第6章 屋外計画

第1 基本的事項

1 教育的環境の向上

(1) 防災性,防犯性など安全性の確保に十分留意して各施設部分を計画し,設計することが重要である。

(2) 屋外における幼児児童生徒の多様な活動内容等を十分勘案した適切な空間構成,配置等を計画することが重要である。

(3) 幼児児童生徒の障害の状態及び発達の段階や特性等に応じた人体寸法,動作寸法,行動特性との適合に配慮して各施設部分を計画し,設計することが重要である。複数の障害に対応した施設とする場合は,各々の障害の特性等を考慮しつつ,各々の利用にとって妨げとならないよう各施設部分を計画することが重要である。
 【肢体不自由又は病弱に対応した施設】:車いすや補助用具等での活動や移動に十分留意して設計することが重要である。

(4) 幼児児童生徒の自然体験を豊かにするため,防災性,防犯性など安全性の確保に十分留意しつつ,現存する森,樹木,池等や自然の傾斜等を有効に活用するように各施設部分を計画し,設計することも有効である。

(5) 環境を考慮した学校施設としての取組として,太陽光パネル,風力発電装置等を設置することは,環境教育における活用という観点からも望ましい。その際,環境教育に活用しやすいよう動線等を考慮して計画することが望ましい。

(6) 手洗い,うがい等のための設備を設置する空間を屋外との主要な出入口近傍に計画することが望ましい。

2 総合的な計画

(1) 幼児児童生徒の障害の状態や特性等に応じた学習活動の展開状況等を考慮し,学習や生活において身近に利用できるバルコニー,テラス,ピロティ及び十分な広さの庇下の空間などの半屋外空間との連携や役割分担に配慮しつつ,これらの空間と総合的に計画することが重要である。

(2) 屋外における各施設部分・空間等は,相互の調和や連続性に配慮するとともに,関係する建物部分との連絡に留意し,建物部分との景観上の調和を図るなど学校施設全体としてまとまりのある空間として計画することが重要である。

(3) 文化的な環境づくりのために,舗装面の装飾やモニュメントの設置等を計画することも有効である。

3 地域社会への貢献

(1) 周辺の町並み,景観,雰囲気等と調和し,地域の文化的な施設としてふさわしい印象を与えるように計画することが重要である。

(2) 地域の小・中学校等の幼児児童生徒との交流及び共同学習における利用や,学校開放などにおける地域住民等の利用を考慮し,学校教育に支障を生じさせることなく,屋外運動施設等を安全かつ円滑に利用することができるよう計画することが望ましい。

第2 屋外運動施設

1 共通事項

(1) 幼児児童生徒の障害の特性等を考慮しつつ,運動の種類,利用形態等に応じ必要な機能を確保するように計画することが重要である。その際,学校開放時や地域の小・中学校等との交流及び共同学習における利用を考慮して計画することが重要である。
 【視覚障害又は聴覚障害に対応した施設】:幼児児童生徒への指示等を提示する装置等の設備・機器を適切に配置できるように面積,形状等を計画することが重要である。
 【聴覚障害に対応した施設】:集団補聴システムを利用する場合は,可聴範囲に応じたアンテナの設置等に配慮して屋外運動施設の構造,仕様等を計画することが重要である。

(2) 屋外運動場,各種コート等を,設定された施設機能に応じ,それぞれの関連性や相互の影響を考慮し,附属施設との連絡に留意しつつ,適切に配置することが重要である。

(3) 緑地などによる緩衝帯を計画することも有効である。

(4) 運動器具庫,手・足洗い場,便所,更衣室等の附属施設は,学校開放時も踏まえた利用状況に応じ適切な面積を確保し,幼児児童生徒が利用しやすいよう配置することが重要である。また,維持管理のための用具等を収納し,管理する倉庫等の施設を適切な位置に計画することが重要である。

(5) 必要に応じ,周辺住民への影響に配慮しつつ夜間照明等の設備についても計画することが望ましい。

(6) 必要に応じ,日除けのための施設を適当な通風の得られる位置に設けることが望ましい。また,観覧のための空間を確保することも有効である。

(7) 屋上に運動施設を計画する場合は,安全管理面に十分留意しつつ,運動の内容等に適した機能を確保するように形状,仕上げ等を計画することが重要である。その際,活動に伴い発生する騒音やボール等の落下などによる周辺地域等への影響に十分留意することが重要である。

2 屋外運動場

(1) 幼児児童生徒の障害の状態及び発達の段階や特性,運動能力,運動技能等の程度等に応じた多様な運動内容やグループでの活動等を安全に行うことができるような面積,形状,寸法等のフィールド,トラック等を確保するよう計画することが望ましい。
 【視覚障害に対応した施設】:走行を補助する装置等を,必要に応じ,フィールド内や運動場の周辺部のランニングルート等に設置できるように計画することも有効である。

(2) 球技等の実施に必要な面積,寸法,形状等のフィールドや,陸上競技の実施に必要な規模のトラック,直走路等を確保するように計画することが望ましい。

(3) 構造及び仕様は,表面が平滑で,適度な弾力性を備え,また,適度の保水性と良好な排水性を確保するように計画し,設計することが重要である。

(4) 表層部分の材料は,けがの防止,維持管理の方法,ほこりの発生防止等に十分留意しつつ,運動の内容に最も適した種類を選定することが重要である。
 芝生を用いる場合には,車いすや補助用具等の多様な形態による移動等に十分留意しつつ,気候・土壌条件,維持管理方法等を考慮し計画することが重要である。
 【視覚障害に対応した施設】:足触りのよさについても配慮することが望ましい。
 【肢体不自由又は病弱に対応した施設】:車いすや補助用具等を使用しての利用に十分留意して計画することが重要である。

(5) 固定施設等は,幼児児童生徒の障害の状態及び発達の段階や特性,利用状況等に応じ必要な種類,数等を検討して,幼児児童生徒のみで利用しても十分な安全性及び耐久性を備えた仕様のものを選定することが重要である。特に,朝礼台や金属のポール等は必要に応じ,カバーを設置する等衝突事故防止に配慮した計画とすることが重要である。また,幼児児童生徒の想定外の使い方による落下,衝突,転倒などに配慮することが望ましい。
 【肢体不自由又は病弱に対応した施設】:車いすや補助用具等を使用しての利用に十分留意して選定することが重要である。

(6) 固定施設等については,定期的に安全点検を行い,破損箇所の補修を行う等日常的な維持管理を行うことが重要である。

(7) 固定施設等は,設置状況を踏まえた上で十分な動作空間を確保し,陸上競技やサッカー等の球技などの実施に支障とならないよう周辺部等にまとめて配置することが重要である。

3 幼児児童用屋外運動場等

(1) 幼児児童が年齢に応じたふさわしい内容の運動,遊び等を実施することができるよう必要な面積,形状等を備えた幼児専用又は児童専用の遊び場・運動場を計画することが望ましい。

(2) 幼児又は児童の生活領域に近接させて計画することが望ましい。

(3) 各部は,幼児児童生徒のみで利用しても十分な安全性を確保できるように留意して計画することが重要である。

(4) 芝生を用いる場合には,車いすや補助用具等の多様な形態による移動等に十分留意しつつ,気候・土壌条件,維持管理方法等を考慮し計画することが重要である。

(5) 固定遊具は,自然の樹木や地形の起伏等を遊具として活用することや衛生面も考慮しつつ,幼児児童数や発達の段階,興味・関心や障害の特性,必要性,利用率等を十分勘案して,適切な種類,数,規模,設置位置等を計画することが重要である。

(6) 固定遊具の支柱の基礎部分及び遊具の周りは,幼児児童の安全に配慮した仕上げ,構造等とすることが重要である。

(7) 幼児児童の興味や関心,遊びの変化等に応じ遊具の再配置が可能となるように,可動遊具や組立遊具を安全性に留意して導入することも有効である。

(8) 安全に留意しつつ築山,人工の川や池,すべり台等を設けることが望ましい。

(9) 揺れ,回転,滑降等を伴う固定施設の設置については,安全性確保の観点から慎重に対処することが望ましい。

4 コート

(1) ボール運動・球技の実態等に応じ,適切な面積,形状等のコートを確保するよう計画することが望ましい。

(2) 構造及び仕様は,表面が平滑で適度な弾力性を備えるとともに,良好な排水が得られるように計画し,設計することが重要である。

5 屋外プール

(1) 水槽部分は,利用内容等を考慮し,長さ及び幅を適切に設定して必要な水面積を確保するよう計画することが重要である。その際,水中での身体の動きに関する指導など,自立活動のための場としての利用も考慮して計画することが重要である。
 【視覚障害に対応した施設】:誘導や壁面への衝突防止等のために必要な措置を講じることが重要である。

(2) 水深については,急激な変化のない適切な深さとするとともに,見やすい位置に水深表示を設けることが重要である。また,幼児児童生徒の安全性,地域住民の利用等を考慮し,水深を可変とすることも有効である。

(3) 幼児や低学年児童等が楽しく遊ぶことのできるよう形状等を工夫したプールを計画することも有効である。

(4) 水槽及び便所,更衣室,シャワー室等の附属施設の各部には,耐湿性及び耐食性のある材料を使用することが重要である。特に,水槽は,安全かつ衛生的であるとともに,清掃等の維持管理のしやすい材質のものとすることが重要である。

(5) 適切な浄化装置を設置することが重要である。また,排(環)水口には,蓋等をネジ・ボルト等で固定させるとともに,配管の取り付け口には吸い込み防止金具等を設置し,吸引事故防止のための二重の安全構造とすることが重要である。

(6) プールサイド及び通路等は,プール本体の大きさや利用する幼児児童生徒の障害の特性等を考慮して,十分な広さを確保するとともに,十分な耐水性があり,濡れても滑りにくい舗装とすることが重要である。また,危険な突起等がなく,適度の弾力性をもつように設計することが望ましい。
 【視覚障害に対応した施設】:プールサイドは,水槽への転落防止等のために必要な措置に留意して計画することが重要である。
 【肢体不自由又は病弱に対応した施設】:プールサイドは,車いす等での利用を考慮して,必要な規模を確保することが重要である。また,感触が良く滑らかな材質のものによる仕上げ部分を計画することが望ましい。

(7) 附属施設は,幼児児童生徒の障害の特性及び利用状況等に応じ適切な面積を確保し,指導者や見学者の動線の設定に留意しつつ利用しやすいように配置することが重要である。また,更衣室に隣接して洗濯機や乾燥機の設置スペースを計画することも有効である。
 なお,附属施設は,プールの各施設部分を含め,幼児児童生徒が認知しやすい配置構成とすることが重要である。
 【肢体不自由又は病弱に対応した施設】:附属施設は,車いすや歩行器,杖等を使用する幼児児童生徒が安全かつ円滑に利用しやすいように計画することが重要である。

(8) 必要に応じ,安全管理のための監視室や,救急処置のための救護室・医務室等の施設を計画することが望ましい。

(9) 必要に応じ,採暖室や開放時の保護者の控え室を計画することが望ましい。

(10) 必要に応じ,日除けのための設備を設置することが望ましい。

(11) 周囲に遮へい板,囲障壁等の施設を設けることが重要である。また,防犯設備の設置も有効である。

(12) 利用期間の延長や見学者等のため,プールに上屋を設けることも有効である。特に,寒冷地や屋上型の水泳プールについては,保温効果をあげる観点から,上屋を設置することも有効である。

(13) 必要に応じ,プールの利用者に対する危険発生等を周知させるための放送設備を計画することが望ましい。また,利用者への適切な警告や注意をするための看板や標識類を施設の入り口付近等の目に付く位置に設置することも有効である。
 【視覚障害又は聴覚障害に対応した施設】:指示・注意等のための設備・機器を適切に配置できるような面積,形状等とすることが重要である。

(14) 水槽内への出入りをしやすいよう計画することが重要である。
 【知的障害,肢体不自由又は病弱に対応した施設】:水槽への出入り部分やプールサイドの縁等は,移動装置やスロープの利用など,水槽内への出入り方法等に応じた仕様とすることが重要である。

第3 屋外教育環境施設

1 共通事項

(1) 生活,理科,総合的な学習の時間等の学習活動における利用内容,利用方法等に応じ,安全かつ効果的に活用することのできる機能を備えるよう施設種類,施設内容等を適切に計画することが重要である。

(2) 幼児児童生徒の障害の特性を考慮しつつ,幼児児童生徒数,利用状況等を考慮して必要な面積その他の規模を確保し,適切な設備の種類,数等を計画することが重要である。
 【肢体不自由又は病弱に対応した施設】:車いすや補助用具等を使用している幼児児童生徒も利用しやすいように位置,仕様等を計画することが重要である。

(3) バルコニー,テラス,ピロティ,庇下の空間など半屋外空間を運動,集会,教科学習,自立活動等の指導の場として活用できるように計画することも有効である。

(4) 用具庫,手・足洗い場,便所等の附属施設を,屋外運動用のものとの兼用も考慮しつつ,利用状況に応じ適切な面積を確保し,幼児児童生徒が利用しやすいように配置することが望ましい。

2 屋外学習施設

(1) 様々な自然体験学習を可能とするよう,安全面及び衛生面に留意しつつ,観察,実習等のための適切な植物,魚,動物等を選択し,組み合わせて計画することが重要である。

(2) 水生植物,水生動物等の観察を行うことのできるような小川,池等を設ける場合は,適切な水深等とし,水質の保全に留意して計画することが重要である。

(3) 敷地内に地域の自然を確保した生物の生息空間(ビオトープ)を計画することも有効である。

(4) 作業テラスは,関係する室・空間に隣接した位置に利用人数,利用内容等に応じた適切な面積,形状等とすることが重要である。また,雨天時にも利用できるように屋根を架けることも有効である。

(5) 飼育舎等は,飼育する動物の成育に必要な環境条件を確保するよう位置,仕様等を計画するとともに,飼育に必要な活動空間や収納空間をその配置構成に留意して計画することが重要である。
 また,排泄物の一時保管等のための施設は,最終的な処分の方法を考慮しつつ,適切な位置に計画することが重要である。

(6) 農場等は,栽培する植物の生育に必要な環境条件を確保するよう位置,仕様等を計画するとともに,栽培に必要な活動空間,収納空間をその配置構成に留意して計画することが重要である。

(7) 収穫物の貯蔵施設は,運搬方法や収穫物の洗い場や処理方法等を考慮しつつ,適切な位置に計画することが重要である。

3 屋外集会等施設

(1) 地域との連携,交流の場としての活用も考慮し,中庭,前庭等の外部空間を屋外ステージや語らいの広場として計画したり,散策路や遊歩道等を敷地形状や自然の地形などを利用して計画することも有効である。

(2) 屋外ステージは,利用内容,利用人数等に応じ必要なステージ,観客席等を配置できるような面積,形状等とすることが望ましい。

(3) 語らいの広場等は,ベンチ等の配置,植栽,意匠等を工夫して,憩い,交流等にふさわしい雰囲気に計画することが望ましい。

(4) 遊歩道・ジョギングコース等を校地周辺部の緑地やグラウンドの周囲に計画することも有効である。なお,適度な弾力性と良好な排水性を確保するように設計することが重要である。

(5) 幼稚部の幼児のために,適当な面積,形状,砂質等の砂場を計画することが望ましい。なお,砂場は,安全面及び衛生面における維持管理に十分留意しつつ,日当たりが良く安全かつ効果的に利用できる位置に計画することが重要である。

(6) 幼稚部の幼児のために,水質管理ができる水遊び場を計画することが望ましい。また,水質管理や利用形態に十分留意しつつ,安全かつ効果的に利用できる規模,形状の小川や池,可動式の水遊び場を計画することも有効である。
 なお,水遊び場は,日当たりが良く,安全かつ衛生的に管理できる位置に計画することが重要である。また,必要に応じ,日除けのための設備を設置することが望ましい。

4 屋外運動広場

(1) 幼児児童生徒の自発的,自主的で活発な運動,ゲーム等を促すための施設,設備等を計画することが重要である。

(2) 幼児児童生徒の障害の状態,発達の段階及び年齢段階等に応じた体力,運動内容等を考慮し,運動技能の向上に資するような施設規模,設備の形状,寸法等とすることが重要である。

(3) 施設の形状及び設備の機能,形状等は,幼児児童生徒の運動能力等を考慮して十分安全に計画することが重要である。

5 屋外自立活動施設

(1) 幼児児童生徒の障害の状態や発達の段階等に応じた施設,設備等を,屋内の自立活動関係教室や普通教室等と連絡の良い位置に計画することが望ましい。

(2) 他の屋外教育環境施設等と連携させつつ総合的に計画することも有効である。

第4 緑地

1 共通事項

(1) 植栽のもつ機能を積極的かつ効果的に学校施設に取り入れることが重要である。

(2) 維持管理の方法を十分検討しつつ,樹木の成長等の状況を十分予測し,学校独自の緑化方針に基づき,長期的な展望のもとに緑化計画を策定することが重要である。

(3) 土地的条件,気候的条件や樹木等の特性を考慮しつつ有棘,有害,有毒寄生虫等の有無に留意し,適切な植物材料を選定することが重要である。また,幼稚部の幼児や小学部低学年の児童のために,植物やそこに飛来する野鳥,昆虫等を身近に観察できるように計画することが重要である。
 【視覚障害に対応した施設】:柔軟な枝葉の樹木やにおいのある花木を効果的に活用することが望ましい。また,幼児児童生徒が触れても安全な種類のものを選定することが重要である。

(4) 明るい雰囲気を作り出し,学校への愛着や思い出につながり,地域住民が誇りや愛着をもつことのできるよう計画することが望ましい。

(5) ベンチ等を配置するなどして自然との触れ合いを促す雰囲気に計画することが望ましい。

(6) 校地内に緑化の空間を十分確保することのできない場合などにおいては,安全性に十分留意しつつ,建物の外周部,屋上等を緑化に活用することが重要である。

2 樹木

(1) 郷土産のものを中心に,四季の変化,生態,生理等を観察できるような樹種を選定することが望ましい。

(2) 樹木の配植は,目的とする機能を有効に発揮できるよう樹種,機能等に応じ間隔,配列等を設定し,校舎内や敷地周囲等からの見通しを妨げない計画とすることが重要である。なお,植物の長期的な自然の生態を観察できるような自然林などを計画することも有効である。

(3) 校地周辺部への樹木の配植は,周辺地域等へ支障を及ぼすことのないよう配慮しつつ,周辺地域の景観と調和し,良好な景観の構成に貢献するとともに,地域の文化的な施設としてふさわしい雰囲気となるよう計画することが望ましい。なお,樹高の高い樹木をまとまりをもたせて校地周辺部等に配植することも有効である。

(4) 校舎等の建物周囲への樹木の配植は,室内の採光,通風等に支障を生じることのないように計画することが重要である。

(5) 樹形,配植する空間の規模との釣合等に留意しつつ,1本又は数本の樹木を前庭部,建物周囲,校庭等にポイント的に配列することも有効である。

(6) 安全性に留意しつつ,幼児や小学部低学年児童が木登りなどの遊びをできる樹種を選定することも有効である。

3 植え込み

(1) 低木による植え込みを,前庭部,校舎等の建物周囲,法面部,沿道部等に計画することも有効である。

(2) 植え込みを計画する場合は,維持管理や防犯上死角の原因とならないように十分留意しつつ,目的,場所等に応じて適切な樹種を選定し,ある程度の密度をもって配植することが望ましい。

(3) 樹高の高い樹木と組み合わせる場合には,植え込みに日照障害を生じることのないように留意して計画することが重要である。

4 芝生

(1) 維持管理,植栽場所及び車いすや補助用具等の多様な形態による移動等に十分留意しつつ,芝生の植栽による運動の安全性,多様性等の効用を,効果的に活用することも有効である。特に,幼児や小学部低学年児童の遊び場等となる保育室,普通教室の前面等に芝を配植することも有効である。

(2) 使用目的及び使用場所に適した種類の芝を選定することが重要である。

(3) 樹木等と併用する場合は,芝に日照障害を生じることのないよう留意して計画することが重要である。

5 花壇

(1) 設置位置は,日当りがよく,目につきやすく,かつ,管理の容易な場所とすることが望ましい。特に,幼児児童生徒が自発的,自主的に世話をできるように,位置,規模等を計画することが望ましい。

(2) 栽培する草花等の種類は,開花の時期及び期間,管理の難易等を十分検討し,適切な種類のものを選定することが望ましい。

(3) 幼児児童生徒の活動に対して十分安全な形状等とすることが重要である。なお,複雑な形状及び過度の広さとすることは避け,周囲をレンガ,ブロック等で縁どり,適当な規模に区画することが望ましい。

(4) 花壇とは別に,花壇面積に応じ十分な苗場を用意しておくことが望ましい。

6 生け垣

(1) 潤いのある親しみやすい環境を構成する上で,侵入防止,目かくし,防じん,防音等遮蔽の必要な部分に生け垣を計画することも有効である。

(2) 生け垣を計画する場合は,場所及び目的に応じ,生け垣の種類や使用する樹木等を選定し,防犯上も考慮し計画することが重要である。また,景観構成上も有効となるよう配植することが望ましい。

(3) 校地周辺部に計画する場合は,目的とする機能の確保に留意しつつ,変化をもたせ,厚みを感じるよう計画することが望ましい。

(4) 校地内の施設の境界に計画する場合は,目的とする機能の確保に留意しつつ,区画する施設その他の背景と調和し,かつ,校地内の良好な景観を構成するよう樹種,配植等を計画することが望ましい。

第5 その他の屋外施設

1 門

(1) 幼児児童生徒の通行量が最大となる時間帯の通行密度,スクールバスや緊急車両の通行等を勘案して,十分な幅の通行部分を確保するよう設計することが重要である。なお,車輌の通行する門を幼児児童生徒の通行用とは別に計画することも有効である。

(2) 幼児児童生徒の道路への飛び出しを避けることができるように,門及び門周りの囲障の仕様,配置等を計画することが望ましい。特に,情緒障害や自閉症,ADHD等の障害を併せ有する幼児児童生徒に対応する場合は,パニックや多動・衝動性等を考慮し,十分な安全性を確保するよう設計することが重要である。

(3) 車輌の通行部分の設定に留意することが重要である。

(4) 門廻りの囲障等の仕様,配置等に留意しつつ,必要に応じ,教職員や保護者など関係者の出入りのための通用門を設けたり,門扉を境界線より後退させて配置することが望ましい。

(5) 門扉を設ける場合には,開閉方法,形状,重量等を十分検討して安全に開閉できるよう計画するとともに,心理的な圧迫感を与えることのないよう意匠に配慮することが重要である。

(6) 地域の公的な施設としてふさわしい象徴性・文化性に配慮した意匠とすることが望ましい。

(7) 不審者の侵入防止や犯罪防止等の観点から,死角とならない場所に配置し,門の施錠管理を適確なものとすることが重要である。また,防犯カメラや赤外線センサー,インターホン等の防犯設備を,必要に応じ門の周辺に設置することも有効である。

(8) 見通しのきかない位置に門を設けざるを得ない場合は,門の施錠や開閉による来訪者の出入管理に特に留意することが重要である。その際,障害者や高齢者等の利用に支障が生じない配慮することが望ましい。

(9) 外部からの来訪者を確実に確認できるよう,来訪の際は必ず受付場所へ立ち寄る旨の表示を門等に掲げることが重要である。また,誘導のための案内図やサインを必要に応じ門の周辺に計画することも有効である。

2 屋外通路

(1) 幅員,形状,床面の仕上げ等を適切に計画することが重要である。
 【視覚障害に対応した施設】:誘導のための設備等を適切に計画することが重要である。
 【肢体不自由又は病弱に対応した施設】:車いすや補助用具等を使用しての通行に十分配慮して 計画することが重要である。

(2) 日常的に利用される屋外通路には,雨天時や降雪時における円滑な移動のための措置を講じることが望ましい。
 【肢体不自由又は病弱に対応した施設】:病院等に併置する場合の病院等との往来の通路には,雨天時や降雪時における円滑な移動のための措置を講じることが望ましい。

(3) 積雪寒冷地域等においては,必要に応じ,積雪・凍結防止のための措置を講じることが重要である。

3 囲障等

(1) 囲障は,地域の状況に応じ,防犯にも留意しつつ,周辺環境に調和し,開放的で親しみの感じられるように計画することが望ましい。

(2) 囲障を計画する際,特に防犯の面からは,周囲からの見通しを妨げるものは避け,視線が通り死角を作らないものとすることが重要である。
 また,隣接建築物等から不審者の侵入が心配される状況では,囲障について十分な高さや形状を確保するよう設計することが望ましい。

(3) 防犯カメラや赤外線センサー等の防犯設備を,必要に応じ囲障の周辺に設置することも有効である。

(4) 生け垣とする場合には,維持管理や周辺への影響について十分検討し,適切に樹種を選択し,配植することが重要である。

(5) 運動場と校舎等の建物との位置関係,運動場周辺の住宅,道路等の状況等に応じ,防球ネット,フェンス等を計画することが望ましい。なお,敷地境界に計画する場合は,植栽や生け垣等と組み合わせて計画することが望ましい。

(6) 囲障,防球ネット,フェンス等については,十分な耐用性や地震時の安全性を確保するよう設計することが重要である。

4 自転車等駐車場

(1) 通級による指導や教育相談等のための来校や,学校開放時の利用等も考慮しつつ,駐輪台数に応じ,出し入れしやすいように適当な間隔を取って駐輪できるような面積,形状等とすることが重要である。

(2) 効率的な駐輪や転倒等の防止に配慮して計画することが望ましい。

(3) 不審者の侵入防止や犯罪防止等の観点から,死角とならない場所に配置し,来訪者を適確に確認できる構造とすることが重要である。

5 駐車場

(1) 通級による指導や教育相談等のための保護者等の来校や,学校開放時の利用等も考慮しつつ,幼児児童生徒の安全に十分配慮した上で,適当な数の駐車及び円滑かつ安全な出入りに必要な面積,形状等の駐車場を適切な位置に計画することが重要である。
 【視覚障害又は聴覚障害に対応した施設】:必要に応じ,臨床実習等に係る外来者用の適当な数の車の駐車場を計画することも有効である。

(2) 幼児児童生徒の乗降のためのスペースには,雨天時等に配慮し屋根を設けることが望ましい。

(3) 騒音,排気ガス等が学校教育活動や周辺に影響を及ぼすことのないよう計画することが重要である。

(4) 不審者の侵入防止や犯罪防止等の観点から,死角とならない場所に配置し,来訪者を適確に確認できる構造とすることが重要である。

(5) 登下校時のスクールバスの乗降スペースは,昇降口と連絡のよい位置に,待合いや安全かつ円滑な乗降のための十分なスペースを確保するよう計画することが望ましい。

(6) 保護者等の送迎等のために車寄せのある出入口を,安全性に十分配慮して計画することが望ましい。

お問合せ先

大臣官房文教施設企画部施設企画課

課長 長坂 潤一(内線2286) 課長補佐 瀬戸 信太郎(内線3181) (特別支援学校)指導第一係長 野口 公伸(内線2291) (高等学校)環境施設企画係長 小林 和弘(内線2288)
電話番号:03-5253-4111(内線2291)

(大臣官房文教施設企画部施設企画課)