今後のラボデザインの在り方に関する調査研究協力者会議(第1回) 議事要旨

1.日時

令和元年9月27日 金曜日 10時30分~12時00分

2.場所

文部科学省 旧文部省庁舎4階 文教施設企画・防災部会議室

3.議題

  1. 今後のラボデザインの在り方に関する調査研究について
  2. 研究力向上改革2019について
  3. 調査研究計画(案)について
  4. 有識者による講演(川添 善行 東京大学生産技術研究所准教授)
  5. その他

4.出席者

委員

有信睦弘、上野武(主査)、江口亨、岸利治、斎尾直子、下條真司(TV会議出席)、恒川和久、宮浦千里、山本仁、丹沢広行(特別協力者) ※五十音順、敬称略

【講演有識者】川添善行 東京大学生産技術研究所准教授

文部科学省

(文教施設企画・防災部)平井文教施設企画・防災部長、山﨑技術参事官、森参事官、小湊参事官付文教施設監理官、松田参事官付参事官補佐、小林計画課整備計画室室長補佐、(科学技術・学術政策局)黒川研究開発基盤課課長補佐、(研究振興局)高橋参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当)付参事官補佐

5.議事要旨

(○:委員、●:事務局)

・本協力者会議の公開について、事務局より資料2に基づき説明し、原案のとおり決定
・上野委員を主査に選任

議題(1)今後のラボデザインの在り方に関する調査研究について

・事務局より、資料1及び机上配布資料1~3に基づき本協力者会議の趣旨等について、資料3-1,3-2に基づき関連施策について説明。

議題(2)研究力向上改革2019について

・事務局より、資料4及び机上配付資料4に基づき研究環境を取り巻く状況について説明。

議題(3)調査研究計画(案)について

・事務局より、資料5に基づき調査研究計画(案)について、机上配付資料5に基づき現在の事例収集状況等について、机上配付資料6に基づきアンケート及び分析方法(案)について説明。


○ラボを共用化する上ではコンタミネーションの問題がある。共用化は重要だが、共用化する上でどういうことを考えているかアンケート項目に入れてはどうか。
 また、ラボの整備にあたってはインフラの整備も重要である。アンケートに電源に関する項目があるが、もう一つ重要なのは、通信系のインフラである。SINETへ接続するにしても、内部の幹線が対応できないと意味がない。特に共用等を考えたときに基本的なインフラが整備されていないと、共用も進まないと考えられるので、そういった視点についても検討する必要がある。


○アンケートの調査対象をどうするかは重要である。各機関が調査して欲しい施設・代表的だと考えている施設と、アンケートを出す側が調査したいと思っている施設とでミスマッチが生じると、アンケートそのものの質を大きく左右する。どういう基準で事例を決めていくのか。また調査対象施設の建築後または改修後の経過年数によって得られる結果が異なる。


●事例候補は、刊行物などを頼りに収集したものであり、現時点の事例のイメージである。基本的には各機関にアンケートもしくはヒアリングをして、事例を取り上げることを考えている。建築後または改修後の経過年数については検討する。アンケート調査の分析結果を基に全体の傾向を示すものと、個別の施設を事例として示すものという、2段階で考えている。


○資料4の、研究者に対するアンケート結果を見ると、たしかに「研究環境が十分であるか」という問いに対して満足度が下がっている傾向は見られるが、それでも予算が潤沢だと思われるトップレベルの大学の研究者の満足度は、他の大学の研究者に比べて極めて満足度が高い状況が読み取れる。このような中で、作成する事例集は何をターゲットにしているのか。ターゲットによっては、選ぶ事例が異なると思う。ハイレベルな先端的研究をリードするラボを整備していくという事例集なのか。その場合、全国の各機関に押し並べてこれを参考にといっても、できるところとできないところがある。
 事例のラボはほとんど理系だと思うが、理系だけでいいのか。文系でもそういうラボの在り方があるのか。ターゲットの共有をしないと、事例もばらばらだったり、伝えたいメッセージが伝わらないことが危惧されるので、御検討いただきたい。


●調査対象は、新しいコンセプトの下で作られたラボを考えている。従来の個室があって並んでいるものよりは、新しいコンセプトの下で設計されているというところが今回の狙いと考えている。
必ずしも先端的なものだけにこだわっているわけではない。


○実際にラボを作るときに大事なことは、プロセスだと思っている。どういう合意形成をチーム、研究室、組織が行ったのか、そこにトップダウンやボトムアップがどんなふうに関わってラボを作っていくのかということをアンケートやヒアリングにおいて調査いただきたい。どういうふうに作ればいいのか、ということが分からないと参考となる事例集にならない。
ある研究組織のリーダーが「新しい研究の仕方を考えないんだったら新たな施設なんて必要ない」といった明確な考えを示したことをきっかけに、研究者等がいろいろな議論を重ねて新しい研究環境が生まれた事例がある。こういったプロセスのことも情報収集いただきたい。
もう一つプロセスで大事なのは、建築家、設計者とのコミュニケーションである。設計者をどう選んでどう作っていったのかということも含めて、プロセスについては是非、事例として入れていただきたい。


○スマート化の具体例が掴みにくいので、ITの活用事例や情報インフラの観点をアンケートに盛り込むといいと思う。例えばテレビ会議システムの導入状況や、ラボの構造が変わるときにITインフラが柔軟についていけるような工夫があるかどうかなど。
もう一つは、先ほど挙がったコンタミネーションに関して、今、研究の再現性という観点がすごく重要になっている。例えばセンサーやカメラを使って、どういう実験をされたかということを記録しておくことも非常に重要な観点ではないか。こういった観点もアンケート及びヒアリングにおいて調査できると良い。


議題(4)有識者による講演(川添 善行 東京大学生産技術研究所准教授)


○ラボの捉え方・定義を整理する必要がある。アンケート調査の説明の仕方によっては、先端的な実験装置が整っているラボだけを出せばよいと思われてしまう。
また、コンセプトやプロセスについてはしっかりと把握できればよいが、アンケート調査だけでは困難ではないか。
加えて、キャンパス全体の中でのラボの位置付けも重要な観点であると考える。特に実験系のラボはセキュリティが重要になる。キャンパスには、オープンなエリアとセキュリティがしっかりしているエリアがあり、次にセキュリティがしっかりしているエリアの中での共用といった、おそらく多くの段階があるのだろうと思う。


○アンケートにおいて、ラボの満足度について聞くことは良いと思う。建築は建てて終わりではないので、ユーザーの声を集めていただきたい。建設当初先端的だったラボが、5年後、10年後、どのように使われているのか、そういったことも調査してはどうか。あとは、メンテナンスをする予算が確保して、うまく使われているかといったところもアンケートでフォローしていただきたい。
それから、新しいラボを作る上では、その検討メンバーがとても大事である。建築家の方が入っていれば、いろんな新しいアイデアが出てくるだろうが、そういう余裕がない機関もあるかも知れない。
また、学内での検討プロセスや予算確保の方法等についても書いていただきたい。
次に、事例選択については、トップレベルの研究を行うラボのみを取り上げるのか、文系も含めて幅広く取り上げるのか、というのはとても大事なところだと思う。例えば、ラボの規模で捉えるというのもあるかもしれないので、ターゲットを絞って調査してはどうか。


○川添先生の講演の中であった、研究者間の緩いつながりによって新しい発想が創発されるというのは賛成であるが、それを理系のウエットラボに拡張した場合、安全管理の観点から、実際の運営において研究者が不便になることもあり得る。大空間のラボを整備した機関には、その後の法的な管理で不具合はなかったかを確認いただきたい。


○ラボデザインの在り方を考えるときに、建物のコンセプトは調査すると思うが、それを使う組織の性格的なものも含めたかたちで情報収集していただけると、そのラボの理解が進むと思う。


○ラボに関しては、オープンラボという考え方、交流を誘発できるような仕組み、フレキシビリティ、この3つの点が重要であると考えられている。各事例について、この3つの点について各々どういうことを、やっているのか聞いてみて、その中で、例えば安全管理の面での問題点はないのか、といった聞き出し方を行った方が、幅広く全国の各機関に役立つ資料ができるのではないか。

議題(5)その他

・事務局より、資料6に基づき今後のスケジュール(案)の説明。


―了―

お問合せ先

大臣官房文教施設企画・防災部参事官付

整備企画係
電話番号:03-5253-4111(内線2322)

(大臣官房文教施設企画・防災部参事官付)