新しい時代の学校施設検討部会(第5回)議事要旨

1.日時

令和3年6月22日(火曜日)10時00分~12時30分

2.場所

オンライン開催

3.議題

新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方について

4.出席者

委員

(委員) 赤松佳珠子,天笠茂,倉斗綾子,高橋純、長澤悟,野中陽一,毛利靖,吉田信解(敬称略)
(特別協力者) 齋藤福栄(敬称略)
(今回の協力者) 伊香賀俊治(敬称略)


文部科学省

【大臣官房文教施設企画・防災部】 山﨑文教施設企画・防災部長,笠原技術参事官,磯山施設企画課長,廣田施設企画課企画調整官,栗本施設企画課課長補佐

 

5.議事要旨


・長澤部会長より挨拶。
・事務局より、出席者の紹介。資料1,資料3,資料4に基づき、本会議での検討事項及び論点、前回までのプレゼンテーションの概要及び委員等の意見を説明。続いて資料5 中間報告(素案)について説明。



(以下 ○:委員等の発言,●:事務局の発言)

(中間報告(素案)第1章及び第2章について)

○ICT関連で、最初のキーワードの中にはハイブリッド化という言葉があったが、中間報告素案にはその言葉が出ていない。冒頭のオンライン教育に合わせたところに記載してはどうか。それから、教科に応じた多様な学びのスタイルでは、大型提示装置やクラウドを活用することでお互いの思考を参照することができるので、クラウドという言葉も追記を検討いただきたい。

○新しい学びのスタイルの変容への対応ということで、黒板に一斉に向くという時代ではなくなるというようなことが示唆されている一方で、1人1台の机というような話は、読み手としては分かりにくいのではないか。

●これからの学びのスタイルを踏まえた教室環境ということをしっかり打ち出していくという考え方に立ち、記述ぶりについては改めて検討させていただきたい。

○教科に応じた多様の学びのスタイル例の部分が、少しGIGAの前の取組に似た形の事例が多いかもしれないという感じと、プログラミングといったICTを内容として学ぶというか、目的で学ぶような事例が出過ぎているのではないか。GIGAスクールは、クラウドの活用が前提なので、それぞれの画面で協働作業しながら、対面でも意見交換をするというようなことが同時に起こっている。大型提示装置で先生主体で提示していくパターンもあるが、それぞれがそれぞれの画面から、あるいは友達同士で情報を入手して考えていくような姿が多いのではないか。1人1台端末を活用することで広がる学びの例という部分は、少し学習を意識し過ぎているかもしれないと思う。文部科学省のStuDX事例集に出ている多くの事例は、学校と家庭、先生と保護者がつながるとか、子供同士がつながるというような例で、学習の周辺で起こっている連絡・調整のつながりが密になることで結果的にいろいろな学習がはかどるというようなイメージもある。

○学校施設に関する取りまとめなので、教科に応じたというところも、教室の中だけでとい う感じではなくて、ネットワークやクラウドでつながって、いろいろな場所でも利用でき るというような、そういう学習スタイルが記載されるとよいのではないか。

○全体の構成について、取り上げるべき中身はそれぞれ収められているというのが第一の印象。その上で、何かインパクトが足りないというか、とにかくいろいろなことが書いてあるという受け止め方をせざるを得ない。全体として何を言おうとするのかということと、個々のテーマが現在の段階ではまだうまく整理し切れていないということで、取りあえずお店を広げたというふうな段階だと受け止めている。改めて全体として何を提起するのかというところは、もう一段、二段、私どもが知恵を絞らないといけない課題としてあるのかなと印象を持っている。そういう点からすると、どこかを削除ということよりも、むしろ幹と枝を整える、そういう作業というのが今後大切になってくるのかなと思う。中教審の令和答申で、とりわけ施設で受け止めてもらいたいところは、既に書かれているが、私は個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実というところが中核になる、柱になる部分ではないかと思っている。その上で、具体と論理という辺りの整理も今後必要なのではないか。具体的な学習の事例の位置づけは、理を説いた後の方が収まりが良い。それからもう一つ、短期的に対応せねばいけないことと、中長期的に考えざるを得ない、とりわけ施設の問題というのはそういう側面を持っているが、その時間軸をもう少し整理した方がよいのではないか。

●この部会がスタートした一番の目的は、中教審の答申や教育再生実行会議の提言などを踏まえて、個別最適な学びと協働的な学びを、どう施設の面からしっかりと発進させていくかというところ、今の報告書素案では、学びに対応していくという側面と、施設的な課題に対応していくという側面の両方が描かれている。これにどう強弱をつけながら枝と幹を位置づけしていくかというところが重要な課題だと思っており、その点は工夫できればと考えている。例えば、素案では、学びに対応していく、生活に対応していく、共創空間をつくっていく、など5つの柱が出てくるが、この中でも今回の中教審答申等を受けてということでは最初の柱立て、個別最適な学びと協働的な学びに対応してどのような空間を実現していくかというところが最も幹になる部分であるので、まずはこれをしっかりと強調した上で、それ以外のテーマについても整理していくということを引き続き検討させていただきたい。

○個別最適と協働的な学びを柱としてということだが、そこにGIGAスクールが可能にしたICTの新しい可能性がどう関わるかということも含めて、さらに検討を深めていきたい。

○教室用机の状況について、「通路幅が狭くなり机間巡視がしにくいなどの課題が指摘され ている」とあるが、机間指導という言葉が適当ではないか。

○空調は教室には比較的導入しやすかったが、体育館が遅れている。それは体育館の断熱の 問題などがあり、とにかく体育館に空調を入れるというのは、実は至難の業であるという 状況をもう少しにじみ出せるといいのではないか。

○既存の学校の図書館や特別教室など、学校の施設を地域と共有していこうとしたときに、うまくゾーニングされてないがゆえに地域に使ってもらいにくい計画になっている場合が多いと思うので、その辺を現状の課題として言及するとよいのではないか。

○災害、日常の事故等と並んで防犯という視点も課題の1つとしては意識しておく必要があ るのではないか。



(中間報告(素案)第3章について)

○壁を取り払って新しい教室サイズをつくる場合、真ん中に柱が出てきたりしないのか。例 えば周りを補強することで柱を取ることができて、3クラスを2クラスにするようなこと が可能であれば、その教室でいろいろな学びが実現できるのではないか。

○既存施設をどう生かしていくかというのは、間に合わせではなく、面積資源としてどうい うふうにいろいろなスペースを生かしていくかという観点で捉えていく必要がある。そ の具体的な改修の可能性については、この3章でまとめた内容を現実的な条件の中で実現 する方策として4章でまた議論したい。

○将来的にSTEAMみたいなことをやろうと思ったり、子供も映像制作、映像編集をしたりすると、高速のコンピューターを置く場所というものが必要になってくるが、もしかしたら従来のPC室というものがその役割を担っていくことになるのではないか。そうなると、「教職員の働き方改革を推進」と書いてある遠隔・オンライン教育のための映像コンテンツ製作を含めたような部分と、共用が可能な施設になるのかもしれないと思っている。もう一つ、印刷に関して、特に小学校低学年に関してはまだ印刷の需要は強く、そもそもそれらの設備が非常に大きくて、ごみもすごく出ることから、結構大きな部屋が要求されているというのが現実としてある。教室やメディアスペースみたいなところにプリンターが分散配置されたりして、原版を作ったり、トナーというか、廃ボックスというか、ごみが出ないような仕組みをつくっておけば、職員室の隣の空間の作り方とか、先生の作業の仕方、あるいは、子供が掲示物をつくり、教室に掲示していくような、かなり幅広い活用もできると思っている。

●コンピュータ教室というものは引き続き、その大きさの差こそあれ、必要になってくるの ではないかというような御意見だったと思うが、この点、視聴覚室も含めてどうか。

○非常に議論が分かれるところ。今回のGIGAスクールの整備のときに、一部の中学校では技術科の授業にも対応できる機能を持つようなコンピュータを整備している学校もあり、そういう所ではコンピュータ室はなくてもいいのかもしれないが、標準的なGIGAの対応を考えたときに、中学校技術の先生は、やはりしっかりとしたコンピュータが欲しいとおっしゃる方が多いかもしれない。先ほどの意見は、どちらかというとプラスアルファの今後の見通しで、映像製作やテレビ会議などで映像を扱う場面が増えてくると、今のGIGAのシステムでもできるが、今後、大きなディスプレーや高速のコンピュータで映像表現にチャレンジしていくなどということは、クラブ活動等も含めてあるのではないかというふうに感じている。視聴覚室は、基本的には映像を見る所と考えれば、ステージと一体化したような一種のホールというか、何かそういう大きめの部屋や、あるいは今よく学校施設でふだんは階段なんだけどもそこを発表の場に使っているように大勢が集まって映像が見られる階段状の場所があれば、かなりのことは代替できるのではないか。

○基本的には同意見だが、やはり小・中・高で若干異なる。小学校は特別教室の発展みたい な形でクリエーティブルームとかアクティブラーニングルームとかという、あるいはST EAMコモンズというような位置づけで発展していくのかなと思う。中学校・高等学校は教 科があるので、技術や情報にどれだけ対応するのかという、そのニーズによって変わって くるのではないか。ただ、いずれにしても、子供たちは端末を持ってはいるが、映像編集 をやるためのスペックの高いパソコンとか、撮影スタジオ、複数のグループが同時にプレ ゼンできるような環境、あるいはプログラミングと合わせて何かロボットを動かすとか、 制御するとかというようなことができるいわゆるラボのような位置づけのものをイメー ジしてもいいのではと思う。特別教室や学校図書館を核としたというところがあるが、こ の辺りにコンピュータ教室の今後の在り方について少し盛り込んではどうかと思う。

○オープンな空間の扱いというところで、人間関係の広がりや、子供も先生方も1人で教室の中にいるわけじゃなく、学年で連携している雰囲気みたいな心理面でのメリットというのは少し入れてもいいのではないか。若い先生方が増えていくときに、そういった学年で複数人の教員が指導しているという環境づくりというのは、働き方にも関係してくるのではないか。廊下とかオープンスペースに空調がついていないという所もあり、学校全体が学びの場になるというふうに考えたときにその辺りをどうしていくのか。一方で、脱炭素・省エネのことも考えていくと、やはり断熱をしっかりとして通風をよくするみたいなことも併せて考えなくてはいけないのではないか。靴の履き替え等もそういったあたりに関係してくるのか。それと、先生方の持たれているパソコンのスペックをどうにかもう少しいいものにしてあげないことには、パソコンでできることの可能性を広げていくことができないのではないかと感じている。印刷物をPDFにして配信するなど、先生方がネットワークに円滑につながれて、それを子供たちと共有できるという環境が整うことで、考え方も変わると思う。デジタル化することのメリットというのを実体験していかないことにはなかなか進まないのではないか。また、パソコン教室も、ほかの特別教室もそうだが、そろそろ教科名というか名詞で名前をつけるのではなくて、何をする所かというような動詞的な視点から環境整備するということも必要なのではないか。

○家具や設備の工夫による多様な活動の展開・教室環境の充実というところについて、家具 というのは、今まで通常であれば備品的な扱いになっていて、なかなか空間と連動して重 要な部分を担うというふうになっていかないケースもある。要するに設計しているとき とは別の部署が別の論理で発注するというようなところがあるので、できるだけ打合せ をしている関係者の人たちが議論していく中で一体的に家具を選んでいけるような仕組 みづくり、いろいろ予算的な部分もあるので、例えば新築の校舎であれば建築の提案の中 に組み込んでいけるような予算組みや体制のつくり方が必要なのではないか。また、オー プンスペースや廊下を改修していく場合には、新たな改修部分の空調の費用など予算化 されていくのだと思うが、新築校舎の場合、従来の予算組みでは、廊下やオープンスペー スまで空調するということは難しい。その辺がきちんと予算措置が取れた上で全体の空 調化ということが重要かなと思う。ただ、空調だけではなくて、自然通風や採光、断熱、 そういった建築そのものを工夫することで様々な省エネルギーに向けていくことも可能 なので、空調機器に頼るだけではなく、根本的な建築の在り方としてそういうことをきっ ちりと考えていくことが重要である。もっとも、そのためには実務的な部分で断熱性能を 上げたり、ガラスのスペックを上げていくなど非常に多くの予算が必要になってくるの で、同時にその辺の措置も重要になってくる。オープンな空間をより有効に活用するため にも、設計者と学校の教職員があらかじめコミュニケーションを図るということを記載 いただいているが、設計段階だけではなく、建物が出来上がった後も継続的にコミュニケ ーションを図っていくことが、有効に使っていく上で非常に重要であるということを付 け加えていただきたい。また、設備的な部分、構造的な部分で、例えば柱を取り外すこと の可能性というような話もあったが、そういったことはその建物の設計者でないとなか なか検討も難しい。全く別の人がやろうとするとまた一から計画を読み込んでというこ とになってくる。引き渡された後に何かをやろうとする場合、もともとの設計者にある程 度話を聞くことでより合理的に提案していくことができるはずなので、今後改修が増え ていく中で、そういったことへの配慮も必要なのではないか。

○空間に対する愛着、そういう気持ちに高まっていくような環境というのは、教育の場では 非常に大事なのではないか。快適性への配慮ということで、2つ目に木材のことが書いて ある。快適性というのはもちろん大切だが、もう一歩踏み込んで考えていただけるとあり がたい。子供たちが自分で木材の床を磨く、げた箱を磨く、ロッカーを磨く、磨くことで 集団の中でのお互いの協調性であるとか、そういったものも学べる。五感を使って一生懸 命清掃等をやっていけば、非常に教育的効果があるのではないか。子供たちが一生懸命そ の場をきれいに保とうという気持ちになるような、そんな空間づくりが大切。場に対する リスペクト、そういう気持ちを持てるような空間づくりというようなことを根本に据え るとよいのではないか。

○脱炭素社会の実現の部分について、この脱炭素の実現にはもう時間がない。新増改築で、例えばZEHとかLCCMをやってももう追いつかない。要は既存の学校施設において、ちゃんと本格的に脱炭素化に向けた大規模改修をやるというところが不可欠なので、若干言葉を補足して強調されるようにしていただけないか。それに関連して、整備方策がまさに重要であり、自治体としてもそれなりの自己資金の確保、予算の確保が必要ということで、施設の改修というキーワードが一言入るとよいと思う。ともかく、これまでいろいろな教育委員会とか学校等の調査の中で、既存施設がどうしても置いてきぼりになりがちで、もう必要最低限の改修だけ済ませて、脱炭素というところに踏み込もうという意識が希薄だというのを実感している。そういう意味でも今回の報告書の中で既存施設が脱炭素化の鍵だと、そのためには予算措置が必要だと、自治体としての予算措置も必要だということを、首長さん、それから財政当局にぜひ伝わるメッセージにしていただけないか。

○オープンな空間について、要するに広い空間、相応の空間がつくられても使わない、使え ない、あるいは使おうとしない、そういう状況が一定生まれてくるというのがこの多目的 スペース、オープンスペースの年来の課題ではないか。このたびも、個別最適化等々の対 応において同様の課題が生じる可能性というのは、このままいくと随分高いんじゃない かというふうにみている。委員からの様々な御指摘というのも、その辺りのところについ ての懸念を含んだ御意見と認識している。そういう意味で、オープンな空間のありようと 位置づけというのは、課題性を含んでいるのではないか。オープンスペースが使われてい ないというのは、放っておくとそうなるというのが学校の組織の特性ではないか。要する に、オープンスペースというのは、個々の先生が自身のテリトリー、空間的には教室の中 で自己完結的に活動を展開していくという従来の在り方に対して、それを越えていこう という施設側の提案、試みとしてあったかと思うが、まだその接点がうまくつくり切れて いないというところが現在ではないか。個別最適化というのは、それを打破する試みとい うことではないかと思うので、委員の皆さんのそれぞれの御発言というのはそのとおり うまく位置づけて、次の展開ができるようになるといい。まさにこの課題は、マネジメン トが乏しかった、あるいは工夫が十分でなかったというところにあり、学校におけるマネ ジメントということを提案するというのもあるのではないか。

○オープンな空間という言い方だけでは、今までの延長で捉えられて、同じことの繰り返し になる可能性もある。いただいたご意見を踏まえながら十分検討していきたい。

○施設管理を学校がやっていくのか、共創する時代になったときに、施設の見守りであった り、安全・安心を守るということもみんなでやっていくみたいなことが何か書かれている と、先生方も安心ではないか。

○情報環境での安全・安心ということも学校は必要になるのではないか。

○GIGAの構想でのオンラインでハイブリッド化という話と、それから、災害時にもオンラインで教育ができるような環境整備をするというのと、両面あるのではないか。

○長寿命化改修という言葉だけだと、脱炭素化という、より緊急性がある対応が忘れられが ちになるので、ぜひ長寿命化改修とだけ書かずに、脱炭素化を含む改修というふうに強調 していただきたい。

○県立高校などにおいて、複合化していく、地域と協働、共創していくというときに、県の 施設同士の複合化、例えば高校と県立図書館や県立美術館を複合化することは機能上考 えにくい。県立高校と地域公民館や図書館(市・区立図書館など)を複合化するなどは、 使い方としてはイメージしやすいのだが、実際には県と市区町村とが横断して協働して いくことがまだまだ難しいという現実がある。図書館だと、県と市の図書館を合築すると いう事例が少しずつ出始めているけれども、学校と何かの施設の複合、というとなかなか そういう視点で議論されていることがないと思うので、その辺も含めて横断的な議論が できると、より可能性が広がる。それから、PFIについて、学校施設単体ではなかなかう まくいかない。学校の運営には当然民間が入ることができず、そうなってくると、体育館 とかプールとか、そういった地域に積極的に開いて活用していくような部分についてのP FIという可能性はあるが、それでも、幾つか視察をしたときに、問題になっている部分と いうのはあるので、その辺をもう少し明確化して、ちゃんと検討していく必要性がある、 ということを提示していただいたほうがいいのではないか。例えば、15年で公共に所有権 を戻すというような場合、設備などが老朽化していて、その状態で戻されるとそこから使 うのに全部改修して莫大な費用がかかるということを行政として一切議論されないまま 返還直前まで運営されていたことがあった。また、学校施設としてのPFIだと、どうして も予算を収めていくときに、学校の設備としてのスペックを最終的に削らざるを得ない というようなケースもあり、トータルで見たときには予算が収まっているんだけれども、 そのしわ寄せが、目に見えないようなところでのスペックダウンとなり結局設計の中で 調整せざるを得ないなど、いろいろな局面での問題が指摘されている。

○PPPやPFIという手法の活用について、なかなか教育委員会だけで対応するということが 難しいと感じることがある。学校単体で民間資金活用となると、なかなか難しいのかなと 感じている。①の長寿命化改修に関しては、実際に長寿命化に踏み切ってやろうとしたら、 もともとの既存の施設がそれに耐え得る強度じゃなかったとか、法的に難しくなってい たとか、いろいろな不都合も起きていて、その地域の人口動態とかいろいろなことを総合 的に加味して、長寿命化なのか、はたまた新築なのか、というところを総合的に考えてい く必要がある。長寿命化すればいいというようなニュアンスに取られない書き方がいい のではないか。

○長寿命化すればいいというよりは、長寿命化に可能性があるということを強調することがより重要かと感じている。



(中間報告(素案)第4章について)

○新しい時代の学び舎づくりのビジョン、目標の共有をどうやって普及していくかという話で、やはりこれは首長部局とか教育委員会の担当者の方にぜひ読んでほしい。短期的には、まずそういうことに関しての解説をする研修など、何かそういう場があってもよい。例えば解説ビデオをユーチューブ配信する、学校建築アドバイザーのような仕組みをつくるというのも一つ考えてもいいのではないか。それから、学校の先生たちの理解を得るためには、実際にそれが実現した学校を見てもらうというのが一番なので、ここから先は思いつきだが、仮設でもいいので国立大学の附属学校で何かそういうものを造るとか、そこで教室空間の在り方や、授業の在り方を見ていただくとか、何かそういうモデルルーム的なものがないと、なかなかそれぞれの先生にまで訴えるというところはできないのかなと思う。令和の日本型学校教育の公立版を具現化した建物プラス授業の在り方、教室環境の在り方も含めて、何かそういうものがないとなかなかイメージしづらいのではないか。

○この章は特にこれに時間の流れ、時間軸を位置づけるというのも、また1つの整理の仕方になる。喫緊に今すぐなされねばならないこと、少し時間的に中期的なスパンの中で考えなければいけないこと、など、それぞれこの部分についての整理の仕方があるのではないか。いわゆる工程表について、どの程度までできるかどうかということについてまた御検討いただければと思うが、令和の答申、日本型教育が2030年程度のこの10年間ぐらいの歩みということを前提にしたプランの提示であることからすれば、施設計画という学校施設の整備については、そこと平仄を合わすことができるものと、それからもっと先を見据えて取り組むところも含めて、少なくともこの10年ぐらいの工程表があってもいいのかなと思う。さらに言うならば、この中間まとめが各市町村の、あるいは国も含めて、教育の振興計画に載せてもらう、すり合わせるということが、これがただ単に目指す方向を理念的に示したというレベルではなくて、現実にそれぞれ執行を含めたところに下ろされていくことではないかと思う。つまり、今の振興計画に位置づけられるところと、次の振興計画に取り入れていただくところと、そこのところはぜひ行っていかなければいけない。何でこれをつくっているのかの1つは、そこにあるのではないかというふうに思うので、ぜひ御検討いただきたい。

○改修あるいはPFI等々いろいろな整備手法に対して、それからいろいろな人たちの参加と いうお話があったが、参加する様々な立場の人が増えるということで言うと、そのそれぞ れの人たちがこの課題について理解して進めていくということが大事で、そのためには 目標を幅広く共有できるような仕組み、時間的なことと、参加メンバーを考えた上での体 制というのを課題、目標、施設の在り方とともに示していけたらというふうに感じた。



・以上で、意見交換を終了。
・最後に事務局から、資料6に基づき今後の予定について説明し、会議を終了。


── 了 ──
 

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