国立大学法人等の施設整備の推進に関する調査研究協力者会議(第8回)議事録

1.日時

令和5年3月28日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

オンライン会議(Zoomを用いて開催)

3.出席者

委員

五十嵐委員、池田委員、上野委員、片岡委員、倉田委員、後藤委員、篠原委員、下條委員、竹内委員、恒川委員、出口委員、西尾主査、松井愛知県政策企画局企画調整部長(大村委員代理)

4.議事要旨

【宮城大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室室長補佐】  
 本日は御多用のところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。事務局を務めます宮城と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日のオンライン会議の注意事項の説明と委員の御出欠と配付資料の確認を先にさせていただきます。
 まず、オンライン会議の注意点でございますけれども、発言時以外は基本的にマイクをミュートでお願いいたします。また、御発言いただく際には挙手機能を御使用ください。挙手機能をオンにされた方から主査から御指名いただきますので、御発言はその後でよろしくお願いいたします。
 また、本日は、岩村委員、大村委員、金子委員、土井委員、山内委員が御欠席でいらっしゃいまして、竹内委員は11時頃より御出席の予定でございます。また、出口委員は11時前まで御出席いただく予定です。ほかの委員の皆様には御出席をいただいております。
 また、本日、大村委員の代理出席といたしまして、愛知県政策企画局、松井企画調整部長に御出席をいただいております。
 配付資料の確認につきましては、議事次第を御確認いただければと思います。基本的に資料は事前にお送りしているものを説明に応じ、画面共有しながら御説明をさせていただきます。
 なお、本日、委員の御発言のお名前の入りました意見等の一覧、関連する事例のリスト、関連事例の詳細資料については、委員のみの机上配布としてございますので、画面共有はいたしません。お手元で御参照いただければと思います。
 では、西尾主査がいらっしゃいましたので、正式に始めさせていただいてよろしいでしょうか。
 
【西尾主査】  本日は、これまでの議論を振り返りつつ、まとめの方向性の案について、四つの部分に分けて、事務局から御説明をいただき、皆様からの御質問、御意見のほか、事例の紹介等がありましたら、幅広く伺うことができればと思っております。
 まずは、これまでの議論を振り返りつつ、全体に共通する事項として、前回から議論を重ねてきました、デジタル技術を駆使したハイブリッド型環境の整備、及び一つ目の重点事項である成長分野などの社会課題に対応した人材育成、研究を支える環境整備について、事務局から御説明いただき、委員の皆様より御意見をいただきたく存じます。よろしくお願いいたします。
 
【宮城大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室室長補佐】  ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 では、画面共有で資料2をお示ししながら御説明をさせていただきます。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  失礼いたします。事務局の整備計画室長の廣田です。
 本日の議論は資料2を用いまして、皆様に御議論いただきたいと思っております。
 これまでの会議の中で、昨年の10月に示しましたイノベーション・コモンズの実現に向けてという報告書、これを土台にしまして、重点課題に対応した共創拠点のさらなる展開ということについて、皆様方から御意見をいただいてきました。それをまとめの方向性としてまとめているのが資料2でございます。本日は資料2につきまして、皆様方から御意見をいただきまして、この3月末で一旦、まとめの方向性を整理させていただきたいと思っております。最終報告といたしましては、この夏にまとめるべく、2段階の形で整理をしていただくということを想定しております。
 まとめの方向性、これから詳細を御説明いたしますけれども、前回、ポイントを御議論いただきましたように、大きく3部構成になっております。これからの大学等に求められる対応、そして、それに対応した整備の考え方、取組のポイント、最後に、推進方策という全体の構成でございます。先ほど申し上げましたように、昨年10月に取りまとめた第一次報告、これをしっかりと土台にした上で、さらに深掘りしていくべき重点課題、ここにフォーカスを当てて、キャンパス、施設の在り方ということについて整理をしているものが今回のまとめでございます。
 4つの検討テーマを持ちまして、その検討テーマに対して、深掘りをしていくという流れになっております。この成長分野への対応も含めて、喫緊の社会的な課題にソフト面に対応していくこと、そこにどうやってハードが追随していくのか、最終的にソフト、ハード一体的な対応をしていく、その考え方、そして取組のポイントなどを整理していくことができればと考えているところでございます。
 まとめの方向性としては、今回、最終段階での御意見をいただくことになりますけれども、ぜひ忌憚のない御意見をいただければと考えております。
 それでは、資料につきまして、御説明を申し上げます。
 
【宮城大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室室長補佐】  よろしくお願いいたします。
 資料2を基本的に御説明させていただきます。冒頭、事例リストを机上配布、委員限りで配らせていただいていると申しましたけれども、こちらの各柱立てに応じて、参考事例を整理してございますので、こちら、お手元でぜひ御参照いただければと思います。基本的に今回、資料1で、委員の今までいただきました御意見をまとめてございます。そちらを踏まえた形として、資料2をまとめておりますので、説明は資料2を基に行わせていただきます。
 まず、「はじめに」でございますけれども、背景等といたしまして、国立大学に求められる役割と地域や社会における課題解決でありますとか、新たなイノベーション創出に貢献していくことが一層期待されていること、また、世界中から優秀な研究者、留学生を惹きつけ、国際競争力のある環境を整備していくことが重要となっている旨を整理してございます。
 また、2段落、3段落では、先般、10月に第一次報告書という形でまとめさせていただいてございますけれども、基本的にイノベーション・コモンズの実現に向けました基本指針となります報告書を取りまとめましたこと、そして、基本的にその内容を基本としつつも、デジタルやグリーンなどの成長分野でありますとか、グローバル化への対応など、教育未来創造会議において議論が進められております、我が国の未来の成長を見据えた高等教育の諸課題をはじめとしまして、社会課題や時代の変化にどう共創拠点というものが対応していくのか、どのように展開を図っていくべきかというところについて、第一次報告書を補完するものとして、今回基本的な考え方を追加的に検討いただいているという旨を整理してございます。
 下の段落でございますけれども、まずは第1弾として、ここにまとめの方向性ということで中間的な議論の取りまとめをすること、また、後段で御説明させていただきますが、国が取り組むべき方策としてこちらに示してございます、国の予算のより一層の確保、充実等、必要な方策を提言していること、また、国においては本提言を踏まえ、この夏の令和6年度概算要求に反映するなど、しっかり実現に向けた対応を求める旨を整理してございます。また、最後には夏に向けて、関連事例の充実を図りました上で、最終的な取りまとめを行う旨を整理してございます。
 2ページに行かせていただきます。まず、第1に、これからの大学等に求められる対応を整理してございます。2段落には、先ほど初めにも触れましたけれども、第一次報告書との関係を詳細に整理してございます。まず、基本的には、第一次報告書ではイノベーション・コモンズとは何かというところから基本的な考え方を整理いただくとともに、あらゆる共創活動に共通する事項といたしまして、共創の前段階から運用、活用の各段階におけるソフト、ハード一体となった取組のポイントを示していること。また、実際に整備する際においては、活動を可視化する工夫、対話、交流を誘発する空間、フレキシビリティの確保が基本的に重要な視点となる旨を示している旨を書いてございます。
 また、次のポツですけれども、昨今の教育未来創造会議における議論の内容というところを背景といたしまして、整理をしてございます。次のページに行きまして、上段でございますけれども、今、教育未来創造会議ではグローバル化の対応というところが議論されておりますけれども、会議の中でも、留学生の受入れの促進のためには教育研究及び生活環境のソフト・ハードを合わせた質及び魅力の向上を図る必要があるとされ、その方策といたしまして、世界から優れた学生や教員を呼び込むためのキャンパスの質及び魅力の向上でありますとか、民間資金等も活用した留学生、外国人教員宿舎の受入れ環境整備が掲げられているというところを整理してございます。
 また、いただいた各種提言等も踏まえまして、共創拠点の実現に向けた対応といたしまして、令和4年度第2次補正、あるいは令和5年度予算において、国立大学施設整備費の支援でありますとか、デジタル・グリーンの成長分野を牽引する大学・高専の機能強化に向けた継続的支援でありますとか、国際卓越研究大学への支援、地域中核・特色ある研究大学の振興に係る支援などが具体化されている旨、昨今の動きを整理してございます。
 そうした上で、ソフト面での対応と合わせまして、しっかりハード面での対応をすることが必要不可欠であるということから、昨年10月におまとめいただきました第一次報告書からさらに踏み込んだ検討を要する事項として、環境整備の観点から、以下の4つの検討テーマを整理した旨を整理してございます。こちらは今まで御議論いただいておりま丸1から丸4の4点について、その背景、対応した環境整備の重要性について整理をしてございます。
 4ページに行かせていただきます。以上の背景を踏まえまして、4テーマについて、キャンパス・施設整備の視点というものにフォーカスしながら、共創拠点のさらなる展開に向けて、基本的な考え方や具体的な取組のポイント、推進方策について、今般整理をするものであることから、こちらの報告書については、基本的に第一次報告書をベースとしたものであって、こちらは新たなテーマに対する環境整備においても第一次報告書で示したポイントを引き続き基本指針として、本報告と併せて見ていただく必要がある旨、整理してございます。
 次の章に行きますけれども、次の章がキャンパス・施設の整備の考え方、取組のポイントというところをまとめてございます。基本的には、上記で示した4つの検討テーマに対して、何を目指し、どのように整備を進めていくかといった点を整備の考え方として整理しますとともに、実際に整備するに際して、どのようなことに留意すべきかなどの取組のポイントを整理する旨を書いてございます。
 まず、第1の共通事項といたしまして、デジタル技術を駆使したハイブリッド型環境の整備というところでございます。それぞれの項目においては、四角書きでポイントを書いてございます。本章のポイントといたしましては、基本的に共創拠点の実現や展開において、デジタル技術が重要な基盤であること、そのため、デジタル技術を最大限活用した上で、キャンパスにおける対面による教育研究のメリット、効果を最大限生かせる環境整備が重要である旨を整理してございます。
 以下は整備の考え方といたしまして、こういった今、記しましたポイントでありますとか、次のページに行きまして、活動の可視化、対話・交流の誘発、フレキシビリティの確保に合わせまして、環境への配慮、持続可能性の視点も重要になるということ。そして、これらを実現する際に、まさにデジタル技術が様々な可能性を開く強力な基盤となる旨を整理してございます。
 また、その下のポツでございますけれども、リアルの環境というところで、キャンパス・施設の実空間の価値を生かしていくことが重要だという旨を整理してございます。
 2点目には、取組のポイントですが、ソフト・ハード一体となった取組といたしまして、環境整備と併せ、その環境を継続的に使いこなし、うまく運用し、活躍していくための仕組みづくりが重要である旨を整理してございます。
 また、実際に環境整備をする際には、一人一人やグループの多様な使い方に応える場として、プレイスメーキングの視点に立った場づくりが求められること。また、ハイブリッド型環境においては、デジタル技術の進展に応じまして、適宜デジタル機器や設備等を更新していく必要があること、そのための体制構築と予算確保が重要になる旨を整理してございます。
 2点目に重点事項と掲げてございますのは、冒頭、御説明いたしました4つのテーマについてそれぞれ整理をしているところになります。
 1つ目の重点事項といたしましては、成長分野等の社会課題に対応した人材育成・研究を支える環境整備でございます。ポイントといたしましては、DXやGX等の成長分野等の社会課題に対応した人材育成が急務であって、これらの人材育成や研究を強化する際には、それに対応した施設環境の確保が必要であること。また、社会課題への対応を考える際には、地域や産業界とも共同した共創を図る環境整備でありますとか、分野を越えた共創を生む仕掛けを有する環境整備が重要であるというポイントを整備してございます。
 以下に整備の考え方でございますけれども、また、こういった施設環境を確保していく必要性でありますとか、デジタルやグリーンのみならず、様々な分野における対応が考えられること、それらにおいては各大学等の強みを生かしつつ、社会の要請に応じた対応を行っていくことが重要であること。また、基本的なスペースの整備といたしましては、既存施設の有効活用により施設マネジメントに取り組むことを前提としつつ、老朽施設の戦略的リノベーションとして、ソフトと一体的に対応を図っていくことが重要である旨を整理してございます。
 7ページにいきますけれども、成長分野など社会課題の対応においてでございますけれども、実社会との接点でありますとか、課題解決能力の向上に資する他者との共創を図る環境整備が重要であること。分野を越えた連携や融合を推進する環境整備の重要性についても触れてございます。
 一方、カーボンニュートラルの実現に向けては、大学自らのキャンパス・施設における対応とともに、大学等が地域の核となって、地域の拠点となることが重要である旨や地域のレジリエンスに資する取組としても大学の役割が求められる旨、整理してございます。引き続き、ZEBでありますとか、キャンパスのスマート化などの社会の先導モデルとしての取組を推進することが重要である旨を整理してございます。
 次が取組のポイントでございますけれども、実際にこうした対応を行っていくためには、大学等の執行部をはじめ大学全体の皆様の社会課題への意識が重要だということでありますとか、地域の多様なステークホルダーと共創した取組が重要になること、また、環境に配慮した取組の際には、持続性の観点から施設の使用者が主体的かつ継続的に関わる仕組みを考えていくことが重要であることということを整理してございます。
 また、人材育成におきまして、分野を超えた教育研究を実現するための環境整備として、各分野の機能の近接でありますとか、共創を生む仕掛けを有する環境整備の重要性でありますとか、また、次のポツで、継続的な共創運用面の工夫でありますとか、相互の交流や議論を喚起する場の設定、そこで過ごしたくなる場の設定というところも重要なポイントであるという旨を整理してございます。
 次のポツにおきましては、産学官連携プラットフォームの構築など、多様なステークホルダーが共有する仕組みづくりが重要な取組である旨を整理してございます。
 次、8ページに行きまして、実際に、社会実装を見据えた取組におきましては、分野を超えた柔軟な対応が求められること、また、分野を超えた取組については、初等中等教育段階からの人材育成の取組も重要であって、その点に対する大学等の貢献も期待される旨を整理してございます。
 まずは、一旦ここで区切って御意見いただければと思ってございます。
 事務局からの説明は以上になります。よろしくお願いいたします。
 
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、ただ今御説明いただきました、1ページから8ページの丸2の上までにつきまして、御意見等をいただきたく思います。いかがでしょうか。
 五十嵐委員、どうぞ。
 
【五十嵐委員】   まとめの方向性は非常によくできていると思います。
 特に、デジタル、グリーンなど成長分野の社会課題に対応した人材育成といったことについて、地域や産業界との協働で行うという点などを強く打ち出していただいていることは、非常に時代に合った形でいいと思います。ぜひとも、実際にこれを着実に実行していけるようにしていただければと思います。
 少し細かい点ですが、例えば7ページの真ん中あたりや、あるいは、5ページの下から3分の1ぐらいのところに、施設の使用者等が主体的かつ継続的に関わる仕組みを考えるであるとか、教職員のリスキリングなど執行部の意識醸成といったようなことが書いてあります。「ソフト・ハード一体」としている中に含まれているのかもしれませんけれども、人ですね、大学の中にいる人たちが具体的にどのようにされていくのかという辺りをしっかりしていっていただくのが重要であると思っています。
 
【西尾主査】  五十嵐委員、どうもありがとうございました。人の視点に着目した貴重な御意見だと思います。文部科学省でもその観点が非常に重要だと思うのですが、今の時点で事務局から何かコメントございますか。よろしいですか。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  事務局でございます。
 こうしたキャンパスの整備を進めるに当たっては、第一次報告のほうにもまとめているように、使う方々の意見をどう取り入れていくのか、どう使いやすいものにしていくのかという視点が極めて重要でございますので、そうした人の視点も着目しながら今回の提言を取りまとめていくということにつきまして、しっかりと進めていきたいと思います。ありがとうございます。
 
【西尾主査】  五十嵐委員、これは全体を通じてのコメントと考えてよろしいですよね。
 
【五十嵐委員】  はい。
 
【西尾主査】  分かりました。では、全体を通じてのコメントとして、まとめの方向性として取り上げていただければと思います。ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。上野先生、どうぞ。
 
【上野委員】  ありがとうございます。私も全体的なまとめの方向性としては、非常によくまとまったものになったと思っております。
 1点、7ページの2つ目のポツのところですけども、カーボンニュートラルの実現に向けてという項目で、大学全体として今、コアリションがあると思うのですけれども、コアリションに関してはかなり多くの大学が参加していますし、大学執行部の理解というのも随分進んでいると思うのです。その中で、最近はJSTが募集している共創の場形成支援プログラムに、コアリション全体として何か応募しようというような動きもあるように聞いています。
 その一つのワーキンググループの中にゼロカーボンキャンパスワーキングもあって、まさに、この項目で大学等のキャンパス施設において、カーボンニュートラルに向けた取組を推進するというのと同じ目的だと思うのです。そういった研究者との連携を施設に関わる方たちも少し意識しながら、お互いにうまく連携しながら進んでいくといいのではないかなと思いました。
 以上です。
 
【西尾主査】  私も、非常に重要なことではないかと思います。現在各大学で、上野先生がおっしゃっていただいたような活動が展開されつつありますので、その活動との連携をより強化するということを、ぜひここで謳っていただければと思います。貴重なコメント、ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、次の説明に移りたいと思いますが、本日、笠原部長が所用で最後まで御出席いただけないということです。丁度一つの区切りですので、笠原部長、ここで一言、御挨拶いただけますでしょうか。
 
【笠原大臣官房文教施設企画・防災部長】  施設部長の笠原です。
 本当に先生方にはいろいろとお世話になっております。今年度、10月に、まず、イノベーション・コモンズの実現に向けてということを一度取りまとめていただきました。その後、今でも議論が少しありますけども、デジタルの活用やDX・GX、グローバル化など、いろいろと新しい視点も出てきていますので、そういうことを深掘りしながら、10月にまとめた報告書を充実させていくということで今、議論をしていただいていると思っています。
 今日は、まず中間的な取りまとめということの最終的な議論と認識をしています。今回のものの最終は、夏ぐらいに取りまとめるということを考えておるわけですけども、まず、1年間、本当に先生方に闊達な御議論をいただきまして、本当にありがとうございます。
 少し途中ですが、こちらのほうの思いも少しお話をさせていただければと思います。建築の先生方に言うのは釈迦に説法なところがありますけども、個人的には、いろいろな空間というのが、人の活動をまさに誘発するということで、今の複雑な社会的ないろいろな課題を解決しようとすると、まさに共創という活動が非常に大事になっていくと考えております。まさに共創活動をやろうとすると、キャンパス全体をどういう空間として構築していくのかということが、よくも悪くも影響を与えてしまうのではないかなと思っています。したがって、共創の時代という中で考えると、このキャンパス全体をどう再構築していくかというのが、すごく大げさに言うと、日本の浮き沈みに影響を与えるのではないかというぐらいに考えています。
 一方、国立大学については、様々な社会的な背景の下に、建物の構築をしてきて、それが一定程度、量的には整備をしてきたわけです。しかし、まさに老朽化が進んできていて、老朽化への対応が必要になっている中、その対応においては新しい視点を取り入れて、どうキャンパス全体を再構築していくのかということが喫緊の課題であって、老朽化を解消するということをどうやっていくのかというためにも、共創拠点化というのはまさに大事な話だと認識をしています。
 今日も、日商の五十嵐理事からも着実な実行をしていく必要があるということや、上野先生からも環境のコアリションの話を含めて、体制の話も出ております。まさに共創の場をどうつくっていくかという議論については、少し言い方が悪いですけれど、終わりのない議論だと思っていますし、いろいろなものを時代に合わせて深掘りをしながら、共創拠点化というものを進めていく必要があると思っています。
 そういうことを打ち出していくことによって、大学のキャンパスを、まさにこれは国民共有の財産ですので、最大限生かしていくことを外にきちんと伝えていくことによって、経済界、自治体の方からも応援していただける形になっていくのかなと思っています。そういうことをしない限り、逆に言えば、外からの応援というのはもらえないのではないかとも考えています。ここに経団連の方、県の方も入っていただいていますけども、まさにそういう方々に大学のキャンパスというものを公共財として使っていただくために、どのようにしていくのかということを今後もきちんと整理をしていきたいですし、まず、今日、中間的な取りまとめをしていただいて、それを我々にしてみると、今後の予算要求などの糧にしていきたいと思っていますので、引き続き闊達な御議論をいただいて、我々に、恐縮ですが、武器を持たせていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 引き続きよろしくお願いします。
 
【西尾主査】  笠原部長、どうもありがとうございました。
 
【笠原大臣官房文教施設企画・防災部長】  よろしくお願いします。
 
【西尾主査】  それでは、引き続きまして、次の部分の説明ですけれども、二つ目の重点事項、三つ目の重点事項について、事務局から説明いただき、皆様からご質問、御意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
【宮城大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室室長補佐】  ありがとうございます。では、引き続きまして、資料2の8ページから御説明をさせていただきます。
 重点テーマの2点目でございます。地域を中心とした産学官連携強化による人材育成を支える環境整備といたしまして、地域連携プラットフォームと連携した共創拠点の整備でありますとか、地域産業振興、スタートアップ創出のための拠点整備が重要である旨、ポイントで整理してございます。
 1に整備の考え方でございますけれども、こちらも重要性、先ほどポイントで申しました重要性とともに、多様なステークホルダーが集う共創の場づくりを進めていくことが重要である旨を整理してございます。
 2点目の取組のポイントでございますけれども、ソフト・ハード一体となった地域の中核となる教育研究環境の整備が重要であることから、組織対組織の産学官連携体制の構築でありますとか、構想から製品化まで一貫した伴走支援体制の構築でありますとか、多様な主体が継続的に関わる体制、仕組みづくりが重要である旨を整理してございます。また、さらなる共創活動の推進のため、大学のシーズの情報発信の強化でありますとか、産業界等のニーズとのマッチング促進、URA等の研究マネジメント人材の育成・確保が重要な取組であることを整理してございます。また、地域の共創推進の観点から施設や設備の共用促進でありますとか、大学における対外的な連携推進窓口の明確化、学内の円滑な連携体制の構築等も重要な取組であるという点を整理してございます。
 重要テーマの3点目になりますけれども、こちらが多様な主体に開かれた魅力ある環境整備となります。まず、ポイントといたしまして、多様性という観点で、ジェンダー、年齢、国籍、障害の有無等の多様性を受け入れる環境整備が重要であること。また、理工系学部への女子学生進学であるとか、リカレント教育など多様な教育研究への参画を支える場として、大学等が基本的な生活環境や、また、出産や育児等との両立にも配慮した環境整備も重要であることを整理してございます。
 以下に整備の考え方でございますけれども、ポイントに書いた環境整備の重要性でありますとか、こうした環境整備においては、それが、様々な人の学び、自己実現や成長を支える場になることが、まさにウエルビーイングを実現していくための重要な取組となること。また、教育研究の場である大学等の場は、基本的な生活の場でもあるという観点から、利用者の方の様々な特性に配慮し、全ての人にとって安心して過ごすことができる場としていくことも重要な視点である旨、整理してございます。また、先ほどポイントにも記しましたが、出産や育児等との両立に配慮した環境整備も重要であることというところを整理してございます。
 また、次のポツでございますけれども、理工系、農学系のキャンパスの魅力向上といたしまして、女子学生にも開かれた場としていくための、女子学生の増加に応じた寮やトイレの整備など、基本的生活環境の整備の重要性でありますとか、キャンパスの魅力向上といたしまして、農場等のフィールド系の附属施設など、大学等が有する多様な資源を最大限活用した共創拠点化の取組も重要である旨を整理してございます。
 次のポツでございますけれども、誰もが学び直しができる社会の実現という点で、社会人のリカレント教育の推進の重要性、そのための環境といたしましては、企業や地方公共団体等との連携・分担の中で、大学がキャンパス外の施設を有効活用し、サテライトキャンパスを設けることや、デジタル機能を重視した環境を整備することも重要である旨を整理してございます。
 次に、こちらの項目の取組のポイントでございますけれども、多様な主体に開かれた場といたしましては、ユニバーサルデザインの取り入れなど、基本的な生活環境としての整備充実が重要になること、また、全ての人にとって安心できる環境整備の観点から、障壁となるものを取り除くための方策についての十分な検討、必要に応じて段階的な整備を行うなど、計画的な対応を進めていくこと。また、その際には、大学の職員や学生等の施設利用者の皆様の参画によって、幅広く関係者の理解、合意を得ながら環境整備を進めていくことが重要である旨を整理してございます。
 また、キャンパスのアクセシビリティといたしましては、リカレント教育においてサテライトキャンパスやデジタル環境も活用しつつ、いろいろな方が参画しやすいものとしていくというところとともに、例えばディスカッションでありますとか実験装置の活用でありますとか、リアルな環境でしか実現できない可能性も十分生かしていく視点の重要性にも触れてございます。
 また、実際に社会人というものが中心的なターゲットになるということを踏まえ、教育プログラムの開発・実施におきましても、産学協働が重要になるというところから、進めていくに当たりましては、産学官の連携分担をどのように考えるのかというのも重要な視点であるというところを整理してございます。また、多くの方がアクセスしやすい場といたしまして、地方公共団体等の他機関が所有する施設の活用でありますとか、複数大学や他機関との施設の共有などの取組も有効であるということを整理してございます。
 そして最後に、いろいろな方が学び直しを通じまして、様々なネットワーク構築が進むことによって、さらにそれが新たな共創の場につながるというような重要な役割も担うというところを整理してございます。
 一旦、事務局からの説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【西尾主査】  ありがとうございました。
 8ページの丸2のところから、10ページの丸4の上でございますが、この部分に関しまして、御質問や御意見等がございましたら、ぜひともいただければと思います。出口先生が11時頃には御退席されると伺っておりますので、何かコメントや御意見がございましたら、ぜひ頂戴できればと思います。いかがでしょうか。
 
【出口委員】  全般的に事前に資料に目を通させていただきました。これまでの委員の方々の意見を踏まえて、大変よく整理していただいていると思っております。ありがたく思います。
 今、御説明いただいた箇所についてですが、9ページ目の丸3の多様な主体に開かれた魅力ある環境整備について、私自身、未だうまく頭の中を整理できていませんが、多様という言葉がたくさん使われています。例えば、最初の枠の中にも、ポイントのところにも多様性を受け入れるとされています。これは多分、受講する側の学び手の多様性を言っているのだと思いますが、2行目には、多様な教育研究の参画と書いてありますので、多分リカレント教育など、教育と研究のタイプが多様だということを言われているのかと思いますが、多様性という言葉が、丸3の中にたくさん出てきますので、考え方を整理して頂く必要があると思いました。
 それに対しての対案が、現時点で出せませんが、整備の考え方にも6つの事項がありますが、この中にも、多様性や多様という言葉がありますので、受講する側の多様性と受け入れる側の環境の多様性とをうまく整理をして頂ければと思います。以上です。
 
【西尾主査】  本当に貴重な御意見ありがとうございます。このまとめを読まれる側の方々にしっかりとメッセージを届けるためには、我々が「多様な」という言葉を使うことの意義を最も感じている箇所に限定するようにしたく存じます。例えば、「様々な」など別の言葉で書いても通じる場合には、「多様な」という言葉をそのような同義語で置き換えるなどの工夫をしていただくことにします。本まとめにおいて、「多様な」という言葉を用いて言おうとしていることは何なのかということを、より明確にした方がよいかと思いますので、事務局には対応をぜひよろしくお願いいたします。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  事務局でございます。
 
【出口委員】  難しいことを申し上げて済みません。
 
【西尾主査】  事務局、どうぞ。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  御意見どうもありがとうございます。3つ目の柱については、様々な特性を持っていらっしゃる方々をいかに大学キャンパスが包摂をしていくかということを主眼として、テーマを設定しているものでございますので、その視点を強調するところには、この多様性という言葉を使い、それ以外のところは差別化を図るという形で、よりメッセージがしっかりと届くように整理をさせていただきたいと思います。御意見ありがとうございます。
 
【西尾主査】  事務局、御対応ありがとうございます。出口先生、どうもありがとうございました。
 
【出口委員】  すみません。都合により11時前に退席させていただきます。
 
【西尾主査】  御出席ありがとうございました。篠原先生、御発言よろしくお願いいたします。
 
【篠原委員】  今の出口先生の御発言に関連してなのですけれども、理工系、農学系等のキャンパスの魅力向上としてというポツの4番目ですか、女子学生に開かれた場としていくため、女子学生に対応した寮やトイレと書いてあるのですけど、本学も、まさに今、トランスジェンダーの学生を受け入れるというところで、いろいろ設備にも、少し検討しなければならないというところで、女子学生に特に配慮するというよりは、トイレであれば、オールジェンダートイレみたいな方向性が出されるべきなのかなと。
 どのように文章で言うかは難しいのですけれども、女性、男性というくくりではなく、多様性に対応するオールジェンダーな受入れの体制ということを言ったほうが良いのではないかなという気がいたしました。
 以上でございます。
 
【西尾主査】  全く賛成でございまして、今、篠原先生からおっしゃっていただいた、オールジェンダーの視点は重要であり、例えばトイレの整備などは非常に大事なことだと思いますので、そのことを明記していきたいと思います。ありがとうございました。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  失礼します。事務局でございます。
 
【西尾主査】  どうぞ。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  篠原委員、御意見ありがとうございます。
 教育未来創造会議の第一次提言において、理工系、農学系の分野をはじめとした女性の活躍を推進していくという大きな方向性の下、そうした施策が進められているという背景状況もございますので、まずはそこに対してしっかりと対応し、その上で、様々な性の特性等にも配慮していくという、少し2段階の形で整理をしていくことも含めて、御意見を踏まえた対応をしてまいりたいと思います。ありがとうございます。
 
【西尾主査】  ありがとうございました。上野先生、どうぞ。
 
【上野委員】  私は出口先生がいらっしゃる間に御意見を伺いたいなと思っていることがありまして、発言させていただきます。
 
【西尾主査】  どうぞ。
 
【上野委員】  地域連携プラットフォームというところがございますけれども、今回の報告書で、大学側が共創のパートナーとして自治体というのを非常に重要視していることを明記するのは非常に重要だと思うのですけども、一方で、自治体の政策といいますか、施策の中に、国立大学との共創の拠点をつくるなど、そういうことを政策として書いていただくということが非常に重要ではないかと思っています。かつて地方創生に関連して、COCやCOCプラスに参加した大学は、自治体のマスタープランに大学連携が書いてあると一緒にできるということがあったのですけれども、今、それが終わっていたりして、その後、うまくいっているかどうかというのは不明なところもあるかと思います。
 出口先生は、柏市などで、自治体の政策にもいろいろ関わっていらっしゃいますし、その辺の御苦労もあったと思うのですけど、少し自治体の政策に共創拠点形成というのを書いてもらうといいますか、すぐにはできないと思いますけど、そういう働きかけをしていくことが非常に重要ではないかと思うのですけども、御意見いただければと思います。
 
【西尾主査】  出口先生、よろしくお願いいたします。
 
【出口委員】  上野先生、ありがとうございます。非常に重要なポイントだと思います。
 資料の8ページ目の丸2と書いてある地域、私もここは気になっていたところです。丸2に地域を中心とした産学官連携強化による人材育成を支える環境整備とあり、この地域を中心としたとある、この地域とは一体何を指すかというのが、よく分からないかもしれないと思いました。この中には、地域連携、産学連携という言葉が出てきますが、自治体という言葉は出てきませんね。地方自治体、これは多分、市町村と都道府県と両方の意味がると思いますが、地域という言葉の意味に地方自治体をもっと意識していただいてもよいと思いました。
 地方自治体の政策の中に、上野先生がおっしゃったように、国立大学等、あるいは高専との連携をきちんと位置づけていただき、自治体に協力していただかないとなかなか進まないことがたくさんありますので、インフラの整備も含めて、基礎自治体レベルの連携と都道府県レベルの自治体による支援を位置づけて頂くことが重要です。産学連携などの地元の企業と連携する際にも都道府県などの協力は必須だと思います。そういった2つのレベルでの協力を意識しながら、地域という言葉の意味をも具体化していただくと有難く思います。
 
【上野委員】  分かりました。
 
【西尾主査】  上野先生、今のコメントでよろしいでしょうか。
 
【上野委員】  ありがとうございました。
 
【西尾主査】  今おっしゃったことは大事なことでございます。出口先生、どうもあり
がとうございます。いただいた御意見を踏まえて、今後、きっちりと改定していきたいと思います。
 次に倉田先生、それから恒川先生の順にお願いいたします。倉田先生、どうぞ。
 
【倉田委員】  今のお話と若干関連するのですけれども、ここでいう人材育成を支える環境整備といったときに、どちらかというと、ここで記述されている内容というのは、比較的キャンパスの中で、大学という枠の中でということですけれども、恐らく研究者も含めて、生活するのは、必ずしもキャンパスの中だけじゃなくて周辺にもあるわけです。特にいろいろ、女性の参画などを積極的に進めていくためには、全てをキャンパスの中で、例えば育児という話もありましたけど、それを持たなきゃいけないということではなくて、地域の側でも十分それに対応できることではないかと思うので、そういう意味では、地域と大学が連携して、そういった環境整備をしていくということも大事ではないかなと思っているので、今のお話にも関連するのですけど、もう少し地域との連携というのを広く捉えて、そういった点、環境整備の点でも、特に研究に関係するところだけではなく、そういったところも含めて、一般の生活環境の中でも連携してやっていくということが非常に大事ではないかと、そういう地域の理解というのが非常に大事ではないかなと思っているので、その辺も少し加えていただければなと思いました。
 
【西尾主査】  ありがとうございます。ここには産学官連携強化ということを書いてありますが、倉田先生のおっしゃられていることからすれば、市民レベルも含めたさまざまな広い連携ということも含めて、ここの記述を強化することが大事であると思っております。倉田先生、どうもありがとうございました。
 恒川先生、どうぞ。
 
【恒川委員】  ありがとうございます。
 実は今、倉田先生がおっしゃったこととほとんど同じことを言おうとしていたのですけども、今日は愛知県の方もいらっしゃいますので、愛知県では、今、名古屋市にSTATION Aiという非常に大きな国内最大級のインキュベーション施設をつくろうとしていて、その中で、大学との連携ということを強くうたっていただいています。なので、例えば愛知県等ではそういう活動があって、大学との連携があるのですけども、そこにもう少し、例えばキャンパスというようなこと、キャンパスがどこにあるのだというぐらいのことの共創拠点として、地域全体でそれを支えているという形のことを自治体側が強く訴えていただけるとありがたいなということもあるかなというのと、それと、もう一方で、県のような自治体――基礎自治体ですね――基礎自治体と役割が少し違って、その中でも大学との連携というのは非常に重要なので、倉田先生がおっしゃったように、もう少し基礎自治体レベルでのことというのを分けて書いていただいたほうがいいという気がいたしますので、その辺、基礎自治体との連携でできることと、県レベルでできることというのが少しあるのではないかということをもう少し分けて書いていただけるといいかなと思いました。
 以上です。
 
【西尾主査】  どうもありがとうございました。恒川先生がおっしゃられたことで、今後の具体的な記述の方向性が見えてきました。ありがとうございました。事務局、ぜひ御検討いただきたくお願いいたします。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  恐れ入ります。事務局でございます。今、御意見いただきました視点ですけれども、2番、地域を中心とした産学連携強化という、ここの環境整備の視点での追記もさることながら、最終的に、3章の推進方策のところでも、国が今後取り得る推進方策、あるいは、自治体、産業界に期待すること、こうした部分にも追記をしていくことが重要ではないかと思っておりますので、全体を通じまして、今いただいた御意見をどのように反映するか検討してまいりたいと思います。
 
【西尾主査】  ありがとうございます。松井様には、大村知事にも今いただいたさまざまな御意見をお伝えいただけるとありがたく思います。松井様御自身から何か御意見いただけましたらありがたいのですが。
 
【大村委員代理(松井)】  ありがとうございます。今回の取りまとめの関係、地域との連携といいますか、共創といいますか、そういったことをたくさん書いていただきまして、私どもとしても心強い思いがいたしております。地域と大学との共創ということに関しましては、まだまだこれからやれることがたくさんあると、伸び代がすごくあるのではないかと思っておりますので、ぜひとも御議論いただきまして、どういった共創ができるのか、そういったところを積み重ねていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 それから、大村知事は、全国知事会の文教スポーツ常任委員長でございますので、全国知事会のほうにも、議論の内容を伝えていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 
【西尾主査】  どうかよろしくお願いします。心強い御言葉ありがとうございました。
 五十嵐委員、どうぞ。
 
【五十嵐委員】  8ページに、私どもが発言させていただいた内容などを多く盛り込んでいただいているので非常にありがたいと思っているのですが、1点、あえて申し上げたいことがあります。下から3行目ぐらいにあります、窓口の明確化と学内の円滑な連携体制の構築に関してです。地域産業界の立場から言わせていただくと、せっかく大学を共創拠点として使わせていただこうというときに連絡をしたら、たらい回しにされてしまったという、言い方として問題があるかもしれませんが、そんなことがありました。ちゃんと書いていただいたことは非常にありがたいと思いますし、この会議体の報告としてはこれでいいと思うのですけれども、ぜひ具体策を検討していただきたいと思います。
 円滑な連携体制の構築という言葉では何となくそれでいいのですが、具体的にはどういうふうにされるのか、この後、具体的に御検討いただくようにお願いしたいなと思います。
 
【西尾主査】  おっしゃることは非常に重要です。文部科学省として、各大学での窓口の明確化ということについての記述をどのように実現していくのかは大事だと思います。五十嵐委員がおっしゃられたことは、連携を取っていく上では第一段階の最も大切なことだと思います。今後、具体的にどのように実現していくのかということを施策として考えていただきたく、どうかよろしくお願いいたします。五十嵐委員、貴重な御意見ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。
 そうしましたら、次に、四つ目の重点事項であります、グローバル化への対応、さらに、四つの重点事項を受けたその他及び今後の推進方策について、事務局から説明をお願いいたします。
 
【宮城大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室室長補佐】  ありがとうございます。引き続きまして、資料2の10ページから、御説明を続けさせていただきます。
 重要事項の4点目でございます。グローバル化に対応した国際競争力のある環境整備といたしまして、まず、ポイントといたしましては、世界中のみならず、「及び」として国内の学生や研究者を惹きつける大学等キャンパスの質及び魅力の向上を図っていくことが急務であって、国際的にも魅力ある教育研究環境の整備でありますとか、混住型宿舎等の生活環境の整備、国際交流発信拠点の整備などが重要である旨、ポイントとして記してございます。
 まず、第1に整備の考え方でございますけれども、ポイントで書きましたところを記しておりますとともに、2点目におきましても、ポイントでまとめました国際交流発信拠点の整備のことを書いてございます。
 また、11ページに参りますけれども、民間資金等も活用し、留学生の混住型宿舎でありますとか、外国人教員宿舎等の生活環境を整備、確保していくことが重要であること。また、日本人学生の留学促進という観点からも、他者と共創しながら自らの意見を確立することや、様々な価値観に日頃から触れられる環境整備が重要である旨を整理してございます。一方、日本の大学等における研究環境といたしまして、旧来型の未改修施設におきまして、研究室間の壁をできるだけ取り払うなど、より一層、研究分野間の融合が促進され、イノベーションが誘発される空間、環境にハード面から変えていくことが重要である旨を整理してございます。
 2点目に取組のポイントでございますけれども、留学生にとって魅力的な教育研究や生活の環境整備を進めていくとともに、こちらに記してございますけれども、教育未来創造会議にて取り組むべき具体的方策とされております、ソフト面での対応についても重要であって、ソフト・ハードの取組が一体となって、しっかり国内大学の研究環境の質及び魅力の向上を図っていく必要がある旨を整理してございます。
 また、3点目でございますけれども、諸外国におきましては、学修スペースとの一体的な整備でありますとか、生活を通じた多様な交流を促進する空間の整備でありますとか、単なる寝食の場にとどまらない多様な機能を有する宿舎等が整備されている現状もございます。国内外の優秀な研究者を惹きつける環境整備におきましては、生活環境整備も重要な視点であって、また、その際にはまちとの関係性も考慮し、キャンパス内の人でありますとか資源に閉じない対応を考えて必要がある旨を整理してございます。
 また、混住型宿舎や多様な交流を支える共創空間と一体となった学生宿舎でありますとか、付加価値のある生活環境をキャンパス内外に構築、充実していくことが重要である旨を整理してございます。
 また、グローバルの視点では、本日、参考資料5を用意してございます。こちらはグローバル化への対応が必要であるといったときに、諸外国と比較いたしまして、日本の我が国の投資でありますとか大学キャンパスに対する投資はどうなのだというような資料等々を整理してございます。こちら、大学のキャンパスや施設整備に係る国際比較について参考資料5として整理してございますので、グローバル化の関係として御紹介させていただきました。
 資料2に戻らせていただきます。4つのテーマなどの取組を進めていくためには、ソフト・ハードが一体となった取組として、企画段階から運営、活用段階まで、共創拠点がうまく使いこなされていくための仕組みづくりといたしまして、それを支える組織でありますとか、URA等の人材配置、また、建築設計や情報通信環境の専門家等が企画、計画段階からしっかりその実現に至るまで関与する仕組みなどというところを例示しながら、そういう仕組みづくりが重要である旨を整理してございます。
 また、実際に計画を実行、運用、維持に生かしていくためにはというところで、専門的な、継続的な参画、執行部まで含めた意識の浸透でありますとか、維持管理をどうしていくのかといった運用面での仕組みづくりも重要になる旨を横断的な共通事項として、その他としてまとめてございます。
 次にございます、13ページ目からが新しい章になりますけれども、今後の推進方策でございます。今までまとめていただいた方向性を進めていくために何をしていくべきかというところをまとめた章になってございます。
 まず、1点目には、国が取り組むべき方策を整理してございます。基本的に、国は戦略的リノベーションを中心とした老朽改善整備をはじめ、しっかり5か年計画に基づく整備を進めた上で、イノベーション・コモンズの実現に向けて力強く取組を加速していく必要があること。このため、施設の安全性の確保はもとより、DX・GX等の成長分野やグローバル化への対応など、おまとめいただきました新たな研究環境の課題に対応した基盤整備を強化しながら、国の予算のより一層の確保、充実を図っていくことが必要であること。また、本報告で示す重点テーマの着実な対応といたしまして、まず、ハード面の対応が必要不可欠であるというところから、国立大学等施設整備に関する補助の仕組みにおいて、こちらの、6個のポツで書いてございますけれども、以下の視点での見直し、充実を図ることが必要である旨、整理してございます。
 1点目にはDX、GX等の成長分野の人材育成・研究強化に伴った環境整備。2点目に世界から優れた学生や教員を呼び込むためのキャンパスの質及び魅力の向上でありますとか、3点目に産学官連携によるさらなる取組を推進するための事業の充実でありますとか、4点目にカーボンニュートラル実現のための先導モデル構築の加速と横展開でありますとか、また、建物の整備と一体的に行う多様性に配慮いたしました改修整備というものを進めていくための支援でありますとか、また、こういった上記の支援の充実と併せ、予算の効率的な執行、事業の円滑な実施に向けた運用面での改善できるところもしていく必要がある旨、整理してございます。
 次のポツでございますけれども、上記の施設整備におきましては、国立大学等における施設整備補助金と併せ、大学ファンドでありますとか、成長分野関係の基金でありますとか、関係予算との施策との連携・分担を図りつつ、社会課題に対応した大学等の機能強化を図っていくことが必要であること、引き続き、共創拠点の実現に向けてはソフト・ハード一体的な支援の充実を図っていくことの必要性ということを言ってございます。
 また、デジタルというところについては、基盤整備が重要であって、大学等のDXに対応した情報通信環境の整備、更新を推進すること。また、共創拠点の実現やさらなる展開に向けた取組におきましては、他省庁の施策との連携でありますとか、産業界や地方公共団体等からの投資の呼び込み等、多様な財源の確保や制度の活用に向けた取組を推進することが重要である旨を記してございます。
 次のポツにつきましては、多様な主体の参画する場としての充実という観点から、大学の外の人のアクセシビリティを意識した場の設定でありますとか、他機関との連携の重要性について整理してございます。
 続きまして、14ページでございますけれども、留学生の生活環境の充実という観点でございます。民間資金等も活用しながら、例えば公的住宅等の既存ストックの活用など、まちにおける対応も含めて、キャンパス内に閉じないいろいろな制度、財源を活用した整備、充実の促進の重要性に触れてございます。
 また、共創拠点の実現は、新産業の創出や地域の雇用創出でありますとか、人口増、定着ともつながり得るのであることから、大学等と地方公共団体のトップ同士の日常的な関係構築でありますとか、連携を推進するプラットフォームの構築など、大学等と地方公共団体の一層の連携強化を図るための取組の推進が重要であることを整理してございます。
 また、共創拠点の一層の充実に向けてさらなる投資の呼び込みといたしまして、産業界、地域住民がよりよい共創拠点づくりに参画、利用しやすい仕組みの構築や好事例の積極的な展開でありますとか、大学等キャンパスにおける多様な施設機能の一体的な整備、推進を図るための都市計画など、建築規制における現状や課題整理、それに対応した必要な検討ということも行うことが重要であるというところで、国が行うべき推進政策を整理してございます。
 2点目に記してございますのは、国立大学等が取り組むべき方策でございます。
 1点目でございますけれども、基本的にイノベーション・コモンズの実現・展開に向けては、多様なステークホルダーを巻き込みつつ、ソフト・ハード一体となった取組を推進していく重要性でありますとか、新しい時代の教育研究の諸課題に対しても、各大学等の持てる強みでありますとか方向性を踏まえながら対応を行っていくことが重要であること。また、実際にそれを推進していくためには、研究マネジメント人材の育成、確保でありますとか、御指摘いただいております対外的窓口の明確化と学内連携体制の構築、大学等が有するシーズの分かりやすい情報発信等、共創活動を推進するための体制づくりというものがしっかり行われることが重要である旨を整理してございます。
 3点目に、地方公共団体、産業界に期待される方策というところで、2点まとめてございます。共創拠点化における企画段階からの参画が期待されますこと、また、各ステークホルダーの皆様が持てるノウハウも生かした、まちの中でより活性化されるキャンパスの在り方への示唆というものも期待される旨を整理してございます。
 2点目に、社会でありますとか地域のニーズを反映した教育研究活動の推進のため、積極的な共創活動への参画、必要な予算確保、体制強化等が期待されること、また、産学官連携プラットフォームの構築など、多様なステークホルダーが連携し、課題解決に当たる仕組みづくりや参画も期待される旨を整理してございます。
 事務局からの説明は以上になります。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
 そうしましたら、10ページの丸4のグローバル化に対応した国際競争力などの環境整備以降について焦点を当てて、皆様方から御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。下條先生、どうぞ。
 
【下條委員】  ありがとうございます。これ、デジタルということはかなり全面的にフィーチャーされていて、最後のまとめのところでも、デジタルの整備は重要ということを書いていただいてありがとうございます。こういう多様な環境に対応するために、デジタルの基盤を置く、それを整備の重要な一面として入れていくというのは非常に重要かと思います。
 特にここの多様性だとか、いわゆる大学を取り巻く環境というのは、かなりこれから激変すると思われます。そういう意味では、多様なステークホルダーに対して常にヒアリングをしながら不断の見直しをしていく、継続的に進化させていくということを少し入れていただけるといいかなと思いました。
 以上です。
 
【西尾主査】  ありがとうございました。大学自身が、常に自己革新を続けていくということをしていかないと、国際競争力の観点からなかなか対応していけません。その考え方のもとで、実際の環境、施設をどう整備していくのかということについては、先ほど笠原部長からもコメントがありましたが、その時点、時点において、時代的、社会的な要請の下でベストな環境をどう構築していくかということが非常に大事かと思っています。貴重な御意見、ありがとうございました。
 では、片岡先生、お願いいたします。
 
【片岡委員】  片岡です。最後のほうにまとめていただいておりますけども、全体としては、これまでの意見を非常にまとめていただいていると思います。
 私が感じたのは、12ページのその他の最後の文章で、ここに運用の重要性、仕組みづくりの重要性というのが出てくるのですけども、これ全般の施設整備の考え方で施設を整備していくという段階での、様々なステークホルダーが関わっていくというところも重要だと思うのですけども、施設整備が行われた、出来上がった施設に関しての運用に係るマネジメント、この部分は効率的、効果的にその施設が生かされているかどうか。その辺りをきちんと捉えるといいますか、評価するような、そういうマネジメントが必要ではないか、そういう強化をすることが必要ではないかということが、もう少し強く出されてもいいのではないかと思いました。これは施設整備の、整備の考え方から、最終的にはできたものの活用という、その全般にわたって、見渡しての今回の取りまとめであるという方向がいいのではないかと考えた次第です。
 それも一つ、安全安心という観点で、幅広くいろいろな方に活用していただく、大学の施設をいろいろな方々に活用していくという観点も大事なのですけども、安心安全の観点からいうと、広い意味のセキュリティー、この辺りも少しどこかに盛り込みが必要ではないかと感じました。
 その2点でございます。以上でございます。
 
【西尾主査】  二点とも、非常に重要なことかと思います。事務局、対応を何卒よろしくお願いいたします。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  御意見ありがとうございます。御意見を踏まえて、適切な修正を施したいと思います。
 
【西尾主査】  ありがとうございました。それでは、池田委員、お願いいたします。
 
【池田委員】  ありがとうございます。全体に関わることでもよろしいでしょうか。
 
【西尾主査】  どうぞ。
 
【池田委員】  ありがとうございます。今回まとめていただいた4つの論点には、いずれも経済界として重要と考えている事項がしっかりと盛り込まれておりまして、とてもよくまとまっていると思いました。
 私からは、これまでも、DX、GX等の社会課題の解決に貢献する大学の重要性や、大学自らDX、GXに取り組み、環境整備を進めていくこと、それを地域、地方自治体、経済界、政府など様々な主体と連携・協働して取り組み、社会に開かれた大学としていくことなどについて、発言してまいりました。報告書にはそうした視点がふんだんに盛り込まれています。
 これらの目的は、国際競争力のある人材を育成、輩出し、研究成果も上げていくことです。その究極のゴールを忘れずに、ここにいらっしゃる先生方だけではなくて、全ての大学関係者の方々のマインドセットが大事ですので、よろしくお願いいたします。
 細かい点ですが、8ページのSTEAM教育の文脈で、「初等中等教育段階からの人材育成の取組も重要であり、その点に対する大学等の貢献を期待される」と記載されています。地域、自治体、経済界、市民だけではなくて、教育の縦の連携も大事です。そうした面での大学の役割もあるのではないかと思います。
 さらに、基本的にソフト・ハード一体となった施設整備が大事であると「3.今後の推進方策」の「国が取り組むべき方策」に書かれていることに関連して、経済界と大学の組織対組織の連携のマッチングが1つの大きな課題と思いますので、そうした面で国ができることを、もう少し書き込んでいただきたいと思いました。
 私からは以上でございます。ありがとうございました。
 
【西尾主査】  ありがとうございます。特に最後におっしゃられた点、もう少し踏み込んで書くべきかと思っておりますし、また、14ページの(3)のところが、地方自治体、あるいは地方公共団体、産業界と書かれているのですが、ここは、もう少しこれまでの御意見を踏まえて、その重要性等を強く書くべきではないかと私も思っております。事務局には、先ほど来いただいている御意見も踏まえて、今後の大きな方向性として打ち出すべきことかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  承知いたしました。
 
【西尾主査】  池田委員、どうもありがとうございました。恒川先生、どうぞ。
 
【恒川委員】  ありがとうございます。この取りまとめ等を実際に活用するに当たっては、文部科学省の方がこれを武器にするということを先ほど笠原部長がおっしゃいましたけど、実際にこの取りまとめや報告書を熱心に読まれるのは施設系の職員が一番熱心に読むことになるのではないかと思うのです。そういう意味で、国立大学等が取り組むべき方策というあたりに、少し施設系の職員に向けてのメッセージみたいなものが入るといいなと思っています。
 というのも、先般、国立大学と中堅職員の研修を名古屋大学で開催いたしまして、そこで中堅職員の方々にワークショップをしていただいて、イノベーション・コモンズを実現するためにはどうしたらいいのかということをやっていただいたのです。そこで一番、僕が印象に残ったのは、施設系の職員だけではどうにもならないと、この問題は、ということを彼らが結構言っていて、施設系の職員に責任を持っていただかなければいけないけれども、権限も持っていただいたり、あるいは、いろいろな人たち、多様な連携を図るようなことを幅広く見ていただいたりすることを、ぜひ彼らにメッセージとして伝えていただきたいなというのが思うところでして、その辺を考えていただけるといいなということを思いました。
 そういう意味では、14ページのところに、URA等の研究マネジメントの人材の育成、確保など、そういったこと、学内の体制のことが書かれていますけども、この辺りにそういったことが書かれるといいなということと、こういうことをやっていくためには、施設系の職員だけじゃなくて、少し中間支援組織みたいなものが必要なのです。それは直接関係する研究者や自治体との間を取り持つような、そういう存在が多分非常に重要だと思っていて、今までの事例等で出てきたものでも、いい事例というのは大体そういう中間支援の組織がうまく機能していると思うのです。そういったことを活用していくということも含めて考えていくべきではないかということを思っているということです。
 それから、もう1点だけ。その前の12ページと13ページに、国の支援のところで、ソフト・ハード一体的な支援の充実ということが書かれておりますけども、これはもちろん非常に重要なことでありがたいことですけども、もう一つは、企画段階から整備、あるいは運用といったところまで一体的に考えられるということが非常に重要だということは、取組のポイントの中でも書かれていることなので、やはり予算的な話も、そういったことを考えられるような予算措置、年度だけで切られるのではなくて、うまくつなげていけるような予算措置の仕方というのを今後、検討いただきたいなということで思っておりまして、ぜひそういったことも含めていただけるとありがたいなと思いました。
 以上です。
 
【西尾主査】  恒川先生のおっしゃられることに、私も心から賛同いたします。報告書の一番の大きな読者は大学の施設関係の方々ではないか、ということは非常に重要な視点です。その方たちにインセンティブを与えることができ、大学等における施設環境を今後良くしていくことについて、大きな勇気を持ってもらえるような書きぶりが特に重要ではないかと思っています。どうかよろしくお願いいたします。
 それと、後半部分でおっしゃられたコメントも、非常に大事な点だと思いますので、いただいたコメントをぜひ反映していただきたくお願いいたします。恒川先生、どうもありがとうございました。
 後藤先生、次に倉田先生、それから竹内先生という順番でお願いいたします。後藤先生、どうぞ。
 
【後藤委員】  失礼いたします。全体を通してなのですが、イノベーションの担い手は、あくまで人だということで、人と人とのつながりや協働が共創の核になるということを、まず、そこを重点的に捉えて、全体をつくっていくということ、デジタルベースなどはそのためのツールとして極めて重要ですが、目的ではないというところを切り分けが必要かなと思います。
 それから、大学等と自治体などが一体となるコモンズの整備につきましては、中長期的な視点に立って、地域の特性や課題などを含めて、コンセプトやテーマ設定を明確にしていくということ、施設をつくること自体が目的にならないようにということを感じました。
 以上、感想ですけれども。
 
【西尾主査】  後藤先生、本当に重要な考え方、コメントをいただきましてありがとうございました。
 倉田先生、どうぞ。
 
【倉田委員】  私のほうからは、どこに関連するかということを、私のほうでも不明なのですけれども、先ほど冒頭に、上野先生のほうからコアリションの話が出ていたりしました。今現在、持続可能性、GXということは、やはり社会的な課題でもあるわけです。それを実現していくために、キャンパス自身がリビングラボラトリーになるのではないかというような議論もあったりしますけれども、あるいは、その人材をどのように育てるかということもあると思いますが、そのときに、日本でもたしかサステナブルキャンパス推進協議会、CAS-Netという組織ができて、相互に大学間で連携しながら、そういった取組を進めていこうという動きがありますけれども、一方で、国際的にも、ISCNというような、インターナショナルサステナブルキャンパスネットワークというような組織ができて、私自身も、本当に最初のときから何回か参加しておりますけれども、もう最初は限られた大学だったのですが、非常に相当な大学の数になっていて、そのネットワークがかなり機能しているといいますか、相互に刺激し合ったり、連携したりするような場になってきているのではないかなと思っていますので、その意味では、まだ日本の大学がそこへの参加って非常に少ないので、キャンパス整備を考えていく上で外せない視点でもあるわけですので、それは活動という点でも、ハードなキャンパスという点でもそうですけども、外せない視点なので、積極的にそういったネットワークなどにも参加して、情報交換するなり、日本のキャンパス整備がどういった水準に今あるかということも確認できると思いますし、いろいろな情報を得られる機会にもなると思うので、そういったところにも積極的に参加してったらいいのではないかなということは少し感じました。
 
【西尾主査】  ありがとうございます。キャンパスデザインのグローバルな視点での立ち位置を我々が意識して、今後の活動を行っていくことの重要性を認識しました。ぜひ、そのことも本まとめの中に書いていきたいと思っております。倉田先生、ありがとうございました。
 では、竹内先生、どうぞ。
 
【竹内委員】  ありがとうございます。本日、参加が遅くなりまして、皆様方の御意見を全部聞いておりませんので、ひょっとしたら的外れなこと、あるいは既に委員から御発言のあったことを繰り返し申し上げることになるかもしれませんが、その点については、御容赦いただければと思います。
 私もどちらかというと、全体にかかるということで意見を申し上げたいと思うのですけれども、今回の施設整備の考え方の中核がイノベーション・コモンズということになっているわけですが、イノベーションの源泉は何かということを考えると、これはやはり大学にこれまで蓄積されてきた知の総体というものになるのではないかと思います。
 これまでの蓄積をどのように生かすかという観点が、今回のまとめでは若干薄いような気がしております。新しいものをどんどんつくっていくという視点での施設、あるいは環境の整備ということがあるのですけれども、とりわけ文理融合というようなことを考えていきますと、人文社会科学系というのは、非常に大きくこれまでのストックに依存するというところがあるものでございます。デジタル化によって、そういった問題はある程度乗り越えられるのかもしれませんけれども、日本の場合、これまでのストックを生かすという発想があまりなくて、全部チャラにして新しいものに作り替えていくという発想だったような気がいたします。今回のまとめの中で、特にそういった知のストックの生かすかということを、施設面では何か考えられないかというようなことを少し入れていただくというのはどうかと思いました。
 
【西尾主査】  貴重な御意見ありがとうございました。ぜひ竹内先生の御意見への対応も事務局で考えていただけましたらありがたく思います。竹内先生、貴重なコメントありがとうございます。
 上野先生、どうぞ。
 
【上野委員】  今、竹内先生から知のストックというお話がありましたけれども、私は地域の社会ストックといいますか、既存ストックについて、お話ししたいと思います。
 丸4のグローバル化に対応した国際競争力のある環境整備ということで、11ページの取組のポイントの一番下に、付加価値のある生活環境をキャンパス内外にという、内外の外が重要だと思っているのですけれども、自治体にとっても、住宅ストックの活用というのはかなり大きな問題になっていますし、公共施設の使い方も問題になっています。こういったところを国交省や自治体と連携しながら一緒に考えていく、他省庁との連携を、国が取り組むべき方策というところには書かれているのですけれども、グローバル化のところにも、少しそういう視点を前倒しで入れておいてもいいのではないかなと思いました。
 以上です。
 
【西尾主査】  ありがとうございました。竹内先生の知のストック、それから上野先生おっしゃっていただいた地域の住宅ストック、このようなストックが縦横に生かされていくということが、キャンパスが持つ意義を非常に厚くするのではないかと思っております。このあたりをぜひ本まとめにおいてきっちり書いていきますと、より重みを増していくと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
 ほかに御意見等はございますでしょうか。五十嵐委員、どうぞ。
 
【五十嵐委員】  いわゆるイノベーション・コモンズとして、これまで以上に、地域や産業界に開かれた場所であるということを目指しておられるものと認識しています。まさに知や文化などが蓄積された場所がそこにあるのですけども、そのことが皆さんに知られない限り、そういう場所、開かれている場所ということが知られない限り、アクセスしようと思わないわけです。
 ですから、利用させていただく産業界の立場からすれば、シーズという中身の問題はもとより、シーズがあるよということ、その場所が開かれた場所であるということ自体をうまく広報していただいて、敷居を低くしていただかないと、アクセスすらしないのではないかなと思います。その辺を、まずは情報発信するというのが前面に、最初のほうに出てこないといけないのではないかなという気がします。まとめ方としてはどうしたらよいのか分かりませんが、利用者側の目線に立って、そういうものを整備したということをアピールできるようにしていただいたらいいと思った次第です。
 
【西尾主査】  どうもありがとうございます。大学は国民全体にとっての財産であり、それを広く有効利用してもらうという観点で、どのような活動が大事かということだと思います。五十嵐委員のおっしゃったことを本まとめの中でうまく取り入れていければと思います。
 ほかにございますでしょうか。どうもありがとうございました。先ほどから全体を通じての御意見をいくつかいただいておりますが、全体を通じての御意見がさらにおありでしたら挙手いただければと思いますが、よろしいですか。
 それでは、まとめの方向性案につきましては、本日いただきました貴重な御意見の数々を踏まえて、まず、取りまとめをさせていただきますので、どうかよろしくお願いいたします。その過程で、皆様方にいろいろとお問合せ等をさせていただくこともあるかと思いますが、そのときは何とぞよろしくお願いいたします。
 なお、案文等については、僭越ではございますが、当方に御一任いただければと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、お認めいただいたものとさせていただきます。ありがとうございます。事務局と相談して進めさせていただきます。
 最後に、閉会の前になりますが、事務局から資料3の説明、及びその他の事務連絡をお願いいたします。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  失礼いたします。今後のスケジュールについて、事務局から説明する前に、先ほど来より多くの委員の皆様に御意見をいただきまして、本当にありがとうございます。
 第一次報告の上に立って、より社会的な課題に対して、イノベーション・コモンズというものが、より一層機能していくようにということで、今般、いろいろと御意見を賜ったわけなのですけれども、いただいた御意見をしっかりと踏まえまして、今後の修正に反映していきたいと考えております。様々な御意見ありがとうございます。
 事務局のほうから、事務的な御連絡をさせていただきます。
 
【宮城大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室室長補佐】  資料3に基づきまして、今後のスケジュールを御説明させていただきます。
 令和5年4月以降に関連事例の調査なども実施しながら、5年の夏にかけまして、本会議、2回ほど会議を開催させていただきまして、夏頃、最終的な報告書を取りまとめさせていただく予定でございます。また、関連事例の精査等、検討事項におきましては、適宜ワーキングも開催させていただきたいと考えてございます。
 詳細の事務的な御連絡につきましては、改めて事務局よりさせていただければと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 なお、本日の会議の議事録につきましては、追って皆様へ御確認いただきました後、弊省のホームページ、ウェブサイトに公開いたします。
 最後になりますけれども、課長の齋藤から御挨拶をさせていただければと思います。
 
【西尾主査】  齋藤課長、どうかよろしくお願いいたします。
 
【齋藤大臣官房文教施設企画・防災部計画課長】  文教施設企画・防災部の計画課長、齋藤でございます。一言、最後に御挨拶させていただきます。
 本日は、大変御多忙の中、出席いただきまして、誠にありがとうございます。また、これまでの本会議における御尽力につきまして、改めて感謝を申し上げます。
 Society5.0の実現やDX・GX、グローバル化への対応など、変化の著しい社会環境の中で、国立大学等には、社会課題を克服するということや、新たな未来を切り開き、我が国の成長を牽引する機動力となることが大きく期待されております。とりわけ、キャンパス施設は多様なステークホルダーが関わり合い、多様な価値を生み出すイノベーション・コモンズとして、社会の要請に応える、より充実したものになっていく必要がございます。
 文部科学省といたしましては、本会議における御議論を踏まえ、令和6年度概算要求に向けた動きにしっかりと反映していくなど、地方自治体や産業界なども含め、広く社会の理解を得ながら、必要な予算確保などソフト・ハード一体的な支援の充実を図っていきたいと考えております。
 引き続き、先生方のお知恵やお力添えを賜りながら、イノベーション・コモンズの実現に向けて、しっかり取り組んでまいりたいと思っておりますので、今後とも何とぞよろしくお願い申し上げます。
 以上、簡単ですが、閉会の御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。
 
【西尾主査】  齋藤課長、どうもありがとうございました。御丁寧なる御言葉をいただきましたこと、心より御礼申し上げます。
 それでは、これにて閉会といたします。本日は誠にありがとうございました。心よりお礼申し上げます。
 
―― 了 ――
 

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大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室

企画調査係
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