特別支援教育の在り方を踏まえた学校施設部会(第4回)議事要旨

1.日時

令和4年1月28日(金曜日)14時00分~16時00分

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンラインにて開催

3.議題

  1. 新しい時代の特別支援教育を支える学校施設の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

(委員) 阿部一彦,青木隆一,市川裕二,岩井雄一,上野淳,喜多好一,倉斗綾子,菅原麻衣子,諏訪肇,髙橋儀平,丹羽登,原田公人,森由利子(敬称略)
(特別協力者) 齋藤福栄(敬称略)

文部科学省

【大臣官房文教施設企画・防災部】 磯山施設企画課長,廣田施設企画課企画調整官,髙草木施設企画課課長補佐

オブザーバー

【大臣官房文教施設企画・防災部】 久芳施設助成課防災・減災企画官,鶴見施設助成課指導係長
【初等中等教育局】 宇野特別支援教育課課長補佐

5.議事要旨

(○委員の発言,●事務局の発言)
 
・事務局より出席者の紹介、会議資料の確認
・事務局より資料1に基づき、委員視察の概要について報告
 
○ 刈谷特別支援学校の平面図について、小学校専用部分と特別支援学校専用部分の配色が見づらいので修正できないか。
 
○ 刈谷特別支援学校は、刈谷豊田総合病院との連携により看護師が派遣されているなど、重複障害児への対応も含め徹底しており、好事例であるという印象を受けた。電源確保の重要性も事例を通じて明確に理解することができる。
 一方、送迎スペースの屋根は駐車場の面積に対して、もう少し大きくてもいいのではないかと感じた。
 大阪南視覚支援学校について。広い机に落下防止のためのエッジが有るものと無いもので多様化されている印象だが、このエッジは一定以上、有効に活用できると思う。
また、特に重複児童のためのクールダウンスペースが各階に必要だという話もあったが、今回の視察を通じて一層重要性を感じた。
 視覚障害者に関連して、建築計画の観点から柱の配置計画についても留意が必要。例えば、2階以上の基準階の柱を基準に1階の計画がされると、1階の玄関からホール周りに不具合が生じる様子。例えば、点字ブロックによる連続的な誘導が困難になるシーンも見受けられた。
 
○ 特定の学校名を挙げながら、整備上の課題を取り上げた写真が多く掲載されている様子。転用した普通教室では消防上の問題はないのか、配膳室として使われる1階廊下で衛生上の問題はないのか等、疑問を持たれることもあるかもしれない。今後の写真の扱いの見通しについて伺いたい。
● 視察の趣旨として、好事例を取り上げる一方、課題を捉えることも重要。今回の資料では課題も含めて記載したが、最終的な取りまとめの際には、報告書の趣旨を踏まえて改めて検討したい。
 
○ 刈谷特別支援学校の視察では、重度のお子さんが一生懸命、補助具をつけながらも勉強している姿に感銘を受けた。
 空間に係る議論とは少し異なるが、設備的な部分で、今後、学校が特別支援学校に転用する話や、兼用する話が出てきたときに、様々な学校で電気容量が問題というのはよく聞いている。普通学校でもよく聞かれるが、特別支援学校でも同様に電気容量が問題となっていて重要な観点であると感じた。
 
 
・事務局より資料3に基づき、報告書素案第1章について説明
 
○ 第1章に関して。この「新たな時代の特別支援教育の在り方」の中から今後の特別支援教育の在り方についてまとめることは重要。自身も大阪の生野聴覚支援学校に行った際も、聴覚支援や視覚支援の場合は、地域で障害のある子どもを対象に、かなり広域にわたって支援をしていたようであった。
 「新しい時代の特別支援教育の在り方」の報告にも、特別支援学校のセンター的機能をさらに充実していく記述があり、本部会の報告書でも総則の部分ではセンター的機能について言及されている。1章の2ページの下から始まっている1-2にあるが、今後、障害のある子がさらに通常の学校に行くことを想定すると、通常の学級で学ぶ障害のある児童生徒を念頭に専門的支援を行う特別支援学校のセンター的機能等の充実について言及することは重要。
 
○ 2-2の「避難所としての」という部分と、2-5について。これは支援学校に限った話ではないが、避難所として使用するときに、電力供給が困難になった状況でもある程度の快適性を確保できるように配慮が必要。例えば、自然通風や、建物の断熱などが考えられるが、特別支援学校では、室内環境の観点について一層配慮が重要となる。パッシブな環境づくりの観点も踏まえ検討を行ってはどうか。
 
○ 4ページの最後の5行について。文章を読むと、防災担当部局が中心になって、避難所として想定される学校ごとに防災計画をしっかり検討した上で、整備を進めていくのだと理解した。地域の防災計画に基づいて、防災上どこの学校が避難所になり、そこでどのような対応をするのかという姿勢だと思う。一方で、学校の施設整備は都道府県や市区町村の教育委員会が行うので、整備指針でどう位置づけるのか、もしくは理解すればいいのか、わかりやすく表現する配慮が必要。どの部局が、どの学校に、どのような機能を想定し整備を行うべきなのか、この点について読み手に混乱が生じないようにしたい。
 
○ 「新しい時代の特別支援教育」について。昨年度、改訂された学校施設のバリアフリー推進指針があるが、これを踏まえて検討することが重要。指針のなかでは、共生社会の形成に向けた障害者の権利条約、インクルーシブ教育、差別解消法等について言及しているので、双方の方向性については問題ないと思う。また、指針の改訂案を見ても、各所で一昨年の12月に改正された指針を併せ持つような形で調整されているのはありがたい。
 一方、障害者の権利条約で非常に重要だったのは、障害というものを医学的モデルではなく、社会的モデルとして位置づけたこと。なので、特別支援教育の学校施設の在り方の中で、障害の克服というような概念がずっと継続している点が気になる。一人一人の子どものニーズ、教育的ニーズをどういうふうに環境側は対応するのか、社会モデルの考え方を踏まえて進めていくということを言及してもよいのではないか。
 
○ 2ページ目の1の(2)の特別支援教育を巡る状況の変化に関する記載について。特別支援学校の設置基準に併せて施設整備に触れているが、小中学校、高等学校にも共通する話として学校施設整備指針の中で特別支援学級での通級による指導や、通常の教室、通常の学級にいる特別な支援を必要とする児童生徒のための指導上必要な空間等にも触れられている。その部分に関して国として指針を出していることを強調してもよいのではないか。
 
○ 災害時の施設利用について。特別支援学校の児童生徒数はもともと人数が少ないので、避難所として多くの方々が利用する体育館等を想定すると、トイレが非常に小さい。なので、キットや簡易式のトイレの整備や対応も必要になるが、特別支援学校だけでは想定が難しい場合が多いため配慮が必要。同様に、Wi-Fi等の整備についても、基本的に体育館は授業で使用することしか想定していないので、Wi-Fi等を効果的に使用できる情報通信環境の整った施設にしていく必要がある。在籍する児童生徒数が少ない点と、避難所などとして使われるときの人数の差を理解して準備していく必要がある。
 
○ 4ページの2-2に激甚化・頻発化する災害への対応として、福祉避難所等に関する記載について。前提として、特別支援学校自体が気象災害などの危険がある場合もあるのではないか。ハザードマップ等で被災の危険性があると分かった場合に、その学校自体はどのような整備が必要かを示すなどの配慮が必要ではないか。ハード面及びソフト面ともに、どのように対応をしていくかを検討する必要がある。
 
○ 避難所関係の記載について。特別支援学校が障害のある方々の避難所として重要な役割を持つというのは大前提として、特別支援学校自体の数が少ないこともあり、地域によってはそこへ避難するということ自体が難しい場合もある。
 インクルーシブ教育時代に入って共生社会等を前提とした報告をするのであれば、むしろ通常の学校においても障害がある人に対応できるような避難所としての機能を高めていくことが重要であり、その点について言及が必要。
 
○ 防災担当部局との書き分けについても重要。防災計画の検討ついては、防災担当部局が中心になって行うことになる一方、安全な場所に特別支援学校等を作るための検討は施設整備部局が中心になって行うことになるので、読み手として想定する部署によって書き方が変わる点は注意が必要。
 
 
・事務局より資料3に基づき、報告書素案第2章1・2について説明
 
○ 1-1の交流及び共同学習を前提とした計画という記述について。この交流及び共同学習というのは、障害者基本法の中に書かれている、または学習指導要領にも明記されている言葉。この言葉の使い方を考えると、障害のある子供たちと障害のない子供たちを二元論的に捉えることとなるが、一方で、共生社会というのは障害のある子どもたちと障害のない子供たちの二元論として捉えられないことは共通の認識である。
 交流及び共同学習の舞台は、特別支援学校と小中高等学校、または特別支援学級と通常の学級となる。例えば、通常の学級に障害のある児童生徒と障害のない児童生徒がいたときに、現場の先生方の捉えによってそれは交流及び共同学習ではなく、そもそも一緒に学んでいるという考え方になるし、自身もそう捉えている。すると、ここで交流及び共同学習を前提にすると、前提とするものが限定されてしまうので、書き方として、「交流及び共同学習を含めた多様な子供たちが共に学ぶことを前提」とするなど書き方を工夫してはどうか。
 次に、1-3の施設の併置・併設等の多様な設置形態への対応について。特別支援学校と小中高等学校の併置・併設、または障害種をまたぐ、例えば視覚障害と知的障害の併置・併設という形で、その両面を明記していただいたことに感謝。これに関連して、適切な規模の計画を検討するにあたり、児童生徒数の増減については考慮が必要になる。例えば、視覚障害特別支援学校の場合は児童生徒数が少ないが、児童生徒数のみに着目することでどんどん学習環境が狭くなることを危惧している。こうしたことを踏まえ、数の増減だけでなく、障害の特性も踏まえて、適切な規模の計画とすることが必要と言及すべき。
 
○ 8ページの障害のある子供とない子供の記載について。今の議論と関連するが、特別支援教育とは障害のある子どもたちの在籍する全ての学校で実施するという大前提をふまえ、障害のある子どもが自立や社会参加に向けて持てる力を高めていくことが重要。これを考えると、第一に来るのは交流及び共同学習ではなくて、全ての学校で特別支援教育が行えるように施設整備を行うというのが最初に来る必要があるのではないか。
 なので、構成としては、まず、全ての学校において特別支援教育の充実が必要であることを述べた上で、次に、交流及び共同学習に言及することになると思う。いずれにせよ、全ての学校において特別支援教育が行われるという前提を強調する必要がある。
 
○ 1点目は9ページの施設の併置に関する記載について。小中学校等に特別支援学校を併設するケースは視察でも多くあった。小中学校の児童生徒が減り、特別支援学校の児童生徒が増えるというのは前提だが、そもそも共に学ぶということをコンセプトに、併設をすることでどのような良さがあるのか伝われば良い。また、物理的に併設するだけではなくて、児童生徒や教員同士が生き生きと利用できるような設計とすることが必要、という旨の記載があれば良い。くわえて、施設計画などに具体例が出てくると良いと感じた。
 2点目は13ページの医療的ケアについて。これは刈谷特別支援学校の視察の際にも言及したことであるが、医療機器や医療の専門的知見を踏まえ整備を行うことが重要である旨は、報告書のなかで記載が必要と感じている。
 3点目は14ページの寄宿舎について。寄宿舎は生活の訓練を行うといった観点からとあるが、寄宿舎をそもそも設置しなければならない趣旨は、法的には訓練を行うためではないものと認識している。寄宿舎教育という言葉が使われる場合もあるが、『日常生活指導の場として活用する』などのように書き方を工夫し、本来の宿舎の目的や趣旨が失われないようにしたい。
 
○ 既に指摘されているが、1-1の交流及び共同学習を前提とした計画に係る記載について、他の委員の意見と全く同じように賛成。共に学ぶことを前提とした多様な学びの場の計画ということで、通常学級の学習活動の中でも、障害のある子が一緒に席に座って学ぶということが十分あり得るため、それを前提とした計画という形に表現を修正すると良いのではないか。
 
○ 9ページの施設併置・併設に関する記載について。既に指摘されているが、各都道府県の教育委員会において、この児童生徒数の増減への対応、特に増への対応を迫られているところ。一方で、教育委員会も今後の見通しが立てられないなか、対応・調整を行うことが難しい。
 こうしたなかで、刈谷のような事例や、秦野のような県立と市立が連携するような事例は意義深いと感じる。こうした小中学校や設置者間の連携は、施設整備の検討にとどまらず、ソフト面の連携も前提に進めることが重要であるので、何か言及することができれば良い。
 
○ 13ページの自立の観点について。自立というのは、単に1人で何かができる、というだけではなく、どちらかといえば様々なものを使ったり人に依頼したりすることも含めて、自立を捉えていく必要がある。例えば、自らが様々な施設や設備などを活用したり、制度を活用したりといった意味の自立について、施設の利用を通じて児童生徒の自立を促すような記載があれば良い。自立ということに関しては、様々なものをうまく活用するというのは大切な観点となるため言及したいところ。
 
○ 今の指摘と同様の意見。加えて、9ページの1-3について。様々な施設の報告で多目的室や、多目的ホールについて言及されているが、将来的に備える、または様々な形で子供に対応可能な環境を整備するという観点も踏まえ、状況の変化に対応できるフリースペースのようなものについて言及があった方が良いのではないか。今後の状況の変化を念頭に整備を進める必要がある。
 また、障害種別と言いながら、特別支援学校は様々な障害に全て対応するという前提があるので、多目的室、多目的ホール、フリースペースについて言及しても良いのではないか。新しいものを整備するというだけでなく、既存の施設をどのように有効活用していくのかという観点からも検討していく必要があると思う。
 くわえて、昨今は連携という言葉がキーワードになっており、この部分は施設の共有や避難所とも絡めて議論がされてきた。こうしたなかで、多機関連携という多くの機関と連携する中でセンター的機能をうまく活用することは重要な観点となるので、併せてどこかで言及できれば良い。
 
○ これまでの議論でも交流及び共同学習の話があったが、委員の意見に賛成。こうした観点にはしっかりと注釈を入れておく必要がある。この内容については、1-1か1-2で記載をしていくのがいいのかなと思っている。
 2点目として、共に学ぶ計画をしっかりと位置づけてもらい、この後17ページにも記載されているが、現在、ユニバーサルデザインの考え方に基づいた施設設備が多くの場所で実施され小中学校でも進んでいるので、このことにも触れることができれば良い。
 3点目として、第2章の1-2の学級と通級指導への対応、9ページの一番上のところについて。特別支援学級の教室配置について言及いただき感謝。一点、3行目のところで「最適な位置になるよう配慮することが望ましい」とあるが、最適な位置に教室を確保することが全国的に課題になっているので、可能であればもう少し強調したい。
 また、排泄指導等に対応した広さのトイレについて記載があるが、この後の記述の中でバリアフリートイレというのがあるので、統一しても良いのではないか。
 
○ 8ページの後半の赤字で追加されている3行目「さらに」からについて。「障害種ごとの幼児児童生徒の数の増減や居住分布等を踏まえ」とあるが、居住分布という言い方は、人口密度や立地の問題ということなのかなと感じた。むしろ単純に地域特性に近い言葉なので、立地特性というとアップダウンの意味合いとなるし、山間部などの意味合いにもなるので、その辺りをうまく表現していただきたい。
 2点目は11ページについて。これは他の箇所に関連するが、視覚障害だけに限らず光や音などに対して総合的に敏感になる人たちについて。関連する記載箇所には複数の障害を入れ、調光だけではなく遮音の問題も追加してはどうか。
 3点目は1-3の施設の併置・併設等の多様な設置形態について。これを読んでいくと、最初に特別支援学校と小中学校等を併置・併設する場合について挙げている。小中学校等と特別支援学校のどちらが主体になっていくかということになると、小中学校等に特別支援学校を併設という言葉のほうが、議論の流れからするとふさわしいのではないかという印象を受ける。それぞれ全体を通じて表現の仕方について見直していただければと思う。
 
 
・事務局より資料3に基づき、報告書素案第2章3・4について説明
 
○ 4-4の「社会的要請を踏まえた安全・安心・快適な空間づくり」の最後にある4-3「教職員の働く場」に係る記載について。これは2の「一人一人の教育的ニーズに応じた教育を支えるための施設の充実」の項に入れるほうが良いのではないか。
 また、特別支援を必要とする児童生徒数の増加に伴い、同様に対応する教職員も増えているということ。実情を見ると、職員室がかなり狭くなっていて、先生方は体力的にも肉体的にもお疲れの様子であり、休憩スペースはもちろん、執務についても環境が十分でないように見受けられた。こうした内容は、子供たちの学習を支える環境として位置づけても良いのではないか。
● 教職員の働く環境を社会的な課題として捉えるか、また教職員も含めたニーズに応じた教育環境の整備の課題と捉えるかということかと思う。両面から言えることなので、位置づけは改めて検討させていただければと思う。
 
○ 17ページの視覚障害者誘導用ブロックに関する記述について。ここはもっと丁寧に書き込んでもいいのではないか。実は屋内も屋外も国土交通省がガイドラインを出しているので、例えば国土交通省が示すガイドラインを踏まえて敷設することが望ましいという書き方も良いと思う。そうすれば、読み手は併せて国土交通省のガイドラインを参照することもできるためこのように考えた。
 また、15ページの避難所の防災機能のところで記載のある発電機について。太陽光発電、ディーゼル発電装置、LPガス式の発電機ということで、簡易的な発電機について言及されているが、そもそも報告書の冒頭にカーボンニュートラルに関する記載がある。こうした脱炭素という基本的な考えがある中で、ディーゼル発電機の記載は問題ないか。一方、防災のために発電機を適切に整備するという趣旨もあるので問題はないのかもしれないが、この点については一度確認が必要。
● 防災の担当部局、環境関係の担当部局とも同じ文教施設企画・防災部なので、調整して表現を検討したい。
 
○ 17ページの4-1のバリアフリー・ユニバーサルデザインについて。冒頭に「特別支援学校だけでなく、小中学校等においても」という説明が入っているが、この2章の1、2、3、4のうち、1は小中学校や特別支援学校、そして2、3、4は主に特別支援学校に関する内容となるので、ここに小中学校等に関する記載があると読み手の理解が難しくなるのではないか。
 また、バリアフリー・ユニバーサルデザインは、書いてあるとおり、小中学校等にも係る内容なので、最初の説明と齟齬があるように思う。この構成と、表現については一度確認が必要。
● 指摘のとおりと思う。実際には2、3、4については特別支援学校中心に書いており、小中においても必要なものを書いているが、あえてここだけ主語が明確に書かれているので、理解が難しくなっている。この点は同様の記載を2章の1に再掲するか、この部分の主語を抜くなどの整理をしたい。
 
○ 15ページの災害時の避難所としての機能について。最初の「特別支援学校が福祉避難所としての防災機能を担う場合」の箇所は以前からこうした記載と認識しているが、これは、防災機能という表現で良いのか。防災というより災害への対応の意味合いなのではないか。もちろん、これから起こる災害のために先に避難することもある。本県でも、特別支援学校のバリアフリー化は進められているものの、防災機能を担うとまで、言葉の使い方として言えるのかという点については疑問を持った。
 
○ 17ページのバリアフリー・ユニバーサルデザインに関する記載箇所について。共通する部分が多いということと、特別支援教育に対する教育環境をどうするかということなので、まず移動の円滑化に関して、経路のアクセシビリティの観点からエレベーター等に言及する必要がある。また、バリアフリートイレについても同様。一般の小中学校では、既存の学校等、様々な条件により整備が難しい部分もあるものの、望ましいではなく重要という必要があるのではないか。
 また、その下の性同一性障害という表現は医学モデルを表すもののため、一般的に最近よく使われる性的マイノリティーのほうが適切と思う。
 
 
・事務局より資料3に基づき、報告書素案第2章3・4について説明
 
○ そもそも「はじめに」で、改訂の経緯等をいつも示しているが、今回の改訂の趣旨が何かということは重要。そのうえで、この指針を誰が使うのか、誰が一番参考にするのかという点について。特別支援学校の管理職や、教育委員会の設置者が見るということはあるが、今後はさらに多くの人に見ていただく必要があるのではないか。この点を「はじめに」等で触れることができれば良い。
 以前の議論の中でも言及したが、何十年に1回しか施設を建て直す機会はないので、既存の施設で工夫する点を盛り込めれば、今後、施設整備について課題を抱える自治体や学校が参考にすることのできるのではないか。
● 学校施設整備指針は、教育委員会の皆様にご覧いただく一方、かなり詳細にわたる記載もあり、実際の使われ方としては、教育委員会が設計者に対して指針の記載内容を提示しながらコミュニケーションの手段として利用する場合が多いと思う。
 誰が使うかということを考えると、多くの人にとって読みづらい部分もあるため、この指針自体をどうするかというよりは、ここに記載の内容を、文科省が今後どのように自治体に表現していくか、という点が課題。この点も含めて考えていきたい。
 
○ 本日の前半の議論をふまえ、やはり一番気になっているのは最終的なタイトル。一連の議論は、特別支援学校施設整備指針の改訂を目的とするものだが、どちらかと言えば特別支援教育に関わる学校施設のほか、全ての小中学校、特別支援学級、あるいは特別支援学校の整備の指針を示すことが大きな狙いとしてあるのではないか。法的なさまざまな拘束力はあるものの、全体の改訂の方向としてはこうしたものがある。そのうえで特別支援学校で行われてきた運用の経験を踏まえ、バリアフリー化等の整備の在り方が、小中学校や特別支援学校の整備にも有効なのだということを表現していく方向性となるのではないか。また、これはこの場の議論に収まるものではないが、タイトルにも若干検討の余地があるのではないか。
 
○ 最後に、この報告書と整備指針は、まさに新型コロナウイルスとの闘いの最中に出ていくことになる。そうしたときに、感染症の観点についてもしっかり議論していることをメッセージとして示した方が良いのではないか。例えば、13ページの2-3、医療的ケアの対応について「医療的ケアを行う教室においては、感染症予防の観点から云々」とあり、これは当然、一つの教室だけではなく、小中高全ての学校、教室において言える。なので、ここにも書いた上で、さらに総論の中でも書き込んでいったほうが良いのではないか。
 
 

―― 了 ――

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大臣官房文教施設企画・防災部施設企画課

指導第一係

(大臣官房文教施設企画・防災部施設企画課)