第4章 園庭計画

第1 基本的事項

1 教育環境の向上

(1) 幼児期の心身の発達,人体寸法,動作寸法,行動特性等を勘案して,幼児が自発的,自主的な活動を展開できるように,防災性,防犯性など安全性の確保に十分留意して各施設部分を計画し,設計することが重要である。特に,屋外に避難路※を計画する場合においては,過度の混雑を生じることのない安全な幅,形状とするとともに,滑りにくい仕上げとすることが重要である。
※避難路・・・・・・避難する際に通行する道路,通路,階段そのもの。一方,避難経路は,ある場所から避難目標地点まで最短時間でかつ安全に到達できる道筋を言う。
(2) 津波等災害時の緊急避難場所への避難路は,車いすの利用者等の利用も踏まえ,スロープとすることが望ましい。この場合に,周囲の助けを得て押し上げてもらうことを前提とした勾配のスロープとすることが望ましい。
(3) 階段やスロープの上り口に,車いすの利用者などによる滞留が生じないよう,十分な面積の上り口を確保することが望ましい。
(4) 園庭を構成する各施設部分について,指導方法,幼児の多様な活動内容や利用頻度等を十分勘案した適切な空間構成,配置等を計画することが重要である。
(5) 幼児の多様な活動内容に十分留意し,園舎周りの屋外空間や屋上等を含め,園地全体を活用して幼児が活動できるよう園庭全体の連続性や回遊性に配慮することが重要である。
(6) 3歳児や乳幼児の利用が想定される場合は,専用の屋外保育空間を保育室に近接した位置に設けることも有効である。
(7) 幼児の自然体験を豊かにし,心身の発達を促すため,防災性,防犯性など安全性の確保に十分留意しつつ,現存する森,樹木,池等や自然の傾斜,段差等を有効に活用することが望ましい。
(8) 環境を考慮した取り組みとして,太陽光を利用したモニュメント,風力発電装置等を設置することは,環境教育を踏まえた活用という観点からも望ましい。
(9) 園地近傍の樹林,草原,小山,小川,池等を活用して園庭を計画することも有効である。
(10) 園舎の屋上,壁面,テラス,ベランダなどについて緑化することが,環境を考慮した施設づくりという観点からも有効である。

2 総合的かつ柔軟な計画

(1) 各施設部分・空間等は,相互の調和や全体的な景観に配慮し,園舎周りの屋外空間や屋上等を含め,園地全体を活用して幼児が活動できるように,園舎部分との連続性に配慮して計画・設計することが重要である。
(2) 幼児の多様な活動の展開に柔軟に対応するため,可動遊具の導入等により各施設部分の空間配分及び配置の再構成が可能な計画とすることが望ましい。
(3) 文化的な環境づくりのために,舗装面の装飾やモニュメントの設置等を計画することも有効である。
(4) 地域住民との交流や,保護者と教職員,保護者間の交流の場としての機能を充実させるため,園庭にベンチ,庭等の空間を計画することが望ましい。
(5) 保育所との連携を行う場合は,相互の園庭の共用化を考慮した計画とすることも有効である。

第2 運動スペース

(1) 敷地の形状を有効に活用し,変化に富み,遊びながら様々な活動を体験できる空間として計画・設計することが重要である。
(2) 運動や遊びの種類,設置する遊具の利用形態等に応じて,必要な面積,形状等を確保できる計画・設計とすることが重要である。
(3) 構造及び仕様は,表面が平滑で,適度な弾力性を備え,また,適度の保水性と良好な排水性を確保するように計画し,設計することが重要である。
(4) 表層部分の材料は,けがの防止,維持管理の方法,ほこりの発生防止等に十分留意しつつ,運動等の内容に最も適した種類を選定することが重要である。
芝生を用いる場合には,気候・土壌条件,維持管理方法等を考慮し計画することが重要である。
(5) 必要に応じ,東屋やパーゴラ等,日除けのための施設を適当な通風の得られる位置に設けることも有効である。
(6) 屋上で運動する計画とする場合は,安全管理面に十分留意しつつ,運動の内容等に適した機能を確保するよう形状,仕上げ等を計画することが重要である。その際,活動に伴い発生する騒音やボール等の落下などによる周辺地域等への影響に十分留意することが重要である。

第3 遊具

(1) 固定遊具等は,幼児期の心身の発達にとって重要な役割を果たすことを踏まえ,自然の樹木や地形の起伏等を遊具として活用することや衛生面も考慮しつつ,幼児数や幼児期の発達段階,利用状況,利用頻度等に応じ必要かつ適切な種類,数,規模,設置位置等を検討することが重要である。その際,幼児のみで利用しても十分な安全性及び耐久性を備えた仕様のものを選定することが重要である。特に,朝礼台や金属のポール等は必要に応じ,カバーを設置する等衝突事故防止に配慮した計画とすることが重要である。また,幼児の想定外の使い方による落下,衝突,転倒などに配慮することが望ましい。
(2) 固定遊具,可動遊具ともに定期的に安全点検を行い,破損箇所の補修を行う等日常的な維持管理を行うことが重要である。とりわけ,揺れ,回転,滑降等を伴う遊具の設置については,安全性確保の観点から慎重に対処することが望ましい。
(3) 固定遊具の支柱の基礎部分及び遊具の周りは,幼児の安全に配慮した仕上げ,構造等とすることが重要である。
(4) 幼児の興味や関心,遊びの変化等に応じ遊具の再配置が可能となるように,可動遊具や組立遊具を安全性に留意して導入することも有効である。

第4 砂遊び場,水遊び場その他の屋外教育施設

1 砂遊び場

(1) 安全面及び衛生面における維持管理に十分留意しつつ,適当な面積,形状,砂質等のものを確保することが重要である。
(2) 日当たりが良く安全かつ効果的に利用できる位置に計画することが重要である。

2 水遊び場

(1) 水質管理ができるプール等の水遊び場を計画することが望ましい。また,水質管理や利用形態に十分留意しつつ,幼児が楽しく遊べる小川や池,可動式の水遊び場を計画することも有効である。
(2) 日当たりが良く,安全かつ衛生的に管理できる位置に計画することが重要である。また,必要に応じ,日除けのための設備を設置することが望ましい。

3 その他の屋外教育施設

(1) 動植物の飼育,栽培のための施設を,安全面や衛生面に留意しつつ,計画することも有効である。その際,幼児が活動しやすいよう配慮することが望ましい。
(2) 敷地内に地域の自然を活用したビオトープ※を計画することも有効である。
※ビオトープ・・・・水生植物,水生動物等の観察ができる小川,池等をはじめとする生物の生息空間
(3) 敷地内に,幼児が登ったり駆け下りたりできる築山,通り抜けができるトンネル,泥遊びができる場所等を安全面及び衛生面に留意しつつ計画することが望ましい。
(4) 憩い,食事,交流,発表等の場として,ステージ,ベンチ等を設置することも有効である。

第5 緑化スペース

1 共通事項

(1) 植栽,草花などの自然を取り込んだ緑化スペースが教材としても活用されるよう配慮し,園地全体に積極的かつ効果的に取り入れることが重要である。
(2) 緑化に当たっては,維持管理の方法を十分検討しつつ,樹木の成長等の状況を十分予測し,長期的な展望の下に計画することが重要である。
(3) 土地的条件,気候的条件などを十分考慮するとともに,有毒,有害寄生虫の有無等に留意し,適切な種類の樹木や草花等を選定することが重要である。
(4) 四季折々に花を咲かせ,実をならせる樹種を選定するなど,植物やそこに飛来する野鳥,昆虫等の生態等を観察できるように計画することが重要である。
(5) 明るい雰囲気を作り出し,幼稚園への愛着や思い出につながり,地域住民が誇りや愛着をもつことのできる緑化計画とすることが望ましい。
(6) 敷地内に十分な緑化の空間を確保することのできない場合などにおいては,安全性に十分留意しつつ,建物の外周部,屋上等を緑化に活用することが重要である。

2 樹木

(1) 樹高の高い樹木を園舎の周囲,園地周辺部等にまとまりを持たせて配植したり,1本又は数本の樹木をポイント的に配植することも有効である。
(2) 樹木の配植に当たっては,目的とする機能を有効に発揮することができるよう樹種,機能等に応じ間隔,配列等を設定し,園舎内や敷地周囲等からの見通しを妨げない計画とすることが重要である。
(3) 園舎等の建物周囲へ樹木を配植する場合は,室内の採光,通風等に支障を生じることないよう計画することが重要である。
(4) 園地周辺部に樹木を配植する場合は,日影,落葉等によって周辺地域へ支障を及ぼすことのないよう配慮しつつ,周辺地域の景観と調和し,良好な景観の構成に貢献するよう計画することが望ましい。
(5) 安全性に留意しつつ,木登りなどの遊びをできる樹種を選定することも有効である。
(6) 郷土産のものを中心に,四季の変化,生態等を観察することのできる樹種を選定することが望ましい。

3 植え込み

(1) 低木による植え込みを,前庭部,園舎周囲,沿道部,敷地境界部等にある程度の密度を持たせて計画することも有効である。
(2) 植え込みを計画する場合は,維持管理や防犯上死角の原因とならないことに十分留意しつつ,目的,場所等に応じた適切な樹種を選定し,ある程度の密度をもって,配植することが望ましい。
(3) 樹高の高い樹木と組み合わせる場合には,植え込みに日照障害を生ずることのないよう留意して計画することが重要である。

4 芝生

(1) 芝生のもつ効用を,維持管理及び植栽場所に十分留意しつつ,効果的に活用することも有効である。
(2) 使用目的及び使用場所に適した種類の芝を選定することが重要である。
(3) 樹木等と併用する場合は,芝に日照障害を生じることのないよう留意して計画することが重要である。
(4) 前庭部,保育室の前面等に芝を配植することも有効である。
(5) 幼児が日常的に使用する部分は,感触,踏圧に対する耐性,維持管理のしやすさ等に留意して芝の種類を選定することが重要である。
(6) 芝の植付けに当たっては,生育条件の確保に留意しつつ,種類等に応じて植付けの方法,時期等を選定することが重要である。

5 花壇

(1) 幼児が自発的,自主的に世話ができ,また管理もしやすいように,位置,規模等を計画することが重要である。その際,栽培する草花,野菜等の種類は,開花や収穫の時期及び期間,手入れや収穫等の管理の難易を十分検討し,適切なものを選定することが望ましい。
(2) 設置位置は,日当りがよく,目につきやすく,かつ,管理に容易な場所とすることが望ましい。
(3) 形状等については,複雑な形状及び過度の広さとすることは避け,周囲をレンガ,ブロック等で縁どり,適当な規模に区画することが望ましい。
(4) 花壇とは別に,花壇面積に応じた十分な苗場を用意しておくことが望ましい。

6 生け垣

(1) 潤いのある親しみやすい環境を構成する上で,侵入防止,目かくし,防じん,防音等遮へいの必要な部分に生け垣を計画することも有効である。
(2) 生け垣を計画する場合は,場所及び目的に応じ,生け垣の種類や使用する樹木等を選定し,防犯上も考慮し計画することが重要である。また,景観構成上も有効となるよう配植することが望ましい。
(3) 園地周辺部に計画する場合は,目的とする機能の確保に留意しつつ,変化をもたせ,厚みを感じる計画とすることが望ましい。
(4) 園地内の施設の境界に計画する場合は,目的とする機能の確保に留意しつつ,区画する施設その他の背景と調和し,かつ,園地内の良好な景観を構成するよう樹種,配植等を計画することが望ましい。

第6 門,囲障等

1 門

(1) 幼児の安全上及び教育上の支障がなく,周辺の地域住民の生活等に支障を及ぼさないような位置に配置することが重要である。
(2) 津波等災害時の緊急避難場所である高台や津波避難ビルまでの避難経路が短縮される位置に門を設置することも有効である。
(3) 幼児等の通行量が最大となる時間帯の通行密度,緊急車両の通行等を勘案して十分な幅の通行部分を確保することが重要である。
(4) 幼児の道路への飛び出しを避けることができるように,門及び門周りの囲障の仕様,配置等を計画することが望ましい。
(5) 門扉を設ける場合には,開閉方法,形状,重量等を十分検討して安全に開閉できるよう計画するとともに,心理的な圧迫感を与えることのないよう意匠に配慮することが重要である。
(6) 不審者の侵入防止や犯罪防止,事故防止等の観点から,死角とならない場所に配置し,門の施錠管理を適確なものとすることが重要である。また,防犯カメラや赤外線センサー,インターホン等の防犯設備を,必要に応じ門の周辺に設置することも有効である。
(7) 見通しのきかない位置に門を設けざるを得ない場合は,門の施錠や開閉による来訪者の出入管理に特に留意することが重要である。その際,障害者や高齢者の利用に支障が生じないよう配慮することが望ましい。
(8) 外部からの来訪者を確実に確認できるよう,来訪の際は必ず受付場所へ立ち寄る旨の表示を門等に掲げることが重要である。また,誘導のための案内図やサインを必要に応じ門の周辺に計画することも有効である。
(9) 門の周辺に,送迎の際などに保護者同士が交流できる空間を計画することが望ましい。
(10) 緊急避難場所や避難所となる場合においては,緊急避難場所等である旨及び避難経路をわかりやすく示す案内図やサインを設置することが重要である。

2 囲障等

(1) 囲障は,地域状況に応じ防犯にも留意しつつ,周辺環境に調和し,開放的で親しみを感じられるよう計画することが望ましい。
(2) 囲障を計画する際,特に防犯の面からは,周囲からの見通しを妨げるものは避け,視線が通り死角を作らないものとすることが重要である。また,隣接建物等から不審者の侵入が心配される状況では,囲障について十分な高さや形状を確保することが望ましい。
(3) 防犯カメラや赤外線センサー等の防犯設備を,必要に応じ囲障の周辺に設置することも有効である。
(4) 生け垣とする場合には,維持管理や周辺への影響について十分検討し,適切に樹種を選択し,配列することが重要である。
(5) 運動スペース周辺の住宅,道路の状況等に応じて,防護ネット等を計画することが望ましい。
(6) 囲障,防球ネット,フェンス等については,十分な耐用性や地震時の安全性を確保するよう設計することが重要である。

3 駐車場等

(1) 必要最小限の自動車や自転車等の駐車及び円滑かつ安全な出入りに必要な面積,形状等を計画することが重要である。
(2) 出入りに伴う騒音,排気ガス等が教育活動や周辺に影響を及ぼすことのないよう計画することが重要である。
(3) 不審者の侵入防止や犯罪防止等の観点から,死角とならない場所に配置し,来訪者を適確に確認できる構造とすることが重要である。
(4) 必要に応じ,通園バスの駐車場や送迎の際の乗降場所,保護者,幼稚園開放における利用者,外部からの訪問者の自転車やベビーカー等を置くための場所を計画することが重要である。

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