今後の国立大学法人等施設の整備充実に関する調査研究協力者会議(令和元年度~)(第3回) 議事要旨

1.日時

令和2年3月17日(火曜日) ※書類審議

2.議題

  1. 次期国立大学法人等施設整備計画策定に向けた中間まとめ(仮称)(素案)について

3.出席者

委員

アリソン・ビール委員、有信委員、上野委員、岡委員、小谷委員、清水委員、下條委員、鈴木委員、竹内委員、伹野委員、恒川委員、土井委員、西尾委員、宮浦委員、山内委員、吉村委員

4.議事要旨

資料1 (概要)次期施設整備計画の方向性

『施設整備の方向性』について

○「国立大学法人等に必要となる「活動」の 方向性」の中心に教育研究が据えられたことは重要と考えるが、我が国の科学技術における持続的な成果創出のため、基礎研究・学術研究等の重要性をどこかに記載する必要があるのではないか。

○「教育研究の多様化・高度化・国際化」のハコについて、「高度化」を最初に記載してはどうか。

○「「共創」するためのイノベーション・コモンズの形成」に集約された概念図になっており、基本的には賛同。

○「「活動」の基盤となる施設整備」の3つめの・について、「誰もが活躍できるような」を「大学の基盤となる」と修正してはどうか。

 

『手段』について

○「国は、国立大学等の取組が推進するような支援策を構築する」を「国は、国立大学等の取組が推進するよう支援策を構築し、実行する」と修正してはどうか。

○「国立大学等はイノベーション・コモンズを形成するため、戦略的リノベーションによりキャンパス環境整備を推進する」を、「国立大学等は・・・戦略的リノベーションも含めて・・・」と修正してはどうか。

 

その他

○右端の「大学改革の推進」が意味している内容や関連の説明が必要ではないか。

 

資料2 次期国立大学法人等施設整備計画策定に向けた中間まとめ(仮称)(素案)

第1章 国立大学法人等施設の使命・役割 (P2~4)

○P2-L6「社会・経済的な観点からの需要は必ずしも多くはないが重要な学問の継承・発展、」は、哲学や歴史・文化に関連する学問だと思うが、もう少し前向きな表現にならないか。
 

第2章 本協力者会議で検討するにあたって(P5~)

○目標に対する数値的な達成状況やさまざまな取組状況についての記載はあるが、この数値や取組に対する評価がなされていない。なぜ達成率が低いのか、目標設定が高すぎたのか、財政状況や国の施策の問題か、各大学の問題か、何ができて何ができておらず、その要因は何なのかと言った、きちんとした評価がなくては、次期5ヶ年計画の策定はできないのではないか。

○P9-L1「サステイナブル・キャンパスの形成」について、3.0%のエネルギー削減だけしか書かれておらず、パリ協定における政府の約束を実現するためには、あまりに小さな削減ではないか。もっと削減するためにはどうすれば良いかについての言及が必要。

 

第3章 国立大学法人等への社会の期待 (P18~19)

○第3章以降において、国立大学法人の役割として「地域・社会貢献」がやや前面に出過ぎており、「世界最高水準の研究の遂行」という側面が弱くなっているように思われる。第3章においても「国立大学法人等への社会の期待においても世界最高水準の研究という点」は述べられるべきであり、第4章の冒頭にある(教育研究の機能強化と地域・社会への貢献)においても、「地域だけではなく全世界的な貢献という観点から世界最高水準の研究成果を生み出すことの必要性」についても言及されるべきと考える。

○第3章~第6章の「イノベーション・コモンズ」の提案及びその概念に賛同。今後の国立大学等の保有する施設・設備が、教育・研究のさらなる展開や、産業界・地域との共同活動を推進する場を形成することの期待が現れている。この様な施設・設備が、一般的な大学年齢の若年層だけではなく、あらゆる年代層に対して先進的な学習や共創環境を提供することの意義は大きい。広く捉え、大学等が有する施設・設備を地域や産業界等へ積極的に開放することの意義は大きいとも思う。地域産業と海外市場を結ぶ国際的共同研究や共同製品開発の場が期待できる。

○P18「社会の様々なステークホルダーと一緒になってより高度な知と付加価値を生み出し」と追記。

○P18-L23「施設整備においても取り組むべき目標がある」に修正。

○P18-L23「国立大学の施設整備においても積極的に取り組める目標がある」とあるが、積極的に取り組める目標があることは、社会からの期待ではなく大学の姿勢であって、むしろサステイナブルな社会の構築のために先導的役割を果たすことが求められているのではないか。

○P18「○ライフサイエンスにおけるイノベーションによるSDGs達成への貢献」を追記。

○P18「○地域の特性を生かした新産業の創出」を追記。

○P18-L32「安全な教育環境の整備と地域の防災拠点として」に修正。

○P18-L35国立大学法人等施設の徹底した省エネの推進では、「脱炭素社会をめざす」という目的を追記。

○P19-L2「多様な人材の能力を最大限発揮させるためにダイバーシティの推進」について、「教育機関は多様なバックグランドを持った人材を集めることで多くの恩恵を得ること」を強調する必要がある。ダイバーシティの推進は、多様な人材の能力を発揮させることだけが目的なのではなく、多様な意見を聞いたり取り入れたりすることで教育機関としての実益につながり、革新的・創造的アイデアが生まれるという確かな恩恵を得られることがダイバーシティ推進の目指すところではないか。

○P19「○国立大学法人等の留学生の拡大と地域の国際化の推進」を追記。

 

第4章 国立大学法人等に必要となる活動の方向性(P20~25)

○P21【教育研究の多様化・高度化・国際化】とP23【地域・産業界との連携・協力の推進】を単に並べるのではなく、中心となるべき教育研究に重みづけがあるように書き分け、これらの繋がりについても具体的な記載が必要ではないか。

○基本理念にあるSDGs関連についても、施設整備の方向性に記載する必要があるのではないか。

○<イノベーション・コモンズの概念について広く捉えた考え方> も重要だが、「個人で集中して学習研究する空間や特定の分野に特化した空間」や「最先端技術の漏洩などセキュリティ面への配慮」も重要である。

○<イノベーション・コモンズの概念について広く捉えた考え方>をして、コモンズという方向性の議論をするとしても、なんでもオープンということではなく、知的財産の保護あるいは研究環境としての安全性といったことには十分配慮されるといったことについて、どこかに言及しておく方が良い。

○<広く捉える考え方>に賛成。大学全体の向かう方向と合致し、協調の取れた全体的なデザイン、アーキテクチャが必要ではないか。大学全体の戦略の中での位置づけが必要である。


○広く捉える考え方の下で、大学キャンパス全体を地域社会のイノベーション・コモンズの場と位置づけることで、地域社会との連携や活性化に一層寄与できると考える。

○イノベーション・コモンズの定義について、これまで往々にして見られたような、「教育・学習のため」「研究のため」「産学連携のため」という小分けした目的のために空間整備・施設整備を考えるのではなく、大学のキャンパス全体をイノベーションという共通の方向性の下で位置付けることで一つの考え方の軸を形成し、その軸に沿って、ハード面の整備だけではなくソフト面での取り組みも合わせていきながら、「教育・学習」「研究」「産学連携」にまたがる「コモンズ」という革新的なキャンパス整備を考えるということだと理解している。これまでの意見が十分に反映されていないのではないか。新しい方向性が示されるような書き方になると良い。

○P20-L36「…ソフト・ハードが一体となった「場」として「イノベーション・コモンズ」と定義する。」とあるが、「イノベーション・コモンズ」は、大学全体が「共創の拠点」となるという広義の考え方と、もう一つ整備される建物の中、あるいはキャンパスのどこかに「革新を生み出すために必要な共有空間」を生み出すという狭義の考え方、があると思う。特に後者の「革新を生み出すために必要な共有空間」には、①交流の誘発、② 活動の可視化、③フレキシビリティの確保、の3点が重要。これらを書いておけば、<ハード面での対応>の記載がわかりやすくなるのではないか。

○「イノベーション・コモンズ」について、この計画の重要なキーワードとするならば、当然、広義での「大学キャンパス全体を社会のコモンズ」として捉えるべきだと思う。一方で、「イノベーション・コモンズ」という新たな用語は、社会や各大学にとってやや伝わりにくい言葉なのではないか。「イノベーション・コモンズの創出」や「共創できる空間」というと、狭義にしか捉えることができず、「イノベーション・コモンズ」という空間の施設整備が目指されているように感じてしまう。

○P21-L9「国立大学等においては、引き続き、老朽施設の戦略的リノベーションを中心に「イノベーション・コモンズ」の創出に向けて、ハード面からソフト面の取組を促すような魅力的な空間の整備を推進するとともに、ソフト面の取組についてもこれまで以上に積極的に取り組むことで、共創の拠点の役割を果たすことができる。」とあるが、具体的なソフト面の取組とはなにか。

○例えば、PBL(問題外解決型学習 Project Based Learning)などが上げられる。従来のインプット中心の学習から、知識の統合(レポート等)、知識の応用(課題解決)、成果の発表など授業内容やカリキュラムを工夫することで「イノベーション・コモンズ」の創出につながるイメージ。

○P21-L8「例えば3次元プリンタ等による試作機能の教育と研究双方への利用や計測装置の共同利用の場など」を追記

○P21-L10特に「イノベーション・コモンズの創出」に違和感がある。むしろ、地域や産学の連携を捉えるならば、大学は社会の縮図であり、新しい地域や社会を創出するための実験の場としての「リビング・ラボラトリ」という概念の方が「イノベーション・コモンズ」よりしっくりくるような気がする。ただし、「リビング・ラボラトリ」も狭義に捉えられてしまう恐れもあり、「イノベーション・コモンズ」を「リビング・ラボラトリ」に置き換えたいと言うことではない。

○P21-L24「イノベーション・コモンズ」の概念は全体的に密接に関連すると考え、に修正。

○P21「密な産学連携や個人情報を含む様々な情報を扱うためのセキュリティに対応できるダイナミックな空間構成。」を追記。

○P21-L33 STEAM教育のAは 芸術分野のアートやデザインのみを指しているのではなく、より広い意味でのArts、芸術だけでなく、経済学などの社会科学、哲学や歴史などの人文科学など、サイエンスに含まれないものすべての分野を指す。したがって「STEAM教育などアートの分野やデザイン思考なども取り入れた人材育成」の文章は言い換えが必要。

○P22-L1≪ハード面の対応≫に「時間や空間を超えた共創が可能となるICT/ネットワーク環境」を追記。

○P22-L7「交流を通じた」を削除。

○P22-L7単に教育・研究の場のみを指すのではなく、日常的に交流するスペースである、例えば、交流ラウンジや食堂、学生寮等、そこに集まる人々が交流を通じてイノベーションが生まれるスペース等を含めたものが、イノベーション・コモンズと読めるような記載としてはどうか。

○P22大学共同利用機関における施設整備に言及されていることは適切であると考え、以下の点の追加を提案。
≪活動の方向性≫
・最先端研究の土台となる基礎研究が、未来の科学技術の発展を推進する。
・革新的創薬技術による新薬開発等の加速化ができる学術共同基盤の整備(新興・再興感染症等を含む
≪ハード面の対応≫
・基礎研究を支える研究者コミュニティから、ひらめきが生まれやすい創発研究の場の整備
・大学共同利用機関の有効活用を含め、世界に伍する最先端研究を推進

○P22-L21「科学技術の底上げとなる」とありますが、目指すところは科学技術の底上げだけではなく、もっと広くあらゆる学問分野での底上げではないか。

○P22-L34「優秀な国際人材を引きつける国際留学生宿舎」は、留学生のための特別な施設というニュアンスが感じられる。目指すものは、留学生と日本の学生が共生できる宿舎であり、多様性を目指すということはそういうことではないか。

○P23(5)最先端医療・地域医療を支える大学附属病院の機能充実について
●「災害に強い国立大学病院」の構築のため、地域ごとに危機管理システムが迅速かつ有効に機能するように広域的シミュレーションを繰り返すとともに,関係機関とのICTのネットワークの構築および情報の共有化を積極的に行う必要がある。そのための情報通信網整備が重要である。
近隣の大学間の連携はできているものの、多様化する有事の際の実効性について検証が必要であり、また、国立大学のBCPと地域自治体のBCPとの連携が図られていない等の課題に対して、多様な有事を想定し、地域の防災計画と連携した、活動の拠点としての対応が重要。なお、多様な有事にはパンデミックも含まれる。

●医療の現場における働き方改革や地方における医師不足等の課題を解決しながら、さらなる大学病院の活性化と地域医療への貢献を図るためにも、若手医師等を惹きつけて止まない魅力ある大学病院として、これまで診療、教育、研究を優先して後回しとなっていた福利厚生や、人材育成機能強化等が重要である。
・休憩室、談話室、職員食堂(喫茶)等の整備・拡充
・臨床実習・研修医教育におけるシミュレーション教育・実習センター(クリニカルスキルラボ)の整備・充実
・カダバーによるサージカルトレーニングセンターの整備・充実
・ゲストハウス(国内外、研究者、指導的医師、留学生を含む)の整備・充実により、国内、国際交流の活性化に資する。

○P23県内企業の経営者は、本学卒業生の採用に意欲的であるものの大学へのアプローチの術が分からず手探りの状態のため、産学連携施設を充実させる等、大学が地域に向けて常に門戸を開く『アクセシビリティ』の向上が重要。例えば、キャンパスにリエゾン・オフィスを設けて、県内企業の顔が見える工夫をする等、学生および研究者とのソフト・ハード両面でのマッチングが重要。

○P24想定外の激甚な災害が頻発する現状における防災・減災・国土強靱化の視点から、近隣大学間の連携に加えて国立大学と自治体との連携による地域防災力の強化が一層重要。今後は、従来の単に災害時における地域緒指定避難所にとどまらず、有事の際の活動拠点として、有事を想定した総合的な防災訓練を実施してそれにより得られた知見から、自治体とも連携し、防災設備・備蓄品倉庫等の施設整備の方向性の議論も必要。


〇P24衛星データによる被害分析や広域災害医療対応など、現在本学が関与している災害情報に関するシステムがあるが、大学の強みも生かし、かつ国、地方自治体との連携、防災関連機関との連携をより一層図るためには、これら激甚災害が発生してもその機能が果たせるように、ハード、ソフト、情報ネットワークの強靭化が不可欠である。

○P24-L20 ICTを活用することで、単に大学だけでなくディスタンスラーニング等を通じて地域支援が可能となることからも、ハード面の対応において、情報インフラの整備についても含めた表現とすべきではないか。特に今回の新型コロナウイルス感染の拡大に伴って、大学におけるディスタンスラーニングの重要性が特段増している。また、国立大学法人に設置された情報基盤センター等は、大学間のみならず地域の小・中・高校のディスタンスラーニングについても、リーダーシップを発揮すべきと考える。それらを実現するためにも、情報インフラ整備が不可欠である。

○P24-L27「近年著しく増加している企業との本格的な共同研究では、複数の企業の社員が同時に滞在するため、モノや情報の流出・コンタミを避ける必要がある。競争領域の共同研究を安心して行うためには、セキュリティの高いクローズドなスペースの整備が求められている。」追記 

○P24-L27本格的な産学連携を進める観点からは、特定個社との間のクローズドな研究を進めるための体制整備(含:設備、人材等)も必要と考えるため、記述が必要。

○P24 「国立大学等の知を活用すべき」については、農業や水産業など、その地域の経済活動をこれまで支えてきた産業に限るのではなく、(6)及び(7)の活動の方向性全体に掛かるキーワードとすることが望ましいと考える。

○P24「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」では、高等教育におけるリカレント教育の充実・拡大に向けて、産業界、地方公共団体等と緊密に連携した実践的・専門的なリカレントプログラムの開発や、実践的な教育を行う人材の育成プログラムの開発・実施などが必要としている。このため、(7)の<
活動の方向性>に地域が求める産業人材の育成に向けて、産業界、地方公共団体等との連携強化によるリカレント教育の充実が必要である旨を追記することが望ましいと考える。

第5章 活動の基盤となる施設整備(P26)

○4章の項目立てと5章の項目との関連性について、どの項目とどの項目が連動しているか等、具体的な記載が必要ではないか。

○P26-L22ダイバーシティとインクルージョン。場合によって、遠隔ロボットで参加するなど、テレプレゼンスやテレワークを活用することも考えられる。そのためのネットワーク環境やロボットが行き来できるバリアフリー、音のセパレーションなどが必要。

 

第6章 施設整備を計画的に推進するための手段(P27)

○P27-L9<国立大学等がすべき事項>を<国立大学等が取り組むべき事項>に修正。

○予算の確保や制度改正等が記述されているが、多くの国立大学の悩みや施設整備上の課題のほとんどは、予算不足に起因している。本中間まとめ(案)にはその課題に対する危機感があまり感じらない。次期整備計画として、「活動の方向性」や「施設整備の目標」の中でも、随所に課題解決の手段を示しながら記述した方が良いように思う。キャンパスの再生や個々の施設整備の手段としても、「量」よりも「質」を重視した計画や設計を進めるべきで、そのための予算や時間を確保していくべきという姿勢を示すべきではないかと思う。

○P27-L30<国がすべき事項>を<国等が取り組むべき事項>に修正。

 

お問合せ先

大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室

企画調査係
電話番号:03-5253-4111(内線3247)

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(大臣官房文教施設企画・防災部計画課整備計画室)