令和2年11月30日(月曜日)13時30分~15時30分
アリソン・ビール委員、有信委員、上野委員、岡委員、小谷委員、清水委員、下條委員、髙野三重県戦略企画部副部長(鈴木委員代理)、竹内委員、伹野委員、恒川委員、土井委員、西尾委員、宮浦委員、山内委員、吉村委員
(○委員の発言、●事務局の発言)
・事務局より資料1、資料2について説明。
○ 4ページ。施設整備に関する議論がなされている委員会等が列挙されている。今月の国立大学協会の総会で、「第4期中期目標期間へ向けた国立大学法人の在り方に係る検討課題について(中間まとめ)」をとりまとめた。その中で、施設整備の重要性等について言及しているので、参照いただきたい。施設整備費の拡充が、未来への先行投資や、文化継承への支援であることや、地方創生とも関わる記述をしており、そのような視点から今後も国が責任を持って継続的に予算措置を行う必要があることを明確に記述している。さらに、会計制度の見直しや、コロナ新時代におけるデジタル技術を駆使した機能強化の重要性の記述の中で、大学等においては小中高に対しても全国ネットワークのハブとしての機能が求められること等、ICT基盤の整備に関して記述している。
○ 内閣官房において、「地方創生に資する魅力ある地方大学の実現に向けた検討会議」が行われており、年内にも改革パッケージが取りまとめられる予定。骨太の方針2020に根拠を有するもので、国立大学等に対する社会の期待等の大きさといった点で私たちの検討と軌を一にするものであり、可能なら、この点も記述を検討してはどうか。11月5日の全国知事会議において、地方創生対策本部長として、国への要望の中に、この次期整備計画を着実に進めることと、予算をしっかり確保することを盛り込み、11月20日に地方創生担当大臣に直接要望した。また、11月20日に全国知事会議として菅総理大臣に、この問題が重要であることを申し上げたところである。内閣官房の検討も勘案し、この最終報告も、私たちとして国に対して強く求めていくような提言という形で整理するのも1つだと考えられる。
○ 16ページ図2のイノベーション・コモンズのイメージ図は非常に重要である。図を改めて見たとき、このままでは違和感がある。例えば、学生同士のアクティブラーニング等における感染症対策はどうなっているのか。三密対策やネットワーク、コミュニケーションの図示について、少し工夫した方がよい。また、日常的な国際交流の場としてもイノベーション・コモンズへの期待がある。例示には国際寮の充実や整備が含まれているが、国際寮だけが国際交流ではない。
○ 未来のイメージ図に、現在の写真がはめ込まれているので、そういう形になってしまっているが、工夫する。
○ イノベーション・コモンズをいかにして実現するかが全体を通したテーマになっているが、14ページのあたりに、「コモンズ」の脚注を入れてはどうか。たくさん写真が挙げられているが、このうちの幾つかは既に実現しているものなので、改めて何をしたいのかが分かるような図にしていただきたい。
○ 様々なステークホルダーやプレーヤーが様々な観点で集まって共創するための拠点という側面が1つ。それから、今回のコロナ禍を踏まえて、大学のキャンパスとはそもそも何であるかという観点で、サイバーキャンパスとリアルキャンパスの在り方や、この双方をうまく組み合わせた共創拠点の実現といった様々な思いが込められている。図表2について、もう少し分かりやすく、できるだけ共通な認識が得られるような注釈か説明を加え、絵を少し工夫していきたい。
○ ICTのイメージでは、コモンズはまさにイギリスの共有牧草地。ある種社会全体として支えるコモンズというイメージがあるので、もしそれが肯定的であれば、それを参照するのも一つの手だが、否定的に捉えられる場合もあるので、使い方は難しい。
○ イギリスではコモニズムといったような使い方はあるが、コモンズという使い方はなかなかない。
○ 国連の「グローバル・コモンズ」という言葉はどうか。
○ 一般の人がグローバル・コモンズを最初に聞いたときには、何を指しているかは、その単語からは分からないが、調べて読んで分かる。
○ 追加した文章の中には、地域創生のためのプラットフォームとしての大学や、地方の文化の議論もされた。また、デジタル化が進む中で、必ずしもリアルな空間でのコモンズだけではなく、より広い、大学という知識や知恵の集まっているところを活用するという意識が大分高まってきた。図表2のイノベーション・コモンズのイメージは、従来の大学、教育と研究が中心で、大学の中にいる人同士がコミュニケーションしている図が多いので、少し検討いただきたい。規制改革が大切で、大学が様々な多様なステークホルダーに向かって機能を強化していく、機能を広げていくことをしっかり書いていただきたい。
○ 35ページ。老朽改善の整備目標について、現行計画では475万㎡で、次期計画の目標が783万㎡であり、大幅に増えている。現行計画の実績としては5年間で25%の約117万㎡しか達成できていないが、今回の目標は年間約160万㎡である。老朽施設の積み残しが増えたことと、長寿命化をすることで、小規模、大規模、25年ごとに改修をしていくので、自然とそれで積み上がって大きくなったということの説明が、少し不足しているのではないか。参考資料では少し触れられているが、本文中になぜやらなければならないのかといった理由を記載し、各大学等が見るときにも分かりやすい形にしていただきたい。
● 面積が増えている理由としては、資料2の6ページ目、オレンジ部分の性能維持改修の面積増というのが、現行計画と大きく違うところ。一方で、この面積増の部分に関しては、基本的には小規模な改修を想定しており、費用としては大規模改修より小さいので、試算をすると、面積は増えるがトータルコストは小さくなる。本文中の記載を充実させる。
○ 51ページ。5年間でエネルギー消費原単位5%以上削減という目標は、カーボンニュートラルとどのように対応するのか。カーボンニュートラルという言葉をもう少し説明した方がいい。
○ これらの関係については記載を検討していく。
○ 51ページ。民間資金を大学が稼ぎ研究開発を活発化させることは、エネルギーを使うことに等しいので、5%削減するという目標を掲げることが本当にいいのだろうか。今年度は、どの大学もエネルギー消費が削減されていると思うが、来年度以降は上がる可能性もある。予算と目標設定との関係において、施設の改修が省エネと一対一の直接的な効果を求めなければいけないのか。
● 施設整備の中で、どの施設も必ず1%下げるといった一対一の対応は難しく、そこまで求めている目標ではない。具体的な使い方等も含めて、大学全体として1%をターゲットにしようというところ。イノベーション・コモンズで活動を活発化させるような部分については、エネルギー使用量は増えるところもあるが、逆に、オンライン等をうまく駆使することによって抑えられる部分もある。また、エネルギー原単位という、保有面積当たりのエネルギー量を目標としており、活動を活発化させるようなスペースを整備しても、割合としてはあまり変わらない場合もある。
○ 現在、ヨーロッパ等においては、重要なキーワードとして「グリーンリカバリー」が出てきている。SDGsやCO2の排出規制とも非常に密接に関わっているので、このキーワードを入れたほうが世界的な潮流に呼応する。
○ 「グリーンリカバリー」は入れるように検討する。
○ 長寿命化とトリアージの関係に少し配慮が必要ではないか。年数が古い順や、老朽化が問題になっている施設からトリアージしていくというイメージで取られるおそれがある。あくまでも老朽化対策や長寿命化、戦略的、増改築も含めた総合的なトリアージであり、例えば「戦略的なトリアージ」のように、誤解を招かないようにしておく必要がある。
○ トリアージに関しては、御指摘のとおり。戦略的といった観点で、丁寧に記載したい。
○ 56ページ。必要な予算の確保について、現行計画においても、通常額の施設整備に加えて別枠で、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」でライフラインの整備などが進んだ部分がある。ライフラインをはじめとした大事な部分については、通常の予算をしっかり確保することに加えて、別枠の予算を充てて、しっかり整備を進めることが必要。「次の防災・減災の5か年計画の枠の活用もしっかり視野に入れて行うこと」といったように、記載を充実させてはどうか。さらに、内閣官房の「地方創生に資する魅力ある地方大学の実現に向けた検討会議」では、運営費交付金の追加配分なども議論されているので、もし別枠として活用できるのであれば、記述をしてはどうか。
○ 記述を検討する。
○ 前回会議の質問点等が補足されており、分かりやすくなった。
○ 新型コロナ感染症の対応の関係を今日的に盛り込んでいるのは良いが、5年間の計画なので、仮に新型コロナが収束した場合、全体を考えたときに、陳腐にならないようにしておかなくてはいけないのではないか。
○ 今回のコロナ対応の施策が、コロナでなくても将来に向けて重要な施策になるという部分もあるので、単純にコロナに対応した施策という形にならないような表現にする。将来的にも、サイバーキャンパスとリアルなキャンパスとを高度に融合したような形が必要になってくる。
○ 最終報告案について、社会からの期待と果たすべき役割といったところから、しっかりと議論をしたものであり、コロナ禍への対応も踏まえてまとめているので、基本的に賛同したい。
○ 附属病院について、20ページと24ページに感染症、災害等と書いてあるが、48ページの先端医療・地域医療を抱える病院の機能強化というところには記載が見当たらない。
○ 最終的に、次回の会議で最終報告としてまとめたものを提示させていただきたい。事務局と調整しながら、作業を進めていく。
・恒川委員より追加資料「コロナ禍における大学キャンパスの利用者実態調査2020」について説明。
○ 本アンケートは、今年8月から9月末にかけて、日本建築学会の都市計画委員会のキャンパス・リビングラボラトリ小委員会で実施した。17の大学にアンケートを取り、合計6,789名の学生から、キャンパスの使い方やキャンパスをどのように認識しているのか、コロナによってどのように変わったのか、といったアンケートを取ったもの。このアンケートの結果から、授業受講や自習は自宅で実施しているが、大学で実施していた多くの活動が、自宅で実施できないために、実施されなくなっていることが分かる。サークル活動も同様で、文化系の活動は自宅にてオンラインで行っている様子が分かるが、体育系はほとんど行えていないことが分かる。学生たちが様々な活動をキャンパスで実施していたということと、それが実施できなくなってきたということの実態が、このアンケートから分かる。キャンパスという空間の意義として、情報が集まる、あるいは様々な人と出会う、友達に会う、他人とコミュニケーションを取るといった活動が、理系文系問わずたくさんあり、およそどの学部においてもそのような傾向が見えている。学生たちがコミュニケーションの場所、交流の場所としてキャンパスを求めている。居場所や愛着が生まれる場所といった側面はオンラインでなかなかカバーできないところもあるので、この辺りを考えていくことが大事なのではないか。
○ このアンケート結果の中で、キャンパスという空間の意義のところで、単に学ぶ場所というだけではなく、交流の場だということを非常に重要視している。報告書でイノベーション・コモンズや共創拠点といったことを取り上げているが、その方向性というのは学生たちにとっても理解しやすいことではないか。大学のエネルギー消費量は相当下がるのではないかという話が出たが、9月のエネルギー消費量を見ると、昨年の9月と4%ぐらいしか下がっていない大学もある。教育に関わる部分が多い文系等では5割以下のエネルギー消費になっているが、附属病院は非常にエネルギーが増えていたり、9月頃になると、理系の実験系も昨年と変わらないくらいエネルギーを使っていたりする。エネルギーが教育、研究、医療にどう使われているかというような事例は、文教施設企画・防災部も手に入れられるデータなので、大学の研究力、教育力というのがどのように関係するのかということも、多方面からのデータを突き合わせると面白い結果が出るのではないか。
○ 社会人にとっても職場の持っている意味合いというのは大きく変わってきているのではないか。将来的にイノベーション・コモンズというような拠点が、どういう形で地域や社会にうまく根づいて機能していくかというのは、将来楽しみではある。アンケート結果は非常に貴重なデータであり、学生がどう思っているかというところはなかなか出てこない。教員サイドの意見は比較的よく取られているが、学生の意見をこのように集めて統計を取ったとものは非常にいいこと。参考にしながら、今後検討していきたい。
・次回会議に関する事務連絡後閉会。
企画調査係
電話番号:03-5253-4111(内線3247)