参考4 風水害による建築物の災害の防止について(建設事務次官通達)

昭和34年発住第42号
風水害による建築物の災害の防止について

昭和34年10月27日
建設事務次官から各都道府県知事宛

本年は相次ぐ風水害により、各地に多数の建築物の被害があり、特に台風15号により、愛知、三重、岐阜の3県下においては建築物の被害が激甚であつて、単に風害のみならず、堤防の決壊等による浸水により、その被害をさらに大きなものとしている。
ついては被災地の復興にあたつては勿論のこと、災害発生のおそれのある区域についても次の事項につき一層の関心を払い、建築物の被害を最小限度に止めるよう努められたく、命により通達する。

1.建築基準法の励行をはかること。
2.建築の防災指導を強化するとともに、鉄筋コンクリート造等の高層堅牢建築物を勧奨指導すること。
3.建築基準法第39条に基く災害危険区域の指定、特に低地における災害危険区域の指定を積極的に行い、区域内の建築物の構造を強化し、避難の施設を整備させること。

なお、区域の指定及び区域内の建築物の制限等については、河川管理者、海岸管理者等の関係機関とも十分協議し、過去の浸水事例等諸般の事情を勘案の上、下記事項を参考として措置されたい。

1.区域の指定範囲については、おおむね次の区域を考慮するものとする。
(1)高潮、豪雨等によつて出水したときの水位が1階の床上をこし、人命に著しい危険をおよぼすおそれのある区域。
(2)津波、波浪、洪水、地すべり、がけ崩れ等によつて、水や土砂が直接建築物を流失させ、倒壊させ又は建築物に著しい損傷を与えるおそれのある区域。

2.建築物の制限内容については、出水時の避難及び建築物の保全に重点をおき、おおむね次のようなものとし、なお、地方の特殊事情、周囲の状況等を考慮して定めるものとする。
(1)1の(1)の区域
イ.学校、庁舎、公会堂等多人数を収容する公共建築物については、次の各号によるものとする。
  (イ)予想浸水面まで地揚げをするか、又は床面(少くとも避難上必要な部分の床面)を予想浸水面以上の高さとすること。
  (ロ)原則として主要構造部を耐火構造とすること。
ロ.住居の用に供する建築物については、次の各号によるものとする。
  (イ)予想浸水面まで地揚げをするか、又は床面(少くとも避難上必要な部分の床面)を予想浸水面以上の高さとすること。
  (ロ)予想浸水面下の構造は、次の各号の1に該当するものとする。
    a.主要な柱、又は耐力壁を鉄筋コンクリート、補強コンクリートブロック、鉄骨等の耐水性の構造としたもの
    b.基礎を布基礎とし、かつ、軸組を特に丈夫にした木造としたもの
ハ.その他の建築物については、建築物の利用状況に応じイ又はロに準ずる制限をするものとする
ニ.附近に有効な避難施設があるもの又は用途上、構造上やむを得ないもので避難上支障のないものについては制限を緩和するものとする。

(2)1の(2)の区域
イ.1の(1)の区域における制限をする外、有効な防護堤等の施設がある場合を除き、鉄筋コンクリート造等の堅ろうな建築物とするものとする。
ロ.特に危険な区域については居住の用に供する建築物の建築を禁止するものとする。

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