第3章 園舎計画

第1 基本的事項

1 高機能かつ柔軟な計画

(1) 多様な保育形態及び幼児の多様な活動内容に応じるため,各室や空間の必要性,関連性,利用頻度等を勘案した適切な空間構成とすることが重要である。
(2) 幼児の特性に応じて,自発的,自主的な活動が促されるように,保育室や遊戯室等の園舎内及び園舎と園庭や半屋外空間の空間的な連続性や回遊性に配慮することが重要である。また,各室や空間の広さ,形,床レベル等に変化を持たせるように配慮することが望ましい。その際,アルコーブやデンを計画することも有効である。
(3) 園舎内の見通しを良くしたり,吹抜けを配置したりするなど,幼児同士,互いの活動の様子を見ることができるよう計画することも有効である。
(4) 幼児の多様な活動の展開に柔軟に対応するため,必要に応じて移動・可動間仕切等を用いて多様な空間を構成できる計画が望ましい。
(5) 園具,遊具等の設置及び将来の導入を考慮して各室や空間の面積,形状等を計画することが重要である。
(6) 多様な保育空間等を確保するために,中庭,屋上など園舎周りの屋外空間や半屋外空間を,安全管理面に十分留意しつつ積極的に取り入れた構成とすることが望ましい。
(7) 遊戯室,ホール,ラウンジなど奥行きの深い空間や仕切りのない広い空間などは,採光,換気,音響,暖房等に支障を生じないように,位置,空間の形状,天井高,開口部,仕上げ,設備等を計画することが重要である。
(8) 情報化の進展にともない,情報機器の導入が可能となる計画とすることも有効である。
(9) 津波等の対策のために高層化することも有効である。この場合は,他の公共施設と複合化することも有効である。

2 総合的,長期的な計画

(1) 将来の幼児数の変動や多様な活動内容や指導方法に柔軟に対応できるように,間仕切位置の変更,保育室等の増築等を行うことのできる計画とすることが望ましい。
(2) 必要な保育空間等を確保しつつ,地域における幼児教育のセンターとしての子育て支援機能を果たすことも考慮した空間構成とすることが重要である。
(3) 地域の人々に親しまれ,幼児の将来の思い出にもつながり,かつ,教育の場としてふさわしい意匠とすることが望ましい。その際,幼稚園や地域の歴史,伝統等を考慮したシンボル性を有し,また,地域の景観と調和するように設計することが望ましい。

3 安全かつ円滑な動線に配慮した計画

(1) 幼児の幼稚園における一日の活動が円滑に継続できるよう,空間的な連続性を確保した動線を設定することが望ましい。
(2) 幼児,教職員,保護者,幼稚園開放時における利用者等が円滑に園内を移動することができるよう安全で明確な動線を設定することが重要である。
(3) 園具,遊具等の運搬や配食などを安全かつ円滑に行うことができるような動線を設定することが重要である。
(4) 可能な限り簡明で遠回りとならない動線を設定することが重要である。特に,遊戯室等多人数を同時に収容する空間を避難階以外の階に計画する場合は,非常時の迅速な避難のために複数の避難経路を確保する等,その避難経路の設定に十分留意することが重要である。
(5) 開放的な渡り廊下を設ける場合には,不審者の侵入に対する安全性の確保を図ることが重要である。
(6) 3歳児や障害のある幼児の日常の動線や避難経路に十分配慮して計画することが重要である。
(7) 津波等災害時の緊急避難場所である高台や津波避難ビル,園舎等の屋上等までの避難経路を可能な限り短縮するよう計画することも有効である。
(8) 園舎等建物の屋上や上層階に津波等からの緊急避難場所が配置される場合においては,想定される津波等の水位以上の高さにすることが重要である。なお,園舎等の上層階を緊急避難場所とする場合も,段階的な避難を可能とするため,屋上への避難階段を整備しておくことが望ましい。

4 安全・防犯対策

幼児が立ち入るべきでない場所は,施錠するなど物理的な立入制限をできるよう計画することが重要である。また,窓・出入口についても,容易に破壊されにくいものとするよう留意するとともに,非常時の避難にも配慮しつつ,適確な施錠管理を行うことが重要である。

5 特別の支援を必要とする幼児への配慮

(1) 個々の幼児の障害の状態等に応じた多様な活動に柔軟に対応でき,幼児が安心し,ゆとりをもって周囲の環境とかかわることのできるよう計画することが重要である。
(2) 情緒障害,自閉症又はADHD等の障害のある幼児が落ち着きを取り戻すことのできるよう,小規模な空間を設けること等も有効である。

6 多様な教育内容・保育形態に対応する家具の計画

(1) 机やいす,収納家具,ワゴン類,ついたて類等の家具については,多様な保育形態等に対応できるよう数量,材質,形状等を各室と一体的に計画するとともに,幼児の人体寸法に十分留意することが重要である。その際,地震等による教具等の落下や家具の転倒,幼児の衝突等に対して十分な安全性を確保できるように計画することが重要である。
(2) 造り付けの家具・遊具等の設置に当たっては,必要性を十分検討し,幼児が日常的に利用しやすい位置に計画することが望ましい。
(3) 幼児の通園鞄等の所持品を収納する適切な規模の家具を計画するとともに,幼児が主体的に片づけられる形状,配置とすることが望ましい。

第2 保育空間

 1 保育室

(1) 空間構成,位置等
1 日照,採光,換気,通風,音響等の良好な環境条件の確保に十分留意して,位置,方位等を計画することが重要である。
2 幼児の活動の拠点となる空間であることを考慮し,遊戯室その他の保育空間及び園庭との連携を十分検討し,適切な空間構成とすることが重要である。
3 幼児の交流,教職員間の連携・協力を円滑に行うことができるように,保育室相互のつながりに留意して計画することが重要である。
4 3歳児が活動する保育室は,遊びの場や便所等との関連に留意するとともに,職員室から見通しが良い位置に配置することが望ましい。
5 テラス,バルコニー等の半屋外空間や中庭,芝生等の屋外空間に,直接出入りできるように計画することが望ましい。
(2) 面積,形状等
1 多様な教育内容や指導方法に対応できるとともに,園具,遊具等を弾力的に配置できる面積,形状とすることが重要である。
2 幼児が様々な体験を行うことができるように,活動の内容や方法等に応じて様々なコーナーを形成できる面積,形状とすることが重要である。また,家具や,パーテション等を簡単に収納することが可能な計画とすることが望ましい。
3 作品や資料の掲示スペースや展示空間,持ち物の収納空間を確保できる面積,形状とすることが重要である。
4 保育室の一部に,畳やカーペット等を採用したり,ソファやベンチ等を設置したりすることも有効である。
5 衛生面に十分留意しつつ,水栓,流しその他の生活用設備,小動物や植物と親しむための設備などを設置する空間を確保できることが望ましい。
6 3歳児が活動する保育室は,シャワー設備,給湯設備などの利用を考慮した計画とすることが望ましい。

2 遊戯室

(1) 空間構成,位置等
1 保育室との連携や,特に降雨,降雪時の利用を十分検討し,規模,位置等を適切に計画することが重要である。その際,保護者や地域住民による利用や,近隣の小学校の児童等との交流も考慮して計画することが望ましい。
2 保育室やホールと連続して計画し,一体的な利用も行えるよう考慮することも有効である。その際,幼児の日常の動線となる空間を確保できるように計画することが望ましい。
3 運動に使う遊具,大型の遊具等を収納するための空間を,日常の出し入れに便利な位置に確保することが望ましい。
4 津波等災害時に,遊戯室を緊急避難場所として利用するために,上層階に計画することも有効である。その場合には,日常の教育活動に支障を生じない動線計画とするとともに,避難者が円滑に避難できるよう階段の位置等を計画することが重要である。
(2) 面積,形状等
1 幼児が安全にしかも伸び伸びと活動できる面積,形状とすることが重要である。
2 活動の内容や方法に応じて各種の園具,遊具等の配置を換えたり,様々なコーナーを形成できる面積,形状とすることが望ましい。
3 避難時や行事の際の利用者の動線も考慮しつつ,幼児等が円滑かつ安全に移動できる出入口の位置,幅等を計画することが重要である。
4 幼児の発表,保護者の交流,様々な行事等に必要な照明,音響,ステージ,暗幕等の設備を適切に設置できる空間を確保することが重要である。

3 図書スペース

(1) 空間構成,位置等
1 幼稚園の規模,教育内容や指導方法等に応じて,図書スペースとしての専用室又はコーナー・アルコーブ等を活用した読書のための小空間を計画することが重要である。
2 幼児が本を読みながらくつろぎ,楽しむことのできる計画とすることが重要である。また,情報化に対応する教育機器を導入することや,読み聞かせのための空間を確保することも有効である。
3 図書,視聴覚機器,教材等を利用できる専用室,又は分散して利用できる小空間を幼児等が利用しやすい位置に配置することも有効である。
4 図書スペースの家具を,幼児数等に留意し,利用しやすいように配置することが重要である。
5 資料の展示,掲示等のための設備を設けることのできる空間を確保することも有効である。
(2) 面積,形状等
1 図書スペースとして専用室を計画する場合は,図書,各種設備,機器,教材等を効果的に配置,収納し,利用できるように,面積,形状を計画することが重要である。
2 図書,視聴覚機器,情報機器,教材等のための小空間を各保育室やその周辺に分散して計画する場合は,設置方法やその規模に十分留意することが重要である。
3 必要に応じて,床に畳やカーペット等を採用することも有効である。

4 教材・器具庫

(1) 空間構成,位置等
1 身近な様々な対象が幼児のための教材となり得ることから,教材・園具等の種類,数量等に応じた必要な規模を確保するとともに,適切な運搬経路を確保できる位置に計画することが重要である。
2 教職員が教材等の複写,印刷,作成,整理,修理等を行うことができる空間として計画することも有効である。
(2) 面積,形状等
1 各種設備,機器,教材等を効果的に配置,収納し,利用できる面積,形状とすることが重要である。
2 教材等のための小空間を各保育室等に分散して計画する場合は,設置方法やその規模に十分留意することが重要である。

5 ホール,ラウンジ等

(1) 空間構成,位置等
1 幼児と教職員,幼児間の交流等を促し,また,保護者の交流の場としても活用できるように,まとまりのある空間を計画することも有効である。
2 ホール,ラウンジ等の空間は,保育室,遊戯室等から利用しやすい位置に計画するとともに,中庭,テラス等との空間的連続性を考慮して計画することが望ましい。また,必要に応じ,保育室,遊戯室等と一体の空間としても利用することのできるような計画とすることも有効である。
(2) 面積,形状等
1 多様な活動内容に対応できるとともに,家具等を適切に配置できるゆとりのある面積,形状とすることが望ましい。
2 作品等の展示などの場としての利用も考慮し,規模,空間構成等を計画することも有効である。

6 食事のための空間

(1) 空間構成,位置等
1 豊かな食習慣を身に付けさせる上で,保育室とは別に,食事のための空間を計画することも有効である。その際,多目的な空間となるよう配慮することや,手洗いの場を近接した位置に設けることが望ましい。
2 食事ができるテラス等半屋外空間を一体的に計画することも有効である。
(2) 面積,形状等
1 食事の場所として落ち着いた空間とし,衛生面に十分配慮することが重要である。
2 ゆとりと潤いが感じられ,楽しい食事ができるような空間とし,食卓,いす等の家具を弾力的に配置できるゆとりのある面積,形状とすることが望ましい。
3 幼児が教職員や保護者,地域住民等と一緒に,簡単な料理や片づけ等ができる計画とすることも有効である。

7 半屋外空間

(1) 空間構成,位置等
1 幼児の主体的な活動を促す空間として,園舎周りの半屋外空間を積極的に計画することが望ましい。その際,保育室等の園舎部分及び屋外空間との連続性や回遊性に配慮することが重要である。
2 風,積雪等地域の気候的特性に留意し,日照,採光,通風等について良好な環境条件となるよう,半屋外空間の位置及び向き等に留意することが望ましい。
(2) 面積,形状等
ゆとりと潤いを感じ憩いの場として構成することのできる面積,形状とすることが望ましい。

第3 共通空間

1 昇降口,玄関等

(1) 空間構成,位置等
1 登降園時に利用する昇降口,玄関等は,保護者等が円滑に幼児を送り迎えすることができるよう,ホール,ラウンジや保育室から利用しやすく,幼児の登降園の状況を確認できる位置に計画することが重要である。なお,幼稚園規模等に応じて分散して計画することも有効である。
2 日常の園舎と園庭との出入りの際に利用する昇降口は,上履きと下履きの動線が交差することなく,園舎等の周囲を迂回せず園庭へ出やすい位置に計画することが重要である。
3 降雨,強風,積雪等の地域の気候的特性に留意して,昇降口の位置及び開口部の向き,庇を検討するとともに,必要に応じ,風除室,乾燥室等を設けることが望ましい。
(2) 面積,形状等
1 出入口の幅を十分確保し,下足箱,傘立て等の配置を考慮し,安全かつ円滑に出入りできる面積,形状等とすることが重要である。
2 日常的に多数の保護者が送迎に訪れるため,降雨,強風,積雪等地域の気候的特性に配慮し,送迎時に効率的に使用できる面積,形状とすることが望ましい。
3 障害のある幼児等が支障なく出入りできるように,車椅子等を利用した移動に支障のない面積,形状とすることが望ましい。

2 廊下,階段等

(1) 空間構成,位置等
1 廊下,階段,スロープ等は,安全かつ円滑な動線としての機能を確保できるよう規模,配置等を計画することが重要である。
2 安全性の確保に留意しつつ,幼児等が多様な活動,交流を展開する場としても活用できるように,廊下,階段等を計画することが望ましい。
3 階段の踊り場や廊下にゆとりを持たせることにより,例えば幼稚園を紹介するためのギャラリーや多様な情報を交換する場として計画することも有効である。
4 必要に応じ,保育室,遊戯室等と一体の空間としても利用することのできるような計画とすることも有効である。
(2) 面積,形状等
1 必要な照度を確保し,過度の混雑を生じることのない安全な幅,形状等とすることが重要である。
2 階段は,幼児が安全に昇降することができるよう,段差の寸法や手すりの位置,床面の素材などに配慮することが重要である。
3 吹抜け等に面した階段では,墜落・転落事故防止のための防護措置を講ずることが重要である。
4 車椅子を利用した移動等に支障のない適切な面積を確保し,段差がある箇所はスロープ等を設置することが望ましい。
5 廊下の曲がり角,廊下と階段の接続部等は,出会い頭の衝突防止に配慮し,見通しを確保するなど形状等を工夫することが重要である。
6 廊下の突き当たり部は,衝突防止に配慮した計画とすることが重要である。

3 便所

(1) 空間構成,位置等
1 幼児の利用する便所は,保育室の配置状況や園庭との位置関係を考慮して,利用しやすい位置に計画することが重要である。その際,清潔で使いやすい計画とするとともに,3歳児,障害のある幼児の利用する便所は,保育室に近接した位置に計画することが望ましい。
2 幼児の利用する便所とは別に,教職員,保護者,外来者等の便所を,管理空間の適切な位置に男女別に計画することが重要である。
3 障害者用の便器,手すり等の設備を設置した便所を,一般の便所内あるいは適当な位置に確保することが重要である。
4 乳幼児用のベッドやベビーチェア等の設備を設置した便所を,管理空間の適切な位置に計画することも有効である。
5 地域の幼児教育のセンターとして整備する場合は,保護者,幼稚園開放時における利用者,外部からの訪問者等の動線に配慮した位置に便所を計画することが重要である。
(2) 面積,形状等
1 幼児の心身の発達を考慮して,幼児数,利用状況等に応じた種類及び数の便器,手洗い設備,シャワー等を設置できる面積,形状とすることが重要である。
2 便所にブースを設ける場合は,教職員が必要に応じてブース内の安全を確認でき,また,幼児が容易に操作できる扉の高さ,幅等とすることが望ましい。

4 水飲み,手洗い等

(1) 空間構成,位置等
1 水飲み場,手洗い場は,保育室,食事のための空間,運動スペースの付近など園内の必要な場所に分散して計画することが重要である。また,通行部分が濡れるような配置は避けて計画することが望ましい。
2 足洗い場は,洗浄前後の動線の設定に十分留意して,昇降口その他の主要な出入口に近接した位置に計画することが望ましい。
3 シャワー等を設置する空間は,屋内外の保育空間や職員室から利用しやすく,また,3歳児等への対応がしやすい位置に計画することが望ましい。
(2) 面積,形状等
1 水飲み場,手洗い場,足洗い場は,幼児数,利用頻度等に応じた適当な数の水栓等を設置できる面積,形状とすることが重要である。
2 シャワー等を設置する空間は,利用状況に応じた面積,形状を確保することが重要である。

第4 家庭・地域連携空間

1 預かり保育室

(1) 空間構成,位置等
1 午睡やおやつ等の「預かり保育」独自の活動に対応した専用の室を計画することが望ましい。なお,保育室等と共用する場合は,「預かり保育」のための活動に適切に対応できる空間構成や雰囲気づくりをすることが重要である。
2 家庭的な雰囲気のゆとりと潤いのある空間となるよう計画することが重要である。また,職員室と近接した位置に配置することが望ましい。
3 明るさを抑え,静かな環境を形成することが可能な午睡のための空間を計画することが望ましい。その際,布団等の収納や空調設備について留意することが望ましい。
4 衛生面に配慮しながら,おやつ等の軽食を食べるための空間を計画することが望ましい。
5 保護者が幼児を送り迎えするための玄関等については,保護者と幼児が円滑に出会えるよう配慮することが望ましい。
(2) 面積,形状等
1 幼稚園の規模や「預かり保育」の対象となる幼児数,及び活動日数や活動時間帯等の運営方法も考慮し,適切な規模の面積とすることが重要である。
2 必要に応じて,床に畳やカーペット等を採用することも有効である。

2 子育て支援室

(1) 空間構成,位置等
1 子育て相談や子育てサークル活動に対応したり,幼児の保護者同士及び保護者と教職員が交流したりすることができる子育ての支援活動専用の空間を計画することが望ましい。その際,玄関から近い位置に,内部の様子が分かるように計画するなど,立ち寄りやすい雰囲気とすることが重要である。
2 保護者との個別相談に対応でき,プライバシーを守ることのできる小部屋を計画することも有効である。
3 インターネットを活用し,保護者や地域住民と子育てに関する情報交換や相談に対応できる「子育て情報ネットワーク」の構築に配慮した計画とすることも有効である。
(2) 面積,形状等
1 乳幼児を伴う保護者の利用に配慮し,乳幼児用のベッドや給湯設備,授乳用の空間などを備えた形状として計画することが望ましい。
2 乳幼児は床を這う,寝転ぶ,座る等の行動をとることに留意し,床材の選択やコンセントの仕様等については,安全性や衛生面に十分配慮することが望ましい。
3 育児に関する情報を掲示するスペースや,育児に関する書籍や絵本の閲覧スペースを計画することも有効である。

3 PTA室

(1) 空間構成,位置等
1 PTA室は,保護者等が気軽に集まり交流や学習等ができ,教職員と相談しやすい雰囲気とし,その位置は職員室と近接させることが望ましい。
2 地域住民やボランティア等が交流できる場としてPTA室を計画することも有効である。
(2) 面積,形状等
保護者,地域の人々,ボランティア等が幼稚園において活動する上でその拠点となる室として,必要な家具等を適切に配置できる面積,形状とすることが望ましい。

第5 管理空間

1 職員室

(1) 空間構成,位置等
1 職員室は,園庭,アプローチ部分などの見通しがよく,園内各所への移動に便利な位置に計画することが重要である。また,幼稚園開放の際,外部からの来訪者が訪問しやすい位置に計画することが望ましい。
2 教務,事務等の執務内容に応じた規模の空間を確保するとともに,幼児の活動を常時見守ることができ,緊急時にも速やかに対応できる位置に計画することが重要である。
(2) 面積,形状等
1 必要な家具,事務機器,放送設備等を適切に配置できる面積,形状とすることが重要である。
2 打合せや教材の開発・研究のための作業を行うコーナー等の空間や教材等を保管するスペースを確保することも有効である。
3 休憩・休息,食事のための湯沸かし,流し等の設備を備えたラウンジやコーナー等の空間を確保することも有効である。

2 園長室・応接室

(1) 空間構成,位置等
園長室,応接室は,職員室と近接した位置に計画することが望ましい。
(2) 面積,形状等
1 園長室,応接室は,保護者の子育て相談等での利用にも対応できるよう配慮しつつ,必要な家具等を適切に配置できる面積,形状とすることが重要である。
2 幼稚園の歴史に関わる資料等を保管し,展示するための家具等を設置することのできる面積,形状とすることも有効である。
3 指導要録等の幼児の個人的な情報を適切に管理することのできる面積,形状とすることが望ましい。

3 会議室

(1) 空間構成,位置等
1 教職員や保護者,地域住民の間で情報交換や触れ合いの機会がもてる空間として計画することが望ましい。
2 会議室は,必要に応じ各種視聴覚メディアを効果的に活用したり,各種作業の場として活用したりできるように計画することも有効である。
(2) 面積,形状等
会議室は,会議机等の家具を弾力的に配置することのできる面積,形状とすることが重要である。

4 保健室

(1) 空間構成,位置等
良好な日照,採光,通風等を確保でき,職員室や便所に近接した位置に計画することが重要である。また,相談室を併せて設けることも有効である。
(2) 面積,形状等
1 健康診断,応急処置,休養のための家具,機器を配置し,薬品等を安全に保管できる面積,形状とすることが重要である。
2 病気やけがの幼児を迅速に搬送できるよう,屋外に通じる専用の出入口を設け,洗浄設備を確保することも有効である。

5 受付

(1) 空間構成,位置等
防犯上の観点から,外部からの来訪者を確認し,不審者を識別できるようにするため,運営体制を考慮した上で,来訪者の使用する門に隣接した場所や建物の出入口付近等の分かりやすい位置で,職員室等に隣接した位置又はその一部に,来訪者応対用の受付を設置することが重要である。
(2) 面積,形状等
1 受付では,記帳や名札の受け渡し等が円滑に実施できる計画とすることが重要である。
2 外部からの来訪者が近寄り難い雰囲気とならないように,ゆとりや潤いといったデザイン上の工夫をすることが望ましい。

6 更衣室・休憩室 

(1) 空間構成,位置等
1 教職員用の更衣室は,職員室と近接した位置に配置することが望ましい。
2 教職員用の休憩室は,職員室と近接した位置に配置し,ソファ等の家具や畳の導入を考慮し,ラウンジ的な空間として計画することが望ましい。
(2) 面積,形状等
更衣室は,男女別に計画し,ロッカー等の収納家具や,必要に応じてシャワー設備を設置できる面積,形状とすることが望ましい。

7 調理室

(1) 空間構成,位置等
1 安全かつ円滑な配膳経路の確保及び良好な環境衛生及び安全性の維持が可能となるよう計画することが重要である。
2 食堂・ランチルーム等の食事のための空間に近接させて計画することが重要である。
3 騒音,異臭等により教育活動に支障を及ぼすことなく,また,外部から車の進入しやすい位置に計画することが重要である。
4 休憩,着替え等のための空間を確保することが望ましい。
5 食品や食材の保管を適切に行うとともに,食中毒の原因となる雑菌等の発生を抑制し,衛生管理を行い易い施設として計画することが重要である。
6 調理室又は給食センター等から,食事のための空間へ配膳する間の保管場所については,異物混入を防ぐため,施錠等も含め計画することが重要である。
7 食べ物への興味や関心を高めるため,安全性を確保した上で,幼児が訪れやすい場所に調理室を配置することも有効である。
(2) 面積,形状等
1 効率的かつ安全・衛生的に作業を行うため,必要となる設備を利用しやすいよう設置し,安全・衛生管理を適切に行うことのできる面積,形状とすることが重要である。
2 床を乾いた状態で使用するドライシステムにより計画することが重要である。
3 開口部の位置や高さに配慮し,内部の様子を観察できるように計画することも有効である。

8 その他の管理諸室

1  洗濯機,乾燥機等を設置する場合は,幼児が自由に近づけない位置に計画することが重要である。
2  倉庫を設ける場合は,物品等の種類,寸法,量に応じて必要な空間を確保するとともに,搬出入に便利な位置に計画することが望ましい。
3  機械室を設ける場合は,騒音や振動の影響,燃料などの搬入等を考慮して,幼児の保育空間から離れ,保守・点検を行いやすい位置に計画することが望ましい。
4 管理諸室の周辺に職員や外来者用の便所,手洗いを計画することが重要である。

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大臣官房文教施設企画部施設企画課

指導第一係
電話番号:03-5253-4111(内線2291)

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