災害に強い学校施設づくり検討部会(第5回) 議事要旨

1.日時

平成25年10月28日(月曜日) 13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省旧庁舎4階 文教施設企画部会議室

3.議題

  1. 現地視察報告(避難所等関係)
  2. 地域の緊急避難場所や避難所となることを想定した学校施設づくりの在り方について
  3. 幼稚園・特別支援学校における特有の配慮が必要な事項について
  4. その他

4.出席者

委員

【委員】淺川賢次、上野淳、長澤悟、山田あすか、矢守克也(敬称略)
【特別協力者】齋藤福栄(敬称略)

文部科学省

【文教施設企画部】関文教施設企画部長、長坂文教施設企画部技術参事官、新保施設企画課長、小林施設企画課課長補佐

オブザーバー

(総務省消防庁)中道国民保護・防災部防災課震災対策専門官
(内閣府)藤井政策統括官(防災担当)付主査
(文部科学省)
【文教施設企画部】
(施設企画課防災推進室)廣田室長補佐
(施設助成課)奈良課長、近藤課長補佐
【スポーツ・青少年局】(学校健康教育課)佐藤安全教育調査官

5.議事要旨

(○:委員の発言、●:事務局の発言)

・事務局より、資料1及び机上資料に沿って、現地視察報告について説明。

○ 山下中学校の太陽熱集熱装置について、発災前に蓄えられていた熱で温熱環境を維持できたのであろうが、基本的には停電により稼働しなかったことは、今回の一つの教訓ではないか。
○ 先進事例は大変勉強になるのだが、それらと比べると防災機能が遙かに劣っている学校もたくさんある。そのような学校では、様々な対策を一度に示されても、何から手を付けて良いか分からないのではないか。
○ そのためにも、対策について、何らかのプライオリティをつけることが重要と考える。また、そのプライオリティも、地域の実状によって異なるのではないか。
例)津波災害が想定される地域で重要な対策
  津波後に数日間孤立無援になるような地域で重要な対策
  周辺地域から多くの住民が避難してくる地域で重要な対策  など
○ 予算が限られている場合は、これをやるべき、といった優先順位の設定の仕方を示すのも一案ではないか。
○ 学校自体は津波被害を受けていないが、周辺市街地が全滅しているような場合は、児童生徒は帰る場所がなくなり、当分の間、学校で過ごすことになる。その場合に、児童生徒の生命や安全、生活を確保するという観点から、児童生徒のためなのか、または、地域住民のためなのか、重要な項目を抜き出し、整理しておくことが大事ではないか。
○ 介護が必要な高齢者や障害者、乳幼児世帯への対応についても、まとめて整理しておくことが重要ではないか。
○ 「十分な量の~」という記述があるが、視察報告においては、量がどの程度あって、人数がどの程度だったかという具体的な実例を示すことが重要ではないか。
○ 「受水槽の水が使える」という記述があるが、受水槽の水をトイレに使うと飲み水には使えなくなることに留意が必要である。
○ 屋上にプールがあると、本来、消防用水として想定していた消防隊にとっては、プールからポンプで運ぶのが難しくなってしまうことについても留意すべきではないか。

・事務局より、資料2及び資料3に沿って、地域の緊急避難場所や避難所となることを想定した学校施設づくりの在り方について説明。

○ 資料に書いてある対策について、すべて実施できると望ましいが、学校施設の建替えを一度に行うわけにもいかない。そのため、地方公共団体が取り組む場合の手順を示す必要がある。また、国としての支援の在り方についても検討が必要ではないか。
○ 防災部局と学校の連携について、学校が避難所となることは、学校の先生にとって重荷になっていると思う。そのため、避難所運営の各フェーズにおいて学校としてはどのようなことをすれば良いかを丁寧に説明すべきではないか。
○ それぞれの項目について、必要な事項、有効な事項、あるいは問題点等についてきちんと整理した上で、実現に向けた取組の優先度に合わせたレベル分けを行うことが必要ではないか。
○ 部会として、国としての支援制度の在り方を発信してはどうか。
○ 学校施設の防災機能強化だけで災害時の対応するのは難しいと考えるため、学校施設の防災機能を、その学校が持っている他の機能と連携させて改善していくことは重要である。
○ ある学校施設の防災機能を、その施設のみで担保しようとしても全ての施設で取り組むことは難しいことから、周辺の施設と連携し、相互補完の関係を構築することも考えられる。

事例があれば、それを紹介することは有効であると考える。事例がなかったとしても、部会としてこのようなやり方があるのではないかと打ち出すことは有効ではないか。
○ 地域全体の防災力を伸ばしていくことは重要である。近隣の施設間で防災機能の相互補完の関係を構築することも良いと考える。
○ どこに行けばどのような防災機能があるのかを、あらかじめまとめ、地域として共有しておくことも重要ではないか。
○ 避難所となる学校施設の鍵を地域に預けることは重要であるが、その前提として、学校と地域とが日頃から意思疎通しておくことや、避難所となった際の運営プロセスについて、あらかじめ議論しておくことが重要ではないか。
○ 避難所の構成要素を、章の最初で解説し、続けて電気やガスなどの細かい説明を書くやり方でないと、全体が読みにくいのではないか。
○ 避難所であるかどうかに関わらず、学校は、バリアフリー化されているべきであり、エコスクール化されているべきである。そのため、「避難所となる学校はバリアフリー化されている必要がある」と特出しすることは違和感がある。
○ バリアフリーに関連して、津波避難の際のスロープの勾配の在り方についても、検討して欲しい。(自力で上がるのではなく、押して上がるのであれば、勾配を一定程度きつくした方が有効等)
○ イベントなどでの地域交流が、コミュニティを強化するものである。普段からの地域とのつながりについて改めて記載していただきたい。
○ トイレについては、複数の対策が必要であることを、最初に書いて欲しい。
○ 高齢者等の特別な配慮が必要な方のためのトイレの在り方についても、記載していただきたい。
○ 「誰でも使いやすいトイレ」ということを書いても、想像できない人がいるのではないか。そのため、「子供、子連れ、外国人、オストメイト、おむつ、生理中…」などと具体的に利用者を想定して列記するのが良いのではないか。
○ 障害を持っている方やケアが必要な方、妊産婦という表現が必要ではないか。
○ トイレだけはなく、電源や熱源についても、様々な手段を用意しておくことが重要ではないか。基本的な事項に書き込んでも良いと考える。
○ エコスクールの観点においても、断熱性能の強化は重要である。(体育館の断熱性能は極めて低い。)
○ 老朽化対策としての改修時に断熱性能等を向上させるなど、基本的な温熱環境を確保することが望ましい。
○ 女性特有の事項と、男女別のものを用意すべき事項について、男女共同参画の観点から書き分ける必要があるのではないか。
○ 避難所の機能として、災害そのものから逃れる空間に位置しているという機能、避難者の衣食住を支える機能、情報収集の場としての機能が挙げられるのではないか。
○ 避難所として果たすべき機能と、本来学校が果たすべき機能について、その差となる部分を明らかにするべきではないか。

・事務局より、資料4に沿って、幼稚園・特別支援学校における特有の配慮が必要な事項について説明。

○ そこから逃げるべき場所としての幼稚園、特別支援学校と、そこに逃げ込むべきである場所としての幼稚園、特別支援学校については、明確に分けて書くことが重要ではないか。
○ 賛否両論の議論はあるが、避難車にライフジャケットやヘルメット、水や食料をあらかじめ積んでおくことも考えられるのではないか。岩手県において、避難車で移動して助かった事例がある。
○ 保育所を高台に移転する際に、バリアフリーに配慮して再建することで、高齢者や障害者の方が避難してくる施設としても、有効に機能している事例があり、こうした観点も重要と考える。
○ 東日本大震災では、多数の特別養護老人ホームが津波に飲み込まれ、多くの入所者が逃げられずに亡くなった。特別支援学校は、大きく分けて知的障害と肢体不自由の2種類がある

が、肢体不自由の場合は自らの意思で逃げることが難しいので、このような特別支援学校は高台に立地すべきではないか。
○ 特別支援学校でも、小学部、中学部、高学部の各段階で逃げ方の考え方は違うのではないか。
○ 災害のリスクが大きい場合は、可能な限り移転・再配置すべきという観点が重要ではないか。
○ 市街地にある特別支援学校等の移転を考える場合には、学校だけが移転し、市街地は移転しないといったことも考えられるので、市街地の移転についても意識する必要があるのではないか。
○ 文部科学省として全国一律に示すことも重要だが、地方公共団体の置かれた環境を踏まえ、自ら考えてほしいこともある。そのため、他の自治体ではどのようなことを考え、何を行っているのか、つまり事例を紹介することが重要である。そのため、緊急提言のように、本文に、事例を挟み込んだ形にすると良いのではないか。

── 了 ──

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