新しい時代の学校施設検討部会(第9回)議事要旨

1.日時

令和4年2月3日(木曜日)10時00分~12時30分

2.場所

オンライン開催

3.議題

新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方について

4.出席者

委員

赤松佳珠子,天笠茂,伊香賀俊治,倉斗綾子,高橋純,中馬英和,〇長澤悟,
野中陽一,松畑煕一,毛利靖,吉田信解(敬称略, 〇:部会長を示す)


文部科学省

【大臣官房文教施設企画・防災部】 下間文教施設企画・防災部長,笠原技術参事官,磯山施設企画課長,廣田施設企画課企画調整官,栗本施設企画課課長補佐,髙草木施設企画課課長補佐

5.議事要旨

(以下 ○:委員等の発言,●:事務局の発言)

・長澤部会長より挨拶。

・事務局より公立学校施設整備に関する令和4年度予算案等などについて、資料1,2で報告。

・事務局より最終報告構成案、本文及び別添素案(別添4除く)について、資料3,4,5(5-4除く)で説明。
                   
〇:資料2において、財政支援の年限を区切った方が緊急性を説明しやすいという委員の意見があった。確かにそういう面もあるとは思うが、地方自治体としては、示された方向性にすぐに舵を切ることはできず、また限定された期間では対応が難しいため、補助制度等は是非とも恒久的なものにしていただきたい。

〇:地域・地方の実情に応じた整備を進めていく土台には、地方の努力に加えて国からの財政支援も必要不可欠であると考える。できる限り恒久的な財政措置をお願いしたい。

〇:資料4の23ページにある子どもたちの主体的な活動や学びを表したイラストは新学習指導要領に沿っていてよいと思う。ただ空間イメージ例「スタジオ・ラウンジのある執務空間」について、スタジオは放送室から各教室に配信するイメージと受け止められないように、オンラインやスタジオ機能のある執務空間とした記述を入れた方が分かりやすいと思う。また、本文中の執務空間の記述においてスタジオという表記がないので追記してはどうか。
 1人1台端末の中では、高速大容量通信ネットワークの問題が現場で顕著に出ている状況であるため、例えば、9ページの「ICT環境の整備状況」の下に高速大容量ネットワークについての大項目もあるとよいように思われた。また、資料5-2の目標水準においても5ページの2「柔軟で創造的な学習空間の実現の視点」の中に高速大容量ネットワークの環境整備を追記することも併せて検討いただければと思う。

〇:スタジオについて、学校施設以外にもオフィスなどで同じような対応が求められている部分もある。そこで用いられる言葉と合わせながら、学校の特色が表せる表現にしたいと思う。学校現場における具体的な状況を踏まえ、よく伝わるような記述としたい。

〇:1人1台のコンピュータを持つことによって、教師や大人、子供といった誰もが、これまで教室で行われてきた「同期・集合」という学習の仕方に対する「非同期・分散」での学習の仕方を手に入れたと感じている。この「非同期・分散」という言葉は個別最適という言葉と連動しており、「同期・集合」のような協働的な学びと行き来しやすい環境づくりという点で、多様な学習形態が取れる空間が必要だということにつながっていくように思われる。「非同期・分散」を上手に実践されている先生の授業を見ると、欧米の教室で行われている授業に近い印象を持つ。そこでは、それぞれの子どもが主役となりやすく、主役で進めていくことが喜びにつながっている。結果として、「同期・集合」のような授業時間が減り、先生の考え方も変わってきている。
 建築的な空間がコンピュータというツールを使用した教育の実践によって満たされたことが、子どもの変化によって実感されることで、「令和の学校教育」のコンセプトと建物のコンセプトが融合し、本格的に学びの空間が変わっていくのではないか。「非同期・分散」は子どもの学びだけでなく、先生の学びでも起こり得る。今後、教員研修がオンラインやデジタルを中心とするものになった場合、これまでの教育センターなどで集合して受ける研修から、学校の中も先生が受講することになる。その時には、学校は子どもだけが学ぶためのものではなく、先生や地域の人も学ぶ空間になると思う。
 資料4の職員室のイラストでは、動画教材の作成等を念頭に置いているかもしれないが、今後は一人一人が発言して勉強できるなど、音にも配慮された、先生にとっての学びの空間として執務空間に位置付けていくこともあり得るのではないか。

〇:「非同期・分散」という言葉は、一人一人の多様な学びがあるという状況を意味づけられるように思われる。これを手がかりにした伝わりやすい表現の仕方を考えていければと思う。教職員の協働を支えるためのスペースの在り方についても考えていきたい。

〇:新しい学びの空間というのは、学校や教職員が担い手で主役でもある。そのことを抜きにしてしまうと、新しい学校の空間は活力を生み出しきれないと考えている。学校施設や空間は専門家が考えるものであり、学校や教職員はそれを受け止める立場だという構図や、与えられた施設や空間の工夫が授業上の工夫に限定されがちである現状を少しでも改善できないか。施設の専門家と教職員が関係を築き、一緒に新しい学びの空間をつくっていくことに大きなポイントがあることをどれだけ伝えることができるかが大切である。
 資料4の33ページにある小諸市の事例のような横断的な体制づくりは非常に大切だが、どちらかというと市役所内部の関係の見直しである。横断的な視点を学校現場にまで拡げ、教職員や先生にもそれぞれの関係を見つめ直していただけるように、何らかの図や事例などを通して見える化を図っていただきたい。

〇:学校教育や施設が変化し始めてから、ずっと同じことが課題として議論されてきている。概念図や組織図、事例などを通して伝えるための工夫をしていきたい。

〇:建物が完成して実際に使い始めていく時に、上手くいかない場面が生まれることも実感しており、設計段階での教職員や地域の人たちとの連携と同時に竣工後のサポート体制の必要性を特に感じている。建物が完成し学校に引き渡されると設計で議論されていたことが終わってしまい、設計者との関係が切れてしまうことがいろんな部分での齟齬を生んでいると思う。設計者に限らず、新しい校舎について、関係を築いてきた人たちと校舎を使う先生との間で継続的に議論したり、教育学や建築計画学、設計者、地域の人たちを含めたサポート体制をつくったりしていくことが重要だと思う。
 各備品の扱いについて、造り付けの家具と机やテーブル、椅子などの備品の予算措置が全く違うことで、建物の完成後に慣例の中から備品を選ぶ形になっている。予算措置も含めて計画の段階から家具や備品を一体にして考えるなどの工夫が必要ではないか。空間設計と家具を一体的に考えることで、実際に使っていく上でも有効なものになっていくことをもう少しうまく表現できればと思う。

〇:公立学校の場合には異動もある。その要素も考慮しながら、竣工後も継承・共有されていく仕組みを考えていくことが必要だと思う。家具、備品、家具と建築の中間の可動フレームなど、建築と合わせて、スペースを学びの場にする様々な道具立ての重要性について指摘する表現を工夫していきたいと思う。

〇:資料4の31ページの学校施設の脱炭素化、カーボンニュートラルに関してより踏み込んだ表現が盛り込まれたことで伝わりやすくなったと思う。また、4章の33ページの記述も、首長部局との連携や予算措置などのこれまでの意見が反映されており、カーボンニュートラル化の推進も後押しされる内容になったと思う。

〇:教育委員会だけにとどまらない首長部局との幅広い連携やその仕組みが課題であることを示していければと考えている。

〇:資料4の22ページの「児童生徒の多様化への対応」の中で「多目的トイレ」の表記があるが、近年では「多機能トイレ」を使用している場合が多いので確認した方がよいと思う。

〇:「バリアフリートイレ」という表現に統一する動きがあるため、事務局と確認して、適切な表現にしたいと思う。

〇:文部科学省のいうZEB化が、最上位の『ZEB』を目指さないといけないものであるのか、ZEB Readyでも構わないものであるのかについて、報告書の受け手が気にしている部分だと思う。資料4の31ページの図の下にZEBの定義が書かれているが、分かりやすいところにZEB化について示してはどうか。

●:ZEB Readyなども含めて、よりゼロに近づけていくという取組が求められているため、最上位の『ZEB』のみと受けとられないよう誤解のない表現にしたいと思う。

○:資料4の32ページにある(1)長寿命化の最初の丸に「改築より工事費が安価で」という表記があるが、全体を見たときに安価と言い切れない部分は事例として出ているように思う。改築よりも長寿命化の工事が必ず安価になるという意味で取られないよう配慮した方がよいと思う。

○:改築より工事費が安価という表現はただ安ければよい、安い方がよいというように捉えられないよう、慎重に使う必要があると思う。本来の趣旨が伝わるように気をつけていきたい。

○:地方の立場での意見として、資料4の33ページの(2)の上から5つ目の丸の将来推計について、本市の教育委員会では原則として子供が生まれたゼロ歳児から向こう6年間をベースに将来推計を行うため、6年を超える推計を行うことは難しい認識がある。長期的な推計を行うことを示す場合は、具体的な手法も併せて明示していただきたいと思う。
 資料4の35ページの一番下の丸のプロポーザル方式等の適切な設計者選定について、学校の修繕や改修工事を行うその都度プロポーザルを行うことは、相当なパワーを要する。新築の場合はプロポーザルで設計の業者を決めたとしても老朽化などの改修工事の場合は入札という形で進めることがあるのではないか。適切な設計者選定の重要性は理解するが、地方自治体において、全ての事例でプロポーザル方式を導入することは難しいと思う。
 また、入札で業者を決めた場合でも、ワークショップなどで学校や近隣住民等の関係者の意見を開きながら設計を進めることもできると思う。

○:ご指摘の通り、地域や自治体の規模、財政による違いや事業内容等、個別の条件を踏まえた記述の仕方についても検討していく必要があると思う。
 設計者が大事だという観点から、その選び方としてプロポーザル方式という記述がなされていると思うが、全ての事例で同じ方式を導入することは難しいと思う。実施要領や要求水準のつくり方、審査基準や審査体制の準備、審査員が新しい施設的課題について理解しているかなど、ノウハウや経験が必要なところもあり、また、新築と改修の場合で条件が違うことから、まず設計者の選定が大事であること、みんなで考えていくことが大事であることの趣旨が伝わるようにした上で、そのための手法としてプロポーザル方式をどう生かすか、書き方をさらに検討していきたい。

○:学びもさることながら友達と遊ぶような、遊びというものが少なくなってきているということが言われてきている。資料4の8ページ中程の丸にある「子供たちがともに集い、学び、生活する学校施設」には、ぜひ「集い」の後に「遊び」という文言を入れていただきたい。遊ばない、遊べない、遊ぶ余裕がない、遊ばせてもらえないという子どもが、昨今増えている。学校で一緒に遊ぶ仲間が学ぶ仲間にもなるので、一から十まで学びではなく、イエナプラン教育の1つの特徴でもあるような遊びのカリキュラム化のようなものを空間的・実質的に盛り込むことが重要だと思う。
 併せて、資料4の26ページにある共創空間について、学校が閉じた環境になりやすいため、昔の家で言うところの縁側のような、学校空間であると同時に地域の社会的空間の接点であるような共創空間を学校と地域の間にどうつくっていくかが大きな課題だと思う。遊びの視点で考えると、校舎という学びの空間と外の遊びの空間の間にどのような縁側的空間をつくっていくか。つまり、共に学ぶ空間、共に遊ぶ空間、共創空間の3つの空間がうまくかみ合うことが必要だと思う。学びを通してだけでなく、同じ空間で遊ぶ体験・喜びや地域とのつながりの中でどのように学校が盛り上がっていくかが大切にするべき視点だと思う。

○:重要な視点であり、ご指摘を報告書に反映していきたい。中間報告には、学校とは「明日また行きたい」ところという表現があるが、学校は友達のいるところであり、そこでの幅広い活動、特に遊びということを大事にという趣旨が伝わるようにしたいと思う。共創についてもご発言の趣旨が読み取れる表現になるようさらに工夫していきたい。

・事務局より最終報告本文素案第5章、別添素案について、資料3,4,5で説明。

○:先導的モデル研究について、今年度実施しているものを見ても、学校全体を対象に新たな学びの環境をどのように作っていくかというような大きな取組が多かったと思うが、今の教室環境の中で新たな学びが実現されているところや学校の先生が教室空間の設計の当事者になっているところで、その学びを豊かにするにはどうしたらよいかという実践研究がまだない。子どもの学びだけに留まらず、学校の先生の学びの実践や、学びのためにどのような環境が必要なのかという知見を得るための工夫が必要だと思う。
 テレビ会議のブースを教育委員会内につくるなど、幾つか取組事例はあるが限られているため、例えば学校の中に実験的な教室やブースを設けて検証するなどしても良いのではないか。

○:中身についてご提案のようなものも含まれていると理解しているが、さらに記述を検討していきたいと思う。

○:資料4の37ページの右と左のイラストでテイストを合わせた修正に関しては、意味合いも含めて納得感ある修正となっている。各自治体の状況に合わせつつも目指すところは示せている内容になったと思う。

○:資料5-2「目標水準のイメージ例」の2ページ目にある「健やかな学習・生活空間の実現の視点」の中に、※印で「特に内装木質化は標準的な仕様として推進」という表記があるが、ここだけ標準的な仕様として特出しする理由はあるのか。また、木質化する場合には、国の補助制度で加算されることがあるのか。

○:資料1で令和4年度予算案について説明したが、今回の単価改正では対前年度比10.2%のプラスとなっており、LED照明や内装木質化は標準的な仕様として単価内に盛り込まれる予定である。今回の単価改正を踏まえ、目標水準において標準的な仕様として明示した。

○:各自治体としても単価改正を踏まえ、木質化についてできる限りの努力をすることになるとは思うが、それぞれの実情もあり、木質化だけが特出しされることに違和感を覚えた。

●:目標水準の考え方は、これが1つの基準として義務化されたり強制されたりするものではない。これからの新しい学校として目指していくべき姿として定めている。国の補助制度なども活用しながら積極的に取り組んでいただきたいものとして、アナウンスしていきたい。

○:木質化は学校環境を豊かにするだけでなく、改修後の空間の印象を大きく変化させ様々な活動を生み出す契機となる側面がある。脱炭素化や森林国土の保全という観点でも、学校に木を使うことは、公共施設の大きな比重を占める学校施設としての1つの社会的な役割を果たすことにもつながる。どこの部分でどのように書くか検討した上で、木質化の積極的な推進については、きちっと書いていきたいと思う。
 資料4の33ページで「学校設置者における推進方策」の(2)の4つ目の項目に「教育委員会の中の連携にとどまらず、財政部局、まちづくり部局」の記述があるが、農政部局が学校の木質化に大きな役割を果たしている自治体もあるので、関連部局に幅を広げられる記述の検討も進めていければと思う。

・事務局より学校施設整備指針の改訂の方向性について、資料5-4で説明。

○:資料5-4の7ページの働き方改革の職員室関係について、図書室も先生のワークスペースとしてこれからより一層活用されていくと思うので、掲載してもよいと思う。職員室の中で、学校事務室の記述が少ない印象がある。事務室と職員室の連携も、働き方改革では出てくる課題のため、何かしらの記述が必要だと思う。また、先生が協力し合って教材を作るようなことも、働き方改革の中でだんだん進められてきているため、「リフレッシュや休憩、打合せ、情報交換、作業等」というところに、「協働」の文言も入れていただきたい。

●:先行改訂している高校指針では、職員室の部分にいただいたご意見を反映している。小中の指針でも、図書室ではなく職員室にまずは記載を検討したい。図書室の部分にこれだけのボリュームで追記するかも併せて検討したいと思う。事務室については、職員室だけでなく事務室も含めた見直しを図っていく必要性があるという認識でいる。職員室とは別に事務室の記載が指針の中にあるため、その中で記載の充実について、併せて検討したいと思う。

○:コンピュータの整備とコンピュータ室、視聴覚室について、GIGAスクール構想で整備された1人1台のコンピュータは、報告書素案の文中にも「文房具としての」とあるように自治体や学校が準備するというよりは、最終的に家庭や個人の負担で用意されるものというような少し不安定な状態にあるという印象を持っている。
 一方で、教科の学びとして特に専門の教科・科目である中学校の「技術」や高等学校の「情報」の授業でコンピュータが必要か考えた場合、家庭科室のコンロやミシンのように一定程度の性能のコンピュータや条件を満たすコンピュータが必要になる。コンピュータを学ぶと示されている科目がカリキュラム上にあれば、コンピュータ室はしっかりと整備していく方針になると思う。
 1人1台端末の整備と教科の中でコンピュータそのものを学ぶとされているところでは、要求される施設そのものが変わる可能性があると思う。その点で、資料5-4の5ページの記述は、動画やSTEAM教育のような高性能なコンピュータが要求される学習活動も想定した表現になっていると思う。
 いずれにせよ、大学生もコンピュータ室でコンピュータを使いつつ、個人で持ち込んだコンピュータも使うといった複数台を使うことが当たり前になり、オンライン会議でも資料と会議を見るために、複数台のコンピュータを使い分けている状況であるので、1人1台端末で全てが賄えることにはならないことを念頭に置いた方がよいと思う。
 統合型校務支援システムという用語について、GIGAスクール構想の下、クラウド型や最新の校務の考え方を取り入れる動きが進んでおり用語が変わる可能性がある。

○:学習用と校務用コンピュータの環境について重要なご指摘をいただいた。教員の1人1台環境が整備される一方で、情報セキュリティーの確保が必要なコンピュータは別のシステムで用意されて使いづらいなどの状況も現実に見られる。そのような自治体や学校の実態に対して在り方を示すこともできればと思う。

○:小学校35人学級の実施により学級数が増える場合について、本市においては、1台1台端末の整備に伴い、空き教室のない小学校についてはコンピュータ室を普通教室に転用することで対応している。一方、高等学校では専門性が高いことなどから、コンピュータ室は残していく方針である。

○:電子図書を入れた学校では、子供が図書室に行かなくなっているなどの変化が起きている。コンピュータ室の必要性を判断するには不確定な要素が多いのではないか。少なくとも、コンピュータ室が教科と紐付いている場合には、整備をしていく必要があると思う。

○:今後、小学校段階でも、今持っている端末だけの学習活動だけではなく、STEAM教育やプログラミング学習、映像編集などの学習活動や3Dプリンターやロボットを活用することを考えておきたい。他の教室との兼ね合いはあると思うが、小学校にも情報センターやアクティブ・ラーニング教室といった何かグループごとにプレゼンやテレビ会議などができる部屋や高度な先端機器を活用することができるスペースはあった方がよい。そのため、指針の記述として、是非こういう形で残し、付け加えるとすれば「空間としての捉え直しをした上で、個人やグループで活用できる先端機器を使用した活動やグループ活動が可能な自由度の高い空間にすることが望ましい」としてはどうか。

○:コンピュータを文房具として捉える場合、教育の目的や内容として捉える場合、創作的な活動や活動の幅を広げるツールとして捉える場合など、捉え方が様々ある上、進歩や変化が早いため、未来思考という中でどういう記述にすることが現場の実情と合わせて適切かということを踏まえて検討していきたい。

○:整備指針の改訂の方向性については、この方向で進めていただければと思う。その上で、今の整備指針は、各々のスペースや部署を順々に積み重ねていくことで全体としての学校施設が整うような示し方となっている。一方で、全体の教育環境の健全性の維持を図っていくことが整備指針の基本的な立場であり、考え方をどのような形で示すのか。 
 「未来思考」の中で、学校全体の教育環境の維持について、全体を全体として捉えることを検討いただきたい。
整備指針を広く受け止めていただく上で、学校評価との関係が1つの視点になると思う。各学校が学校評価を実施し、その評価項目に施設設備に関わる部分が位置づけられている中で、整備指針が上手く活用されていないところが多々あるように思う。そのあたりへの働きかけについても大切ではないか。
 学校評価の結果は制度上、教育委員会に報告することになっている。施設の立場から、その評価項目をどう受け止め、どう学校に働きかけていくのか、という循環において整備指針の活用の余地があると思う。整備指針を踏まえた学校評価の研究といったこともあるのではないか。

○:整備指針をコアにした大きな指摘であり、施設設備の充実に向けた具体的な仕組みの構築に関わる重要な課題であると思う。今後の検討課題として受け止める必要があると思う。また、整備指針の構成上、1章、総則の基本的留意事項の中に全体の捉え方を記述することになっているが、留意事項という表題の中でおさまるのか確認が必要である。

○:自治体として学校整備指針をどう受け止めればよいのか。施設整備指針の言葉の定義では「重要である」「望ましい」「有効である」という言葉遣いそれぞれで異なる意味があるとのことだが、資料5-4 16ページの3点目のプロポーザルについて「重要である」となっている。先程も少し述べさせていただいたが、本市においては、プロポーザルで業者を選定するためには、複数の外部委員を選定して委嘱し、評価基準の改正や事業者の選定等で会議を2回以上開催するなど、かなりのマンパワーや時間を要している。全ての長寿命化改修をプロポーザルで進めていくと、具体的な設計の着手や改修工事が遅れてしまうリスクもあると思うので、「望ましい」とした方がよいのではないか。

○:設計者をプロポーザルで選定していくことについては、入札によることに対して様々議論があることも踏まえ、ある部分は理想的なところもあるかもしれないが、本報告が到達点を示すという意味では、こういった表記をすることで意識そのものを変えていかなければならない局面もあるのではないか。

○:改修の場合は、新築の場合と異なる観点で捉える必要もあると思うので、事務局の中で議論し整理していきたい。また、関係者が参加する設計の体制を作っていく中で、設計者によって意欲や力量、経験が違うため、それを把握できる選び方は大きな課題であり、そこは落とさないようにしたいと思う。 
 「未来思考」が1つベースにある中で、そもそもの「未来思考」の観点と施設整備指針をどのようにすり合わせていくかということ自体も問わなければいけない部分があると思う。報告書として、まとめて終わりというのではなく、さらに次の施設整備にどう活かしていくかという観点も併せて示す必要があると思う。事務局と一緒に腰を据えて検討を進めていきたい。
 
・以上で意見交換を終了。
・最後に事務局から、資料6に基づき今後のスケジュールについて説明し、会議を終了。
 
                                           ── 了 ──


 

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