資料2 学校施設における非構造部材の耐震対策の推進に関する調査研究報告書(抜粋)

三編 今後の推進方策
1-1 国における推進方策
1-1-1 優先度の明確化と対策の促進
●今般の被害調査等において著しい被害が露見したもので,より落下の危険性が高く緊急性が高いものについては,優先的に対策を実施することが求められる。このため,文部科学省においては,非構造部材のうち,a)より緊急性をもって優先的に対策を講じるべきものと,b)大規模改修や長寿命化改修等の機会を捉えて計画的に進めるものとを区分し,対策の促進を図ることが必要である。この際,近時に大規模改修や長寿命化改修等が計画されている場合は,a)の非構造部材の耐震対策を含めて実施することが,予算の効率的な執行の観点等からも有効である。
●上記a)の非構造部材とは,落下時により大きな被害が想定され ,かつ,児童生徒らが日常的に立ち入る場所に設けられているもの で,それ自体の耐震対策が実施されていないもの と考えられ,例えば,以下のようなものが該当すると考えられる。
【a)の非構造部材の例】
●校舎にある特定天井で脱落防止対策がなされていないもの
●屋内運動場等の大開口部ではめ殺し窓に硬化性パテが使用されたもの
●片持ち構造 となっている屋内運動場等の横連窓で層間変位追従性の低いもの
●ラスシート等層間変位追従性の低い外壁 で劣化したもの
●また,上記b)の非構造部材とは,点検の結果,耐震性が確保されていないと判断された非構造部材のうち,a)の非構造部材を除いたものであって,大規模な工事を伴うものとして,将来的な改修等の機会と併せて実施することが効果的なものと考えられる。
●多種多様な非構造部材がある中で,どの施設の非構造部材から対策を実施するか個別具体的な判断は各学校設置者が行うものであるが,a)については優先的に耐震対策を講ずべき事業と位置づけ,実態把握を図ることなどにより,対策の促進を図ることが考えられる。また,b)については,大規模改修や長寿命化改修等の主要な内容として明示することなどにより,対策の促進を図ることが考えられる。

1-1-3 非構造部材の耐震化ガイドブック等の改訂
●文部科学省においては,非構造部材の耐震化ガイドブック及び耐震対策事例集について,別冊で示した視点を踏まえて見直すとともに,より学校設置者及び学校が取り組む上で有益となる情報を盛り込んだ内容に充実することが必要である。その際,1-1-1で示した優先的に対策を講ずべき非構造部材についても併せて検討し,より詳細な点検・対策手法等について示すことが必要である。

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