国立大学法人等の施設整備の推進に関する調査研究協力者会議(第9回)議事録

1.日時

令和5年6月30日(金曜日)13時00分~15時00分

2.場所

オンライン会議(Zoomを用いて開催)

3.出席者

委員

五十嵐委員、池田委員、上野委員、片岡委員、金子委員、倉田委員、後藤委員、下條委員、恒川委員、出口委員、土井委員、西尾主査

4.議事要旨

【宮城大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室室長補佐】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから国立大学法人等の施設整備の推進に関する調査研究協力者会議(第9回)を始めさせていただきたいと思います。
 本日は、御多用のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 事務局を務めます計画課整備計画室の宮城です。どうぞよろしくお願いいたします。後ほど、本協力者会議の主査が選任されるまで、議事進行をさせていただきます。
 初めに、事務局から、オンライン会議の注意事項の説明、欠席委員と配付資料の確認をさせていただきます。
 まず、発言時以外はマイクをミュートにしていただき、御発言いただく際は、挙手機能を御使用ください。挙手機能をオンにされた方を主査に指名していただきますので、御発言はその後でお願いいたします。
 また、本日は、岩村委員、大村委員、篠原委員、竹内委員、山内委員が御欠席でいらっしゃいます。また、出口委員が少し遅れていらっしゃいますけど、御出席いただく予定でございます。ほかの委員の皆様には御出席をいただいております。
 次に、配付資料の確認につきましては、議事次第を御確認いただければと思います。資料は、事前にお送りしているものを画面共有しながら御説明いたします。本日、一部に委員限りの資料がございますけれども、そちらは画面共有いたしませんので、お手元で御確認いただければ幸いです。
 それでは、会議の開催に当たりまして、文教施設企画・防災部技術参事官の森より御挨拶申し上げます。
【森大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官】  御紹介いただきました文部科学省の文教施設企画・防災部技術参事官の森でございます。この4月1日に着任しております。この3月までは、山形県にある鶴岡工業高等専門学校の校長を務めておりました。開会に当たりまして、一言御挨拶申し上げます。
 さて、委員の皆様方におかれましては、大変御多忙の中、昨年度より引き続き本会議の委員をお引き受けいただきまして、ありがとうございます。
 国立大学等施設は、全国的に配置された我が国最大の知のインフラと言えると思います。その整備充実は、我が国の未来を開き、我が国を成長、発展へと導く、未来への投資であると考えております。
 御案内のとおり、今年が3年目となります第5次国立大学法人等施設整備5か年計画におきましては、教育研究の高度化等への対応や、地方自治体や産業界など多様なステークホルダーとの共創の拠点として、キャンパス全体をイノベーション・コモンズへと転換していくということが示されております。
 この後に担当者から改めて説明がありますが、この6月16日に取りまとめられました、いわゆる骨太方針2023において、第2章の新しい資本主義の加速というところで、産学官連携によるキャンパスの共創拠点化が盛り込まれております。政府内における注目が集まってきていると考えております。
 このような中、本年4月末には、DX、GX等の成長分野やグローバル化への対応等に着目いただき、報告書のまとめの方向性として、「我が国の未来の成長を見据えた『イノベーション・コモンズ(共創拠点)』の更なる展開に向けて」を取りまとめていただいております。
 本日の会議では、イノベーション・コモンズに関する具体的な各大学の取組や、キャンパス、施設の整備事例等を基に御議論いただき、この夏の報告書の取りまとめに向け、ぜひ忌憚のない御意見を賜りたいと考えております。また今後、御検討の成果を私どもが発信していく上でのことにつきましても、御助言、御協力を引き続き賜れればと考えております。
 以上簡単ですが、開会の挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
【宮城大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室室長補佐】  続きまして、同じく4月に着任いたしました課長の瀬戸より御挨拶申し上げます。
【瀬戸大臣官房文教施設企画・防災部計画課長】  計画課長を4月に拝命いたしました瀬戸でございます。皆様とこのような会議で関わることができ、大変うれしく思っております。どうかよろしくお願いいたします。
【宮城大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室室長補佐】  それでは、早速ですけれども、議題1に移らせていただきます。まず、議事次第の共有をさせていただきます。
 本日の議題といたしましては、協力者会議の運営について、また、まとめの方向性を踏まえた事例調査についてとしてございます。
 まず議題1といたしまして、資料1に基づいて説明をさせていただきます。
 本協力者会議につきましては、先般、中間まとめを取りまとめいただきましたけれども、夏の最終取りまとめに向けまして、イノベーション・コモンズの実現に向けまして、調査研究の推進というところで、引き続き御協力を賜りたく考えてございます。
 また、本協力者会議主査につきまして、事務局といたしましては、昨年度より協力者会議の主査をしていただいております、西尾委員に引き続きお願いしたいと考えておりますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【宮城大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室室長補佐】  ありがとうございます。それでは、本会議の主査は、西尾委員にお願いしたいと思います。
 以降の議事進行は、西尾主査にお願いしたいと思います。西尾主査、どうぞよろしくお願いいたします。
【西尾主査】  皆様、こんにちは。ただいま御指名いただきましたので、僭越ではございますが、引き続き主査を務めさせていただきます。
 今後重要となる論点は、先般策定しました中間まとめを基に、具体的な事例等を含めて、どれだけ内容的に充実したものにしていくかということ。また、我々がこの問題を議論する際に、多様なステークホルダーとの連携をいかに図っていくかということ。さらには、ソフトとハードとの一体的な整備というような観点。これらが今後、我々が政府の財政当局に訴えていく上でも非常に重要なポイントであろうと考えております。ぜひとも委員皆様から貴重な御意見を多々いただきまして、内容の濃い報告書を策定したいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
 それでは、本協力者会議の運営について、事務局より説明をお願いいたします。
【宮城大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室室長補佐】  ありがとうございます。資料2に基づき御説明をさせていただきます。
 本会議の運営についてでございます。こちらにつきましては、今までお進めいただいた内容と大きく変更はございません。
 基本的に本会議は、原則として公開とさせていただいております。
 また、会議の傍聴につきましても受けさせていただいております。
 また、議事要旨の公開でありますとか会議資料の公開につきましても、後ほど弊省のホームページで公開してまいりたいと思います。こちらにつきましては今までと同じくというところで整理してございますけれども、こちらはぜひ御議論いただき、本日決定いただければ幸いでございます。
 事務局の説明は以上となります。
【西尾主査】  ただいま説明いただいたことに対しまして、何か御質問等ありませんか。特に無いようですので、本協力者会議の運営については、ただいま御説明いただいたとおり決定したいと思います。会議の運営に関わる重要なことでございますので、再度確認しますが、皆様、異議等はありませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【西尾主査】  ありがとうございます。
  それでは、続いて議題2に移ります。議題2として、4月に公表されたまとめの方向性を踏まえた事例調査の進め方や報告書への反映の仕方について、まず事務局から説明いただき、皆様の御知見や御意見のほか、新たな事例の御紹介等、幅広く皆様方からの御発言を伺えればと思っております。
 それでは、事務局より説明をよろしくお願いいたします。
【北岡大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  それでは、事務局のほうから御説明をさせていただきます。
 まず、この会議におきましては、今、西尾主査からも御説明をいただきましたように、今年の4月に公表させていただきましたまとめの方向性、これを踏まえた具体的な事例、こちらを取りまとめていくということを目的としてございます。
 この事例は、各国立大学法人等における施設整備において一助となるように、各大学の御担当の方、さらには執行部の皆様に御理解をいただくためのものだと思っております。その際には、この会議でこれまで御議論いただいておりますイノベーション・コモンズ(共創拠点)、これをいかに具現化していくかという視点の事例をまとめていきたいというふうに考えておるところでございます。
 先ほど技術参事官の森からも御説明を申し上げたとおりですが、今年度の政府決定文書の数々におきましても、このイノベーション・コモンズ(共創拠点)というものの推進、これは非常に多く取り上げていただいております。
 少し御紹介をさせていただきますと、参考資料7でございますが、こちらはまず、5ページを御覧いただければと思います。こちらは経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針というものでございますが、こちらの2023の記述でございます。黄色のマーカーで書かせていただいておりますが、産学官連携によるキャンパスの共創拠点化ということで、政府の一丁目一番地となる財政運営の方針の中でも、このキャンパスの共創拠点化という文言が加えられてございます。
 ただ、この文言をいかにして具現化していくか、また我々といたしましては、来年度の概算要求に向けて対外的な説明をさせていただくとともに、各大学において、この構想を具体化していくための手助けになるもの、それを今回、この有識者会議の報告書の中でまとめていきたいというふうに考えておるところでございます。
 骨太の方針、これが来年度の概算要求の基本になるものでございますので、今、御説明を申し上げましたが、このほかにも、例えば少しページを戻っていただきますが、2ページから4ページまでは、統合イノベーション戦略という科学技術政策の基本となる方針、また7ページを御覧いただきますと、こちらは新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023ということで、新資本主義についての骨格の部分、さらにはその次のページにございます成長戦略のフォローアップであるとか、その次のページでございます9ページ目、教育振興基本計画、こういったところでも、大学のキャンパスを共創拠点化、イノベーション・コモンズ化していくということについて、取り上げているところでございます。
 この会議におきまして、本日事務局のほうから、具体的な事例の取り上げ方、御紹介の仕方、さらにはどういう事例を取り上げていくかというところにつきまして、まずは案をお示しさせていただきたいと思ってございます。それにつきまして先生方から御意見をいただいて、完成に近づけていければと考えてございますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の資料の御説明につきましては、担当の宮城からさせていただきます。
【宮城大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室室長補佐】  続いて御説明をさせていただきます。
 本日一部資料につきましては、委員限りの資料とさせていただいてございます。基本的に御説明は資料3をベースにさせていただきますけれども、委員限りの資料から、具体的な写真でありますとか個別事例の名前を除いた形といたしまして、公開用の資料を画面共有しながら御説明してまいりますので、お手元で資料3の写真等が入っているものでしたり、資料4、5につきましては、お手元で御確認いただければ幸いです。
 まず、資料4でリストをお配りしてございます。こちらにつきましては、新たな検討テーマとしておまとめいただきました中間まとめに関するテーマに関しまして、事例調査をしております。その情報をまとめたものとなってございます。そちらにつきましては、国立大学、国立高等専門学校でありますとか、それ以外にも、私立・公立大学でありますとか、諸外国の事例につきましても整理をしているものでございます。
 こちらの中でまず事例の調査をしました上で、特に事例として参考になるのではないかと考えるものについては、大学名等に太字化をしてございまして、そちらを本日の資料では、本文に反映、取り上げるイメージで、まず御相談の資料というものをつくってございます。
 ではこちらにつきましては、各種調査というものは、一部現地調査も含めまして、引き続き精査してまいりたいと思っており、現時点、事務局としてこういった事例を取り上げられないかというところになってございますので、また今後、事例の入替えでありますとか追加があるというような前提になりますので、本日の資料3の具体の大学名でありますとか、具体の取組の写真でありますとかにつきましては、現時点は委員限りということにさせていただいてございます。
 従いまして最終イメージにより近いのは、お手元にございます、具体のイメージがより視覚化されたようなイメージというところでお考えいただければありがたく思います。
 それでは、資料3に基づきまして御説明申し上げます。こちらは、先般おまとめいただきました中間取りまとめを最終取りまとめにしていくに当たりまして、事例の反映をどのようにしていくかというイメージ案を作成しているものとなります。
 まず、目次を御覧いただければと思います。先般おまとめいただきました、新たな検討テーマの整備の考え方や取組のポイントにつきましては、第1部の報告としてそのまま掲載というところを考えてございます。
 この後御説明申し上げますけれども、中間まとめにおいては文章のみというところでございましたけれども、これを今後具体化していくに当たりましては、より分かりやすく具体的なイメージを持っていただくために、事例について適宜挿入しながら、より読み手の方にとって分かりやすい報告書にしてまいりたいというふうに考えてございます。そういう形で、適宜必要な事例を差し込みながら、第1部というものは充実してまいりたいと思ってございます。
 続きまして、第2部でございますけれども、こちらには参考事例集のような形でまとめた形にしてまいりたいと思ってございます。先ほど第1部では、各検討テーマにつきまして、それに合致しました内容を部分的に御紹介する旨申しましたけれども、第2部では、大学等の全体で見たときに、複数の新たな検討テーマである成長分野への対応や地域への貢献、多様な主体への対応、グローバル化への対応、そういった複数の重点テーマにそれぞれ合致する大学等全体での取組でありますとか、共通する共創の相手であるステークホルダー、企業や地方公共団体等の組織的な連携でありますとか、そういった重点的、特に注目すべき事例につきましては、第2部でしっかり横串を通して、しっかり取り上げてまいりたいというふうに思ってございます。
 さらに、先般おまとめいただきましたまとめの方向性では、今後の推進方策で国立大学等が取り組むべき方策といたしまして、継続的なステークホルダーとの対話でありますとか、大学の共創の考え方の明確化と積極的な情報発信等、共創活動を推進する体制づくりに向けた取組等でありますとか、施設系職員を中心にした取組の事例、活躍への期待でありますとか、様々書いていただきましたけれども、そちらにつきましても第2部でぜひ紹介する視点に含んで、具体的な事例として御参考いただけるようなものにしていきたいというふうに考えてございます。
 第2部の構成といたしまして、第1章といたしましては、共創拠点のさらなる展開に向けたキャンパス全体の取組事例というものを取り上げたいと思ってございます。第2章におきましては、共創拠点のさらなる展開に向けた個別の施設整備や個別の取組の事例というものを紹介してまいりたいと思ってございます。
 今から御説明いたしますけれども、第1部では部分的に取組をそれぞれ御紹介する形になってございますが、この第2章におきまして、第1部で部分的に紹介した事例の概要、周辺情報について、例えばどのような財源で建てたとか、どういう目的で建てたというような背景事情も含めて御参考いただけるかなと思いますので、そちらは、本日資料5としてお配りしているような概要を、この第2章につけるというようなイメージで考えてございます。
 なお、本日の議論に先立ちまして、先般、6月9日にワーキングで議論いただいております。そのときにいただいた御意見につきまして、それを踏まえた反映をしてございます。
 さらにそのワーキングの場で出た御意見を御紹介させていただきますと、まず個別施設の取組のみならず、キャンパス全体がイノベーション・コモンズ化していくことが重要であるという視点から、この第2部の特に第1章で取り上げる、キャンパス全体であるとか、大学等全体の取組というのがとても重要になってくる旨御指摘いただいてございますので、ワーキングの資料から、さらに本日、第2部の案を作成して御議論いただければというところで考えてございまして、そちらの第2部の第1章につきましては、公開資料としてこちらも画面共有しながら、御説明を後ほど申し上げます。
 また、取り上げる事例につきましても、例えばサステナブルキャンパスの視点が重要でありますとか、あとはディープテック関係の事例が少し少なかったようなところもありまして、そういったところの追加の御指摘をいただきましたり、あとはデジタルの関係で、設計や維持管理におけるデジタル技術の活用として、デジタルツインというキーワードの重要性でありますとか、またデジタル環境と言ったときには、施設のみならず、機器、設備系の話も重要であるというところ、またそのデジタル環境のなかなか目に見えない部分を、どう表現して視覚化していくかというところで、しっかり考えていくべきという御指摘をいただいております。
 同時に、デジタルに寄り過ぎず、リアルなコミュニケーションの場の重要性についても、しっかりバランスを取って留意すべきというような御指摘もいただいてございます。
 また、本日は委員限りの資料といたしまして、施設の整備のイメージ図を入れてございますけれども、やはりソフト、ハード一体となった取組の重要性というのが、イノベーション・コモンズのキーポイントでございます。そのため、例えば、それをどう運営していくかというような、体制に係るお話もしっかり事例の中で見せていくべきであるとか、そういった幾つかの御指摘をいただいてございます。
 なので、そういった方向性も踏まえて、今後充実をさらにしていきたいと思っておりますが、現時点の反映イメージというもので、本日は御説明をさせていただきたいと思います。
 続きまして、「はじめに」というところで御説明を申し上げます。こちらにつきましては、先般おまとめいただきました中間まとめから最終まとめに向けて、参考となる事例の調査、整理を行った上で、今般取りまとめを行う旨、内容の更新をさせていただいております。
 まとめの方向性におきましては、令和6年度概算要求への反映など、国に対するメッセージをいただいておりましたけれども、最終まとめにしていくに当たりましては、共創するステークホルダーそれぞれの役割への期待というところも重要でありますことから、国への期待のみならず、国立大学等でありますとか、地方公共団体、産業界の皆様への期待というものを、先般おまとめいただきました、まとめの方向性に記載している、今後の推進方策の記載を基に、追記をさせていただいているものでございます。
 続きまして、2ページ以降が具体的な第1部の報告の内容となってございます。こちらは基本的に、取組のポイントや整備の考え方は、先般おまとめいただいた内容をそのまま記載しているというところでございまして、具体的には7ページ以降になります。
 それぞれ、デジタルも活用したハイブリッド環境の整備といたしまして、ここに書いてございます、大学キャンパスを中心としたまちづくりを自治体と連携し、展開し、そういったネットワーク、各キャンパスをつなぐデジタル技術も活用した、新たなキャンパス整備の事例でありますとか、8ページに参りますと、プレイスメーキングというキーワードをいれてございますけれども、学生が、様々なグループであったり個人であったりといった多様な使い方ができるような場づくりの事例でありますとか、続きまして、9ページでございますけれども、デジタル技術を活用しましたオープンラボ・ネットワーク、遠隔操作によってデジタル技術も活用した、こういった機器活用の遠隔化というような取組、またリビングラボラトリという取組として、企業と連携しながら、実際にキャンパスを実証の場とした取組の紹介でありますとか、そういった形で、各事例、各ポイントに合致した事例をそれぞれ挿入するような形で、より具体的に対応をイメージしていただきやすいような最終形というところを目指し、作業をしてございます。
 引き続きまして10ページ以降は、新たな検討テーマの個別テーマに入りますけれども、成長分野への対応といたしまして、11ページでございます。
 こちらにつきましては、様々なステークホルダーと連携した、ヘルスケアであるとか、医療分野のDXとバイオメディカルイノベーションを推進する拠点の整備でありますとか、地域の産業活性化のための木質素材を使いました交流・共創の場の整備でございますとか、また、諸外国においても異分野連携として、複数機関からの支援を得て設置された研究機関における、いわゆる交流を可視化し、誘発するような空間整備の事例でありますとか、そういったものを国立、公立、私立というところで、国公私関わりなく、また諸外国の事例も含めまして御紹介するような案を作成しているところでございます。
 12ページでございますけれども、こちらにつきましてはカーボンニュートラルというところで、スマートキャンパスによるカーボンニュートラルの推進の取組でありますとか、13ページに行っていただきますと、異分野融合と産学官連携によって革新的な材料研究を行うオープンラボ化した取組でありますとか、あとは、研究者がいつでも意見交換ができる大交流スペースを有しました世界的な研究拠点の事例でありますとか、また、14ページにいっていただきますと、高専の事例といたしまして、半導体分野で複数機関が連携した取組の事例でありますとか、また教育面でも、自治体と協働した未来型の学びというものを、産学官連携による組織的かつ継続的な研究の場として整備する、新しい施設の事例でありますとか、そういったものを紹介、整理する案としてございます。
 続きまして、15ページでございます。大きな個別事項の丸2、地域を中心としました産学官連携強化による人材育成を支える環境整備でございますけれども、こちらには、自治体と包括的連携協定を締結し、自治体の有する既存施設を改修して、大学が借用する形で共創の場をつくる事例でありますとか、あとは16ページに行っていただきますと、学内で学長を座長とする検討委員会を設置した上で、大学の活動をどう外に見せていくのかというような、地域の拠点となる新たな施設整備の事例でありますとか、そういったものをまとめてございます。
 17ページに参りますと、施設や設備の共用促進というところで、共同実験室による大型機器を使用した実験の様子でありますとか、なお、お手元にあります委員限りの資料でも少しブランクになっているような事例は、ぜひ重要な観点であるので御紹介したいというところで、例えば連携を推進する体制づくり、いわゆるソフト的な対応についてもグッドプラクティスを探し出したいと思っておりますけれども、現時点調査中であり、最終まとめに向けてはそういった事例も入れ込みながら、充実していきたいと考えております。
 18ページにいっていただきますと、こちら、上段は、産産と学学連携を強力に推進しますバイオマス研究の拠点整備の例でありますとか、あと、下にございますのは、地域住民の防災意識の向上に資する取組をしている事例でありますとか、そういった様々な観点から地域貢献するような事例というものを、具体的な事例として新たに差し込んでございます。
 次、19ページに参りますと、多様な主体に開かれた魅力ある環境整備といたしまして、20ページでございますけれども、女子学生の入学増に対応した高等専門学校での女子寮の整備でありますとか、大学における理工系・農学系のキャンパスの魅力向上に対する取組、または育児との両立の環境整備についても御提言いただいてございますけれども、そちらも、何か具体化できる事例調査というのを継続して進めてございますので、こちらについてもしっかり事例をお示しできるように、引き続き調査を進めてまいりたいと思ってございます。
 21ページにいっていただきますと、これは地元企業の寄附により整備された棟でございます。こちらで、遠隔地の講演内容をオンライン接続していけるようなところでしたり、リカレント教育の様々な展開というところで、地域大学の事例を紹介してございます。
 また、他施設の活用という観点で、いわゆるアクセスのよい大学の外の場所、企業が運営する施設に大学が参加するような形で共創拠点をつくっている事例でありますとか、そういった事例を具体的に案として掲載することを考えてございます。
 23ページにいっていただきますと、最後、グローバル化への対応でございます。こちらにつきましては、23ページの事例は諸外国の事例といたしまして、寄附金によって整備予定の学際的な共創を実践する新たな拠点整備の事例でありますとか、24ページにいっていただきますと、学生と海外の学生が様々交流できる混住寮の事例でありますとか、最後、25ページにいっていただきますけれども、グローバル発信拠点、文化の発信拠点といたしまして、こういった新たなセンターの整備の事例でありますとか、そしてまた最後に26ページに、中間支援組織の活用等、施設をつくって終わりではなくて、その運用をうまく継続させるための仕組みづくりが重要である旨御指摘いただいておりますので、これも具体的な事例を基に御紹介できるよう、調査を進めているところでございます。
 今まで御説明申し上げましたとおり、第1部においては、書いていただいた、お示しいただいたポイントに合致した取組を部分的に見せて、より分かりやすく整理していくというところを考えてございます。
 続きまして、第2部でございます。第2部につきましては、あるテーマに沿って第1部で合致するような取組を部分的に御紹介したときは、どうしても取組としては、ある拠点、1拠点のお話であるとか、そういったところになりがちですけれども、この第2部において、その点となる拠点をどう面的に展開して、キャンパス全体をどう共創拠点化していくのか、こうしたキャンパス全体にかかる取組等を重点的に取り上げたいというところで、案を作成してございます。
 具体的には32ページ以降で、現時点、3つの機関の取組を掲げてございます。
 1番に東海国立大学機構といたしまして、名古屋大学と岐阜大学の事例、また浜松医科大学の事例、最後は大阪大学の事例を載せてございます。こちらはワーキンググループでも御指摘いただきましたけれども、見た方々が、より参考いただけるように、地方大学の事例の充実というところもしていくべき旨御指摘いただいてございますので、重点的に取り上げるキャンパス全体であるとか、大学全体での取組についても、もう少し事例を増やしながら、最終とりまとめは作成してまいりたいと思ってございます。
 本日は、これに続く第2章につきましてはまだ作成中で、つけてございませんけれども、そちらが本日お配りしております資料5のイメージで、もう少し第1部で取り上げました各事例の詳細事例をこの後につけるような形で、最終とりまとめをつくっていければというふうに考えてございます。
 続きまして、第2部で取り上げたい事例について概要を御説明させていただきます。32ページの東海国立大学機構でございますけれども、こちらは図にありますとおり、機構全体において、それぞれ名古屋大学、岐阜大学で施設マネジメント体制をどう築かれているかというところを整理してございます。
 また、左の緑の部分になりますけれども、名古屋大学では、教員組織であります施設・環境計画推進室と職員組織である施設統括部とが連携して、キャンパスマネジメント体制を構築されており、教員と職員の連携というような体制についても御参考いただけるかというところで、冒頭記してございます。
 下にございますのが、既存のキャンパス全体をコモンズへ転換していくという取組の御紹介でございまして、まずキャンパス全体をゾーニングいたした上で、ここに幾つかポイントとなる拠点の事例を載せてございます。ここに書いてございます、例えばピンクで囲っておりません東海機構プラットフォーム等は、先におまとめいただいた第一次報告書で詳細をまとめております。
 その上で、今回新たに取り上げたいと思ってございますのが、例えば上にありますナショナル・イノベーションコンプレックスの取組等について、33ページでございますけれども、それぞれ拠点の名前の右に、今回の新たな検討テーマにどう合致しているのかというところを付してございますが、そういう形で整理をした上で、拠点一つ一つを見ても、共創の場づくりにとってのアイデアがある、さらにそれをどう運営していくかというところについてもきらりと光る取組がある、そういった取組を示しつつ、それがキャンパス全体でどう面的に波及するような工夫をされているのかというようなことで、こういった事例を紹介していきたいというふうに考えてございます。
 続きまして、34ページは岐阜大学の取組でございますけれども、下の図でありますように、こちらはものづくりの分野からキャンパス全体の共創拠点化を推進するという中で、ものづくりというものを中心としながらも、例えば県との結節点で畜産分野のお話であるとか、市との結節として医学・医療分野の連携でありますとか、そういった地域の大学において、どのように様々なステークホルダーと連携した場を、キャンパス全体で展開しているのかというような事例紹介をしてまいりたいというふうに思ってございます。
 35ページに参りますと、具体的に複数企業と連携した地域活性化の中核拠点の取組であるとか、地域に貢献する人材育成の拠点であるとか、そういった取組の詳細につきましても、キャンパス全体の取組と併せて御紹介してまいりたいというふうに思っております。
 36ページに参りますと浜松医科大学ですけれども、これは右上に書いてございますように、産学官というところで様々な連携体制の下に、中央に書いてございますが、医工連携拠点棟を中心に、キャンパスのイノベーション・コモンズ化というものを考えられている例でございます。こちらは、地域の健康・医療関連産業の発展を担うキャンパスの共創拠点化として、ぜひ御紹介していきたいというふうに考えてございます。
 最後に大阪大学の事例でございます。大阪大学のキャンパス全体でございますけれども、このように4つのキャンパスそれぞれをどのように計画されて、その中のキャンパスそれぞれにポイントとなるような共創の拠点をどのように整備されているのかというところで、ここに書いておりますけれども、キャンパス全体のウォーカビリティを高めて、多様な交流の機会を創出する共創の場を形成する事例といたしまして、大阪大学の事例、また下に行きますと、それぞれ吹田キャンパスにおける総合教育研究拠点の事例でありますとか、最後のページに行っていただきますと、箕面キャンパスの地方公共団体や産業界と共創するサステナブルキャンパスの取組でありますとか、また下には、中之島キャンパスのアートであるとか産学共創のグローバル発信拠点の形成であるとか、そういった事例につきまして、大学全体の取組の御説明と絡めながら、重点的な取組の事例として御紹介したいというふうに考えてございます。
 長くなりましたけれども、資料3から5について、事務局の説明は以上になります。どうぞよろしくお願いいたします。
【西尾主査】  大部にわたる資料ながら、要点を捉えて御説明いただきまして、誠にありがとうございました。
 資料についての説明は全ていただきましたので、これから委員の皆様より、さまざまな観点からの御意見や、新たな事例の御紹介など、幅広い視点からの御発言を賜ることができましたら、ありがたく思います。どうぞ御意見等がおありでしたら、挙手機能等を使ってお知らせいただければと思いますが、いかがでしょうか。
 五十嵐委員、お願いいたします。
【五十嵐委員】  ありがとうございます。
 今般取りまとめいただきましてありがとうございます。イノベーション・コモンズというのが何を目指して、具体的に何に取り組んでいくのかといったことを、関係者に分かりやすい形で提示するものになりました。内容、形式ともに非常にいいものになったと思います。参考となる先行事例として、各地の商工会議所や地域の産業界が関わっている取組なども取り上げていただいたということもありまして、我々としても非常にイメージしやすいものになってきております。
 ただ、大学を中心とした事例が多くなっていますが、民間事業者が主体的に産学連携に取り組んで成果を上げている事例というのも、たくさんあります。こういうものも分析していただくと、大学からの視点というだけじゃなくて、民間の視点でユニークな施設や空間づくり、あるいは交流促進とか運営方法といったもののヒントが得られるのではないかなというふうに思います。もしお時間があれば、そうした観点のリサーチをしていただいてもいいのかなと。場合によっては私どものほうで、こんなところがありますよということは御紹介させていただきます。
 またその上で、具体的に取りまとめの中身について少しだけ申し上げたいと思っております。特に15ページに展開されています、地域を中心とした産学官連携強化というところで、地域、あるいは産業界の立場から、施設整備そのものだけのことではないですけれども、その有効活用のために必要な機能という観点で、簡潔に3点申し上げます。
 1つ目は、地域産業の振興、あるいはスタートアップ創出のための拠点整備ということを推進するとなっておりますけれども、ソフト面、特に大学が持つシーズの社会実装、それとか、スタートアップ創出を支援するインキュベーション機能の強化に力を入れていただければなというふうに思っております。
 浜松医科大の事例のように、大学が産業界や公的機関などと連携して成果を上げている事例というのは、ほかにもあるだろうと思います。それが成功するに至った取組のポイントなどを、もう少し詳しく調査分析して、情報共有いただければなというふうに思います。
 2つ目は、前から申し上げているとおりですけれども、イノベーション・コモンズに地域の事業者がアクセスして、大学側とうまくコラボレーションできるように、記述もちゃんとしていただいております。学内で連携してもらうとか、あるいは対外的窓口の明確化というのは記載、きちっとうたっていただいておりますけれども、重要なことは、実際にこれが機能するということでありまして、ぜひ各大学で同じような対応が取れますように、例えば何らかのガイドラインのようなものを作成して共有していただくなんていうことはできないのかなというふうには、少し考えたりしております。
 3つ目です。大学側における知的財産の柔軟な活用の促進についてということで申し上げたいと思います。研究開発というのは産業振興にも欠かせない要素でありますけれども、私どもがいろいろ各地の商工会議所に聞いているところによりますと、大学において行われた研究の開発というのは、必ずしも社会実装に結びついていないというような指摘があります。
 地域の中小企業と大学が共同研究をするというようなことがもちろんあるわけですけれども、その際に知財の関連コストを、中小企業、事業者がなかなか負担できないといった問題があるのだということが指摘されていまして、ぜひ大学における知財関連予算を充実、拡充していただけないかなというふうに思っております。
 関連して言いますと、大学が持つ特許を無償で開放して、事業化した後にライセンス契約に移行させるような取組を行っている、山口大学のような事例がありますが、非常に参考になると思います。産学連携による研究開発と知財の活用の円滑な推進ということについて、政府と大学におかれて検討いただければというふうに思うわけであります。
 少し長くなりましたが以上です。
【西尾主査】 どうもありがとうございました。最初におっしゃっていただいた点についてですが、これは何らかの意味で大学等との関連があるという前提の下で、民間企業サイドが、例えば産学連携等を通じてイノベーション・コモンズのような空間を主体的につくっておられる、というような事例ということでよろしいでしょうか。
【五十嵐委員】  そうですね。
【西尾主査】  再度の確認で恐縮ですが、何らかの意味で大学とは関連しているという理解でよろしいですね。
【五十嵐委員】  全く関係ないというのは中々厳しいかと思います。
【西尾主査】  大学との関連事項としては、先に例で申し上げたような観点を設けさせていただきたく存じます。
 その上で五十嵐委員にお願いしたいのは、先ほどおっしゃっていただいたように、該当する事例がありましたら、ぜひとも御紹介をいただけますと事務局も助かるのではないかと思います。大変お手数をおかけいたしますが、どうかよろしくお願いいたします。
【五十嵐委員】  分かりました。ありがとうございます。
【西尾主査】  五十嵐委員には、以上の観点に加えて三点の貴重な御意見をいただきましたが、事務局から何らかのコメントや御意見はございますでしょうか。
【宮城大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室室長補佐】  ありがとうございます。
 1点目にいただきました、企業側から見たときの取組については、ぜひ御紹介いただければ、ぜひ調査して取り上げて、利用者、ステークホルダーの、大学外から見た視線での事例というのも充実していければというふうに思ってございます。
 2点目に、学内連携であるとか対外的な窓口の明確化に係る、ガイドラインとの御指摘をいただきました。こちらは、いわゆる社会連携というところを担当している省内の担当課と少し話をしてみて、まず現状どういう取組をやっているのか、そして今後どういうことがあり得るのかというのは、話を聞いてみたいと思います。
 3点目の知財の話も、省内に担当課がありますので、どういうことがあり得るかというところと、あと、具体に山口大学の御事例も御示唆いただきましたので、そういう事例も見ながら、少しどういうことができるかというのは、担当課、関係課とも相談してみたい、話をしてみたいというふうに思います。ありがとうございます。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。五十嵐委員、今の回答でよろしいでしょうか。
【五十嵐委員】  ありがとうございます。
 以上です。
【西尾主査】  どうもありがとうございます。
 それでは、池田委員、よろしくお願いいたします。
【池田委員】  ありがとうございます。今の五十嵐委員の1点目の御指摘に関連しまして、経団連で会員企業を対象に行ったアンケートの中に、施設整備を中心とした産学連携の事例が数例ございますので、それらの事例を文科省の皆様に内々提出しております。事例の内容を吟味いただいて、よければ紹介させていただければ、という提案を申し上げておりますので、よろしくお願いいたします。
 今回多くの事例について、図表をふんだんに交えて紹介することは、大学関係者の方々への周知はもちろん、大学関係者以外の多様なステークホルダーの理解を得るために、とても良いことだと思っております。私もそれほど多くの大学を視察させていただいているわけではないので、こうした形で具体的に御紹介いただけるのはとても参考になります。
 拝見させていただきまして、例えば、「グローバル化に対応した国際競争力のある環境整備」に記載されている、共創空間と一体となった学生宿舎は、グローバル化への対応のみならず、学生が企業、自治体、地域と共に課題を解決していくうえで重要な場になると考えていますので、好事例を横展開していただいて、幅広い大学で進めていただければ、と思います。
 また、私立大学のケースのように、大学のキャンパスの中だけで捉えず、街中の方々との接点がある場所で大学が活動できるような形での施設整備も進めていけば良いと思っております。
 会議の趣旨を踏まえますと、議論の中心が国公立大学となるのは仕方がない面があるかと思いますが、私立大学の中でも先進的な取組を実践しているところもあると認識していますので、ぜひとも第2部の参考事例では、国公立大学のみならず私立大学からも、好事例を収集して掲載していただければ、と思っております。
 以上でございます。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。最後の観点は、今後事例を集める際に特に注意してまいります。どうもありがとうございました。
 また、最初におっしゃっていただきましたアンケート調査の結果というのは、我々にとっても非常に興味深いところですので、改めまして、この場でも共有できたらと考えております。
 さらに、街なかにおいてさまざまなイノベーション・コモンズの活動をいかに展開していくかという点も、非常に重要な観点かと考えております。そのことを十分に意識しながら、関連事例を集めてまいりたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、香川大学の片岡先生、お願いいたします。
【片岡委員】   ありがとうございます。今日まとめていただいた個別資料で、写真もふんだんに見せていただき、非常にイメージとして捉えやすくなったと思います。私どもが拝見していて既に、規模の大小はありますけれども、それぞれの大学等で相当幅広く、取組が行われていることが、改めて感じられたところです。
 この中で、個別事例になりますけれども、8ページで、DX化が大きな共通テーマですが、この中でこれから事例調査されるということですけれども、たまたま今日、香川大学で、施設整備事業で補助していただいた情報化推進統合拠点の施設が完成しまして、関係の方々においでいただいて、セレモニーをやっているところです。
 ここでは施設整備というハード的な部分ももちろんありますけれども、デジタルONE戦略といいまして、デジタル関連で改善できる業務の課題をまず発見する取組を、デジタルONEアンバサダーという形で、各部署、各部局にいる人材をうまく活用して、そこに結びつけ、ソフト事業を行っております。こういうことも、ハードとソフトと合わせた形の一つの取組として御紹介いただければと思った次第です。
 それから、20ページの大学における理工系・農学系等のキャンパスの魅力向上に関する取組というところで、工学系・農学系キャンパスの附属施設等には、特に産学連携の取組に使われる施設が今たくさんできております。例えば農場辺りで言いますと、植物工場のようなものとか、新しいエネルギーを使った栽培施設とか、産学連携の取組という形で動いていると思いますので、ぜひ盛り込んでいただければと思いました。
 最後に1つ、第2部のところで、これは面としてキャンパスをコモンズ化していくということで、ある特定のキャンパス内での広がりという形での御紹介が事例として挙がっていると思いますけれども、地方大学の中には、かなりの広がりの分散キャンパスになっていて、それぞれのキャンパスで取組が行われているものを、全体として統合して共創拠点化する工夫をされているところも多いと思います。そういう視点も取り入れていただくと、地方大学の取組というものが、面として広く見えてくるのではないかと思いました。
 以上でございます。
【西尾主査】  最初におっしゃっていただいたところは、ハード面の改善を単独に捉えるのでなく、それによって業務改善をどうしていくかということも含めた環境整備が重要であるという意味で、非常に重要な視点だと考えております。事務局の方で、香川大学のそうした取組等をきっちりと調査いただき、報告書に反映してまいりたいと思います。どうもありがとうございました。
 また、キャンパスが数か所にまたがっている場合に、全体としてのコンセプトメーキングをどのようにしていくかという観点につきまして、第2部の第1章では、僭越ながら大阪大学は、四つのキャンパスをトータルで考えイノベーション・コモンズをどのように形成していくかいうことで、一事例として掲載いただいております。様々な大学における取組等でそのようなグッドプラクティスがある場合は、それらもぜひ紹介していきたいと考えております。ありがとうございます。
 それでは、後藤先生、よろしくお願いいたします。
【後藤委員】  よろしくお願いいたします。
 地域を中心とした共創の場をつくるということが目的で、共創の主体となるのは、やはりあくまで人ということになると思います。ハードとソフトが一体となった取組というところにそれが表れているのですが、事例紹介をしようと思うと、どうしても可視化できる部分というのがハードに偏ってしまうところがあるのかなと思います。人の活動というのをなかなかイメージしにくい部分がどうしてもあって、静止画像ではなかなか困難かなということもありますので、何か工夫ができないかなというふうに思います。それが1点です。
 もう一点は、地域課題や大学の特色や規模なんかも様々ですので、大小含めて、できる限りやはり多様なコモンズの事例が紹介できればよいと考えております。今日の御提案もかなりいろんなものが入っていたかなと思いますので、よろしくお願いいたします。
【西尾主査】  まず、二点目については、スケールと申しますか、規模の多様性をきっちり考える必要があるということで、今後も事務局として鋭意配慮してまいりたいと思います。
 一点目については、まさに先生のおっしゃるとおりでして、難しい問題であると思います。どうしてもハード面の資料が多くなるのですが、事務局の方で何か工夫等が可能であるのかという点については、いかがでしょうか。
【宮城大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室室長補佐】  ありがとうございます。おっしゃっていただいたように、今どうしても施設の空間のつくり方に寄っておりますけれども、ソフト、ハード一体となった取組、またどう活動状況が伝わるかという視点は、少し悩みながらもぜひ工夫していきたいと思っておりますので、考えて、次回しっかり御提案できればというふうには思います。ありがとうございます。
【西尾主査】  後藤先生には、何か良い案がございましたらぜひお寄せいただけますと、ありがたく思います。
【後藤委員】  あまりないのですけれども、少しなかなか公表というか、広報には難しいかもしれませんけど、例えばメタバースのようなものがあると、何か分かりいいかな、食いつきがいいかなと思ったりしたんですけど。
【西尾主査】  分かりました。今後、報告書もそのようなタイプのものが重要になってくるのかもしれませんね。どうもありがとうございました。
 土井先生、お願いいたします。
【土井委員】  どうもいろいろ御説明、まとめていただきましてありがとうございます。皆様からいただいた意見と重ならないところで申し上げますと、2点ございます。
 1点目は、イノベーション・コモンズということでやっていくときに、先ほど後藤先生から人が大事というお話もありましたけれども、できればこのイノベーション・コモンズをスタートアップの方たちも使っていけるような仕組みが必要だと思いますし、そういうところで、やはりメタバースとかいろいろデジタルのツールを使って、ベンチャーキャピタルに対してピッチを行うような、そういう環境とか支援をするような仕組みも、スタートアップを支援していくということでも重要だと思いますし、そういうものがあると、定期的に集まってくるという意味で、継続性が出てくるのかなというふうに考えます。1点目です。
 2点目は、少し細かいことで恐縮ですが、今回の資料の中で、施設の規模とかかかった予算などを書いていただいているのですが、1点少し心配なのは、最近のTSMCの影響で、熊本とかに参りますと、非常に人手不足になっています。なので、地方拠点でやっていくときに、このオペレーションとして、例えば電気技術管理者とか、いろいろな資格を持った方たちが必要になってくると思います。
 DXもやって継続させていこうとすると、そういうところで情シスとかそういう知見を持った方が必要になるので、オペレーションとしてどれぐらいの方たち、特にバックヤードの方ですよね。専任か兼任か分からないですけれども、そのような方がやっていらっしゃるかということも、もし可能であるならば分かると、その規模感が分かって、建物を建てておしまいではなく、継続するために、学生さん、地方の皆さん、市民の皆さんに集まっていただく場の維持に、どれくらいの人が必要かというのも、特に地方の拠点では知っておかないと、なかなか続かないと思うので、その辺りも、もし可能であれば追加していただけるとありがたいかなと思いました。
 以上です。
【西尾主査】  ありがとうございました。先ほど五十嵐委員がおっしゃっていただいた中で、大学のシーズがしっかりと社会実装に結びついているのかという点について、五十嵐委員からは知的財産の問題を御指摘いただきましたが、もう一つ、シーズを社会実装していく過程においてスタートアップ企業がどれだけ育っているのかということは重要な観点です。そうしたスタートアップ企業の方々が、このイノベーション・コモンズで活動を展開しておられるような事例等もあれば、ぜひとも報告書に加えていきたいと思いました。
 加えて、イノベーション・コモンズをどのように運営していくのかということについて貴重な御意見をいただきました。実証実験的な活動やさまざまな産学連携の拠点等でイノベーション・コモンズを有効利用していくときに、そのバックヤードでそれらの活動を支える技術的な職員等がどれだけ配置されているのか、ということを示すようなデータがあると、非常に参考になるとの御示唆をいただきました。
 土井先生、そのような内容の御意見ということでよろしいでしょうか。
【土井委員】  はい。おまとめいただきありがとうございます。よろしくお願いいたします。
【西尾主査】  では、頂きました二点の御示唆について、今後鋭意検討してまいりたいと思います。ありがとうございました。倉田先生、よろしくお願いいたします。
【倉田委員】  私のほうから2点ほど、少しコメントさせていただければと思います。
1つは、今回、今後も事例が豊富になっていくと、イノベーション・コモンズとはどういうものかということで、非常に分かりやすくなってくるとは思います。一方でそれが実現に至ったプロセスというものがもう少し分かると、全ての人が同じプロセスを経ていることにはならないと思いますけれども、特に最初のところ、こういうことをきっかけにこれが実現したとか、その中で、ある意味考えられるステークホルダーがどういう役割を果たしたかということが少し事例の中で分かると、これから取り組むところも非常にそれが参考になるのではないかなと。どこから手をつけたらいいかというところが分からないところもまだ多いのではないかという気がしますので、そういったことが少し分かるといいかなというのが1点です。
 それからあと、先ほどもお話がありましたけれども、共創拠点というと、どうしても1つの施設をイメージしたり、あるいは1つの空間をイメージしたりするようなことが、事例からいっても多いと思うのですけれども、一方で先ほどお話があったように、キャンパス全体の共創拠点化とか、イノベーション・コモンズ化という話がありましたが、それについては、これも一瞬にしてそういったものが実現するわけじゃないので、長期的な展望に立ってそういうことを進めていく上で、例えばマスタープランの中できちっとそういうものを位置づけておくとか、それからそういうイノベーション・コモンズという機能をキャンパスの中にどういう形で配置していくのかというようなことを、ある程度展望しておくことも必要じゃないかなというふうに思っていまして、そういう意味では、そういう中でマスタープランとかいうようなことの役割も大事だと。
 もしそういう事例があって、そういうものをベースに進められているという事例があるのであれば、そういうものも含めてここで紹介されるといいのかなという気がいたしました。
【西尾主査】  本当に素晴らしい御意見だと思います。ただし、その重要さは分かる一方で、どこから手をつけてよいのか分からないというような場合もあるのではないかと思います。その時に、まずはどのような形でマスタープランが構想され、そのマスタープランにおいて、どのようなステークホルダーからの働きかけがあってそうしたプランに至ったのか、そして、それをどうやって具現化していったのかというようなプロセスについての情報がさらに付記されると、非常に意義があるのではないかと思います。
 これらの点についても、ぜひとも今後留意してまいりたいと思います。貴重な御意見をありがとうございました。
 続いて出口先生、よろしくお願いいたします。
【出口委員】  大変貴重な資料を今回御提示いただいて、本当にありがとうございます。大変いろいろイメージが広がってきます。
 もう既にコメントされた方々と重複してしまう部分がかなりあるのですが、今の倉田先生の御発言内容に続いてとなりますが、どこの大学も、みんなこういう施設をつくりたいと思っているはずです。ただ一番の課題は財源だと思います。財源と、整備した後の施設の管理運営のコストです。この点に目途が立たないので、多くの大学が整備できずにおり、整備するのに二の足を踏んでいるということが実状だと思います。財源についての情報について、例えば、運営費交付金、あるいは施設整備費の概算要求に基づく施設ばかりなのか、あるいは、民間資金等を含めた財源で整備されているのか、その辺の情報も確認していただけるとよいかと思いました。
 特に今は岸田内閣による新しい資本主義に基づいて、PFI等の民間資金を加味して施設整備をしていくような方針を文科省も進めていらっしゃると思いますので、どのようにしてPPPでつくり上げていくのかというのが課題かと思います。特に地方において課題と思いますので、何らかの形で財源等の課題に触れていただかないといけないのではないかと思いました。
 それが1点と、それから先ほど倉田先生も、キャンパス全体をいずれはイノベーション・コモンズ化していくということに私も大賛成なのですが、そのときに、新築だけでそういった拠点施設をつくっていくのではなく、改修、特に使われなくなっているようなスペースを、大学の中で既得権を持たれている部局と調整しながら、それを改修して、共創拠点のためのスペースをつくり出していくかが課題であり、新築だけではなく、改修が一つの大きなポイントになってくると思います。今の事例を見ますと、改修の事例はそれほどないですよね。ほとんど新築ですよね。
 なので、もう少し改修にも力点を置いて、もし何か良い事例があれば増やしていただけるとありがたいなと思いました。
 それから、最後になりますが、今の政府、文科省が力を入れている社会人リカレント、リスキリングが、大学で重視されるようになってきており、そうすると、以前から私は申し上げているので再三になるのですが、社会人が通いやすい都心のサテライトで、こういったイノベーション・コモンズの考え方に基づく施設を増やしていく必要があるかと思っています。民間が整備した施設を大学が借り上げたり、あるいは大学が手を加えたりするような都心サテライトの事例を、もう少し取り上げていただいてもよろしいかと思っております。
 私どもの東京大学でも、力を入れておりまして、再開発で整備された民間のビルの中にそういったサテライトを持ち始めています。幾つか事例も増えてきておりますので、よろしくお願いいたします。
【西尾主査】  三点の御意見をいただきました。事例の中で、財源に関する情報がさらに付記されるとより一層参考になるのではないか、という点については私も賛同いたします。
 次に、改修についてです。改修してイノベーション・コモンズ化することにより、キャンパス全体がイノベーション・コモンズ化していくという方向性は非常に重要です。そこで、改修して素晴らしいイノベーション・コモンズへと生まれ変わった拠点があれば、ぜひそれらも示していきたいと思います。
 また、リカレント、リスキリング教育等を考えるうえでの、街なかでのイノベーション・コモンズの重要性をご指摘いただきました。これは先ほど池田委員からいただいた街なかでの拠点整備の重要性に関する御意見ともつながると思います。現在、政府としても、リカレント、リスキリング教育を非常に重要視している中で、そうした拠点作りをどのように実現していくかは重要な観点であると思っております。ありがとうございました。
 それでは、恒川先生、お願いいたします。
【恒川委員】  ありがとうございます。
 先ほどの倉田先生のお話、あるいは出口先生のお話に続けてということになると思うのですが、1つはプロセス、体制の事例というのがあまりないことについて、例えばなのですが、名古屋大学を第2部の最初のところで大きく取り上げていただいて、大変ありがたいなと思うのですが、むしろこういう中で、私どもの組織のことも取り上げていただいてありがたいのですが、そこが何をやっているのかということを具体的に書いていただいたほうが、こういう組織がありますよということよりは、こういう組織がどういう役割を果たしているというようなことを、書いていただくという事例の紹介の仕方がいいのではないかなと思いました。
 同時に、例えばその次のページに、野依記念学術交流館というものも紹介していただいているのですが、この辺りはもう、実は少し古いというのもありますので、むしろその上のアイデアストアみたいなところ、これもどういう組織体がどういう役割を果たしているからこういう施設が成立しているのだと、そういう紹介の仕方をしていただけると、どういうふうに立ち上げていくとか、どういう運営をしていくのかということが、より分かる事例の紹介の仕方になるのではないかなと思うので、建物のハードに焦点を当てるという意味も、むしろどうつくり、どういうプロセスでやっているのかということも御紹介いただけるといいかなという気がいたしました。
 それからもう1点は、お金の財源のことなのですが、出口先生がおっしゃるように、財源が提示されることも大事ですが、もう一つは、今日の議題とは少しそれるかもしれませんけれども、この資料の中に、国がやるべきこと、大学やるべきことというところが、1部の最後のほうかな、あったと思いますが、やっぱり大学側を勇気づけていただけるような観点で国が努力していますということを、もう少し言っていただけると、大学側がやる気が出るのではないかなという気がしています。
 もう少し具体的な話をしますと、やっぱり概算要求するときに、無駄なものはもちろんお金をつけていただけないので、査定をされるのはもちろん大事なことだと思うのですが、やっぱりイノベーション・コモンズって、よりお金がかかる方向だとは思います。通常の建物を造るよりも、より様々な運用にもお金がかかる、ITにもお金がかかる。そういう意味で、施設の整備費の単価みたいなものというのは、より多分お金がかかる方向になっていくのではないかと思われます。
 なので、そういうことに対して、国もきちんとフォローしていきますよ、というメッセージを大学側に投げかけていただけると、大学側が非常にやりやすくなるというか、勇気づけられるのではないかなと思いますので、ぜひ何かそういった観点でのやり方をお示しいただけるとありがたいなというふうに思いました。
 以上です。
【西尾主査】  ありがとうございます。最初の役割の点は、先生にいただいた事例が一つの典型かと思います。そこで何が行われているのかということについて、より具体的に記述していくことに努めてまいりたいと思います。
 二つ目は大いに賛同いたします。大学がイノベーション・コモンズを整備するに当たって、国からもそのような大学の動きを後押している、可能ならば何らかの支援をしたく思っているというようなメッセージが伝わることが肝心だと思います。事務局としては難しい課題だとは思いますが、恒川先生のおっしゃっていることは、大学にとっては非常に力強いメッセージになると思いますので、御配慮をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 それでは、下條先生、上野先生という順番でお願いいたします。
【下條委員】  ありがとうございます。先ほどのコストの件も含めて、前々からこの委員会で申し上げているのですが、やっぱりデジタルも、ある種インフラの一つであると。
 これについては今年から経産省のほうで、デジタルライフライン総合計画というのがつくられ始めていまして、要は、デジタルもいわゆる水道とか道路とか建物と同じようなインフラとして、ちゃんと長期の計画を立てなさいということ、それからちゃんとしたアーキテクチャーでそれをつくっていきましょうということがうたわれ始めているので、ぜひそれも取り込んで、ある種このイノベーションハブがデジタルでもハブとなるように、これは例えばエネルギーや交通など、そういった面の情報も外とつながっていくような拠点にできると、非常にすばらしいのではないかと思います。ぜひその辺りも取り込んで。
 特に例えば大阪大学の箕面キャンパスとか、それから大阪市大とか、僕らの知っているのでは立命館大学のいばらきキャンパス、そういうところはそういった観点でも取り組み始めているので、そういうところを少しフィーチャーできるといいかなと思います。
 以上です。
【西尾主査】  非常に貴重な御意見だと思います。下條先生がおっしゃったように、イノベーション・コモンズが、例えば電力をいかに抑えていくかというようなことを考えるハブとなるなど、さまざまな社会課題解決に向けての社会との接点として機能し、その活動を社会に展開するための情報発信基地にもなっていく、というような好事例を大学で実現していくことをぜひとも目指していきたいと思っております。ありがとうございます。
 上野先生、よろしくお願いいたします。
【上野委員】  ありがとうございます。今回のこの調査研究協力者会議は、主要なテーマが共創拠点をどうつくっていくかということで、地域や企業との連携が非常に重要で、そういうこともあって、日本商工会議所の五十嵐委員とか、経団連の池田委員の御発言というのは、非常に重要なことだったというふうに思います。
 特に社会実装をしていくためにどういうふうにしていくのかというようなことは、単純に施設整備という観点だけではなかなか実現できないことでもありますので、こういった施設整備に関する調査研究協力者会議がまとめた報告書とか、それを基にできた文教施設部からの提言とかという形になると、ともすると、やっぱり施設系の職員の方と施設整備に責任を持つ大学執行部の方が読まれることが多いと思うのですが、今回のこのテーマは、それこそ産学連携ですとか研究担当とか、そういう方々、教員もそうですし、そういうのに関わる職員の方々にもぜひ読んでもらえるように、事務局のほうで少し検討していただければなというふうに思いました。
 また文科省の中でも、高等教育局とかそういうところにどうアピールしていくかというのが結構重要かなというように感じた次第です。
 あともう一つは、例えば研究費を出すところ、JSTですとかそういうところにも何かアピールしていって、とにかく地域とか企業との共創、これが非常にこれからの日本をつくっていく上で重要だということをアピールできればいいのではないかなというふうに思った次第です。
 以上です。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。本報告書を大学の施設担当者の方が読まれた際に元気づけられる内容であるかという観点も重要ではないかということを以前から考えておりまして、そうした記述も工夫してまいりたいと思います。
 また、政府のさまざまな関係者、また文部科学省の中でも、関連するいくつかの局等においても重要視していただけるような報告書とすべきだということに関しては、会議の終盤で笠原部長からお言葉をいただく際に、それに係る方向性についても力強いお言葉を頂戴できると思っております。どうもありがとうございます。
 本日は、金子先生はいらっしゃいますでしょうか。もし、御意見等がございましたらお願いできればと存じます。
【金子委員】  すみません。ありがとうございます。
 すみません、今回、我々が今実際に取り組んでいるところで、いろいろ悩んでいることの共有というか、そういう視点から少しコメントさせていただきたいと思いますけど、イノベーション・コモンズの場合は、新しいイノベーションを共創で生み出すというところが主眼かなというふうに思いますが、我々としては、デモンストレーションというか、新しい社会インフラをキャンパス内で、先行的にトライしていくというような位置づけでもやっていまして、ここに産学官連携でいろんな案を考えているということがありまして、そうすると、プレーヤーとして場を使って、それぞれイノベーションを起こすという意味の企業との連携はあるのですが、我々の場合は、一緒に未来社会の在り方をインフラとして試すというようなことを少しやったりしています。
 そうすると、いろんな提案が。今例えば高速通信インフラとアプリとカーボンニュートラルを実装するためのセンサー群の配置ですとか、キャンパス自体のデジタル化をどこまでやるかみたいなところを一遍にやったときに、どういう新しいキャンパスの在り方があるかということ自体を、その活動対象としていろいろやっていますと、いざそれをつくろうという施設整備の段階になると、やはり調達をしたり、入札とかなんとかという形になっていくので、関係していた企業の人たちはなかなかうまく連携してやっていけないとか、いろんな予算の制約があって、キャンパスの施設そのものに、新しいイノベーション的なパイロット的な要素が入ってきた場合は、なかなかそういうことにならないので、既存の技術とか建物を建てるだけで、通常の調達でやれるようなインフラで、場だけを提供するようなことを想定している場合は問題ないと思いますけど、新しい社会の技術の使われ方をキャンパスで試そうみたいなところで施設整備の仕組みを使おうとすると、もう全然うまくいかないということがあって、少し今回、今後の展開に向けた概念整理という面もあるかと思いますので、この辺りを少し検討いただけると。
 我々は日常的に、今これをどうしたらいいかよく分からなくなって苦戦していますけど、何か解をいただけるような方向に議論いただければありがたいなと思っております。よろしくお願いします。
【西尾主査】 金子先生、どうもありがとうございます。先生のおっしゃったことは本当によく分かります。具体的にどのようなところで行き詰まっているかということを事務局へおっしゃっていただければ、記述としても非常に具体性を持ったものになると思いますので、可能でしたらその点でサポートしていただけないでしょうか。よろしくお願いします。
【金子委員】  承知しました。よろしくお願いします。ありがとうございます。
【西尾主査】  上野先生、お願いいたします。
【上野委員】  すみません。さっき少し言い忘れていたのですが、文科省のほうから、地域中核とか特色ある研究大学の連携による施設整備事業というので、30大学が採択されて、今いろいろ計画が実際に動き始めていると思うのですが、これはとてもいい取組ですし、この共創拠点実現に向けたこういった会議とも、連携といいますか、そこを参考にして考えるということもきっとあると思うのですが、そういったことをもう少しこの会議の中でも紹介していただくとか、あるいは今後、来年以降、もう少し大学を元気づけるという意味で、こういったようなことを引き続きやっていくとか、何かそういう辺りのことを少し事務局のほうからお聞きできるとうれしいなというふうに思いました。
 以上です。
【西尾主査】  ありがとうございました。事務局にお伺いしたいのですが、「地域中核・特色ある研究大学の連携による産学官連携・共同研究の施設整備事業」と、現在議論している、このイノベーション・コモンズの関係との間で、既に何らかの連携が取られているのかという点に関して情報をいただけるとありがたく思います。先ほど、上野先生がおっしゃられたことと関連するのですが、いかがでしょうか。
【宮城大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室室長補佐】  ありがとうございます。その事業担当局との対話、打合せや情報共有等はしており、事業上は、施設設備補助金とそちらの事業での整備というのは切り分けておりますが、
 先ほどおっしゃっていただいたように、採択された大学も、地域で活躍される大学がありますので、そういった情報は共有を、担当局課ともしております。他局との連携というのは、こちらも努めておりますが、事業単位で見ると、財源はそれぞれ別に切り分けをしておるところにはなってございます。
【西尾主査】  ありがとうございました。私としましては、それはもったいない気がいたします。せっかくイノベーション・コモンズに関してこれだけ議論を深めておりますので、「地域中核・特色ある研究大学の連携による産学官連携・共同研究の施設整備事業」でも施設整備について募集や採択がなされる際に、ここで議論されていることが活かされ、そしてソフトとハードが一体になった取組へと繋がっていくということは重要な観点ではないかと思います。この点については、今後のテーマとしていただければありがたく思います。
 上野先生、いかがでしょうか。
【上野委員】  今の宮城さんのお話は、すこしもしかしてがっかりかなと思ったりしたのですけど。ぜひ連携を図って、今後やっていっていただければうれしいなというふうに思います。
【西尾主査】  ありがとうございます。今後のキャンパス全体の在りようをここで深く掘り下げて議論していることを考えると、文部科学省のさまざまな関連施策に活かされていくべきと私も考えております。ありがとうございました。
 他にいかがでしょうか。
【宮城大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室室長補佐】  すみません、少し事務局より失礼いたします。
【北岡大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  すみません、私はこの3月まで別の局にいて、ある意味、施設のほう、別の局から来た人間なのですが、今、上野先生がおっしゃったような地域中核の事業なんかは、まさに事業趣旨自体が、大学の研究力強化という一環ではあるのですが、要は自分の研究所であるとか研究施設だけではなくて、他分野との連携、さらには民間を含めた協業というものを推し進める、そのための施設整備ということで募集をかけていましたので、この地域中核の事業に関しては、今ここで議論しているイノベーション・コモンズという名称は使ってはいないですけど、多分概念的には同じものを目指しているということだとは思うんです。
 ただ、少し先生から今御懸念があったように、それを意図して、もともと事業設計の中から施設部が関わっていたという状況ではなかったと思いますので、これから来年度予算に向けても、他局を含めて様々検討を進められていく中で、私どもも施設の観点からこのイノベーション・コモンズというのをどう具現化していくか、それをこの施設整備予算だけではなくて、他局の事業の中でもどういうふうに埋め込んでいくかというところについては、しっかり省内でも連携を取ってやっていきたいと考えてございます。
 以上です。
【西尾主査】  ありがとうございました。
他に御発言をなさりたい委員の方はいらっしゃいませんでしょうか。今までいただいた御意見を今後、活かしていくということでよろしいでしょうか。本当に貴重な御意見の数々をいただきましたことに、心より御礼申し上げます。
 それでは、今いただきました貴重な御意見等を踏まえて、事務局のほうで作業を進めていただければありがたく存じます。どうもありがとうございました。
 それでは閉会の前に、事務局から資料6を基に今後のスケジュール(案)の説明、及びその他の事務連絡をお願いいたします。
【宮城大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室室長補佐】  ありがとうございます。資料6ですが、今後の進め方となってございます。
 本日いただきました御意見、追加的な調査でありますとか、こういった情報も整理すべきであるとか、事例をどう見せるかというところについては、事務局で検討を進めさせていただきます。
 次回、7月27日は、またワーキング・グループで一度御議論いただきまして、その後、8月頃ということで、今、日程調整させていただいておりますけれども、次回会議で、ほぼ最終形の取りまとめということで、事例の情報を詰めたものとして最後御議論いただいた上で、9月も含めて夏頃、報告書を最終取りまとめしていきたいというふうに考えてございます。
 また、本日の議事録については、追って御確認いただきました上で、文科省ホームページで後日公開させていただきたいと思ってございます。
 以上でございます。
 最後に、よろしければ部長の笠原から御挨拶させていただければと思います。
【西尾主査】  ぜひよろしくお願いいたします。
【笠原大臣官房文教施設企画・防災部長】  すみません、本日は大変貴重な御意見ありがとうございます。今、話がありましたように、8月に向けて様々な御意見をいただきました。本当にありがとうございます。
 まず大きく、文部科学省に対してということで、財源の確保をきちんとしなくちゃいけないのではないかという話と、省内外含めた連携ということも当然必要なのではないかという話があったかと思います。
 まずはその財源の確保につきましては、もうまさに論をまたないと思いますけれども、国立大学はそもそも老朽化していて、それを新しい時代のものに合わせて変えていく必要があると。正直どうせ変えていく必要があるのであれば、新しいものに対応して、改修という話も出ておりましたけれども、今のキャンパスを使いながら、どう新しい形に変えていくのかというためにやらなくてはいけなくて、予算の要求を、この報告書なんかも使いながら、やはり様々な外からの応援をいただかないと、予算の確保にはつながりませんので、そういう活動につなげていければなと思っています。
 2点目の、いろいろな省内外の連携ということですけれども、さっきの地域中核でありますとか情報、デジタルの基金による整備との連携という話です。計画課のほうも担当が替わっていたりしていますけれども、私はずっと関わっていますので、昨年度の流れを少し御説明させていただきますと、御案内のように、昨年度の多分今頃だと思いますけれども、地域中核、10兆円ファンドの話が動いていましたので、片や地方の大学をどう支えるかという中で、その財源をどうするかという話がいろいろ議論されていました。
 その場に臨むに当たっても、やはり地域中核のいろいろなプログラムをソフト的に組んでいくに当たっても、このハードのイノベーション・コモンズという考え方は非常に共感を得ていて、それをソフト的に全体としてどう組み立てていくかという中で、その基金ができていったというふうに思っています。なので、具体的な向こうの制度設計のときにも、正直言って最初からいろいろ関わっていましたし、施設についての審査の仕方なんかにも、いろいろ関わりながらやってきたというのが流れです。
 もう一つ、情報系人材につきましても、当然御案内のように国立大学の老朽化施設がいっぱいあって、新しいことをやるのに既存の予算の中でやるのはもう非常に困難な部分があるので、政府全体として情報系人材については、定員も含めて、まずはプラスオンさせるという発想ですので、人材も含めてプラスオンするのであれば、施設も当然別枠でプラスオンする必要があるだろうという中で、基金という中に施設も含めて議論が進んでいったということがございます。ですので、我々としても一定の連携はしてきておりますし、さらに今後、より強固な連携をしながらやっていかなければならないのではないかなと思っています。
 それともう一つ、多様な財源という面ですけれども、そういう面で今回も経団連の方とか日商の方とかにお入りいただいていますが、さらに知事会としても関わっていただいて、外からの連携を全体として取っていくということをやっていますし、実は、今日は脱炭素の視点はあまり出ませんでしたけれども、今後、国立大学がやっぱりカーボンニュートラルとかという視点で進めていこうとすると、当然環境省の政策との連携というのも重要だと思っていますので。
 実はたまたま私は午前中、環境省の地球環境の担当の局長のところに行って意見交換をしてきているのですが、向こうも国立大学について、やはり国立大学の中の整備をやるに当たって、環境省として特段の協力をするのは難しいけれども、当然地域との関わりにおいて、大学が一定程度地域に対して、電源的ないろんなバックアップの機能を持つだとか、地域に対してどう貢献するかということを前面に出してもらえれば、それは協力していく余地はありますよねというようなやり取りもしています。
 なので、我々としては、省内もそうですけれども、省外含めて様々な連携を、今後も強固なものにしていかなければならないかなと思っておりますので、この点は先生方からもいろんなお力添えをいただけばと思っています。
 あと個別の観点で言うと、キャンパス全体のコンセプトメーキングをしながらやっていく必要があるというふうにお話もありましたし、それは非常に重要な視点だと思っていますので、それをきちんと整理する必要があると思います。
 あと、ソフト、ハード一体ということですので、どうしても可視化しようとすると、スペース、空間を可視化しやすいので、してしまうわけですけれども、それを支える体制だとか検討のプロセスだとか、そういうものもなるべく何らかの形で情報を、入れられるところについては入れながら、ソフト、ハード一体感を出したいなというふうに感じたところです。
 あとは具体の事例についても、民間側からのアプローチというのも私も大事だというふうに思いますし、幾つか某大手の不動産会社なんかも、駅前のオフィスをつくって、その中に大学のサテライトみたいなものを誘致しているという例も、私も当然見ていますので、それは国立大学だけじゃなくて、私立大学なんかもそういうところに乗り込んできているところもあるのも見ていますので、そんなことなんかも少し入れながらやる必要があるのかなと思いますし、もう一つやっぱり改修の視点も、これはもう忘れてはいけませんし、これこそやらなきゃいけない部分なので、それも含めて事例も整理していきたいなと思っています。
 いずれにしても様々な貴重な御提言もいただきましたし、我々への叱咤もいただきましたので、我々としても精いっぱいまたやっていきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 私のほうからは以上です。今日はありがとうございます。
【西尾主査】  笠原部長、本当に力強いお言葉をいただきまして、どうもありがとうございます。今後の予算折衝は大変だと思いますけれども、我々は大変頼りにしておりますので、何卒よろしくお願いいたします。
 また委員の皆様方、本日は貴重で納得するお話ばかりであり、大変感銘を受けながら伺っておりました。本当にどうもありがとうございました。事務局の方では、大変な作業かと思いますけれども、本日いただいたさまざまな御意見を活かしていただけますよう、何卒よろしくお願いいたします。
 それでは、これにて閉会といたします。本日はありがとうございました。
―― 了 ――

お問合せ先

大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室

企画調査係
電話番号:03-5253-4111(内線3247)

(大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室)