国立大学法人等の施設整備の推進に関する調査研究協力者会議(第7回)議事録

1.日時

令和5年2月9日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

オンライン会議(Zoomを用いて開催)

3.出席者

委員

上野委員、片岡委員、倉田委員、後藤委員、篠原委員、下條委員、出口委員、土井委員、西尾主査

4.議事要旨

【西尾主査】  皆様、おはようございます。
 それでは、時間となりましたので、ただいまから第7回国立大学法人等の施設整備の推進に関する調査研究協力者会議を始めます。
 初めに、事務局からオンライン会議の注意事項の説明、欠席をされている委員の紹介と配付資料の確認をお願いいたします。
 本日の会議の模様は、YouTubeにてライブ配信をいたしております。また、会議資料と議事要旨は後日、文部科学省のウェブサイトに掲載される予定です。
 それでは、事務局、よろしくお願いいたします。
 
【宮城大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室室長補佐】  ありがとうございます。本日は、お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。事務局を務めます計画課の宮城です。どうぞよろしくお願いいたします。
 初めに、オンライン会議の注意点を御説明いたします。発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。また、御発言いただく際は、挙手機能を御使用ください。挙手機能をオンにされた方を主査から御指名いただきますので、御発言はその後で、よろしくお願いいたします。
 また、本日は、五十嵐委員、池田委員、岩村委員、竹内委員、恒川委員、大村委員、金子委員、山内委員が御欠席であります。
 配付資料の確認につきましては、議事次第を御確認いただければと思います。資料は、事前にお送りいたしましたものを画面共有しながら御説明いたします。一部、本日委員限りの資料としてございますのは画面共有せずに、皆様のお手元で御確認いただければと思ってございます。
 以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
 本日は、これまでの議論を振り返りつつ、まとめの方向性の論点案について、四つのパートに分けて事務局から説明をいただきまして、皆様の御質問や御意見のほか、事例の御紹介等ございましたら、幅広く伺えたらと思っております。積極的な議論が展開できれば、今後のために非常に有益かと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。
 まずは、これまでの議論を振り返りつつ、全体に共通する事項である「デジタル技術も駆使したハイブリッド型環境の整備」と一つ目の具体的検討事項である「成長分野等の社会課題に対応した人材育成・研究を支える環境整備」の2点について、事務局より説明いただき、皆様から御意見等をいただければと思います。
 それでは、事務局から説明をお願いいたします。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  皆さん、おはようございます。事務局の整備計画室長をしております廣田でございます。
 私のほうからまず経緯を御説明してから、詳しい説明は宮城のほうからさせていただきたいと思います。資料2でございますけれども、本日御議論いただく中心となる資料というのがこちらの資料2でございます。本日は、まとめの方向性の構成案と各論点についての御議論をしていただきたいと考えてございます。
 この構成案については、全体の最後に改めて御議論いただくとして、2枚目以降の論点案について、先に皆様方から御意見をいただきたいと思っています。前回の会議から2か月近くたっておりますので、少し振り返りをさせていただいて、今どういう状況で今回の議論があるのかということを先に御紹介してから議論に入っていきたいと思っております。
 昨年ですけれども、皆様に御協力いただきまして、10月にこの協力者会議としての報告を取りまとめさせていただきました。イノベーション・コモンズの実現に向けて、どのようなことを留意し、どのような進め方で進めていけばいいのかということなどを、事例を交えて御紹介させていただきました。
 今回は、この10月に取りまとめた報告書をしっかりと踏まえつつも、特に重点テーマとして深掘りを行う必要があるもの、これに焦点化をしまして御議論いただいているという状況でございます。前回の会議で御説明しましたように、何を目指して、どのように進めていくのかという整備の考え方、そして整備に際して、どのようなことに留意すべきかという取組のポイント、そしてどのような方策を講じていくか、これらについて御議論いただきたいと思っているところでございます。
 特に深掘りしていきたいテーマといたしましては、今、資料のほうにございますように、「デジタル技術も駆使したハイブリッド型環境の整備」というところ、これは各テーマに共通して、さらに議論を深めるべきこととして御議論いただきたいことでございます。
 次に、各検討事項について御議論いただきたいこととして、大きく4つございますけれども、「成長分野等の社会課題に対応した人材育成・研究を支える環境整備」、特にGX、あるいはDXというような成長分野に対しての環境整備ということをはじめまして御議論いただきたいと思っております。
 その次の柱が「地域人材育成に資する産学官連携」という視点です。この視点についても前回の報告書に引き続き、さらに深掘りした議論をいただきたいと思っております。
 大きく3つ目が「多様な主体に開かれた魅力あるキャンパス」ということで、女性の活躍推進の視点も含めまして、あるいは学び直しの視点も含めて御議論いただきたいと思っております。
 そして4つ目でございますけれども、留学生、外国人研究者等にとっても魅力ある教育研究環境の整備、あるいは宿舎等の生活環境の整備というグローバル化の視点。そして、これら全体を通じて、今後の方策などについて、皆様からぜひ御意見をいただきたいと思っております。
 前回、そして今回の2回の議論を重ねて、次の会議におきましては、まとめの方向性の素案を提示させていただきまして、一旦、方向性という視点で3月に取りまとめをさせていただき、最終的には夏頃、協力者会議としての最終報告を取りまとめるという段取りで今回第2回を迎えさせていただいております。
 こちらの資料2をベースにしながら、ぜひ忌憚のない御意見をいただきたいと思いますし、参考にすべき事例なども御紹介いただけたらありがたいと思っております。
 それでは、先ほど主査のほうから御提示いただいた2つの論点につきまして、詳しく御説明させていただきます。よろしくお願いいたします。
 
【宮城大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室室長補佐】  では、まず初めの論点について御説明をさせていただきます。資料2の2ページでございます。
 まず、第1にいたしまして、このたび新たな検討課題ということで4つ設けてございますけれども、前回の会議でも御指摘ございました、各テーマに共通いたしまして、今後は、「デジタル技術も駆使したハイブリッド型環境の整備」というものは共通的な事項で重要事項であろうということで、新たに今回は共通して、さらに議論を深めるべき事項として整理をしてございます。
 具体的に論点の御説明をさせていただきますけれども、前回、10月の報告書でおまとめいただきました、共創の場づくりの3つのポイントというものがございました。まず、活動の可視化でありますとか、対話・交流を誘発する空間、フレキシビリティの確保、こういったことの基本方針は前提にした上で、デジタル技術を駆使したハイブリッド型の環境整備として、どのようなことに留意し、方策を講じていくべきかというところが1点目でございます。
 また、多様な学生・研究者等のニーズも踏まえつつ、デジタル技術を最大限活用した上で、キャンパス、リアルな環境における対面による教育研究のメリット・効果を最大限生かしていく環境整備というものが重要ではないかということで整理をしてございます。
 なお、資料1には各検討課題に応じて、前回の会議で各委員からいただきました御意見というものを整理してございます。そちらの意見を踏まえました上でこちらの資料2をつくってございますので、資料2を基本的にベースにしながら御議論いただければと考えてございます。
 デジタル技術を駆使した環境整備の視点例でございます。こちらが前回、各委員より御意見いただきました点をまとめてございます。まず、1点目には、屋内と屋外が連続し、デジタル技術を活用した他地点の活動の可視化も含めた様々な活動が可視化される場づくりでありますとか、多様な者に開かれつつ、一人一人またはグループ単位で多様な使い方に応える場としてプレイスメーキングといった視点に立った場づくり。また、リアルとオンラインを自由に行き来することができて、オンライン環境でいつでも他地点と接続できるインターフェイスとしてのキャンパスの在り方。また、オンライン環境における共創活動のハブとしてのリアルなキャンパスというところの視点をいただいてございます。
 また、今後のハイブリッド環境を構築するに当たって、フィージビリティスタディを先駆けて行う実証の場としてのキャンパスの在り方。また、戦略的な施設マネジメントにおける建物情報でありますとか、カーボンニュートラルの実現に向けた電力消費等の各種施設関係データの蓄積と活用等、スマートビルの取組に代表されますように、施設を効果的・効率的に運用していくことにおけるデジタル技術の活用という視点。また、DXの活用による時間帯等における施設用途の容易な変容とその活用ということで、空間の共有や用途の複合性という観点も例として書いてございます。こういった視点も含みながら、今後どうやってハイブリッド型環境の整備を進めていけばいいかというところについて御議論をいただければと考えてございます。
 その次にですけれども、そういった横断事項を前提にしました上で、各検討課題についても御議論いただければと考えてございます。こちらにつきましては、本日、委員限りといたしまして別紙1で、今事務局のほうで収集してございます各論点に関連する参考事例というものを整理してございます。こちらは委員限りということなので画面共有はいたしませんが、お手元で御確認いただければありがたく思います。
 こちらにつきまして、本日、各委員からも、もし参考になる事例が各検討課題に対応してありましたら、併せて御紹介いただければありがたく思ってございます。
 1点目でございますけれども、成長分野等の社会課題に対応した人材育成・研究を支える環境整備といたしまして、共通事項としましては、成長分野など社会課題への対応においては、いかに知識を習得するかのみならず、その知識をどう社会に還元していくのかといった点で、実社会との接点や課題解決能力の向上に資する他者との共創を図る環境整備も併せて重要ではないかという問題意識の下、2点目でございますけれども、共創を推進する際、継続的な共創を生む運用面での工夫でありますとか、相互の交流や議論を喚起する場、ワークショップスタジオでありますとか、FABスペースでありますとか、そういった場であったり、また、そこで過ごしたくなる場の設定、そこの心地よさでありましたり、飲食を取りながらコミュニケーションが図れるでありましたりといった点も重要ではないかというところで記してございます。
 そちらに参考となり得る取組事例というところで、そちらがまさに別紙1で対応しているものでございますけれども、2ページにございますように、中心に意見交換がいつでもできるような大交流スペースがある事例でありますとか、あとは改修によって異分野の学生とか研究者の皆さんが集えるスペースを創出した事例でありますとか、そういったものを整理してございます。こちらも参考にしながら御議論いただければと思ってございます。
 2点目の視点といたしましては、DXやGX等の成長分野に対応した環境整備といたしまして、そういった成長分野における人材育成・研究を強化する際には施設整備も重要であるという観点の下、カーボンニュートラルの実現に向けて地域の核となり、地域とともに脱炭素でありますとか、イノベーション・新産業創出の両立を実現していく拠点としての大学の役割も重要ではないかというところを書いてございます。
 また、大学や高専等において、これからのDX・GXに対応した環境整備をどのように進めていくのか。その際の留意点等々につきまして、3点目はソフト・ハード一体となった取組といたしまして、そういった環境整備と併せまして、その環境を継続的に使いこなし、うまく活用していくための仕組みづくりも重要ではないか。例えば、カーボンニュートラルの実現に向けては、それを支える大学等の教職員の皆さんのリスキリングというのも重要な視点ではないかというところで記してございます。
 こちらにも注釈が書いてございますけれども、取組事例等々につきましては、今後さらに精査でありますとか、さらなる追加的な調査も含めて充実していくというようなものでございますので、あくまで現時点の状況というところで共有させていただいているものであります。
 3点目ですけれども、STEAM教育や分野融合研究等を支える環境整備といたしまして、こういったものを支える環境整備として、どのようなことに留意し、方策を講じていくのか。例えば、分野を超えた教育・研究を実現するために、各分野の機能を近接させたり、分野相互の往還を意識した配置構成にしたりするなど、共創を生む仕掛けを有する環境整備が重要ではないかというところで整理をしてございます。
 まず、こちら大きく項目2点につきまして、御意見を賜れればと思ってございます。
 事務局からは以上になります。
 
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、共通事項「デジタル技術も駆使したハイブリッド型環境の構築」及び、一つ目の具体的な検討事項であります成長分野に関わることの2点につきまして、先程、説明をいただきました内容も含めて、委員の皆様より御意見をいただければと思います。何か御意見、コメント等ございましたら挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。
 そうしましたら下條委員、デジタル分野ということもございますので、何かコメント等ございませんか。
 
【下條委員】  デジタルが前面に出て、非常に面白いかなというふうに思います。ただ、前々から議論しているように、1つは、まず、デジタルというのが実は大学全体の中では基盤となっていないんですね。いわゆる予算上、あるいは組織上、ちゃんと位置づけられていなくて、施設は非常にかっちりと毎年、まさにここの局も含めてちゃんと整備していただいていますし、オーバーヘッド経費もうちの大学なんかでは取って淡々と準備をされているんですけれども、情報については、実はそういうことが全く行われておらず、多分、今後ハイブリッドな施策を進めていくに当たっては、デジタルって非常に足が早いので、常に、多分建物よりも早く進化していくと思うんです。それを支えるある種体制なり予算なりということをしっかり考えておいたほうがいいと。できれば、施設整備と同じように情報基盤整備というのも、まさに施設のような形で計画を立てて進められるとありがたいと思います。
 それから、このハイブリッドに関しては、一つ事例としては大阪公立大学が、前回もちょっとお示ししましたけれども、IPAと一緒にデジタルアーキテクチャーということで建物の情報をデジタル化して、それを公開することで学生と一緒にコラボレーション、あるいは民間と一緒にコラボレーションというような事例もあります。大阪大学の箕面キャンパスも割とそういう事例ですけれども、そういった例も参考にしていただければと思います。
 以上です。
 
【西尾主査】  貴重な御意見、ありがとうございました。
 土井委員、どうぞ。
 
【土井委員】  どうも御説明ありがとうございます。今までの議論を踏まえて、ハイブリッドであるとか、プレイスメーキングであるとか、デジタルが前面に出てきているというのは大変よいことだと思います。
 一方で、あまり暗いことを言いたくないのですが、ハイブリッドでやるとなると、オープンなキャンパスでやっているときに、例えば顔が写り込むと困るとか、個人情報の扱いとか問題になってきて、その辺り、どういうような仕組みでこれを利用していくか。先ほど下條先生からデジタル情報がインフラとなることが重要という話もありましたけれども、それに併せて、こういうことに関わって個人情報の扱いをどうしていくかということは、個々の大学で定めてくださいというのではなく、やはりきちんとガイドラインをつくって、この規範にのっとって、例えば入学時に全部同意を取ってくださいみたいな、そういう仕組みが非常に重要になってくるかなと感じました。
 また、デジタルが前面に出てきていていいと思うんですが、流れからいうと、オープンキャンパスという流れで学生の皆さんが集まる場所ということになっていますが、一方で研究もリモートでできるようになっていかないといけないわけで、KEKとかそういうところでは結構リモートで実験もできるようになっていますけれども、全ての大学がそれにできていくわけではないのですが、やはりそこも少しずつ考えて、特に共同研究機構ができる場所とかございますよね。なので、そこもどういう使い方をするかというところで、こういう施設のところでガイドラインというか、規範をつくっていただいて、それに倣って各大学が進めていけるようにしていくというのも非常に重要かなと。実験設備のデジタル化も含めてやっていくことが重要かなと思いました。ぜひよろしくお願いいたします。
 
【西尾主査】  土井先生、本当に重要な観点を御指摘いただきましてありがとうございました。プライバシーの問題など、いわゆる情報のリテラシーに関することについて、何かガイドラインや規範のようなものが必要なのではないかという点は非常に大切であると考えます。また、研究の環境等についても、リモートでも十分に研究活動ができるような環境の整備をより進めていくことが重要だという御意見をいただき、ありがとうございました。
 出口先生、どうぞ。
 
【出口委員】  東京大学の出口です。よろしくお願いします。
 前回も出席できなかったものですから、今日のまとめを拝見し、DXに力点を置いたまとめ方をしていただいていること、私も非常に良いことと思っております。ただ、見出しを見て気になっている点があります。資料の中に、「DXやGX等の成長分野に対応した環境整備」という見出しが何カ所も出てきます。内容を見てみると、きちんと2つの意味に切り分けた方が良いかと思っております。即ち、DXやGX等に対応した環境整備と、成長分野に対応した環境整備と、きちんと分けて整理されたほうが良いと思っており、その2つが混同していることが気になりました。
 DXやGX等に対応した環境整備というのは、施設そのものをカーボンニュートラルに対応していくとか、環境共生型の施設に対応していくという意味と思いますし、ハイブリッド型の授業がきちんと受けられるような環境や施設をつくっていくという話がまず一方であり、これはDXやGX等に対応した環境整備ということだと思います。
 その一方で、DXやGXの成長分野については、そうした成長分野を学ぶ学生の教育方法ということになると思いますので、それはまた別の問題かと思います。別の項目として考えるべきかと思います。また、成長分野というのは、何もDXやGXの言葉に代表されるようなものだけではなく、例えばライフサイエンス系も今、大変な成長分野であり、ゲノム解析など、ウェット系のラボをもっと増やし、コロナ後に感染症に対応できる専門家の育成に対応することも含むと思います。これからの成長分野であるゲノム医科学など含むと思います。そうした成長分野に進んでいく学生たちを育てていくウェット系のラボの整備にもっと力を入れる必要があると思っておりますので、成長分野というと、DXやGXだけではなく、ライフサイエンスでありますとか、あるいはマテリアルでありますとか、そういった分野も含まれると思いますので、整理して考えていただいたほうがよろしいかと思いました。その点は既に議論されているかもしれませんが、気になりましたので発言させて頂きます。
 
【西尾主査】  貴重な御意見、ありがとうございます。おそらく、成長分野でDX・GXを取り上げているのは、この議論の基となっている教育未来創造会議からの報告書等の中で、成長分野との関係でDX・GXが相当に言及されていることが理由かと思います。この点に関して、事務局のお考えはいかがでしょうか。今後の対応等も含めまして御説明をお願いいたします。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  ありがとうございます。事務局でございます。出口先生、御意見ありがとうございます。
 今、西尾主査のほうから御紹介いただきましたように、教育未来創造会議で出しました第一次提言の中で、成長分野に対応していくということの代表例として、DX人材、GX人材をどのように育成していくのか。そのための方策を講じていくことの重要性が指摘され、現在、そのための基金の整備というものが進められているという背景事情がございます。
 一方では、この会議における議論といたしまして、そうしたDX・GX人材の育成というところをコアな焦点にしつつも、それ以外の成長分野も含めて、どのようにこれからの社会をリードしていく環境整備をしていくのかということの重要性はございますので、そうしたところも排除することなく、御議論いただければと思っております。
 
【西尾主査】  それでは、出口先生からおっしゃっていただいたことも踏まえまして、今後のまとめについて考えてまいりたいと思います。ありがとうございました。
 
【出口委員】  よろしくお願いします。
 
【西尾主査】  それでは、篠原先生、片岡先生の順番で御発言いただけますとありがたく思います。篠原先生、お願いいたします。
 
【篠原委員】  先ほど個人情報の話が土井先生のほうから出ましたけれども、私は建築が専門なので空間のことが気になるのですが、オープンで多目的に使える空間、私どもの大学でもラーニングコモンズというのがあり、遠隔授業を受けるのに結構みんなそこで、あるいはピロティのところでやっていて、なかなかいい光景ではあるのですが、一方で、最近ちょっと話題になっているのは、学生たちはオンラインで就職の面談を受けるなどするということです。個室でないといけない場合や、インターンシップの事前の面談や打合せに自宅から入れないときもあると、そういう個人情報が守られるようなクローズな空間、ブース的なものが結構要るなということを実際思っています。なので、開かれた多目的に使われるオープンなスペースと同時に、クローズドな守られた空間が必要なのではないかという気がいたしました。
 もう一つは、プレイスメーキングというのは、すごく私には刺さった言葉だったのですが、環境に適応した、GXに配慮した建築を造るということはすごく重要で、しかし、造って終わりではなく、と思います。台湾は暖かいところということもあって、環境を見せる仕掛けをすごく大学でも取り入れて、台北科技大学だったと思うのですが、フェンスに沿ってずっと長いビオトープがつくってあって、大学の入口には、大きなグリーンのゲートがばっとあるのです。それは環境へのスタンスを可視化するということで大学からの社会へのメッセージでもありますし、そういうものを学生なども一緒にメンテナンスする、見せる仕掛けと関わる仕掛けというのがすごくうまくできているなと思ったので、御紹介をさせていただきました。
 以上です。
 
【西尾主査】  ありがとうございました。オープンでありつつも、一方ではクローズドな空間も併せ持つ必要がある、という観点は、今後、空間をどのようにデザインしていくかを考えるときに非常に重要な課題だと思いました。また、先生がおっしゃったように、学生が空間づくりに関わるという視点で、キャンパスをデザインしていくということが大切だと考えました。貴重な御紹介をいただきまして、ありがとうございました。
 片岡先生、どうぞ。
 
【片岡委員】  今までの御議論を伺っていて思いましたところも含めてお話ししたいと思います。共通した部分として、デジタル技術を駆使したハイブリッド環境の整備ということで掲げられておるんですけれども、私も感じたのは、このデジタル技術を駆使した環境整備というのは、全てに共通する基盤の共通基盤であって、これ自体が目的になってしまうのは逆ではないかなと感じました。
 なぜこのデジタル空間、デジタルの技術、どんどん新たになっていきますけれども、そういうものを活用する必要があるかというのは、やはりサステーナビリティだったり、フレキシビリティであったり、そういうものを大学の中に空間をつくるための基盤の共通整備であると、そういう視点のほうが私はいいのではないかなと思いました。
 サステーナビリティについては、これまでもありましたけれども、施設整備の考え方の中では省エネルギーとか省コスト、それから資材の選択とか、あるいは既存施設の有効活用もあると思います。それから省エネ・脱炭素の追求とか、あるいは維持管理のコスト、それから場合によっては改修・解体の場合にもつながるようなサステーナブルな環境整備というところにデジタルの技術というのが生かされていくという、そういう観点が必要ではないか、そういう観点で置くのがいいのではないかと思いました。
 フレキシビリティも全く同じで、イノベーションの起点となる自由度の高い場を提供するというのがこれからの考え方かと思いますので、ここには先端的なものももちろんありますし、汎用的な施設もあると思いますけれども、そういうものを整備していく。これは人材育成、研究環境、両方にも通ずるものと思います。ですので、デジタル技術というのはその2つの、サステーナブルの空間、フレキシブルな空間、そういうものを整備していく上での共通の基盤技術として今回は強く取り入れていくと、こういうメッセージが最初にあってもいいのではないかと思いました。
 以上でございます。
 
【西尾主査】  貴重な御意見をありがとうございました。私としては、そういったデジタル空間の創造や、キャンパスとしてのDXを進めるうえで、現在、利用可能な先端的な情報技術を導入するという観点と、今後、新たな情報技術としてどういうものを指向し、研究していけば良いかを検討するという観点の両面からのアプローチを考えつつ、片岡先生の御意見を聞かせていただきました。どうもありがとうございました。
 それでは、後藤先生、お願いいたします。
 
【後藤委員】  ありがとうございます。少し事例も含めての紹介になります。私ども関係しています高等専門学校では、15歳からの専門工学教育を行っております。その中で、アイデアを形にするということが一つの大きな教育目的でございます。従来からものづくりに関する教育環境を整備してきました。最近では、デジタル技術を取り込んだハイブリッド環境をつくっていこうということで、本年度の第二次補正予算で、国公私立57高専全てでスタートアップ教育環境整備を行うことになっております。キーワードとなっておりますのは起業家工房で、アントレプレナーシップ教育の観点から、学年や学科を超え学生が自発的に集まり協働して、デジタル技術も使ってアイデアを形にする。つまり、ものづくりをチームで実践する場をつくろうということで、来年度中には全高専、つまり57の起業家工房ができると思います。少し参考になるかと思います。
 ただ、課題としては、各高専の中につくり規模があまり大きくないので、地域とか企業とか、あるいは理工系人材の早期発掘という観点から初等とか中等教育との連携をどうするかということ。それから、やはりアートの視点がないと、イノベーティブなものづくり、新たな価値を見出すことができないので、そういうアートな視点、文理横断的な要素をどのように組み込んでいくかということが課題じゃないかなと。ハイブリッドな教育環境整備がもう既にスタートしているということの紹介でございます。
 
【西尾主査】  貴重な事例を御紹介いただきまして、ありがとうございました。高等専門学校における先進的な事例かと思っています。
 それでは、倉田先生、お願いいたします。
 
【倉田委員】  今までDX、デジタル技術の導入というお話がございましたので、その点について私なりにちょっと気がかりなところをお話しさせていただければと思います。
 基本的に、私はデジタル技術を導入していくということはこれから大事なことで、基本ではないかと思っているのですけど、一方で、先ほど西尾先生がおっしゃったようにデジタルリテラシーということに対する配慮も必要ではないかと思います。海外の事例を見ていると、こういった共創の場においても、必ず公平性とかということが出てきます。共創の場に参加する人たちに対して、同じような条件で公平に参加できる機会をつくっていかなければならないといいうことです。デジタル技術というものがハードルになってはいけないのではないかと思っていて、そういう意味でデジタル技術リテラシーということに対して少し気を遣っていかなければいけないように思います。
 特にイノベーションということで、どうしても自然科学や産業技術がイメージされがちなのですけれども、社会科学、社会分野の方たち、異分野の方たちも参加していただこうとすると、やはりデジタル技術にある程度や長けている自然科学や工学系の人たちに比べると、そういうところでなかなか参加しにくいという状況ができてくるのではないかという気がしています。もちろん施設を開放していくという、できるだけ参加しやすい環境をつくっていくということは大事ですけど、一方でデジタル技術が公平性をある意味で担保する側に働けばよいのですけれど、それがハンディキャップになるような形ではまずいのではないかと感じました。
 これは、後ほどちょっと紹介させていただく機会があるかもしれませんけれども、海外の同様の施設整備を見ていますと、公平性ということがかなりうたわれていて、それもある意味でSDGsの中の一つの目的でもあるわけなので、その辺りもどこかで意識しておかなきゃいけないのではないかと感じました。
 
【西尾主査】  ありがとうございました。公平性を持ったデジタルプラットフォームをいち早く構築することによって、より先進的な、先導的な活動ができるのではないかということを常々思っております。また、私は、土井先生、倉田先生がおっしゃったデジタルリテラシーの問題は、本当は大学に入ってからの教育では遅過ぎるのではないかと思っておりまして、高校、中学のレベルからデジタルリテラシーに関する教育を行うべきではないかと考えています。少なくとも大学レベルでは十分に教育していく必要がありますので、その点については今回のテーマと関連して重要な押さえるべき点として記述をしていきたいと思います。ありがとうございました。
 上野先生、どうぞ。
 
【上野委員】  上野でございます。皆様の御意見、本当にもっともなことだと感じました。その中で、特に片岡先生がおっしゃった、DXというのは基盤であって目的ではないかというご指摘は、ぜひ考えていかなければならない問題だと思います。今回、資料2のほうでまとめていただいているいろいろな項目、重要ではないかというような項目が幾つか並んでいますが、これらは本当に必須事項じゃないかと思いますし、重要であると言い切ってもいいことかと思います。
 ただ、それを現実の施設、あるいはキャンパスにしていくためには、前回の議論もありましたが、企画段階から専門家の参画とか、優秀な方々の参画が必要で、その体制をどうつくるかということが必要ですし、施設やキャンパスをこれからどうつくるかということを個々の大学が、今回の有識者会議のように様々な分野の方々が議論しながらプログラムをつくる。それを最後まで見届けながら運営まで当たっていくというような体制をつくることが非常に重要かと思いました。
 先ほど宮城さんからの説明の最後のほうにありましたが、教職員のリスキリングという辺りが重要だと思います。施設を担当する職員もデジタル技術のことですとか、いろいろな共創のための場について、どういうことを意識しなきゃいけないかとか、そういうことを認識してもらうこと、あるいは大学の執行部の方々にそういう認識をぜひ持っていただくこと、それをこれからどういうふうに意識のレベルを上げていくかということ、その方法をぜひ提案できるといいなと思いました。
 以上です。
 
【西尾主査】  貴重な御意見ありがとうございました。おっしゃった方向性での提案を考えていきたいと思っています。
 時間の関係でそろそろ次の項目に移りたいと思っておりますけれども、よろしいでしょうか。
 それでは、自由討議の二つ目、それから三つ目の検討事項につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
 
【宮城大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室室長補佐】  ありがとうございます。また、資料2、お手元の別紙1を基に御説明を続けさせていただきます。
 2番の地域人材育成に資する産学官連携強化でございます。1点目、地域連携プラットフォームと連携した共創拠点の整備など、ソフト・ハード一体となった環境整備をどのように進めていくか。また、その整備に際して、どのようなことに留意し、方策を講じていくかというところで、ソフト・ハード一体となった取組の例としまして、前回、委員より御指摘いただきました点を整理してございます。
 具体的には、組織対組織の産学官連携体制の構築など、多様な主体が継続的に関わる仕組みづくり、大学のシーズと地方公共団体や産業界等のニーズのマッチング、構想から製品化まで一貫して支援する伴走支援体制を大学等がハブとなり多様なステークホルダーを巻き込み、実現する仕組みづくり、対外的な連携を推進する窓口の明確化と、そことの学内の円滑な連携体制の構築。
 また、次のページに参りまして、施設や設備の共用促進、こちらにつきましては、こちらの事例のほうで先ほど書きましたけれども、いろいろな取組、実際行われているのを参考にしながら整理していければと思います。最後に、産学官連携におけるOPEN/CLOSEの段階的整備というところで、オープン化をしつつも、どうクローズというところをグラデーションを持って整備していくかというような視点を書いてございます。
 次には、地域人材育成のための地域産業振興、スタートアップ創出のための拠点整備をどのように進めていくか。また、整備に際し、どのようなことに留意し、方策を講じていくかというところで、こちらの項目につきましては、お手元にあります別紙1の7ページ以降、産学官連携でありますとか、スタートアップの拠点整備の事例というのを載せてございます。そういった事例も参考にしながら、各論点について議論、整理をしていければと思ってございます。
 続きましては、3点目でございますけれども、多様な主体に開かれた魅力あるキャンパスでございます。まず、1点目には、理工系・農学系のキャンパス・施設の魅力化、こちらに女性活躍推進の視点も含んでございますけれども、女子学生の増加に応じた女子寮やトイレの整備、女性の教職員の皆様の出産・育児との両立を支える環境整備等、基本的な生活環境の整備というものも重要なところで求められている状況でございます。
 その中で、それを踏まえつつ、理工系・農学系等のキャンパス・施設の魅力化をどのように進めていくか。また、整備に際して、どのようなことに留意し、どのような方策を講じていくのかというところでございますけれども、こちらの参考となり得る事例というのは、別紙1の12ページに女子寮でありますとか、女子トイレの併設でありますとかということを整備してございます。
 2点目には学び直し(リカレント教育)に対応した環境整備としまして、学び直しに対応した環境整備をどのように進めていくか。その際に、どのようなことに留意し、方策を講じていくのか。その際に、例えば多様な者が、多様な学び直しの場・機会に参加・参画しやすくためには、デジタル環境の整備やサテライトキャンパスにおける対応等、参加しやすいというような環境づくりも有効ではないかという点。また、その際に、産学官の連携でありますとか、分担というものをどう考えるのかという点。さらにですけれども、多様な方が学び直しを通じて、いろいろなネットワークを構築されていくでありますとか、シーズとニーズのマッチングを図られるなど、学び直しの場が新たな共創につながる場としても重要な役割を担うのではないかというような視点を書いてございます。こちらも事例につきましては、同じく12ページにリカレント教育における相互ディスカッションでありますとか、現場見学でありますとか、様々な場を活用した事例というものも載せてございます。
 2点目の議題については、こちらの大きく分けて2項目について御議論いただければと思ってございます。
 事務局からは以上です。
 
【西尾主査】  御説明ありがとうございました。
 それでは、二つ目の具体的な検討課題、三つ目の具体的な検討課題について御意見等ございましたらお願いいたします。
 土井委員、どうぞ。
 
【土井委員】  ありがとうございます。ちょっと1点気になったのが、女子学生の増加に伴う女子寮など、トイレなどの整備というところで、これはこれで重要だと思うのですが、例えば奈良先端科学技術大学院大学では、結構留学生の方が多く、キャンパスの中に宿舎がある関係で男性の学生もキャンパスの中でおむつを替えるとかいうことが生じるので、性別問わず使えるユニバーサルなトイレを増やしております。そういう意味では多様性を考えるのであれば、女子学生も男子学生も育児に関わっていきますし、研究者もそういうふうになっていきますし、LGBTQということで、ぜひユニバーサルトイレを増やすというのがいいのではないかと思います。すみません、細かいことで。
 
【西尾主査】  いえ、細かいことではなくて非常に重要な点だと私は思います。今後の少子化への対策として、今、土井委員がおっしゃったような環境を整えていくことは大切だと思います。また、オールジェンダーのトイレ等を整備していくという視点も、私は非常に重要だと思います。ありがとうございました。
 出口先生、どうぞ。
 
【出口委員】  ありがとうございます。出口です。社会人リカレント教育に関連した部分で発言させていただきたいと思います。社会人リカレントですと、対象になるのは当然社会人で働いている方々です。今までは大学の教育は、学びたかったらキャンパスに来いという考え方が基本だったと思います。要するに大学のキャンパスに来なさいと。大学のキャンパスが郊外にあろうが、どこにあろうが、とにかく学びたかったらキャンパスに来なさいと。これは社会人にとってみると、すごくハードルが高い話でして、やはり仕事が終わってからキャンパスに行ったり、仕事を休んでキャンパスに行かなければいけないことになります。オンラインというツールを手に入れたのですが、やはり対面でディスカッションしたり、あるいは社会人の人たちがグループでディスカッションをしたりということに対しては、オンラインというのはまだ不十分な気がしています。それから、実際にものづくりなどもそうですが、現場で体現して学ぶということも非常に重要だと思います。
そういう意味では、私はむしろ大学がキャンパスの外に出ていくことが重要だと思っておりまして、むしろ働いている人たちの重心に我々教員が出向いていく。都心サテライトでありますとか、あるいはいろいろな問題を抱えている場所にむしろ我々教員が出ていくような、そういったところにもきちんと施設整備の予算がきちんとつくべきではないのかと思っております。大学が所有している土地の中でないと施設整備費の予算がつかないということではなく、大学が狭い意味でのキャンパスから外に出ていく、これからは、都市全体がキャンパスだというぐらいの考え方で、そういうところにももっと施設整備の予算をつけていくべきではないのかと。その辺の考え方の緩和といいますか、思い切ったことをやっていただかないと、なかなかリカレント教育というのは進んでいかないかと思っておりますので、ぜひそこをお願いしたいと思います。
 
【西尾主査】  ありがとうございます。現在、政府でもリスキリング教育、リカレント教育は非常に大きなテーマとなっておりますので、この機をうまく生かして、リカレント教育に係る施設整備への財政出動をしっかりと実現していく方向性も大事かと思います。ありがとうございました。
 片岡先生、篠原先生の順番でお願いいたします。
 
【片岡委員】  片岡です。私のほうは少し思いましたのは、まず、多様な主体に開かれた魅力あるキャンパスのところで、こちらのほうは先ほどの多様な、ジェンダーとか、それから国際的な立場の違う方々、そういう方々が過ごしやすいような環境を魅力あるキャンパスというふうに捉えられている部分が前面に出ているかなと思ったんですけれども、それは非常に大事なことではありますけれども、もう一つ、ここに入れていいのかどうかちょっと分からないんですが、例えば国立大学の多くは附属の施設をたくさん持っていまして、特にフィールド系の施設、例えば附属農場であったり、そういうようなフィールドを体験できるような施設はたくさん持っていると。そういうものも魅力あるキャンパスという観点では、もっと一般の方々に開放というのか、一般の方々も関心を持っていただいて、そこに入り込んでいただく。そういう場づくり、そういう場になるようにすれば、魅力あるキャンパスというものが実現できるんじゃないかなと、それも一つの方向であるということではないかと思いました。
 それからもう一つは、先ほどもお話しありましたけれども、スタートアップのための拠点整備とか、リカレントのための施設整備とか、これ共通すると思うんですけれども、大学の中に今確かにそれぞれあります。そんなに規模は大きくありませんけれども、ある。ただ、これは利便とか、いろいろなことを考えると、例えば県なり他大学が持っている施設と共有して、そういう場をつくるという観点も持っていかないと、それぞれが一つ一つつくるというのも、いろいろな意味でサステーナブルではないのではないかなと、ちょっとそんなふうに感じました。
 以上でございます。
 
【西尾主査】  ありがとうございました。魅力あるキャンパスをつくるうえで、大学の附属の施設が非常に大きな役割を果たすのではないかということ、そして後半部分におっしゃっていただきました御意見は、方向性として非常に大事なことかと思います。どうもありがとうございました。
 篠原先生、どうぞ。
 
【篠原委員】  1点目は、最初に御指摘があったように、出産は基本的には女性しかできませんが、育児は女性だけのものはないので、言葉遣いや文章の中でぜひその辺りは気をつけて作成をいただきたいと。あとライフイベント等ということもありますが、それは男女が共にやっていくというスタンスの中で場づくりがされなければいけないだろうと思います。
 その関連で、リカレントなど本学でもやっておりますが、お子さんを連れてこられるときに預ける場所があるのがすごくいい。ただ、なかなかその仕切りが分からないのですけど、地域の方に開いた保育施設にしますと事業所内保育所ということにならず、助成金の対象にならなかったりとか。大学の教員や院生が利用することが昔は多かったのですけど、今は地域にそれぞれあるのでお子さんを大学まで連れてこられるということはあまりないです。リカレントのように、テンポラリーに、あるいは通信であれば夏休みのスクーリングとか、寮に泊まっているときにお子さんを預けられるとかということがあるといいと思ったりします。地域に開放しながらも、大学も使える施設という立てつけでないときっと運営できないなと思いますし、子育てのサポートも含めて、学び直しが考えられるとよいと思いました。
 以上です。
 
【西尾主査】  分かりました。土井先生、また今、篠原先生がおっしゃった点を、今回のまとめの中では強く打ち出していきたいと思います。どうもありがとうございました。
 他に、先ほど説明いただきました項目についての御意見はございませんでしょうか。
 それでは、続きまして、次の検討事項に移ります。四つ目の具体的検討事項と四つの検討事項を受けた共創拠点化を進めていくために取り組むべき方策等についてということで、事務局から、まず御説明いただけませんでしょうか。
 
【宮城大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室室長補佐】  ありがとうございます。資料2の4ページ目でございます。各課題の4点目、グローバル化への対応でございます。1点目、留学生や外国人研究者の皆様にとっても魅力ある教育研究環境の整備といたしまして、国際的にも魅力ある教育研究を整備することなどを通じまして、世界中から優秀な人材を引きつけることが重要ではないか。また、日本人学生の留学を促進する観点からも留学生等と日本人学生との交流でありますとか、他者と共創しながら自らの意見を確立する。また、様々な価値観に日頃から触れられる環境整備も重要ではないか。こうした視点から、どのような整備を進めていくか、どのようなことに留意し、どのような方策を講じていくかということを整理してございます。
 また、日本の大学等における研究環境といたしまして、より一層研究分野間の融合が促進され、イノベーションが誘発される空間・環境に変えていくことが重要ではないか。その際、具体的にどういったことに留意等すべきかというところでございます。こちらにつきましては、別紙1の14ページに海外の事例も含めまして参考事例を整理してございます。
 2点目が宿舎等の生活環境の整備でございます。諸外国においては、学修スペースとの一体的な整備でありますとか、生活を通じて多様な交流が促進される空間の整備など、単なる寝食の場にとどまらない多様な機能を有する宿舎が整備されている状況であります。その中で、国内外ともに優秀な研究者等を引きつける環境整備においては、生活環境の整備というのも重要な視点でございます。
 その上で、生活環境を考える上では、大学のみならず、まちでの対応の関係性も考えた上で、留学生等の生活環境をどう考えていくのかという視点がございます。また、日本における留学生等に対する宿舎、日本人も含めた混住型宿舎等ですけれども、生活環境をどのように確保・充実していくか。また、整備に際し、どのようなことに留意し、どのような方策を講じていくかというところを記してございます。
 3点目は、国際交流・発信の拠点の整備といたしまして、海外大学との連携や海外研究者の呼び込み等に対応した国際交流・発信拠点の整備が重要ではないかというところを記してございます。こちらの論点に関係しまして、参考資料1でお示ししておりますとおり、教育未来創造会議でまさに今、グローバル化への対応が議論されておりますけれども、1月のワーキンググループでの資料のキャンパス整備に係る該当部分を御紹介させていただきます。
 12ページになりますけれども、こちら国内大学の教育研究環境の質及び魅力の向上を図っていく必要があるという点で、黄色マーカーしてございますけれども、世界から優れた学生や教育を呼び込むためのキャンパスの質及び魅力の向上、民間資金等も活用して、留学生、外国人教員宿舎等の受入れ、環境整備などについても触れられてございます。
 また、資料2に戻りますが、こちらまでで新しい共通事項であるハイブリッドと新しい4つの視点について御説明させていただきましたけれども、5点目、その他といたしまして、これらの取組を進めていくためには、ソフト・ハードが一体となった取組として、企画段階から運用活用段階まで、共創拠点がうまく使いこなされていくための仕組みづくりというものも重要となるところを整理してございます。こちらには前の10月の報告書でおまとめいただきました別紙2がございますけれども、そちらでイノベーション・コモンズ実現のための取組のポイントというのを図で整理いただきましたけれども、改めて共創の前段階から運営活用に至るまで、一貫して実現していくための仕組みづくりがソフト・ハード一体に行われることが重要であるというところを記してございます。
 取組の例といたしましては、連携を支えるURA等の人材配置でありますとか、先ほど上野先生からも御指摘いただきましたが、優秀な建築家や情報通信環境の専門家等が企画・計画段階から、その実現に至るまで関与する仕組みを取組の例として書いてございます。
 最後、3点目といたしましては、これら今まで御議論いただいた、整理いたしました取組を着実に進め、加速化していくための方策について整理・提言をできればと考えてございます。国においては、より一層の予算の確保やソフト・ハード一体となった取組の支援のほかにも、どのような方策が打ち出せるかというところを記してございます。あわせて、国、国立大学等、地方公共団体、産業界等それぞれの視点、多様なステークホルダーとの連携・分担をどう考えるのかという点についても整理をしてございます。
 事務局からの説明は以上になります。よろしくお願いいたします。
 
【西尾主査】  どうもありがとうございました。只今、御説明いただいた二つの大きなテーマに関しまして、御意見やコメントはございませんでしょうか。
 土井先生、どうぞ。
 
【土井委員】  御説明ありがとうございます。そういう意味では、最後に書いていただいたソフトとハードを一体化していくというところは、先ほど下條委員からも御指摘がありましたし、西尾委員長からも御指摘ありましたように、建物自身は長期的ですが、そこにインプリされるソフトウエアというのは随時変えていかないといけないと。これはイノベーション・コモンズに関わる問題だけではなく、大学というか、全ての建物がそれに当たっているのですよね。なので、そこに対応するところを、例えば施設整備というところでは、先ほど西尾委員長からも御指摘がありましたけれども、どのように寿命を延ばしていくやり方をURAの配置とか、バックヤードとしての支える仕組みも考えていただくことが重要かなと思いました。
 
【西尾主査】  いただきました御意見を大切にしていきたいと思っております。ありがとうございます。
 それでは、倉田先生、いかがでしょうか。
 
【倉田委員】  国際化ということで、留学生の受入れというようなことが今テーマになっているかと思いますけれど、その際の宿舎ということで、これは明らかに日本の場合、それが足りていないということは確かだと思うのですけれど、海外を見ていると、留学生というのは必ずしも単身ではなく、家族で来るというようなことも非常に多いと思っています。そういうことで言いますと、海外の大学だと、既婚者用の寮というのもかなり充実している。なおかつ家族が一緒に来るということを前提に、一緒に来た家族に対して、ある意味で生活に対しての対応といいますか、子供たちの学校をどうするかというようなことに対しても、窓口が準備されていて、そういったところでのケアがされている。日本の場合は、まだ既婚者が量としてたくさん来るということはあまり想定されていないのかもしれませんけれども、海外ではいわゆる研究者だけじゃなく、学生のレベルでもかなり既婚者がいるというのも現実ですので、その辺も少し配慮していかないとまずいのではないかと思ったところです。
 あともう一つ、これはそのこととは関係ないのですけれども、施設のことについて、今回、私自身も大学の視察にも行かせていただいて、新しい施設の中にもコモンと言われるような場所が整備されているのですけれど、共創的作業する場も含めて、施設としてそのよう名前のついた空間は、部屋は用意されているんですけど、あまりにも空間のクオリティーが低いと感じました。あまり窓のないようなところに、人が雑然とそこに集まっているというような状況だったりして、もう少し個々の施設の空間のクオリティーといったものにももう少し配慮する必要があるんじゃないかと感じました。
 そのためには、そういうことに長けた専門家、建築家なりを登用できるような仕組みを持たないと、結局一般の施設の発注と同じような形で、あまりぱっとしない施設が結果として造られてしまうというようなことにもなっているので、その辺りも少し考える必要があるんじゃないかなと思います。特に海外の大学の施設や研究施設を見ていると、施設の空間自体が非常にリッチで、ここだったらいい活動ができるのではないかなと思わせるようなところがあります。日本の場合、実験室とか、そういうところは別としてですけれども、共創に使われるような場のクオリティーですね、例えば椅子一つにしても、こんなところに座って堅苦しい議論をするのかなと思われるようなところもありますし、そういうところも少し配慮する必要があるのではないかと感じました。
 
【西尾主査】  倉田先生、どうもありがとうございます。先生の御意見に全く同感でございます。私が海外の大学等を訪れた際にも、結婚した学生用の宿舎が十分に準備されており、そういうことを考えますと、国内の大学における宿舎の状況が未だに遅れていると感じます。また、コモンズをつくった場合の、質の問題もおっしゃるとおりだと思います。本当に貴重な御意見、ありがとうございました。
 下條先生、どうぞ。
 
【下條委員】  ありがとうございます。先生方おっしゃるように、大学の施設面でグローバル対応するというのは非常に重要なんですけど、私、かなり危機感がありまして、最近、河合塾とか高校生の話を聞いていると、皆さん、日本の大学に飽き飽きしてて、海外の大学を目指すという方がどんどん増えているんですね。そういう意味で日本の大学も早くグローバルに対応しないと、どんどん逆に人材流出も起きてくるということだと思います。それに関しては、例えば入試制度も含めて全体的に見ないと、施設だけやってもしようがないので、ある種、例えば教授会が英語でできるかとか、いろいろな観点で、いわゆるグローバル・レディネスみたいなものを置いて、その中で施設もこれぐらいできているみたいな形でグローバル化を図るということがやっぱり必要なんじゃないかなと思いました。
 以上です。
 
【西尾主査】  ありがとうございます。おっしゃるとおり、国際的な観点で考えないと、日本から高校生が海外の大学へどんどん出ていくようになってしまう危機感があります。
 上野先生、どうぞ。
 
【上野委員】  特に学生寮の整備とか留学生寮の整備では、今現在は文科省としてもPFIなど、民間事業者と協力しながら推進しようということが多いと思うのですが、民間事業者に任せっきりにしますと、事業として成り立つかどうか、そのときの家賃設定の問題とか、いろいろなものがあって、どうしても効率優先になってしまって、今回の議論のような共創拠点としての学生宿舎の在り方をどのように実現するかについて、なかなか難しいことが出てくると思います。そのときに大学としての家賃補助ですとか、大学だけじゃなくて、国からもそういった補助が出るとか、そういう仕組みを考えていくのが重要じゃないかと思います。
 それと、日本は縮小型社会になってきたということで、空き家の問題というのが結構ありますよね。それと老朽化した施設、例えばURはいっぱい団地を抱えているわけですけど、その問題と宿舎の問題をうまく解決するようなモデルケースをつくってみてはどうかと思いました。例えばモデル事業として、どこかの大学の寮をURと連携して考えて、世界に誇れる住環境をつくってみる、何かそういうことも必要かと思いました。
 以上です。
 
【西尾主査】  どうもありがとうございます。URとの連携は、非常に有効だと考えています。御意見をまとめにおいて生かしていきます。
 片岡先生、後藤先生の順番でお願いいたします。
 
【片岡委員】  片岡です。先ほどお話しあったように外国からの留学生、それから研究者、家族を含めて、そういう方々を受け入れる体制としてはオープンな環境とプライベートな環境が必要であって、さらにそこにはリラックス、リフレッシュできるような、そういう雰囲気を整えていくということだろうと思います。
 それで、留学生の受入れに関して専用の、それぐらいの規模のものをつくるということも理想的ではあるんですけれども、現実考えると、経営的なこととかを考えると、そこまでなかなか大学単体では踏み込めないということがありまして、例えばですけれども、先ほどもお話しした空き家に近いかと思うのですが、例えば社員寮ですね。会社の社員寮なんかが今比較的入っていないところがあって、香川大学はそういうところと契約をして、そちらのほうに留学生を入れていただくと。宿舎として、寮として使わせていただく。あくまでも契約関係なので施設本体の整備に大学がお金を出すというわけではないんですけれども、場合によってはそういうところまで含めた国の対応というところもありではないかなと思いました。
 それからもう一つ、国際交流・発信拠点の整備という観点で、これはいろいろな形で海外発信、情報発信ができていると思うんですけれども、特別なイベントとかではない、日常の空間を海外の大学のキャンパスと共有する。例えば大型のモニターも今どんどん安くなってきていますので、そういうものをカフェテリアに設置して、その向こう側には先方の大学のカフェテリアの同じような空間がある。そこで日常的に学生同士がそこにいる学生と会話をする。そういうところからグローバル意識といいますか、そういうものを盛り上げていく。そういうやり方もあってもいいのではないかな。複合的な活用にも通じると思うんですけれども、ちょっと今、私が個人的にそんなことをやってみたいなと思っているので御紹介しました。
 以上です。
 
【西尾主査】  本当に魅力的な御提案だと思っています。また、社員寮とか空き家、それから上野先生がおっしゃったようなURの様々な施設などを今後、共同で使っていくということも、現実的な方向としては重要であるいう御指摘をいただきましてありがとうございました。
 後藤先生、どうぞ。
 
【後藤委員】  ありがとうございます。そもそも論になってしまうんですけれども、ハードとソフトが一体になった取組と言いながら、全体にハード面、例えば施設を造るということにまだまだ議論が偏っているというか、そんな感じがします。やはり人が利用して、そのことによって人の活動にどのような変化を与えるかというところまで踏み込んでいく必要があると思います。例えば、先ほどの多様性への対応が施設、トイレだけというような、まだほかにいろいろあると思いますので、そこが1点です。
 学寮に関しては多機能性を持っていると思います。留学生を受け入れることによってキャンパスの国際化ということもありますけれども、生活の場であり、修学の場であり、加えて交流による人間形成の場となります。あるいは地域の中で生活していますので、地域の機関や人とのどういう交流をつくっていくかということも大きな課題かなと思っています。
 以上です。
 
【西尾主査】  ソフト面に関する、もう一段踏み込んだ議論が必要ではないかという貴重な御指摘をいただき、ありがとうございました。ご指摘いただいた点について、もう一度再検討してまいりたいと思います。
 その他の御意見はいかがしょうか。よろしいでしょうか。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  失礼します。事務局でございます。
 
【西尾主査】  どうぞ。今までのことで事務局からも御意見を伺うべきところ、お時間の都合で聞くことができておりませんでした。今までの委員の皆様からの様々な御意見に関連するコメント等がありましたら、是非、よろしくお願いいたします。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  ありがとうございます。委員の皆様から多数御意見いただきまして、ありがとうございます。現状における予算上の様々な課題ですとか、あるいは隘路ということも含めて、その課題をどうやって克服していくのかということについて多様な御意見をいただきまして、ありがとうございます。どのような形で報告書に盛り込んでいけるかどうか、事務局のほうで他局とも連携を図りながら検討してまいりたいと思います。
 その上で、一つ情報の共有ということでございますけれども、参考資料1、2において共有させていただいております教育未来創造会議における議論がございまして、特に参考資料1、第二次提言に向けた論点整理というものが現在なされている状況でございます。今回、第二次提言に向けては、そのテーマを大きく留学生の派遣、受入れも含めて、グローバル社会を見据えた人への投資の在り方が議論されている状況でございます。この中では、日本の学生を海外に派遣するということと、外国人の留学生、研究者を受け入れていく、その両方において議論されているところでございまして、これはソフト面も含めて、どのようにして受入れ環境を整えていくのか。それは施設の側面だけではない、多様な方策について議論がなされているという状況でございまして、こうした未来創造会議での議論、ソフト・ハード一体の議論も踏まえて、有識者会議としても議論の深まりを進めていければと考えているところでございます。引き続き、多様な御意見をいただきましたら幸いでございます。よろしくお願いいたします。
 
【西尾主査】  今の事務局からの御紹介と関連して、何か再度、御意見等おありの委員の方はございませんでしょうか。現在、教育未来創造会議において留学生の受入れ環境の整備等について議論がなされているため、我々からソフトとハードを一体化した魅力的かつ強力な提案等を行っていけば、財政的な面でも予算を獲得していけるような状況になっていくと考えてもよろしいでしょうか。
 事務局、どうでしょうか。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  恐れ入ります、事務局でございます。今回、3月の取りまとめということと、まとめの方向性を3月に、そして最終的な報告書を夏にという、このタイミングでございますけれども、3月にまとめた上で、今後、様々国における政策文書のタイミングがございます。そうしたところに対して、この提言をしっかりと打ち込んでいくことができればということ。そして、夏のタイミングでまとめて、その後の令和6年度の概算要求に向けて打ち込んでいく。そういったことも含めて有識者会議での議論でまとめられた方策をしっかりと発信していきたいと考えてございますので、よろしくお願いいたします。
 
【西尾主査】  どうもありがとうございます。
 本日は、愛知県知事の大村様の代理として松井部長が御出席なさっております。何か御意見等はございませんでしょうか。
 
【大村委員代理(松井)】  愛知県の松井でございます。本日は貴重な意見、ありがとうございました。
 私から少し気づいた点でございますけれども、大学キャンパス以外にもいろいろな施設があって、それを地域で活用してはどうかというような、そのような御意見があったかと思います。私ども愛知県のほうとしましても、愛知県の施設ですとか、市町村の施設ですとか、そういったところで大学の研究活動とか、そういったことに何かやっていただけるとか、交流活動ができるとか、そんなこともできたらいいのかなという感想のようなことを持ちました。ぜひともまた御検討いただきますようお願いします。
 
【西尾主査】  私としても、今後、そのように互恵の関係で施設を有効に利用していくことは大切だと考えておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
 
【大村委員代理(松井)】  よろしくお願いします。
 
【西尾主査】  皆様、一通り御意見をおっしゃっていただけましたでしょうか。
 それでは、以上の検討事項を踏まえて、まとめの方向性の構成案につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
 
【宮城大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室室長補佐】  ありがとうございます。資料の1ページでございます。先ほど3月で一旦、政策文書への打ち込み等を踏まえて、まとめの方向性というのをまとめていただきたいということをお話しいたしましたけれども、そちらの構成案でございます。
 まず、「はじめに」でございますけれども、こちら今回のまとめる背景でございますとか、昨年10月に取りまとめいただきました前報告書の関係などをしっかり整理して、分かりやすく示していきたいと思ってございます。その際、今回の検討は、基本的には前の報告書を基本的なものとしまして、続編として重点テーマの深掘りを行うものであって、共創拠点をより一層社会の要請に応える充実していったものにしていくのだという方向性を明確にしたいと思ってございます。
 その後、1のこれからの大学等に求められる対応におきましては、改めまして、Society5.0、DX・GX、グローバル化等の社会課題を踏まえて、国立大学等に期待される役割を整理いたしまして、また、今回議論の基になってございます教育未来創造会議の議論でありますとか、ソフト・ハード一体となった国の支援策、こちらについては米印で書いてございますけれども、大学ファンドでありますとか、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージでありますとか、成長分野を牽引する大学・高専の機能強化に向けた基金による継続的支援など、国の施策の動向も踏まえて、昨今の大学等の施設整備を取り巻く動向を整理したいと思ってございます。
 その後、2と3で実際の施設整備、ソフト・ハード、いろいろな取組について整理をしていきたいと思ってございますけれども、2点目にキャンパス・施設等の整備の考え方といたしまして、大学等キャンパス・施設について、何を目指し、どのように整備を進めていくか考え方を整理してまいりたいと思ってございます。
 続いて、3番目にキャンパス・施設等の整備における実際の取組のポイントといたしまして、実際、整備する際にソフト・ハード一体となった取組として、どのようなことに留意すべきかということを整理してまいりたいと思ってございます。
 その後に、4番目に今後の推進方策といたしまして、上記で掲げた整理の考え方の実現に向けて、実際にどういった方策を講じていくのかというのを、国、国立大学等、地方公共団体、産業界の各視点に分けて整理をしていきたいと思ってございます。
 構成案については以上になります。よろしくお願いいたします。
 
【西尾主査】  御説明ありがとうございました。
 構成案につきまして御意見等ございませんでしょうか。御説明いただいたような方向性でよろしいでしょうか。
 上野先生、どうぞ。
 
【上野委員】  今の御説明の中で、2番のキャンパス・施設等の整備の考え方と3番のキャンパス・施設等の整備における取組のポイントという項目のサブテーマといいますか、両括弧でまとめられている項目が両方とも同じワードなんですね。これってもしかすると2番と3番はまとめて整理したほうがいいのかなというか、全体として、具体的にどういうことが書かれるというのがまだ見えていないのですけど、同じ両括弧の項目が2番と3番にあるのが、ちょっと違和感がありました。
 
【西尾主査】  貴重なコメントかと思います。
 事務局、何かお答えいただけますでしょうか。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  事務局でございます。キャンパス整備の考え方ということについては、大きな方針といったものを想定していて、取組のポイントというところについては、より具体的にどのようなことに留意すべきなのか、事例も交えて整理をするということで、一旦それぞれレベル感が違うことから2番と3番と分けたという経緯がございます。
 一方で、実際にまとめの方向性を書き下していったときに、どのような姿が一番伝わりやすいかということも併せて検討していく必要がございますので、御意見も意識しながら、最適な状況というものが提案できるように事務局として整理をしていきたいと思います。
 
【西尾主査】  上野先生、どうもありがとうございました。まず、大きな考え方が整理してあって、そのすぐ後に具体的な取組等が記されている方が読み手にとっては、より理解が深まるのか、もしくは、セパレートした形で章立てになっていたほうが良いのか。この点については十分に検討する必要がありますので、事務局の方で再度よく検討していただくということで、上野先生、よろしいでしょうか。
 
【上野委員】  はい。了解しました。
 あともう1点なんですけど、よろしいでしょうか。
 
【西尾主査】  どうぞ。
 
【上野委員】  先ほど前回まとめたものの続編としてこれをまとめるということになりましたが、今年の夏に最終的にまとめるものもその続編をまとめるということなのでしょうか。それとも、前のものと併せて一体的にまとめるということなのでしょうか。教えていただきたいと思いました。
 
【西尾主査】  重要なポイントです。
 事務局から御説明をお願いいたします。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  失礼いたします。事務局でございます。その続編という言葉の使い方でございますけれども、10月に取りまとめた報告書の中には、先ほど別紙2という形で御紹介したように、イノベーション・コモンズを実現するためにどんなプロセスをたどっていけばいいのか。共創の前段階、そして企画、整備、運営活用に至るまで、そのプロセスを詳細に整理させていただいたという状況がございます。こうした考え方というものは、個別具体的なテーマについて議論する際にも重要な視点であって、それを忘れるものではないということから、まず、大前提として10月にまとめていったポイントや留意点などを意識した上で、これら4つの視点についても整理していきたい。そういう意味で続編という言葉を使いました。
 一方で、前回10月にまとめた報告書が、事例まで含めると160ページぐらいの非常に分厚いものでございまして、ここに今回の提言を併せて入れてまとめて報告書とすると、さらにアップするということもございますので、ある種、第一次提言、第二次提言として、両方セットで御覧いただくとしても、それぞれ分冊の形で整理することが読み手としてはいいのではないかというようなことも考えております。また、さらに引き続き検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
 
【西尾主査】  上野先生、いかがでしょうか。
 
【上野委員】  今後、検討していただけるということで、了解でございます。
 
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
 今、別冊を想定しているということですが、その場合に、昨年10月に提示した報告書と、これからまとめていくものとの立ち位置や意義がどのように明確に異なるのかということについては、大上段で書いていただく必要があるかと思いますので、その点も配慮していただければと思います。よろしくお願いします。
 土井委員、どうぞ。
 
【土井委員】  御説明ありがとうございます。今日の議論で明らかになったのは、グローバル化というときに、今までは留学生をどう受け入れるかというお話でしたけど、先ほど下條委員から御指摘があったように、国内の学生にとっても魅力ある大学にしていくというためのグローバル化というのが一つ重要なポイントだと思いますので、ぜひまとめるときにはそこも明らかにしていただければと思います。
 あともう1点は、先ほども篠原委員はじめ、ほかの委員の先生方からも御指摘ありましたけど、多様性というときに、今までは女子学生、女性教職員を対象ということで考えがあったと思うんですが、今は男性学生、男性教職員もそういう意味では子育てに関わりますので、あとLGBTQという性に関しても多様性があるという、そういうもう少し広い観点で考えていただくということもぜひ打ち出していただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
【西尾主査】  いただいた御意見を十分踏まえて今後まとめを考えていきます。貴重な御意見をありがとうございました。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  事務局でございます。
 
【西尾主査】  はい、どうぞ。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  失礼いたします。土井委員のほうから今御意見いただきました。主査のほうからも今お答えいただきましたけれども、改めて事務局のほうからも発言をさせていただきます。
 多様性という視点を考えたときに、男性、女性という性の区別のみならず、様々配慮すべきことがございます。全体としての多様性という視点をしっかりと受け止めた上で、どのように記述していくことが最適なのか、事務局としてしっかり考えていきたいと思っておりますので、今御意見いただいた視点、忘れずに整理をさせていただきたいと思います。
 
【西尾主査】  皆様、聞こえますか。
 
【土井委員】  西尾先生の声は聞こえますが。
 
【西尾主査】  そうですか。事務局の声が途切れてしまっているようです。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  事務局でございます。今は聞こえますでしょうか。
 
【西尾主査】  今は聞こえております。はい、どうぞ。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  すみません、失礼しました。簡潔に申し上げますと、しっかりと忘れることなく反映をしていきますということを申し上げたかったんです。
 
【西尾主査】  力強いお言葉、ありがとうございました。
 他にございますか。
 大学のキャンパスは多様性に満ちあふれたキャンパスであるべきだと思いますが、私個人としては、キャンパスにおける多様性を考える際には、例えば、ジェンダーの多様性、リスキリングやリカレントなどの年齢に関する多様性、そして、留学生関係等の国籍に関する多様性という3点を軸としていただけると良いのではないかと思っております。他の御意見はよろしいでしょうか。
 そうしましたら、まとめの方向性の構成案につきましては、今いただきました貴重な御意見を基に章立てを考えていただき、今後さらにまとめていく方向で、事務局の方でお進めいただくことにいたしたいと思います。事務局の皆様、大変かと思いますが、何とぞよろしくお願いいたします。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  承知いたしました。
 
【西尾主査】  その他御意見等なければ、議事についてはここまでとさせていただきたいと思います。
 今後のスケジュールについて御連絡いただけるとありがたいのですが、お願いできますでしょうか。
 
【宮城大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室室長補佐】  資料3に基づき、御説明をさせていただきます。次回ですけれども、3月28日火曜日10時から12時にまとめの方向性の案というところで、本日いただいた御意見も踏まえまして文章化したもので御議論いただければと考えてございます。
 その後にまとめの方向性を取りまとめまして、以降、関連事例の調査等もワーキンググループの御協力もいただきながら進めつつ、今年の夏にかけて、さらに2回程度開催し、報告書をまとめていくという予定にしてございます。その中で、まとめの方向性につきましては前報告書の関係性でありますとか、本日御指摘いただいた点はよく事務局で検討させていただき、案とさせていただきます。
また、本日の会議の議事録につきましては、皆様に御確認いただいた後、ウェブサイトに公開いたしますので、そちらについても御協力をお願いいたします。
以上でございます。
 
【西尾主査】  それでは、最後に、笠原部長からお言葉をいただければと思います。よろしくお願いします。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  事務局でございます。恐れ入ります。今、部長の端末が一旦落ちてしまったこともあって時間がかかっております。
 本日は本当に多様な御意見をいただきましてありがとうございます。先ほど多様性の御指摘がございましたけれども、3つの視点に加えて、恐らく障害の有無という視点も重要な視点なのではないかと思っております。そうした様々な視点も取り入れながら考え方を整理していくという視点に立っていきたいと考えております。
 
【西尾主査】  重要な御意見ですので、是非、そのような観点でお願いします。
 どうでしょうか。笠原部長は出ていただけますでしょうか。
 
【笠原大臣官房文教施設企画・防災部長】  復旧しております。
 
【西尾主査】  よろしくお願いいたします。
 
【笠原大臣官房文教施設企画・防災部長】  すみません、今、私のパソコンがちょっと1回入り直しましたので、すみません。やっぱり情報環境が大事だなと今痛感しています。
 今日はいろいろ御議論ありがとうございます。まず、この議論は何のためにやっているのかというところですけれども、少し補足させていただきますと、教育未来創造会議の議論を触れておりますけれども、廣田のほうからも参考資料で御説明をしましたけれども、政府全体の教育未来創造会議では、キャンパスの質及び魅力の向上というところまでは言及されています。そういうことを踏まえて、じゃあ政府として具体的にどうキャンパスの質・魅力を高めていくのかということを整理して、ある意味、来年度に向けた様々な政府の提言の中に打ち込んでいく必要があるだろうと思っています。ですので、そういう大きな流れを踏まえて、じゃあ具体にキャンパスの施設をどうするのかということをこの場で整理をしていただいているというふうな認識でおりますので、よろしくお願いいたします。
 今日は、全体の構成の話を最後御議論いただきましたけれども、構成はともかくとして、まず、この報告書にどういう視点のものを盛り込むのかということを中心に今日議論をいただいたんじゃないかなと思っています。その中で、私なりの理解ですと、最初は横串の概念として、デジタル技術をどう活用していくのかということで、まず整理をさせていただきましたけれども、それは当然、様々なことをやるまさに基盤だという話もありましたけれども、それ以外にも、少しGXとかという言葉といろいろ混ざってしまうのかもしれませんが、グリーンというか、環境配慮というか、サステーナビリティというか、そういうものもデジタル技術と同じようにキャンパスを考えていく上での横串の視点として少し捉える必要があるのかなと感じたところです。
 それで、個別具体にどういうふうに施設、空間づくりをしていけばいいのかということも様々な御示唆をいただきましたけれども、当然ソフトとの対応において、まず、ベースとして考える必要があるということは感じますし、あとは具体的な空間をつくっていく上では、サステーナビリティとかフレキシビリティというのが一つのキーワードになるわけですけれども、それもゼロ百の話ではなくて、それに必ずしも合致しない部分をどうつくっていくのか。特にフレキシビリティについては、それだけじゃないよねという話もあったような気もしますので、そういうことも意識しながら、2つのキーワードを使っていく必要があるのかなと感じました。
 あとは女性ということを前面に出しましたけれども、ある意味、女性だけじゃなくてユニバーサルなものを目指しながらいろいろ考えていくということは、当然、女性だけじゃなくて、海外の様々な方々ということも含めて、ユニバーサルにどう対応していくかということが大事なので、そういう視点での整理が必要なのかなと感じておりますし、大学におけるユニバーサルということになると、今までは学生、教職員、せいぜい産業界の方ということだと思うんですけれども、さらにリスキリングとかリカレントということになると、もうちょっと広い社会人をどう受け入れるような空間をつくっていくのかということも大事なのかなと感じたところです。
 グローバルの視点ということになると、海外から受け入れるための魅力ということだけではなくて、当然そこでベースとなる日本人学生にとっても魅力あるようにしていかなければいけないわけですし、その際には、やはり民間の力も入れつつ、どう我々としての共創空間というのを成立させるように国も関わっていくのかということを整理しなくてはいけないのかなと思った次第です。
 あとは具体化というか、我々はキャンパスという場に具体的な施設を、空間をつくっていかなければいけないので、具現化をし、かつ、使い続けていくためにはそこでの体制、運用を含めた体制づくりというものも当然必要でしょうし、そこでも外との連携をどう維持しながらやっていくかということも大事なのかなと思ったところです。そういうところも含めて、再度ブラッシュアップさせていただいて、また御議論をお願いできればと思っています。
 いずれにしても来年度に向けて、政府としてもキャンパスの質・魅力の向上という言葉が政府としての提言に入りつつあるというのは非常に大きな流れだと思っていますので、それをどう具現化していくのかということをうまく整理ができればありがたいかなと思っておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
 
【西尾主査】  笠原部長、今日の議論を踏まえて、貴重なコメントをいただきましてありがとうございました。どうかよろしくお願いいたします。
 それでは、委員の皆様方、本日も貴重な御意見、コメントを数多くいただきましたことに対して、改めて御礼申し上げます。
 ここで閉会といたします。本日はどうもありがとうございました。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  西尾主査、すみません、失礼いたします。事務局でございます。
 チャットのほうで上野先生のほうから御指摘をいただきましたけれども、倉田委員のほうから机上配付という形で大学を御紹介する資料を提示いただいております。先ほど御発言いただいた内容と関連する事例としてお示ししていただいたのかなと思っておりまして、事務局としてもしっかりと受け止めさせていただいて参考にさせていただきたいと思うんですが、もしも倉田先生のほうで補足などございましたら、すみません、最後の終わりの時間になって恐縮でございます。何かございましたらお願いいたします。
 
【西尾主査】  はい、どうぞ。
 
【倉田委員】  私が御紹介しましたのは海外事例ということで、たまたま今、海外のキャンパスのマスタープランを継続して見ている中で、最近のマスタープランの中でカリフォルニア大学がまさに共創拠点と言われる、ほとんど我々が議論しているのと同じような施設を現在計画して、それを整備しようとしているということで、まだイメージ段階ですけれども、そこでどういった取組が行われるかというようなことも併せて説明されているので、それも参考になるのではないかなということで、紹介させていただきました。イノベーションコモンズの施設事例ということで見ていただければと思います。
 
【西尾主査】  貴重な資料を御提供いただきまして、ありがとうございました。大変参考になります。
 
【倉田委員】  その中に動画もありますので、ちょっとそれもあって、なかなか動画の共有というのはできなかったので、それも見ていただけると、ちょうど学長がこの施設についての意図とか、そういうことも話していますので、見ていただければと思います。お金はそこには書いていないんですけど、500億以上かけたような施設のようですけれど、そのうち、いわゆる個人のドネーションが350億くらいが1つ、それからあと残りの30億くらいが3者くらいの個人のドネーション、そのうち2人が教員のドネーションだというふうに書いてあります。コンセプトとしては今回議論しているイノベーション・コモンズにフィットするような施設なので、一つの事例として参考に見ていただければと思います。
 
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
 その他はよろしいでしょうか。
 それでは、本日はどうもありがとうございました。これにて失礼します。
 
―― 了 ――
 

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