小中一貫教育推進のための学校施設部会(第4回) 議事要旨

1.日時

平成26年9月9日(火曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省旧庁舎4階 文教施設企画部会議室

3.議題

  1. これまでの検討経緯について
  2. 小中一貫教育に関するアンケート調査結果について
  3. 本部会の検討の方向性について
  4. その他

4.出席者

委員

【委員】伊藤俊介,佐藤将之,清水康一,高橋政志,竹内美矢子,長澤悟,湯澤正信(敬称略)

文部科学省

【文教施設企画部】関文教施設企画部長,新保文教施設企画部技術参事官,山下施設企画課長,蝦名施設助成課長,小林施設企画課課長補佐,錦施設助成課課長補佐
【初等中等教育局】武藤教育制度改革室室長補佐
【国立教育政策研究所】西文教施設研究センター総括研究官

5.議事要旨

(○:委員の発言,●:事務局の発言)

・事務局から,資料1に沿って,本部会のこれまでの検討経緯について説明。
・事務局から,資料2-1,2-2,参考資料2,3に沿って,小中一貫教育の制度化に関する検討経緯について説明。

○資料1の安全対策について,小・中学校が一緒になることによって,中学生が小さな子供に気を遣うようになったという意見が多く聞かれる。一部のネガティブな状況だけでなく,よい面についても記載した方がよい。
○小・中学生の交流について否定的な意見がある一方で,小・中学生の動線が交流することについて保護者や地域の方が心配されていたが,その後,年長者の配慮や思いやりが生まれ,問題等は起きていないという事例がある。こうしたことも記載した方がよい。 
○計画段階で心配されたことが,運用段階において,心配していたとおりになるケースもあれば,ある対応をすることでスムーズになるケースや,心配したこともなく想像以上にうまくいくケースもある。施設との関わりについて,まとめて考えておく必要がある。 
○地域における統廃合も含めた小中一貫教育学校の検討には,地域コミュニティの在り方を考慮することが大切である。
○学校規模の変化によって,これまでとは異なるスケールの学校が地域にできあがり,地域の風景が変わってしまうこともある。学校の存在自体が大きく変化する可能性について記載を充実させた方がよい。
○コミュニティ・スクールは,地域ぐるみ,社会全体で子供を育てるという観点から,小中一貫教育学校をとらえていく上で大変重要である。少子化対応の観点と区別して記載した方がよい。
○小学校と中学校ではシステムが異なるだけでなく,学校文化が大きく異なっており,子供たちの教育や生活に対する考え方に差がある。多数の小中一貫教育学校で,この差をどのようにしてつなぐかという議論が行われている。
○小中一貫教育学校については,9年間の一貫した教育をどのようにするかという教育像を明確にし,それを念頭においた施設作りを行うことが重要である。
○これまで本部会では,施設一体型校舎の計画・設計の留意点について検討してきたが,小中一貫教育の制度化の議論が始まったことを受け,当部会の検討の方向性や成果のまとめ方は変わるのか。
○制度化の議論において,施設の在り方も重要な要素であり,それに対して本部会として考え方を整理していきたい。
●資料2-2の小中一貫教育の制度設計の基本的方向性に,施設一体型・分離型の扱いをどう考えるかということが示されている。当部会では,これまで施設一体型に焦点を当ててきたが,施設分離型の施設整備上の留意点や課題についても把握が必要であれば,今後部会に諮りたいと考えている。
○学校は,教育の場であると同時に,地域にとっての学校という面も重要であり,教育論だけでなく学校論の観点からも捉える必要がある。施設の在り方というのは,この両面を考えていくことが非常に重要であり,慎重に考えていく必要がある。
○小学校には,地域の中で地域の人が関わって,将来地域を担う子供たちを育てるという面がある。一方,中学校になると,発達段階や教育目標として,部活などを通してより幅広い体験や集団生活を経験することが重要となる。このように小・中学校で教育目標が異なることについて,施設を一体的にする場合は,小・中学校どちらかに不具合が起きる可能性もあり,慎重に考えていく必要がある。
○子供の成長を育む学校の役割,あるいは地域の中での学校の役割ということについて,資料1の中に項目を立てて記載した方がよい。
○小中一貫教育の制度化について,中央教育審議会において議論が進んでいるところであり,本部会では,その議論を踏まえながら,一貫教育を効果的に実施していくための施設整備の在り方,地域との関係について,今後議論を深めていきたい。

・事務局より,資料3に沿って,小中一貫教育に関するアンケート調査結果について説明。

○学校施設整備方針の検討体制について,小中連携校では「特に検討していない」が42%を占めているが,詳細は把握しているか。
●把握していない。詳細は,教育委員会に確認しなければ分からない。
○小中一貫教育学校の学校数が,小中連携学校と比較して多い。9年間一貫したカリキュラムを編成しているか否かが判断基準となっているが,こんなに9年間一貫したカリキュラムを持っている学校があるのかという印象,もしあるなら是非見てみたいが,取組の姿勢として一貫教育を目指しているという学校が多いのではないか。
○各教育委員会からの回答に基づいて検討された結果であり,もう少し踏み込んで分析・整理する必要がある項目もある。
○職員室の設置や,教室の共有,運営方式と学校規模の関係のクロス分析はあるか。
○大規模校と小規模校では,特別教室の必要教室数等に違いが出てくるのではないか。一体化や共有化は,大規模校においては不利な側面があるのではないか。そのあたりを注意深く見る必要がある。
●その点のクロス分析は行っていない。今後の検討に資するクロス分析をした方が良い調査項目について,先生方から御意見をいただけると有り難い。
○行政としては,小中一貫教育によって教育効果を出したいところ。児童生徒の学習意欲の向上が低い結果となっていることについては,まだ取り組み始めて余り時間がたっていないところが多く,データが足りないと考えられる。
○初等中等教育局の実態調査において,教育効果と経過年数の関係についてアウトプットを出すことは可能か。
●学習意欲などについて,経過年数によってどのように違うか分析したいと考えている。
○既存の施設を活用した小中一貫教育学校が増えていることもあり,施設上の留意点について,何があり,どのようにクリアしたらよいのか,特例的なことを含め示すべき。

・事務局から,資料4に沿って,本部会の検討の方向性について説明。

○私の研究室の調査によると,小・中学校の施設を一体にした場合,教育相談室が多く整備されており,相談室へ行きたい子供が増えていることが分かった。
○学年区分とゾーニングが一致していることが重要であるという趣旨のことが書いてあるが,小中一貫教育はまだ試行錯誤があるので,フレキシビリティも同時に大事であることを記載した方がよい。
○小中一貫教育は,9年間の教育の一貫性や流れを作ることが主目的であり,整備においては一体化した方がよいものと,段階に合わせて区分した方がよいものがあると考えられる。9年間の教育像を踏まえ,どちらを採用する方がよいのか検討することを設計の基本的な考え方として記載した方がよい。
○開校までの検討期間,職員数の在り方,設計者の選定方法について記載してはどうか。
全ての視察に立ち会ってみて,学校の規模によってその成り立ちから異なり,留意点,必要諸室等大きく異なることがわかった。本部会の成果として,小規模後編,大規模後編と分けるくらいのことを考えた方が,成果を利用する立場に立てば活用しやすいのではないか。
○学校規模の違いによって,施設整備上の課題や教育内容,地域との関わり方が大きく異なり,施設をどう整備するかということも変わってくる。規模によって情報を分けて提供できると学校設置者として参考にしやすい。小規模校の方がニーズは多いと思われる。
○どのようなプロセスで整備したか,地域との合意形成の仕方などについての記載があると非常に参考になる。
○特別支援教室の整備について,考え方を示した方がよい。
○児童の放課後の居場所についても記載してはどうか。
○学校が地域の中にあって,地域に助けてもらい,地域に貢献することによって教育効果が上がると思うので,地域との連携についても提言できるとよい。
○統廃合と切り離せないところもある。どういう地域でどういうパターンがあり,合意形成をどのように図ってきたか,今どのような効果を上げているかについて,事例を紹介できるとよい。
○ある小規模の小中一体型校舎の施設計画の策定に携わったとき,9年間一緒の場で学ぶことに対して,変化,刺激がないことや,人間関係の固定化等に対する反対意見が住民から出された。一体型であるが成長段階に応じた空間,つまり,学年が上がるにつれて,新しい世界が見えてくるように空間を設計することで,住民の方々が納得され,小中一貫教育の理解にもつながったことがあった。施設設計のありようは非常に大事であり,教育課程の特色や成長段階に応じた空間設計は,子供たちの成長に非常に影響力があると考えている。
○学校施設は,教育方針が変わったとしてもすぐ建て替えることはできないので,いかにフレキシビリティを確保しながら,発達段階に応じた環境を用意できるかが大きな課題である。また,教員の体制や運営の仕組みも関係してくるので,これらを踏まえながら,施設環境の考え方を示すことができるよう,検討を進めていきたい。 

・事務局より,「日本とフィンランドの学校建築」について説明。
・事務局より,資料5に沿って,今後のスケジュール(案)について説明。

―― 了 ――

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