学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議(第14回) 議事要旨

1.日時

平成25年10月29日(火曜日)15時30分~17時30分

2.場所

文部科学省旧庁舎5階 文化庁特別会議室

3.議題

  1. 小中一貫教育推進のための学校施設部会の検討状況について
  2. 災害に強い学校施設づくり検討部会の検討状況について
  3. その他

4.出席者

委員

【委員】上野淳,海野剛志,衞藤隆,工藤和美,杉山武彦,高際伊都子,谷明彦,長澤悟,中澤正人,坊野美代子,松村和子,山重慎二,山崎茂(敬称略)
【特別協力者】齋藤福栄,屋敷和佳(敬称略)

文部科学省

【文教施設企画部】関文教施設企画部長,長坂文教施設企画部技術参事官,新保施設企画課長,森施設企画課防災推進室長,奈良施設助成課長,小林施設企画課課長補佐,木村施設助成課課長補佐

オブザーバー

(文部科学省)
【高等教育局】後藤私学部私学助成課専門官
【スポーツ・青少年局】佐藤スポーツ・青少年企画課調査官

5.議事要旨

(○:委員の発言,●:事務局の発言)

(1)小中一貫教育推進のための学校施設部会

・事務局より,資料1-1に沿って,小中一貫教育推進のための学校施設部会の検討経緯について説明。
・事務局より,資料1-2及び机上資料に沿って,現地視察概要について説明。

○ 小中一貫教育の定義を明確に示す必要があるのではないか。
● 初等中等教育局分科会で審議された「小中連携,一貫教育に関する主な意見等の整理」が24年7月に出され,小中連携は,「小・中学校が互いに情報交換,交流することを通じ,小学校教育から中学校教育への円滑な接続を目指す様々な教育」と定義している。小中一貫教育は,「小中連携のうち,小・中学校が9年間を通じた教育課程を編成し,それに基づき行う系統的な教育」と定義している。この定義に則(のっと)って,施設一体型となっている小中一貫教育校にアンケート調査を行った。
● 事前に都道府県教育委員会に電話により,該当校数のおおまかな把握を行うために,聞き取り調査を行い,その該当校に対し,アンケート調査を行っている。
○ 教育面と財政面の観点において,施設一体型小中一貫教育校の特徴があると思われる。財政面から小中一貫教育校の普及を考えた場合,どのような効果が期待できるのか整理しておくことも有益ではないか。
○ 各学校における小中一貫教育実施の目的が,学校施設整備に反映されていると考えられる。そのため,アンケート分析により一般化してしまうと,地域毎(ごと)の特性が見えづらくなるのではないか。
○ 小学校から中学校に上がる際の環境の変化に対する児童生徒の負担軽減に関する意見がある一方で,9年間環境が変わらないことによる閉鎖的な環境が与える影響についても検討すべきと考える。
○ 富山市立芝園小中学校のように,学校選択ができる地域において,校区外から通学を希望する児童生徒を小中一貫教育の中でどのように考えていくのかは重要である。
○ 学年区分の決め方などによって,施設のプランニングの考え方が変わるため,こうした観点からもアンケート分析を行う方が良いと考える。
○ 大規模校では,教職員の負担が大きくなり,小学校と中学校の連携や授業時間の調整などが難しくなることが考えられる。また,一定規模以上の学校では,授業時間の関係により,特別教室を小学校と中学校それぞれに設ける必要が出てくることが考えられる。
○ 将来の児童生徒数の変化を考慮した設計を行う上で,児童生徒数が増えている事例校に共通する要素はあるのか。
○ 公立の学校では,児童生徒数が変動する可能性が高いため,一つの課題としてまとめる必要があると考える。
一例として,川崎市立はるひ野小中学校は,新規開発住宅地に建設されたことから,将来の人口増加を見込んで,比較的余裕を持って計画された。しかし,良い教育をしているということで評判が立ったことで,想定以上のスピードで住宅建設が進み,教室不足に対応しなければいけなくなった。これに対し川崎市では,改めて学校と何度も検討を重ね,単に必要数の教室を付け足すのではなく,当初の構想の4・3・2の学年区分に沿ったゾーニングが確保できるようにし,それにより当初の小中一貫教育,あるいはそれを受けとめる施設の在り方という趣旨が生かされる形で増築計画が行われた。

(2)災害に強い学校施設づくり検討部会

・副主査より,資料2-1に沿って,災害に強い学校施設づくり検討部会の検討経緯について説明。
・事務局より,資料2-2~資料2-6に沿って,現地視察概要及び現時点における論点整理等について説明。

○ 災害時における共助の観点から,日頃より地域の方と障害のある方との相互交流を行うなど,特別支援学校等に地域コミュニティと連携を促す施設整備を行うことが重要である。
○ ハード面及びソフト面について,高齢者や幼児,障害のある方等の施設整備の取組として,どのようなことを考えているのか。
○ 災害時における円滑な対応は,平常時の取組がベースとなることが多いため,災害時を想定した施設における機能の向上や,避難所の設置などについて検討を行っている。
○ 季節や天候に応じた避難経路の確保及び避難所機能の整備について,どのように考えているのか。例えば,それぞれの学校で,ストレステストのような形でチェックできる仕組みができると,最悪の事態に備えた施設整備が進むのではないか。
○ 深夜や悪天候時,エネルギーの途絶期等,災害発生時の状況の違いも想定しながら対応策をまとめる必要があると考えている。また,施設的な整備だけでなく,日常的な点検や訓練などが重要であると考えている。
○ ストレステストについて,緊急時における限界のラインを認識することが学校現場では重要である。教職員の負担を減らすため,地域全体に対して,どこまでの準備について責任を負うのかということを明確にする必要がある。
○ 少子化が進んでいる地域では,教職員の数も激減するため,基本的に避難所運営は,地域住民が主体的に行うことを明記した方が良いのではないか。
○ 支援物資やボランティアなどを統括する主体を明確にし,計画的に運営することが重要である。
○ 学校施設は,もともと長期生活するための施設ではないという前提のもとで検討することが重要である。
○ 日本では,学校施設の管理を教職員が担っている場合が多い。教職員とは別に施設管理者が配置されていれば,災害時や平常時において,学校施設がより有効に使われると考える。
● 災害に強い学校施設づくり検討部会では,避難所の運営・管理などを十分考慮に入れた上で,ハード面からの検討を中心に検討していただいている。
○ 資料2-4について,まずは頑丈な建物をつくるということを明記する必要があると考える。
● 資料2-5のp.2の(1)施設の安全性において,災害時に安全に生徒,教職員が避難できるよう,避難所は耐震性,耐火性に加え,天井等の非構造部材の耐震対策を図るといったことを議論の論点として入れている。資料2-4にも同様の記載をしていくことについて,部会にて御審議いただきたいと考えている。
○ 津波災害だけでなく,土砂災害も想定されるため,単に高いというだけではなく,避難しても安全な高台を整備することが重要である旨記載した方が良いと考える。また,裏山などの高台への避難経路について,バリアフリーの観点も明記する必要がある。

(3)その他

・事務局より,資料3に沿って,学校施設の長寿命化改修に係る手引作成検討会について説明。

○ 建築後25年を経過した学校建築のストックは,全国に7割弱ある。これらの長寿命化対策をとることは国家的な課題である。建築ストックを壊しては造るといった日本の文化を見直すためのメッセージになれば良いと考える。
○ 既に長寿命化に近い対応や改築等をしている建物も含めて7割なのか,それらを除いて7割なのか。
○ 既に対策がとられている建物の割合は極めて少ない。それらを除いて,建築後25年以上経過し,早急な対策が必要な学校建築のストックが7割という意味である。

・事務局より,資料4に沿って,屋内運動場等の天井等の耐震対策について説明。

○ 高等学校に関する記載がない。全国高等学校長協会の調査でも,高等学校の非構造部材の問題について調査していない県が3割を超えている。高等学校についても記載した方が良いと考える。
● 国庫補助については,国と地方との役割分担があるため,記載することは難しいと考えるが,天井の技術講習会など,様々な事業で対応できる部分もあるので,周知していきたいと考えている。

・特別協力者より,資料5に沿って,文教施設研究講演会「日本とフィンランドの学校建築」及び学校施設のエネルギー使用実態等調査の結果について説明。
・事務局より,資料6に沿って,安全・安心な学校づくりセミナーについて説明。
・事務局より,資料7に沿って,今後のスケジュールについて説明。

―― 了 ――

お問合せ先

大臣官房文教施設企画部施設企画課

指導第一係
電話番号:03-5253-4111(代表)(内線2291),03-6734-2291(直通)

(大臣官房文教施設企画部施設企画課)