1.津波からの避難路の確保
(1)名古屋市(教育委員会) → 津波避難ビル指定に向けた学校施設の改修整備
○市内20校(小15校、中5校)を対象に屋外避難階段や屋上フェンスなどを整備
○平成24年度の補正予算(6月)で予算化
(2)四国(高知県四万十市、徳島県美波町) → 津波に備えて避難路を整備
○四万十市立竹島小学校
・津波避難用屋外階段を整備(平成24年11月)
○美波町立日和佐小学校
・津波避難用に学校裏山に続く避難階段を整備(平成24年9月)
2.想定浸水高さ以上での避難所機能の確保
(1)東京都江戸川区 → 防災部局と教育委員会等の緊密な連携による避難所機能の強化
○防災部局と教育委員会等の緊密な連携
・海抜0メートル地域が区の7割を占め、堤防が破堤した場合、区内の広域が浸水にさらされる危険あり、広域避難場所にとどまらず、
身近な待避施設の確保が急務
・防災部局と教育委員会等との緊密な連携により、地域防災計画における学校の位置づけや必要な機能が明確化されるとともに、
想定浸水高さの水害にも対応できる先駆的事例(松江小学校)が完成
・松江小学校をモデルに、改築に合わせ、区内の学校施設の防災機能を高めていく予定
○松江小学校
・平成24年12月竣工、改築
・避難所となる体育館及び防災倉庫を、想定浸水高さより高い2階に設置
・屋上プールの水をトイレの洗浄水として利用できるよう整備
・停電、断水に備え、太陽光発電設備、貯水槽を整備 等
○学校改築における小学校施設の在り方について(平成21年4月)
・学校施設改築計画検討会(副区長、教育長、都市開発部長、土木部長等):学校改築に関する方針の決定等
~防災拠点機能の向上(物資・資機材倉庫を設置、情報通信設備の設置、マンホールトイレの整備、プールの水を非常時の生活
用水として活用できるよう整備 等)
○松江小学校改築基本構想・基本計画(平成21年4月)
・改築検討会(教育推進課長、学校施設担当課長、都市開発部施設課長等):松江小の基本構想・基本計画等の策定
・改築懇談会(校長、PTA会長、学校評議員、町会代表等):地域の意見集約
(2)東京都荒川区立汐入東小学校 → 避難所機能を高層階に設置
・平成22年2月竣工、新設
・8階建ての高層化した学校施設(1階:こども園、2階:昇降口、図書室等、3~5階:普通教室及び特別教室、6~7階:屋内運動場、8階:屋内プール)
・避難所となる屋内運動場及び防災備蓄倉庫を校舎6階に、8階には屋内プール(オフシーズンは運動場としても利用)を整備 等
(3)東京都足立区 → 既存学校施設における避難所機能の強化
・すべての小中学校が、地域の一時避難所に指定されるとともに、学校備蓄庫を保有し、その半数弱は2階以上の高層階に設置
(区内6カ所の災害備蓄倉庫での備蓄を見直し、かなりの備蓄物品を避難所となる小中学校等に分散配置)
・ほぼすべての小中学校に受水槽、高架水槽、プールがあり、飲料水ろ水機も配備
・避難者100人に1カ所以上のトイレ、避難者75人に1カ所以上の簡易トイレ、仮設トイレの確保に努める 等
3.長期避難への対応
(1)東京都北区 → 地域開放にも考慮した計画により、長期避難にも対応
○明桜中学校(平成23年3月竣工)、十条富士見中学校(平成24年3月竣工)等
・地域の核として施設の地域開放も考慮して計画され、教室エリアと地域開放エリアの2つを分割できる設計
・多機能トイレ、マンホールトイレ(プールの水を排水に利用できるよう配管)を整備
・シャワー室を整備
・かまどベンチを整備 等
(2)新潟県長岡市 → 避難所機能を持った学校づくりに関する一連の取組
○宮内中学校
・平成23年11月竣工、改築
・降雪時等にも避難活動が円滑に行えるに行える屋根付き広場を整備
・炊き出し場所として使用できる給食室を体育館と隣接して整備
・避難が長期化した場合でも安心して避難生活ができ、かつ教育活動にも支障がないよう、避難エリアと教育エリアを分離 等
○東中学校
・平成20年11月竣工、改築
・屋内運動場やグラウンドに隣接して保健室を配置し、救急動線を確保
・物資の搬入が容易になり、炊き出しもできる屋根付き屋外スペースを整備
・避難者の多様な要求に対応するため、畳敷きの武道場、小規模な和室などを整備
・受水槽蛇口、車椅子対応トイレ、テレビ受信・電話・LAN配線などの設置。
・学校開放エリアと避難エリアの重ね合わせと教育エリアとの分離(避難の長期化に対応) 等
○既存学校施設の防災機能強化に関する計画的な整備
・屋内運動場にスロープ、洋式便器の設置、テレビ・電話配線を設置
・受水槽蛇口設置、ガス変換機の接続口を設置、防災物品の備蓄
(1)宮城県南三陸町立伊里前小学校、歌津中学校 → 小中隣接、地域で唯一残った公共施設
・歌津地区は全体が壊滅的な被害を受け、学校が唯一残った公共施設。
・伊里前小は高台にあるが1階まで浸水。近隣で被災した名足小の児童を受け入れ。
・歌津中は小学校の隣りの少し高い所にあって浸水なし。
・地震発生時は小学校の児童を中学校に避難させ、さらに高台に避難。
・授業再開後も中学校の体育館や特別教室を避難所に使用。
・小学校の多目的スペースを中学校の部活動や地域の集会施設として使用。
(2)岩手県釜石市 旧釜石第一中学校 → 廃校施設を避難所に使用した例
・旧釜石第一中学校は市役所の近くにあり、浸水地域ながら津波の被害は軽微。
・同校は平成18年に廃校になったが、校舎はそのままの状態で存続。
・震災後は校舎と体育館を避難所に使用し、校庭は仮設住宅用地に利用。
・廃校となって無人状態の校舎が避難所に使用された事例。
(3)宮城県石巻市立湊小学校 → 浸水地域の学校が大規模避難所になった事例
・石巻の市街地は津波により大きな被害を受け、同校も校舎1階まで水没。
・1階が使えず2階以上を避難所に使用した場合の施設利用実態。(最大1,400人収容)
・隣接する総合福祉会館(幼稚園、保育所、学童保育)から発災直後に園児や児童が避難。
・避難所立ち上げ時に町会ごとに指定の教室に誘導。安否確認や在宅者ケアに大きな効果。
・日赤医療チームが活動し、避難所の医療支援の実態をヒヤリングするのに最適。
(4)宮城県山元町立山下中学校 → 避難所時の多目的スペース利用、太陽熱利用設備の効果
・山本町は沿岸部が津波により大きな被害。山下中は海岸から離れた場所にあり被害なし。
・建設後6年の新しい校舎。当初は教室に避難し、後に体育館や武道場に移動。
・体育館ではドームテントを設置してプライバシーを確保。
・オープンスペースが打ち合わせや支援物資の保管場所として有効に機能した。
・太陽熱利用設備のおかげで室温が一定に保つことができた。
(5)宮城県立石巻特別支援学校 → 避難所になった特別支援学校の事例
・避難所に指定されていなかったが、児童生徒のみならず地域住民も受け入れ。
・特別支援学校が避難所になった場合の実態。
・特別支援対象の児童生徒が避難所生活を送る際に配慮すべきこと。
・福祉避難所との連携や役割分担の実態。
指導第一係
電話番号:03-5253-4111(代表)(内線2291)、03-6734-2291(直通)