学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議(令和4年度~)(第2回) 議事要旨

1.日時

令和5年1月16日(月曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンラインにて開催

3.議題

  1. 学校施設の脱炭素化に関するワーキンググループの審議状況の報告について
  2. 学校施設の質的改善・向上に関するワーキンググループの設置について
  3. その他

4.出席者

委員

(委員) 荒瀬克己、伊香賀俊治、伊藤俊介、倉斗綾子、後藤豊郎、斎尾直子、高橋純、長澤悟、樋口直宏、細田眞由美、吉田信解(敬称略)
(特別協力者) 植田みどり,齋藤福栄(敬称略)

文部科学省

(大臣官房文教施設企画・防災部)笠原部長,野沢技術参事官
(大臣官房文教施設企画・防災部施設企画課)藤井課長、小林企画調整官、早田課長補佐、芝村課長補佐
(総合教育政策局政策課)川村教育企画調整官

5.議事要旨

・荒瀬主査より、開会の挨拶。

議題1:学校施設の脱炭素化に関するワーキンググループの審議状況の報告について

・伊香賀副主査(学校施設の脱炭素化に関するワーキンググループ座長)及び事務局より、資料1-1,1-2に基づき説明後、質疑応答。

【倉斗委員】資料1-2 第4章 3-1.の赤字で示されている「既存学校施設における、段階的な省エネ改修や長寿命化改修に合わせた計画的なZEB化の取組」は非常に重要なことだと思っている。一方で、学校を視察し自治体の方と話す際、補助金をうまく組み合わせて長期的に計画を立てることが非常に難しそうだと感じている部分がある。第4章「3-1. 公立小中学校施設におけるZEB化実現の考え方」の”実現の考え方”というタイトルにもあるように、実現しようとしたときに結構財源のやりくりというところも含めた技術的な部分というのがありそうだなと思うが、ワーキンググループで視察等をする中で、補助金の組合せ方に関する事例を収集しているのか。
 
【伊香賀副主査】本ワーキンググループの報告書の中で補助金についてどこまで書き込むかは、文科省とも協議しながら検討したい。
 
【事務局(芝村課長補佐)】補助金の組合せ方は難しいが、報告書には、どのような補助金があるかというのを参考資料としてつける予定。
 
【斎尾委員】資料1-2 第5章 「1.学校設置者における方策(4)環境教育への学校施設の活用」は大事な点。施設の仕様や活用方法について、利用者の児童生徒、先生方がよく理解、活用し、さらには教育にもつながることはとても重要なことだが、埋もれているような印象を受けたため、強調してほしい。岐阜県瑞浪市立瑞浪北中学校の見学に同行した際「スーパーエコスクール 瑞浪北中学校の使い方」という学校の使い方マニュアルがあった。マニュアルがどこまで生徒に浸透しているかというところまでは分からないが、入学時に生徒が見られるようになっていて、授業で特別に扱わずともふだんから関われるというような関係はとても大事。整備後も生徒や先生が関われる仕組みのような内容を強調して書けるところがあると良い。
 
【伊香賀副主査】非常に重要な点で、文科省がエコスクールの指針をつくった当初から、学校施設をどう環境教育に生かしていくかというのは大きな柱であり、これまでの様々な指針等でも常に強調はされている。一方で、整備当時に担当した教職員の方がいるうちは熱心に環境教育を実施しているが、教職員の方が異動されてしまうと、そこで情報が途切れ環境教育への活用が少しトーンダウンしてしまうということがこれまでもしばしば言われている。この報告書では、この第5章 1. (4)の中でどこまで書き込むかを検討してまいりたい。
 
【事務局(芝村課長補佐)】第4章3-2.に「(6)運用段階における留意事項」を記載する予定。ここにも「学校施設の運用マニュアルを作成」と書いているが、それを将来的にも引き継いでいけるようなことを記載したい。
 
【荒瀬主査】自然換気用に校舎最上部の窓が開くようになる設備が、整備当時はみんな目的を理解しているが、それが何年かたつと知っている人がいなくなり、壊れたまま放っておかれて、自然換気ができず暑くてたまらないということが実際あったことを聞いたことがある。
 
【後藤委員】資料1-2 第4章1.の「(1)地球温暖化対策における学校施設の担う役割」の中で、「学校施設における取組は、子供たちのみならず保護者への波及効果、さらには子供たちが成人になった時の環境配慮行動なども期待できる」とある。”環境配慮行動なども期待”の部分は赤字で記載されているが、具体的にはどういったことを期待しているのか。
 
【伊香賀副主査】これまでの文科省のエコスクールの取組を通じて、ここに記載されていますようなことがいろんな場で検証されてきており、それを改めてここに記載している。やはり子供たちの行動が変わることで、家での保護者の皆様にも波及効果がある大学教育に携わっているが、むしろ学生のほうが環境への意識が実は高いということを実感している。やはり小学校のときからどういう環境教育を受けて成長したかというのは、成長したときにも引き継がれているということは実感しており、報告書の記述について、引き続きワーキンググループの中で検討したい。
 
【後藤委員】資料1-2 第5章「2.国における方策 (3)普及啓発」について、「様々な機会を通じて周知・普及」は具体的にはどういった方法か。岐阜県が地元だが、瑞浪市立瑞浪北中学校はこの会議に携わるまで全く存じ上げなかった。子供たちや保護者の中でもこういったことがあまり話題になる機会が無いため、ぜひとも目に見える形で周知をしていただきたい。
 
【事務局(芝村課長補佐)】自治体に対する行政説明や、毎年開催している文科省での省エネ講習会を考えている。
 
【長澤委員】第3章 「1.ZEBの評価方法等」にZEBの分類が4種類ある。その中にもこんな技術がある、考え方があるということが書かれているが、ZEBの導入を議論するときに、どこを目指すか、そのときにどういう組合せ方があって、それによってどのくらいコストが違うかということを判断する目安的なものというのがあると取り組みやすいような感じもしている。そういうものを示せる可能性、あるいは示し方というのは考えられるのか。事業予算を立てるときの目安みたいなものがあると考えやすいなというようなことをよく聞く。
 
【伊香賀副主査】第4章 「3-2.学校施設のZEB化を実現する具体的対策と留意事項 (7)気候区分別ZEB化導入技術」がある。今、モデルプランで、まず通常の普通の設計をした場合にエネルギー消費量がどのぐらいになるか。ZEB化を目指すということで、エネルギー消費量をその半分にするためにはどういう対策をするかを検討している。例えば東京のような温暖地、北海道のような寒冷地、沖縄のような亜熱帯に建てる場合で、エネルギーを半分に減らすための効果的な導入技術が違ってくるだろうという検討をワーキンググループの中でも進めている。工事費がそれでどのぐらい上がるかというところは、このワーキンググループとはまた別の場での議論になってしまうかなとは思う。
 
【長澤委員】単位面積当たりのエネルギー使用量というのは、学校の場合、一般事務所建築の5分の1ぐらいというデータもあった一方で、非住宅の公共建築の4割が学校であるということで、単位面積当たりだけではなく、トータルに学校がどのぐらいのエネルギーを消費しているかということが示される良いのではないか。学校は消費エネルギーが少ないということではなくて、トータルには大きいことが実感として伝わるように思うが、その辺は示せるものなのか。
 
【伊香賀副主査】床面積当たりのエネルギー消費量は、確かに事務所ビルの5分の1だが、そもそも全国での小中学校等、学校施設の面積が大きいので総量のインパクトはあることは、御指摘のとおり。現状では学校施設に限定して、2050年までにどういう対策を取っていけばCO2をどのぐらい減らし得るかというグラフは第2章 2.に掲載している。そもそも、学校施設が出すCO2の総量が、日本の、あるいは非住宅建築物の何割を占めているかというのは、報告書の中でも言及したい。
 
【長澤委員】環境配慮の学校を考えるときに、CASBEEという指標があるが、CASBEEとZEBはどのように関連づけて説明をしたら良いのか。
 
【事務局(小林企画調整官)】平成22年に、「CASBEE学校 -学校施設における総合的な環境性能評価手法-」をまとめた。その後にZEBの概念が新たに入ってきた。CASBEEとZEBの違いとか考え方について、自治体の方々にも分かるようなページを設けたい。
 
【吉田信解委員】自治体の学校施設を整備する側の首長として発言する。第4章 「3-1. 公立小中学校施設におけるZEB化実現の考え方」に赤字で示されている「既存学校施設における、段階的な省エネ改修や長寿命化改修に合わせた計画的なZEB化の取組」について、長寿命化改修の場合、外装、内壁、屋根、設備、それを全部フルスペックで改修する場合にはかなり国の補助がある。しかし、既存学校施設というのは、段階的にいろいろと修繕を積み重ねてきており、長寿命化改修をフルスペックでやるということはあまりない。本市の中学校で、いわゆる大規模改修をこれからやるところが一校あるが、長寿命化改修の中でもやるところはあるが、例えば屋根をやらないわけなので長寿命化改修とはなかなか呼べないという状況がある。本市の中学校では、ZEB化も全部フルスペックでなかなかやるというわけにいかないので、窓は高断熱ガラス、Low-E(複層ガラス)を入れ、照明器具はLEDにする予定だが以前に高効率空調機の導入はしている。おそらく全国の学校は、フルスペックではなくて段階的に改修をする形になるだろう。文科省においては、そういった地域の学校の実情に合わせて使いやすい補助メニューをつくっていただきたいということを強くお願いし、既存学校施設における段階的な省エネ改修や長寿命化改修に合わせた計画的なZEB化の取組についての補助の考え方もう少し深掘りしたお話をいただきたい。
 
【事務局(小林企画調整官)】LED照明や木材利用などをより進めていくという観点から、令和4年度予算より単価が10.2%増になっている。また、環境省の方で脱炭素先行地域を100地域指定する予定で、現在、46地域まで指定している状況。脱炭素先行地域などで学校施設をZEB化する場合には、先ほどの単価にさらに8%加算する。安全安心という観点から、まずは外壁の落下防止だけしか手をつけられないといったような自治体もあるが、やはり高効率空調とかを入れるためには、まず外壁の断熱化、窓の改修など、老朽化対策の中で併せてやっていっていただけるとありがたい。段階的に自治体が取り組めるような財政支援についても、今後検討したい。


議題2:学校施設の質的改善・向上に関するワーキンググループの設置について

・総合教育政策局川村企画調整官より、資料2-1に基づき説明。事務局(早田補佐)より、資料2-2、2-3、2-4に基づき説明後、質疑応答。

【荒瀬主査】ワーキンググループの中では、具体的に事例に関してこういったものをつくっていくことが必要なんじゃないか、こういう考え方が重要ではないかといったような提案も含めて意見いただきたい。ウェルビーイングにつながっていくための具体の日々の学びの場をどうつくっていくのかということについては、今、「中央教育審議会 初等中等教育分科会個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会」の下で、3つのワーキンググループが動いている。同特別部会の、10月3日の第2回会議では、広島県教育委員会教育長の平川委員から、建物を長寿命化していくというのはとても大事なことではありながら、実際に学びのありようというものにきちんと対応するためには、相当フレキシブルに場を変更していく必要があると意見があった。補助金の問題もあるが、校舎の建て方や備品についても御指摘があった。同特別部会の下の「高等学校教育の在り方ワーキンググループ」の12月1日の第2回会議では、京都大学総合博物館研究部情報発信系准教授の塩瀬委員より、今までのような学校の在り方ではなくこれからの学びにふさわしい新しい学校のイメージというのもぜひ考えていく必要があるという御指摘もあった。
 
【細田委員】児童生徒たちのウェルビーイングであるためには、やはりそこで働いている教職員のウェルビーイングが大変重要であるという考え方には賛成する。教師の働き方改革、学校の働き方改革について言えば、量的な働き方改革というのは、各自治体、教育委員会において、やれることは何でもやろうというそういう姿勢で、デジタルの優位性を使った学校における様々な校務の効率化をはじめとして、本当にいろいろなことをやり切っていると思う。さいたま市では、平成29年から「教員等の勤務に関する意識調査」を定点観測で実施しており、在校時間は確かにどんどん短くなっている。しかし、仕事に対する負担感や多忙感については、在校時間が減っているにもかかわらずなかなか減っておらず横ばいか、上がっている様子。量的な働き方改革の限界を感じており、質的な働き方改革の際に、教師のウェルビーイング、学校で仕事をしているときの職場の居心地のよさ、物理的な環境の居心地のよさも非常に重要になってくるなと痛感している。例えば、今ほとんどの学校は職員室が非常に雑多で、荷物も積み上げられており働く場所としては決して環境がよくない職員室であることが往々にしてある。デジタル化も進んでいる中で、どこでも居心地よく仕事ができるような、そういう職場環境、学校のありようというのを求めていく、これからは求められていく。そういった観点も、新たな学校の施設づくりのアイデアの中にぜひ需要に入れていただきたい。
 
【荒瀬主査】職員室は固定化しており、それをどう変えるかは非常に大事。私も利用する側として学校の設計に関わった際、職員室の隣にくつろげるような場所としてバーカウンターを作ったが、結果的に職員室があふれていって、そのバーカウンターも物置になってしまって、何のために作ったか分からなくなるということがあった。居心地の良さを生むための余裕について考えることがとても大事だ。
 
【細田委員】日本が人口減少でシュリンクしていく中で、地域の学校が地域の人たちにとってのコミュニティーの場、誰かに会え、何か新しい知識に会える学びの場であり、中心地になっていくというのがこれから加速化してくると思う。そういう中で、学校が子供たちの学び場であり、そして地域の人たちの学び場でも、そして豊かなものであるということが必要になってくる。アイデア集の中で、子供たちの学びやであり、かつ地域の人たちの学びやでもあるという、そんな観点も入れてほしい。
 
【樋口委員】先生という役割が少しずつ変わってきていおり、学校の中に、例えばカウンセラーのようなそういう専門職などプロフェッショナルと言われるような形で入ってきている。教師自体が全部やるのではなく、専門家と一緒にやっていく、あるいはコーディネートしていく。その辺りについて、先生のほうのやり方がまた難しくなるという議論もあるが、プロフェッショナルを入れた方がやりやすくなる、やりたくなるような環境を準備しておくということが大事かなと思う。例えば、品川区では平成23年6月に品川学園内に「スチューデント・シティ」をつくっている。広いブースの中に様々な企業や銀行や警備会社を入れており、そこに子供たちが職業体験に行っている。そういう仕掛けをつくっていくことも大事で、考える必要があるかなと思っている。
 
【吉田信解委員】私は以前から学校の木質化というのは非常に大事であると思っており、本市(埼玉県本庄市)では、前の前の教育長の時代に、ある中学校から始まった「無言膝つき清掃」という取組がある。子供たちが木の廊下や教室の床をから拭き・水抜き等をする掃除で、今、全中学校で実施している。清掃留学といって、小学校の6年生は清掃を中学校に学びに行き、小学校に戻りまた下級生に教える仕組みもある。きれいになるというのはもちろん、学校によっては、輝き賞といって一生懸命清掃をやっている児童生徒を校長先生が表彰している。表彰されるということで、自己肯定感も芽生えるという効果もある。例えば先日のワールドカップ等で日本人のサポーターが会場をきれいにした。あれは世界から称賛されたといった美徳のようなものがこの清掃というものに私はあるのではないかなと思っている。子供たちの自己肯定感も育み、なおかつ場をきれいにする、清めるという、そういう美徳のようなものも醸成するという意味では、非常に効果のある作業ではないかなと私自身感じており、床を木質化してみんなで清掃する空間をつくっていくというのも非常に大事ではないかなと思い、紹介した。
 
【倉斗委員】先ほどの細田委員の意見に賛同。先生方の働き方改革も、やはり学校のウェルビーイングということで非常に重要な観点だなと思う。職員室の質的な向上という意味での研究をしており、先日、先生方とどういう職員室に変えていきたいかというワークショップを実施した。ほとんどの先生が、休憩してコーヒーを飲んで談笑するみたいなことを憧れとして述べるような状況で、オフィスで働いている人たちにとっては当たり前のことがまだ学校では夢のような話として語られているというような現実があった。例えばフリーアドレス化して、少し座席をコンパクトにしても、車座になってみんなで話せるような場所があったらいいなど、新しい職員室の働き方のイメージというのを先生方も発想されることもあった。全国的に見ると、働き方改革という観点でいろいろな学校でワークショップなど、既存の学校でも新しい空間をつくるということの取組がされているのではないか。以前のアイデア集は、アウトプットとして出てきた空間の紹介というのが多くあったが、空間としてそんなに大きな激変ではなかったとしても、そういったプロセスの部分みたいなものも少し参考として入れていくと、これから取り組もうとされる方々にとって有用なのではないか。
 
【高橋委員】最近、良い方向に変わった学校を拝見していると、非常にコミュニケーションがうまくいっている。コミュニケーションにより、人間関係がよくなり、それぞれが持つ知見とか経験とかがネットワーク化されてさらに強くなり、新しい知識や経験を生み出していく様子を非常に感じている。よい学校、職員室、学級をつくるにしても、一人一人が質も量も充実した満足できるコミュニケーションができるということが非常に重要であることがわかった。職員室でコーヒーが飲める、子供一人一人も自分が思うコミュニケーションが取れる、取りやすい、発言の機会が保障されている、お互いに敬意を持って交流できる、そういったことが非常に重要なのだろう。私の専門で言えば、1人1台端末がコミュニケーションの保障に役立っており、今までのように集合して対面だけではなくて、非同期分散でコミュニケーションが取れる。私が今関わっている学校では、コンピューターでコミュニケーションを取っている間に、それぞれスペースが欲しくなり、オープンスペースや机や少人数スペースが活用されている。今までは施設をどう使うかと考えていたが、コミュニケーションしたいという気持ちから、初めてこの学校のつくりがよく分かった。コミュニケーションに対する考え方、コンピューター、施設みたいな環境が相まって非常に面白い取組が行われている。パンフレットや紙だけではなくて、先生方のインタビュー動画など、いろんな表現の形式で事例を紹介できたらよい。
 
【長澤委員】今回のもととなっている「新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方について 最終報告」では、未来志向の視点ということが示されている。ビジョンを共有する、あるいは既成概念、固定観念にとらわれないで考える集団教科横断的に考える、学校施設全体を、廊下も階段も学びの場として、生活の場として考えるというようなことが併せて示されています。学校というのは、職員室も教室も特別教室も、その部屋の名前の固定観念から抜け出すのが難しい。誰でも意見が言える議論にしやすいテーマではあるが、みんな同じ空間しか体験していないので、なかなか違う発想が出てこない。既成概念を破って自由に考えるというところが一つの目標だと思う。ウェルビーイングも私は今回とても大事で、使いやすいとか、教えやすいとか、学びやすいというだけではなく、そこで教えること、学ぶこと、活動することが嬉しい、楽しい、幸福感がある状態。建築的に言うと、学びやすいとか、使いやすいというのは機能をよくするという言葉だが、それに心地をつけて、学び心地がよい、教え心地がよい、居心地がよい、そういう新しい学校空間の質を皆さんに問いかけるようなものにしていただけるとよい。高橋委員の意見の通り、メディアの形式についても工夫し、デジタルネイティブ世代にも伝わっていくようなものにできるとよい。
 
【荒瀬主査】学校施設の質的改善・向上に関するワーキンググループの設置について、御異議なしということでよろしいか。
 
(一同異議なし)
 
【荒瀬主査】ワーキンググループの設置について、原案どおり決定する。座長は新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方や、平成22年に作成したアイデア集の議論にも関わられた伊藤委員にお願いしたいが、よろしいか。
 
(一同異議なし)
 
【荒瀬主査】伊藤委員、よろしくお願いします。
 
【伊藤委員】私としては、設計とか計画に直接関わる機会がそこまで多くなく、どちらかというと研究が学校を変えるためにどういうことができるかというようなことを考えてきた。建築の側から教育をこうしろというのはある意味越権で、仕組み上そういうこともあまり言えない。しかし、その施設の在り方を示すことで、学校の現場や教育委員会の人が、こんなことができるんだ、じゃあ、施設はこうしようというような、そういったようなサイクルの一つにこうした施設の検討がなれたらいいなと思い、座長を務めるにあたっての課題にしたい。 そのためには、建築以外の教育に関わる方々にどうやってこういう情報を届けるかということや、ウェルビーイングというテーマが筆頭に来たことで、施設の役割とかに対する解釈の幅もぐっと広がると思う。全体として、より固定観念から外れるとか、より自由にどうつくるかということが以前よりも求められるようになってきている。そのときに、こんなことができるんだ、こんなことやっていいんだと文部科学省の会議から発信して、学校を変えていきたいという自治体、学校、先生を、ある種エンパワーメントするような報告書ができたらよい。
 
【荒瀬主査】本調査研究協力者会議よりワーキンググループに参加される伊藤委員、高橋委員、長澤委員は、よろしくお願いします。大人が考える使い方以上に子供たちにはアイデアがいろいろとある。そういうものも受け入れられるような学校であるということが非常に大事。そういった点も含めて検討いただきたい。

議題3:その他

・事務局(早田補佐)、資料3-1、3-2に基づき説明。
 
―― 了 ――

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大臣官房文教施設企画・防災部施設企画課

指導第一係

(大臣官房文教施設企画・防災部施設企画課)