群馬大学大学院理工学府教授 片田 敏孝
第1回検討会には業務の事情により出席できませんので、防災を専門としている立場から、以下のとおり書面にて意見を提出させていただきます。
・学校の避難所機能について検討するに当たっては、防災担当部局が主体的に、教育委員会や地域住民等と連携しつつ、学校施設を地域の防災計画全体の中でどのように位置付けるのか、広い枠組みの中で検討する必要がある。
・「避難」という言葉については、時系列によって概念が異なってくる。
1 命からがら逃げる”evacuation”の段階、
2 避難生活が始まる”sheltering”の段階、
3 難民状態となる”refuge”の段階、
の3つの段階に分けて、今回の地震に照らして、避難所として利用された学校施設において、どの段階のどの部分で課題があったのかについて検証を実施し、その上で、学校施設がどの段階のどの部分を担うべきなのか議論すべきである。
・また、地震、洪水、津波など、災害種ごとに適切な避難所を整理する必要がある。
・各地域において、上記を整理することにより、自ずと各学校において提供すべきサービス水準が明確になってくると考えられる。
・なお、当然のことながら、避難所としての機能を確保するために不可欠となる施設設備の整備に必要な財源については、防災関連予算において確保すべきである。
・今回の地震を含め過去の災害においては、教職員が、各自の善意に頼る形で避難所運営に駆り出されてきた。教職員の本務は、児童生徒の命を守り、一刻も早い学校再開に取り組むことであり、避難所運営をなし崩し的に教職員に頼ることは適切ではないと考える。
・災害時の避難所運営の責任体制については、防災担当部局が、地域住民や学校関係者と連携し、十分な合意を得ながら、あらかじめ整理をしておくべきである。
以上
大臣官房文教施設企画部施設企画課