今後の国立大学法人等施設整備に関する有識者会議(第4回) 議事要旨

1.日時

令和元年5月21日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 東館3F1特別会議室

3.議題

  1. 今後の国立大学法人等施設整備に係る方向性(案)について
  2. その他

4.出席者

委員

有信睦弘(主査),上野武,下條真司,鈴木英敬,竹内比呂也,恒川和久,西尾章治郎,宮浦千里(敬称略)

文部科学省

木村大臣官房会計課長,上野国立大学法人支援課課長補佐(淵上課長 代理),西井学術機関課長,丸山学術基盤整備室長,林科学技術予測センター上席研究官,平井文教施設企画・防災部長,藤井計画課長,深堀整備計画室長,木村計画課企画官,小林整備計画室長補佐

オブザーバー

猿渡政範 国立大学協会事務局次長

5.議事要旨

・事務局より配布資料の確認、有識者の紹介。

(1) 今後の国立大学法人等施設整備に係る方向性(案)について
・事務局より、資料2,3に基づき、方向性(案)について説明。

【方向性(案)について討議】
○ 現状と課題について、4期にわたる施設整備5か年計画でも機能向上や老朽改善が不十分だった要因として、教育研究の継続・発展に必要不可欠な「投資」という認識を社会と共有できなかったことが一番大きな要因だというように記載されているが、一方でもっと大きいのは、機能向上や老朽改善に対する必要額がどれだけであり、それに対する国からの予算がむしろ厳しい方向になっているという状況と、各大学も様々な改革等に迫られる中、十分に施設に投資できていないということではないか。
また、本報告書が誰に向けてのメッセージなのかは大切な視点だが、特にこれから出資をしていただくような人たちを考えたときに、国も財政的に厳しいということをもっとメッセージとして伝えたほうが良いのではないか。

○ 国側の措置が不十分だったということをもう少し明確に記載してもいいかもしれない。

○ 大学施設のことに関して、文科省が中心になっているのはもちろんだが、財源の多様化を考えたときに、国交省や経産省、環境省等、他省庁が持っている予算、あるいは自治体の資金をうまく使う仕組みなど、各省横断的に検討されているのであれば記載してはどうか。

○ 共創するということに関して、共創して一体どうするのか。例えば、共創していくことによって社会変革を起こしていくのだといった、共創することの意義をもう少し強く記載してはどうか。
また、今後日本が目指すところは、ナンバーワンではなくてオンリーワンということを強く意識してイノベーションをどのように起こすかということだと考えている。地方創生というのは、まさにオンリーワンを追求していくアクティビティだと思う。そういうオンリーワンをどう追求していくかを地域と一緒になって考えていくことが大学の役割の中で重要だと考える。その成果を国内のみならず世界のいろいろなところに発信していくことによって国立大学の評価がより高まることが大切だと思う。そういった観点をもう少し強く記載してはどうか。

○ 共創の方向性として、第1に、ある目的を持って共創するという部分と先が見えない中で、共創の基盤を作り、そこで新しい知が生み出されるという動きの両方があるということ、第2に、いわゆる地方創生等を含めたときに、共創の在り方として、ほかの追随を許さないような新しい知識、知恵が生み出される場を作るというような観点で、少し分けて記載していくということでどうか。

○ 課題として、昭和40~50年代に大量に整備された施設が一斉に老朽改善のタイミングを迎えているということがあるが、それらをどうするかという基本的なことが余り語られていない印象がある。老朽化した施設をうまく活用し、さらに戦略的に持っていくというような内容や、あるいは、それを行いつつ、Society5.0に関連する新たな設備整備も戦略的に考えていく必要があるなど、そういう内容があるとよい。

○ 大量に整備されたものが老朽化していることに対して、その老朽化対策だけをやって今の施設・設備を維持し効率化を図るということでは不十分で、これをもっと戦略的に新しい施設・設備に転換していくという方向に持っていくべき。

○ 共創した先に何があるのか、もう少しクリアカットになった方が良い。三重県も総合計画のキーワードを「協創」としている。三重県では、「協創」の先に、幸福実感を高めるということと、新しい豊かさをそれぞれ定義しているが、「協創」をする、あるいは「アクティブ・シチズン」を生み出す、それにより幸福実感を高める、新しい豊かさを生み出すとしている。さらに、幸福実感のところは、毎年、みえ県民意識調査という1万人規模のアンケートを取り、その実感値が高まっているかどうかを政策分野別に集計し、クロス分析をして公表するということをやっている。
 共創の先に何があるかということを示さないと、PDCAサイクルを回したり、あるいは評価をしたりということができない。アウトプットのところだけを言うのではなく、アウトカムのところも、こういうところを目指すということを言わないと、その政策が正しい方向へ向かっているのか、予算が適正に使われているのかということを国民の皆さんに、地域の皆さんに説明責任を果たすことができないという意味でも、共創の先に何を目指すのかということを、もう少し記載してはどうか。
 また、施設の老朽化対策などに関する施設整備費の補助金や、そういった財政支援の充実をしてほしいというようなことを全国知事会の提言などに盛り込めるように努力をしていきたい。

○ 未来への投資として、「社会全体に対して情報発信していくとともに」と記載してあるが、これは「情報発信していくことにより」と強く記載した方が良いのではないか。
 また、「社会的課題の解決や地方創生に取り組むことができるよう「呼び水」となる」と記載してあるが、その意味するところがもう少しダイレクトに伝わるようにした方が良いのではないか。この部分は、大学が多様な財源を活用して、1つの建物を作って社会的課題の解決や地方創生に取り組もうとしているときに、その費用全てを大学で出すのが非常に難しい場合のことを言っていると思う。その解決策として、外部からの資金を集める際に、文部科学省も一部サポートしていることを明言することによって、ほかの財源を出してくれそうなところの説得材料になるということが、ここの「呼び水」という意味だと思う。それがこの文章で伝わるかが問題であり、より直接的な表現をした方が良いと考える。

○「変化しつつある国と国立大学法人等との役割」という部分で見えてくることは、「国立大学法人等に対して、従来のような予算措置というのは、もう今後は期待できないので、自分たちで様々な財源を考えないといけないのだ」というメッセージだと理解する。この理解が正しいとしたら、そのあたりをダイレクトに記載することがある程度必要で、また、その代わりに、国としては、「呼び水」となるような新しい制度が作るという方向性をもう少し明確に示す必要があるのではないか。

○ この報告書を一体誰に向けて出すのかということを考えると、もちろん国に向けてという部分もあり、また大学に向けてという部分もある。そこを切り分けて、国に対してはこういうことをきちんとやるべきだと、大学としては、財源多様化を踏まえて、もっと自立的にやっていくべきだというような記載をすることで、より明確になるのではないか。

○ これからの共創というのは、まさに世界との共創であり、かつ、課題としても、地方創生も当然重要であるが、世界規模の課題を解決するということも非常に重要で、世界に開かれた大学であって、世界との共創を目指して、世界の課題を解決していくという内容がもう少し記載されるべき。

○ 検討事項の「変化しつつある国と国立大学法人等との役割」というところが、今の状況を表しているだけという印象を受けるため、他の2つの事項のように、今後どうあるべきかが分かるよう、少しメッセージが込めた文言にしたほうが良い。
また、海外の大学が行っているやり方に目を向けるということも必要ではないかと考える。今までのいろいろな施策等を見ても、海外の大学も参考にしているのだと思うが、事例は日本のものが多く、海外のより革新的な様々な取組をされている事例から学びながら、現在のやり方を考え直していくというような方向も必要なのではないか。
 「「未来への投資」に向けた施設マネジメント」という項目だが、ここに書かれている項目が、コストの削減、効率化という内容に特化している印象を受ける。施設マネジメントはもっと戦略的なもので、単にコストカットや効率化をするというだけではなく、教育研究活動を支える基盤となる施設整備を実現するために、どういう戦略を取るのかということが施設マネジメントだと思う。先般、文科省で行われていた「国立大学法人等施設の長寿命化に向けたライフサイクルの最適化に関する検討会」やその報告書での、一斉に老朽化する施設の長寿命化をより目指していくという方向性や、なおかつ、それをもう少しダイナミックに施設の縮減などにも踏み込んで施設のあり方を見直していくといった方向性を、記載してもいいのではないか。

○ 国の政策である長寿命化というところに若干引きずられている部分があるような印象を受けるので、それに対応したマネジメントをもう少し前向き、積極的な記載にした方が良い。

○ 現実として、国立大学における施設の老朽化は本当に深刻な状況である。そのため、財政当局に、しっかりと支援をしてほしいということを印象付けることが大切だが、この報告書の最後が「国の支援だけに頼らない施設整備が求められる」という記載で終わると、財政当局に対するメッセージが弱いのではないかと考える。記載の順番の入れ替えを含めて検討すべきである。

○ 5章では(1)は未来への投資、(2)も未来への投資ということで、ポジティブな雰囲気で最後に向かっている。例えば、(3)も「「未来への投資」に向けた国と国立大学法人等の協力体制」といったポジティブな文言に変えてはどうか。

○ この報告書が大学に対するメッセージでもあるということで、特に「未来への投資」に向けた施設マネジメントを推進するというふうになっていったとき、それこそ地方創生に向けて頑張らなければいけない地方大学のいわゆる施設系職員が、だんだん減らされているとか、なかなか知恵を出しづらい環境にあるとかというときに、ごく初期の段階に戦略や知恵を出せる体制を作るための文科省からのサポートというようなこともきっちりやるんだというようなことをどこかに記載されれば、これを見た大学側は安心するのではないかと思う。

○ 方向性の基本的な部分について、各委員の意見の中には反対、異なる意見は余りなかったと思うので、この方向でまとめさせていただく。それぞれの文言あるいは書きぶりについて御指摘いただいた点については、最終的な取りまとめは、委員長に一任ということにさせていただきたい。


(2) その他について
・事務局より、資料4に基づき、今後のスケジュールについて説明。


―― 了 ――  

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