいな国立のリモートであるキャンパスとの使い分けとか連携というのが結構難しいかなと思っていて、その辺が1つと、それからあと、三菱地所さんとしてのウィン・ウィンというか、要するに大学が来て、それで地価が上がったりするとうれしいとか、もちろん長期的にはいわゆるスタートアップが出るとうれしいですとか、その辺のところってどうなっているのかというのをお聞かせいただければありがたいです。
【西尾主査】  2点の質問がありましたが、堺様よろしくお願いします。
【堺一橋大学特任准教授】  おっしゃるとおり、下條先生、すごく悩ましい点を質問いただいたなと思っていて、東大は本郷にあって、東京科学大学(東京医科歯科大学)は御茶ノ水にあります。ですので、大手町・丸の内・有楽町と物理的にかなり近いところにあるので、ここは連携でもそんな簡単にボストンのケンブリッジみたいな感じに一朝一夕になるとは私も思っていないのですが、物理的な連携は距離感の観点ではしやすいと思っています。
 一方、国立は電車で東京駅から40分ぐらいかかるというところもあるのですが、私が一橋大学とやりたいなと思ったのは、例えば東大はディープテックの領域の産業がスタートアップの文脈で伸びるだろうと。東京科学大学(東京医科歯科大学)とはライフサイエンスの分野、ここが伸びないと、本当に日本というのは伸び悩むだろうという観点でスタートアップとかのイノベーション施設を立ち上げました。
 一橋大学に関しては、やはりソーシャル・データサイエンス学部という学部の性質、ここが本当に面白いな、すばらしいなと思っています。ここが間違いなく新たな産業をつくるなというふうに思った次第です。そのため、少し距離はありますが、ここを一緒にアクセラレートしていくというところは一企業としても、もちろん一橋大学のほうにすばらしいシードがあるので一緒にやっていきたいというふうに思った次第です。
 2点目の御質問に関しては、地価が上がるとかって、長期的に言うと、ライフサイエンスにしても、ディープテックにしても、このソーシャル・データサイエンスにしても、ここからスタートアップだとか、大企業のカーブアウトだとかを含めて、新たな産業が起こりやすいフィールドだという認識をしていて、ここから産業が大学から民間と一緒になって起こってこないと、そもそも日本って終わってしまうなといったところの危機意識があるので、そこは国立から、国立近辺でスタートアップが増えて、丸の内ではないという小さなことは考えずに、産業が国立から伸びてきて、10年後、20年後大きくなって丸の内に来てくれればいいなぐらいな、そんなスタンスでおります。
【下條委員】  ありがとうございます。すばらしい。
【西尾主査】  下條さん、納得されましたでしょうか。
【下條委員】  非常に長期的な視野に立っておられていて、ありがたいです。
【西尾主査】  私も今の堺さんのお答えには感銘を受けておりました。ありがとうございました。
 それでは、上野先生、どうぞ。
【上野委員】  上野でございます。私はまず最初、事務局の方に資料に対する質問をさせていただきたいのですが、10ページのアンケートから共創拠点実装化に向けた検討の論点ということで、12ページにかけて御質問させていただきます。まず、アンケートの対象が各国立大学法人等の施設担当部課ということになっています。今回、国立大学全体をイノベーション拠点化するというのは、施設担当部課というより、大学全体でどう考えていくかということが非常に重要だと思います。その辺り各大学の考え方を入手する方法を何か他に考えていらっしゃるのかどうかという点が1点ございます。
 これについては、論点1から5についても、それぞれ施設担当部課だけじゃなかなかできないことばかりだと思います。その辺りが、中間まとめから最終報告に持っていくときにどのようにまとめていくのか。そこが今回非常に重要になるのではないかと思いました。
 まず1つ目の質問はこれで、もう一つありますが、時間が余ったら違う質問をさせていただきたいと思います。
【西尾主査】  分かりました。今の御質問は非常に重要であると思いますが、いかがですか。
【真保計画課整備計画室長】  お答え申し上げます。端的に申し上げて、非常に重要な御指摘であると思います。今回のアンケートは、まさにその施設担当部課にアンケートをしておりますので、上野先生から御指摘を反映できるようなものになってはございません。今の御指摘は重要なものと受け止めまして、言わば施設担当部課ではなく、ほかの大学全体に我々もアプローチしていけるように関係局課との連携もしっかりと取りつつ、また、我々が直接大学に出向くなどしてしっかりとその現状を拾い、施設部以外にもしっかりと訴求をしていけるように我々としてもアプローチをしっかりと行っていきたいと、今の段階ではそのようなお答えになるかなと思います。ありがとうございます。
【西尾主査】  どうもありがとうございます。アンケート等を取る場合に対象をどこにしたら有効なのかの検討をよろしくお願いいたします。
 それでは、上野先生には、また後で時間があります場合に質問をお願いしたいと思います。
【上野委員】  ありがとうございます。
【西尾主査】  伊香賀先生、どうぞ。
【伊香賀委員】  伊香賀です。ありがとうございます。1点のみなんですが、本日の発表には言及されていなかったんですが、カーボンニュートラル化への対応について、特に地所さんが一橋大学と一緒に組まれた事業の中で、例えばカーボンニュートラルとか、国立大が先導して取り組むべき課題に対して、それなりの削減の予算をちゃんと盛り込んでいるのかどうかという辺りを教えていただきたいと思います。多様な財源が必要な中で、こういう民間の資金をカーボンニュートラル化にも入れていくというのが今後必要になると思うので、一橋大学についてはどうだったかというのを教えていただければと思います。
【西尾主査】  堺様、いかがでございますか。
【一橋大学事務局】  すみません、一橋大学の事務方からよろしいでしょうか。
【西尾主査】  結構です。どうぞ。
【一橋大学事務局】  カーボンニュートラルということでございましたけれども、以前の改修で東本館を全面的に改修しておりまして、そのときにいろんな設備とかを改修しております。その上で、三菱地所さんは中身のほうをサポートいただいているという形でございます。ありがとうございます。
【西尾主査】  それで今、一橋大学の場合は、東館のカーボンニュートラルについての様々な改善というのは、国の経費でなさったと考えてよろしいですか。
【一橋大学事務局】  施設整備補助金のほうでやっております。
【西尾主査】  分かりました。伊香賀先生。
【伊香賀委員】  分かりました。ありがとうございます。
【西尾主査】  最終報告書においては、カーボンニュートラルのことについては、もう待ったなしの状況ですので、より強く記述することに十分配慮してまいります。どうもありがとうございました。
 次、恒川先生、どうぞ。
【恒川委員】  ありがとうございます。名古屋大学の恒川です。最初のほうのスライドでご説明いただいた、中間まとめと最終報告書の関係について質問です。最終報告書は、基本的に昨年度の中間まとめの1章から6章までの内容に提言が付加されるというものなのか、それとも中間まとめでまとめてきた1章から6章までの内容をさらに実装化とかに向けて、いろんなことをもっと付加していくおつもりなのか、ということをお聞かせください。また、今日御紹介いただいた三菱地所さんも含めた事例はどのように関わっていくのか、さらにアンケートの内容などもどのように付加されているのか、お聞かせいただきたいです。
【西尾主査】  重要な観点かと思います。事務局からお答えできますか。
【真保計画課整備計画室長】  事務局から説明いたします。今の時点での事務局の想定ということでお答えを申し上げます。中間まとめにつきましては、先生方におまとめをいただいたもので意見募集も行って取りまとめているものでございますので、今取りまとまっている中間まとめの内容を大きく変えるということは適切ではないんだろうというふうに思っております。したがいまして、今後の御議論においては、第6章の提言、5年前の報告書の提言に相当する内容を中間まとめに付加していくというような考え方で今の時点では事務局としては想定をしているところでございます。
 その中で様々な御意見が出てくることも想定されますので、内容によっては、中間まとめの第1章から第5章において、そのリバイスをするということは考えられるだろうというふうに思っております。その他、様々事例を紹介させていただいておりますが、これは各大学の横展開の参考になるものであろうと思いますので、しっかりとブラッシュアップをいたしまして、最終報告書の参考資料に添付していく方向で考えたいと思っております。アンケートにつきましても、必要であれば最終報告書の参考資料につけることを考えたいと思っております。
 今の時点での事務局としての想定は以上になります。どうぞよろしくお願いします。
【西尾主査】  ただし、例えば中間まとめにおける第4章で、共創拠点の実装化に向けた記述をしておりますが、、そのことについては今日の議論でも審議をしておりますので、最終報告書に向けてより内容的には深めていくということはあり得るかと思います。つまり、5章までのところを相当大幅に変更していくものではなく、さらに強化できるところはしていきながら、第6章の提言の部分が新たに重要になってくるという考え方だと思います。恒川先生、それでよろしいでしょうか。
【恒川委員】  ありがとうございます。基本的にそれで結構かと思います。今までに出てきた事例にも大変良い事例もあるので、それも含めて、なおかつ今後新たに掲載する事例についても再度議論させていただければと思います。よろしくお願いします。
【西尾主査】  どうもありがとうございます。
【真保計画課整備計画室長】  主査、すみません、1点追加させてください。9月の検討会において整備目標など、整備量について御議論いただく予定としておりますが、そこの内容については、中間まとめの第5章で整備目標について論じられておりますので、主にそこをリバイスすることも考えたいと思っておるところです。
 以上になります。
【西尾主査】  ありがとうございます。
 では、和田先生、お願いいたします。
【和田委員】  ありがとうございます。今回から参加させていただきました金沢大学の和田と申します。よろしくお願いいたします。
【西尾主査】  よろしくお願いいたします。
【和田委員】  8ページ目に本学の取組も御紹介いただきまして、ありがとうございます。この取組の紹介、少し補足をさせていただいて、さらに1つだけ御質問させていただければありがたいと思います。
 上段のほうにバイオマス・グリーンイノベーションセンターとございます。ここに書いてありますように、最先端研究から製品化まで一貫した共創環境ということを行っています。それに加えまして、初等中等教育との連携になっているということもお伝えしたいと思います。例えば能登のお子さんたちを含めてここに招き、科学の楽しさを学んでいただく、楽しんでいただく、こういったことも実施しております。
 それから下の能登里山里海未来創造センター、ここは能登の創造的復興ということに寄与するセンターでございます。実際、私ども能登に5つの施設等を持っておりました。そのうち3つが使えない状態になりました。復旧に関しましては文部科学省の皆様方に大変お世話になりました。この場を借りて御礼申し上げます。
 能登は御存じのように、過疎地でございます。15年先を行く高齢化のところです。したがって、能登の未来というのは日本の未来ということにもなろうかと思います。その観点から、この地域にある施設は、今回、防災機能としてもかなり機能したということです。実際、今サテライトは幾つか追加をしておりますので、こういった防災機能を少し強調されてもいいのではないかと思いました。
 1つだけ質問させていただきます。一橋大学の事例、大変すばらしい事例を本当にありがとうございます。8ページにデータサイエンスの活用による価値創造空間の創出とございます。そこで、今回のこの価値創造空間に関わる実証実験ということがコメントされております。先ほどの取組内容からどのような形で実証研究に持っていくのか。恐らくほかの大学、ほかの産業とも連携をとられるのではないかと思います。その方向性について教えていただければと思います。よろしくお願いします。
【西尾主査】  金沢大学の事例に関しては防災機能、特に能登地方については、そのことも言及すべきではないかというご意見、ありがとうございました。御質問いただきました件について、堺様、いかがでございますか。
【堺一橋大学特任准教授】  簡単に。まさにこれから、9月からプロジェクトベースドラーニングが始まるので、いわゆる実証実験が9月から開始します。一つ、三菱地所と一橋大学で行うプロジェクトベースドラーニングは、大手町・丸の内・有楽町、出せるデータになりますけれども、例えばそこでの人の流れがどういうふうになっているのか。意外とこれまで三菱地所としても、人の流れというデータは集めてきたようでいて、それを本当にデータ解析までしてこられていなかった実態があります。こちらを一橋大学さんと組んで、より、AIを使って実装したいなと。
 つまり、すごく簡単な事例でいくと、いろいろ商業施設がございますが、この店舗構成で本当に一番価値が高いのだろうかとかというところというのは、かなりこれまでの商業施設のノウハウ的なところに頼ってきております。ただ、本当にこの二、三年、莫大にAIが社会実装している中、この一橋大学のソーシャル・データサイエンス学部の中で、大手町・丸の内・有楽町という舞台を、データの宝庫だと思うのですが、ここをどんどん分析していただいて空間の価値を上げていただければなと思いますし、ひいては、そこは大手町・丸の内・有楽町だけではなくて、どこの都市でも一緒のことだと思うので、ここで出た成果というのを日本全国の都市に還元できるようなことになればうれしいなという思いでやっています。まさに手探りですけれども、一緒にやっている渡部学部長、七丈先生とともに9月からしっかりと試していくというフェーズに入っていますので、またいい御報告ができればいいなと思っています。
【西尾主査】  ありがとうございます。和田先生、よろしいでしょうか。。
【和田委員】  ありがとうございます。
【西尾主査】  先ほど下條先生が、双方にとって益するという観点から、特に企業側にとって益するところという観点からは、今おっしゃっていただいたことが、三菱地所として得るところが大きいのではないか、と思いました。大丸有の活性化をさらに加速していく上では非常に良いテーマだと思いました。どうもありがとうございます。
 山内様、どうぞ今日からよろしくお願いいたします。
【山内委員】  日本商工会議所の山内です。初めて参加をさせていただきます。まず、一橋の事例等々、参考になりました。こうした事例を掲載していくことは非常に大事で、見せ方を工夫していく必要があると思います。先ほどありましたように、企業との連携、ウィン・ウィンの関係であれば、そのシナジー効果をうまく見せていくといいと思いました。
 私自身は、これまで地域で企業側としての産官学金連携に取り組んでおりまして、今は地方創生も担当しております。今後、施設整備や大学の重要性を打ち出し、共創拠点である大学の施設をどう生かしていくのかというのは、地方創生においても、大きな推進力になると思います。ディープテックなどのイノベーションハブのような所は、イメージが湧きやすいと思いますし、キャンパス的な都市づくりを中心としたような、地域課題解決のようなところにおいても、今日のような事例をうまく出していくと、施設整備がいかに重要かということで予算を取りやすくなるのかなと思います。
 私、行政改革も担当しておりまして、国立大学や、未利用地を含めた国有地といったものの不動産の効率的な活用というのは非常に重要な観点だと思っております。ですので、官民連携におきましては、大学本来のミッションを踏まえ、先ほど御説明がありましたように大学には特色と強みがあり、一方でビジネスに強い企業群がありますので、ここをうまくつなげて、どう大学を整備していくのか、どう地域に貢献していくのか方向性を示していくと、今後プラットフォームでの議論に上がってくると思っております。ただし、私どももいろいろな地域事業で第三セクターの失敗を何度となく見てきておりますので、誰が責任を持って事業を担うのかという点も、整理をしていただけると、うまく整備ができると思います。
 あと、交通アクセスのところはとても大事だというのは各地を訪問して感じています。大学の施設は、様々なところにありますが、地域にとって大学にとってそれぞれ必要だと思う最適な場所で、大学で整備をするのか、あるいは地域の空いた施設などももうまく使うのかを地域の中で考えてほしいと思います。まちなかキャンパスの整備のようなものもあるので、柔軟に考えていけるといいと思っております。
 1点、この議論の中にはまだ出てきておりませんが、博士人材については、非常に重要だと思っております。ドイツでは、中小企業の中にドクターがいます。博士人材を社会で生かすためにはキャリアパスをうまく提示していくことが大事ですし、我々受入れ側とすると、労働環境の整備も必要だと思っております。若手博士人材の職業的な地位の安定的な確保、ここを官民挙げて進めていくべきですし、大学院における博士の育成や、研究に打ち込める場の整備である施設整備がとても大事なので、ここは行政に対してしっかりと予算措置を含めて求めていくべきだと思っております。
 製品化の前の段階で実験・検証ができる場というものが大学にあればいいという声は、多くのところから聞いております。産学が自然に交わる場所、地域的に開かれた空間としての整備がこれから必要になってきますので、ぜひニーズに応じた柔軟な制度設計をしてほしいと考えます。また、地域の公設試などの様々な専門的な機関もありますから、そういった機関も融合する形で整備を進めることができると、地域にとって大学がいかに大事かということをうまく打ち出していけるのではないかと思います。私も大学に対してしっかり投資しなければいけないと考えております。それぞれの地域で考えていくアプローチの仕方、事例の見せ方について報告書をまとめられるということですので、我々からもいろいろと意見を申し上げていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
【西尾主査】  山内様、本当にどうもありがとうございました。今おっしゃっていただきました観点は、非常に重要なことばかりですので、最終報告書に向けてぜひとも山内様から事務局のほうにインプットしていただきますよう、よろしくお願いいたします。特にキャンパスが、フィージビリティースタディーを行ったり、イノベーションを起こすためのテストベッド空間になり得るということは私も十分認識しておりまして、そういう観点からキャンパスがどうあるべきか、ということも重要であり、それが研究者、博士人材のキャリアパスにもつながっていくと思います。
 それでは、議題の2につきましては、時間の関係がございますのでここまでにさせていただいて、上野先生には、最後で御質問を伺いたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
【上野委員】  ありがとうございます。了解しました。
【西尾主査】  それでは、議題の3「多様な財源確保のための方策について」、事務局より御説明をお願いいたします。
【真保計画課整備計画室長】  それでは、事務局より説明いたします。こちらにつきましても、御議論いただくに当たり、まずは最新のデータを共有するとともに、中間まとめで言及されている事例の紹介、国立大学法人等へのアンケート結果などについて説明をさせていただいた上で、検討の論点についても説明をさせていただければと思います。
 通し番号29ページを御覧いただければと思います。こちらは多様な財源の活用状況をお示ししたものでございます。多様な財源については、便宜上、文部科学省の施設整備補助金以外の資金をスコープとしているところでございますが、これらの資金に関し、令和6年度に着工または借用を開始した事業の財源内訳を示しております。これによりますと、約半分の金額を占めるのが政策目的に対応した国からの補助金でありまして、次いで、大学債などの債券等、次に目的積立金等の自己収入、最後にステークホルダーからの寄附の順番になっているというデータが取れております。
 次のページでございますけれども、そしてこの財源がどのような工事に利用されているかという点に着目してデータを取ってみますと、7割程度が新増築に利用されていることが分かりました。そして下の円グラフを見てみますと、補助金等、債券等、寄附等については、主に新増築に利用されている割合が高い一方で、自己収入などについては、老朽改善整備に利用されている割合が高いということが分かりましたので、まずはこのデータを御紹介させていただきます。
 次のページでございますけれども、中間まとめで検討事項の一つとされております事例の調査について、事務方において現時点でこちらもピックアップしているものを紹介させていただきます。
 1つ目は、福井大学の事例でございます。こちらは福井県と連携いたしまして、ふるさと納税制度を活用し、学生交流スペースを整備した事例になります。
 2点目は、帯広畜産大学の事例です。こちらは民間事業者に定期借地権の形で大学の敷地を貸し付けまして、当該事業者が教育研究に関連する施設を整備し、連携して使用しているという事例になります。
 3点目は、鹿児島大学の事例でございます。こちらは共創拠点の際に紹介した事例と同一でございまして、企業版ふるさと納税を活用している事例でございます。
 4点目は、兵庫教育大学の事例でございます。こちらは兵庫県が整備をした施設に大学が入居いたしまして、現職教員のスキルアップ、心理専門職養成の拠点として活用している事例になります。
 5点目は、神戸大学の事例です。こちらは、ネーミングライツは多くの大学で導入されているものと思いますが、早い段階から導入をし、採択している本数も多いということで、言わば代表選手として取り上げさせていただいております。
 6点目は、信州大学の事例です。こちらは大学からの申出で自治体が地区計画を改めまして、職員立体駐車場を整備したという事例になります。
 次のページ以降は、今申し上げた大学の事例につきまして、現時点での調査状況をまとめたものになります。こちらについても、各国立大学法人等が参考にしやすいようにフローチャート化をするなどして資料を作成しているところですが、事務局においては金額をはじめとした規模感といったものを含め、各大学においてさらに取組の具体化の参考となるように調査を続けていきたいというふうに考えております。
 次に35ページでございます。国立大学法人等へのアンケート結果でございます。こちらも先ほどございました御指摘を必ずしも反映できたものではございませんが、事務局において共創拠点と同様に、多様な財源の確保に向けた国からの支援策について国立大学法人の施設担当部課にアンケートを実施しており、得られた回答について紹介をさせていただきます。
 1つは、多様な財源を活用した事例についてです。こちらは、先ほど説明した取組事例をさらに充実させていくことが我々の取組として考えられると思っております。
 2つ目は、補助金に関する情報提供についてです。参考資料において添付をしているところですが、事務局においても可能な範囲で大学の施設整備に利用可能な各省庁の補助金などを整理しているところでございまして、今後もタイムリーな情報発信に努力をしていきたいと考えているところでございます。
 最後に、施設整備に活用できる新たな支援のための省庁間連携、多様な財源に係る財源のマッチング支援といった部分の要望もございました。
 以上を踏まえまして、御議論いただきたい論点を説明いたします。こちらの共創拠点と同様に、中間まとめを踏まえた御議論になりますので、当該まとめに沿った形で基本認識を記載させていただいております。
 1点目は、国立大学法人等の新たな知識を創造するといった役割に鑑みれば、空間の創造に当たりましても、社会から広く投資を呼び込むことが重要であることについて触れております。
 2点目は、国の役割として、老朽改善や基本的な機能強化、ライフラインの更新などについて重点的に推進し、必要な予算の確保や運用改善の検討に努める必要があること、また、多様な財源の活用を推進することについて触れております。
 3点目は、国立大学法人等の取組として、ステークホルダーとの連携により多様な財源の確保・充実を図ること、様々な補助金や企業や個人からの寄附金の活用を検討することが重要であることについて触れております。その上で、論点について説明させていただきます。
 1点目は、投資を呼び込む前提となるコミュニケーションについてです。投資を呼び込む際には、大学の持つシーズやコンテンツを社会に理解してもらう必要がありますが、この点についてどのような方策が考えられるか。一方で、地域社会や産業界から大学の施設整備に対する期待を把握するための方策としてどのようなことが考えられるかという点になります。
 また、中間まとめの事例にもあるように、国立大学の施設で実施された共創活動の成果も見られているところですが、定量的ではないにしても、こうした施設整備への投資効果を社会に理解してもらうためにどのような方策が考えられるかという点も挙げさせていただいております。
 次に37ページになります。2点目でございますが、こちらは共創拠点と同様に、投資の呼び込み、多様な財源の確保に当たり、地方大学や単科系大学に対する支援、後押しをどのように行っていくかという点になります。
 3点目は、データでありましたとおり、多様な財源が新増築整備に多く活用されている例が多いことを踏まえまして、これを改修に振り向けていくための方策はどのようなことが考えられるかという点になります。
 4点目は、手続面の課題になります。場合によっては一つの施設整備に対して、様々な財源を合わせて整備をしていくことも想定されると思いますが、この際の手続コストを効率化するためにどのようなことが考えられるか。また、地方公共団体や民間事業者が資金を拠出しやすいような形をつくる観点から、制度上の隘路があるとすれば、それはどのようなものかという点になります。こうした課題はすぐに改善が図られるものではないとは思いますが、課題があるのであれば、それを浮き彫りにしておくことも必要だと考えて論点に挙げさせていただいております。
 5点目は、国立大学法人等の体制になります。社会から投資を呼び込むための組織体制、またファンドレイザーやURAに参画いただくことも有益であるかといった点になります。加えまして、スペースチャージや省エネルギー化など、施設マネジメントにより生み出された資金を施設整備に再投資するために適切な組織体制とはどのようなものかという点にも触れております。
 早口になりましたが、事務局からの説明は以上になります。
 続きまして、内閣府において、企業版ふるさと納税のマッチングアドバイザーを委嘱されております笠井様より、同制度の概要やニーズ、企業や地方公共団体の訴求に向けた示唆などについて、こちらも最大15分程度で御発表いただきます。それでは笠井様、よろしくお願いいたします。
【笠井内閣府企業版ふるさと納税マッチングアドバイザー】  皆様、こんにちは。内閣府企業版ふるさと納税のマッチングアドバイザーを務めております笠井と申します。よろしくお願いいたします。それでは、15分ですので、駆け足になりますが、皆様にぜひ企業版ふるさと納税を覚えて帰っていただいて、また中でぜひ御議論を進めていただきたいと思っております。
 まず、私の自己紹介ですけれども、私は2018年から20年のときに内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局におりまして、企業版ふるさと納税のちょうど令和2年度の大きな税制改正がございましたけれども、その前後に普及促進や、税制改正、あと地方版総合戦略というものを担当しておりました。今は民間に出て地方創生領域にて活動しておりますが、内閣府から委嘱を受けた3名が企業版ふるさと納税のアドバイザーの立場で、普及促進活動に取り組んでおります。自治体の皆様、企業の皆様、各業界団体の皆様からお声がけをいただき、さまざまなところで御説明をさせていただいています。
 本日お伝えしたいこととしては、企業版ふるさと納税は、本当に多様な主体の連携、それを有機的につなげる共創の制度であると実感をしております。地方創生に資する幅広い政策において、ソフト・ハード両面、かつ、横断的に活用できるそういった制度であり、加えて、創意工夫を実現できる制度であると思っております。令和7年度の税制改正で3年間の制度の延長が講じられたことを踏まえまして、自治体、企業、各種団体、いろんな方々がこの制度に改めて関心を持っているというそういった市場でございます。ぜひ具体的な活用の議論をつなげていただけますと幸いです。
 では、制度の概要についてお話をいたします。まず、活用する意義ですけれども、この制度、2016年度から制度が始まっておりまして、人口減少社会において、公務員の数も減っている、さらには専門的なことが求められる、そういった潮流の中、行政だけではなくて企業の皆様のお力を活用する必要がある、そういった時代であり、地方に新たな資金の流れをつくる、民の力を取り入れる、そのような大きな理念の下、この制度が活用されております。この寄附を契機に自治体と企業が連携協定を結んで、さらに発展的に取り組むといったこと、また、事業の構想段階から自治体と企業が一緒になって、地域課題をどういうふうに解決したらいいかという企画立案段階から企業とともに、この制度も含めて取組をしている、さまざまな事例がでてきているところです。
 この制度の概要でございますけれども、自治体が行う地方創生の取組に対して企業が寄附をすると、法人関係税の軽減が受けられるといったものでございます。こちら右のところ、概念でございますけれども、そもそも企業が自治体に、国・地方に寄附をした場合には損金算入があります。この制度を活用すると、令和2年度の税制改正の拡充を受けて、さらに税額控除が最大6割と、損金算入と合わせて最大9割の法人関係税の軽減が得られると、そういった税のインセンティブがあります。当然、利益の状況等に応じて、最大9割の軽減効果に達しない場合も多いと思いますが、税の軽減効果も受けながら、寄附をきっかけに、地域の取組に参画いただくと、そういったものでございます。
 制度のポイントとして幾つか書いてございますけれども、下限は10万円から、寄附企業への経済的な見返りは禁止となっております。ただ、公正なプロセスを経た自治体との契約などは問題ない、また、記載のとおり、一部使えない自治体がございますけれども、本社が所在する自治体へのは寄附は対象外ですが、一方で、支店、工場などは問題ございません。国立大学法人の皆様におかれては、いろんなところに拠点をお持ちであったり、いろんな地域と連携をされることが多数あると思いますので、まずは自治体の皆様と御議論をいただければと思っております。
 制度の活用に当たって、地域再生計画の認定を受ける必要がございますけれども、こちら令和7年4月1日時点の認定状況でございます。東京都は使えないため、それ以外の46道府県全て、市町村では1,491の市町村が認定を受けており、全体としては9割程度の自治体がこの制度を使える受皿があります。なお、税制改正の延長では、令和7年度から3年間の延長が講じられています。
 寄附の実績をお話しさせていただきます。内閣府公表の直近の実績では、令和5年度の寄附実績では、約470億円という実績になっています。令和2年度の税制改正で税額控除割合が拡充されたことなどを受けて、令和2年度税制改正前では30億程度で推移し、そこから令和2年度は110億、令和5年度は470億と、順調に寄附額の実績を増やしています。
 寄附の企業数では、令和4年度が4,663社、令和5年度が7,680社と、かなり伸びてきておりますけれども、まだ知らない企業の皆様は多いと思っておりますので、より多くの方々に認知が広がれば、市場としてもより広がってくると考えておりまして、内閣府とともに普及活動に取り組んでいるところでございます。
 令和5年度の実績の上位10件、上位のところでは20億程度の実績。例えば石川県の、こちらは能登の震災がございましたけれども、復旧復興に向けた寄附として、1,026社、23億と、これは石川県庁だけでございまして、市町村のところも当然多くの志ある寄附が集まっています。復旧復興に使ってほしいといった志ある寄附です。また、ハード事業、例えば体育館の整備であるとか、地域の取組として象徴的なもの、企業の皆様の御賛同を得ながら寄附実績を獲得しています。
 この制度の活用の流れとして、自治体の皆様が企業の皆様にアプローチをするわけですけれども、まずはその地縁・拠点、支店、工場、あるいは創業の地であるとか、そういったところに御賛同されて利益の還元という形で企業の皆様が寄附をされたり、例えば、企業が環境関連の事業を進める中、令和3年度、国・地方の地域脱炭素ロードマップが取りまとめられ、自治体としてもゼロカーボンシティー宣言をしながら取り組んでいる、そういったものに共感して寄附をされる、また、社会課題として普遍的なもののプロジェクトに、御賛同を集められるといったものもあります。また、企業課題の解決、自社だけでは取り組めない課題に対し、自治体の皆様と連携をしながら取り組んだり、また、他社も巻き込んでプラットフォームをつくりながら取り組んでいく共創のようなもの、いろんな形でこの制度の活用が広がっています。
 次に、企業からの声を羅列しておりますけれども、例えばプロモーション、企業課題の解決、被災地の復興、また地方創生に取り組む企業へのブランディング、リクルートであるとか、自治体の皆様とのきっかけをつくるパートナーシップの構築、利益の還元、社員のモチベーションの向上、エンゲージメントみたいなもの、いろんな経営判断で寄附をされています。
 次に事例でございますけれども、鹿児島県の曽於市の事例のところ、こちらは皆さん御認識のとおり、鹿児島県のほうで廃校跡地を無償譲渡、また国の地方創生拠点整備交付金を活用して、さらには企業版ふるさと納税を活用しています。企業版ふるさと納税では、当時、約2億円の寄附を集めています。曽於市としては基幹産業の農畜産物の振興、大学としては農畜産業を支えていく、育成といった観点、それぞれの考え方、思惑が一致して取り組んでいる好事例です。
 神奈川県平塚市、東京大学の生産技術研究所と連携した波力発電の取組です。産学官の取組として波力発電の実証に取り組み、それまでに得た知見を平塚市としてより学と連携をしていくといった知的対流推進事業として、さらに取組を発展しています。
 大学の事例ではありませんが、北海道大樹町のロケット発射場を備えたスペースポートの整備事業、こちらは当時で30億弱の寄附を集めております。宇宙産業という、先端産業に多くの企業の寄附を集めながら、産業が集積されることによって人口減に歯止めがかかり始めていると、そういった事例でございます。
 徳島県神山町「神山まるごと高専」の設立、サテライトオフィスとして進出した企業と自治体が連携して高専の設立をしていく中で、さまざまな資金調達の仕組みを使いながら、企業版ふるさと納税としても20億以上の寄附を集めて、企業の皆様との関わりを増やしていく事例です。
 ちょっと話は飛ぶかもしれませんが、青森県の弘前市の事例では、農業の労働力不足、リンゴの収穫のところ、足りない部分を企業の寄附を入れながらツアー化して多くの方々に来ていただき、その解消に取り組み、新しい関わりを寄附をきっかけにつくっていく事例です。
 秋田県では、白神山地の保全活動の中で、そこに研究所を持っている化粧品会社と連携しながら、地域資源の保全活動、企業としては、白神山地の山がきれいになって川がきれいになって水がきれいになるといった意味では、自分たちの取る薬草がいい薬草が取れる、そういった資源循環に企業内での合意形成を図り、今も寄附を継続しているといった事例でございます。
 また、寄附をして人も派遣するといった、人材派遣型という仕組みもあります。自治体だけでは専門的な知見を得ることはなかなか難しい中で、例えば九州電力が熊本県に寄附をして、さらに人を派遣して、そのノウハウを生かしていく事例もございます。
 次に、自治体が企業に出会うということがなかなか難しい中で、内閣府として企業版ふるさと納税のマッチング会という場をつくって、制度活用の後押しをしております。先日、6月26日に開催した自治体提案を掲載しておりますけれども、このときのテーマは、移住・定住と、防災・減災でしたので、ここで御紹介をさせていただきました。
 非常に駆け足でございましたけれども、企業版ふるさと納税は本当に多様な主体をつなぐ共創の取組、それを実現できる制度だと思っておりますし、また、大学、学ぶという公共性が、自治体、企業、金融機関等々、多様な主体を学ぶということを軸に集まる機会をつくる、また人材の流動性が高まることによって、当然、資金を呼び込むきっかけにもなると思っておりますので、ぜひ、企業版ふるさと納税を皆様で御議論いただければと思っております。
 以上でございます。
【西尾主査】  笠井様、分かりやすく説明いただきまして、本当にどうもありがとうございました。
 それでは、今までの事務局からの御説明、それと今の笠井様からの御説明に対して、御質問とか御意見をいただければと思います。ただし、その前に上野先生、先ほど挙手していただきました件で何かございましたらどうぞ。
【上野委員】  すみません。それでは、さっと。資料の23ページを使ってちょっと質問をしたいのですが、一橋大学さんの事例、非常にすばらしいと思いますし、三菱地所さんの御協力ですごくいい方向に進むのではないかと思うのですが、今回のイノベーション・コモンズというのは大学全体を地域共創の拠点にしていくということが大きなテーマになっています。
 それで、東本館の改修の拠点ができて、今後、あるいは今、一橋大学の中で、キャンパスマスタープランの見直しがどのように行われているのかとか、小平キャンパスのほうに一部機能を移転したとのお話もございました。今回のこの事例はソフト的に非常にすばらしいと思いますが、同時に、もう一つハードの部分を今後どういうふうにしていく予定なのか、あるいはソフト・ハードをうまく有効にしていくための学内の検討組織みたいなことはどうなったのか、お聞きできればと思いました。時間もありますし、今後資料をまとめていく中で、ソフトとハードをどういうふうに融合させていくのか、検討組織をどうつくるのかというのを事例の中できちっと紹介いただければいいなと思いました。
 以上です。
 
【西尾主査】  堺様は、席を外しておられるようですので、事務局には、今の上野先生からの件を預かっていただいて対応をお願いいたします。今回、東本館の改修された所が拠点となって、それがキャンパス全体にどういう波及効果を及ぼしているのか、ということ。それと、ソフトとハードの一体化を今後さらに拡大していく上でどうなされていくのか、ということ。そのようなことを一橋大学に伺っていただき、その結果を踏まえて、好事例として挙げることができたら良いと思いますので、何卒よろしくお願いいたします。
【上野委員】  よろしくお願いします。
【真保計画課整備計画室長】  事務局のほうでしっかりと一橋大学とも連絡を取りまして、まずは調査をさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、財源な多様化につきましての御質問に移ります。高橋先生、どうぞ。
【高橋委員】  ありがとうございます。コンパクトに1つ目の話題と2つ目の話題で併せてのコメントが1つと、笠井様への質問を1つさせてください。
 まず、コメントのほうを先に。全体感なんですけれども、既にほかの委員の方もおっしゃられていたとおり、博士人材、スタートアップというのは今後必須の要素だと考えています。7期に向けた議論を内閣府のほうでする委員を仰せつかっているんですけれども、やはり場というのがこのDX時代で改めてフィジカルな接点というのが物すごく重要になってきているというのは、単に政策的にきれいな言葉で博士人材が多様なキャリアパスを持つことが重要だよと言うよりも、ある種百聞は一見にしかずで、身近で接点がある企業人がキャンパス内を歩いているだとか、逆に言うと、アカデミックの魅力を企業人たちが喜んでジョインしてくださるとか、そういう意味でも施設というのが旧来の箱物を超えたもっと大きな意味になっているというのは本当に痛切に感じるところです。
 そのときに、先ほどの三菱地所様のAGORA、FORUM、LOUNGEと機能を分けたフレキシブルなスペースの使い方というのは物すごく参考になるかと思いました。アメリカの大学の研究力が強いことの一つには、20年、30年単位で学部の構成が変わっていくような、ある種サイエンスの構成単位に対してもフレキシビリティーがあるというところが挙げられるところなので、ぜひ、変化し続けることが前提の施設設計というのを今後我々も一つの基準に考えられればという意味で、非常にいいものを拝見したと思っています。ありがとうございました。
 笠井様への伺いなんですけれども、大変私、不勉強で、今回の企業版ふるさと納税、すばらしいと思います。とりわけ、先ほどのコメントと通じるところなんですけれども、人材派遣について伺いたいです。クロアポとか人が交流することのメリットは、組織的にはあると思うんですが、課題みたいなことがもしあれば伺いたいという話です。当事者にとって2つ以上のミッションだったり、所属を持つということが、場合によっては負荷がかかり過ぎることというのはあるのかなと思うんですけれども、例えば、御説明資料の61ページでしょうか、人材派遣型のところで、地方団体と企業のメリットはあるんですが、加えて当事者に対するメリットだとか、さらに伺いたいのは、デメリットですとか留意点などがあれば、より現実感を持って検討できるかなと思いました。
 以上です。
【笠井内閣府企業版ふるさと納税マッチングアドバイザー】  ありがとうございます。では、よろしいですか。
【西尾主査】  どうぞ。
【笠井内閣府企業版ふるさと納税マッチングアドバイザー】  企業版ふるさと納税の人材派遣型もございますし、あと地方創生の人材の派遣制度など、これまでもいろんな地方創生の人材派遣制度があったかと思います。その中で、企業の皆様の専門性を地域としてどういうふうに生かすのか、地域としてどういう方に来てほしいのか、どこで御活躍いただきたいのかということをしっかりと対話することが重要だと思っています。ともすれば、一般論として、自治体の皆様は企業の文化は分からないので、企業人に来ていただけると何かいいことになるんじゃないかといった、そういった絵姿というか夢物語みたいなところを思う方もいらっしゃるかと思います
 一方では、企業も、自身が経験した専門領域は分かるけれども行政の文化は分からないですし、自治体全体の旗振りのポジションへの配置も聞いておりますが、それが、企業の皆様にとっていいのかどうかといった声もあります。企業版ふるさと納税の人材派遣型にかかわらず、自治体と企業がどのようにマッチさせたいのかということをしっかりと密に対話すること。
人材の方も、実際に行政の内部を見ることができる、地域に直接携われる、それを持ち帰ることで、企業にとっても、その人にとっても中長期的な成長曲線を描けると考えます。また、公共事業の受託経験がなかった企業が、人材派遣型の活用をきっかけに、また、その取組みプロモーションすることで、引き合いが増えて事業拡張しているといったそのような話も聞いておりますので、しっかりと対話する、事業戦略をしっかり描いていくことが重要と考えます。また、人材の派遣、受入れに当たっては、自治体側も企業側も伴走するような体制整備をすることも非常に重要と考えております。
【西尾主査】  高橋先生、よろしいでしょうか。
【高橋委員】  ありがとうございました。
【西尾主査】  それでは、塩﨑先生、鶴見先生、それから山内様という順番でお願いします。どうぞ。
【塩﨑委員】  すみません、塩﨑です。まず、今お話がありました中で、財源の多様性の中で、特に施設整備の多様な財源充当の中なんですけども、実は国立大学病院も非常に今お金が厳しくて老朽化が進んでいるところでございます。一方、このような地域からの支援というのはとても重要かなと思っています。今、医療費自体45兆ぐらいですけども、ヘルスケア事業は33兆円ぐらいの規模がございます。ここの部分というのはあまり大学が今まで手を出してきていないところかなと思っています。一方、このヘルスケアに関しては、高齢者の方々がクオリティー・オブ・ライフをよくしたいということで非常に関心が高いと思っています。こういうことも実は大学の事業なんだということをしっかりと公募してはどうかなと思っています。
 特に今回、事例の中で帯広畜産の事例がございますけど、このような形で大学内にそういうヘルスケア事業の拠点をつくるということもあっていいのではないか。このヘルスケア事業を頑張れば、その分だけ実は高齢者の医療費が抑制できます。それはある面、若手の人の社会保障費が高いというお話を少しでも遅らせることができるのではないかと。そういう意味では、社会の課題解決になってとてもいいかなと思っています。
 ここで質問でございます。今のような地域と同時に企業版のふるさと納税、そういう企業が、例えばヘルスケア関係の企業がどこかの大学の何かのシーズに手を挙げて、じゃあ、寄附しようという形で寄附を受けたと。そこで新しい拠点がつくられて、当然、その寄附者にはこんな成果が出ましたということを報告するのかなとちょっと思っています。報告するまでは問題ないと思うんですけども、報告した後、企業としては、これは有望だというお話になった後に、じゃあ、うちもそちらに向かって投資をしたいというお話があった場合、これは何らかの問題点は発生するのでしょうか。その点、笠井様に教えていただけるとありがたいと思っています。
 以上です。
【西尾主査】  ありがとうございました。笠井様、よろしくお願いいたします。
【笠井内閣府企業版ふるさと納税マッチングアドバイザー】  ありがとうございます。内閣府も、自治体の皆さまにお願いしていますけれども、寄附活用事業については、寄附企業に対してしっかりとレポーティングをする、感謝をプロモーションすると。寄附がどう使われたかというのは企業側として非常に気になる部分であって、稟議を通して寄附を決定するので、報告することが継続的な寄附につながるということ、それが自治体の皆さんが全てできているかというと、なかなかできていないという声も聞かれており、普段のレポーティングは非常に重要だと思っております。
 また、寄附企業の皆様が、その後、大学に投資をすると、そういった御理解でよろしかったでしょうか。
【塩﨑委員】  そうです。やっぱり企業として、そういう成果が出てきたら、そこはビジネスが今度は逆にチャンスが出たら、寄附はそこまででしたけど、今度は投資していく。一緒にやりましょうというお話をしていくのは、これは問題ないんじゃないかなと思ったりもするんですけど、いかがでしょう。
【笠井内閣府企業版ふるさと納税マッチングアドバイザー】  寄附した企業だけに何か経済的な便宜を図るということであれば、制度上抵触する可能性は考えられますが、寄附をきっかけに、取組に参画し、さらにそういった展開に発展するということに関しては、寄附がなければできないということではないような気がします。寄附といえども、企業にとっては投資の側面もありますので、その先の事業戦略も描いていただければ結構かなと思います。
【西尾主査】  塩﨑先生、よろしいですか。
【塩﨑委員】  ありがとうございます。今のようなことであれば、もっと企業も投資してくれるか、投資の前に寄附をしようという流れになれば、とてもいいのじゃないかなと期待しております。
【西尾主査】  ありがとうございます。それでは、質問を希望されている方が多いですので、簡潔にお願いいたします。鶴見先生、どうぞ。
【鶴見委員】  私はコメントなんですけれど、神山まるごと高専を御紹介いただき、ありがとうございます。地方の高専の中には少子化の割を食って、やはり定員割れを起こしている高専も出てきています。一方で過疎化が進んでいるといったところもあります。こういう地域課題というのに対して一つの対処方法として、この神山まるごと高専のモデルが非常にいいモデルケースになるんじゃないかなと思っています。うまくいっている理由というのは、神山まるごと高専が育てたいいわゆる人材像、これを明確にしていることです。アントレプレナーシップ教育をしっかりやるということですね。それがうまく地方創生に結びついているというところにこのモデルは非常に意味があるかと思います。ただ一方で、我々国立高専と私立高専の違いがあります。運用による財源確保は私立高専だからできるもので、国立高専でこのモデルはそのまま使えない。
 一方で、佐世保高専がふるさと納税型クラウドファンディングをして成功したという例を御紹介しておきたいと思います。佐世保高専は、EDGEキャリアセンター支援事業という形で佐世保市とタッグを組みまして1,500万、クラウドファンディングで集めました。これ、あっという間にお金が集まったそうです。このふるさと納税型クラウドファウンディング、これをうまく活用するのが一つの方策としてあるなというのが非常に今回よく分かりました。ありがとうございます。
 以上、コメントです。
【西尾主査】  高専関係の先生ならではの貴重なコメント、それから情報提供をいただき、どうもありがとうございました。
 それでは、山内様、それから恒川先生、どうぞ。
【山内委員】  ありがとうございます。多様な財源確保の方策としては、今ありましたようにソフトとハードが一体となって、先進事例の成果をいかに見せていくというのが非常に重要だと思いました。人材の話ですと、例えば三条市立大学のような民間でつくった地域発の大学というのは、地域で欲しい人材が育ち、地域からの期待も高いですし、卒業生の意欲も高く当該地域に多く就職をしておりますので、こういった事例も示していくといいと思います。今ありました神山高専のような取り組みをしている大学は投資対象だと思いますが、これは見せ方次第で理解を得られるのではないかと思います。
 ただ、地域の民間研究で大学が稼いでいくという観点は大事だと思いますけれども、国内の企業から大学への資金拠出というのが見劣りしているという点は理解をしておりまして、中小企業ですと、100万から300万ぐらいが支援の限度であり、なかなか理解が得られないわけですから、こうした共感が得られるというこの表現は非常にいいと思います。先ほどフレキシブルな活用事例という話もありましたが、地域企業に対して大学が役立つ機能があること、問題解決機能があることを、いっそ明示してしまってもよいのではないかと思います。事例を絡めると経営者も理解しやすいので、大学の敷居が高いと思われないように、高度設備利用先として印象づけられるといいと思います。
 あと、地方大学と単科系大学の支援につきまして、複数の大学が連携して広域的な設備を整備したり、シナジー効果がある企業に貸与、共同利用したりするといった柔軟な発想の下に、投資という観点でどうしていくのかという点を盛り込めるといいと思います。
 最後に、企業版のふるさと納税制度は、私どももしっかりPRをしていきたいと思っております。地方企業の地元への投資力が大きいので、地元本社所在地への寄附というものが活用拡大されるといいと思っており、政府に対してここは見直しを要望しているところでございます。
【西尾主査】  非常に貴重な意見、また最後の規制緩和の件、私も重要なポイントかと思います。どうもありがとうございました。笠井さん、その点、どうかよろしくお願いいたします。
 恒川先生、どうぞ。
【恒川委員】  ありがとうございます。30ページのところに、多様な財源の活用状況の説明があります。毎回、私こういう話をするので嫌われるかもしれませんが、多様な財源で得られる金額の70%が新増築に充てられているという実態がございます。これが413億円で、次の5か年計画で国の財源での新増築の目標としている15万平米ということですが、昨今、建設費の高騰が非常に大きいので、目標を金額でいくのか面積で立てるのかが大きな違いになってきます。こうした実態をどう見るかが大きな論点になろうかなと思っています。
 そういう意味でもう一つ、多様な財源を得るような仕事をするときに大事なことは、これはアンケートにもありましたけど、施設担当の部署の方がこれを引っ張ってくるというのは限界があり、非常に難しいので、やはりトップマネジメントなり、URAとかファンドレイザーとか、そういった方々にこのメッセージを伝えるということが非常に重要な論点だと思います。論点の1から4に挙げていただいているものも、ほとんどが施設の部署というよりは、トップやURAとか産学連携とかに携わる方々が取り組むべき課題なので、これをどんなふうに施設につなげていくのかをメッセージとして発信しないといけない気がします。その上で、事例としてもお金をどういうふうに使ったか、こうした財源は、建物を造ったり改修するときには使えますけど、その後の運営には使えないことが多いので、これをどういうふうに賄っていくのか等を含めた事例の紹介をぜひしていくべきかなと思います。
 以上、コメントです。
【西尾主査】  ありがとうございます。最終報告書においては、特に財政的な問題といが非常に重要になってくるかと思います。その点で、今、恒川先生がおっしゃっていただいたことは重要かと思います。各大学は、施設のことでも財政的なことで非常に苦慮しておりますので、やはり、アンケート先としては大学の長に出していただいた方が良いと考えます。
 土井先生、浅田部長、何か御意見ございませんか。
 土井先生、どうぞ。
【土井委員】  どうもいろいろありがとうございます。今の多様な財源ということでは、こういう財源が用意されているということを大学が知って活用することも重要だと思いますが、一方で、クラウドファンディングにしたほうがいいのか、企業版ふるさと納税にしたほうがいいのかなど、多様であると何をどのように使うといいのかというところのノウハウも必要となりますので、そういう方を各大学が雇用するということも必要かとは思うのですが、そういう方はそんなに多くないので、できれば、そういうアドバイスを与える場所を1か所に集めておくとか、そういうサポートも必要ではないかなというところを感じました。
 あと一方で、企業から、今回の中でふるさと納税の人材を供給するというお話がありましたけれども、人材を供給して後の投資につなげるという意味もあるのかもしれませんが、ふるさと納税を使うと法人税を減税してくれということになると、じゃあ、その分の減税された分を、例えば株主が自分たちにペイバックせよということも出たりするので、その辺りのIR対策というのも企業側にとっては悩ましい問題になるかもしれないので、どういうふうな目的にすれば株主の方にも理解していただけるのかというところもなかなか悩ましいのかなというところは感じます。ステークホルダーが増えれば増えるほど、そこはいろいろなかなか難しいなというところは感じました。
 以上です。
【西尾主査】  ありがとうございます。今日お話しいただきました笠井様のような方に、各大学が心安く相談させていただけるような体制になっていると多くの有効な情報が得られますので、そのような窓口があることが望ましいと思いました。
 愛知県、浅田部長、何か御意見ございますか。
【大村委員代理(浅田)】  愛知県の浅田でございます。国立大学の施設整備に関しまして、単なる施設整備の方針にとどまらず、知と人材の集積の拠点として、さらなる機能強化を目指して御議論されている点、心より感服いたしております。地域にとりまして、国立大学はまさにシンクタンクと言うべき存在でございまして、イノベーション・コモンズに向けた取組は、私ども地方自治体にとっても大変歓迎すべき取組であると認識をしております。こうした認識の下で1点、御意見を述べさせていただきたいと思います。
 文部科学省さんがお示しのイノベーション・コモンズ実現のためのポイントにも記載されておりますが、この取組が成功し、地域に根差した取組となっていけるかどうかは、ソフト面である教育研究活動をいかに充実し、さらに地域のニーズに沿ったものとしていけるかが非常に重要であるというふうに考えております。イノベーション・コモンズの取組を実りあるものとするためには、ハードの整備とソフトの事業の充実が両輪であると考えておりますので、ぜひとも大学立地をされております、それぞれの地域のニーズを酌み取っていただくことに重点を置いた展開が数多くなされることを期待しております。
 以上でございます。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。各大学からのアンケートの回答をいただいた結果等については御報告があったのですが、企業サイドからその地域に立地する大学にどういうことを期待しているのかというような声を吸い上げるということも重要ではないか、と考えております。それを実行できると、今、おっしゃった意味の双方の互恵関係を築く上で非常に参考になるのではないかと思っております。
 それでは、議論も尽きないところですが、時間の関係で今日の会議はここまでとさせていただきます。本当にどうもありがとうございました。
 事務局より、その他の事項について御説明をお願いいたします。
【佐藤計画課整備計画室室長補佐】  本日の会議の議事録につきましては、後日、委員の皆様に御照会させていただきますので、御確認をお願いいたします。御確認いただいた後に、文部科学省のホームページにて公開させていただく予定となっております。
 こちらからは以上です。
【西尾主査】  今御説明のありました点、どうかよろしくお願いいたします。
本日は、堺様、笠井様、また、事務局からの説明につきまして皆様方から本当に貴重な御意見、御質問の数々をいただきましたことに心よりお礼申し上げまして、本日の会議をこれで終了したいと思います。事務局には、いろいろな御準備等、誠にありがとうございました。

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