老朽化対策検討特別部会(第3回) 議事要旨

1.日時

平成24年6月21日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省東館17F1会議室

3.議題

  1. 地方公共団体・有識者からのヒアリング
  2. 老朽化対策の検討に係るアンケート調査結果(速報)について
  3. 第2回特別部会の補足事項について
  4. 中間とりまとめ(骨子案)について
  5. その他

4.出席者

委員

(委員)上野部会長、安間委員、伊香賀委員、海野委員、木村委員、小松委員、菅原委員、成田委員、丹羽委員、望月委員、柳原委員、山本委員
(特別協力者)齋藤特別協力者
(名古屋市説明者)五味澤名古屋市教育委員会学校整備課長

文部科学省

清木文教施設企画部長(途中参加)、長坂技術参事官、瀧本施設助成課課長、野口施設企画課企画調整官、齋藤施設助成課課長補佐、高見施設助成課課長補佐、中島参事官付参事官補佐、廣田施設企画課防災推進室専門官

5.議事要旨

(1)地方公共団体・有識者からのヒアリング

・名古屋市より資料1に基づき名古屋市の老朽化対策についてプレゼン

○構造体耐久性調査結果の今後期待できる建物の使用期間を40年程度以上、20年程度以上、20年未満と分類している判定基準は。
○(名古屋市)コンクリートの中性化、鉄筋の腐食、コンクリートの塩分濃度の3つの指標で判定しており、それをマトリックスにしている。コンクリートの中性化と鉄筋の腐食については、4段階で評価。また、塩化物が検出されれば最低評価となるよう判定をしている。
○リニューアル改修の実施により400億円圧縮できる要因は何か。
○(名古屋市)名古屋市のすべての学校、市営住宅、庁舎、保健所などを40年で取り壊して改修した場合、最大で1,600億円程度かかるが、リニューアル改修を含んで試算すると、平成44年頃に1,200億円程度に抑えられる。
○リニューアル改修の中には、断熱や日射遮蔽などの省エネ性能の向上についてどの程度加味されているのか。
○(名古屋市)ライフサイクルコストも含めたトータルの予算を抑えるというのが基本の考え方である。省エネ性能の向上までは難しい。省エネ対策に投資した分、冷暖房の費用が低下すれば、取り入れられる可能性はある。

・齋藤特別協力者より資料2に基づき「大学施設の性能評価システム」についてプレゼン

○性能評価システムはどのように活用されているのか。
○国立大学法人が施設整備費用について国に概算要求する際に活用されている。大学も、施設の状況を客観的に評価することで、施設マネジメントの基礎的なデータとして活用できる。

・望月委員より資料3に基づき公立小中学校における将来の維持更新費についてプレゼン

○この将来推計は衝撃的な数字。学校の長寿命化は国家プロジェクトだ。
○各自治体の維持更新費は地域的な違いがあるか。
○公立学校施設は地方公共団体が保有している公共施設面積の30%~50%である。公営住宅の割合にはばらつきが大きく、関東近辺では10%程度だが、北海道や九州では40%程度を占める。また、文化系施設もばらつきが大きい。
○名古屋市のように、リニューアル改修によって長寿命化を図ることは、経費を削減するだけでなく、作って壊すときの膨大なエネルギーを節減することにもつながる。サステイナブルな環境を維持していくという上で非常に大事な観点。

 

(2)老朽化対策の検討に係るアンケート調査結果(速報)について

・事務局より資料4に基づきアンケート結果について説明

○アンケート結果の速報を今後、どう分析をするか。
○(事務局)地域的な特性を加味して分析したいと考えている。
○定期的に学校施設の老朽化を診断し、施設カルテを作り、PDCAサイクルを回すことができる人材の育成や確保が課題である。

 

(3)第2回特別部会の補足事項について

・事務局より資料5に基づき補足資料について説明

○大規模改修を行う際、補助制度に上限があることに悩まされることが多い。補助制度の自由度が大きいということは自治体にとって重要。過去の補助制度にあった内外の改修を分けても補対象となるようなバリエーションが重要。
○例えば代表的な長寿命化のメニューと単価を定めて、その3分の1を補助する制度ができれば自治体としてはありがたい。

 

(4)中間とりまとめ(骨子案)について

・事務局より資料7に基づき中間とりまとめ(骨子案)について説明

○「高機能・多機能」という記載はお余分に金がかかったり、オプション的な扱いと捉えられがち。最低許容水準や標準的な性能といった考え方、またその表現方法等を検討すべき。
○長寿命化するための最小限の大規模改修に加え、教育環境、生活環境の質的な向上を同時に図っていくことが、老朽化対策ビジョンにとって大事であることを、報告書に書き込む必要がある。省エネやバリアフリー化、今日の教育が多様化していることに適合するような長寿命化対策・手段の検討が、この部会で議論する大事な観点である。
○研究の一貫で行ったアンケートで、学校の教職員から、日々の修理・修繕の中で、バリアフリー化を進められるような手法も知りたいという意見もある。
○学習活動への適応性は、客観的な評価は難しく、また、必要性が十分に理解されていないことも深刻な問題。生徒数が7~800人を上回る学校では、床・壁・天井、屋上防水、窓などで多大な費用が必要だと現地調査の際に感じた。劣化を改修するのが精一杯の面もあるので、学習環境の向上に向けた強力な指導を行うことも必要。
○担当者の意識レベルも大きく関係するため、意識の薄い自治体への働きかけも必要。但し、地方自治体の3~4年周期で異動するという仕組みの中で、人材確保も問題。また、使い勝手が悪いが引き延ばして使う長寿命化には全く意味がない。その時代に合わせてレベルアップする「レトロフィット」の考え方を持ち込むことが重要。
○長寿命化と教育環境対策を進めていくためには、それに導く補助制度を設けることも一案。
○骨子案ではバリアフリーについて記載されているが、学校は防災拠点や選挙の投票所にもなるため、ユニバーサルデザインを進めていくことに言及してはどうか。また、長寿命化対策と併せ、最後の最後には例えば小さな自治体が広域的な発想で市町村をまたいだ学校規模の適正化を検討することも重要。

 

(5)その他

・事務局より資料8に基づき今後のスケジュール案について説明。

 

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大臣官房文教施設企画部施設助成課

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