参考資料2 科学技術に関する基本政策について(答申)- 関連部分抜粋

平成22年12月24日 総合科学技術会議

4.基礎研究及び人材育成の強化

1.基本方針

 基礎研究の振興は、人類の新たな知の資産を創出するとともに、世界共通の課題を克服する鍵となる。
 (略)我が国の科学技術イノベーションの礎を確たるものとするためには、国として、独創的で多様な基礎研究を重視し、これを一層強力に推進していくことが不可欠であり、基礎研究の抜本的強化に向けた取組を進める。
 また、我が国としては、科学技術イノベーションの推進を担う多様な人材を、中長期的な視点から、戦略的に育成、支援していく必要がある。特に、近年、あらゆる活動がグローバルに展開される中、人材の国際的な獲得競争は一層激化しており、国をあげて科学技術イノベーションを強力に推進する観点から、優れた人材の育成及び確保に関する取組を強化する。
 さらに、我が国が、世界のトップクラスの人材を国内外から惹き付け、世界の活力と一体となった研究開発を推進していくためには、優れた研究施設及び設備、研究開発環境の整備を進める必要がある。このため、国際水準の研究環境及び研究基盤の形成を一層促進する。

2.基礎研究の抜本的強化

(1)独創的で多様な基礎研究の強化

 基礎研究は、研究者の知的好奇心や探究心に根ざし、その自発性、独創性に基づいて行われるものである。その成果は、人類共通の知的資産の創造や重厚な知の蓄積の形成につながり、ひいては我が国の豊かさや国力の源泉ともなるものである。このような独創的で多様な研究を広範かつ継続的に推進するための取組を強化する。
<推進方策>
  ・国は、研究者の自由な発想に基づいて行われる基礎研究を支援するとともに、学問的な多様性と継続性を保持し、知的活動の苗床を確保するため、大学運営に必要な基盤的経費(国立大学法人運営費交付金及び施設整備費補助金、私学助成)を充実する。

(2)世界トップレベルの基礎研究の強化

 国内外の優れた研究者を惹きつけ、世界最先端の研究開発を推進するとともに、国際的に高く評価される研究をさらに伸ばすためには、国際研究ネットワークのハブとなり得る研究拠点を形成する必要がある。このため、世界トップレベルの研究活動、教育活動を行う拠点の形成に向け、大学運営の改革と強化を促進する取組等を進めるとともに、海外から優れた研究者や学生を獲得し、受入を促進するための環境整備を進める。
<推進方策>
 ・国は、大学や公的研究機関において、海外の優れた研究者や学生の受入を促進するため、(中略)、家族の生活環境を含む周辺自治体や地域の国際化に向けた環境整備の支援を行う。また、「留学生30万人計画」に基づき、優秀な留学生の戦略的な獲得に向けた総合的取組を進める。

3.科学技術を担う人材の育成

(2)独創的で優れた研究者の養成

2 研究者のキャリアパスの整備
 優れた研究者を養成するためには、若手研究者のポストの確保とともに、そのキャリアパスの整備を進めていく必要がある。(略)
<推進方策>
 ・国は、競争的に選考された優れた若手研究者が、自ら希望する場で自立して研究に専念できる環境を構築するため、フェローシップや研究費等の支援を大幅に強化する。

4.国際水準の研究環境及び基盤の形成

(1)大学及び公的研究機関における研究開発環境の整備

1 大学の施設及び設備の整備
 大学が、高度化、多様化する教育研究活動に対応し、優れた人材を惹き付けるとともに、国際競争力の強化、産学連携の推進、地域貢献、さらには国際化を推進するためには、十分な機能を持つ質の高い施設や設備を整備する必要がある。大学の施設及び設備の整備は着実に進捗しているが、財政事情の厳しい中、計画的整備や維持管理に支障が生じており、施設及び設備の整備や高度化、安定的な運用確保に向けた取組を促進する。
<推進方策>
 ・国は、国立大学法人(大学共同利用機関法人及び国立高等専門学校を含む。)において重点的に整備すべき施設等に関する国立大学法人全体の施設整備計画を策定し、安定的、継続的な整備が可能となるよう支援の充実を図る。
 ・国は、国立大学法人が、長期的視野に立ったキャンパス全体の整備計画を策定するとともに、施設マネジメントを一層推進するよう求める。また、寄付や自己収入、長期借入金、PFI(Private Finance Initiative)など、多様な財源を活用した施設整備を進めることを期待する。国は、税制上の優遇措置のあり方の検討を含め、これを支援するための取組を進める。また、私立大学における施設及び設備の整備に係る支援を充実する。

5.社会とともに創り進める政策の展開

4.研究開発投資の拡充

(略)
 政府においては、2020年度までの官民合わせた研究開発投資の拡充目標を設定したところであるが、一方で我が国の政府負担研究費割合が諸外国に比して低水準であること、民間企業の研究開発投資が厳しい状況にある中、政府の研究開発投資が呼び水となり、民間投資が促進される相乗効果が期待されること、さらに諸外国が研究開発投資目標を掲げて拡充を図っていること等を総合的に勘案し、第4期基本計画においては政府研究開発投資に関する具体的な目標を設定して、投資を拡充していくことが求められる。
 このため、官民合わせた研究開発投資を対GDP比の4%以上にするとの目標に加え、政府研究開発投資を対GDP比の1%にすることを目指すこととする。
 その場合、第4期基本計画期間中の政府研究開発投資の総額の規模を約25兆円とすることが必要である(同期間中に政府研究開発投資の対GDP比率1%、GDPの名目成長率平均2.8%を前提に試算)。
(略)

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大臣官房文教施設企画部計画課整備計画室

(大臣官房文教施設企画部計画課整備計画室)