学校施設等の防災・減災対策に関する調査研究協力者会議(第3回)議事要旨

1.日時

令和5年4月25日(火曜日)16時00分~17時30分

2.場所

新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、オンラインにて開催

3.議題

  1. 水害リスクを踏まえた学校施設の水害対策の推進のための手引き(案)
  2. その他

4.出席者

委員

木内望,清田隆,楠浩一,佐藤健,中埜良昭(主査)(敬称略)

特別協力者

藤井隆(敬称略)

文部科学省

総合教育政策局 男女共同参画共生社会学習・安全課

木下調査官,奥矢係長


大臣官房文教施設企画・防災部

森技術参事官,後藤参事官,梅﨑参事官付災害対策企画官,小林参事官付参事官補佐,亀井参事官付参事官補佐,

5.議事要旨

(◎:主査の発言、〇:委員・特別協力者の発言、●:事務局の発言)

(1)水害リスクを踏まえた学校施設の水害対策の推進のための手引き(案)

・4月1日付けで異動した特別協力者及び事務局より、自己紹介を行った。
・事務局より、資料1-1(,1-2,1-3)に基づき、「水害リスクを踏まえた学校施設の水害対策の推進のための手引き(案)」の概要を説明し、各委員より発言があった。
・事務局より、資料2に基づき協力者会議委員から事前にいただいた意見と対応について、説明を行った。

○ この手引きを作成するに当たって、部会では中間報告までに5回、中間報告後も5回の検討会議を実施した。教育施設としての学校の早期再開といった視点と、地域防災上の児童生徒、教職員等、さらには周辺住民を巻き込んだ避難施設としての役割等についてどのようにバランスを取りながら、それぞれどのように対策を講じるかということについて議論が行われた。中間報告以降は、ケーススタディを行いながら、具体的な事例に基づいて検討してきた。ケーススタディでは、具体的にどういった情報等を集約して検討すれば良いか、体制をどう組めばいいのか、ポイントとなる点はどこかなども踏まえて検討を行った。
 
〇 水深に関しては網羅的な手引きであり、浸水深ごとの対応も記載されているなど非常に具体的な内容になっている。また、参考資料が多く、その中のケーススタディについては豊富で具体的な例になっており、見やすく利用しやすい。水深の対策がメインなのは当然だが、地盤工学からの観点で言えば、地盤災害の対策については防護壁、構造体の補強ぐらいしかないため、将来的に、それ以外の対策を考慮するのであれば、例えばモニタリング等の実施についても盛り込むとより積極的なものになるのではないかという印象を受けた。
 
〇 耐震対策と水害対策では相反する部分があることについては、手引きの冒頭に詳細に書き込むことで今後の認識として広まるのと思うが、実際に対応する側としては、具体的な対応策について、悩むところがあると思う。そのことに対しては個別の相談になるかもしないが、総合的な対策をどう考えるのかということが書き込めれば将来的に良いと思う。
山形の地震の際には、大雨による水害の後に大きな地震が来たということもあったように、災害対応という面では、複合災害をどう考えるのかというのが、今後の課題としてはあると思う。
 最後に河川事務所と緊密な連携を取るという話があったと思うが、実際に水害が発生する場合において、河川事務所から学校に対する的確で迅速な情報提供というものをどういう仕組みでやるかといったことについても、方策が確立できれば良いと思う。適切な仕組みを用意して、河川事務所の本来業務に過度に負担にならないようにするために、省庁を超えて相談をすることが必要。
 
〇 3月に仙台市から仙台防災枠組の中間評価が発表された。地震関係については達成されたが、水害のモニタリング指標については被害が増加しているという中間評価が出ていることから、今回の手引きは貢献できるものと期待をしている。
概要版の3枚目左側の「対策のポイント」に「対策目標規模」と記載があるが予算の規模なのか何の規模なのか分かりにくい表現になっている。また、本文の11ページ目に「タイムライン」と記載されている。参考資料も含めて、ほかの部分は「避難確保計画」という表記になっているので、ここだけ「タイムライン」となっているため、「避難確保計画」で統一したほうが良いのか検討してほしい。
 
○ 学校の水害対策を進めるための情報、例えば国としての水害対策の取組の情報とか対策の視点とか手順、留意点など、対策、立案に必要な情報については非常に丁寧に細かく記述されており、部会の皆様方に敬意を表したい。この手引きは、学校の設置者である教育委員会の方や、連携すべき地域の防災行政に関わる方にもぜひともお伝えしていく必要があると思っている。
 その上で手引きとして、必ずしも専門的知識を有しているわけではない学校関係者にどのように理解してもらうかという視点で考えた場合、主に3章から5章の対策、立案の手順を意識して読み進めていくと、情報が散らばっていたり、重複している部分もある印象があったため、工夫が必要だと思う。
 また、発災前や発災後、その後の復旧というように時系列でそれぞれ対応の整理が必要という資料については整理されていて分かりやすいが、参考資料という位置づけの中で、「(案)」ではなく、「(例)」でもいいのではないか。
 防災に限らず、様々な対策とか計画を立案するときに非常に重要なこととして、計画は状況に応じた継続的な見直しが重要である。例えば、地域のハザードマップなどの対策の前提となる条件が徐々に変化して整うこともあると思う。状況に応じて見直すことも必要ということを記載しておくといいのではないか。
 
◎ 重複については、どこを読んでも記載されているという意味で必要なことがある場合もある。情報が飛んでいるようなところは、検討させていただくことになるかと思う。
低頻度の被害規模が大きい災害のみを対象にするのではなく、より頻度の高い災害に対して、対策を行い、高頻度から非常に頻度の低い災害の中で優先度を考えていくのは、現実的な対策が議論できるいいシナリオになっている。
 それから、事前の対策はもちろんだが、いざ発災した後にどのように対応していくかというところも非常に大事でありポイントでもある。なにが必要で、あらかじめ危険な場所について指摘できれば、その部分に対して注意喚起をすることができればよい。
 
○ 水害対策と地震対策における相反する対応や複合災害への対応については、学会でも最先端の議論として今後議論する内容であるため、専門的な議論がある程度整理できてから、取り入れていく。
 一方で、会議の中で、誰に向けて記載しているのか整理して書いたものの、一般の自治体、教育委員会の方には少し分かりにくいかなと、場合によっては行き届かなかった点はあったのかもしれないと思う。
 今後、もしもこれらについて、今日の指摘も踏まえて修正するのあれば、一字一句見ていただいた部会の委員などもいるため、その場合には委員にも確認いただきたい。
 
◎ 手引きを書くときに大事なのは、主語が誰かというのと対象が誰なのかということをよく考えること。それを忘れてしまうと、読み手にとって分かりにくく、誰に言っているのかわからなくなってしまう。部会の中でも気をつけて議論されてきたということだが、部分的にもしかすると分かりにくいところがあるのかもしれない。もし必要があれば修正をかけて、その際にはもちろん部会の委員の方にももう一度確認を取るという手順をとる必要がある。勝手に変えて、誤解したまま文章を作成してしまうことがないように議論をしながら丁寧に対応していく必要がある。いずれにせよ、非常に丁寧な議論をしていただいたと思っており、感謝申し上げたい。
 
● 概要の「対策目標規模」の記載は、本文では、「対策目標浸水規模」という使い方をしており、「対策目標浸水規模」とするべきところだと考えている。「タイムライン」と「避難確保計画」他の記載については、整理させていただきたい。また、先ほど、本手引について、状況に応じて見直す必要があるとのご意見もありましたが、他の委員からのご意見については、今後の課題とさせていただきたい。
 
◎ タイムラインの話については、どこがボトルネックになるか分かるようにということも含めて、災害が起こった後に必要なこと整理しておくのが重要だという、議論をしたことが記載されているという考えでよいか。

● そのとおり。具体的には、参考資料の、「学校の水害対策について、平時、台風等の気象情報の発表時、発災後に取り組むこと」で、各教育委員会や学校、河川管理者が、それぞれのタイミングで何を行うべきかということをまとめているところ。

・手引き案の修正は部会の委員の確認を得たのち主査一任とすることについて、了承が得られた。

(2)その他

・事務局から、今後のスケジュール等を説明。
・森技術参事官より挨拶があり、会議を終了。

お問合せ先

大臣官房文教施設企画・防災部参事官(施設防災担当)付

電話番号:03-5253-4111(内線3184)

(大臣官房文教施設企画・防災部参事官(施設防災担当)付)