平成30年6月13日(水曜日)14時00分~16時00分
文部科学省 旧文部省庁舎4階 文教施設企画部会議室
淺川委員、飯塚委員、大岡委員、川瀬委員、高村委員(主査)、鳥本委員、判治委員、渡邉委員(代理 佐藤氏)
平井文教施設企画部長、山﨑技術参事官、山川施設企画課長、笠原参事官、渡邉参事官補佐
(○:委員、●事務局)
・事務局より資料1に基づき説明
●今後の具体的な施策の検討に当たり、現状と課題を共有することを目的とし、文京区の御協力のもと本郷小学校、本郷台中学校に現地調査を行った。両校とも空調設備及びICT機器の整備といった高機能化が進んでいた。また、特に本郷小学校については地域開放も頻繁に行われており、エネルギーの使用量が近年増加傾向にある状況が見受けられた。両校とも省エネ活動を学校全体で取り組んでおり、省エネ対策に関する意識の高さが随所に確認できた。
・事務局より資料2及び参考資料1に基づき説明
●省エネルギーPDCAサイクルの推進について、「省エネルギー意識を高めるための取組」と「組織的な連携による省エネルギー活動の強化」の大きく2つのテーマについて整理をした。
「省エネルギー意識を高めるための取組」については、これまでの議論の中で、省エネルギー対策を継続的、組織的に推進するためには、まず省エネルギー意識を高めることが必要であるとの意見を踏まえ、基本的な考え方とその事例を整理した。
「組織的な連携による省エネルギー活動の強化」については、これまでの議論の中で、首長部局及び学校と連携して省エネ活動を行うことが重要という議論を踏まえ、省エネルギーPDCAサイクルの中で教育委員会が主体的に取り組む必要がある事柄と、首長部局及び学校と連携する際の留意事項を整理した。また、事務局で把握している情報の範囲で、PDCAサイクルのそれぞれの段階における事例を整理した。
・事務局からの説明の後、以下のような意見があった。
○「省エネルギー意識を高めるための取組」事例において、取組を実施する前後の実績などを、事務局側で把握しているか。本郷小学校、本郷台中学校を見学させていただいて、現場の先生のお話を聞くと、インセンティブがないと省エネが推進しないという印象を受けたので、今回提示して頂いている事例の実績などをより深く分析して提示するべきであると思う。
→●現時点では、取組の導入の経緯や効果については、把握ができていないので、そのような観点も含めて今後検討していきたい。
○6頁に紹介されている「外部機関の無料講師派遣を利用し、校長会にて省エネに関する研修を実施する」事例は、非常にいい取組であると思う。我々の教育委員会でも、外部機関の省エネ講習会をエネルギー管理担当者に対して実施したが、担当者留まりになって実務に反映されないこともある。そのため、管理職級に研修を実施することが有効であると思う。
○小中学校における実務については、「学校評価」が重要な位置づけになっている。文部科学省が出している「学校評価ガイドライン」の中でも、教育環境整備の評価項目があるが、その中に省エネに関する記載はない。もし、そのような評価項目が入れられるのであれば、学校にとっても意識が高まると思う。
→●「学校評価ガイドライン」を確認したい。
○PDCAサイクルも重要であるが、その前のスタートの部分も非常に重要であると思う。現在、多忙化している学校現場において、新たにやらなければならない事柄が出てくると、学校現場では抵抗感が大きくなる。省エネの取組を始めるに際しては、どうしてやらなければならないのかを明確にすることが大事であると思う。
→●教育委員会、首長部局及び学校それぞれ多忙の中、どのように効率よく省エネを推進していくかが重要であると考えている。首長部局の有する環境対策推進委員会に教育委員会も参画し、一体となった省エネ体制を構築している事例のような、既存のシステムをうまく活用している事例も紹介したいと考えている。
○学校の省エネに関しては、子供に対する教育の中身と施設の管理の連携が重要ではないかと思う。これについて、何か先進的に取り組んでいる教育委員会の事例はないのか。
→●実際に施設を使う人の関与についても、これから情報収集をし、反映していければと考えている。
○省エネ対策として、改修と運用の2つの観点があると思うが、お金が掛かるような省エネ改修は教育委員会が行い、学校側は運用を行うという分担で考えてよろしいか。「教育委員会が省エネを実施する」というのは、どういう認識でとらえてよいのか。
→●今回の検討会では、管理運用の部分を検討し整理していくことにしており、教育委員会の省エネの実施の役割としては、実行計画などの周知及び教育を担っていくことが重要と考えている。
・議題2の最後に、高村主査より最終まとめに向け、できるだけ多くの事例を集める必要があることから、鳥本委員の所属する「全国公立小中学校事務職員研究会」に御協力いただき、省エネ事例の情報収集を行いたい旨、提案。鳥本委員、了承。
・事務局より資料3-1及び3-2に基づき説明
●前回までの議論より、管理標準は学校現場の実状を踏まえ、利用者が理解できる内容として作成することが重要であるという意見を頂いている。
今回は、管理標準の設定のポイント及び活用の流れについて整理した。管理標準の設定のポイントとして、判断基準で示されている基準を、どのように管理標準に設定するかについて、今後手引にまとめていければと考えている。また、管理標準の活用については、設定、作成及び周知それぞれの段階で誰が何を行うべきかを解説したものであり、教育委員会単独ではなく、学校との連携が重要と考えている。
資料3-2では、「わかりやすい管理標準(例)」として整理をした。一般的な管理標準では設備ごとに整理をしているが、現場でのわかりやすさを意識し、部屋(教職員室、教室、体育館など)ごとに整理した。また、学校現場の教職員も省エネに取り組み主体であるという認識をもってもらうように、管理標準をベースとした遵守状況チェックシートを併せて整理した。
・事務局からの説明の後、以下のような意見があった。
○管理標準の活用の流れにおいて、ステップ0でエネルギー設備の実態と運用状況を報告するところから始まっているが、この前に報告の依頼のステップが実際にはあるように思う。そこで、現時点での事業所実態と運用状況の基本的なフォーマットがあるとよいのではないかと思う。
→●検討する。
○現状、我々の組織では教育委員会が多忙なため、管理標準活用の一連の流れを担っているのは首長部局の環境政策課であるが、資料のような形で教育委員会が参画していただければ、より学校現場も教育委員会と一緒になって取り組んでいく機運も高まると思う。
→○省エネ法の判断基準が改正され、エネルギー管理責任者、責任者を補佐する者、現場実務を管理する者の役割が明記された。今までは、教育委員会と学校の立場が不明確であったように思われる。これを機に、はっきりさせるよい機会ではないか。
○管理標準と遵守状況チェックシートのベースはデジタル、紙のどちらで考えているか。
→●今後の検討になるが、デジタル形式で提供した方が活用していただけるのではないかと考えている。
●管理標準のサンプルでは、例えばエアコンの運用は先生としているが、学校現場の実状として、各教室でエアコンをつけるべきかの判断を先生が行い、自分の教室はついていて、隣の教室は我慢しているというような事態が現場で起こる可能性があるのか御教示いただきたい。
→○全国的な傾向は不明であるが、本校では室温計・湿度計があるため、それをチェックしながら、エアコンをつけるべきかの判断を各先生が行っている。まず、第一に児童・生徒の健康を考えてエアコンの適切な利用に努めている。また、エアコンの使用により温度ムラが生じてしまうので、扇風機で拡散するなどの工夫をしている。
○教職員室及び事務室の照度は机上で何ルクスと定めているが、これは常時測るのではなく、定期的に測るのであれば、計測・記録か保守の項目にあるべきなのではないかと思う。また、過剰又は不要な照明は間引きなどをするとあるが、何が過剰で何が不要かをどうやって判断するのかなど、実際運用するに当たってはいろいろと戸惑う点があると思われる。
エアコンの設定温度についても、基準として室温で設定しているが、そのためには室温をあらかじめ温度計で測る必要がある。また、部屋の中でも温度は均一ではないので、先生が能動的に判断してやらないといけない状況があるのではないか。能動的に判断することは悪いことではないと思うので、部屋によって対応が違うということも仕方がないとは思うが、ルールを作ったら絶対に守らなければいけないと思う人もいるので、例えばエアコンであれば、まず第一に健康を守るためのものである旨を一言申し添えしておく必要があると思われる。
→●空調、照明も含めて管理値というのは少し幅を持たせて設定することが必要ではないかと考えている。また、児童・生徒に対しての適切な環境を守るということは、忘れてはいけないことと認識している。
・事務局より資料4に基づき説明
●第4回に向けた具体的な検討に入る前に、検討のポイントを整理した。学校の高機能化・多機能化等によるエネルギー使用量の変化の実態を把握し、その上で学校活動がエネルギーにどのような影響を与えているかを抽出することで、エネルギー使用量と密接な関係をもつ値の検討が行えると考えている。
エネルギー使用量の変化の実態把握には、設備ごとに分割して計測しているケースが少ないので、推計値・理論値などを用いながら分析を行い、エネルギー使用割合の見える化を図っていきたい。今後の検討としては、エネルギー使用量と密接な関係をもつ値を「単一要素で設定する場合」については、エネルギー使用量と活動要因の相関性の分析を行い、「複数要素で設定する場合」については、重み付けにより、複数要素の影響を考慮した設定手法を分析することとしたい。
・事務局からの説明の後、以下のような意見があった。
○エネルギー使用量は月別に集めるという認識でよろしいか。月別に集めることで空調のエネルギー使用量を大局的に把握できると思う。
→●月別を基本として収集していきたい。
○空調整備率の低いパターンBのような学校を標準にしたくはない。生徒の健康を確保するための環境が整えられた学校を標準にすべきである。
→●特に環境改善の過渡期にある学校に関しては、必要な環境を整えることでエネルギー量が増えてしまい、原単位が悪化してしまう傾向にある。省エネの努力が評価できる指標を検討していきたい。
○できればCO2濃度も調査できると望ましい。空調があると、換気をしないケースが多いのではないか。
→○管理標準の中にCO2濃度に関する注意事項を盛り込むイメージだと思う。
○我々の学校において、地域開放は、屋外や体育館の照明使用時間の増加につながる要因なので、地域開放が多くなることは、照明のエネルギー使用割合の増加に反映されてくるのではないかと思う。
○エネルギー使用量と密接な関係をもつ値について、相関分析を行うと思うが、大体何件くらいを対象として分析にかける予定か。
→●あくまで、傾向をつかむための分析を考えており、件数に関してはこれから検討するが、時間等の関係からも相関分析を行える程のデータ収集は困難と思われる。具体の整理については、主査も含め相談させていただきたい。
・議題4の最後に、高村主査より原単位の分析に当たり、必要に応じて専門家の協力を得ながら検討を進めていきたい旨、提案。一同、了承。
・事務局より資料5に基づき説明
●今後、報告書を作成するにあたり、大きく3つの柱立てで整理をしている。まず初めに、省エネルギー対策の必要性及び学校等に求められる取組とは何かについて、2番目として教育委員会の現状と課題、3番目に、その現状と課題を受けて、教育委員会における組織的な省エネルギー推進方策を具体的な手引きとして提示する方向性で、今後整理していきたい。
・事務局からの説明の後、以下のような意見があった。
○学校等のエネルギー消費動向に至るまでの流れはこれでいいと思うが、学校のエネルギー消費の実態が書かれていないことは問題だと思う。なかなかいいデータがないのかもしれないが、実態が分からないことには対策のしようがない面もあるので、学校というのは大体どのようなエネルギーの消費実態かを、管理標準の中で示す必要があると思う。また、管理標準には、原単位管理についても盛り込んだ方がよい。
→●原単位の整理と併せて検討していきたい。
○全体のタイトルが「学校等における省エネルギー対策について」ということであるが、第1章の小題目に全体のタイトルと類似したタイトル名が使われていることに違和感がある。第1章の内容としては、省エネルギー対策の基本的な考え方というような内容かと思う。
○6頁の「図2 国のエネルギー消費動向」における学校部門と「図3 事業区分別エネルギー使用量」におけるエネルギー使用量の全体の合計値は、どのくらいの割合をカバーできているのか。
→●「図2 国のエネルギー消費動向」に関しては、エネルギー消費統計のデータであり、「図3 事業区分別エネルギー使用量」は定期報告を頂いている特定事業者のデータなので、断片的な情報である。エネルギー消費統計のデータと特定事業者のデータのカバー率はどのくらいなのかは、今後分析していきたい。
・議題5の最後に、高村主査より今後の検討は学校現場の意見を反映させることが重要になってくるため、学校の現場実務を管理する者(校長先生、教頭先生など)を委員に加えたい旨、提案。一同、了承。
・事務局より資料6に基づき今後のスケジュール(案)について説明
エネルギー対策指導係
電話番号:03-5253-4111(内線)2324