学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議(平成28年度~)(第8回)・高等学校施設部会(令和元年~)(第1回)合同会議 議事要旨

1.日時

令和元年6月12日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省東館3階3F1特別会議室

3.議題

  1. 学校施設の在り方に関する調査研究について
  2. エコスクールの活用に係る事例集(仮称)骨子案について
  3. 幼稚園施設整備事例集(案)について
  4. 今後の高等学校施設の在り方について
  5. その他

4.出席者

委員

(委員) 天笠茂,五十嵐智浩,伊藤俊介,上野淳,織田克彦,片田敏孝,加茂紀和子,斎尾直子,高際伊都子,長澤悟,野中陽一,樋口直宏,北村公一,柴田功,菅野光広,多々納雄二,吉田宏(敬称略)
(特別協力者)丹沢広行(敬称略)

文部科学省

【大臣官房文教施設企画・防災部】平井文教施設企画・防災部長,山﨑技術参事官,笠原施設企画課長,森参事官(施設防災担当),西村施設企画課企画調整官,渡邉課長補佐,松下課長補佐,木村施設助成課課長補佐
【初等中等教育局】板倉教育課程課教育課程企画室長,稲葉参事官(高等学校担当)専門官
【高等教育局私学部】青山私学助成課助成第二係長

5.議事要旨

・事務局より資料1-1,2に基づき,協力者会議要綱の改訂及び高等学校施設部会の設置について説明。
・資料2に基づき協力者会議の体制について,資料3に基づきエコスクールの活用に係る事例集(仮称)について,資料4に基づき幼稚園事例集(案)について説明。
・議題(1)~(3)について,委員より意見。

○ エコスクールについては平成8年頃,大きな概念がまとめられ,それらを踏まえて整備されてきた施設や取組をどのように継承するかが大きな課題になってきている。具体的な取組と同時に,時間経過や関わる人々との関係性についても伝わるよう事例集を取りまとめていきたい。

・資料5に基づき高等学校施設を取り巻く現状及び高等学校施設指針の概要について説明。
・資料7に基づき新学習指導要領について説明。
・資料8に基づき指針改訂に当たっての主な検討内容(案)について説明。
・各委員による意見交換。

(○委員の発言,●事務局の発言)

○ 高校の場合,学区が広くなるため,地域や保護者の関わり方が大きく変わってくる。社会との連携を進めていく上で,各学校がどのような役割を担うのか明確化していくと良いのではないか。

○ ICT機器が導入されていく中で,教室空間にとらわれない授業や学習形態なども生まれてくると考えている。教育・学習方法と空間の関係性について議論する必要があるのではないか。

○ 少子化等も進む中で,各学校の特色を生かした学校づくりを行うことが重要になると考えている。また,学校の整備後に,どのように施設が活用されているのか調査するという視点も必要ではないか。

○ 地域から学校を見るとき,防災面は重要な要素になる。多数の高校が避難所に指定されていることを踏まえ,戦略的に防災部局と連携していく視点も必要ではないか。

○ 防災に関して,福祉施設等における避難確保計画が制度化され,施設単位で計画がつくられようとしている。学校においても,生徒の安全確保計画の部分を強化していく必要があるのではないか。

○ 小中学校と異なり,高校はより広い領域の「地域」や「社会」と関わることになる。この有識者会議を通じて,高校と地域との関係性を改めて考えたい。

○ アクティブ・ラーニングにおいて,どのようか空間が必要か,あるいはふさわしい単位は何かなど,教育の改革とあわせて,それらにふさわしい空間についても考える必要がある。

○ 公立であっても地域住民に卒業生が多いわけではないのが高校の特徴である。そのことを踏まえ,周辺あるいはより広域の地域における高等学校の存在意義を考え直すべきではないか。

○ 学びのニーズが多様化している中で,公立であっても小中学校以上に各校の個性化を図っていくことが重要であるという視点を学校施設整備指針に入れてもよいのではないか。

○ 少子化が進むことで,特に地方都市や農山漁村地域において,高校の選択肢が狭まっていくだろう。また,それゆえに学生寮の重要性も高まるのではないか。空間整備を考える上で,そのような生活側面についても検討していく必要があるのではないか。

○ 将来的に,少子化により高校に入学する生徒数が減っていくため,高校施設のダウンサイズあるいは,一層の拠点化を図るという視点についても考える必要が出てくるのではないか。また,一種の集約化と思われるが,学生寮が増えてきており,高等学校と通学圏や地域との関係性が多様になっている。

○ 時間や場所に縛られない個別最適化された学びが議論されている。この場に収まらない観点かもしれないが,通信制など多様な学び方への対応についても忘れてはならない視点ではないか。

○ 設備の話になるが,コンピュータベースで行う試験など新しい時代の教育に対して,設備や通信網をどのように整備するのかは,学校現場における課題の一つになっている。

○ 高校に関しては,小中と同等以上のICT環境の整備をベースに考える必要がある。探究活動のような学びのためのICT環境整備や教室空間の広がり,さらには遠隔教育のような情報環境の整備やそれらの学校内での位置づけについて議論することは重要だと思う。

○ 学校施設整備指針はどのような方に向けて発信されているのか。この種の指針や情報は,今まで以上に多くの教育関係者に伝える必要が出てきていると感じている。学校の立場からこれらの情報をうまく活用できる方法についても検討すべき視点の一つではないか。

●学校施設整備指針は,学校設置者である都道府県及び市町村等に対して,製本したものを届けるとともに,ホームページにおいて公開している。ご指摘いただいた学校現場での活用については今後更に検討してまいりたい。

○ 高等学校改革を施設の課題としてどのように捉え直すのかという観点や,学習の集団や学習形態・方法が多様化する中で,学習空間の枠組みそのものを捉え直すという観点もあるのではないか。

○ 自立的な学校生活を生徒たちが送るための空間や施設の在り方についても検討課題の一つだと考えている。

○ 働き方改革だけでなく,高等学校の教育改革を進めていく上で,教職員スペースの在り方あるいは,教職員スペースを構成する要素についても議論できると良い。

○ 社会が大きく変わる中で,リーディングスクールとなるような新たな考え方を示すという観点と,多数を占める既存の学校をどのようにするのかという観点の両者について考えることが必要なのではないか。

○ 都道府県立の高等学校は,小中学校と異なり,地域の公共施設全体のマネジメントとあわせて整備を検討することが難しく,高校だけで課題を解決しなければならない状況が見られる。深刻な老朽化に加えて,教育改革という非常に大きな節目にある時期において,国の支援の方法についても考える必要があるのではないか。

○ 老朽化が進行している学校では,修理や更新を行うことで手一杯という状況もあるため,それらの抜本的な解決方法を考えていかなければならないのではないか。

○ 統廃合も進み,生徒の多様化が進んでいる。特別な配慮が必要な生徒への対応や,学力等への幅に応じた習熟度別の授業への対応などについて,施設整備の点からも考えていきたい。

○ 高等学校の施設整備を考える上で,教える視点,学ぶ視点,地域の視点の3つの視点が大切だと考えている。具体的に言うと,教師がICT機器を活用した教育ができるようになるための研修環境の整備,特別な配慮を必要とする生徒や日本語を話すことができない生徒等の視点を踏まえた環境整備,防災や安全,コミュニティスクールとしての環境整備といった視点について,考える必要があるのではないか。

○ ICT環境の整備について,施設整備の議論の中に入れていただくことはありがたい話。ICT環境整備の状況が様々である中,どのような自治体においても参考となるよう段階的に整備を進められる絵を示すことも大事ではないか。

○ ICT環境整備の方向性については,様々な選択肢があることを指針の中でも示せると良い。

○ 専門学科,職業教育の充実として,施設や備品を適切に更新していくことも重要な視点だと考えている。

○ 島根県では隠岐島前高等学校をトップリーダーとしながら,県全体で各高校の個別化を図る取組を進めている。特に学校が拠点となって地域を創生するため,県外からの入学生も積極的に受け入れている。多文化共生協働を進めるためには,寮や学校の中における食堂など,学びの中にある暮らしの視点について議論することが必要だと考えている。

○ 開かれた教育課程を実現するため,地域や小中学生あるいは県外・国外との交流ができる施設・設備の整備や更新が必要ではないか。

○ 主体的・対話的な学びを進める上では,生徒と教師の間の交流を促す環境づくりも必要な視点だと考えている。

○ 職員室のバリアフリー化は非常に重要な視点であり,職員の中にコーディネーターなど多様な人材が存在してくる中で,これらの人たちの居場所についても考える必要がある。

○ 図書館がより情報センターとしての機能を持ち,学校の中で重要な役割を担っていく必要があるのではないか。

○ 多くの高校で施設の老朽化が進んでおり,その長寿命化に取り組む中で,限られた予算を有効に活用して,効果的な教育・学習が行えるよう工夫していく必要がある。一方で,広島県においても公立の中高一貫教育校で最新の施設・設備を取り入れた学校づくりを行っている。そのような先進事例やそこでの教育に関する研究を通して,県内全体の施設・設備整備の在り方について検討したいと考えている。

○ 中学から高校に上がる過程で成長を感じられるような施設環境といった視点についても議論できると良い。

○ 教え方あるいは学び方と学校・教室空間の関係性については,大きなターニングポイントに来ているのではないか。大学に整備しているアクティブ・ラーニングスペースは,予想外の利用率をあげており,これこそがこれからの学校,学びの場所の一つの姿ではないかと考えている。

・以上で,意見交換を終了。
・事務局より今後のスケジュール及び現地調査について説明。

―了―

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大臣官房文教施設企画・防災部施設企画課

指導第一係

(大臣官房文教施設企画・防災部施設企画課)