3.特別支援学校における教育を充実させるための施設整備の推進方策

1.設置者における推進方策

 設置者においては,特別支援学校における教育を充実させる施設整備を計画的かつ総合的に推進するため,特別支援学校施設整備指針や2.国の推進方策において後述する事例集等を活用し,特に以下の方策を講ずるよう配慮することが望ましい。

(1)一人一人の教育的ニーズへの対応

 多様な学習・生活集団の編成等に対応できるよう,フレキシブルな空間を教材・教具等の収納に配慮して計画すること,また,情緒障害や自閉症,ADHD等の障害を併せ有する幼児児童生徒への対応として,落ち着きを取り戻すための小空間を安全性や騒音,雑音など外部からの刺激等に十分配慮して計画することなど,一人一人の教育的ニーズに対応するための施設整備が重要である。

(2)連携に配慮した職員室等の整備

 教員の専門性の向上に資するよう,教員同士の交流に配慮するとともに,PT(理学療法士),OT(作業療法士),ST(言語聴覚士)等の外部の専門家との連携が円滑に行える職員室を計画するなど,教職員のための空間の充実が重要である。
 また,医療的ケアの必要な児童生徒等への対応として,必要に応じ,職員室や保健室等の一部又は隣接した位置に看護師のための室・空間を計画することが重要である。

(3)特別支援学校の幼児児童生徒数の増加への対応

 近年,特別支援学校に在籍する幼児児童生徒の数が増加し,特別支援学校の教室不足が課題となっている。この課題に対応するため,設置者においては,関係機関と連携し,障害のある幼児児童生徒の数の推移と将来動向,地域内の小学校及び中学校の特別支援学級の在籍児童生徒数,特別支援学校高等部への進学の状況,特別支援学校の整備計画等から,現状及び将来の学校規模を的確に把握して,適切な規模の特別支援学校を計画することが重要である。
 また,高等学校等の既存施設を特別支援学校に転用することも有効な方策と考えられるが,地域の実情に応じ,以下の点に留意しながら計画することが重要である。

  • 当該既存施設の特性を踏まえつつ,幼児児童生徒一人一人の障害の状態及び発達の段階や特性,それに応じ必要となる環境条件等を的確に把握・分析して,必要な施設機能を設定する。
  • 屋外運動施設等,既存施設の機能を積極的に活用するといった視点にも配慮しつつ計画する。

2.国の推進方策

 国においては,設置者における特別支援学校施設の整備の推進・充実に向け,引き続き必要な財政支援,指導,助言を行うことが求められる。とりわけ,以下の推進方策を講ずるものとする。

(1)学校設置者に対する財政支援

 基本的な教育条件の一つとして,安全で快適な環境で教育を受けることができるよう,国は,学校施設の整備に関して,地方の財政力格差や財政状況の変動にかかわらず予算を確保することが必要である。
 このような観点から,学校設置者が,教育上特別の支援を必要とする幼児児童生徒に対して,障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うために必要となる施設環境を計画する場合においても,国は予算を確保することが必要である。

(2)施設整備に関する情報提供

(事例集の作成)

 特別支援教育を推進するため学校施設の充実を図る際には,設置者や教職員等が連携・協力して施設の整備に取り組む必要がある。
 そのため,設計・計画上の留意事項を示した特別支援学校施設整備指針に加え,学校建築を専門としない教職員等でも学校施設整備について関心を持ち,理解を深められるよう,教育内容とその効果をより高めるための施設整備が一体的に取り組まれている好事例を集めた事例集を作成する必要がある。

(積極的な情報提供)

 設置者や教職員等が特別支援学校施設整備指針や事例集を活用できるよう,研修会等で解説するとともに,広報誌,インターネット等を利用して周知を図るなど関係者に対して積極的な情報提供を行うことが必要である。

(3)ソフト面を併せた総合的な特別支援教育の推進

 本編は,特別支援教育を推進するための施設整備関連方策について取りまとめたものであるが,もとより,特別支援教育の推進は,支援体制等のソフト面での取組と相まって実施されるものである。
 現在,文部科学省では,子ども一人一人のニーズに応じた特別支援教育の推進のため,支援体制の充実に向けた取組が積極的に進められており,関係者の協力のもと,それらの取組に合わせた施設整備関連方策に取り組むことで総合的に特別支援教育を推進することが求められる。

お問合せ先

大臣官房文教施設企画部施設企画課

課長 長坂 潤一(内線2286) 課長補佐 瀬戸 信太郎(内線3181) (特別支援学校)指導第一係長 野口 公伸(内線2291) (高等学校)環境施設企画係長 小林 和弘(内線2288)
電話番号:03-5253-4111(内線2291)

(大臣官房文教施設企画部施設企画課)

-- 登録:平成23年05月 --