国立大学法人等の施設整備の推進に関する調査研究協力者会議(第5回)議事録

1.日時

令和4年8月25日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

オンライン会議(Zoomを用いて開催) (事務局:文部科学省旧庁舎4階文教施設企画・防災部会議室)

3.出席者

委員

池田委員、上野委員、片岡委員、金子委員、倉田委員、後藤委員、篠原委員、下條委員、竹内委員、恒川委員、土井委員、西尾主査、山内委員

4.議事要旨

【西尾主査】  皆さん、おはようございます。それでは、定刻となりましたので、ただいまから第5回国立大学法人等の施設整備の推進に関する調査研究協力者会議を開始させていただきます。
 はじめに、事務局からオンライン会議の注意事項の説明、欠席委員、配付資料の確認をお願いいたします。
 本日の会議の模様は、YouTubeにてライブ配信いたします。また、会議資料と議事要旨は、後ほど文部科学省のウェブサイトに掲載する予定でございますので、何とぞ御了解いただきたくお願いします。
 それでは、事務局、よろしくお願いいたします。
 
【宮城大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室室長補佐】  主査、ありがとうございます。事務局を務めます宮城と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、御多用のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
 まず、事務局に異動がありましたので、その旨、御連絡させていただきます。7月1日に部長、技術参事官が替わりまして、文教施設企画部長が笠原隆、技術参事官が野沢和也になってございます。最後のほうに部長から御挨拶させていただきたいと思っております。
 続いて、オンライン会議の注意事項の説明、委員の出欠と配付資料を確認いたします。
 オンライン会議の注意点でございます。発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。御発言いただく際は挙手機能を御使用いただき、挙手機能をオンにされた方を主査から指名いただく形で御発言いただければと思います。
 本日は、岩村委員、出口委員、浜田委員が御欠席でございます。ほかの委員の皆様には御出席いただいております。
 配付資料の確認につきましては、事前にお送りしました議事次第を御確認いただければと思います。事前にお送りしているものを適宜画面共有しながら、本日、進めてまいりたいと思います。
 西尾主査、どうぞよろしくお願いいたします。
 
【西尾主査】  それでは、議題の1番目でございます。「イノベーション・コモンズ(共創拠点)の実現に向けて(まとめ)」(案)について、全体を四つに区切っていただきながら、事務局からの説明とその後の審議を行いたいと思います。
 それでは、事務局から説明をお願いいたします。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  失礼いたします。事務局の整備計画室長、廣田でございます。
 それでは説明させていただきたいと思いますけれども、今日、御議論いただきますのはこの資料1でございます。今年の4月にこの協力者会議を開催いたしまして、5月にまとめの方向性という形で、一旦中間的なまとめをさせていただきました。その後の状況を御説明させていただいて、本日の議論につなげていきたいと思っております。
 資料1の前に、参考資料1を御説明させていただけたらと思います。こちらが、国立大学法人等の施設整備に関する国家戦略等の動向ということでございます。次のページでございますけれども、目次の部分。こちらです。
 この4月にこの協力者会議の議論を中間的に取りまとめて、5月に公表したところでございます。その段階でも、今後の令和5年度の概算要求に向けて、しっかりとイノベーション・コモンズ(共創拠点)の整備のための必要なプロセスを取っていくべきだと、国としてしっかりと支援していくべきだということの大きな後押しをいただいたところでございます。
 これを踏まえて、もろもろ統合イノベーション戦略あるいは経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針、新しい資本主義のフォローアップ、デジタル田園都市構想の基本方針。こうした様々な国家戦略に対して、イノベーション・コモンズの実現に向けた大学等の施設整備というものを位置づけさせていただいたところでございます。
 代表的なものとして、経済財政諮問会議の骨太方針を御紹介させていただきたいと思います。その次の骨太の方針のこちらでございます。イノベーション創出の拠点である大学の抜本強化を図るということで、地域の中核大学が、しっかりと特色ある強みを発揮し、地域の経済社会の発展等への貢献を通じて切磋琢磨できるように、抜本強化を図るということがございます。
 この中の注釈7の中に、ソフト・ハード一体となった教育研究環境の整備等の共創拠点の推進ということが書かれております。今般、この協力者会議で議論していただいていたイノベーション・コモンズ(共創拠点)というものが、明確に骨太方針の中に位置づけられた状況でございます。
 代表的なものとして御紹介しましたけれども、それ以外にも、この資料後ろのほうに行きますと、知事会あるいは経済界等における提言というものがあります。この後、本文の修正のほうでも言及させていただきますけれども、日本経済団体連合会のほうでの提言の中に、イノベーション・コモンズの整備ということについての位置づけをしていただいたり、あるいは日本商工会議所においても、大学のソフト・ハード一体となった教育研究環境の整備推進、知事会においても、イノベーション・コモンズの推進に向けて、大きな提言をいただいたという状況がございます。
 資料1に戻りまして、こうした様々な後押しをいただきながら、今後このイノベーション・コモンズをしっかりと推進していくべく、この協力者会議としての取りまとめを行いたいと考えております。資料1の説明に戻りたいと思います。
 目次を御覧ください。この資料につきましては、まとめの方向性、5月の段階で公表したものから大きく変更している部分を黄色いマーキングで映させていただいております。構成も大きく変わっております。目次といたしまして、第1部、第2部という2部構成になっているというところが大きな変更でございます。いわゆる提言の部分につきましては第1部に、そして第2部には具体的な事例集という形で、共創活動を支えるキャンパス・施設の整備事例。今回およそ46事例を収集・整理させていただいておりますので、それらについて、この第2部に掲載させていただいております。
 目次の第1部に戻っていただきまして、今回、大きく手をつけさせていただいていますのが、3章と4章の部分になります。前回4月の協力者会議におきましても、それぞれの事例につきまして、もう少しこれまでの検討のプロセスですとか、どのような形で他のステークホルダーとの関係性が構築されているのか。様々な事例をしっかりと収集し、そして検証していくことということが宿題事項として挙げられていたことも踏まえまして、今般、この4月以降、ワーキンググループを2回開催いたしまして、ワーキングの委員の皆さんに、特に事例の部分を中心に整理し、また御議論いただいたところでございます。
 したがいまして、今回大きく追加しているところは、この3章の部分の共創活動を支えるキャンパス・施設整備の事例等の整理というところで、事例の整理をさせていただいているところと、そして、4章の部分が、これまでも取組のポイントと具体的な整備イメージというもの自体がありました。それに関して、より具体的に深掘りをした記述を加えさせていただいているという状況でございます。そして、第2部に個別具体な事例の整理をさせていただいたという構成でございます。
 詳しくは、この後、宮城から説明いたしますけれども、第1部の第3章のところを少し触れたいと思います。資料を下のほうに。こちらの第3章でございます。これも、ワーキンググループの委員の皆様と議論していく中で、今回整理させていただいている様々な事例というものは、まず、イノベーション・コモンズの実現ということについては、既存の事例によらず、これから目指していくべき方向性だということで、あくまで今までの既存の事例というものは、このイノベーション・コモンズの実現の参考になる情報を含むものであると。したがって、既に大学等において整備・活用されているものの中から、そのポイントや視点を抽出するということを目的として事例調査を行ったと整理をさせていただいているところです。
 次のページに、具体的に事例の整理というところがございます。先ほど申し上げたように、収集した事例は46事例ございますけれども、これらの事例が、イノベーション・コモンズという考え方が示される前に計画・整備されたものであると。しかし、その事例の中でも、様々なステークホルダーとの共創活動が展開されている。自治体との連携ですとか、あるいは産業界との連携。そうしたことをしっかりと構築しながら、あるいは展開を期待しながら、場や空間が整備し活用されているような事例。こういったものをできるだけ収集することによって、イノベーション・コモンズの実現に資する。そんな形で整理させていただいたものでございます。
 具体的な説明は、宮城から申し上げます。全体の概況といたしまして、構成が大きく変更しているところと、3章、4章のうち、特に3章についての変更点について御説明させていただきました。
 
【宮城大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室室長補佐】  引き続きまして、変更点について御説明させていただきます。
 先ほど46事例、事例を収集いたしましたと申しましたけれども、そちらの事例についてまとめてございます。こちらにもあります、少し集めた事例をカテゴリー分けして特徴を分かりやすく整理することを試みてございます。2ページ以降で、その4カテゴリー分け等について御説明させていただきたいと思います。
 今回46事例、収集してございますけれども、その共創活動を大きく4つにカテゴリー分けをしてございます。
 1点目には、世界をリードする最先端研究の推進といたしまして、世界をリードする最先端研究拠点でありますとか、最先端研究ツール活用を中心とした共創拠点といったものをまとめてございます。
 2点目に、産業界との共創による地域産業振興等への貢献ということで、地域産業振興の研究拠点でありますとか、スタートアップ創出のための拠点といった取組を整理してございます。
 3点目に、地方公共団体や教育機関等との共創による人材育成等の推進といたしまして、教育大学の取組を含んだ地域の人材育成でありますとか、地域のまちづくりと連動したキャンパス整備、地域と交流した拠点整備、また、リカレント教育といった観点で取りまとめをしてございます。
 4点目には、社会課題の解決への貢献といたしまして、キャンパスが実証実験の場として整備されているものでありますとか、カーボンニュートラルの取組、防災・復興拠点としての取組、また、健康・医療への対応といった取組について、整理をしてございます。
 なお、こちらにも書いてございますけれども、具体的な活動を軸に4つのカテゴリーに大別して整理をいたしましたが、事例によって、複数のカテゴリーに重なるものがあることにも留意する点でありますとか、あくまでこの4つのカテゴリーは、今回収集した事例を参考にしていただきやすいように活動の方向性を大別したものであって、目指すべきイノベーション・コモンズというものについて、全てこの4カテゴリーの中で類型化し構想してほしいというようなメッセージを伝えるものではないという前提をこちらに明確に書いてございます。
 先ほど御説明しました4カテゴリーをもう少し詳細に文章化したものが、以下の文章になってございます。先ほど御説明した4つのポイントに沿って、どういった事例があったかという説明を追加してございます。その上で、今回46事例、かなり多く事例がございますので、それぞれの観点でどういった事例があるのかというのを参照していただきやすいように、事例名というものも一緒に載せてございます。
 先ほど御紹介しました最先端研究の推進でございます。2点目が地域産業振興への貢献ということでございます。3点目が人材育成の推進というものでございまして、最後に社会課題の解決への貢献ということで、どういった取組があったかという概況を文章化し、さらにその下には、それぞれのポイントで具体的な事例というものを例示しているというような構成になってございます。
 その上で、先ほど4カテゴリーに重なりがあるということもありましたけれども、全体を4象限に分けて、46事例ありますので、全体の事例のポイントでありますとか、様々な取組があるということを図示化して、より多様な取組を集めたということでありますとか、そこから見えるポイントというものを参照していただきやすいように、こういった図を作成してございます。こちら、調整中と書かせていただいていますけれども、こういった、分かりやすく事例全体の概況を示すということに努めてまいりたいと思ってございます。
 次のページ以降が今後イノベーション・コモンズの実現に向けた取組のポイントと具体的な整備イメージを整理したページになってございます。先ほど主査より、全体を4つに分けてということでお話しいただきました。今回この取組のポイントまでを一旦御説明させていただいて、その後、審議いただければと考えてございます。
 4章におきましては、イノベーション・コモンズの実現に向けて、計画・整備のプロセスや検討・実施体制において、取組のポイントとなる視点を提示するとともに、具体的な整備イメージを整理し提示するということとしてございます。
 なお、第3章では、46事例について集めたものをカテゴリー分けして、事例のポイント等々を整理して文章化してございます。ここで示す今後のイノベーション・コモンズの実現に向けたポイントの整理におきましては、第3章で示した、既に取り組まれている事例の中から抽出されるポイントはもちろん含むこととしながらも、そこのみならず、有識者会議として、今後のあるべき姿として提示するというものも含むものであるという前提を冒頭に書いてございます。
 こちら、図を見ていただければと思います。取組のポイントといたしまして、イノベーション・コモンズの企画段階から計画・整備、運用活用に至るまでのプロセスでありますとか、検討・実施体制等におきまして、イノベーション・コモンズ実現のための取組のポイントとなる点を、ソフトとハード一体となった取組が必要であるというポイントからこの観点に分けまして、段階ごとにどういった取組が必要かということを整理した図が、こちらの図になってございます。
 まずは、共創の前段階におきましては、ソフトといたしましては、共創するステークホルダーとの日常的な関係構築、信頼関係の構築、日常的な意見交換等々でありますとか、そういったものが必要であるということを記してございます。
 一方で、ハード面でございますと、トップマネジメントとして、戦略的に施設マネジメントを実施する必要性でありますとか、日常的に大学の施設を全学的に管理することで、既存スペースの有効活用を図ることや、新たな共創のための交流・対話スペースとして、既存のスペースも有効に柔軟に活用していくという観点で、ここに保有施設のファシリティーマネジメントということを書いてございます。
 ソフト・ハードの統一的な両方に係る取組といたしましては、大学等の今後の目指すべき方向性、ビジョンでありますとか、共創をどう考えるのかといったことを明確にし、そのビジョンを、関係する産業界でありますとか自治体でありますとか地域でありますとかと、ステークホルダーの皆様とビジョンの共有をすることが重要であるということを整理してございます。
 続きまして、企画・基本計画段階におきましては、その大学のビジョン、明確に示されたビジョンに基づき、キャンパスマスタープランでありますとか、個々の施設計画を策定するなどの、既存施設も含めたキャンパス全体の取組の必要性ということを書いてございます。また、多様なステークホルダーを巻き込んだソフト・ハード一体の検討体制の構築というものが、企画段階から必要であるという点をまとめてございます。
 また、ハード面におきましても、新しく整備する施設のみならず、既存施設でありますとか外部空間とのつながりを企図することの重要性というものを書いてございます。
 また、企画段階、基本計画段階におきましては、そういった取組を、共創の取組を実現するための予算の確保に向けた取組ということも重要であるということで整理してございます。
 続きまして、施設整備の段階におきまして、ソフト面では、使用者が場づくりへ参加するということと、ハード面では、共創の場をどうつくっていくかということで、例えば対話・交流を誘発する空間でありますとか、フレキシビリティの確保、活動を可視化する工夫等、ソフト面のどう使いたいかというようなところを、使用者も場づくりに参画しながらハードを造り上げていくということのポイントを記してございます。
 実際に運営・活用するに当たりましては、ソフトといたしましては、共創の活動の場として使うときに、活動の可視化をすることによって、より交流を生み出していくでありますとか、また、ハード面も使用者の声を踏まえた改善、活動を活性化させる空間の工夫というものが必要であるというポイントをまとめてございます。
 こちらには、継続的な検討体制といたしまして、共創を行う各ステークホルダーにおいて、財政負担でありますとか体制整備を行うなど、責任を持った対応をしていくことが重要であるということで、そのポイントをまとめてございます。
 こちらに横軸、全体に関わるものとしてまとめてございますのが、この4段階全体を通じて重要な視点といたしまして、各段階を通じて積極的な情報発信を行うことにより、大学と様々なステークホルダーの新たな交流・共創を生み出していくということの重要性でありますとか、対外的に共創活動、新たな共創活動が活性化しやすいように、大学等における共創活動を推進する連絡窓口の明確化、共創活動を推進するワンストップの窓口が重要であるという旨を書き込んでございます。
 また、ここに書いてございますけれども、各段階を通じて、ソフト・ハード全体の取組を俯瞰して必要な連携体制の調整を行う、一貫性を持って取組を支える組織でありますとか、多様なステークホルダーとの連携を推進するリサーチアドミニストレーターなどの人材の必要性というようなことについても書き込んでございます。
 今、概略を御説明いたしました各項目のポイントにおける取組の詳細。どういうことを期待する、どういうことが重要であるかということは、詳細に文章にしてございます。
 なお、その際に、3章で集めました事例において、ステークホルダーとの日常的な関係構築でありますと、例えば広島大学さんが学長と市長との定期会談で方針を決定した上で、大学と自治体が連携して事業を推進しているというような具体的な事例についても御紹介しながら、各ポイントについて、こちらでは整理をしてございます。先ほど御説明した図における各取組を少し文章化しているというのが、こちらのページになります。
 最後の図に含まれていない追加のポイントといたしまして、こちらに全体共通として、積極的な情報発信、ワンストップ窓口、一貫性を持って取組を支える組織やURA等について以外にも、学生の学びの高度化ということを書かせていただいてございます。こういった取組を通じて、学生のイノベーション・コモンズ実現のための企画であるとか計画づくりへの参加等によって、イノベーション・コモンズ実現のための取組への関わりを通じた学生の学びの高度化ということを図っていくことが望ましい旨も、新たに追加してございます。
 事務局からの説明は以上になります。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
 冒頭で、本日は四つのパートに分けて審議をしたいということをお話ししましたけれども、25ページまでのところで、まず第1弾を切っていただきました。その中でも、今までさまざまな事例等についてアンケート調査していただいたことをベースに、どういう目的を持ったイノベーション・コモンズが形成されているのか、という視点から事例のカテゴリー分けを行い、さらにそのカテゴリーに応じて、実現に向けた取組のポイント等を記した19ページのこの図を今回御提示いただいたことが非常に重要な観点かと思っております。
 この図を見ますと、取組を進めてきた過程で、どういう重要なポイントがあったのかということが分かります。全国の大学でどのような取組がなされてきているのかについて、ポイントをこの図で御提示いただいており、イノベーション・コモンズ構築に向けて、具体的な指針が与えられているものと、私は高く評価しております。
 今日、御提示いただいているこの「まとめ」の案文には、現在、調整中と書かれているところが多分にあります。これは、図をより見やすくするために今後ブラッシュアップを図っていくもの、あるいは図を新たに付け加えるもの、さらには文書を加えるものなどがあり、調整中となっているものです。その前提で、現段階の案文に関して、これから審議していきたく考えております。
 最初にワーキンググループ主査の上野委員より、この取りまとめに関しまして、コメントがございましたら、ぜひともお願いいたします。
 
【上野委員】  御指名ありがとうございます。上野でございます。
 前回のこの協力者会議が4月でしたけれども、その後、5月、6月と幾つかの大学を訪問調査、ヒアリングして、今回の整理に資するようにいろいろ検討してまいりました。その後、7月に2回ワーキンググループを行って、今回のような整理になったわけですけれども、やっぱり大きなポイントは、今、西尾先生からお話がありましたように、15ページにある4つのカテゴリーに分けたということではないかと思います。
 ただ、伝え方として、4つのカテゴリーのどれかに当てはまっていればいいというようなだけの考え方じゃなくて、その前のページのいろいろな事例の整理がございますけれども、各事例が、やっぱりこの4つの事例一つ一つというよりは、幾つかのカテゴリーにまたがって行われているということがうまく伝わればいいんじゃないかなと思います。一つ一つのカテゴリーの中での学内での領域横断型の共創とかということは、割と簡単に伝わるような気がするんですけれども、この大きな4つのカテゴリーにまたがってやること自体が、大学全体をイノベーション・コモンズに変貌していくために重要じゃないかということが伝わればいいんじゃないかなと思っております。
 もう一つ、19ページの取組のポイントのところです。それぞれの段階において考えるべきことというのはもちろん大事なことで、これが整理できたというのはよかったんですけれども、やはり大事なのは、全体を通じて一貫性を持って取組を支える組織というようなことがやっぱり非常に重要じゃないかというようなことを、ワーキンググループの中で話し合いました。
 これは、もしかすると大学自体の組織の在り方、プロジェクトに対する取組の在り方を、やっぱりイノベーティブに変えていかなければ実現できないんじゃないかというような話も出ておりました。その辺りが、この提言を読んでいただく方に伝わればいいなと考えております。
 私からは以上です。
 
【西尾主査】  上野委員、どうもありがとうございました。心よりお礼申し上げます。
 それでは、まずは25ページのところまで、審議を行いたいと思っております。事務局から説明いただいたことに関する御質問や御意見はございますか。本日は四つのパートに区切っていますので、できましたら各パートに該当するところはそこで御質問いただきたいのですが、全般についての御質問あるいは御意見でも結構でございます。先ほど事務局からお願いがございましたが、御意見がある場合には、挙手機能をお使いいただければと思います。どうかよろしくお願いいたします。
 まず、土井先生、どうぞ。
 
【土井委員】  どうもありがとうございます。今回4つのカテゴリーに分けていただいて、そういう意味では、事例とこのイノベーション・コモンズとの関係が、すごく分かりやすくなったと思います。どうもありがとうございます。
 そういう意味でちょっと19ページのところで、ソフト・ハードということで、図9を見ると、ソフトが教育研究活動で、ハードが施設整備という形になっているのですが、これを支えるDXですよね。そこが多分右側のワンストップ窓口とか、一貫性を持って取組を支える組織やURAというのに該当するのではないかと思うんですが、あるいは運営・活用というところの有効活用を図るための継続的な検討体制というところになると思うのですが、もう少し、これ、施設と建物のメンテナンスをするために、今ですといろいろなセンサーを使って疲労度を測るとかということもできるようになっていますし、また、その研究の設備として、それをDXでリモートで実験を行うようなことも、これから研究DXということでどんどん進んできます。
 そういうインフラを造りつつデータもうまく活用して、施設の管理と教育活動のところを日々結びつけていくようなものが、やっぱりイノベーション・コモンズには必要となります。運営・活用の検討体制というところが、一貫性を持って取組を支える組織というところに、そういうDXのためのインフラの整備みたいな言葉とか、データドリブンによるとか。何かそういうものを、もう少し将来に向けていますので、明確に入れていただけるとありがたいかなと感じました。お願いいたします。
 
【西尾主査】  土井先生、本当にどうもありがとうございました。今おっしゃっていただいた件は、コロナ禍において、文教施設整備等を考える上で学んだ大きな点として、非常に大事なことではないかと思っております。
 この19ページのソフト・ハードというところのインフラ的な意味で、DXが今後の施設整備、特にイノベーション・コモンズでは一つの大きな基盤になっていくと思っておりますので、その点をこの図にもうまく明示することが、私は非常に重要かと思っております。
 事務局、この辺り、いかがでしょうか。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  失礼いたします。土井先生、御指摘ありがとうございます。ただいまいただいた御意見の重要性も踏まえまして、この資料への反映について、検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
 
【西尾主査】  それは、事務局、お願いいたします。
 
【土井委員】  よろしくお願いします。
 
【西尾主査】  土井先生、どうも貴重な御意見ありがとうございました。
 それでは、次に篠原先生、いかがでしょうか。
 
【篠原委員】  大変分かりやすくおまとめいただきまして、ありがとうございます。特に私たちも、大学の中にささやかですが幾つかのコモンズをつくって、それを運営するのがやっぱりすごく大変で、縦割りになってしまって。施設はできると、やっぱりそれぞれの学生支援課だったり学修支援課であったりというふうに縦割りの管理になってしまいます。それを連携して運営するということが、非常に大切なので、つくるところから連携した組織があるということは非常に重要だということは、本当にそのように思いました。
 それから、ファシリティーマネジメントのところで、前も申し上げたかもしれないんですけれど、各施設がきちっと、もともと施設のハードの情報をデジタル化して持っているということがすごく重要で、次に改修したり新築したりするときに、今、BIMなんかもありますから、そういう統合した情報として整理されていくということは、今回のミニマム・リクワイアメントの中の一つなんじゃないかなと思っています。
 ミニマム・リクワイアメントというところで言うと、さっきの4つの最先端の研究、地域振興それから教育、防災ということなんですが、この4つを、非常に分かりやすくおまとめいただいていると思うんですが、それぞれに選択的にあるというよりは、これから施設整備をするのであれば、しかもイノベーション・コモンズというテーマであるのならば、あらゆるそういう施設は、防災・コミュニティへのコミットメントというのは、これはミニマム・リクワイアメントなんじゃないかなと思います。カーボンニュートラルもそうですけれど。幾つかのものは、これから整備で、国立大学として、地域の中核になる施設ということであれば、そこを何かもう少しどこかでクリアに書いてもいいかなと思いました。
 以上でございます。
 
【西尾主査】  篠原先生、今の御意見も本当に貴重な御意見かと思います。イノベーション・コモンズを考える上で、今おっしゃっていただいた、ミニマム・リクワイアメントという点があることに気づくことができました。したがって、ここの四つのカテゴリーは重要なのですが、そのベースにイノベーション・コモンズとして共通の何かのリクワイアメントがきっちりあるということについては、今後、我々としても明確にして、明記すべきだと思います。
 事務局、いかがですか。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  ありがとうございます。篠原委員の御意見、とても重要な視点だと受け止めております。この4つのカテゴリーというのは、それぞれの特徴を表したものではありますけれども、おっしゃるように、全ての今後の大学において、ミニマムに取り組まなければならない視点なども含めた形でのカテゴリー分けとなっておる点では、御指摘をどのような形で反映していけばいいのか、事務局としてしっかりと受け止めさせていただいて、検討させていただければと思います。ありがとうございます。
 
【西尾主査】  よろしくお願いします。
 それでは、片岡先生、どうぞ。
 
【片岡委員】  御説明ありがとうございました。今の19ページのところの取組のポイント、流れ、大変よく整理されていると思います。特に私ども感じるのは、どうしても施設整備といいますと、そちらのほうに重点が偏って、その関係の部局が中心に動いて、いろいろな計画を立てるということが多いかと思うのですけれども、ここでイノベーション・コモンズという考え方に関しての意識を共有するということになれば、当然ソフト的な対応をする、教育研究に当たる部署あるいは直接関わる現場の人間が、最初からここに関わっていくことが必要になるということを理解しました。
 これから、イノベーション・コモンズという考え方に基づいて、学内の施設整備を外との関係も当然情報として入れながら進めていくという、その必要性がうまく表現できていると思います。
 この中で1つ気になったのは、共創活動を推進するワンストップ窓口というのは、一言で言うと割と簡単ですが、イノベーション・コモンズ(共創活動)ということになると非常に幅広くなりますので、その辺りをうまく采配できるような機能を持たせないといけないので、この共創活動を推進するワンストップ窓口のイメージというのが、もう少し具体的にあるとよいと思います。
 これは、従前の社会連携、社会活動を動かしていくための大学の窓口と重なる部分ではあろうかと思いますけれども、その辺り、区別があるのか、重なっていくのか。そこをちょっとお聞きしたいと思いました。それが1点目です。
 もう1つは、15ページのカテゴリー分けしていただいたもの。これも非常に分かりやすくこれまでの取組事例が分けられていると思います。この中で、右上にある産業界との共創による地域産業振興等への貢献の事例として、2つ目にスタートアップ創出のための拠点というのがございます。実は、これは政府のいろいろな方針の中で、非常に強く、今、打ち出されている部分かと思います。骨太の方針それから統合イノベーション戦略、そういうところでも、スタートアップをこれからどれだけ重点的に進めるかということが打ち出されております。このイノベーション・コモンズの整備の考え方の中にも、少なくともこの言葉はどこかに例示的に加えておいたほうがいいのではないかと思いました。
 以上でございます。
 
【西尾主査】  どうもありがとうございました。まず、今後、産業構造がよりドラスティックに変わっていく中で、大学が社会に対してどのように貢献していくかを考えるとき、スタートアップ創出のための拠点という点は、非常に重要だと思います。そこで、片岡先生がおっしゃったように、19ページのこの図の中にも、キーワードとして入れていく方向で、事務局、御対応は可能でしょうか。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  ありがとうございます。御指摘を踏まえまして、どのような位置づけにしていくのか、検討させていただきたいと思います。
 
【西尾主査】  もう一つ、共創活動を推進するワンストップ窓口に関しては、事例がどこかで示されていましたか。その点について、事務局から説明いただけますか。
 
【宮城大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室室長補佐】  こちらは具体的には24ページに記載してございますように、いわゆる対外的にどこに連絡すればいいかというような、対外的な連絡窓口が分かりやすく示されていることが望ましいとのみ書いてございます。特に事例から拾ったというよりは、あるべき姿ということで書いてございます。
 片岡委員よりご指摘いただきました、まさに采配機能。幅広い活動なので、一組織では担えない対応の采配機能でありますとか、もう少し具体的に、どういったことをイメージしているかということについては、書いていなかった部分であり、どうやってもう少し分かりやすく書いていけるかということは、事務局で検討させていただければと考えてございます。
 
【西尾主査】  学内で調整をしながらワンストップ窓口を設けている、あるいは設けることが可能になっているというような、良い指針に事例がありましたら記載をお願いします。片岡先生がおっしゃるように、学内でこのような窓口を構築していくことは簡単なことではないと思いますので、どういう形で実現していくのかという点について、何らかのガイドライン的なものがあると参考になると思います。
 片岡先生、そういうことでよろしいでしょうか。
 
【片岡委員】  よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 
【西尾主査】  では、下條先生、どうぞ。
 
【下條委員】  ありがとうございます。大変きれいにまとめていただきまして、非常に分かりやすくなったと思います。
 土井先生のコメントとか、ちょっと篠原先生のコメントにも関連するんですけれども、やっぱりこれ、DXを進める場ですので、先ほどの19ページの図ですね。せっかく継続的にと書いていただいていて、多分DXはいろいろなフィードバックを受けながら、組織そのものとかやり方がどんどん変わっていくという継続的なプロセスだと思います。
 そういう意味では、この継続するというところがこの図からなかなか読み取れないので、そこを少し強調していただくのと、それから、建物が出来上がって、割と、50年ぐらい多分もつんだと思うんですけれど、組織とかそれからやり方を変えていくために、先ほど土井先生もおっしゃっていましたけれども、実は情報システムが基盤を支えていくと。それがどんどん変わっていくことを支えていくという、フィードバックループが回っていくと思うんですけれども、その辺りのことをうまく何か載せられないかなと、ちょっと伺いながら思っていました。カーボンニュートラルにしても、継続的に改善していくというプロセスが必要ですので、そこを何かうまく盛り込めれば。
 それから、全体に情報基盤という話があまり出てこないので、少し入れておいていただけるとありがたいかなと思いました。
 以上です。
 
【西尾主査】  ありがとうございました。イノベーション・コモンズを実現する上で、そのインフラとしての情報基盤のことを、もう少しこの提言書の中に盛り込むということ。もう一つ、先ほど土井先生がおっしゃられたことを、具体的にこの図の中に反映する一つの方法として、今、下條先生に御提案いただいた方法を事務局に御考慮いただければと思います。どうかよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 それでは、山内先生、どうぞ。
 
【山内委員】  どうもありがとうございます。今、皆さんがおっしゃったように、3章、4章に関しましては、5月の案と比較しましても、論理の展開というのが非常に分かりやすくなって、大変結構だなと私も思います。
 この議論を始めました当初からちょっと心配していたことがあります。それは、イノベーション・コモンズと呼んでいるものは一体どういったものを指すのかという具体的なイメージが読み手と共有できるかなというところだったんですが、その一助として事例を挙げていただいたということです。5月の版では、各大学にどういう取組をしているかというのは十分述べられているという整理だったわけですが、この版では、幾つかの鍵となるポイントに対して事例を挙げていただくというふうになっています。これ、私が懸念を持っておったことがうまく解決されたかなと、そういう印象を持ちます。
 1点ちょっと気になりますのが、4章なんですが、図9という非常に重要な図になるかと思いますが、これに象徴されますように、これは、イノベーション・コモンズにこれから立ち上げていくといった場合には、ある意味マニュアルを提示しているというようなものだろうという主張になっているように見えるんですが、その何ページか前に、4つ以上のカテゴリーがありますよというふうに図7で述べられておりますが、これにありますとおり、イノベーション・コモンズの在り方、目的、やり方というのは、かなり多様であります。
 ですから、このそれぞれのイノベーション・コモンズの在り方についての立ち上げマニュアルというのもかなり違ってくるはずなんですよ。そういうところが、硬直化ということはないと思いますけれども、マニュアルが硬直化してしまうということがあると、ちょっとまずいかなと思います。内容はこれでいいと思うんですけれども、今後の運用をしていくに当たりましては、ぜひともこれは柔軟に対応していただくということでお願いしたいと思っております。
 以上です。ありがとうございます。
 
【西尾主査】  山内先生、本当にどうもありがとうございました。19ページのこの図に関して、四つのカテゴリーをベースにしたガイドラインとして考えた場合に、それぞれの拠点のカテゴリーごとの差異が出てくるはずである。そのことにについて何かさらに指針になるようなことの言及がなされると、より有効的なものになると私も思います。そこで、それらの特徴について、事務局の方でもう一歩踏み込んでいただけるといいのではないかと思います。どうもありがとうございました。
 
【西尾主査】  それでは、後藤先生、よろしくお願いいたします。
 
【後藤委員】  事前に資料を見たときの印象と共通した意見がたくさん出てきたかなと感じております。基本的には、単なる箱物にならない取組が非常に重要だと思います。継続的な運用のためのメンテナンスとマンパワーですね。それから、DXやサイバー空間の活用などが課題かなと思っています。運用をしながら、さらに波及効果を追求していくというか。時間軸に沿って、さらなるイノベーションを引き起こせるようなダイナミックな展開を期待しています。中でも、防災・減災というのは非常に大きな問題になっていますので、その活用も常に念頭に置いてということになるかと思います。
 以上です。
 
【西尾主査】  ありがとうございました。後藤先生がおっしゃったように、この提言書が、我々がわくわくするような提言書、何かダイナミズムが感じられるような提言書になっていけばと思っています。この点も、事務局でさらなる工夫等をぜひともお願いいたします。
 次に、金子先生、よろしくお願いいたします。
 
【金子委員】  よろしくお願いします。大変分かりやすくて、いろいろ勉強、我々自身の頭の整理もすごくできたかなと思います。今、幾つか関連するコメントがありました継続性とダイナミズムの点で、特に我々やりながら、あるといいなと思っていた情報で、活動、取組の循環ですよね。
 イノベーション・コモンズから得られる成果を、どのような形でさらなるこの図の整備につなげていったらいいかというのは、4つのカテゴリーごとに、それぞれのメカニズムが違うと思うんですけれど、人材であったり制度であったり、それからベンチャー育成とか新しい社会的な課題の取組は、その成果そのものが新たな資源を大学にもたらすということで、それを上手に活用してさらなるイノベーション・コモンズの整備に活用するような循環がどこかに書かれていて、それがどういう事例が考えられるかということがあると、我々としては非常に役に立つという。
 そこをまさに追いかけながらいろいろ取り組んでいるんですけれど、この部分、今この画面のプロセスは非常によく分かるんですが、これが1回で終わるものではないので、DXの整備もそうですけれど、そこの整備、イノベーションから得られる何かプラスアルファの資源やオポチュニティーがさらなるイノベーション・コモンズの整備につながっていくという辺りの情報というか考え方を少し与えていただけると、大変ありがたいなと思いました。
 以上です。
 
【西尾主査】  金子先生、今おっしゃった点は非常に重要なことかと思います。イノベーション・コモンズを創っただけで終わらず、イノベーション・コモンズの活動を通じて、社会にいろいろ発信され、またそれがイノベーション・コモンズをさらに充実・発展させる形でフィードバックされてくるという、エコシステムを構築できるかどうかが、イノベーション・コモンズの成功の鍵かと思っています。
 そのような方向性を明確に打ち出し、イノベーション・コモンズの活動が雪だるま式に大きく展開できることを強く打ち出していくことによって、財政的な支援も得られるのではないかと思います。
 今の金子先生からの御指摘を反映していくことは非常に工夫が要るかと思いますが、何とか工夫をして、どこかに記載していただければと思います。
 事務局、可能でしょうか。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  しっかりと検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
 
【西尾主査】  それでは、時間の関係がございまして、第1段目についてはここで議論を閉じさせていただきます。なお、後から追加でおっしゃっていただいても結構でございます。ここからは、続けて第2段目として、第1部第4章の(2)具体的な整備イメージというところについて、事務局、説明をお願いいたします。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  失礼いたします。事務局でございます。多岐にわたりまして御意見いただきまして、ありがとうございます。
 この4章の(2)というところは、具体的な整備イメージというものでございます。5月にまとめさせていただいていた中間的なまとめの方向性のときには、この整備のイメージというのが、個別の整備されている事例を少し引き合いに出して、こんな場や空間というものが、イノベーション・コモンズの実現のために必要あるいは貢献しているんじゃないかというところを切り取って表現させていただいていたところでございます。
 一方、この5月、6月、7月のプロセスにおいては、ワーキングのメンバーの皆さんからも、イノベーション・コモンズとしての整備イメージを示すとするときには、個別具体的な施設のハードの空間や場だけにフォーカスをした示し方ではなくて、しっかりとまちの中でどのような形でキャンパスが位置づけられ、まちとの関係性をどう構築するのか。キャンパスマスタープランとの関係で、キャンパス全体をどのようにイノベーション・コモンズ化していくのかという視点も含めて、全体としての整備イメージというものをしっかりと示していく必要があるのではないかということが、ワーキングの中で強く意見として出たところでございます。
 これを踏まえまして、(2)番のところにつきましては、大幅に加筆させていただいております。今、表示させていただいているこの26ページにおいても、大きく3つの視点ですね。まちの中でどう位置づけていくのかという、まちとの関係性、キャンパス全体のイノベーション・コモンズ化、そして、個々の施設の中にも多様なステークホルダーが交流・対話を行うような空間づくりをどう意識化していくか。この3点に段階を捉えて整理をしていくことが重要であるということで、その下、この3つの視点に分けて、整備のイメージを示すということにしましたということです。できる限り参考になる取組事例も付記するような形で整理させていただいたところでございます。
 丸1番以降、具体的な記述がございますので、事務局からまた追加で説明させていただきます。宮城さん、お願いします。
 
【宮城大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室室長補佐】  先ほどの3点のまず1点目になります。まず、こちらでございます。都市計画等のまちづくりとの関係ということで整理してございます。
 まず、キャンパスは地域における拠点といたしまして、地域のまちづくりの資源として生かしていくことが重要であるということを書いてございます。まさに地方公共団体をはじめとした関係機関の皆様と協働したキャンパスづくりを進めていくことが、イノベーション・コモンズの実現に向けて重要であるということで、今回収集しました事例を参考にお示ししながら、こういったポイントについて整理してございます。
 1点目には、まちづくりと一体となった計画とございます。例えば千葉大学さんで、墨田区と連携協定を締結しまして、「街と一体となったキャンパスをつくる」という基本方針の下、区が改修された施設を借用する形でサテライトキャンパスを開設されたりですとか、大阪大学で、新駅前に新キャンパスを箕面市の図書館等と一体的に整備するでありますとか、立命館大学さんで、こういった「地域・社会連携」等というコンセプトの下でキャンパスを開設しまして、市の防災公園や各種施設と一体的に大学キャンパスを整備した事例というものを紹介してございます。
 2点目としましては、施設の共有化ということです。市立の図書館と大学図書館の共用でありますとか、施設の共用化ということを一つのポイントとして、具体的な事例を紹介する形で整理してございます。
 3点目は地域との接点の工夫ということで、地域とも一番往来の多いところの接点に大学の活動が見えるような場をつくる事例や、地形を生かし立体的にキャンパスコモンが連続していくようなゾーニングをして、まちからこの内部空間、階段空間を抜けていくことができるなど、まちからアクセスしやすく大学の活動が地域に対して開かれているというような事例について、具体的に御紹介してございます。
 大きな2点目にございます、キャンパスマスタープランの取組等キャンパス全体のイノベーション・コモンズ化といたしまして、まさに1つの施設のみならず、全体としてキャンパスが、多様なステークホルダーによる交流、共創の場となるように、キャンパスマスタープラン等の再構築を図り、長期的展望の中で実践につなげることが重要であるということを整理してございます。具体的な事例といたしまして、名古屋大学さんの既存施設も含めたキャンパス全体の再編ですが、す新たにつくりますこのプラットフォームの周りの既存施設において、スペースの再編も併せて行うことで、学生の居場所というものをプラットフォーム周辺に集約することにより、新たな施設と既存施設を有機的に連携して、既存施設も活用したキャンパス全体の連携につなげていくというような事例の御紹介をしてございます。
 2点目には、キャンパス全体の計画といたしまして、広島大学さんのキャンパスマスタープラン2020の御紹介です。具体的な事例を示しながら、そういった個々の施設に限らないまちづくりとの関係でありますとか、キャンパス全体の計画の重要性について、お示ししてございます。
 最後、大きな3点目には、個々の施設における共創空間づくりといたしまして、まさに共創活動を行う、共創活動を支える場をどうやってつくるかということです。具体的な共創空間づくりというものを、今回収集いたしました事例の空間イメージを、より分かりやすく引用させていただきながら整理してございます。
 こちらに書いてございますけれども、多様なステークホルダーの交流・対話を誘発する空間の例といたしまして、幾つか書いてございます。まずは、学生の多様な学びを実現するようなラーニングコモンズの配置でありますとか、それぞれの活動が見えるような場の構築でありますとか、あとは無線LAN等々、キャンパスのどこでも学びとなるような場を整備するなどの事例について、お示ししてございます。
 続きまして、学生たちの学習と交流の場と事務機能の一体化によって、執行部の居室前にラウンジを設けているなど、日常から教職員や学生の交流・対話を活性化するような整備の例というものをお示ししてございます。
 続きまして、学生や企業関係者などが、実際にアイデアを形にするということを通じて対話を促していくというようなホールを中心にした交流を促すような空間というものの整理をしてございます。
 また、こちらにおいては、DXという御指摘をいただいてございますけれども、リアルな場のみならず、他大学や企業関係者とオンラインで交流・議論するためのツールを整備するなど、いわゆる場所を超えた連携を実現するための空間整備というものをお示ししてございます。
 続きましては、最先端イノベーションの創出ということで、研究活動が可視化されるオープンラボの整備と異分野の研究者間の交流・対話の活性化というような事例をお示ししてございます。
 続きまして、企業の拠点を大学のキャンパス内にということで、共同研究を行う企業の拠点をキャンパス内に設けて、日常的な大学と企業間・産業界の交流・対話の活性化を図る空間でございますとか、大学に企業のレンタルオフィスを設けて、こちらもICT環境の整備によりテレワークにも対応するなど、日常的な場が、異なるステークホルダー間で共有される環境整備というような空間についても整理してございます。
 また、キャンパスが実証実験の場として、リビングラボラトリとしての場として、実現の場として活用されるでありますとか、附属病院の活用によって企業に提供されて、課題解決型研究開発の実証フィールドとして活用されるなどの、新たなイノベーション創出の場の創出のための空間、キャンパスということの在り方をお示ししてございます。
 続きましては、建物を地域に開くことや、大学の活動を見える化していくことによって、地域と教職員や学生の交流・対話を活性化するための空間整備というものをお示ししてございます。
 続きましては、海外交流という点で、留学生と地域の方が触れ合うなど、大学がハブになって世界と地域や学生をつなぐ、多様な交流を活性化するための空間整備というものを整理してございます。こちら、引き続き調査中でございますけれども、大きな教育の方向性として、リカレント教育の重要性というものがございます。そちらに対応した空間の在り方についても追加で事例調査した上で、こちらについて具体的な整備ということのイメージを書き加える予定としてございます。
 続きまして、大学の取組を対外的に発信する展示スペースやイベントスペースを整備または活用して、大学等の取組を対外的にアピールしていくための空間でありますとか、大学に行くと、多様なステークホルダーが自由に過ごしつつ、お互いの活動が見える化されていくものとして、魅力的な屋外空間の重要性を示しています。
 最後には、全体を通じてと書いてございますけれども、あくまで個々の施設の計画においても、キャンパス全体計画との関係性でありますとか、まちを含めた周辺環境との関係などにも配慮が必要であることに留意するという点を示しております。具体的には、個々の施設についてキャンパス全体計画における位置づけでありますとか、屋内空間と屋外空間との関係でありますとか、周辺の既存施設の関係の整理などを通じて、その施設の活動のみならず、より広がりを持った活動のつながりが有機的に実現しますようにということで、キャンパス全体の広がりを意識した検討を行うことが重要であるということをまとめに書いてございます。
 こちらで一旦説明を区切らせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  失礼いたします。事務局から少し補足させてください。
 
【西尾主査】  お願いします。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  今、申し上げましたそれぞれの個々の整備イメージというものは、26ページに少し留意事項を書かせていただいておりますけれども、各大学の特色や強み、あるいは先ほど4つのカテゴリーというものをお示ししましたが、様々それぞれその分野によって特色や強みが違ってくるものでございます。したがって、今、御説明申し上げました整備イメージを、全ての大学において整備するということを意図しているものではなくて、それぞれの大学のビジョンなどに基づいて、特色、魅力あるイノベーション・コモンズの実現をしていくための参考としていただきたいと考えております。
 また、今、申し上げた部分は切り取ったものでございまして、それこそ今後、御説明します第2部の項には、それぞれの大学ごとに具体的にどのような共創関係をつくり、どのような共創活動が行われ、そのための場として、どのような場を整備しているのかということを、事細かく整理させていただいております。あくまでこの第4章のところでは、それぞれの視点になぞらえた形で、空間あるいは場みたいなものを切り取らせていただいているという状況です。第2部とセットで見ていくことによって、より具体的な関係性や活動なども分かっていくというような関係性で整理させていただいているところでございます。
 以上でございます。
 
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
 ワーキンググループの主査をお務めいただきました上野先生、この部分に関して、何かコメントございませんか。
 
【上野委員】  ここに関しましても、ワーキンググループ委員の皆さんに現地調査していただいたり、その後のワーキングでの活発な議論をいただきまして、改めてワーキンググループ委員の皆さんにお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 ここでやっぱり今回この読者となる大学に伝えたいことは、イノベーション・コモンズでここでいろいろな事例を出していますけれども、この事例と似たようなことをやれば、うちの大学はイノベーション・コモンズを実現できるので、今後、施設整備の補助金をつけてくださいとか、いろんなお願いがきっと出てくると思います。そのときに、やはりその1つの施設が、今後の大学全体の施設整備の方針、イノベーション・コモンズ実現に向けて、どういう意味を持つのかというようなことを常に意識しながら計画に当たっていっていただくと。というふうな形になればいいんじゃないかと思った次第です。
 やっぱりイノベーション・コモンズというのはすぐにできるものじゃなくて、段階的に整備をしながら、先ほど様々な委員の皆様からお話がありましたけれども、何かスパイラルアップしていくようなキャンパスの在り方というものを、各大学で考えていっていただければいいんじゃないかなと思っております。
 以上です。
 
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、26ページから36ページまでのこの部分につきまして、コメントや、あるいは最終的にまとめる上で、こういう工夫をしたほうがいいのではないかというような御意見等がありましたら、挙手いただけますとありがたく存じます。いかがでしょうか。
 篠原先生、どうぞ。
 
【篠原委員】  建築屋としては、大変興味深く、楽しく見せていただきました。
 その上で、何か見やすい一覧の表になっていると、読まなくてもいいというのは失礼なんだけれども、例えばまち全体の施設の連携という目標があって、施設の見える化を図るとか、それがどんな効果を持っているかというようなことで、目標、手法、効果みたいな形で、どこか少し一覧的にやっていることが見えるような簡便な表があると分かりやすいかなと思いました。非常に内容が濃いのですが、全部見ていかなきゃならない。先ほどの4点の整理みたいな形の、これは本当に具体の手法の話なので、それも何か表のようなものになるとありがたいかなと思いました。
 以上です。
 
【西尾主査】  どうもありがとうございました。私も篠原先生と同じで、わくわくしながら、楽しみながら取組を聞いておりました。今おっしゃったように、もう少し全体に関して、どこにどういう内容のことが掲載されているか、という点をまとめたリストや表のようなものが一つあると、この部分の記載が効果的になるのではないかと思いますが、事務局、いかがでしょうか。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  篠原委員、御指摘ありがとうございます。全体を通じてということであると思うんですけれども、やはり読み手にどれだけ分かりやすく、より伝わりやすいものにしていくのかという観点で全体を見ていく必要があります。今、篠原委員から御意見いただきましたことも含めて、見やすさ、分かりやすさということに対しての改善を図っていきたいと思います。御検討させていただきます。
 
【西尾主査】  ありがとうございました。他に御意見等ございませんでしょうか。挙手いただけますか。いかがでしょうか。
 この部分に関しましては、共創をキーワードとして、自らの大学の学生や、社会における市民も含めたさまざまなステークホルダーとの活動を展開していく上でのイノベーション・コモンズの重要な役割の事例をお示しいただいています。おそらく、文部科学省の文教施設関係でも、このような形でのまとめがなされているのはなかなか希有なことで、相当インパクトがあると、私自身も思っております。そういう観点で、委員の皆様にも御納得いただけているのかと思います。
 それでは、倉田先生、御意見どうぞ。
 
【倉田委員】  倉田です。私自身、ワーキングにも参加していましたので、そこでいろいろ私自身が考えていることを発言させていただいていたので、そういう意味では、いろいろなところに私の意見も反映していただいています。さらに今いろいろ伺っていると、そこに加えて、欠けているところを皆さんの御意見でいろいろ御指摘いただいたので、そこを付加していくと、非常により充実したものになるだろうと思っています。
 ただ、そのときに特に具体的な整備イメージという中でですけれども、これは個別の話というよりは、どちらかというとマスタープランのレベルで考えることかもしれないんですけれども、この中に個別にいろいろ書かれていることをひとつ集約すると、例えば大学を地域に開いていくとか、大学を社会に開くとかという考え方を、具体的にどういう形でやっていけばいいかというところが、まず非常にベースにあるんじゃないかなと思っています。
 そういう意味で、いきなり細かい個別の話に入ってはいるんですけれども、やはり基本にはそういった考え方をベースに指摘しておいてもいいんじゃないかなと。特に共創のきっかけづくりとかということにもなると思いますし、やはり地域とのつながりをどうやってこれから強化していくかというときに、大学を地域あるいは社会に開いていくという視点はすごく大事になると思います。
 それは恐らくハードでも大学を地域に開くということは考えられると思いますし、いろいろ様々な、例えばもう少し大学の施設を地域から利用するというような点でもあれですし、そういった活動を地域に提供していく。例えば公開講座とかというものもそうだと思いますけれども、それはまさに大学が地域社会に開いていくということにもつながるので、そういった視点も一つの前提として挙げておいてもいいんじゃないかなというのは1つ感じました。
 もう一つは、この中にもリビングラボラトリーという考え方が出てきているんですけれども、ただ、今のこの中での扱いとしては、まだ非常に個別事例の中での扱いであって、少しその辺の視点が弱いのかなと。キャンパス全体がまさにリビングラボラトリーであるという考え方というのは、よく言われているわけです。例えば我々の世界では、キャンパスはある意味で都市のスケールモデルだという言い方もしています。
 そういう意味で言えば、都市の課題というのは、まさに大学にとっての課題でもあるという意味で、キャンパス自体がリビングラボラトリーであって、社会的な課題をその中で実証的に取り組んでいくという視点というのは、まさにリビングラボラトリーの在り方だと思います。そういう意味で言えば、もう少しこのリビングラボラトリーという考え方を、個別の話としてではなく、もっと全体として出してもいいんじゃないかなという気がしています。
 それがちょっと感じたことです。
 
【西尾主査】  どうもありがとうございました。最初におっしゃられたことが私も非常に重要であると感じております。もしかしたら先ほど篠原先生からご提案いただいたように、26ページから36ページに関して最初に総括的なものを提示するときに、今、倉田先生からおっしゃっていただいたようなことも含めた内容のものがあるとよいのではないかと思いました。
 また、イノベーション・コモンズが、実際にイノベーション創出をする上でのフィージビリティースタディーをきっちり行う空間にもなりうるという意味で、リビングラボラトリーという概念は非常に大切であると思います。ここの記述については、もう少し強化してもらえるとありがたいと、私も思います。どうもありがとうございました。
 土井先生、どうぞ。
 
【土井委員】  どうもありがとうございます。本当にこの写真をたくさん見ていると何かわくわくして、もう一度学生に戻って何かこういうのを楽しめたらいいなと思ったりもするんですけれども。
 一方で、先ほどもいろいろ前半で御意見ありましたように、エコシステム。運用の面でやっていくときに、一番最初にやったときにはいいんですけれど、だんだん皆さんが慣れてくると集客力が減ったりとか、情報発信も低くなったりしていくようになると思うので、そういうところをいかに継続的にするために、どういう体制が必要なのかというところも、もし可能であれば、アンケートの中でそういうものが現れているのであれば、追記していただくといいのかなと思います。大学にとってみれば、申請をするときにはこのイメージで申請できるんですけれども、運用をやるときにも何か少し役に立つ情報が書いていただいてあるとありがたいのかなと。
 もう一つは、キャンパスとかでいろいろ実験とかをやっていくときに、データもそうなんですけれども、場所とか機器もそうですけれども、オープンにするところとクローズにするところのアクセス権とかそういうところを付与していかないといけません。結構トイレとか使うときにいちいちIDを出したりとか、結構面倒くさかったりとか、ちょっと遅くなると、自分の所属以外の場所に出入りできないとか、いろいろあります。
 そういうような中できちんとオープンにして、データも物理的な空間もセキュアにしつつ担保するかというところ。すごく建築として、そういうことも考えてドアとか物理的にはやらないといけないし、データに関しても、情報空間上でそれをやらないといけないので、結構そこはすごく難しいし手間がかかるところだと思います。
 そこに関しても、もし可能ならば、それぞれのところが建築上でどういう工夫をされているかとか。何かそういう情報がいただけると、すごくありがたいのかなと思います。昔だったら、そんなことあまり考えずに、ここはああいうふうにやればいいねだったのが、なかなかそうはいかなくなっているので。何かフィードバックを、このアンケートの中から、エコに維持運用していくための情報をいただけるとありがたいかなと思いました。
 以上です。
 
【西尾主査】  どうもありがとうございました。今回お示しいただいている事例において、それらをどのようにサステナブルに運営していくのか、あるいは、建物の管理運営上のセキュリティーの問題等に関して、集められたアンケート結果の中に情報があるのであれば御提示いただくことが、今後この提言を活用する側からすると、非常に参考になると思います。その点よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
 金子先生、いかがでしょうか。
 
【金子委員】  すいません。僕もいろいろ写真を今見せていただいて、ちょっと思い出したというか。これ、ちょっと可能性として検討していただければと思ったんですけれど、スタンフォード大学に見学に行ったときに、医学部と工学部がバイオデザインで一緒にやるきっかけとなったのが、キャンパスの間においしい食堂をつくって、両方の先生たちが集まるようにしたという話を聞いたんです。
 アメリカやヨーロッパで、キャンパスの中にホテルがあったりレストランがあったりするんですけれど、そう言われてみると、日本のこの事例の中にそういうのが全然ないなと思って、今ちょっと思い出しました。これ、規制の問題とかいろいろあるかもしれませんけれど、今後このイノベーション・コモンズを日本で考える場合の重要な要素として、滞在する空間というか、ホテルとか。寮もそうだと思いますし、研究者の短期・中期・長期の滞在みたいなものとかをどう考えるかというのを、どこかで示しておいたほうがいいかなと。
 リビングラボというんであれば、そういうものも含めた形での新しい未来社会というのを提案しなきゃいけないような気がするんですけれど、ちょっとその部分の写真がなかったので、どのようにお考えですかというので、問題提起というか気づきです。すいません。よろしくお願いします。
 
【西尾主査】  次々と事務局への要望が多くはなっていきますが、事務局、その辺りについていかがでしょうか。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  金子先生、ありがとうございます。金子先生でお求めになられている事例が、今回の事例とうまくフィットするものがあるかどうかというのは、改めてもう一度ちょっと確認させていただきたいなとは思っています。
 現状においてその事例がない場合においては、ここにその写真などを貼り付けることは難しいんですけれども、一方で今後の視点として、滞在というところが書けるかどうかはちょっとあれですけれども、どのようにしてこの空間というものが、しっかりと他者、他のステークホルダーにとっても、より交流、共創活動を展開していく上で有益なものになるかという視点で、お求めの事例をもう一度、この46事例の中でうまく引っ張れるものがないかどうかは確認させていただきたいと思います。
 
【西尾主査】  どうか御検討いただければと思います。今、先生がお話しになられたことに付け加えますと、例えば、中国の北京大学は、高級ホテルをキャンパスの中に持っています。何かのイベント等がありますと、そこにみんなが泊まるという仕掛けになっております。これが、ビジネスモデルとして、どれだけうまくいくかということは考慮する必要がありますが、今おっしゃったような視点として捉えることができるのであれば、ぜひご検討をお願いしたいと思います。
 ここで、次の第3段目に行かせていただきたいと思います。第3段目は37ページからでして、今後の推進方策ということで、ある種のまとめ的な重要な部分かと思っています。今までのところで追加の質問等がある場合は、また後でいただければと思います。
 それでは、事務局から、資料1の第1部第5章についての説明をお願いいたします。
 
【廣田大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室長】  失礼いたします。事務局でございます。様々御意見いただきまして、ありがとうございます。
 この第5章の部分は、1章から4章も踏まえて、今後どのような方策を講じていくのかというところでございます。
 この4月、まとめの方向性を取りまとめる前のタイミングの会議では、この推進方策のところを中心的に御議論いただいたわけなんですけれども、その後のプロセスにおいては、特に事例をしっかりと収集整理をしていこうというところに重きを置いた整理をしてきましたが、ここまで御議論いただいたことも含めて、どのようにそれを実現していくのかという観点に立つと、この5章がとても重要な役割を担うということになってまいります。
 この5章は、大きく国が取り組むべき方策と、国立大学法人等が取り組むべき方策、そして産業界あるいは自治体に期待するところ、この3つについて整理させていただいております。
 この国が取り組むべき方策の中で、一丁目一番地として、国の予算のより一層の確保・充実を図って、教育研究基盤を強化していくと。このイノベーション・コモンズの実現においては、予算確保というのが極めて重要でございますので、これを書かせていただいた上で、国はイノベーション・コモンズの実現に資する施設の整備に重点的な支援を行うことが必要であるということ。
 そして、これまでも議論されておりましたソフト・ハード一体的な在り方を検討するに当たっては、その整備に当たって、教育研究活動等のソフト面と施設整備であるハード面が一体となった支援を強化する。そのためにも事業評価の在り方を検討し、反映することが必要であると書かせていただいております。
 今現在、概算要求のプロセスを経ておりますけれども、現状におきまして、令和5年度の概算要求に向けての検討を進めさせていただいているところでございます。この5月段階でまとめていただいたまとめの方向性を踏まえて、国としての予算をより一層確保していくためのアクションを行うとともに、また、イノベーション・コモンズの実現というところをしっかりと意識した事業を引っ張っていくということにも取り組ませていただいているところでございます。
 その中でも、事業評価というものを現在、有識者の皆さんと進めておりますけれども、このソフト・ハード一体として検討しているかどうかというところを評価の視点に加えて、整理させていただいているところでございます。
 資料1に戻りまして、推進方策のところで、その続きでございます。整備と併せて、企画段階から一貫した支援を行うということ。その次、黄色くマーキングしているところが、今回改めて追及させていただいているところです。様々この共創拠点化を図っていく上で、より柔軟な整備・維持管理が可能となるよう、改善すべき制度や緩和すべき規制等がないか。あるいは、企業等が投資しやすい仕組みを構築することができないか、実態を踏まえた検討を行っていくということが書いてあります。
 より具体的な、踏み込んだ記述といたしまして、後半部分ですね。現行制度における様々な税制上の手続、柔軟な運用、あるいは官民連携の整備手法などを分かりやすく整理し発信することが必要である。「また」ということで、大学等において、施設整備上どのような障壁・ニーズがあるのか。法的・技術的な課題を含めた実態を把握した上で、どのような障壁を取り除く必要があるのか検討し、改善を図っていくことが必要であるということを書かせていただいております。
 今後、大学等に対してしっかりとヒアリングなどをさせていただく中で、現状における様々な障壁あるいはネックになっている部分というものをどのようにして解消していけるのかということを、文科省としてもしっかり受け止めて、進めさせていただきたいと考えております。
 次のページに移ります。今後の報告はということで、大きく黄色くマーキングしているところがございます。参考資料3でございます。今般、教育未来創造会議におきまして、第一次提言というものが取りまとめられております。この提言の中でも、しっかりとソフト・ハード一体となった整備、共創拠点化ということについて明確に提言に盛り込んでいただいているわけなんですけれども、一方で、この提携の中では、今後の目指したい人材育成という観点でいきましたときに、デジタル、人工知能、グリーン、農業・観光など、科学技術や地域振興の成長分野を牽引する高度専門人材の育成ということですとか、あるいは理工系等を専攻する女性の増加等々。様々な目指したい人材育成の姿といったものが書かれております。
 次のページに移りまして、具体的な提言の中では、まさにデジタル、グリーン等の成長分野への仕組みの構築ということでしたりとか、あるいは文理横断教育の推進等についての提言がなされているところでございます。あるいは、学び直しという観点でも、リカレント教育の重要性が指摘されております。
 資料1に戻りまして、今回この現在まとめの案ということで提示させていただいているこの提言案というのは、様々なステークホルダーとの共創活動が、より積極的に展開されるために、どのようにイノベーション・コモンズを実現していけばいいのかということの取組のポイントや推進方策をまとめたものでありますけれども、改めまして、今後、国において、教育未来創造会議における提言なども踏まえながら、今後、特に重視する人材育成の視点、学び直しを促進するための環境整備の視点なども含めて、新たな時代の教育研究の方向性に対応したキャンパス施設の在り方についても、継続して検討を進めていくことが重要であるということを書かせていただきました。
 その際には、諸外国におけるキャンパス整備の事例も参考にする等、幅広い視野から多角的な検討を進めていくことが望ましいとふうに書かせていただいております。今後、今回取りまとめていただいたその先として、新しい様々な方策といいますか、政策の方向性が打ち出されておりますので、それを踏まえた検討を行っていくということが重要であると書かせていただいたところでございます。
 国立大学等が取り組むべき方策のところの加筆はございません。
 戻っていただきまして39ページですね。先ほど倉田委員から御意見をいただいておりました。大学をいかに外に開いていくかという観点でいきますと、まさにこの視点が、今後国立大学等において重要だと考えております。今ちょうど下のほうに、その丸ですね。学内における部門の垣根を越えた情報共有・情報発信など、交流連携の強化を図るとともに、大学のリソース、情報、取組を学内に閉じずに、地域や社会に積極的に開いていくということを書かせていただいております。
 この取り組むべき方策のところのみならず、4章の部分においても、地域に開いていくということの重要性は、改めて加筆させていただきたいと考えておりますけれども、この方策の中でも求めているところでございます。
 そのほか、(3)番といたしまして、産業界あるいは自治体に期待することということを書かせていただいております。全体といたしまして、今後、先ほど来、御議論いただいているイノベーション・コモンズの実現に当たって、どう具体的に進めていくのかというところの方策の部分でございますので、新たな御意見等々ございましたら、いただけましたら幸いです。
 以上でございます。
 
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
 それでは、ここの5章の部分につきまして、御意見、御質問等をいただければと思いますが、今日まだ御発言いただいておりません池田様、竹内先生、恒川先生、ぜひとも御意見をいただけましたら、ありがたく思っております。いかがでしょうか。
 池田様、どうぞお願いいたします。
 
【池田委員】  ありがとうございます。ここの部分だけというよりも、全体を通してといったことで。
 
【西尾主査】  はい、全体で結構です。
 
【池田委員】  今回15ページの表の4つのカテゴリー分け。それをベースとした事例集の充実、それから19ページの取組のポイントの表など、非常に大変分かりやすくなっていて、とても良い報告書に仕上がってきていると思っております。
 そうした中で、先ほど土井先生だったでしょうか。図9でしょうか。19ページのDXといったようなものを入れたらよいというような御意見がありました。私も前回、御意見を申し上げて、39ページのところに「デジタル技術も活用しつつ」と入れていただいてはいるんですけれども、もうちょっとデジタルというようなことを、報告書全体として強調してもよいのではないかと感じております。
 御案内のとおり、経団連はSociety5.0を目指して経済社会を築いていくべき、Society5.0とSDGsといった概念も示しておりまして、それを踏まえて文科省さんも、他の報告書や提言、計画では、かなりSociety5.0ということを強調していただいていると思います。
 それで、改めて言いますと、この報告書にSociety5.0という言葉が前あったような気もするんですけれども、ちょっとないようなので、「はじめに」のところなのか分かりませんが、やっぱりデジタル革新ということは、これからの大きな大事な点かと思いますので、そこのところはぜひどこかに追記していただいたらよいのではないかなと思っております。
 いずれにしても、各大学がイノベーション・コモンズで何を目指していくのか。そういった理念なり特徴を明らかにして、各大学が特色あるイノベーション・コモンズを実現していただきたいと思っております。地域社会に開かれた、そういった特色ある多様なイノベーションラボがいろいろな形でできていって、大学がイノベーションハブ、地方創生の核として、役割、機能をより果たしていくということを期待申し上げたいと思います。
 私からは以上です。
 
【西尾主査】  貴重なコメントありがとうございました。デジタル関係、Society 5.0の関係については、先に土井先生、下條先生をはじめ、委員の方々から御指摘いただきました。予算要求のことなどを考えますと、国の施策を有効に「まとめ」の案文に反映しておくことは大切だと思います。その点、事務局には、再度、御配慮をお願いいたします。どうもありがとうございました。
 竹内先生、どうぞ。
 
【竹内委員】  ありがとうございます。千葉大学の竹内でございます。私はワーキンググループに参加させていただいておりましたので、この文章を練り上げていく上でいろいろ意見は言わせていただきました。ですので、今日は、皆様方の御意見を拝聴するというつもりで参加しておりました。
 
【西尾主査】  お気遣いありがとうございます。
 
【竹内委員】  ただ、先生方の御意見をいろいろ伺っておりますと、幾つか気になることが出てきたという感じはあるんですけれども、1つは、やっぱりDXの問題と施設の問題をどのようにバランスを取って考えていくのかというのが非常に重要かなと思ったところでございます。
 とりわけ教育ですと、オンライン授業が進んでいくということによって、むしろキャンパスに人が来なくても教育が成り立つというような方向性というのが出てきてしまうようなところがあって、そういうところと施設整備というのをどう考えていくのかというのは、非常に難しい問題だと思います。
 しかしながら、オンライン教育が進んでいく中であっても、やはり場の価値というか、場の意味というのは、再認識されつつあるように思います。その辺り、大前提として、オンライン教育の実現というのは、これから日本の高等教育を考えていく上で、特にリカレント教育などを考えた場合には不可欠であるという方向性があると同時に、やはり場の持つ価値というものを生かした教育を行っていくことが、これからの人材育成については重要だということを明確にしておかないと、今、オンラインが進めば場は要らないんじゃないという議論を誘発しかねないかなということを若干気にしているということを申し上げておきたいと思います。
 もう1点、大変細かいことなんですけれども、先ほど様々な事例の中で、例えばスタンフォードの事例を挙げて、レストランのようなものの機能ということがあったかと思うんですけれども、今回の事例の中で、諸外国では割とよくあるけれども欠けているものとして、レジデンシャルキャンパスの考え方というのは、事例に挙がっていなかったかなと思っております。もしも先ほどあったようなスタンフォードの例のようなものを引いてということであれば、レジデンシャルキャンパスのようなものも挙げていただいてもいいかなと思いました。
 以上でございます。
 
【西尾主査】  貴重なコメント、どうもありがとうございました。この議論の最初のところでも、キャンパスは一体どう機能すべきか、ということを、オンライン授業等の普及の中でいろいろ議論しました。ですから、今おっしゃったように、そういった点も踏まえた上で、「まとめ」の文章をきっちり取りまとめていくことが重要かと思っております。
 竹内先生、貴重なコメントをいただきまして、誠にありがとうございました。心よりお礼申し上げます。
 恒川先生、どうぞ。
 
【恒川委員】  恒川です。よろしくお願いします。私自身もワーキングのメンバーでしたし、視察にも行かせていただきましたので、その内容が十分反映されているんじゃないかなと思って、ちょっと発言を控えておりました。
 先ほどの竹内先生の話にも通じるんですけれども、やはり事例として、デジタルを活用したとか、あるいはサイバー空間とリアルな空間が連動したとかという事例があまりないですね。オンライン教育を受ける場所をつくるというような事例はあるんですけれども、それをうまく使っているという事例が、この前半の事例にも後半の事例にもあまり出てきていません。やはりそういった事例を少し出していくということがあってもいいのかなということを、改めて皆さんの御意見を聞いて思いました。ちょっと探せばあるかなという気がしています。
 それから、先ほどの金子先生からのレストラン等も、事例はやっぱりあるんじゃないかなという気がしています。またちょっと文科省の方々とも相談しながら、ぜひ入れていただければなと思っているところです。
 以上です。
 
【西尾主査】  どうもありがとうございました。オンラインの活動が増えている状況においても、イノベーション・コモンズの重要性をきっちり謳っていけるような方策がないかということは、重要な課題かと思います。その点については、再度検討していきたいと思います。
 
【恒川委員】  すいません。もう一点よろしいでしょうか。
 
【西尾主査】  どうぞ。
 
【恒川委員】  もう一つは、先ほど上野先生からも少しコメントがあったと思うんですけれども、今回、事例の扱いを少し変えていまして、イノベーション・コモンズそのものの事例じゃないということを強調した形になっていると思うんですね。それぞれの事例は、全てイノベーション・コモンズという言葉が出る前に造られた施設ばかりですので、そうではないということで、少し表現としてもまどろっこしいところがあろうかと思います。ワーキンググループの中での議論の中で、やはりイノベーション・コモンズのヒントになっていくものであって、この事例をまねすればイノベーション・コモンズができるという形に勘違いされないような格好にしていきたいというのが、今回の整理のポイントだったかなと思っています。その辺りも強調していただければと思います。
 
【西尾主査】  どうもありがとうございました。非常に貴重な御指摘かと思います。感謝申し上げます。
 それでは、土井先生、この件に関しては最後の質問ということでお願いいたします。
 
【土井委員】  先ほど経団連の池田様からも御指摘があったデジタル化ということに関して、例えばですが、37ページ、国が取り組むべき方策というのの2つ目の丸のところで、国は「イノベーション・コモンズ」の実現に関する施設の整備に重点的な支援を行うことが必要であると書いてありますし、その下のところで、ソフト面とハード面と書いてあるんですが、一体となった支援というところに、デジタルを活用して場の付加価値を増すようなとか、あとは先ほど冒頭で篠原先生が言われたように、エコシステムをつくるとか、何かそういうところが強調されるような文言を入れていただけるとありがたいかなと思います。
 よろしくお願いいたします。
 
【西尾主査】  具体的な御示唆をいただきまして、どうもありがとうございました。確かにこの辺りにご指摘のことを入れますと、国が取り組むべき方策のところで、デジタル化の重要性を最初の段階から訴えることができると思います。
 それでは、時間が迫っておりますので、第4段目として事務局にお願いしたいのですが、資料1の第2部について、可能な限り簡潔に御説明をお願いいたします。
 
 
【宮城大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室室長補佐】  ありがとうございます。
 第2部につきましては、目次で御説明しましたとおり、46事例の詳細を記しました事例集となります。46事例集めたと申しましたけれども、上野先生からお話もいただきましたとおり、ワーキングの委員とともに実地調査、実際には現地調査等も含めて重点的に調査したものが11事例ございます。こちら以外にも、キャンパス内の共創活動を支える場、空間を計画・整備している事例といたしまして、各大学と皆さんに御協力いただきながら、情報を集め整理しているのが残りの事例となってございます。
 この11事例につきましては、本文の中に各事例の概要というものを整理してございます。委員限りということでお送りしてございますけれども、こういった資料。最終的に調整して、取りまとめの本文になるものでございますが、この重点的に整理したものについては4枚で概要をまとめてございます。その後、それ以外の事例については、1枚で事例をまとめてございます。前回、重点的に調査した11事例につきましても、まとめの方向性以降に幾つかの事例を足してございます。簡単に御紹介だけさせていただきます。
 信州大学の上田キャンパスということで、信州大学は長野県広範囲に多数のキャンパスを持つということで、自治体と密に連携した取組をやられてございます。上田キャンパスでは、平成12年に、市や民間企業と連携して、上田地域産学官連携推進協議会を立ち上げるなど、かなり地域に根差した活動をしてございます。
 そういった取組でありますとか、滋賀大学でございます。先ほど来、データ、DXのお話、御指摘いただいてございますけれども、Society 5.0時代を牽引するものとして、データサイエンス分野の日本初かつ全学的な教育拠点の整備ということで、事例を御紹介してございます。
 それ以外にも、九州大学、九州工業大学の事例として、重点的な調査対象として追加してございます。こちらについては、引き続き内容を精査した上で、今回、委員限りとしてお送りしました資料につきましても、最終的な取りまとめに向けて、精査、調整をしてまいりたいと思ってございます。
 簡単ではございますが、第2部を御紹介させていただきます。
 
【西尾主査】  ありがとうございました。例えばここの事例の中で、土井先生がおっしゃった観点から、各大学が尽力された点や、サステナブルに運営する上で御苦労なさっている点等について、ヒアリング等の調査でお聞きになっているのであれば、ここでもそれらを御提示いただくと、参考になると思っております。
 委員の皆様、第4段目について御意見とか御質問とかございませんでしょうか。
 土井先生、どうぞ。
 
【土井委員】  ありがとうございます。端的によくまとまっていると思います。
 1点気になるのは、44ページの表2ですかね。この丸のつけ方に関しては、それぞれの大学、特に実地に行っていただいた大学のところは、この丸でいいみたいなところの確認は取られているのでしょうか。
 
【西尾主査】  いかがでしょうか。
 
【宮城大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室室長補佐】  ありがとうございます。事例を現地調査等した上での情報をもって事務局で作成しておりますので、最終取りまとめにおいては、各機関ともよく調整していきたいと思います。
 
【土井委員】  よろしくお願いします。
 
【宮城大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室室長補佐】  ありがとうございます。
 
【西尾主査】  貴重な観点を、どうもありがとうございます。
 他に御意見ございませんでしょうか。本日、まだ御意見をおっしゃっておられない方はいらっしゃいませんか。よろしいですか。
 それでは、今まで議論いただきまして、誠にありがとうございました。議事につきましては、ここまでとさせていただければと思っております。「まとめ」の案文につきましては、本日いただきました御意見を踏まえまして、ひとまず事務局に、大変な仕事、作業になるかと思いますが、取りまとめをお願いしまして、その改訂案文等につきましては当方で確認をさせていただくということで、御一任いただけますとありがたく思います。そういう方針でよろしいでしょうか。
 それでは、今後、事務局と相談を密にしながら改訂を進めさせていただきます。また、その過程において、個別に御意見をいただくような場合もあるかと思いますが、何とぞよろしくお願いいたします。
 閉会の前に事務局から資料2の説明及びその他の事務連絡をお願いいたします。
 そして、私としましては、ぜひ笠原部長からお言葉をいただければありがたく、よろしくお願いいたします。
 
【宮城大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室室長補佐】  ありがとうございます。資料2に、今後のスケジュール案を記してございます。本日、大変貴重な御意見をたくさんいただきまして、ありがとうございました。
 これから事務局において取りまとめ本文の修正と、本日調整中ということで委員限り配らせていただいた第2部の事例集の精査、最終調整を進めてまいります。その上で、9月中旬に、まず事例の整理等の御議論をいただきましたワーキング委員に第2部事例集、第1部の事例関係部分を含めまして御確認いただき、委員の御意見を反映してまいります。有識者会議の皆様には、9月下旬に、本日は委員限りとしていた部分もセットした形で、全体取りまとめ版について御連絡をする予定としてございます。その後、9月末に、本取りまとめの取りまとめ及び公表という形で予定してございます。
 今後のスケジュールについては以上でございます。
 なお、本日の会議の議事録につきましては、追って皆様に御確認いただいた後、文科省のウェブサイトに公開させていただきたいと思います。
 笠原部長より、最後、御挨拶いただければと思います。笠原部長、お願いいたします。
 
【笠原大臣官房文教施設企画・防災部長】  西尾先生はじめとする皆様の精力的な御議論、本当にありがとうございます。
 私もキャンパスづくり、もともといろいろな形で関わらせていただいて取り組んできたわけですけれども、非常に個人的にも興味ある内容で、非常に充実した議論を聞かせていただいて、本当に参考になっております。
 そもそも、このイノベーション・コモンズという概念は、御案内のように閣議決定している第6期の科学技術イノベーション計画で、大学のキャンパスをそういう形にしていくという考え方が打ち出され、文部科学省として、国立大学の整備をする5か年計画の中でその考え方を取り入れて、今その具現化に取り組んでいるということでございます。
 その具現化に向けては、まさに、イノベーション・コモンズって何となく分かるけども、どうやっていったらいいんだろうかという、いろいろな声もあり、ここで御議論いただいて、整理を進めていただけたと認識をしています。ですが、今回の議論というのは、単に事柄を整理するということではなくて、香川県知事だとか経団連の方とか様々な方に入っていただいておりますけれども、様々な形でこの考え方を外に発信するということも大きな目的だったと考えています。
 今日の議論は最後だというふうに認識はさせていただいていますけれども、ここまでの議論を通じまして、外からも、いろいろ紹介がありましたが、知事会からの応援ですとか、今回御参加いただいています経団連からの応援、それと日本商工会議所からもこういうイノベーション・コモンズだとかソフト・ハード一体となった整備についてやるべしという御提言をいただいたりしています。
 今回、今日の最後の御議論をお伺いしていても、今回の議論というのは、キャンパスというものを、ある意味、外との共創、産業界、地域との共創ということを考えた上で、キャンパスをどうしたらいいのかということを中心に御議論していただいたわけですけれども、今日最後に出ていましたが、DXだとか人工知能だとか、いろいろな意味で人材育成をもう一度考えなきゃいけないというのが、政府としての未来創造会議の提言にも出ていますし、それを行う上での手段としての情報化というものも、当然のことながら進んでいく中で、今度、本質的に教育という視点に当てたときに、キャンパスを共創の場としてどう考えたらいいのかということを、さらに深めていく必要があるのかなと感じた次第です。
 まさにここは、ある意味大学としてのもともとの本質の部分であると思いますので、そういうところの議論の積み重ねもしていかなきゃいけないかなと感じたところです。また、あと一歩、最後に予算の、概算要求の説明も少しさせていただきました。さはさりとて、やっぱり老朽化した大学のキャンパスを何とかしなきゃいけないという喫緊の課題があります。共創拠点化という新しい流れに基づいて、外からいろいろ応援をいただいていますので、まずは我々としてしっかりとした予算要求をし、年末に向けて先生方の御協力もいただきながら、よりよい予算に少しでもつなげられるように全力を尽くしていきたいと思っています。
 いずれにしましても、ここまでの精力的な御議論、そしてこのような報告書の案を取りあえずおまとめいただいていることに関しまして、感謝申し上げます。引き続き御指導のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
 
【西尾主査】  笠原部長、どうもありがとうございました。
 それでは、今日も本当にさまざまな観点から熱心な御議論をいただきましたことに対しまして、改めて心からお礼申し上げます。今日、御説明がありましたように、教育未来創造会議からの中間提言の中にも、この会議で議論してまいりました構想を何とか実現していく上での文言を打ち込んでいただいております。さらに、今、御説明がありましたように、知事会からの御支援は、本当に大きな力になると思っております。また、経済団体の方々からも御支援をいただけるということで、文部科学省を中心として本当にさまざまなステークホルダー、団体の方を巻き込んで、高等教育の現場の施設環境を一歩一歩着実に良くしていくことを力強く進めていければと思っております。文部科学省には、さらなる御尽力をいただくことになりますが、どうかよろしくお願いします。
 それと、委員の皆様方には、今日、一応議論は最終回ということですけれども、今後もさまざまな観点から御意見、御指導をいただけましたら、ありがたく思っております。どうかよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 
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