新しい時代の学校施設検討部会(第1回)議事要旨

1.日時

令和3年2月15日(月曜日)13時00分~15時00分

2.場所

オンライン開催

3.議題

新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方について

4.出席者

委員

(委員) 赤松佳珠子,天笠茂,倉斗綾子,中馬英和,長澤悟,野中陽一,毛利靖,吉田信解(敬称略)
(特別協力者) 丹沢広行(敬称略)

文部科学省

丹羽文部科学副大臣,鰐淵文部科学政務官
【大臣官房文教施設企画・防災部】 山﨑文教施設企画・防災部長,森施設企画課長,野沢施設助成課長,廣田施設企画課企画調整官,渡邉施設企画課課長補佐
【初等中等教育局】 岩佐文部科学戦略官

5.議事要旨

・丹羽文部科学副大臣より挨拶。
・長澤部会長より挨拶。
・事務局より,資料1及び資料2,資料7に基づき本会議についての趣旨や背景,検討スケジュール等の説明。
・初等中等教育局より資料4に基づき中央教育審議会の答申について説明。
・事務局より資料3に基づき主な検討事項及び論点案の説明。
・天笠委員から,資料11に基づき「新しい学び」について説明。
・野中委員から,資料12に基づき「ICT活⽤の観点から⾒た新たな学びの姿と教室環境」について説明。
・毛利委員から,資料13に基づき「つくば市・みどりの学園の先進的ICT教育」について説明。

(○委員の発言,●事務局の発言)

○ タブレットを使った授業では,共有,シェアということがキーワードになってくる。今までは先生が情報の発信源であった授業が,先生からだけでなく児童生徒の間や外部の方からでもタブレットを介して色々な情報が自由にシェアしやすくなっていっていると感じる。
 これまで教室を設計するときには,黒板があって,先生がいて,黒板がみんな児童生徒によく見える角度であるのかとか,光はうまく入っているのかということを考えてきたが,これらはタブレットで全て対応できてしまう。一方,教室の中で生身の人間が同じ環境をシェアしているときにできることに対して,どういう環境をつくってあげるかというような見方が必要になる。

○ オンラインになって,メリット,デメリット両方あるが,タブレットになると一人一人に対して,同じ情報が同じ大きさで映るようになった。目の前できちんと見えながらやれるため,理解度が随分違ってきており,そこについてはメリットだと感じている。
 学校の中でタブレットやパソコンを使って理解しながらも,みんなでそこで集まって,空間を共有して身体的な部分を何か共有してやっていくということの切替えをどういうふうに今後考えていくのかということが重要である。
 これからは,従来の一斉講義型授業で,前を向く形式とは明らかに違った場面が増えてくるので,例えば教室の大きさや形態が,どう関わってくるかなど,今までの概念ではない学習環境を議論する上では非常に大きな転換期である。
 また,地域の人たちや学校外の人たちと情報交換をするときに,ただ単にオンラインでということだけでなく,子供たちが外にも出て行くし,外の人たちが学校の中にも入ってきやすい環境づくりも大切ではないか。地域の拠点としての学校の考え方を今後積極的に考えていくということ,両方のメリットをどのように生かしていくのかということがすごく重要である。

○ 資料11について,中教審では,今後の学びの在り方,いわゆる一般的な授業の形態として,いわゆる個別の学びと協働の学びの往還で,それ両面をと考えられているということだが,簡単に言うと例えばどのぐらいの割合をイメージしているのか,議論がされたのか伺いたい。
(上記に対する発言)
○ 例えば,1単位時間の授業を前提にしたときには,まず一斉にやって,そして個別に学習を進めて,そして最後に全体でまとめるというのが,日本の授業の基本的なスタイルということになるかと思う。仮にそうだとすると先の10分,終わりの5分とか10分,15分ぐらい,そして残りの間の30分とすると,4対6とか5対5という分の割合で出てくる。
 また,単元で授業を考えたときには最初の単元と終わりの単元は全体でまとめる。最初は大体一斉にやって,そしてあとは個別的に展開するような単元の設計をされるというのも,個別の学びと協働の学びの往還であり,その単元のレベルで事柄を見ていくというのが一番大切であると考える。
 少なくとも協働的な学びと個別最適な学びということについては,相応にあり,その中に今回とりわけICTの可能性を探っていくとすると,これまでの割合が変わってくることが考えられる。
 それらのことについては,協働的な学びと個別最適な学びを教育課程で捉えていく必要があると思う。
 また,学校と地域の関係を見出す場合にはやはり教育課程で事柄を見ていくということの必要性があると思う。
 新しい学びというのも,1単位時間を前提にして,1単元を前提にして,1教科を前提にして,そして教育課程を前提にして,幾つかのレベルを前提にしながら,それを構造的に組み合わせていくという形で,新しい学びの在り方を捉えていく。そこにICTというツールをどういうふうに駆使していくと,新しいアイデアが出てくるかどうかというあたりの,そんな組立て方ということが考えられると思う。

○ 資料13について,実際に様々な学習活動の写真を見せていただくとグループで座っているような写真が多かったが,実際に一斉で学ぶ授業はどのぐらい残っているのか伺いたい。
(上記に対する発言)
○ 1単位時間,すべて一斉授業かグループ活動であるというよりは,やはり最初のところは一斉でやって,途中にグループやペアでおこない,最後にまとめるということが多いので,授業の半分ぐらいは一斉学習であると感じている。
 特に,1人1台端末による授業では,一斉授業のように前を向いていたとしても,実は個別学習だったりするので,見た目だけでは,一斉授業なのか個別学習なのかグループ活動なのか,先生がどのように教えているのかというのは分からなくなっている。

○ 今までの一斉授業やその学級集団での志向というのは日本の先生方のお得意芸というか,板書も含めて授業文化であって,そう簡単には変わらないと思う。ただ今後はその割合も変わる可能性があると思う。

○ 授業文化は,非常に大切である。それは一斉授業をどう定義するのかであり,先生の立場に立って認識することが大切である。
 また,既にこれまでも指摘されてきたが,授業で大切なのは問題解決型の在り方であり,これからも一つの授業の在り方として大切である。
 そのとき,日本の先生の得意技は,1人では達し切れないところを,互いのコミュニケーションを通しながら,それぞれの子供を高みに達せられること。そのような手だてを非常にお持ちの先生がいる。いずれにしても数十人の子供が互いの関係をつくりながら,お互いの高みを目指していくというスタイルの在り方を大切にしていくことによって,新しい学びを生み出すということが大切であると思う。

○ 学校施設の課題としては,先導的モデルで説明のあった,例えばメディアルームといったお話では,まず改修経費等の確保が必要になる。
 都心部を中心に,マンションの林立が進んでいるところがあり,かなり学級数が増えている学校もある中で,そもそも新しい教室を確保できるのかというところも課題となっている。
 今回,いよいよ小学校,35人学級の導入が進んでいるが,子供たちにとっては大変きめ細やかな教育が進む一方で,教室が増えるため,各学校の実情に応じて,モデル的な取組が全ての学校に広げていけるのかというところは少し課題であると考える。

○ 学校は数が多く,とにかく既存施設が膨大にあるということで,それに対してどう新しい学校施設づくりの課題に応え,実現していくかというのも大きなテーマだと思う。
 新しい学びに対して,1単位時間の枠,クラスという集団の枠,教室という空間の枠をどう捉えるのか,その枠の中で考えるのか,さらに学校という場をどう捉えるか。既成の枠を1回取り外したところに,どんな学びの可能性があり,そのための施設像が描けるのかということについて,自由な発想のもとに今後議論を重ねたい。

・以上で,意見交換を終了。
・最後に事務局から,資料8,9に基づき今後実施予定の現地調査及び来年度実施される先導的開発事業について説明し,会議を終了。

―了―

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