学校施設と他の公共施設等との複合化検討部会(第2回) 議事要旨

1.日時

平成26年11月20日(木曜日) 13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省旧庁舎4階 文教施設企画部会議室

3.議題

  1. 学校施設と他の公共施設等との複合化実態調査について
  2. 学校施設の複合化と公共施設マネジメントの取組について
  3. その他

4.議事要旨

【議事要旨】

(○:委員の発言,●:事務局の発言)

 

・事務局より,資料1に沿って,現地視察報告について説明。

・事務局より,資料2に沿って,学校施設と他の公共施設等との複合化に関する実態調査結果について説明。

 

○幾つか現地視察を行い複合化のメリットを再確認した。小中学校は地域住民が使いやすい位置にあり,地域の社会資源として大切な位置づけである。学校施設と他の公共施設を複合化していくことは一つの時代の流れでもある。

○気になったことは,学校施設のゾーニングや設備の系統,防犯を考慮した動線など,当初から計画しておかないと,事後的に対応することが困難であるということ。そして運営についても,学校施設や複合した施設の利用頻度をもっと高めることができるのではないかということの2点である。

 

○学校の部分と社会教育施設の部分の配置や動線の明確な分離,そして防犯対策などは,今後議論をしていく上でポイントになるだろう。

 

○視察をした学校は,どこも複合化がうまくいっていたが,実際には動線や運営などに課題のある学校もあると考える。今後課題を検証する必要があるのではないか。

  また,この部会とは関係が薄いが,学校施設の整備・運営にかかるイニシャルコストとランニングコストについて,実際どのぐらいコストを抑えられているのか,数値的に押さえて検討してみてはどうか。

 

●複合化の課題とその対応については,資料1の8ページ目に記載している。ここに記載した各課題には,複数の学校が同様の課題を抱えていたものもある。

 

○以前,相当数の複合化した学校を調べたことがあるが,複合化をして大失敗をした学校はほとんどなく,例えばデイサービスと小学校の複合化などは,双方に思いやりの心が生まれたなど好事例が多かった。

 

○子供たちが,幼い頃から多様な価値観や多様な存在等に触れ合うことは大事だと考えている。その点で学校施設の複合化には大きなメリットがあるのではないか。

○複合化でどのような効果があるのかを,印象だけでなく数字などで見える形にすることも大事ではないか。

○社会の状況は次々と変化していく。時代によって学校や複合化する施設も変わっていく可能性があることから,地域の需要に応じ,機能転換可能な建物にする必要があるのではないか。

 

○学校施設の複合化に当たって,ハード面の問題もあるが,地域住民や保護者,PTA等にどのように説明し理解を得るのかということも,行政としては考えなくてはならない。

 

○複合化した学校へ実際に行ってみると,防犯上の問題や施設管理責任の問題などにより,施設間のゾーニングがはっきりし過ぎていて,努力をしないと交流が生まれないような構造になっていた。

○どのような施設と複合化を図るのかは,きちんと分類して考えた方がいいのではないか。プールや社会体育施設,公民館,文化ホールなどは地域にひとつで,どこの学校にでもあるものではない。一方で,高齢者福祉施設や保育所などの施設は,どこの学校にあっても不思議ではなく,異世代間の交流も生まれるため,学校と複合化することに意味があるのではないか。また,放課後児童クラブは,学校と同じ施設に設けることで,子供たちが放課後でも学校の近くで過ごすことができるという意味がある。

 

○学校を複合化する際には,防犯に対する配慮から,丹念にゾーニングを区分して学校とその他の施設の動線が交わらないように計画されているが,それが自然な交流の妨げにもなっていることもあるかもしれない。その点についてのスタンスを明確にすべきではないか。

○学校施設と複合化する施設について機能別に分類して分析していくということも,今後議論していくポイントになるだろう。

 

○老人福祉施設との複合化について,最近は元気な高齢者が増えており,デイサービスセンターなども大分にぎやかであることから,学校と複合化するのはどうなのかという意見も出てきている。

 

○学校の校長や教職員は数年で異動することを考えると,学校施設を多目的施設のように多世代の交流空間としても利用できるように計画し,その空間を使ってどのような交流をするかは,そのときの校長や教職員にある程度委ねた方がいいのではないか。

 

○総務省の公共施設等総合管理計画のように各自治体の30年,40年先の姿を踏まえて計画すると,多くの自治体で学校をどうするかという話が出てくる。これからの学校施設整備は他の施設との複合化なしには考えられないのではないか。

○学校は小学生や中学生が利用するものだが,今後は未就学児の利用も取り入れていくこともひとつの学校の在り方ではないか。

○学校を地域住民が集まれる空間にしていきたい。現在の公民館などでは小規模過ぎて地域の人が集まることも難しいが,小学校区の単位は地域住民が集まり話し合うのに効果的な規模であり,小学校には多くの住民が集まれる広い空間もある。

○学校施設は当面,多目的に使え,変化に対応できる施設であることが求められるのではないか。

 

○複合化した学校において,校長や教職員の立場からどのような点に気を付けているのかということは整理しておいた方がいいのではないか。

 

・志村高史委員より,資料3に沿って秦野市における複合施設整備運営事業について説明。

・志村秀明委員より,資料4に沿ってさいたま市における公共施設マネジメントの取組について説明。

 

○DBO方式とは,デザイン,設計,建設,オペレーション,維持管理運営,これらを一括して発注する方法で,ほとんどPFIだが,PFIは民間が資金調達をするが,DBOは役所が資金調達をするところが違う。

 

○DBO方式だと,複合化した施設のオペレーションも民間事業者が行うため,学校が施設全体の管理を抱え込まなくとも,指定管理者が複合した施設と学校の全体を管理しつつ,学校の教育施設としての機能にも配慮がされる。

 

○秦野市の学校に附帯機能を付けるという考えは良いと思う。高齢化が進む地域においては,社会教育施設を利用する際に,同時に病院に行けたり,買物ができたりすることが大事になってくる。

○高齢化が進む地域においては,複合化する機能としても,今までのように登録団体に研修室,会議室を貸すような社会教育施設ではなく,高齢者個人が利用できるような施設などが求められてくるのではないか。その場合,主に登録団体が使う施設であれば相手が見えるため,学校もある程度安心して社会教育施設と複合化できるが,個人利用の施設になった場合,安心安全の確保がより問われるようになるかもしれない。

 

○全国的にみて学校施設は公共施設の中でも大きな割合を占める。報告書をまとめるに当たっては,地域の公共施設を再編する中で,学校をどのように考えていくのかという話は大事である。

○何でも複合化するというのではなく,地域にどのようなニーズがあるのか,それをどうやってくみ取り複合化施設に取り入れていくのかも重要と考える。

 

○指定管理の場合,当初はいいと思っていたことでも,プロジェクトを立ち上げた人たちが代わっていくことで,それを持続することが難しくなるケースがあると思う。それについて秦野市では何かお考えがあるか。また秦野市では地域の住民に対して今後どのように説明をされていくのか。

 

○指定管理者制度が始まって様々な課題が出てきているのは承知している。今回の場合には,そのような問題を発生しづらくするために,民間事業者が指定管理することを前提に施設の内容を提案してもらう形で進めている。また事業者へのヒアリング等を通じて,民間企業側にも役所側にも一番メリットがありリスクの少ない期間を検討し10年に決めた。また契約書の中でもしっかり担保していきたいと考えている。

○地域に対する広報活動としては,この計画を作るに当たって,地域の自治会の代表者や,消防団の方,公民館利用者の代表など約10名を対象に計9回の懇談会を設けた。

○公共施設と学校施設との複合化を行う取組のほかにも,他地域から人が移ってくるようにするために,路線バスの撤退に対して別途公共交通の手段を確保したり,また,市街化調整区域が大部分を占めている地域では,都市計画制度の特例を市の条例で定めて対応したりするなど,学校区単位のコミュニティを維持するために,市全体の施策として関連部局と連携して取り組んでいるところもある。

 

○資料2の実態調査について,小学校と中学校では母数が違うので,小学校と中学校における傾向の違いを割合だけでなく実数でも示した方が良いのではないか。

 

・事務局より,資料5に沿って,今後のスケジュールについて説明。

 

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