今後の国立大学法人等施設の整備充実に関する調査研究協力者会議(令和元年度~)(第6回) 議事要旨

1.日時

令和2年10月26日(月曜日)10時00分~12時00分

2.議題

  1. オンライン会議(Cisco Webexを用いて開催) (事務局:文部科学省旧庁舎4階文教施設企画・防災部会議室)

3.出席者

委員

アリソン・ビール委員、有信委員、上野委員、岡委員、小谷委員、清水委員、下條委員、髙野三重県戦略企画部副部長(鈴木委員代理)、竹内委員、伹野委員、恒川委員、土井委員、宮浦委員、山内委員、吉村委員

4.議事要旨

(○委員の発言、●事務局の発言)

議題1 次期国立大学法人等施設整備5か年計画における整備目標等について

・事務局より資料1について説明。

1 整備目標等について

○試算の取壊しの算定根拠は。

●取壊しは、大規模改修のうちの1割を見込んでいる。戦略的経営という観点も含め、必要な施設と古くて使えない施設をしっかり峻別(しゅんべつ)しながら計画的に整備をしていただきたいこともあり、1割としている。

○大学は特に理系の研究室が密になっていることが大きな課題ではないか。研究室によっては、午前と午後に分けて研究室に来るようにという指導を行っている。難しいかもしれないが、老朽改善や研究室の狭隘(きょうあい)解消のために、保有面積を増やしていく方向でもよいのではないか。

●コロナ対策に関しては、三密回避が必要ではあるが、オンラインが進むことによって面積を省力化できるのではないかといった議論もあり、増える一方で、逆に減る可能性もある。保有面積の抑制も踏まえて30万㎡としているが、当然、まずは既存の施設を最大限有効活用いただき、改修で工夫をした上でも対応が困難なところに関しては、新しいスペースが必要となるので、そういった場合の新増築は、次期計画でもしっかり整備をしていきたい。
老朽改善整備の目標に関しては、確かに次期計画の試算の798万㎡から、第6次の整備量の試算では456万㎡へ下がっているが、次期計画期間で積み残しを一掃することにより、それ以降の負担が減ってくるイメージ。第6次に改修が必要な面積は全て積み上げている。
新増築に関しては、あくまで参考としての試算。今回の試算案である30万㎡を仮置きしているので、第6次計画を検討する際に議論が必要。

○老朽改善に関しては、新しい考え方に基づけば費用が減るが、コロナ対応を含めて、将来的に大学のキャンパスがどうあるべきかを踏まえれば、更に追加の費用が必要になることも考えるべきではないか。

○6ページの経年別保有面積について、経年60年以上の施設は歴史的、文化的価値のある施設が残っていると思われるが、戦前の建物に対して歴史的文化価値を認めながら残していくというのも重要な視点ではないか。

●経年60年以上の古い施設の中には歴史的な施設も含まれているが、この中の多くは小規模なポンプ小屋や設備小屋が積み上がっている状況。

○13ページの新増築について、「真にやむを得ないもの」という表現の判断基準が、やや理解しにくく具体的でない。例えば、「多様な財源を導入している優れた計画」のように具体的な一文があるとよい。

●本文にもう少し具体的に書けるよう検討していきたい。

○20ページの試算について、現在の講義室で感染対策をすると、全員が部屋に入れないので大変苦慮しており、その点も考えられているのか。換気についても、コロナ禍を踏まえたキャンパスの在り方の中には書かれているが、その点も考えられているのか。

●考え方としてはコロナ対策も含めているが、具体的にコロナを踏まえてどれぐらい追加で必要かといった試算が難しいが、コロナ対策も含めた整備量、試算としている。

○19ページの国立大学附属病院について、90%は借入れで、10%は国費が措置されているが、90%のところを試算の合計額の中に入れていると誤解を招くのではないか。

●例えば老朽化対策は約6,200億円あるが、全てが国費というわけではなく、当然この中で、国費で見るべきもの、各大学で取り組んでいただくべきものがある。病院も借入れも含めた額としており、全体としても国費と多様な財源全て合わせた額で試算している。

○17ページのライフラインの今後10年間整備量について、これまでの積み残しなのか、あるいは新たに今後10年で発生するライフラインの整備を見越して予算を計上しているのか。

●現時点で既に耐用年数の2倍を超えている経年30年のもので、今後10年で発生するものは含まれておらず、現時点のものがこれだけあるという試算。

○デジタル化が今後進められていく中で、大学の中でのデータの利活用や、サーバ等をセキュアにし大量のデータを蓄え送信するといったところで、施設整備にもまた新たな必要性が増えてくると思うが、この最終案に組み込まれているか。

●コロナを踏まえて追記した点は後ほど説明するが、データの利活用的な使い方も含めて、そこまで書き切れていないところもある。

○ICT環境について、通信ケーブルが今の状況ではとても対応できなくなるのではないか、それを機に5Gをどう考えられているか。

●ICTのケーブルについては、ライフラインの中に含めている。5Gどころか経年30年以上のライフライン、通信網がまだたくさんあるので、老朽化対策をしていきたい。一方で、各大学より最新のICTに対応したライフラインの要求もあり、そちらも対応していきたい。

○25ページの省エネの目標について、努力目標として基準から5%減を掲げて積極的に省エネに対応していくこと自体はいいが、抜本的な省エネ対策を個々の大学で打つことは難しいのではないか。目標設定は、義務ではなかったと理解していたが、研究の推進とは真逆の方向だと思うので、そもそも設定する必要性があるのかどうか、そこも含めて御意見をいただきたい。

●パリ協定においても、また菅総理も2050年に実質CO2ゼロ化を新たに表明しているので、環境問題に取り組むことについては、国立大学の施設についても外せないのではないか。省エネ法において、毎年1%削減の努力義務の対象になっている国立大学が、全体91法人のうち76法人ある。そうした状況も含め、目標としては、毎年1%減といったところが妥当なのではないか。

○大学の研究力を上げていくためにはエネルギーが必要であり、エネルギーを削減していくことには限度がある。19ページの試算の合計値には、5番目の目標であるサスティナブル・キャンパスという項目が入っていないが、それぞれの老朽改善や新増築、ライフラインの改善の中で、エネルギーあるいはCO2削減に寄与する整備をするということか。

●大規模改修等の際には、断熱改修やサッシを高性能なものにするといった改修が行われているので、こういった計画の中の内数に入ってくるという認識。

○国立大学等は、地方が未来を拓き持続的に成長、発展していく上で極めて重要な存在であり、その施設を性能維持や予防保全等の考え方を取り入れて管理し、長期にわたり教育研究の基盤として機能させることは、地方創生を実現していく上で必要不可欠であるとの認識であり、目標案の考え方に基本的に賛同する。
サスティナブル・キャンパスやコロナ禍への対応、あるいは個々の大学の事情もあるので、記載あるいは運用に当たっては、個々の大学等の実情に応じて整備等が進むよう配慮をお願いしたい。
 

2 制度改正・運用改善等について


○国立大学法人の戦略的経営実現に向けた検討会議での内部留保に関する議論は、大学の会計基準には内部留保という概念自体がそもそもなく、今後はそれを認めていくべきだという話なのか。

●企業の会計基準の内部留保と少し意味合いが異なるかもしれないが、余剰金をプールしておくという仕組み自体は、今の大学の会計基準上にもあるが、施設整備以外で自由に使用できるルール。内部留保を戦略的に施設の維持管理にも使えるように、例えば施設整備積立金のような名称をつけ、使途を限定するなどの見直しが検討されている。

○29ページの施設を目途とした積立てあるいは留保とは、どういった制度か。

●これまでは内部留保のお金には、簡単に言うと色がつけられなかったが、施設で使うという色づけをし、使途を限定することができるといった仕組みである。

○内部留保について、今後、大学が多様な財源において施設等を整備していく観点からも、今できることと新しくできるようになることを大学に分かりやすく伝えていただきたい。特に産業界と共同で施設や設備を導入した場合に、老朽化対策やメンテナンスを費用として計上した場合にも、次期中期目標期間に繰り越すことができないことが学内では多い。

●内部留保については現在検討中だが、各大学にも制度の仕組みなどを今後しっかり周知してまいりたい。

○内部留保については、まだ別のところで議論が進んでいるので、どういう形で落ち着くか分からないが、できるだけフレキシビリティがあって自由度のある形になるようになれば良い。

○29ページの多様な財源について、具体的に各大学が多様な財源で増改築あるいは新増築を考える場合に、具体的な自己資金と国費と地方自治体との連携やチャージスペース等が、どのような組合せが理想的であるか使い方のような一文があるといい。

●多様な財源と国費をミックスさせた新しい補助制度の運用を今年の概算要求からスタートしている。その中でも、例えば多様な財源と国費の組合せの例を幾つか示しており、最終まとめに向けてその辺も御紹介させていただきたい。

○内部留保の仕組みの構築等について、世界の先進大学並みの自立した個性的かつ戦略的な経営を可能とし、施設の整備を促進するためにも、非常に重要な視点である。大学等においては、現状の目的積立金制度で、苦労されている実情もあるので、別途設置されている検討会議でぜひ前向きに議論していただきたい。

●内部留保については、国立大学法人の戦略的経営実現に向けた検討会議における経営努力の認定などの検討状況も踏まえて、当協力者会議でも可能なものは取り入れていきたい。
 

議題2 次期国立大学法人等施設整備5か年計画策定に向けた最終報告(素案)

・事務局より資料2について説明。

第2章 国立大学等の施設に求められる役割と方向性 P9~P23


○13ページの教育研究活動と施設整備の方向性について、「研究面では、自動化・遠隔化が進展」ということが書かれているが、学術分科会と情報委員会の合同提言「コロナ新時代に向けた今後の学術研究及び情報科学技術の振興方策について」でも、ラボのオートメーション化の重要性について言及されている。14ページの施設整備の方向性では、ラボの自動化に対応した施設整備を、単に三密を避けることだけでなく、もう少し強く書いた方がよいのではないか。

○研究設備の自動化については、今回のコロナ対応でより一層進んだがまだ十分ではないことについて、書き込めると良い。

○21ページのサーバのところで、エネルギーを削減するには、サーバの設置環境を集約化して良い空調で冷やすことと、最終的には集約化してクラウド化して外へ出すことで、実は大学のエネルギーはかなり削減できることが分かっており、このことをぜひ加えていただきたい。
例えば、カメラとか、あるいはレーザーレンジセンサーのようなものを廊下等に整備して、学生の動線を調べて建物の占有率を見ながら空調を変えることや、三密を避けるためにデータを基に教室の配分を考えるなど、その辺りも少し書けるといいのではないか。

第3章 「第4次国立大学法人等施設整備5か年計画」の取組 P24~P37


○エネルギーの目標のことだけを踏まえて「サスティナブル・キャンパスの形成」となっているが、たくさんの目標の中の1つが省エネやエネルギーの削減なので、項目の立て方として、サスティナブル・キャンパスのうちの一部の省エネやエネルギーの削減といった言葉に置き換えた方がよいのではないか。

●本来であれば、もっと広い意味で捉える部分もあるので、言葉の使い方を今後整理させていただきたい。

第5章 提言 P45~P47


○現行計画の整備目標の達成状況は若干低迷しており、残念であるが、次期計画に関しては、大学等の在り方からしっかり議論してきたので、この目標、目的が実現されることが非常に大事。
現内閣は、地方創生を最重要課題とし、かつ、骨太の方針において魅力ある国立大学等の実現を掲げた前内閣の継承を明らかにしており、さらには活力ある地方の創出を基本方針として決定されているので、そういった点もふまえると、しっかりと予算が確保されることが大事。
全国知事会では、国に提言を行っており、その中でも国立大学の老朽化対策のための財源確保ということを申し述べている。今後もそうした提言をしていきたいと考えている。
内部留保等についての記載は、別途設置されている検討会議の結論が間に合うようであれば、もう少し具体的に書くとよいのではないか。

○議論の進行状況にあわせて、できるだけ具体化、あるいはそれをより推し進めるような方向に、書き込めると良い。

・次回会議に関する事務連絡後閉会。

 

 

お問合せ先

大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室

企画調査係
電話番号:03-5253-4111(内線3247)

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(大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室)