学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議(平成28年度~)(第5回)・小中学校施設部会(平成30年度~)(第1回)合同会議 議事要旨

1.日時

平成30年6月6日(水曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 東館3階 3F2特別会議室

3.議題

  1. 今後の小中学校施設の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

【委員】天笠茂,岩井雄一,岩﨑元,上野淳,志村秀明,高際伊都子,田原優子,長澤悟,野中陽一,古内久,樋口直宏,山重慎二,山下文一,川越豊彦,小泉治,鈴木徹(敬称略)
【特別協力者】森政之,屋敷和佳(敬称略)

文部科学省

【大臣官房文教施設企画部】平井文教施設企画部長,山﨑技術参事官,山川施設企画課長,金光施設企画課企画調整官,浅野施設助成課長,松下施設企画課課長補佐,西村施設企画課課長補佐
【初等中等教育局】白井教育課程課教育課程企画室長
【高等教育局私学部】水澤私学助成課専門官

5.議事要旨

・事務局より資料1~4に基づき,小中学校施設部会の設置,小中学校施設を取り巻く現状,小・中学校施設整備指針の概要及び新学習指導要領について説明。
・各委員より,今後の会議における論点について意見交換。

○学習指導要領の改訂を踏まえた授業の質的改善について,ハード面でどのように支援できるか考えていかなければならない。ソフトとハードを結び付けるコーディネーター役を担う人材や組織の在り方を検討していくことも必要。

○特別支援学級や通級による指導を受ける児童生徒が増加している中,インクルーシブ教育システムの充実や合理的配慮への対応をどのように進めていくか,引き続き課題。また,特別支援教育の充実という観点からも,様々な地域の関係機関との連携を進めていくことも重要。

○学校現場としては,外国語活動や教員の研修,地域との交流活動ができるような,ある程度の広さがあり,大きさを変えることができる多目的スペースがあるととても使い勝手が良い。

○近年,学校施設の複合化を検討している自治体が増えており,ソフト面を含めた検討がより一層求められている。子供たちは地域の環境から学ぶことも多いので,人口の流入が進んでいる都市部では,自治体が地域と連携しつつ,子供たちの生活環境を真剣に考えることが必要になってきている。また,グローバル化が進展しており,多様な文化背景を持つ人たちとの接し方を学ぶ環境づくりも必要ではないか。

○男女共同参画社会を迎えるに当たり,男女がお互いに尊重できるような学校作りを,施設面でも検討していかなければならない。

○近年,理科の実験は,機械が行った結果を考察するという方向に変わってきている。理科教育の充実をうたうのであれば,小学校の段階から,このような理科実験に対応できる施設を考えていく必要がある。

○東京都では広域通信制に通学する生徒が増える傾向がある。今後,中学校等でもICTを活用して遠隔地での教育が進展した場合,施設面でどのように対応していくのか,という観点も無視できなくなるのではないか。

○グローバル化が進展し子供の多様化が進む中で,それに対応する教員が十分に勉強や研修を行える環境づくりが重要ではないか。

○開かれた学校を考えるとき,常に安全管理とのバランスが課題となる。一方で,学校施設が,公民館や高齢者が集まる空間との複合化を図ることは地域住民の交流の場にもなり,防災や教育など様々な面で利点があるのではないか。

○教育の情報化における最大の課題は,小中学校のICT活用が日常化していないことである。これは,普通教室の大型掲示装置常設が6,7割に留まっていることや,児童生徒が一日一回端末を使用できる環境でないことが要因と思われる。端末を使った学習が日常的に可能な教室環境の在り方や,併せて職員室の環境についても議論が必要。

○自治体の現場では,無線LANを導入するにもたくさんのハードルがあるというのが現状である。新学習指導要領への対応と施設との関係を考えたとき,子供たちが対話を含めて丁寧に学習活動を進めていくには,少人数での学習に対応できる空間が重要と考えている。

○新しい学びへの対応として,柔軟な教育空間をどのように用意するのかといった課題がある。整備指針についても従来の室名にとらわれず,そこで行う活動に着目して,スペースや機能等の必要性をまとめる,ということも検討する必要があるのではないか。

○地域にとって学校はなくてはならないものであるが,小規模校では,室名にとらわれた学校を整備すると児童の数に比べ施設面積が大きくなってしまう。小規模校において,施設面積を大きくせずに多様な学びに応えられる施設の在り方についても考えていきたい。

○現状における学校施設整備の最大の懸案は老朽対策。施設整備指針において既存施設の機能等を向上する方法に関する記述を充実させる必要があるのではないか。

○小中一貫教育を進める際,様々な理由から統廃合を含めた増改築で対応する自治体が多いが,施設の状況は地域によって様々なので,6・3制にとらわれない,柔軟な計画が必要。また,施設分離型の小中一貫校においては,お互いの施設間の移動に時間を要することから,テレビ会議やスタジオ形式など,校舎をつなげる役割を持つICT機器や設備を持つ室を整備することも有効ではないか。

○人口の減少に伴い,財政規模も小さくなっている自治体において,公共施設と学校の複合化は,地域の核の創出と同時に効率的な公共施設の維持管理ができる方策として注目を集めている。学校施設という単体ではなく,学校群あるいは地域の公共施設と一緒に施設整備を考えることが必要になってきている。

○複合化を行う場合の子供たちの安全性については,学校敷地の中だけでなく,むしろ地域の中でどのように確保していくのか,という視点も重要。

○子供の発達や学びの連続性という視点を施設整備においても意識することが必要。

○主体的・対話的で深い学びを行う上で,複式学級など子供の数が少ない環境では,学校間だけではなく,他の教育施設を結ぶICTの整備も重要。また,その環境を支える人材の育成等,ハード面だけでなくソフト面と合わせた対応も重要。

○学校施設の長寿命化が進められる中,教育の様々な変化に施設がついていけるよう,長期的な視点を持った施設整備が重要になってきている。

○先日,イタリアで,高倍率の電子顕微鏡を備えたラーニングセンターを視察した。日本の公立学校においても,このような拠点施設を学校群若しくは行政区の中に一つ設けるという考え方も有効ではないか。

○川崎市ではインフラ長寿命化基本計画に基づく個別施設計画の策定を契機として,既存施設の整備を始めているところ。校舎の長寿命化とあわせた教育環境の質的な改善を行う,という視点が重要になってきている。

○学校施設計画に関し,このような総合的な指針がある国は他に例がないと思う。現在は,長寿命化のための改修が求められているが,そのような改修にも大いに参考になり得るし,地域の実情に応じた施設整備に活用されていると承知している。

○学校施設整備の進め方についても,しっかりと評価をすることが必要。また,アクティブラーニングについても,主体的・対話的な学びの部分については非常に積極的に研究がなされているが,深い学びに結びつけるための施設の在り方についても検討が必要ではないか。


・以上で,意見交換を終了。
・事務局から,資料5~7に基づき,現地調査,幼稚園事例集作業部会の設置及び今後のスケジュールについて説明。

―了―

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(大臣官房文教施設企画部施設企画課)