第3章 平面計画

第1 基本的事項

1 空間構成

(1) 多様な学習集団やカリキュラムの編成,弾力的な指導体制等に対応できるよう柔軟な空間構成とすることが重要である。

(2) 学習,生活,管理を行いやすいよう,屋外の活動空間との関連に配慮しつつ,学習,生活,管理のための空間の平面的・立体的な構成,配置等を計画することが重要である。なお,高層化する場合は,特に構造上の検討と併せて計画することが重要である。

(3) 小学科や類型(コース)ごとのまとまりや類似する機能を有する室・空間のまとまり,さらに,相互利用・共同利用に配慮して,空間構成を計画することが重要である。

(4) 将来の学習内容・方法等の進展,利用する情報機器等の増大などに柔軟に対応できるよう,間仕切りの位置の変更や教室の増築等を考慮した計画とすることが望ましい。

(5) 様々な類型(コース)等の編制に応じ,生徒の学習・生活の拠点となるよう共通学習諸室やロビー・ラウンジ等の空間を計画し,これを核として関連する教科等の各室・空間を構成することも有効である。

(6) 日常的に異学年を含む生徒同士や教職員とのコミュニケーションが促されるよう,各学年の動線や教職員諸室の配置等を十分考慮して計画することが重要である。

(7) 建物内外の各空間相互に,視覚的,感覚的な拡がりなどによる連続性や,学習活動の連続性を確保するなど多様な空間を計画することが望ましい。

(8) 校舎廻りの空間を,安全管理面等に十分留意しつつ,効果的に設けることが望ましい。

(9) 教科教室型の場合においては,教室間等の移動,空き時間など生徒の授業時間外の居場所,持ち物の取り扱い,情報伝達やホームルーム活動の方法,職員室の配置等に十分留意して空間を構成することが重要である。

(10) 複数の課程を併設する場合,カリキュラム等に応じ室・空間の共同利用について検討し,全体として効率的に利用できるよう構成・配置等を計画することが重要である。

(11) 情報化の進展に対応するため,各室・空間において,コンピュータ等の情報機器の活用が可能となるような校内の情報ネットワークを計画することが重要である。その際,情報機器や情報ネットワークの将来の更新,増設等も考慮して計画することが重要である。また,無線による校内の情報ネットワークの導入を検討することも有効である。

(12) 学習・生活空間は,当該地域の気候風土や気候の季節的変化も考慮し,日照,採光,通風,換気,室温,音の影響等に配慮した良好な環境条件を確保できる方位及び位置に設定することが重要である。

(13) 奥行きの深い空間や面積の広い空間は,採光,換気,室温,音響等の環境条件の確保に特に留意して規模,位置等を計画することが重要である。

(14) 学校間連携や地域住民の学習活動に積極的に対応できるよう空間の構成,配置等を計画することが望ましい。

(15) 中等教育学校の各室については,できる限り共用とし,規模,設備等の充実を図り計画することが望ましい。また,後期課程専用の室とする場合であっても,前期課程の同教科・同種類の教室・施設と連携して計画することが望ましい。

(16) 中学校と高等学校が同一敷地内に設置された併設型の中高一貫教育校の教室及びその他の各室については,共有化を検討し,規模,設備等の充実を図り計画することが望ましい。また,高等学校専用の室とする場合であっても,中学校の同教科・同種類の教室・施設と連携して計画することが望ましい。

(17) 社会教育施設や高齢者福祉施設等の他施設との複合化を計画する際には,地域住民等との交流を考慮して計画することが重要である。

(18) 障害のある生徒が在籍する場合があることを考慮して計画することが重要である。

2 動線等

(1) 生徒,教職員,学校開放における利用者,学校間連携での他校の生徒,外部からの訪問者などが,まとまりある活動空間を通り抜けることなく,それぞれの必要に応じ円滑に移動できるよう空間の構成,配置等を計画することが重要である。

(2) 明瞭で規模に応じた動線を設定することが重要である。特に,教科教室型の場合は,全校的な移動に十分対応できるよう,各教科の教室・施設群,ホームベース,ロッカースペース等の間の動線に留意した配置計画とすることが重要である。

(3) 多人数を同時に収容する室等を避難階以外の階に計画する場合や高層化する場合は,非常時の迅速な避難のために複数の避難動線を確保する等,その避難動線の設定に十分留意することが重要である。 

(4) 教材,教具等の運搬や配食などを安全かつ円滑に行うことができるような動線を設定することが重要である。

(5) 廊下等の移動のための空間は,その上・下部の空間が各種設備の配管,配線等の有効な設置空間ともなることを考慮して設定することが望ましい。

(6) 1階等に開放的な渡り廊下を設ける場合には,不審者の侵入に対する安全性の確保を図ることが重要である。

(7) 社会教育施設や高齢者福祉施設等の他施設との複合化について計画する場合は,地域住民等の利便性と学校との交流,運営管理上の機能を考慮して計画することが重要である。

(8) 高層化する場合や障害者等の移動等のために,エレベーターの設置を考慮して計画することが望ましい。

第2 学習関係諸室

1 共通事項

(1) 各学科・学年・教科ごとの学習内容,学習方法,生徒の行動形態等を考慮し,最も適切な空間配分及び位置を計画することが重要である。

(2) 生徒一人一人が主体的に活動できる自習等のための空間を確保することが重要である。

(3) 図書室,視聴覚教室,コンピュータ教室,自習室等,問題解決的な学習等における生徒の主体的・積極的な利用を促す諸室については,普通教室,講義室,ゼミ室等との連携に配慮して配置を計画することが重要である。

(4) 各教科等の発表,討議,レポート作成等の様々な言語活動に対応できるよう,普通教室,特別教室等と図書室,講義室,ゼミ室等の連携を考慮して配置を計画することが重要である。

(5) 総合的な学習の時間等に対応し,普通教室,特別教室,共通学習空間,教材・教具の作成・収納空間等を機能的な連携に配慮して配置を計画することが望ましい。

(6) 総合的な学習の時間や選択学習に対応できるよう,多様な学習集団に対応できる空間を複数用意したり,教室等を再構成し,又は分割して使用できる弾力的な空間として計画することが望ましい。

2 普通教室

(1) 日照,採光,通風,換気,室温,音の影響等に配慮した良好な環境条件の確保に十分留意し,位置,方位等を計画することが重要である。

(2) 特別教室型の場合,同一学年の普通教室は,同一階及び同一区画にまとめて計画することが重要である。また,各学年の学級数が増減した場合においても学年ごとの空間的なまとまりを崩すことのないよう増築や室種類の転換等が可能な計画とすることが望ましい。なお,複数学科を設置する学校においては,同一学科の普通教室について,同一階及び同一区画にまとめて計画することも有効である。

(3) 教科教室型の場合,それぞれの教科の学習に適した規模,形状,設備,家具等について計画された教室と各教科の教材・教具の作成・収納空間,各教科ごとの教員コーナー等をまとめて配置することが重要である。

(4) 同一区画にまとめた同一学年の空間あるいは教科ごとにまとめた空間が全体の通過動線部分とならないよう計画することが重要である。

(5) 教室から直接行くことのできるテラス,バルコニー等の空間を計画することも有効である。

3 特別教室・教科教室

(1) 普通教育に関する教科・科目のための特別教室又は教科教室の計画においては,同一教科又は関連性の強い教科の特別教室又は教科教室及びその準備室,資料室,講義室,ゼミ室,教員研究室等を,相互の連携を図り,また,教科の内容にふさわしい環境を構成できるよう,まとめて計画することが望ましい。
 なお,教科教室型の計画においては,必要に応じ,ホームルーム活動等を行う場として教科教室を割り当てることに留意し,教科教室の配置,構成等を計画することが重要である。

(2) 各教科・科目ごとの利用内容に応じ必要な規模の空間を確保することが重要である。

(3) 実験・実習等の準備,資料等の作成,教材教具等の保管等の場として,特別教室又は教科教室に隣接する準備室,あるいは,特別教室又は教科教室内部の準備コーナーを設けることが重要である。

(4) 特別教室又は教科教室の利用が予定される学年やその利用形態等に応じ,普通教室等からの移動及び特別教室又は教科教室相互間の移動を行いやすいよう計画することが重要である。

(5) 教科内容に応じ,屋外学習施設と容易に連携できる配置とすることが重要である。

(6) 学習活動に伴い騒音,振動,臭気等を発生する教室は,他の空間に悪影響を与えないよう留意して配置することが重要である。

(7) 学校の規模,学習内容・学習形態及び地域住民の利用等を考慮し,特別教室の種類,配置等の構成を工夫して計画することも有効である。

(8) 各教科における多様な形態の学習に弾力的に対応できるよう学習センター等と連携させる計画も有効である。

4 専門教育関係教室

(1) 専門教育に関する教科・科目のための実験・実習室等は,実験・実習の流れに応じた各室・空間の連続性,必要な規模の講義室,準備室,資料室,ゼミ室,教員研究室等との位置関係に留意して計画することが重要である。

(2) 教科内容に応じ,屋外の活動空間との連携可能な配置とすることが重要である。

(3) 学習活動に伴い騒音,振動,臭気,排気ガス等を発生する教室は,他の空間に悪影響を与えないよう留意して配置することが重要である。

(4) 実習や課題研究等により制作された作品を展示する空間を計画することも有効である。

(5) 学校の規模,学習内容・学習形態及び地域住民の利用等を考慮し,専門教育関係教室の種類,配置等の構成を工夫して計画することも有効である。

(6) 専門教育関係の講師等の控室は,各教科の準備室等との位置関係等を考慮して計画することが重要である。

5 図書室

(1) 利用する集団の規模等に対して十分な広さの空間を確保するとともに,各教科における学習活動等において効果的に活用することができるよう普通教室等からの利用のしやすさを考慮しつつ,生徒の活動範囲の中心的な位置に計画することが重要である。その際,必要に応じ,地域住民の学習活動における利用等に対応できるよう配慮することが望ましい。

(2) 図書,コンピュータ,視聴覚教育メディアその他学習に必要な教材等を配備した学習・メディアセンターとして計画することも有効である。

(3) 自習スペースやグループ学習で利用できる室・空間を計画することも有効である。

(4) 学習・研究成果の展示のできる空間を計画することも有効である。

6 講義室

 講義室は,利用形態に応じ,必要な規模,数のものを確保し,関連する他の室・空間との連絡に留意しつつ適切な位置に計画するとともに,学習集団の規模の変化に柔軟に対応できる計画とすることが重要である。
 なお,必要に応じ,教員用の実験スペースを備えた講義室を計画することも有効である。

7 ゼミ室

 ゼミ室は,利用形態に応じ,特に少人数教育のニーズの増大に留意し,必要な規模,数のものを確保し,普通教室又は特別教室・教科教室又は実験・実習室との連絡のよい位置に計画することが望ましい。
 なお,情報化などに対応した特色のあるゼミ室を計画することも有効である。

8 共通学習空間

(1) 利用内容に応じ必要な規模を確保するとともに,各教科における多様な学習内容に対応できるよう特別教室・教科教室又は専門教育関係教室との機能的な連携を考慮して計画することが望ましい。

(2) 視聴覚教室,コンピュータ教室等は,全校の生徒が日常的に利用しやすい位置に配置することが重要である。その際,必要に応じ,地域住民の学習活動における利用等に対応できるよう配慮することが望ましい。

(3) 相互に隣接させ又は近接させて配置し,あるいは,学習に用いられる各種の設備,教材,教具等を適宜集約し,全教科又は数教科や教科単位,あるいは,小学科や類型(コース)等に対応して多目的に利用できる学習センターを計画することも有効である。
 なお,小学科や類型(コース),教科に関するオリエンテーションやアドバイス機能も有するよう計画することも有効である。

(4) 図書,視聴覚教育メディア,コンピュータ等を他の学習空間に分散して配置する場合は,役割分担を明確にし,相互の連携に留意して計画することが重要である。

(5) 学習・研究成果の発表やその展示のできる空間を計画することも有効である。

9 その他の学習関係諸室

(1) 生徒指導,教育相談,キャリア・カウンセリング(進路相談,履修指導)室

  1. 生徒指導,教育相談,キャリア・カウンセリング(進路相談,履修指導)のそれぞれに必要な面談室,資料室等は,生徒等が安心して利用でき,静かで落ち着いて相談等を行うことのできる位置とするなど配置に十分留意して計画することが重要である。その際,それぞれの機能の分担や室・空間の位置関係を十分検討することが重要である。
  2. キャリア・カウンセリング(進路相談,履修指導)のための室・空間は,生徒による資料の閲覧や複写,来訪者との応対などに留意し,必要な規模を確保することが重要である。
  3. 生徒指導,教育相談,キャリア・カウンセリング(進路相談,履修指導)に利用できる小室を計画することが望ましい。

(2) 特別活動室

 生徒会活動等のための特別活動室は,他の室・空間との役割分担を明確にしつつ,多様な活動に応じ必要となる規模の空間を,活動に適した位置に計画することが重要である。

(3) 自習室

  1. 自習等のための空間を,普通教室やホームベース,また,図書室,視聴覚教室,コンピュータ教室等との関連に留意しつつ計画することも有効である。
  2. 共通学習諸室の中に,生徒の自習のためのスペース・コーナーを計画することも有効である。

(4) 放送室

  1. 教職員だけでなく生徒による放送活動にも便利な位置に計画することが望ましい。また,体育的行事等における利用も考慮し,運動場等を見渡すことができるよう計画することも有効である。
  2. 相互の連携や役割分担に留意しつつ,放送のための空間を分散して計画することも有効である。
  3. 教材作成の機能を備えた教材・教具空間や視聴覚教室と連携できるよう計画することも有効である。

(5) 教材・教具空間

  1. 各特別教室・教科教室の準備室との役割分担に留意しつつ,教材・教具の種類,数量等に応じ必要な規模を確保し,これらの教材・教具を利用する室・空間との連絡のよい位置に計画することが重要である。
  2. 教材等の作成の機能も備え,図書室,視聴覚教室,学習センター等と連携した空間として計画することも有効である。
  3. 教材などの複写,印刷等を行う専用のスペースを,学習関係諸室のまとまりの中にコーナーとして配置することも有効である。

第3 屋内運動施設

1 共通事項

(1) 教科体育,体育的行事,部活動及び学校開放等における各種の運動に必要な規模を確保するとともに,必要に応じ,地域の防災拠点としての利用に配慮した計画とすることが重要である。

(2) 生徒の移動や他の学習空間への影響,運動施設相互の連携などに配慮した適切な位置に計画することが重要である。特に,教科教室型の場合は,保健体育の学習に対応する屋内運動場,武道場,保健体育教室や,教材・教具の作成・収納空間,教員コーナー等をまとめて配置することは有効である。

(3) チーム練習の計画やゲームの作戦等について話し合えるよう,屋内運動施設と一体的にミーティング室等を計画することも有効である。

(4) 保健体育教員研究室は,必要な規模を確保し,屋内外の運動施設を管理しやすい位置に計画することが望ましい。

(5) 学校開放時における利用にも積極的に対応できるよう,出入口や便所,更衣室等の附属施設等を含め,空間の構成,配置,規模等を計画することが望ましい。

2 屋内運動場

(1) 雨天時の利用を考慮しつつ,教科体育での同時使用する学習集団の規模,数や部活動の種類,数等に留意し,活動内容に応じ必要な規模のものを,適切な位置に計画することが重要である。また,同時使用時においても,相互の学習の効果を減じないよう吸音性等も考慮した計画とすることが有効である。

(2) 通風,換気及び採光を十分確保するとともに,室温に配慮して計画することが重要である。

(3) 降雪等の気候的条件や学校規模,体育的活動の状況等に応じ,相互の連携に配慮しつつ,複数の屋内運動場を計画することも有効である。

(4) 更衣室,便所,運動器具庫等の付属施設と一体的に計画することが重要である。

(5) 儀式的行事,文化的行事,各種集会,学習・研究成果の発表等における利用を予定する場合は,必要な規模のステージ,控え室等の空間を確保することが望ましい。また,必要に応じ各種情報機器の利用にも配慮することが有効である。
 なお,文化活動の場として講堂や音楽ホール等の専用の空間を別に計画し,屋内運動場に備える運動のための機能を高めることも有効である。

(6) 各種トレーニング器具をまとめて配置したトレーニングルームやダンススタジオを計画することも有効である。

3 武道場

(1) 利用内容等に応じ,柔道,剣道等の武道を行う専用の施設を確保することが望ましい。

(2) 練習中の発声や衝撃などによる校舎等への影響や通風の確保などに十分留意して計画することが重要である。

(3) 更衣室,便所,防具庫等の附属施設を一体的に計画することが望ましい。

4 屋内プール

(1) 利用内容に応じ,必要な規模を確保することが重要である。

(2) 維持管理等に十分留意しつつ,温水プールとして計画することが望ましい。
 なお,温水化しない場合には,室内の暖房にも配慮しつつ,採光を十分確保できる位置に計画することが望ましい。

(3) 通風及び換気を十分確保できる位置に計画することが重要である。

(4) 更衣室,便所,シャワー室等の附属施設と一体的に計画することが重要である。

第4 生活・交流空間

1 共通事項

(1) 学習関係諸室等との間の移動を行いやすい位置に計画することが重要である。

(2) 生徒の持ち物の保管,ホームルーム活動,生徒への情報伝達,休憩や自学自習などの生活のための空間の設定に十分留意して計画することが重要である。

(3) ゆとりのある空間を構成できる規模を計画することが望ましい。

(4) 学校間連携や学校開放を実施する場合に,他校の生徒や地域住民等も利用しやすい位置に計画することも有効である。

2 ロビー・ラウンジ等

(1) 短い時間にも生徒が気軽に休憩,談話等に利用することのできるよう,ラウンジやアルコーブ等を生徒の日常動線上の各所に分散して配置することが望ましい。

(2) 類似した機能を有する屋外空間との連携を考慮して計画することも有効である。

(3) ロビー・ラウンジ等の内部に,美術・工芸の作品の展示,情報の提示等のための空間を計画することも有効である。

3 講堂・ホール等

(1) 儀式的行事,文化的行事,各種集会,学習・研究成果の発表等の場であるとともに,地域に開かれた学校という観点から,地域住民の芸術・文化活動にも利用される場として,利用目的・利用人数等を考慮し,適切な規模と附属施設を確保することが望ましい。

(2) 学習空間や他の生活・交流空間との関連,生徒等利用者が安全かつ円滑に移動できる動線の確保等に配慮し,位置等を計画することが望ましい。その際,地域住民の利用を考慮し,外部からの動線に配慮することも有効である。

(3) 講堂・ホール等の内部に,美術・工芸の作品を展示できる空間を計画することも有効である。

4 ホームベース

(1) 教科教室型の場合においては,必要に応じ,生徒の持ち物の保管,ホームルーム活動,生徒への情報伝達,休憩や自学自習などの場となるホームベース機能をそれぞれのホームルームごとに計画することも有効である。その際,ラウンジ等他の室・空間との位置関係等を考慮したり,過年度の生徒についても配慮することが重要である。

(2) ホームベースを設ける場合は,ホームルーム集団に応じ必要な規模のものを,他の室・空間との間の移動を行いやすく,かつ,日照,採光,通風,換気,室温,音の影響等に配慮した良好な環境条件を確保できる位置に計画することが重要である。

(3) 学習空間や他の生活・交流空間との関連に留意するとともに,生徒と教員の交流の場にもなることに留意して計画することが重要である。

5 ロッカースペース

(1) 特別教室型の場合においては,各ホームルームごとの普通教室内又は普通教室に近接した位置にコーナーとして計画することが望ましい。なお,普通教室内に計画する場合は,選択教科・科目の授業での普通教室の利用に十分留意することが重要である。

(2) 教科教室型の場合においては,全校の校内動線の中心的な位置に計画することが望ましい。なお,ホームベースを設ける場合は,その区画の中に計画することも有効である。

(3) 廊下に計画する場合は,ホームルームの教室と対応するよう計画することが望ましい。

6 部室

(1) 管理・指導面に十分留意しつつ,活動を行う場との連絡のよい位置に,共同利用できるミーティング室,更衣室,用具収納庫,手・足洗い場等とともにまとまりをもたせて配置することが望ましい。

(2) 部活動の内容等の変化に対応し間仕切りを変更できるような柔軟な空間として計画することも有効である。

7 食堂等

(1) 食堂は,利用状況等に応じた適切な規模を,調理室との位置関係に留意し,良好な環境の確保にも配慮した適切な位置に計画することが重要である。

(2) 全日制と定時制を併置する場合における定時制専用の食堂は,定時制で利用する学習・生活空間との連絡のよい位置に計画することが重要である。なお,全日制の生徒等の利用も考慮し,規模,位置等を計画することも有効である。

(3) 家庭教室の調理に係る実習のための空間と連携させて配置することも有効である。

(4) 調理室は,騒音,異臭等により学習活動等に支障を及ぼすことがなく,また,外部から車等が進入しやすい位置とすることが重要である。なお,全日制と定時制を併置する場合には,調理室を共用とすることが望ましい。

(5) 食中毒の原因となる雑菌等の発生を抑制し,衛生管理を行いやすい施設として計画することが重要である。

(6) 売店を設ける場合は,扱う物品の内容に応じ,生徒の生活空間や食堂等との連絡に留意して計画することが重要である。また,自動販売機を設置する場合は,物品の搬入,ごみの収集等に十分留意し,適切な位置に設置スペースを計画することが重要である。

8 セミナーハウス

利用人数,利用方法等に応じ,必要な規模,数の男女別の宿泊室,研修室,指導員室,浴室,洗面所,便所,食堂,厨房等を,相互の位置関係に留意して計画することが重要である。

9 寄宿舎

(1) 男女の別に配慮しつつ,個人の生活と集団生活のための空間並びに生徒が利用する空間と管理諸室との分離と連携が適切に保たれるよう計画することが重要である。

(2) 舎室は,日照,採光,通風,換気,室温,音の影響等に配慮した良好な環境条件を確保できるよう配置することが望ましい。

(3) 職員等休養室は,舎室等に隣接して設けることが望ましい。

第5 共通空間

1 昇降口

(1) 始業時,終業時等における利用人数及びその集中度や履き替え方式等に応じ,十分な規模の昇降口を計画することが重要である。なお,学校規模等に応じ,昇降口を分散して計画することも有効である。また,学校開放用の昇降口については,学校開放を行う諸室との関連性を考慮した位置に,利用人数に応じた規模を計画することが重要である。

(2) 校舎内の生徒の学習・生活の中心となる空間と連絡がよく,門及び屋外運動場との間において,上履きと下履きの動線が交差することなく,校舎等の周囲を迂回せず円滑に行き来できる位置に計画することが重要である。

(3) 地域の気候的特性に留意し,位置及び出入りの向きを計画することが重要である。

(4) 情報伝達や展示・掲示の場として利用できるようなホール等の空間と一体的に計画することも有効である。

2 便所

(1) 生徒の分布の状況及び動線を考慮し,必要に応じ学校間連携での他校の生徒等の利用にも配慮しつつ,生徒等が利用しやすい位置に,男女別に計画することが重要である。
 また,障害のある生徒や教職員,保護者及び学校開放時の高齢者,身体障害者等の利用に配慮した便所を計画することが重要である。

(2) 教職員や外来者用の便所は,生徒用とは別に,適切な位置に計画することが重要である。

3 廊下,階段等

(1) 安全かつ円滑な動線としての機能を確保できるよう規模,配置等を計画することが重要である。

(2) 生徒の交流の場や作品等の展示などの場としての利用も考慮し,規模,空間構成等を計画することも有効である。

(3) エレベーターを設ける場合は,必要な規模のエレベーターホール等の空間を,適切な位置に計画することが重要である。その際,階段との位置関係に留意することが重要である。

4 その他

(1) 生徒の生活用諸施設・設備のための空間は,校内の必要な場所にまとまりのあるコーナーとして計画することが重要である。

(2) 足洗い場は,主要な出入口に近接した位置に計画することが望ましい。

(3) 生徒更衣室は,生徒の利用しやすい位置に,男女別に計画することが重要である。

第6 学校間連携・学校開放のための空間

1 共通事項

(1) 通常の学校運営との連絡調整に十分配慮した学校間連携又は学校開放時の管理体制を明確に設定し,当該学校での利用,校舎又は屋内運動施設との役割分担も考慮しつつ,学校間連携又は学校開放の状況等に応じ,室種類を適切に設定し,必要な規模を確保することが望ましい。

(2) 外部からの出入りに便利で,学校間連携時又は学校開放時に使用する特別教室・教科教室,屋内外の運動施設等と連絡の良い位置に計画することが重要である。

(3) 学校間連携時又は学校開放時に使用する特別教室・教科教室,屋内外の運動施設等からの連絡に留意しつつ,総合的に利用できる空間を計画することも有効である。

2 学校間連携関係諸室

 控え室やミーティング室等,他校の生徒の受け入れに必要な室・空間を,連携時に使用する教室等との連絡がよく,外部から利用しやすい位置に計画することが重要である。

3 クラブハウス

(1) 学校・家庭・地域社会が連携協力するための情報提供や連絡調整の場,地域住民がボランティア活動の拠点として活用する場,総合型地域スポーツクラブの活動の拠点となる場として計画することが重要である。

(2) 開放状況等に応じ必要な室・空間を,相互に利用しやすく,かつ,外部からの出入りに便利で,開放する特別教室・教科教室,屋内外の運動施設等と連絡の良い位置に計画することが重要である。

(3) 必要に応じ,地域の防災拠点としての役割を果たすため,備蓄倉庫を併設することが重要である。

第7 管理関係室

1 共通事項

(1) 管理関係室は,学習関係諸室等と行き来しやすい位置に,まとまりのある空間として計画することが重要である。

(2) 学校運営などの将来における変動等に対応できる弾力的な空間として計画することも有効である。

2 教職員諸室

(1) 学校規模に応じ,校務,教務等の執務内容や方式に基づき,必要な規模の空間を確保することが重要である。

(2) 相互の機能的な連携が確保できるよう相互に適切な位置関係に計画することが重要である。

(3) 中央職員室は,屋外運動場やアプローチ部分などへの見渡しがよく,校内各所への移動に便利な位置に計画することが重要である。

(4) 学年単位あるいは教科単位等の教科職員室,研究室などを,適切な位置に分散して配置することも有効である。なお,その場合,中央職員室との機能分担及び相互の連絡に留意して計画することが重要である。

(5) 日常的な生徒とのコミュニケーションが促されるよう,生徒の学習・生活空間との配置や動線を考慮して計画することが重要である。

(6) 事務室は,校長室,職員室,外来用玄関,受付等との連絡のよい位置に計画することが重要である。なお,校内の各種設備の集中管理等を行う場合には,校内各所への移動に便利な位置に計画することが重要である。

(7) 会議室は,室数の確保に留意しつつ,必要に応じ空間を分割して利用できるような規模のものを計画することも有効である。また,必要に応じ,生徒との面談や外来者の応対,学校開放に対応できる会議室を設けることも有効である。なお,中央職員室がない場合,全教員が集まることのできる会議室を設けることが重要である。

(8) 主事室は,業務内容に応じ,校長室,事務室,サービスエリア等との連絡のよい位置に計画することが重要である。

3 保健室

(1) 静かで,日照,採光,通風,換気,室温,音の影響等に配慮した良好な環境を確保できる位置に計画することが重要である。

(2) 特に屋内外の運動施設との連絡がよく,生徒の出入りに便利な位置に計画することが重要である。

(3) 救急車,レントゲン車などが容易に近接できる位置に計画することが重要である。

(4) 職員室等と連絡のよい位置に計画することが望ましい。

(5) 健康に関する情報を伝える掲示板を設定するなど,健康教育の中心となるとともに,生徒のカウンセリングの場として,生徒の日常の移動の中で目にふれやすく,立ち寄りやすい位置に計画することが望ましい。

4 受付

 防犯上の観点から,外部からの来訪者を確認し,不審者を識別できるようにするため,運営体制を考慮した上で,来訪者の使用する門に隣接した場所や建物の出入口付近等の分かりやすい位置で,職員室や事務室等に隣接した位置又はその一部に,来訪者応対用の受付を設置することが重要である。

5 倉庫,機械室等

(1) 倉庫は,収納し,管理する物品等の現況及び将来の需要を把握し,物品の種類に応じ管理や出し入れのしやすい方式を十分検討し,必要となる空間を確保することが重要である。

(2) 各倉庫は,収納し,管理する物品等を使用する場所と連絡のよい位置にそれぞれ計画することが望ましい。

(3) 校内の清掃の方法等に応じ,掃除用具庫を適宜分散して計画することが望ましい。また,必要に応じ,維持保全のための作業室を計画することも有効である。

(4) ごみ置き場は,分別収集に対応できる規模のものを,適切な位置に計画することが重要である。なお,高層化する場合は,ごみの収集方法に関するシステムに応じ,階上の適切な位置にも計画することが望ましい。

(5) 機械室や電気室等は,生徒の学習・生活空間から離れ,サービスエリアから連絡のよい位置に計画することが望ましい。

お問合せ先

大臣官房文教施設企画部施設企画課

課長 長坂 潤一(内線2286) 課長補佐 瀬戸 信太郎(内線3181) 環境施設企画係長 小林 和弘(内線2288)
電話番号:03-5253-4111(内線2291)

(大臣官房文教施設企画部施設企画課)