環境を考慮した学校づくり検討部会(第6回) 議事要旨

1.日時

平成22年7月22日(木曜日) 17時30分~19時30分

2.場所

旧文部省庁舎4階 文教施設企画部会議室

3.議題

  1. 環境教育に活用できる学校づくり実践事例集について
  2. 学校や設置者にとって全ての学校のエコスクールづくりを進める上での課題の抽出について
  3. その他

4.出席者

委員

[協力者]
有馬武裕、伊香賀俊治、伊東友忠、海野剛志、押尾和子、小泉治、小澤紀美子、長澤悟、村岡泰孝(敬称略)
[特別協力者]
五島政一、新保幸一(敬称略)

文部科学省

(文教施設企画部)西阪文教施設企画部長、岡技術参事官、長坂施設企画課長、森企画調整官その他関係官

オブザーバー

(環境省)畠中総合環境政策局環境教育第1係長
(生涯学習政策局)佐々木男女共同参画学習課専門職
(初等中等教育局)佐瀬教育課程課教育課程第1係長
(施設助成課)都外川施設助成課長補佐

5.議事要旨

1)環境教育に活用できる学校づくり実践事例集について

  • 事務局より資料4、5、6に基づき調査研究の検討内容について説明。
  • 小澤委員より資料7に基づき環境教育に関する取組について説明。
  • 五島特別協力者より資料8に基づき新しい学習指導要領と環境教育の関係について説明。その後、質疑応答と意見交換。

(小澤委員よりプレゼン)
○ 荒川区立第七峡田小学校のエコ改修事例では、子どもたちに外断熱などのエコ改修の効果を伝えるために、教科とエコ改修の内容を結びつける授業の工夫を先生方が行った。また、設計者からエコ改修技術を学ぶ機会を設け、子どもたちが自分のアイデアで地域の方にエコ改修の仕組みを説明した。

○ ビオトープを作る際は、子どもたちの希望に沿った設計を行い、作業は先生と子どもたちで行った。また、地域住民と公園の自然観察を行ったり、改修の際に環境学習室を設けたりし、地域住民に学校に関わってもらっている。

○ 教育において重要なことは、反省的実践であり、気づきを与え、自分たちで調べたり、考えたりしてフィードバックしていくことである。どのように先生方が環境対策の効果に気づいて授業に取り入れてくれるかという仕掛けをつくるのが重要である。

(五島特別協力者よりプレゼン)
○ 子どもは身近な日常生活や身近な自然に興味を持つため、日常生活の一部を教材として取り入れていくことは学ぶ意味を理解させる上で大事なことである。

○ 教員にとって、自分で地域や学校の校舎に施された技術や工夫を取り入れた授業を構成する能力も必要である。例えば、緑のカーテンにより涼しく感じることをきっかけに、その仕組みについて探求的に取り組むこともできる。さらに、学校だけでなく地域の自然も含めて考えると様々な展開が可能である。

○ 自分たちの身近にある学校施設や地域を教材として取り入れると、普段の生活と関わっていることなので学習するきっかけとなる。地域ならではの素材を用いた校舎は、地域の自然の理解という意味では本質的なことである。

○ 環境教育を進める上で、持続可能な社会の構築を目指すということを学校計画全体の中で位置づけることが大切。環境教育を進めることにより、子どもが地域や施設について学ぶことで、生涯を通じて学びを続けていくという学びの継続性につながるのではないか。エコスクールは学校の施設を使って体験的な学習も段階的にできるという利点もある。

○ エコスクールや地域の教材化を通して、教員の資質、能力を伸ばすということがよりよい教育をつくっていく上でポイントになるので、環境教育はそれを広めるよい機会である。

(意見交換)
○ エコスクールではない学校施設を活用した環境教育を提案するほうが実用性があるが、なかなか事例がないためイメージしにくい。エコ改修が終わった学校向けの教材だと、既存学校にはそのままは使えないのではないか。

○ 日本の環境教育の実践例の多くは、電気を小まめに消灯することに集約されがちである。断熱工法や複層ガラスなどをどうやって学習に活用できるかというヒントを与える方法が重要。

○ 建築の知識がない教員は学校がエコ改修されているのか、されていないのか、ほとんどわからない。それを前提に考え、どう見える化するかという視点から始めればよいのではないか。

○ 環境教育も教育の一環であるから、環境教育だけを特化するというより、子どもたちが教育活動、学校生活の中で、学んだことを実戦できるような継続的な活動をつくっていくことが大事。例えば子どもたちでつくったビオトープの仕組みや効果などを下の学年の子に伝えて、継続していくということが大事。言葉として伝えていくような場を設けることが、環境教育、持続可能な社会をつくっていくことにつながる。施設の利用方法を学校現場でコーディネートして、先生方が同じ視線に立って実践することが学校づくりである。

○ 屋上緑化を行うときに、1カ所だけ雑草が生えているような自然の箇所をつくる工夫や、地域の人が楽しんで整備するもの箇所をつくるというような計画もある。すべてを維持管理してしまうのではなく、一部自由に手を入れることができる場所をつくることで、環境教育の教材に使えるのではないか。

2)学校や設置者にとってすべての学校のエコスクールづくりを進める上での課題の抽出について

・事務局より資料10に基づき調査研究の検討内容について説明。その後意見交換。

○ 世田谷区では、省エネ法の改正により、エコ化の方針の中で毎年CO2を1%削減していくという状況になっている。

○ 緑のカーテンのように、初期投資は高いが、学校の負担は少ない取組を進める必要がある。手作りで低コストの取組を、子どもたちが地域ぐるみで初期の段階から一緒に体験できることで、先生方、保護者、地域住民の意識が変わっていくことが環境教育を広める上で重要。

○ 川崎市においては、老朽改築や質的改善を包含する形でエコ改修があるという考え方に立っているので、特段エコに特化するのではなく、これから大規模改修して、既存のストックを再生していくに当たっての当然とるべき手法ということで、そのスタンダードづくりに取り組んでいる。ハードとソフトの融合や連携、学校との協力が欠かせないと考える。

○ 藤沢市では、芝生化をできるだけ進めていきたいと考えているが、学校現場での管理が課題。地域の方にかかわってもらう目的で、夏休み中、学校コーディネーターが散水する人を募集し、10人程が交代で芝生の手入れをしている。そのような事例はあるが、それを普及することが難しい。発信していく方法を考える必要がある。

○ 市の総合計画の中に書き込まれると環境を考慮した施設整備計画の推進力になるが、財政計画との整合を図らなければならない。

○ 太陽光パネルの業者やエコ改修を行った設計者に教材づくりにかかわってもらうことは環境教育の推進にとって有効。

○ 老朽化対策のための大規模改修とエコを一体として取り組むというのはエコ化を広める可能性がある。耐震補強に関連してエコに取り組むというのは現実的に厳しいため、大規模改修に関連させてエコ化の対策をとるのが良い。あるいは大規模改修の主要なテーマの1つとして、エコの問題が取り上げられる可能性があるのではないか。

3)その他 

・事務局から資料11に基づき環境を考慮した学校づくり検討部会の今後のスケジュールについて説明。

以上

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