老朽化対策検討特別部会(第4回) 議事要旨

1.日時

平成24年7月23日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 東館17F1会議室

3.議題

  1. 中間まとめ(案)について
  2. その他

4.出席者

委員

(委員)上野部会長、安間委員、伊香賀委員、海野委員、木村委員、小松委員、菅原委員、丹羽委員、望月委員、柳原委員、山本委員
(特別協力者)齋藤特別協力者

文部科学省

(文部科学省)清木文教施設企画部長、長坂技術参事官、串田施設助成課課長、富田施設助成課企画官、齋藤施設助成課課長補佐、高見施設助成課課長補佐、山﨑参事官、野口施設企画課企画調整官

5.議事要旨

(1)中間まとめ(案)について

・事務局より資料1に基づき中間まとめ(案)(はじめに、第1章)について説明

○「はじめに」は、かなり熱のこもった強いメッセージになっている。
○学校数は減少しているのに建物面積が変わっていないのはなぜか。
○(事務局)廃校になった施設は小規模である一方、人口集中地域に建てられる施設は大規模であることなどが起因しているのではないかと考えられるが、分析を加えたい。
○児童・生徒数は減少を続けているが、学校建築ストックの面積は大きくは変化していない。このストックすべてが維持管理すべきストックなのかどうか、他の公共施設への転用なども視野に入れて検討したほうがよいのではないか。
○5ページの児童生徒数が減っていることについて、将来的な人口推計を入れてもよいのではないか。
○過日開かれた教育活動円滑化WGでも、14歳以下人口の今後の激減について話題になり、地域の今後の基本的な教育施設整備計画の策定に当たっては、将来の児童生徒数の動向を十分踏まえることが大事という意見が出た。2章、3章のあたりで必要に応じて加筆していきたい。
  各自治体とも老朽化施設の再生ということについて非常に関心が高く、逆に言うと困難さを感じているという結果が出たことは極めてタイムリーな調査だった。
○人口の減り方というのは地域によって大きな差がある。特に大都市から離れた地域の減少は著しく、そういう市町村での取り組みと、大都市で取り組む話とでは違うと思う。そこは何かうまく切り分けておかないと、一律でやってもうまくいかないと思う。
○図表8で現在、建築後30年のストックが53%という記載があるが、これをこのまま放置すると5年後には何%、10年後には何%というのを1行加えておくべき。
○14ページの「(3)環境面」について、温熱環境などの学習環境の質的な面での問題もあるという言葉も入れる必要があるのではないか。
○もともと現在のストックは非常に(温熱)性能が悪い。それを補うためにクーラーを入れており、一方で省エネという話でジレンマが残るので、考え方をきちんと示すべき。
○そもそも学校建築は窓面積が大きいということもあって、極めて断熱性能が悪い。温熱環境を良好に保つにはエネルギー消費が際限なく増える。断熱性能が低い学校建築の老朽化対策を実施する際には、性能水準を上げるという観点も失うべきではない。
○改修や改築事業の優先順位づけや、改修ではなく改築を選択する理由などについて、本文に記載することも考えられる。

・事務局より資料1に基づき中間まとめ(案)(第2章)について説明

・望月委員より参考4について説明

○16ページ「(1)計画的整備」で、学校施設の状態面とか学習活動の適応性を含めて、学校施設の評価という考え方を記載してはどうか。
○図表16について、「ア.建物の劣化診断」、「イ.中長期計画の策定」、「ウ.ライフサイクルコストの算定」、「エ.計画的な予防保全管理」の複数に取り組んでいる自治体について抽出することは可能か。抽出結果が、都市部の自治体、もしくは町村部の自治体、どちらにもみられるのであれば、その取り組み方は自治体の規模によらないと考えられる。また、先進事例のパターン化などもできるのではないか。
○老朽化対策や教育環境の質的向上を図る際に、どのようなニーズにまで対応するのか、また、それに対応する財源はどうするのか検討する必要がある。
○際限なく機能向上していけばよいという問題でもない。今後の大きいテーマとして議論を続けたい。
  例えば、今日、算数などで、少人数学習を取り入れている学校・自治体が多く、1クラスを2展開とか、2・3クラスを4・5展開といった具合に、相当丁寧な教育をするようになっている。教室数がぎりぎりでは、そういう展開が難しい。各学年あるいは2学年に一つぐらい余裕教室があるとよい。これは、今日学校建築に求められる水準かもしれない。
  それから、学習指導要領の改訂により小学校で外国語授業が実施されており、割とアクティブな活動をするという授業方法が定着してくると、そのためにも専用の部屋があるとよい。そういう学校を視察すると、子ども達が生き生きと活動している。余裕教室を利用しユニークな教科教室型運営を行うなど、今日求められている教育水準に対して既存のストックを上手に活用している中学校もある。
  学校を建てるということで相当膨大なエネルギーを使い、それ自体がCO2を発生させている大きい要因であることも表現したらよいと思う。
○解体によってかなりの廃棄物も排出される。改修による経済的なメリットと、既存不適格の問題をどの程度クリアできるか、実例を踏まえ提示するとわかりやすい。
○基本的に現場には維持していくための予算がほとんどない。建て替えるという前提で費用をかけずに放ったらかしにしておき、そのツケを30年後、40年後に使い捨てにより全部解消するのが今までのやり方。今さら長寿命化せよと言われても困るというのが現場の感覚ではないか。改築に必要な費用を維持に回していくという発想の転換が必要。今までどおりでやれるという考えは大きな間違い。
○立川市などのプレゼンテーションからは、例えば10年・15年間隔で小規模な機能回復をして、30・40年目に機能向上も含めた改修をすることが長寿命化に結びつくということだった。学校の機能、安全面を維持していくためのプロセスについても工夫が必要。
  10年ごとの小規模な機能回復修繕にも何かある種の補助や仕組みを考えなければ、基本的な問題は解決しない。今後も議論を続けたい。

・事務局より資料1に基づき中間まとめ(案)(第3章、第4章、第5章)について説明

○各自治体は教育委員会の他に営繕部局があり協力している。一方、学校施設の評価や、防災備蓄倉庫を作る際の既存不適格対策等、専門的な知識を要するにも関わらず施設の管理者たる教育委員会が実施しなくてはならないことも多い。
○保護者や地域住民等を巻き込むことも必要ではないか。
○保有している学校が少ない小さな自治体で、教育委員会にも技術職員がいない場合、例えば近隣の自治体でコンソーシアムを組んで、学校建築の評価、あるいはチェック、検査ということが行えるような仕組みをつくるというようなことも課題。
○そもそも建築職が全くいないというところも多い。学校だけの問題ではなく、公共建築全般を維持していくということも大きな問題。
○老朽化、長寿命化、維持管理を定着させるため、定年退職した技術職員や地域の一級建築士等がコンソーシアムを組み、ある特定の自治体だけではなく、広域的に学校建築の点検評価等を行う仕組みを作ることについて、議論・提言する必要があるのではないか。

・事務局より資料1-2に基づき中間まとめ(案)(概要)について説明

○概要について、1の2、「(4)老朽施設の増加」で、改修が必要な老朽施設は約1億平米、工事費を平米約20万と考えると、たとえ改修でも約20兆円必要になる。ここで、かなりの金額が必要になるということが分かる。
  また、3の2、「2.組織体制の充実」で、営繕担当部局の協力を得つつ、との記載だが、約半数の技術職員がいない自治体には営繕担当部局が無いことも多いのではないか。
○16ページの、事後保全から予防保全型という記載について、予防保全の具体的イメージを補足してはどうか。
○20ページで、PDCAサイクルのそれぞれのステップ、特に、現状把握の際、記録を残し、データベース化することも非常に重要。また、概要版の公立小中学校施設保有面積の推移のグラフは、小学校と中学校の内訳がわかったほうが、説得力が出ると思う。
○老朽化対策にあたっては、健全な建物とは何かについて定義が必要。また、耐用年数が来ていないもの、例えば屋上防水だったら保証期間内で雨も漏っていないが、近々雨が漏るかもしれないといった場合、それをどう判断するかが難しいのも事実。
○問題発生後の補修・改修では遅いということについてしっかり議論したい。
○21ページに「やむを得ず改築を行う場合には」と記載があるが、統合がらみの改築等様々な理由があるので、もう少し配慮してもよいかと思う。

 

(2)その他

・事務局より資料2に基づき今後のスケジュール案について説明。

 

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